JP7076964B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents
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また、その他の方法としてガラス転移温度の低い樹脂を用いることで、定着温度を下げることが提案されている。ガラス転移温度の低い樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレン-アクリル酸メチル系共重合体のようなエチレン系エステル基含有共重合体を含有したトナーが提案されている(特許文献4~10)。
そこで、本発明者らは、体積抵抗が高く、ガラス転移温度が室温以下である樹脂として、エチレンやプロピレンなどのオレフィン系化合物に由来するモノマーユニットを有する共重合体に着目した。
具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのようなエチレン(プロピレン)-酢酸エステル系共重合体;エチレン-アクリル酸メチル共重合体などのようなエチレン(プロピレン)-アクリル酸エステル系共重合体;エチレン-メタクリル酸メチル共重合体などのようなエチレン(プロピレン)-メタクリル酸エステル系共重合体などを用いて低温定着性と帯電保持性の両立を試みた。
しかし、特許文献4~8で提案されているようなトナー中にこれらのエステル基含有オレフィン系共重合体を一部含有させるだけでは、高速条件での低温定着性を満足することは困難であった。
一方、特許文献9及び10にあるように、これらのエステル基含有オレフィン系共重合体をトナーの主たる樹脂として使用すると、耐ホットオフセット性が低下する課題が発生した。
近年は、はがき、小サイズ紙、封筒、厚紙、ラベル紙など各種の記録材(メディア)に対応できるマルチメディア対応性も要求されている。しかし、サイズの異なる記録材が連
続して定着部材上を通過する場合において、サイズの小さい記録材が先に定着部材上を通過すると、定着部材上における、当該記録材が通過していない部分の温度が過度に上昇する。その後サイズの大きい記録材が定着部材上を通過すると、サイズの大きい記録材上のトナーが過度に加熱され、ホットオフセットが発生しやすくなるという問題があった。そこで、各種の記録材を用いた場合であっても、低温定着性を維持しつつ、耐ホットオフセット性を向上させることが求められている。
本発明者らは上記耐ホットオフセット性を向上させるために、一般に知られている高分子量樹脂の併用を試みた。しかしながら、該エステル基含有オレフィン系共重合体は極性が低く、また、分子間力も低いことに起因するためか、エステル基含有オレフィン系共重合体の高分子量樹脂を併用しても耐ホットオフセット性を向上させることはできなかった。
本発明は、低温定着性、帯電保持性、及び耐ホットオフセット性に優れたトナー及び該トナーの製造方法を提供することにある。
上記共重合体はガラス転移温度が低いにもかかわらず高い結晶化度を有しているために高温での耐ブロッキング性が良好である。しかしながら、その他の樹脂成分を添加し相溶させると、結晶化度が低下し耐ブロッキング性が低下する。
しかしながら、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体はその化学構造の類似性により、共重合体の結晶化を損ねることがなく、耐ブロッキング性を低下させない。
さらには、トナーの定着温度において速やかに該共重合体と相溶し、トナー中に広がり、架橋構造による分子鎖の絡み合い効果で耐ホットオフセット性が顕著に向上する。
樹脂成分を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該樹脂成分が、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、架橋体を含有し、
該架橋体は、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂中の不飽和結合の反応物であり、
該エステル基含有オレフィン系共重合体が、
下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、
下記式(2)で示されるモノマーユニット及び下記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2と
を有し、
該樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体の含有量が、該樹脂成分の全質量に対して、50質量%以上であり、
該モノマーユニットY2の含有量が、該エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であり、
該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が、ポリブタジエンであることを特徴とするトナーである。
また、本発明は、
樹脂成分を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該樹脂成分が、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、架橋体を含有し、
該架橋体は、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が、該不飽和結合の反応により架橋されたものであり、
該樹脂成分を生成する樹脂微粒子が水系媒体に分散された、樹脂微粒子分散液を調製する調製工程を含み、
該樹脂微粒子分散液を調製する調製工程の後に、
該樹脂微粒子を凝集して凝集体粒子を形成する凝集工程、及び、
該凝集体粒子を加熱して融合する融合工程をさらに有し、
該樹脂微粒子分散液を調製する調製工程から該凝集工程までの間に、該樹脂微粒子中に存在する該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を、架橋剤を用いて架橋する架橋工程を含み、
該エステル基含有オレフィン系共重合体が、
下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、
下記式(2)で示されるモノマーユニット及び下記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2と
を有し、
該樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体の含有量が、該樹脂成分の全質量に対して50質量%以上であり、
該モノマーユニットY2の含有量が、該エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であることを特徴とするトナーの製造方法である。
また、モノマーユニットとは、ポリマー又は樹脂中のモノマー物質の反応した形態をいう。
また、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
本発明のトナーは、樹脂成分を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該樹脂成分が、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体を含有し、
該エステル基含有オレフィン系共重合体が、
下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、
下記式(2)で示されるモノマーユニット及び下記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2と
を有し、
該樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体の含有量が、該樹脂成分の全質量に対して、50質量%以上であり、
該モノマーユニットY2の含有量が、該エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であることを特徴とする。
該樹脂成分は、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体を含む。
該エステル基含有オレフィン系共重合体は、ポリオレフィン骨格に、共重合などの手段でエステル基を有するモノマーユニットが導入された高分子である。
具体的には、下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、下記式(2)で示されるモノマーユニット及び下記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2とを有する。
該エステル基含有オレフィン系共重合体の具体例としては、上記式中のR1がH、R2がH、R3がCH3である、エチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
該エチレン-酢酸ビニル共重合体は、融点を低く設計できるために低温定着性の観点から好ましい。
また、上記式中のR1がH、R4がH、R5がCH3である、エチレン-アクリル酸メチル共重合体;上記式中のR1がH、R4がH、R5がC2H5である、エチレン-アクリル酸エチル共重合体;上記式中のR1がH、R4がCH3、R5がCH3である、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体などは、化学的安定性が高いために、高温高湿環境下における保存安定性の観点から好ましい。
該エステル基含有オレフィン系共重合体は、樹脂成分中に、1種又は複数種含有させることができる。
式(1)で示されるモノマーユニットの質量をlとし、
式(2)で示されるモノマーユニットの質量をmとし、
式(3)で示されるモノマーユニットの質量をnとしたときに、
帯電保持性や耐ブロッキング性の観点から、樹脂成分に含まれるエステル基含有オレフィン系共重合体における、(l+m+n)/Wの値は、0.80以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましい。
該エステル基含有オレフィン系共重合体は、該モノマーユニットY1及びモノマーユニットY2以外のモノマーユニットを含有してもよい。本発明の効果を損なわなければ特に限定はされないが、例えば、下記式(4)で示されるモノマーユニットや、式(5)で示されるビニル系モノマーユニットが挙げられる。
これらは、エステル基含有オレフィン系共重合体を製造する共重合反応の際に、相当するモノマーを添加することや、エステル基含有オレフィン系共重合体を高分子反応により変性させることで導入することができる。
エステル基含有オレフィン系共重合体のガラス転移温度は0℃以下であるために、樹脂成分中の含有量が50質量%以上であることによって、低温定着性が良好になる。
帯電保持性及び低温定着性の観点から、モノマーユニットY2の含有量は、エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
該モノマーユニットY2の含有量が35質量%以下であることで、トナーとしての帯電保持性が良化する。一方、モノマーユニットY2の含有量が3質量%以上であることで紙への密着性が良化し、低温定着性が良好になる。
例えば、核磁気共鳴法(NMR)や熱分解ガスクロマトグラフィー法を用いるとよい。
以下、1H-NMRを用いた測定方法を示す。
例えば、式(1)で示されるモノマーユニットの水素原子、式(2)で示されるモノマーユニットのアセチル基の水素原子、式(3)で示されるモノマーユニットの酸素に結合したメチル基の水素原子の積分比をそれぞれ比較することで、各モノマーユニットの含有比率が算出できる。
具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルに由来するモノマーユニット比率:15質量%)における各モノマーユニットの含有比率は以下の方法で算出する。
0.00ppmの内部標準としてテトラメチルシランを含む重アセトン0.5mLに、試料約5mgを溶解した溶液を試料管に入れ、繰り返し時間を2.7秒、積算回数を16回の条件で1H-NMRスペクトルを測定する。
1.14-1.36ppmのピークがエチレンに由来するモノマーユニットのCH2-CH2に相当し、2.04ppm付近のピークが酢酸ビニルに由来するモノマーユニットのCH3に相当する。それらのピークの積分値の比を計算して、各モノマーユニットの含有比率を算出する。
トナー使用時の衝撃や圧力に耐える観点から、120℃以上160℃以下の軟化点を有するエステル基含有オレフィン系共重合体Aを含有することが好ましい。
また、画像の光沢性の観点から、70℃以上100℃以下の軟化点を有するエステル基含有オレフィン系共重合体Bを含有することが好ましい。
トナー使用時の衝撃や圧力に耐える観点から、該エステル基含有オレフィン系共重合体Aの含有量は、樹脂成分の全質量に対して、40質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
一方、画像の光沢性の観点から、該エステル基含有オレフィン系共重合体Bの含有量は、樹脂成分の全質量に対して、10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
該軟化点(Tm)は、エステル基含有オレフィン系共重合体の分子量を変えることで制御することが可能であり、分子量を大きくすることで軟化点を上げることができる。
本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させながら溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量(mm)と温度(℃)から流動曲線をグラフ化できる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度を、1/2法における溶融温度とする。
測定には、1.2gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、標準手動式ニュートンプレス NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いる。
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行う。
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:60℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):5.0kgf
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
破断伸度は、JIS K 7162に基づいた条件で測定する。
樹脂成分中に複数のエステル基含有オレフィン系共重合体を含有する場合は、溶融混合した後に上記条件により測定を行う。
不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂は、樹脂骨格中の炭素-炭素間に二重結合あるいは三重結合を有する脂肪族炭化水素樹脂であれば特に限定されない。
不飽和結合部位が多く架橋反応が進行し易い理由から、ポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエン、1,4-ポリ(1-プロピルブタ-1,3-ジエン)などの炭素数4以上10以下のジエンの重合体が好ましい。
これらの中でも、ポリブタジエンは、反応性がより高く、トナーの耐ホットオフセット性が顕著に向上する。
また、ポリブタジエンは、エステル基含有オレフィン系共重合体と樹脂骨格が類似しているため、エステル基含有オレフィン系共重合体の結晶化を阻害しにくく、耐ブロッキング性が良好になる。
該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂(例えば、ポリブタジエン)の重量平均分子量は、10000以上300000以下であることが好ましく、100000以上300000以下であることがより好ましい。
重量平均分子量が10000以上であることでトナーの耐ブロッキング性がより向上し、300000以下であることで架橋反応の反応性がより高まる。
測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI-8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0mL/分
・サンプル濃度:5mg/10mL
・カラム温度 :40℃
また、1,2-ポリブタジエン構造として、立体異性体としてランダムに異なる異性体が連なっている1,2-アタクチック構造体、同じ異性体が連なっている1,2-イソタクチック構造体、交互に異なる異性体が連なっている1,2-シンジオタクチック構造体が挙げられる。
また、ポリブタジエンは必要に応じてその他のモノマーユニットを含むことも可能であるが、1,2-ポリブタジエン構造を有し、その一部がシンジオタクチック構造体を形成していることが結晶性を有するために好ましい。結晶性を有していることによって、エステル基含有オレフィン系共重合体の結晶性を乱すことなく高温での保存性がより良好になる。
結晶性の観点から、該ポリブタジエン中の該1,2-ポリブタジエン構造の含有割合は、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
また、該1,2-ポリブタジエン構造中、50質量%以上がシンジオタクチック構造体であることが結晶性を高めるために好ましい。
該ポリブタジエン中の該1,2-ポリブタジエン構造の含有割合が70質量%以上であることが後述のラジカル重合開始剤との反応性の観点から好ましく、該1,2-ポリブタジエン構造中、90質量%以上がシンジオタクチック構造体であることがより好ましい。
1,2-ポリブタジエン構造は、不飽和結合部位の運動性が高いことにより後述のラジカル重合開始剤との反応性が高まり、耐ホットオフセット性が向上する。
該ポリブタジエン構造の質量%及び1,2-ポリブタジエンが形成する構造体の質量%は一般的な分析手法を用いて測定することができ、例えば、核磁気共鳴法(NMR)などの手法が適用できる。
融点が60℃以上の場合、高温での保存性がより良化し、融点が80℃以下の場合、光沢性がより良化する。
本発明において、重合体などの融点は示査走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
具体的には、0.01~0.02gの試料をアルミニウム製パンに精秤し、昇温速度10℃/minで、0℃から200℃まで昇温し、DSC曲線を得る。
得られたDSC曲線における最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
架橋させる方法としては該不飽和結合部位に反応する任意の架橋剤を用いることが挙げられる。該架橋剤としては、ラジカル重合開始剤が耐ホットオフセット性向上の観点から好ましい。
また、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が架橋した架橋体は、トナー粒子中に体積基準の平均粒子径10nm以上1000nm以下の微粒子状で分散していることが好ましい。
該体積基準の平均粒子径を10nm以上にすることによって画像としての光沢性がより向上し、1000nm以下にすることによって耐ホットオフセット性がより向上する。
トナー中に該架橋体を微粒子状に分散させるには、体積基準の平均粒子径10nm以上1000nm以下の微粒子状の架橋体を製造し、後述の乳化凝集法で製造することが好ましい。
なお、該粒子径は、クライオミクロトームを使用し、トナーの、膜厚60nmほどの超薄切片を作製し、該超薄切片をルテニウムによって染色し透過型電子顕微鏡を用いて観察するなどの方法を用いて測定することができる。
該架橋体の含有量を1.0質量%以上にすることで耐ホットオフセット性の効果が高まり、8.0質量%以下にすることで低温定着性や光沢性がより良化する。
該カルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂とは、ポリエチレンを主成分とするポリオレフィン樹脂にその他の成分をランダム共重合、ブロック共重合、又はグラフト共重合させた樹脂、及びそれらの樹脂を高分子反応により改変させたものをさす。
該共重合させる成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。
具体的には、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体などが好適に例示できる。
該変性ポリエチレン樹脂に存在するカルボキシ基が紙表面の水酸基と水素結合を形成し、トナーと紙との密着性が高まり、定着物が消しゴムなどで消えることがなくなる。
また、カルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂はエステル基含有オレフィン系共重合体と比較して融点が高く、それを含有させることで高温での保存性が良化する。
カルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂の含有量は、樹脂成分の全質量に対して、10質量%以上50質量%未満であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
該含有量が上記範囲の場合、帯電性の環境変動を抑えつつ、紙との密着性を向上させることができる。
カルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂の酸価は、紙との十分な密着性及び帯電性向上の観点から、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがより好ましい。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
該カルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂の融点は、低温定着性及び保存性の観点から、50℃以上100℃以下であることが好ましく、50℃以上90℃以下であることがより好ましい。
具体的には、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
該脂肪族炭化水素の含有量は、低温定着性と帯電性の観点から、樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、10質量部以上35質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。
該脂肪族炭化水素は加熱すると、エステル基含有オレフィン系共重合体の可塑化を促進することができる。そのために、トナー粒子中に脂肪族炭化水素を含有させることで、トナー粒子中でマトリックスを形成しているエステル基含有オレフィン系共重合体を可塑化し、低温定着性をより高めることができる。
さらに、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素はエステル基含有オレフィン系共重合体の結晶核剤としても作用することができる。そのために、エステル基含有オレフィン系共重合体のミクロな運動性が抑制され帯電性がより向上する。
該脂肪族炭化水素の具体例としては、ヘキサコサン、トリアコンタン、及びヘキサトリアコンタンなどの炭素数が20以上60以下の脂肪族炭化水素が挙げられる。
アルキルワックスなどのトナーに一般に使用される離型剤は、エステル基含有オレフィン系共重合体を相溶化しやすく、離型効果が得られにくい。
また、トナー粒子が着色剤を含有する場合、シリコーンオイルを添加することによって、該着色剤の分散性が向上し、高濃度の画像が得られやすくなる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどが例示できる。
該シリコーンオイルの粘度は、5mm2/s以上1000mm2/s以下であることが好ましく、20mm2/s以上1000mm2/s以下であることがより好ましい。
該シリコーンオイルの含有量は、流動性の低下を抑えつつ、良好な分離性を得るという観点から、樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又はイエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用い黒色に調色したものが挙げられる。
これら着色剤において、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1個以上5個以下置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
該着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点
から選択される。
該着色剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
なお、トナーの体積基準のメジアン径は、コールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:コールター製)を用いて測定するとよい。
樹脂成分を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該樹脂成分が、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体を含有しており、
該樹脂成分を生成する樹脂微粒子が水系媒体に分散された、樹脂微粒子分散液を調製する調製工程、及び、
該樹脂微粒子中に存在する該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を、架橋剤を用いて架橋する架橋工程を含み、
該エステル基含有オレフィン系共重合体が、
上記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、
上記式(2)で示されるモノマーユニット及び上記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2とを有し、
該樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体の含有量が、該樹脂成分の全質量に対して50質量%以上であり、
該モノマーユニットY2の含有量が、該エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であることを特徴とする。
水系媒体に分散された樹脂微粒子分散液の状態で、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を架橋させることによって、架橋体が微分散された樹脂微粒子を調製することができる。その結果、低温定着性が良好で、かつ耐ホットオフセット性を向上させることができる。
水系媒体中でトナー粒子を製造する方法のなかでも乳化凝集法を用いることが好ましい。乳化凝集法とは、目的の粒子径に対して、十分に小さい樹脂微粒子分散液を前もって準備し、その樹脂微粒子を水系媒体中で凝集することによりトナー粒子を製造する製造方法である。
すなわち、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を含有し、トナー粒子より十分に小さい微粒子を形成し、さらに、製造工程中に架橋剤を用いて架橋させることにより、トナー粒子中により微分散された架橋体を形成することができる。その結果、さらに低温定着性と耐ホットオフセット性が良化する。
該樹脂微粒子を凝集して凝集体粒子を形成する凝集工程、及び、
該凝集体粒子を加熱して融合する融合工程をさらに有することが好ましい。
また、該架橋工程は、樹脂微粒子分散液を調製する調製工程から凝集工程までの間に、架橋剤を用いて、樹脂微粒子中に存在する不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を架橋する工程であることが好ましい。
さらに、上記工程に加えて、冷却工程、洗浄工程及び乾燥工程などを実施してもよい。
<樹脂微粒子分散液を調製する調製工程>
樹脂微粒子分散液は公知の方法で調製できるが、以下の方法が好適に例示できる。
例えば、エステル基含有オレフィン系共重合体を含有し、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を含まない樹脂微粒子Aが水系媒体に分散された樹脂微粒子A分散液と、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を含有する樹脂微粒子Bが水系媒体に分散された樹脂微粒子B分散液の二つを調製する。
該二つの樹脂微粒子分散液を用いることによって、後述のように不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体のトナー粒子中での分散状態を制御でき、耐ホットオフセット性と光沢性を顕著に向上させることができる。
樹脂微粒子A分散液は、例えば、以下のように調製する。
エステル基含有オレフィン系共重合体のみを有機溶媒に溶解し、均一な溶解液を形成する。その後、塩基性化合物及び必要に応じて界面活性剤を添加する。さらに、この溶解液に水系媒体を添加し微粒子を形成する。最後に有機溶媒を除去し樹脂微粒子Aが分散された樹脂微粒子A分散液が調製される。
一方、樹脂微粒子B分散液は、例えば、以下のように調製する。
少なくとも不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を有機溶媒に溶解し、均一な溶解液を形成する。その後、塩基性化合物及び必要に応じて界面活性剤を添加する。さらに、この溶解液に水系媒体を添加し微粒子を形成する。最後に有機溶媒を除去し樹脂微粒子Bが分散された樹脂微粒子B分散液が作製される。
この場合、エステル基含有オレフィン系共重合体及び不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を共に溶解させて、共乳化手法で樹脂微粒子Bを形成させるとよい。
共乳化手法を用いると、微粒化した有機相の中でエステル基含有オレフィン系共重合体と不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂とが微粒子中で均一に混ざりあい、トナー粒子中での両者の相溶性がさらに向上し、耐ホットオフセット性がさらに向上する。
より具体的には、エステル基含有オレフィン系共重合体及び不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を有機溶媒に加熱溶解し、界面活性剤や塩基性化合物を加える。続いて、ホモジナイザーなどによりせん断力を付与しながら水系媒体をゆっくり添加することで樹脂を含む共乳化液(樹脂微粒子B分散液)を作製する。
または、水系媒体を添加後にホモジナイザーなどによりせん断力を付与することで樹脂を含む共乳化液を作製する。その後、加熱又は減圧して有機溶媒を除去することにより、樹脂微粒子B分散液を作製する。
樹脂微粒子B中の不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の含有量は、該樹脂微粒子Bを構成する樹脂全量に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。5質量%以上にすることによって樹脂微粒子中で不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の反応性が高まり、架橋工程がスムーズに進行する。一方、20質量%以下にすることによって架橋工程での反応の行き過ぎが防止でき、トナーの耐ホットオフセット性がより向上する。
樹脂微粒子が上記カルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂を含有することで、乳化凝集法における微粒子の反応性が高まり、得られるトナー粒子の粒度分布が良好になる。
該樹脂微粒子分散液の調製に際し、有機溶媒に溶解させる樹脂成分の添加量は、有機溶媒100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以上50質量部以下とすることがより好ましい。
該有機溶媒としては、樹脂を溶解できるものであればどのようなものでも使用可能であるが、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどのエステル基含有オレフィン系共重合体に対する溶解度の高い溶媒が好ましい。
該界面活性剤としては、特に限定されるものでは無い。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系の非イオン系界面活性剤が挙げられる。
該塩基性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機塩基やトリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどの有機塩基が挙げられる。該塩基性化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、樹脂微粒子Bの体積基準のメジアン径は、50nm以上1000nm以下であることが好ましく、100nm以上600nm以下であることがより好ましい。メジアン径を上記範囲にすることによって、トナー粒子中での架橋微粒子の分散径が50nm以上1000nm以下になり、耐ホットオフセット性と光沢性の両立の観点から好ましい。
なお、該体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA-EX150:日機装製)を用いて測定する。
架橋工程は、樹脂微粒子中に存在する不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を、架橋剤を用いて架橋する工程である。
該架橋工程は、樹脂微粒子分散液を調製する調製工程から後述する凝集工程までの間に、架橋剤を用いて、樹脂微粒子中に存在する不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を架橋する工程であることが好ましい。
さらには、樹脂微粒子分散液を調製する調製工程終了後から凝集工程開始までの間に架橋工程を設けることが好ましい。
上記時期に架橋工程を実施することによって、均一な粒子径の十分に小さな架橋微粒子を形成することができ、低温定着性と耐ホットオフセット性がより向上する。
より具体的には、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を含む樹脂微粒子B分散液に対して撹拌しながら、架橋剤を添加し、加熱することで架橋反応を進行させるとよい。
該ラジカル重合開始剤は、油溶性、及び水溶性のものがあり、いずれの開始剤を用いてもよいが、水溶性のラジカル重合開始剤が反応の均一性の観点から好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、以下の化合物が挙げられる。
2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ヒドロクロリドなどのアゾビスニトリル類;アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチル-α-クミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシアセテート、α-クミルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステル;t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ-イソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド;t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどのパーオキシカーボネート;過酸化水素などの無機過酸化物類;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類などが挙げられる。
架橋剤(特に、ラジカル重合開始剤)の添加量は、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
架橋剤の添加量が上記範囲内であれば、架橋反応が十分に行われる。
架橋剤は、固体のまま添加してもよいし、水中に溶解させて添加してもよい。
上記加熱温度は、例えば、ラジカル重合開始剤の10時間半減温度より10~40℃高いことが好ましい。また、加熱時間は、1時間以上12時間以下であることが好ましい。加熱温度及び加熱時間が上記範囲内であれば、架橋反応を十分に進行させることができ、架橋構造を得ることができる。不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が架橋した架橋体は、加熱したトルエン(例えば、90℃程度に加熱したトルエン)に溶解しない程度まで架橋されていることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
凝集工程は、例えば、上記樹脂微粒子A分散液と樹脂微粒子B分散液に、着色剤微粒子分散液、脂肪族炭化水素微粒子分散液、及びシリコーンオイル乳化液を混合し、混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる微粒子を凝集し、凝集体粒子を形成させる工程である。該凝集体粒子を形成させる方法としては、凝集剤を上記混合液中に添加及び混合し、温度を上げたり、機械的動力などを適宜加えたりする方法が好適に例示できる。
該着色剤微粒子分散液は、上記着色剤を分散させて調製される。着色剤微粒子は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターなどのメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機などが好ましく用いられる。また、必要に応じて分散安定性を付与する界面活性剤や高分子分散剤を添加することができる。
該脂肪族炭化水素微粒子分散液、及びシリコーンオイル乳化液は、各材料を水系媒体中に分散させて調製する。各材料は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターなどのメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機などが好ましく用いられる。また、必要に応じて分散安定性を付与する界面活性剤や高分子分散剤を添加することができる。
該凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどの1価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウムなどの2価の金属の金属塩;鉄、アルミニウムなどの3価の金属の金属塩;ポリ塩化アルミなどの多価金属塩が挙げられる。凝集工程の粒子径制御性の観点から、塩化カルシウムや硫酸マグネシウムなどの2価の金属の金属塩が好ましい。
該凝集剤の添加及び混合は、室温から75℃までの温度範囲で行うことが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサーなどを用いて行うことができる。
凝集工程で形成される凝集体粒子の体積基準のメジアン径は、特に制限はないが、通常、得ようとするトナー粒子のメジアン径と同じ程度になるよう、4.0μm以上7.0μm以下程度に制御するとよい。該制御は、例えば、上記凝集剤などの添加及び混合時の温度と上記攪拌混合の条件を適宜設定及び変更することにより容易に行うことができる。
なお、凝集体粒子の体積基準のメジアン径は、コールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:コールター製)を用いて測定する。
融合工程は、上記凝集体粒子を、該エステル基含有オレフィン系共重合体の融点以上に加熱し融合することで、凝集体粒子表面を平滑化した粒子を製造する工程である。
一次融合工程に入る前に、得られた樹脂粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤などを適宜投入することができる。
キレート剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩などのアルカリ金属塩、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム、ニトリロトリアセテート(NTA)塩、COOH及びOHの両方の官能性を含む多くの水溶性ポリマー類(高分子電解質)が挙げられる。
上記加熱温度としては、凝集体粒子に含まれるエステル基含有オレフィン系共重合体の融点以上から、エステル基含有オレフィン系共重合体又はカルボキシ基を有する変性ポリエチレン樹脂(以下、酸基含有オレフィン系共重合体ともいう)が熱分解する温度の間であればよい。加熱融合の時間は、加熱温度が高ければ短い時間で足り、加熱温度が低ければ長い時間が必要である。すなわち、加熱融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には10分~10時間程度である。
冷却工程は、融合工程で得られた樹脂粒子を含む水系分散体の温度を、エステル基含有オレフィン系共重合体の結晶化温度より低い温度まで冷却する工程である。
冷却を該結晶化温度より低い温度まで行うことで、粗大粒子の発生を防止することができる。また、冷却速度は、0.1~50℃/分程度である。
また、冷却中又は冷却後にエステル基含有オレフィン系共重合体の結晶化速度が速い温度に保持し、結晶化を促進させるアニーリングを行うことが好ましい。30~70℃の温度で保持することで結晶化が促進され、その結果、トナーの耐ブロッキング性がより向上する。
上記工程を経て作製された樹脂粒子を、洗浄及びろ過を繰り返すことにより、樹脂粒子中の不純物を除去することができる。
具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩などのキレート剤を含有した水溶液を用いて樹脂粒子を洗浄し、さらに純水で洗浄することが好ましい。
純水での洗浄はろ過を複数回繰り返すことにより、樹脂粒子中の金属塩や界面活性剤などを除くことができる。ろ過の回数は3~20回が製造効率の点から好ましく、3~10回がより好ましい。
洗浄された樹脂粒子の乾燥を行い、トナー粒子を得るとよい。
該トナー粒子はそのままトナーとしてもよい。また、必要に応じて、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂微粒子を、乾燥状態で剪断力を印加して添加して、トナーとしてもよい。なお、該無機微粒子や樹脂微粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤などの外添剤として機能する。
・トルエン(和光純薬製) 300部
・エチレン-酢酸ビニル共重合体[EVA-A] 100部
(R1=H、R2=H、R3=CH3、モノマーユニットY2の含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):110000、軟化点(Tm):128℃、融点:86℃、破断伸度:700%、(l+m+n)/W=1.00)
・酸基含有オレフィン系共重合体A[EMA-A] 25部
(エチレン-メタクリル酸共重合体、軟化点(Tm):123℃、融点:90℃、酸価:90mgKOH/g)
以上の処方を混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、ラウリン酸ナトリウム1.5部、及びN,N-ジメチルアミノエタノール1.65部を加え90℃で加熱溶解させた。
次いで、上記のトルエン溶液と水溶液を混ぜ合わせ、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス((株)プライミクス製)を用いて7000rpmで攪拌した。
さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。
その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い樹脂微粒子A1の濃度20%の水系分散液(樹脂微粒子A1分散液)を得た。
該樹脂微粒子A1の体積基準のメジアン径を動的光散乱式粒度分布計(ナノトラック:日機装製)を用いて測定したところ、0.40μmであった。
[EVA-A]100部を、[EVA-A]50部、及び、エチレン-酢酸ビニル共重合体[EVA-B](R1=H、R2=H、R3=CH3、モノマーユニットY2の含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、軟化点(Tm):83℃、融点:77℃、(l+m+n)/W=1.00)50部に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A2分散液を得た。得られた樹脂微粒子A2の体積基準のメジアン径は、0.33μmであった。なお、[EVA-A]と[EVA-B]を等量で混ぜた状態での破断伸度は450%であった。
酸基含有オレフィン系共重合体A[EMA-A]及びN,N-ジメチルアミノエタノールを使用しないように変更した以外は樹脂微粒子A2分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A3分散液を得た。得られた樹脂微粒子A3の体積基準のメジアン径は、1.23μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-アクリル酸エチル共重合体[EEA-A](R1=H、R4=H、R5=C2H5、モノマーユニットY2の含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、軟化点(Tm):125℃、融点:87℃、破断伸度:800%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A4分散液を得た。得られた樹脂微粒子A4の体積基準のメジアン径は、0.54μmであった。
[EVA-A]100部を、[EVA-A]80部、及び、ポリエステル樹脂A[PES-A][組成(モル比)〔ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:イソフタル酸:テレフタル酸=100:50:50〕、数平
均分子量(Mn):4,600、重量平均分子量(Mw):16,500、ピーク分子量(Mp):10,400、軟化点(Tm):120℃、ガラス転移温度(Tg):70℃、酸価:13mgKOH/g]20部に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A5分散液を得た。得られた樹脂微粒子A5の体積基準のメジアン径は、0.33μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-酢酸ビニル-吉草酸ビニル共重合体[EVA-C](R1=H、R2=H、R3=CH3、モノマーユニットY2の含有量:15質量%、吉草酸ビニルに由来するモノマーユニット[式(4)]の含有量:4質量%、酸価:0mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):120000、軟化点(Tm):130℃、融点:75℃、破断伸度:600%、(l+m+n)/W=0.96)に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A6分散液を得た。得られた樹脂微粒子A6の体積基準のメジアン径は、0.44μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-酢酸ビニル-吉草酸ビニル共重合体[EVA-D](R1=H、R2=H、R3=CH3、モノマーユニットY2の含有量:5質量%、吉草酸ビニルに由来するモノマーユニット[式(4)]の含有量:25質量%、酸価:0mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):110000、軟化点(Tm):118℃、融点:71℃、破断伸度:550%、(l+m+n)/W=0.75)に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A7分散液を得た。得られた樹脂微粒子A7の体積基準のメジアン径は、0.42μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-酢酸ビニル共重合体[EVA-E](R1=H、R2=H、R3=CH3、モノマーユニットY2の含有量:2質量%、酸価:0mgKOH/g、融点:105℃、軟化点(Tm):156℃、破断伸度:600%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A8分散液を得た。得られた樹脂微粒子A8の体積基準のメジアン径は、0.51μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-酢酸ビニル共重合体[EVA-F](R1=H、R2=H、R3=CH3、モノマーユニットY2の含有量:41質量%、酸価:0mgKOH/g、軟化点(Tm):160℃、融点:40℃、破断伸度:870%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A9分散液を得た。得られた樹脂微粒子A9の体積基準のメジアン径は、0.51μmであった。
[EVA-A]、及び、[EMA-A]を使用せず、ポリエステル樹脂A[PES-A][組成(モル比)〔ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:イソフタル酸:テレフタル酸=100:50:50〕、数平均分子量(Mn):4,600、重量平均分子量(Mw):16,500、ピーク分子量(Mp):10,400、軟化点(Tm):120℃、ガラス転移温度(Tg):70℃、酸価:13mgKOH/g]の使用量を125部に変更した以外は樹脂微粒子A1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A10分散液を得た。得られた樹脂微粒子A10の体積基準のメジアン径は、0.25μmであった。
[PES-A]を、結晶性ポリエステル樹脂A[CPES-A][組成(モル比)〔1,9-ノナンジオール:セバシン酸=100:100〕、数平均分子量(Mn):5,500、重量平均分子量(Mw):15,500、ピーク分子量(Mp):11,400、融点:72℃、酸価:13mgKOH/g]に変更した以外は樹脂微粒子A10分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子A11分散液を得た。得られた樹脂微粒子A11の体積基準のメジアン径は、0.25μmであった。
・トルエン(和光純薬製) 300部
・エチレン-酢酸ビニル共重合体[EVA-A] 90部
・不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂[Al-A] 10部
[ポリブタジエン(1,2-ポリブタジエン構造の含有割合:90質量%、シンジオタクチック構造体の比率:50質量%、融点:70℃、重量平均分子量(Mw):205000)]
・酸基含有オレフィン系共重合体A[EMA-A] 25部
以上の処方を混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、ラウリン酸ナトリウム1.5部、N,N-ジメチルアミノエタノール1.6部を加え90℃で加熱溶解させた。
次いで、上記のトルエン溶液と水溶液を混ぜ合わせ、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス((株)プライミクス製)を用いて7000rpmで攪拌した。
さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。
その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い樹脂微粒子B1の濃度20%の水系分散液(樹脂微粒子B1分散液)を得た。
該樹脂微粒子B1の体積基準のメジアン径を動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装製)を用いて測定したところ、0.40μmであった。
続いて、樹脂微粒子B1の分散液500部を撹拌しながら、ラジカル重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を添加した。
その後、90℃まで加熱し3時間撹拌した。さらに室温まで冷却することで架橋樹脂微粒子B1分散液を得た。得られた架橋樹脂微粒子B1の体積基準のメジアン径は、0.40μmであった。
[EVA-A]90部を、[EVA-A]45部、及び、[EVA-B]45部に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B2分散液及び架橋樹脂微粒子B2分散液を得た。得られた樹脂微粒子B2及び架橋樹脂微粒子B2の体積基準のメジアン径は、0.33μmであった。
[Al-A]を、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂[Al-B][ポリブタジエン(1,2-ポリブタジエン構造の含有割合:92質量%、シンジオタクチック構造体の比率:55質量%、融点:95℃、重量平均分子量(Mw):210000)]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B2分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B3分散液及び架橋樹脂微粒子B3分散液を得た。得られた樹脂微粒子B3及び架橋樹脂微粒子B3の体積基準のメジアン径は、0.42μmであった。
[Al-A]を、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂[Al-C][ポリブタジエ
ン(1,2-ポリブタジエン構造の含有割合:90質量%、シンジオタクチック構造体の比率:20質量%、融点:なし、重量平均分子量(Mw):3000)]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B2分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B4分散液及び架橋樹脂微粒子B4分散液を得た。得られた樹脂微粒子B4及び架橋樹脂微粒子B4の体積基準のメジアン径は、0.46μmであった。
[Al-A]を、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂[Al-D][1,4-ポリ(1-プロピルブタ-1,3-ジエン)(融点:40℃、重量平均分子量(Mw):120,000)]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B2分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B5分散液及び架橋樹脂微粒子B5分散液を得た。得られた樹脂微粒子B5及び架橋樹脂微粒子B5の体積基準のメジアン径は、0.55μmであった。
酸基含有オレフィン系共重合体A[EMA-A]及びN,N-ジメチルアミノエタノールを使用せず、脂肪族炭化水素樹脂[Al-A]の使用量を7.8部とした以外は架橋樹脂微粒子B2分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B6分散液及び架橋樹脂微粒子B6分散液を得た。得られた樹脂微粒子B6及び架橋樹脂微粒子B6の体積基準のメジアン径は、1.3μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-アクリル酸エチル共重合体[EEA-A]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B7分散液及び架橋樹脂微粒子B7分散液を得た。得られた樹脂微粒子B7及び架橋樹脂微粒子B7の体積基準のメジアン径は、0.52μmであった。
[EVA-A]90部を、[EVA-A]67.5部、及び、ポリエステル樹脂A[PES-A]22.5部に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B8分散液及び架橋樹脂微粒子B8分散液を得た。得られた樹脂微粒子B8及び架橋樹脂微粒子B8の体積基準のメジアン径は、0.52μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-酢酸ビニル-吉草酸ビニル共重合体[EVA-C]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B9分散液及び架橋樹脂微粒子B9分散液を得た。得られた樹脂微粒子B9及び架橋樹脂微粒子B9の体積基準のメジアン径は、0.44μmであった。
[EVA-A]を、エチレン-酢酸ビニル-吉草酸ビニル共重合体[EVA-D]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B10分散液及び架橋樹脂微粒子B10分散液を得た。得られた樹脂微粒子B10及び架橋樹脂微粒子B10の体積基準のメジアン径は、0.38μmであった。
[EVA-A]の使用量を43.75部に、及び、[Al-A]の使用量を2.5部に変更し、[EVA-B]を43.75部追加した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B11分散液及び架橋樹脂微粒子B11分散液を得た。得られた樹脂微粒子及び架橋樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、0.42μmであった。
[EVA-A]の使用を止め、[Al-A]の使用量を100部に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B12分散液及び架橋樹脂微粒子B12分散液を得た。得られた樹脂微粒子B12及び架橋樹脂微粒子B12の体積基準のメジアン径は、0.51μmであった。
[Al-A]を、ポリエステル樹脂B[組成(モル比)〔ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:フタル酸:テレフタル酸=15:35:35:15〕、数平均分子量(Mn):3,000、重量平均分子量(Mw):12,000、軟化点(Tm):96℃、ガラス転移温度(Tg):52℃、酸価:10mgKOH/g]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B6分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B13分散液及び架橋樹脂微粒子B13分散液を得た。得られた樹脂微粒子B13及び架橋樹脂微粒子B13の体積基準のメジアン径は、0.15μmであった。
[EVA-A]を[EVA-E]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B14分散液及び架橋樹脂微粒子B14分散液を得た。得られた樹脂微粒子B14及び架橋樹脂微粒子B14の体積基準のメジアン径は、0.15μmであった。
[EVA-A]を[EVA-F]に変更した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B15分散液及び架橋樹脂微粒子B15分散液を得た。得られた樹脂微粒子B15及び架橋樹脂微粒子B15の体積基準のメジアン径は、0.56μmであった。
[EVA-A]及び[EMA-A]を使用せず、ポリエステル樹脂A[PES-A]115部を使用した以外は架橋樹脂微粒子B1分散液の製造例と同様にして、樹脂微粒子B16分散液及び架橋樹脂微粒子B16分散液を得た。得られた樹脂微粒子B16及び架橋樹脂微粒子B16の体積基準のメジアン径は、0.33μmであった。
・着色剤 10.0部
(シアン顔料 大日精化製:Pigment Blue 15:3)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンRK) 1.5部
・イオン交換水 88.5部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の濃度10%の水系分散液(着色剤微粒子分散液)を調製した。得られた着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装製)を用いて測定し、0.20μmであった。
・脂肪族炭化水素 20.0部
(HNP-51、融点78℃、日本精蝋製)
・アニオン性界面活性剤 1.0部
(第一工業製薬製:ネオゲンRK)
・イオン交換水 79.0部
以上を攪拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環させて分散処理を60分間行った。
分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径3cm
・クリアランス0.3mm
・ローター回転数19000r/min
・スクリーン回転数19000r/min
分散処理後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、脂肪族炭化水素微粒子の濃度20%の水系分散液(脂肪族炭化水素微粒子分散液)を得た。該脂肪族炭化水素微粒子の体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装製)を用いて測定し、0.15μmであった。
・シリコーンオイル 20.0部
(ジメチルシリコーンオイル 信越化学製:KF96-50CS)
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンRK) 1.0部
・イオン交換水 79.0部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散して、シリコーンオイルを分散させてなるシリコーンオイルの濃度20%の水系分散液(シリコーンオイル乳化液)を調製した。得られたシリコーンオイル乳化液中のシリコーンオイル粒子の体積基準のメジアン径を動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装製)を用いて測定したところ、0.09μmであった。
・樹脂微粒子A1分散液 375部
・架橋樹脂微粒子B1分散液 125部
・着色剤微粒子分散液 80部
・脂肪族炭化水素微粒子分散液 150部
・シリコーンオイル乳化液 100部
・イオン交換水 110部
上記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した後、10%硫酸マグネシウム水溶液60部を添加した。続いてホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5000r/minで10分間分散した。
その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで73℃まで加熱した。
73℃で20分間保持した後、形成された凝集体粒子の体積基準のメジアン径が約6.0μmであることを確認した。
上記凝集体粒子を含む分散液に、5%エチレンジアミン4酢酸ナトリウム水溶液340部を追加した後、攪拌を継続しながら、98℃まで加熱した。そして、98℃で1時間保持することで凝集体粒子を融合させた。
その後、50℃まで冷却し3時間保持することでエチレン-酢酸ビニル共重合体の結晶化を促進させた。その後、25℃まで冷却し、ろ過及び固液分離した後、ろ物を0.5%エチレンジアミン4酢酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄を行った。
洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、体積基準のメジアン径が5.4μmのトナー粒子1を得た。
100部のトナー粒子1に対して、一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水化処理されたシリカ微粒子1.5部、及び、1次粒子の個数平均粒径が100nmの疎水化処理されたシリカ微粒子2.5部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山製)で乾式混合してトナー
1を得た。得られたトナー1の構成条件を表1、表2、及び表3に示す。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A2分散液とし、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B2分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2を得た。得られたトナー2の体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
樹脂微粒子A2分散液の使用量を125部とし、架橋樹脂微粒子B2分散液の使用量を375部とした以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー3を得た。得られたトナー3の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
樹脂微粒子A2分散液の使用を止め、架橋樹脂微粒子B2分散液の使用量を500部とした以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー4を得た。得られたトナー4の体積基準のメジアン径は5.8μmであった。
樹脂微粒子A2分散液の使用量を475部とし、架橋樹脂微粒子B2分散液の使用量を25部とした以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー5を得た。得られたトナー5の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
脂肪族炭化水素微粒子分散液の使用を止めた以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー6を得た。得られたトナー6の体積基準のメジアン径は5.2μmであった。
脂肪族炭化水素微粒子分散液の使用を止め、かつ、シリコーンオイル乳化液の使用を止めた以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー7を得た。得られたトナー7の体積基準のメジアン径は5.4μmであった。
架橋樹脂微粒子B2分散液を架橋樹脂微粒子B3分散液に変更した以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー8を得た。得られたトナー8の体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
架橋樹脂微粒子B2分散液を架橋樹脂微粒子B4分散液に変更した以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー9を得た。得られたトナー9の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
架橋樹脂微粒子B2分散液を架橋樹脂微粒子B5分散液に変更した以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー10を得た。得られたトナー10の体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A3分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B6分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー11を得た。得られたトナー11の体積基準のメジアン径は7.8μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A4分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B7分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー12を得た。得られたトナー12の体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A5分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B8分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー13を得た。得られたトナー13の体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A6分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B9分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー14を得た。得られたトナー14の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A7分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B10分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー15を得た。得られたトナー15の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を使用せず、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B11分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー16を得た。得られたトナー16の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
樹脂微粒子A2分散液の使用量を487.5部に変更し、架橋樹脂微粒子B2分散液を架橋樹脂微粒子B12分散液に変更し、その使用量を12.5部に変更した以外は、トナー2の製造例と同様にして、トナー17を得た。得られたトナー17の体積基準のメジアン径は5.4μmであった。
架橋樹脂微粒子B6分散液を使用しなかった以外は、トナー11の製造例と同様にして、比較トナー1を得た。得られた比較トナー1の体積基準のメジアン径は7.6μmであった。
架橋樹脂微粒子B6分散液を、樹脂微粒子B6分散液(架橋樹脂微粒子B6分散液の製造例において、架橋処理前の、樹脂微粒子B6の濃度20%水系分散液)に変更した以外は、トナー11の製造例と同様にして、比較トナー2を得た。得られた比較トナー2の体積基準のメジアン径は7.8μmであった。
架橋樹脂微粒子B6分散液を架橋樹脂微粒子B13分散液に変更した以外は、トナー11の製造例と同様にして、比較トナー3を得た。得られた比較トナー3の体積基準のメジアン径は8.2μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A8分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を
架橋樹脂微粒子B14分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、比較トナー4を得た。得られた比較トナー4の体積基準のメジアン径は6.2μmであった。
樹脂微粒子A1分散液を樹脂微粒子A9分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B1分散液を架橋樹脂微粒子B15分散液に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、比較トナー5を得た。得られた比較トナー5の体積基準のメジアン径は5.5μmであった。
・樹脂微粒子A10分散液 375部
・架橋樹脂微粒子B16分散液 125部
・着色剤微粒子分散液 80部
・脂肪族炭化水素微粒子分散液 50部
・イオン交換水 310部
上記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した後、10%硫酸マグネシウム水溶液60部を添加した。続いてホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5000r/minで10分間分散した。
その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで73℃まで加熱した。
73℃で20分間保持した後、形成された凝集体粒子の体積基準のメジアン径が約6.0μmであることを確認した。
上記凝集体粒子を含む分散液に、5%エチレンジアミン4酢酸ナトリウム水溶液340部を追加した後、攪拌を継続しながら、98℃まで加熱した。そして、98℃で1時間保持することで凝集体粒子を融合させた。
その後、25℃まで冷却し、ろ過及び固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。
洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、体積基準のメジアン径が5.4μmの比較トナー粒子6を得た。
100部の比較トナー粒子6に対して、一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水化処理されたシリカ微粒子1.5部、及び、1次粒子の個数平均粒径が100nmの疎水化処理されたシリカ微粒子2.5部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山製)で乾式混合して比較トナー6を得た。
樹脂微粒子A10分散液を樹脂微粒子A11分散液に変更し、架橋樹脂微粒子B16分散液を使用しなかった以外は、比較トナー6の製造例と同様にして、比較トナー7を得た。得られた比較トナー7の体積基準のメジアン径は5.4μmであった。
トナー1~17及び比較トナー1~7を用いて、下記の評価試験を行った。評価結果を表4-1及び表4-2に示す。なお、以下、実施例10は、参考例10とする。
トナーと、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が8質量%になるように混合し、二成分現像剤を調製した。
市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン社製)を使用し、受像紙(64g/m2)上に未定着のトナー画像(0.75mg/cm2)を形成した。
市販のフルカラーデジタル複写機(imageRUNNER ADVANCE C5051、キヤノン製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着のトナー画像の定着試験を行った。
室温15℃湿度10%RHの環境下で、プロセススピードを357mm/秒に設定し、
上記未定着のトナー画像を定着させたときの様子を目視にて評価した。
A:140℃以下の温度で定着が可能
B:140℃より高く、150℃以下の温度で定着が可能
C:150℃より高い温度で定着が可能、又は定着可能な温度領域がない
「低温定着性の評価」で調製した二成分現像剤を使用した。
評価には市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン社製)を使用し、受像紙(64g/m2)上に未定着のトナー画像(0.1mg/cm2)を形成した。
市販のフルカラーデジタル複写機(imageRUNNER ADVANCE C5051、キヤノン製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着のトナー画像の定着試験を行った。
室温23℃湿度5%RH環境下で、プロセススピードを357mm/秒に設定し、上記未定着のトナー画像を定着させたときの様子を目視にて評価した。具体的には、上記条件において定着を試みたトナーの定着ローラーへの付着の有無によってホットオフセットの発生を判断した。
A:160℃より高い温度でホットオフセットが発生、又はホットオフセットが200℃まで発生せず
B:140℃より高く、160℃以下の温度でホットオフセットが発生
C:130℃より高く、140℃以下の温度でホットオフセットが発生
D:130℃以下の温度でホットオフセットが発生
トナー0.01gをアルミニウム製パンに計量し、スコロトロン帯電装置を用いて-600Vに帯電させた。続いて、温度30℃湿度80%RHの雰囲気下で表面電位計(トレックジャパン製 model347)を用いて表面電位の変化挙動を30分間測定した。
測定した結果より、電荷保持率を以下の式より算出した。該電荷保持率に基づき帯電保持性を評価した。
30分後の電荷保持率(%)=(30分後の表面電位/初期表面電位)×100
A:電荷保持率が90%以上
B:電荷保持率が50%以上90%未満
C:電荷保持率が10%以上50%未満
D:電荷保持率が10%未満
トナーを、温度50℃湿度50%RHの恒温恒湿槽中で3日静置し、目視によりブロッキングの程度を評価した。
A:ブロッキングが発生しないか、ブロッキングが発生しても軽い振動により容易に分散する
B:ブロッキングが発生するが、振動し続けると分散する
C:ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない
「低温定着性の評価」と同様の手法でトナーを定着させた。そして、定着温度155℃における定着物に対し、消しゴム(製品名:MONO、トンボ鉛筆社製)を用いて消去耐性を試験した。
A:消しゴムで消去されず
B:消しゴムで消去することで画像の濃度が低下する
C:消しゴムで消去される
低温定着性の評価法と同様の手法でトナーを定着させた。そして、定着温度140℃における60°光沢を、光沢度計(製品名:VG7000、製造元日本電色工業株式会社)を用いて測定した。
A:光沢10以上
B:光沢5以上10未満
C:光沢5未満又は140℃で定着ができない
表中のXは「樹脂成分中の不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体の含有量(質量%)」を、Yは「樹脂成分100質量部に対する脂肪族炭化水素の質量部数」を、Zは「樹脂成分100質量部に対するシリコーンオイルの質量部数」をそれぞれ示す。
Claims (15)
- 樹脂成分を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該樹脂成分が、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、架橋体を含有し、
該架橋体は、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂中の不飽和結合の反応物であり、
該エステル基含有オレフィン系共重合体が、
下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、
下記式(2)で示されるモノマーユニット及び下記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2と
を有し、
該樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体の含有量が、該樹脂成分の全質量に対して、50質量%以上であり、
該モノマーユニットY2の含有量が、該エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であり、
該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が、ポリブタジエンであることを特徴とするトナー。
- 前記エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量をWとし、
前記式(1)で示されるモノマーユニットの質量をlとし、
前記式(2)で示されるモノマーユニットの質量をmとし、
前記式(3)で示されるモノマーユニットの質量をnとしたときに、
前記樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体における、(l+m+n)/Wの値は、0.80以上である、請求項1に記載のトナー。 - 前記不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の架橋体の含有量が、樹脂成分の全質量に対して、1.0質量%以上8.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記ポリブタジエンの重量平均分子量が、10000以上300000以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記ポリブタジエンが、1,2-ポリブタジエン構造を有し、
該ポリブタジエン中の該1,2-ポリブタジエン構造の含有割合が、70質量%以上であり、
該1,2-ポリブタジエン構造中、50質量%以上がシンジオタクチック構造体である、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記ポリブタジエンの融点が、60℃以上80℃以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記樹脂成分が、エチレン-メタクリル酸共重合体及びエチレン-アクリル酸共重合体の少なくとも一方をさらに含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記エステル基含有オレフィン系共重合体が、
120℃以上160℃以下の軟化点を有するエステル基含有オレフィン系共重合体A、及び、70℃以上100℃以下の軟化点を有するエステル基含有オレフィン系共重合体Bを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記トナー粒子は、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素を含有し、
該脂肪族炭化水素の含有量が、前記樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記トナー粒子は、シリコーンオイルを含有し、
該シリコーンオイルの含有量は、前記樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記エステル基含有オレフィン系共重合体が、エチレン-酢酸ビニル共重合体である、請求項1~10のいずれか1項に記載のトナー。
- 樹脂成分を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該樹脂成分が、エステル基含有オレフィン系共重合体、及び、架橋体を含有し、
該架橋体は、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が、該不飽和結合の反応により架橋されたものであり、
該樹脂成分を生成する樹脂微粒子が水系媒体に分散された、樹脂微粒子分散液を調製する調製工程を含み、
該樹脂微粒子分散液を調製する調製工程の後に、
該樹脂微粒子を凝集して凝集体粒子を形成する凝集工程、及び、
該凝集体粒子を加熱して融合する融合工程をさらに有し、
該樹脂微粒子分散液を調製する調製工程から該凝集工程までの間に、該樹脂微粒子中に存在する該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を、架橋剤を用いて架橋する架橋工程を含み、
該エステル基含有オレフィン系共重合体が、
下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、
下記式(2)で示されるモノマーユニット及び下記式(3)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーユニットY2と
を有し、
該樹脂成分に含まれる該エステル基含有オレフィン系共重合体の含有量が、該樹脂成分の全質量に対して50質量%以上であり、
該モノマーユニットY2の含有量が、該エステル基含有オレフィン系共重合体の全質量に対して、3質量%以上35質量%以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
- 前記エステル基含有オレフィン系共重合体が、エチレン-酢酸ビニル共重合体であり、前記不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂が、ポリブタジエンである、請求項12に記載のトナーの製造方法。
- 前記樹脂微粒子が、
樹脂微粒子A及び樹脂微粒子Bを含み、
該樹脂微粒子Aはエステル基含有オレフィン系共重合体を含有し、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を含有せず、
該樹脂微粒子Bは、エステル基含有オレフィン系共重合体及び不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を含有し、該樹脂微粒子Bの体積基準のメジアン径が50nm以上1000nm以下であり、
前記架橋工程が、前記樹脂微粒子分散液を調製する調製工程終了後から前記凝集工程開始までの間に、前記架橋剤を用いて、該樹脂微粒子B中に存在する該不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂を架橋する工程であり、
前記凝集工程が、樹脂微粒子A及び該架橋工程を経た樹脂微粒子Bを凝集して凝集体粒子を形成する工程である、請求項12又は13に記載のトナーの製造方法。 - 前記樹脂微粒子B中の不飽和結合を有する脂肪族炭化水素樹脂の含有量が、該樹脂微粒子Bを構成する樹脂全量に対して、5質量%以上20質量%以下である、請求項14に記載のトナーの製造方法。
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