JP7075591B2 - 現像ローラ - Google Patents
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Description
また、単層のローラ本体の外周面に紫外線を照射する等して酸化膜を形成する場合もある(特許文献1等参照)。
レーザープリンタ等の画像形成装置の画像評価基準の一つとして、黒ベタ濃度と2dot濃度が知られている。
黒ベタ濃度とは、紙面の全面が黒である、いわゆる黒ベタの画像の濃度であり、黒ベタ濃度が高いほど、コントラストの高い画像を形成することができる。
ところが、この2つの画像濃度は相反関係にあり、両立が困難である。
すなわち、黒ベタ濃度は、現像ローラのローラ抵抗値を低くするほど高くなるが、2dot濃度は、現像ローラのローラ抵抗値が高いほど高くなる傾向があり、従来の単層構造の現像ローラでは、この2つの相反する特性を両立することは困難である。
すなわち黒ベタ濃度は、ローラ本体の表面付近の抵抗値と関係しており、表面付近の抵抗値を低くすれば、黒ベタ濃度を向上することができる。
そのため、
・ ローラ本体を、いずれも弾性材料からなる内層と外層の2層を含む構造とし、
・ このうち外層は、ローラ本体の表面付近の抵抗値を、黒ベタ濃度を向上しうる範囲に調整するために低抵抗の状態とし、なおかつ
・ その下の内層は、外層と合わせたローラ本体の全体でのローラ抵抗値を、2dot濃度を向上しうる範囲に調整するために高抵抗の状態とすれば、
黒ベタ濃度と2dot濃度を両立させることができる。
この課題は、発明者の検討によると、内層と外層の抵抗値の範囲の設定を変更することと、内層を、特許文献2に記載の電子導電性配合から、ゴムとしてエピクロルヒドリンゴムを用いたイオン導電性配合に変更することで、ある程度は低減できる。
前記内層は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)と、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、およびスチレンブタジエンゴム(SBR)からなる群より選ばれた少なくとも1種と、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)とを含むゴムと、イオン導電剤とを含むゴム組成物の架橋物からなり、
前記ローラ本体の全体でのローラ抵抗値R1(Ω、400V印加時)、ならびに前記内層のみの状態でのローラ抵抗値R2(Ω、400V印加時)は、式(1):
0.1≦logR2-logR1≦1.0 (1)
および式(2):
6.5≦logR2≦8.5 (2)
をともに満足する現像ローラである。
内層は、NBRと、IR、BR、およびSBRからなる群より選ばれた少なくとも1種と、EPDMとを含むゴムと、イオン導電剤とを含むゴム組成物の架橋物からなり、
ローラ本体の全体でのローラ抵抗値R1(Ω、400V印加時)、ならびに内層のみの状態でのローラ抵抗値R2(Ω、400V印加時)は、式(1):
0.1≦logR2-logR1≦1.0 (1)
および式(2):
6.5≦logR2≦8.5 (2)
をともに満足することを特徴とするものである。
そのため、ローラ抵抗値R1、R2を式(1)(2)を満足する範囲に設定することと相まって、黒ベタ濃度と2dot濃度の両方を同時に向上して、コントラストおよび細線の再現性の両方に優れた、良好な画像を形成することができる。
これらのことは、後述する実施例、比較例、従来例の結果からも明らかである。
図1(a)は、本発明の現像ローラの一例の、全体の外観を示す斜視図、図1(b)は、上記例の現像ローラの端面図である。
内層2の中心の通孔6には、シャフト7が挿通されて固定されている。
シャフト7は、良導電性の材料、たとえば、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属などによって一体に形成されている。
また、この両法を併用して、シャフト7を、ローラ本体5と電気的に接合し、かつ機械的に固定してもよい。
酸化膜9を形成することにより、当該酸化膜9を誘電層として機能させて、現像ローラ1の誘電正接tanδを低減することができ、また酸化膜9を低摩擦層として機能させて、トナーの付着を良好に抑制することもできる。
ただし、酸化膜9は省略してもよい。
内層2、外層4は、それぞれの構造を簡略化し、かつ耐久性等を向上するため、いずれも非多孔質の単層に形成するのが好ましい。
またローラ本体5の「2層」も、内層2と外層4の、ともに弾性材料からなる層の数が2層であることを指し、いずれの場合も、紫外線の照射等によって形成される酸化膜9は層数に含まないこととする。
本発明において、ローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1(Ω、400V印加時)、ならびに内層2のみの状態でのローラ抵抗値R2(Ω、400V印加時)が、それぞれ前述した式(1)(2)を満足する範囲に限定されるのは、下記の理由による。
そのため、黒ベタ濃度が不足して画像のコントラストが低下する。
また差logR2-logR1が1.0を超える場合には、ローラ本体5の表面付近の抵抗値が低くなりすぎて、たとえば、画像に、過電流による画像不良等を生じたりしやすくなる。
そのため、2dot濃度が不足し、画像中の細線の再現性が低下して画像にかすれ等を生じやすくなる。
これに対し、ローラ抵抗値R1、R2を、それぞれ式(1)(2)を満足する範囲とすることにより、黒ベタ濃度と2dot濃度の両方を同時に向上して、コントラストおよび細線の再現性の両方を向上することができる。
したがって、コントラストおよび細線の再現性の両方に優れる上、横方向に隣接する画像の濃度に依存した濃度のムラのない良好な画像を形成することができる。
〈ローラ抵抗値測定〉
図2は、ローラ本体の全体や内層のローラ抵抗値を測定する方法を説明する図である。
図1、図2を参照して、まず一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム10を用意し、用意したアルミニウムドラム10の外周面11に、上方から、外層4を形成する前の内層2の外周面3、またはローラ本体5の外周面8を接触させる。
直流電源12は、(-)側をシャフト7、(+)側を抵抗13と接続し、抵抗13の抵抗値rは100Ωとする。
次いで、シャフト7の両端部にそれぞれ450gの荷重Fをかけて、ローラ本体5または内層2をアルミニウムドラム10に圧接させた状態で、アルミニウムドラム10を40rpmで回転させる。
検出電圧Vと印加電圧E(=400V)とから、ローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1、または内層2のローラ抵抗値R2(下記式では「R」と総称する)は、基本的に式(i′):
R=r×E/V-r (i′)
によって求められる。ただし式(i′)中の-rの項は微小とみなすことができるため、本発明では式(i):
R=r×E/V (i)
によって求めた値でもって、ローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1、または内層2のローラ抵抗値R2とする。
内層2は、前述したように、NBRと、IR、BR、およびSBRからなる群より選ばれた少なくとも1種と、EPDMとを含むゴムと、イオン導電剤とを含むことでイオン導電性が付与されたゴム組成物の架橋物によって形成される。
〈NBR〉
NBRとしては、アクリロニトリル含量が24%以下である低ニトリルNBR、25~30%である中ニトリルNBR、31~35%である中高ニトリルNBR、36~42%である高ニトリルNBR、43%以上である極高ニトリルNBRが、いずれも使用可能である。
これらNBRの1種または2種以上を用いることができる。
NBRを含むジエン系ゴムは、ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、内層2の機械的強度や耐久性等を向上したり、あるいは内層2にゴムとしての良好な特性、すなわち柔
軟で、しかも圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくい特性を付与したりするために機能する。
・ IR
IRとしては、天然ゴムの構造を人工的に再現した、ポリイソプレン構造を有する種々のIRがいずれも使用可能である。
これらIRの1種または2種以上を用いることができる。
・ BR
BRとしては、分子中にポリブタジエン構造を備え、架橋性を有する種々のBRがいずれも使用可能である。
またBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、やはり感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのBRを用いるのが好ましい。
・SBR
SBRとしては、スチレンと1,3-ブタジエンとを、乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々のSBRが、いずれも使用可能である。
またSBRとしては、スチレン含量によって分類される高スチレンタイプ、中スチレンタイプ、および低スチレンタイプのSBRがあるが、このいずれも使用可能である。
さらにSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、やはり感光体等の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのSBRを用いるのが好ましい。
〈EPDM〉
EPDMとしては、エチレン、プロピレン、およびジエンを共重合させた種々の共重合体を用いることができる。
またEPDMとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、やはり感光体等の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのEPDMを用いるのが好ましい。
(ゴムの割合)
上記各ゴムの割合は、内層2に求められる各種の特性、とくにローラ抵抗値R2や内層2の柔軟性等に応じて任意に設定できる。
ただしNBRの割合は、ゴムの総量100質量部中の30質量部以上であるのが好ましく、60質量部以下であるのが好ましい。
一方、NBRの割合が上記の範囲を超える場合には、相対的に、IR、BR、およびSBRからなる群より選ばれた少なくとも1種の、非極性で高抵抗のジエン系ゴムの割合が少なくなる。
そして、2dot濃度が不足し、画像中の細線の再現性が低下して画像にかすれ等を生じやすくなる場合がある。
これに対し、NBRの割合を上記の範囲とすることにより、ジエン系ゴムおよびEPDMを併用することによる上記の効果を維持しながら、内層2の抵抗値R2を式(2)の範囲に調整することができる。
EPDMの割合がこの範囲未満では、当該EPDMを併用することによる上述した効果が不十分になって、内層2の耐光性、耐オゾン性、耐候性等が低下する場合がある。
一方、EPDMの割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にNBRの割合が少なくなって、ローラ抵抗値R2が前述した式(2)の範囲を超える場合がある。
非極性のジエン系ゴムの割合は、NBR、およびEPDMの残量である。
すなわちNBRとEPDMの割合をそれぞれ前述した範囲内の所定値に設定した際にゴムの総量が100質量部となるように、非極性のジエン系ゴムの割合を設定すればよい。
イオン導電剤としては、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンと、陽イオンとの塩(イオン塩)が好ましい。
イオン導電剤を配合することにより、ゴム組成物のイオン導電性をさらに向上して、内層2のローラ抵抗値R2をより一層低下できる。
このうちフルオロアルキルスルホン酸イオンとしては、たとえば、CF3SO3 -、C4F9SO3 -等の1種または2種以上が挙げられる。
また陽イオンとしては、たとえば、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族元素のイオン、遷移元素のイオン、両性元素の陽イオン、第4級アンモニウムイオン、イミダゾリウム陽イオン等の1種または2種以上が挙げられる。
中でも、ゴム組成物のイオン導電性を向上して内層2のローラ抵抗値R2を低下させる効果の点で、(CF3SO2)2NLi〔リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドLi-TFSI〕、および/または(CF3SO2)2NK〔カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、K-TFSI〕が好ましい。
イオン導電剤の割合がこの範囲未満では、内層2のみの状態でのローラ抵抗値R2が前述した式(2)の範囲を超えてしまい、画像に、用紙の通紙方向と直交する横方向に隣接する画像の濃度に依存した濃度のムラを生じやすくなる。
そのため、2dot濃度が不足し、画像中の細線の再現性が低下して画像にかすれ等を生じやすくなる。
〈架橋成分〉
内層2用のゴム組成物には、ゴムを架橋させるための架橋成分を配合する。
架橋成分としては、ゴムを架橋させるための架橋剤と、当該架橋剤によるゴムの架橋を促進するための架橋促進剤とを併用するのが好ましい。
(硫黄系架橋剤)
硫黄系架橋剤としては、たとえば、粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄や、あるいはテトラメチルチウラムジスルフィド、N,N-ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物などが挙げられ、とくに硫黄が好ましい。
なお、たとえば、硫黄としてオイル処理粉末硫黄、分散性硫黄等を使用する場合、上記の割合は、それぞれの中に含まれる有効成分としての硫黄自体の割合とする。
(架橋促進剤)
ゴムの架橋を促進するための架橋促進剤としては、たとえば、チウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、チオウレア系促進剤、グアニジン系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
チウラム系促進剤としては、たとえば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の1種または2種以上が挙げられ、とくにテトラメチルチウラムモノスルフィドが好ましい。
また、チアゾール系促進剤の割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.3質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
内層2用のゴム組成物には、さらに充填剤としてカーボンブラックを配合してもよい。
カーボンブラックを配合することにより、現像ローラの機械的強度等を向上できる。
カーボンブラックとしては、たとえば、SAF、ISAF、HAF、FEF等が挙げられる。
導電性カーボンブラックとしては、たとえば、アセチレンブラック等が挙げられる。
カーボンブラックの割合は、ゴムの総量100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、25質量部以下であるのが好ましい。
内層2用のゴム組成物には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、たとえば、架橋促進助剤、可塑剤、加工助剤等が挙げられる。
このうち架橋促進助剤としては、たとえば、酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
可塑剤としては、たとえば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられ、加工助剤としては、たとえば、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。
また添加剤としては、さらにカーボンブラック以外の他の充填剤、劣化防止剤、スコーチ防止剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等の各種添加剤を、任意の割合で配合してもよい。
以上で説明した各成分を含む、内層2用のゴム組成物は、従来同様に調製することができる。
まずゴムを素練りし、次いで、架橋成分以外の各成分を加えて混練した後、最後に架橋成分を加えて混練することで、内層2用のゴム組成物が得られる。
《外層4用のゴム組成物》
外層4は、内層2と組み合わせることで、ローラ本体の全体でのローラ抵抗値R1を前述した範囲に調整できる、種々の弾性材料によって形成することができる。
とくに外層4は、エピクロルヒドリンゴム、およびジエン系ゴムを含むゴム組成物の架橋物によって形成するのが好ましい。
エピクロルヒドリンゴムとしては、たとえば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル四元共重合体等が挙げられる。
ECOおよび/またはGECOにおけるエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、とくに50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
しかし、エチレンオキサイド含量がこの範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、外層4の抵抗値を十分に低下できない場合がある。
一方、エチレンオキサイド含量が上記の範囲を超える場合には、エチレンオキサイドの結晶化が起こり、分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、却って外層4の抵抗値が上昇する傾向がある。
ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量の残量である。
すなわち、エピクロルヒドリン含量は20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、とくに50モル%以下であるのが好ましい。
アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として、自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、外層4の抵抗値を低下させる働きをする。
一方、アリルグリシジルエーテルは、GECOの架橋時に架橋点として機能する。
そのため、アリルグリシジルエーテル含量が上記の範囲を超える場合には、GECOの架橋密度が高くなりすぎることによって分子鎖のセグメント運動が妨げられて、却って外層4の抵抗値が上昇する傾向がある。
すなわち、エピクロルヒドリン含量は10モル%以上、とくに19.5モル%以上であるのが好ましく、69.5モル%以下、とくに60モル%以下であるのが好ましい。
なおGECOとしては、先に説明した3種の単量体を共重合させた、狭義の意味での共重合体の他に、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られている。
エピクロルヒドリンゴムとしては、とくにGECOが好ましい。
GECOは、アリルグリシジルエーテルに起因して、主鎖中に、架橋点として機能する二重結合を有するため、主鎖間での架橋によって、架橋後の圧縮永久ひずみを小さくすることができる。
これらエピクロルヒドリンゴムの1種または2種以上を用いることができる。
〈ジエン系ゴム〉
ジエン系ゴムは、ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、外層4の機械的強度や耐久性等を向上したり、あるいは外層4にゴムとしての良好な特性を付与したりするために機能する。
ジエン系ゴムとしては、たとえば、天然ゴム、IR、NBR、SBR、BR、CR等が挙げられる。
中でも、ジエン系ゴムとしては非極性のジエン系ゴム、具体的にはIR、BR、およびSBRの3種のうちの少なくとも1種、とくにSBRを用いるのが好ましい。
またジエン系ゴムとしては、さらにCRを配合してもよい。
CRは、前述したように極性を有するジエン系ゴムであるため、外層4自体の抵抗値、ひいてはローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1を微調整するために機能する。
(ゴムの割合)
ゴムの割合は、外層4に求められる、抵抗値や柔軟性等の各種の特性に応じて任意に設定できる。
エピクロルヒドリンゴムの割合がこの範囲未満では、外層4自体の抵抗値が高くなりすぎて、ローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1が高くなる傾向がある。
そして、差logR2-logR1が前述した式(1)の範囲を下回って、ローラ本体5の表面付近の抵抗値を、黒ベタ濃度を向上できる範囲まで十分に低下させることができなくなり、黒ベタ濃度が不足して画像のコントラストが低下する場合がある。
そして、差logR2-logR1が前述した式(1)の範囲を超え、ローラ本体の表面付近の抵抗値が低くなりすぎて、たとえば、画像に、過電流による画像不良等を生じやすくなる場合がある。
これに対し、エピクロルヒドリンゴムの割合を上記の範囲とすることにより、ジエン系ゴムを併用することによる上記の効果を維持しながら外層4の抵抗値を低下させて、差logR2-logR1を式(1)の範囲に調整することができる。
CRの割合がこの範囲未満では、CRを配合することによる前述した効果、すなわち、外層4自体の抵抗値、ひいてはローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1を微調整する効果が十分に得られない場合がある。
そして、差logR2-logR1が前述した式(1)の範囲を下回って、ローラ本体5の表面付近の抵抗値を、黒ベタ濃度を向上できる範囲まで十分に低下させることができなくなり、黒ベタ濃度が不足して画像のコントラストが低下する場合がある。
すなわちエピクロルヒドリンゴム、またはエピクロルヒドリンゴムとCRの割合をそれぞれ前述した範囲内の所定値に設定した際にゴムの総量が100質量部となるように、非極性のジエン系ゴムの割合を設定すればよい。
架橋成分としては、やはり架橋剤、架橋促進剤を組み合わせて用いるのが好ましく、架橋剤としては、内層2の場合と同様に硫黄系架橋剤、とくに硫黄が好ましい。
硫黄系架橋剤の割合は、内層2の場合と同程度とするのが好ましい。
また、硫黄系架橋剤と組み合わせる架橋促進剤としては、チウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、チオウレア系促進剤、およびグアニジン系促進剤の4種を併用するのが好ましい。
両架橋促進剤の割合も、内層2の場合と同程度とするのが好ましい。
チオウレア系促進剤としては、分子中にチオウレア構造を有する種々のチオウレア化合物が使用可能である。
(CnH2n+1NH)2C=S (3)
〔式中、nは1~12の整数を示す。〕で表されるチオウレア、テトラメチルチオウレア等の1種または2種以上が挙げられ、とくにエチレンチオウレアが好ましい。
グアニジン系促進剤としては、たとえば、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド等の1種または2種以上が挙げられ、とくに1,3-ジ-o-トリルグアニジンが好ましい。
なおチオウレア系促進剤は、硫黄架橋性を有しないECOの架橋剤、グアニジン系促進剤は、チオウレア系促進剤によるECOの架橋の促進剤としても機能する。
〈イオン導電剤〉
外層4用のゴム組成物には、さらにイオン導電剤を配合してもよい。
イオン導電剤としては、内層2で使用するのと同様の、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンと、陽イオンとの塩(イオン塩)が好ましい。
〈その他〉
外層4用のゴム組成物には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、たとえば、受酸剤等が挙げられる。
受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、中でも分散性に優れたハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、とくにハイドロタルサイト類が好ましい。
受酸剤の割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
さらに添加剤としては、内層2で使用するのと同様の添加剤、たとえば、架橋促進助剤、受酸剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、劣化防止剤、劣化防止剤、スコーチ防止剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等を配合してもよい。
〈ゴム組成物の調製〉
以上で説明した各成分を含む、外層4用のゴム組成物は、従来同様に調製することができる。
すなわち、まずゴムを素練りし、次いで架橋成分以外の各成分を加えて混練した後、最後に架橋成分を加えて混練することで、外層4用のゴム組成物が得られる。
《現像ローラ1の製造》
上記内層2用、および外層4用のゴム組成物を用いて、図1(a)(b)に示す現像ローラ1を製造するには、たとえば、両ゴム組成物を2層押出機に供給して、積層された2層構造の筒状に共押出成形したのち、全体を架橋させて内層2と外層4を形成する。
次いで、形成した内層2と外層4の積層体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却したのち所定の外径となるように研磨すると、上記積層体からなるローラ本体5が形成される。
また、外層4の厚みも任意に設定できるものの、0.1mm以上であるのが好ましく、2mm以下であるのが好ましい。
所定の抵抗値を有する外層4の厚みをこの範囲とすることで、所定のローラ抵抗値R2を有する内層2と組み合わせた際に、ローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1を、前述した範囲に調整することができる。
研磨方法としては、たとえば、乾式トラバース研磨等の種々の研磨方法が採用可能であり、研磨工程の最後に鏡面研磨をして仕上げてもよい。
シャフト7は、ローラ本体5のもとになる筒状体のカット後から研磨後までの任意の時点で、通孔6に挿通して固定できる。
また、シャフト7を中心として回転させながら研磨することで当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面8のフレを抑制できる。
前者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、当該シャフト7がローラ本体5に電気的に接合されるとともに機械的に固定される。
また、前述したように、この両法を併用して、シャフト7を、ローラ本体5と電気的に接合し、かつ機械的に固定してもよい。
酸化膜9は、先に説明したように、外層4の表面であるローラ本体5の外周面8に紫外線を照射して形成するのが好ましい。
しかも、紫外線の照射によって形成される酸化膜9は、たとえば、従来の、塗剤を塗布して形成されるコーティング膜のような問題を生じることがない上、厚みの均一性やローラ本体5との密着性等にも優れている。
また照射の時間は30秒間以上、とくに1分間以上であるのが好ましく、30分間以下、とくに20分間以下であるのが好ましい。
内層2と外層4の間には、任意の中間層を1層または2層以上介在させてもよい。
しかし、ローラ本体5の構造を簡略化することを考慮すると、当該ローラ本体5は、図1(a)(b)に示すように、内層2と外層4を直接に積層した2層構造とするのが好ましい。
〈内層2用のゴム組成物(A)〉
ゴムとしては、NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol(登録商標)DN3335、アクリロニトリル含量:33.0%、中高ニトリルNBR〕55質量部、IR〔日本ゼオン(株)製のNipol IR2200、非油展〕23質量部、およびEPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM 505A、エチレン含量:50%、ジエン含量:9.5%、非油展〕22質量部を用いた。
イオン塩:カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、三菱マテリアル電子化成(株)製のEF-N112、K-TFSI
架橋促進助剤:酸化亜鉛2種、堺化学工業(株)製
充填剤:カーボンブラックFEF、東海カーボン(株)製のシースト(登録商標)SO
加工助剤:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製のSZ-2000
次いで、混練を続けながら、下記の架橋成分を配合してさらに混練して、内層2用のゴム組成物(A)を調製した。
架橋剤:鶴見化学工業(株)製の金華印5%油入微粉硫黄
促進剤DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)DM、チアゾール系促進剤
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド、三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)TS、チウラム系促進剤
〈内層2用のゴム組成物(B)〉
NBRの量を35質量部、IRの量を43質量部としたこと以外はゴム組成物(A)と同様にして、内層2用のゴム組成物(B)を調製した。
NBRとして、低ニトリルNBR〔日本ゼオン(株)製のNipol DN401LL、アクリロニトリル含量:18.0%〕35質量部を用いるとともに、IRの量を43質量部としたこと以外はゴム組成物(A)と同様にして、内層2用のゴム組成物(C)を調製した。
NBRの量を55質量部、IRの量を23質量部としたこと以外はゴム組成物(C)と同様にして、内層2用のゴム組成物(D)を調製した。
〈内層2用のゴム組成物(E)〉
イオン塩の量を、ゴムの総量100質量部あたり0.8質量部としたこと以外はゴム組成物(A)と同様にして、内層2用のゴム組成物(E)を調製した。
IRに代えて、同量のSBR〔JSR(株)製のJSR 1502、非油展〕を用いたこと以外はゴム組成物(E)と同様にして、内層2用のゴム組成物(F)を調製した。
〈内層2用のゴム組成物(G)〉
IRの量を10質量部、EPDMの量を35質量部としたこと以外はゴム組成物(A)と同様にして、内層2用のゴム組成物(G)を調製した。
ゴムとしては、GECO〔(株)大阪ソーダ製のエピオン(登録商標)301L、EO/EP/AGE=73/23/4(モル比)〕12.5質量部、IR〔日本ゼオン(株)製のNipol IR2200、非油展〕41.25質量部、BR〔宇部興産(株)製のUBEPOL(登録商標)BR130B、非油展〕41.25質量部、およびCR〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT、非油展〕5質量部を用いた。
イオン塩:カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、三菱マテリアル電子化成(株)製のEF-N112、K-TFSI
架橋促進助剤:酸化亜鉛2種、堺化学工業(株)製
充填剤:カーボンブラックFEF、東海カーボン(株)製のシーストSO
受酸剤:ハイドロタルサイト類、協和化学工業(株)製のDHT-4A(登録商標)-2
加工助剤:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製のSZ-2000
次いで、混練を続けながら、下記の架橋成分を配合してさらに混練して、内層2用のゴム組成物(A)を調製した。
架橋剤:鶴見化学工業(株)製の金華印5%油入微粉硫黄
促進剤DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM、チアゾール系促進剤
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド、三新化学工業(株)製のサンセラーTS、チウラム系促進剤
促進剤22:エチレンチオウレア〔川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22-S、2-メルカプトイミダゾリン〕
促進剤DT:1,3-ジ-o-トリルグアニジン〔三新化学工業(株)製のサンセラーDT、グアニジン系促進剤〕
〈内層2用のゴム組成物(J)〉
GECOの量を15質量部、IRの量を40質量部、BRの量を40質量部としたこと以外はゴム組成物(H)と同様にして、内層2用のゴム組成物(J)を調製した。
GECOの量を20質量部、IRの量を37.5質量部、BRの量を37.5質量部としたこと以外はゴム組成物(H)と同様にして、内層2用のゴム組成物(K)を調製した。
〈内層2のローラ抵抗値R2の測定〉
内層2用のゴム組成物(A)~(F)を、外径φ16mm、内径φ6.5mmの筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
次いで、筒状体の両端を整形するとともに、外周面3を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち仕上げとして鏡面研磨して外径φ16mmになるように仕上げ、さらに水洗いして、シャフト7と一体化された、内層2のみの状態のサンプルを作製した。
〈外層4用のゴム組成物(I)〉
ゴムとしては、GECO〔(株)大阪ソーダ製のエピオン301L、EO/EP/AGE=73/23/4(モル比)〕12質量部、SBR〔JSR(株)製のJSR 1502、非油展〕78質量部、およびCR〔昭和電工(株)製のショウプレンWRT、非油展〕10質量部を用いた。
イオン塩:カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、三菱マテリアル電子化成(株)製のEF-N112、K-TFSI
架橋促進助剤:酸化亜鉛2種、堺化学工業(株)製
充填剤:カーボンブラック(サーマルブラック)、旭カーボン(株)製の旭#15
受酸剤:ハイドロタルサイト類、協和化学工業(株)製のDHT-4A-2
加工助剤:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製のSZ-2000
次いで、混練を続けながら、下記の架橋成分を配合してさらに混練して、外層4用のゴム組成物(I)を調製した。
架橋剤:鶴見化学工業(株)製の金華印5%油入微粉硫黄
促進剤DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM、チアゾール系促進剤
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド、三新化学工業(株)製のサンセラーTS、チウラム系促進剤
促進剤22:エチレンチオウレア〔川口化学工業(株)製のアクセル22-S、2-メルカプトイミダゾリン〕
促進剤DT:1,3-ジ-o-トリルグアニジン〔三新化学工業(株)製のサンセラーDT、グアニジン系促進剤〕
〈外層4用のゴム組成物(II)〉
GECOの量を30質量部、SBRの量を60質量部としたこと以外はゴム組成物(I)と同様にして、外層4用のゴム組成物(II)を調製した。
GECOの量を20質量部、SBRの量を70質量部としたこと以外はゴム組成物(I)と同様にして、外層4用のゴム組成物(III)を調製した。
〈外層4用のゴム組成物(IV)〉
GECOの量を15質量部、SBRの量を75質量部としたこと以外はゴム組成物(I)と同様にして、外層4用のゴム組成物(IV)を調製した。
GECOの量を12質量部、SBRの量を78質量部としたこと以外はゴム組成物(I)と同様にして、外層4用のゴム組成物(V)を調製した。
〈実施例1~6、比較例1~8〉
内層2用のゴム組成物(A)~(K)、および外層4用のゴム組成物(I)~(V)を、表7~表9に示す組み合わせで2層押出機に供給して、外径φ16mm、内径φ6.5mm、内層2のもとになる筒状体の厚み3.5mmの、2層構造の筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
次いで、筒状体の両端を整形するとともに、外周面8を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち仕上げとして鏡面研磨して外径φ16mmになるように仕上げて、内層2と外層4の2層構造を有し、シャフト7と一体化されたローラ本体5を形成した。
次いで、形成したローラ本体5の外周面8をアルコール拭きしたのち、当該外周面8からUVランプまでの距離が50mmになるように設定して紫外線照射装置〔セン特殊光源(株)製のPL21-200〕にセットした。
そして、シャフトを中心として90°ずつ回転させながら、波長184.9nmと253.7nmの紫外線を15分間ずつ照射することで上記外周面8に酸化膜9を形成して、現像ローラ1を製造した。
外層4用のゴム組成物(II)~(V)を単独で用いて、外径φ16mm、内径φ6mmの筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
次いで、架橋させた筒状体を、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ7.5mmの金属製のシャフト7に装着し直して、オーブン中で160℃に加熱してシャフト7に接着させた。
次いで、形成したローラ本体の外周面をアルコール拭きしたのち、当該外周面からUVランプまでの距離が50mmになるように設定して紫外線照射装置〔セン特殊光源(株)製のPL21-200〕にセットした。
上記各実施例、比較例、従来例で製造した現像ローラ1について、下記の各試験を実施してその特性を評価した。
製造した現像ローラ1の、ローラ本体5の全体でのローラ抵抗値R1(Ω、400V印加時)を、前述した測定方法によって測定した。
〈黒ベタ濃度の測定〉
製造した現像ローラを、レーザープリンタ〔ブラザー工業(株)製のHL-2240D〕に組み込んで温度23.5℃、相対湿度55%の環境下、普通紙に1%濃度の画像を連続的に30枚連続して画像形成した直後に、3cm角の黒ベタ画像を1枚画像形成した。
〈2dot濃度の測定〉
黒ベタ濃度と同様に、普通紙に1%濃度の画像を連続的に4000枚連続して画像形成した直後に、格子長約80μmの正方格子上に円が並んだ孤立2dot画像を1枚画像形成した。
〈濃度ムラの評価〉
黒ベタ濃度と同様に、普通紙に1%濃度の画像を連続的に4000枚連続して画像形成した直後に、3cm幅のハーフトーン部と、当該ハーフトーン部の、用紙の通紙方向と直交する横方向に5mmあけて隣接させて、3cm角の黒ベタ部を有する画像を1枚画像形成した。
〈耐久画像濃度の測定〉
現像ローラを、レーザープリンタ〔ブラザー工業(株)製のHL-2240D〕に組み込んで温度23.5℃、相対湿度55%の環境下、普通紙に1%濃度の画像を連続的に3000枚連続して画像形成した直後に、3cm角の黒ベタ画像を1枚画像形成した。
以上の結果を表7~表9に示す。
これに対し、表7~表9の実施例1~6、比較例1~8の結果より、ローラ抵抗値R1、R2が式(1)(2)を満足する内層2と外層4とを組み合わせることにより、黒ベタ濃度と2dot濃度の両方を同時に向上して、コントラストと細線の再現性の両方に優れた画像を形成できることが判った。
さらに実施例1~6、比較例3~8の結果より、内層2を、NBRとイオン導電剤とを含みイオン導電性が付与された層とすることにより、画像形成を繰り返しても、とくに黒ベタ部の画像濃度が低下するのを抑制できることも判った。
2 内層
3 外周面
4 外層
5 ローラ本体
6 通孔
7 シャフト
8 外周面
9 酸化膜
10 アルミニウムドラム
11 外周面
12 直流電源
13 抵抗
14 計測回路
F 荷重
V 検出電圧
Claims (3)
- ローラ本体を含み、前記ローラ本体は、弾性材料からなる筒状の内層、および前記内層の外周面に積層された、弾性材料からなる外層を含み、
前記内層は、アクリロニトリルブタジエンゴムと、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、およびスチレンブタジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種と、エチレンプロピレンジエンゴムとを含むゴムと、イオン導電剤とを含むゴム組成物の架橋物からなり、
前記ローラ本体の全体でのローラ抵抗値R1(Ω、400V印加時)、ならびに前記内層のみの状態でのローラ抵抗値R2(Ω、400V印加時)は、式(1):
0.1≦logR2-logR1≦1.0 (1)
および式(2):
6.5≦logR2≦8.5 (2)
をともに満足する現像ローラ。 - 前記ゴムは、前記アクリロニトリルブタジエンゴム、前記イソプレンゴム、および前記エチレンプロピレンジエンゴムの3種、または前記アクリロニトリルブタジエンゴム、前記スチレンブタジエンゴム、および前記エチレンプロピレンジエンゴムの3種である請求項1に記載の現像ローラ。
- 前記イオン導電剤は、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンと、陽イオンとの塩である請求項1または2に記載の現像ローラ。
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