JP7075262B2 - コアシェル粒子およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、コアシェル粒子に関する。具体的は、銀(Ag)を主成分とするAgコア粒子の表面に、パラジウム(Pd)を主成分とするPdシェルが形成されたコアシェル粒子に関する。
近年、種々の産業分野において、機能性の付与やコスト削減などの観点からコアシェル粒子が用いられている。例えば、導電ペーストや触媒などの分野においては、(Ag)を主成分とするAgコア粒子の表面に、パラジウム(Pd)を主成分とするPdシェルが形成されたコアシェル粒子の開発が進められている。特許文献1~2には、コアシェル粒子の製造方法の一例が開示されている。例えば、特許文献1には、塩化アンミン銀水溶液に還元剤を加えて銀粒子(Agコア粒子)を形成した後、銀粒子にパラジウム(Pdシェル)を被覆してパラジウム被覆銀粉(コアシェル粒子)を製造する方法が記載されている。
ところで、近年の電子部品の小型化や電極の薄層化などの要請に伴い、導電ペースト用の粉体材料に対して、粉体材料中の金属粒子の粒子径が小さく、かつ、シャープな粒度分布を有していることが求められている。このため、コアシェル粒子を導電ペースト用の粉体材料に使用する場合には、当該コアシェル粒子の粒子径をサブミクロン領域に制御することが重要視されている。
しかし、従来の方法でコアシェル粒子を製造すると、製造後のコアシェル粒子(一次粒子)同士の凝集や連結(ネッキング)が生じ、粒径の大きな凝集塊や連結(ネッキング)塊などの二次粒子が多量に形成されてしまうことがあった。かかる二次粒子は、複数の一次粒子同士がシェルによって固着されており、解砕できないほど強固であるため、コアシェル粒子を含む粉体材料の粒径はコアの粒径に比べて著しく大きくなり、かつ、粒径のばらつきが大きくなる原因になる。
例えば、特許文献1では、Agコア粒子(銀粉)の凝集を防止する技術が開示されているが、かかる技術ではPdシェルによる連結自体を抑制することが困難であるため、依然として巨大な二次粒子が形成される可能性があった。例えば、当該特許文献1には、平均粒子径が0.4μm程度のパラジウム被覆銀粉(コアシェル粒子)が形成されるという旨が記載されている。しかし、特許文献1に記載の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって評価されているため、一次粒子の粒子径を測定したものと考えられ、コアシェル粒子を含む粉体材料を実際に製造すると、複数の一次粒子が固着した二次粒子が多量に形成されてしまうという問題が生じていた。
一方、粉体材料に含まれる金属粒子の粒子径を小さくするための技術が非特許文献1に提示されている。かかる非特許文献1には、ポリビニルピロリドン(PVP:Polyvinylpyrrolidone)の存在下で金属粒子(Rh、Pdなど)を析出させることによって、表面がPVPによって保護された金属超微粒子を生成する技術が開示されている。このように、非特許文献1には、PVPが金属を微粒子として析出させる作用を有していることが示されている。
また、上述のPVPをコアシェル粒子の製造に用いる技術が非特許文献2、3に開示されている。例えば、非特許文献2では、先ず、硝酸銀とPVPとを溶解させた溶液を調製し、当該溶液からAgを析出させてAgコア粒子を生成している。そして、このAgコア粒子を含む分散液に硝酸パラジウムを溶解させた後に、Pdを析出させることによってAgコア粒子の表面にPdシェルを形成している。この非特許文献2では、かかる手順で得られたAg@Pd微粒子(コアシェル粒子)の平均粒径が約5.0nmである旨が記載されている。
特開平8-176605号公報 特許第5535507号
趙斌、戸嶋直樹、高分子論文集、Vol.46(1989)No.9、pp.551 第9回分子科学討論会講演要旨2P077 Nature nanotechnology,6,302(2011)Supplementary information
しかしながら、上述した非特許文献2、3に記載の技術を実際に用いると、微小なPd単独粒子が多量に形成され易くなるという問題が生じ得る。具体的には、非特許文献2、3において、FE-SEM、EDX元素マッピングによるAg元素とPd元素の分布状態を確認すると、Pd単独粒子が多量に形成されている。このようなPd単独粒子を多く含む粉体材料からコアシェル粒子のみを取り出すことは極めて困難であるため、上述した非特許文献2、3の方法を実際の製造工程に適用すると、製造後の粉体材料に含まれるコアシェル粒子の割合(コアシェル粒子の収率)が大きく低下するため、コアシェル粒子特有の特性が十分に発揮されなくなり、また、製造効率の低下を招く恐れがあった。
このように、微小なPd単独粒子が多量に生成される原因の一つとして、非特許文献1に示される通り、PVPが金属粒子を微粒子として析出させる作用を有していることが挙げられる。従って、コアシェル粒子のように膜状の金属(シェル)を析出させることが求められる場合には、非特許文献2、3のようなPVPを使用する技術は不適切であると考えられていた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、固着による二次粒子の形成を適切に抑制することによって、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に制御された粉体材料を効率良く得ることができる技術を提供する。
上述した目的を実現するべく、ここで開示されるコアシェル粒子が提供される。
ここで開示されるコアシェル粒子は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されている。そして、かかるコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している。
上述したように、コアシェル粒子を含む粉体材料を実際に製造する場合、非特許文献2、3のようにPVPを使用する技術は、微小なPd単独粒子が多く生成され、コアシェル粒子の収率が大きく低下するため不適切であると考えられていた。かかる現象の原因の一つとして、PVPが金属粒子を微粒子として析出させる作用を有していることが挙げられる(非特許文献1参照)。
しかし、本発明者は、一次粒子同士の固着による二次粒子の形成を適切に抑制するために、コアシェル粒子の製造に敢えてPVPを使用した上で、当該PVPの使用によるコアシェル粒子の収率低下を防止する技術を創作することを考えた。
そして、かかる着想に基づいて独自の検討を更に重ねた結果、本発明者は、PVP存在下でAgコア粒子を析出させた際に、当該Agコア粒子の表面にPVPが付着することによって、Agコア粒子の表面にPdシェルが析出し難くなることが上述のコアシェル粒子の収率低下の一因であることを見出した。
ここで開示されるコアシェル粒子は、かかる知見に基づいてなされたものであって、Agコア粒子の表面にPVPを付着させる従来技術と異なり、Agコア粒子表面にほとんどPVPを付着させることなく、Pdシェル生成時に当該Pdシェル表面にPVPを選択的に付着させている。これによって、Agコア粒子の表面に好適にPdシェルを析出させることができるため、PVP存在下にも関わらず微小なPd単独粒子の形成を防止して、コアシェル粒子の収率の低下を抑制することができる。
そして、ここで開示されるコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にPVPが付着しており、当該PVPによってコアシェル粒子の外表面が保護されている。このため、Pdシェルを介して複数のコアシェル粒子(一次粒子)同士が固着することを好適に抑制し、巨大な二次粒子が形成されることを適切に抑制できる。
なお、本明細書において「Pdシェルの表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している」とは、Agコア粒子の表面に比べてPdシェルの表面に優先的にPVPが付着していることを指し、典型的にはAgコア粒子の表面に実質的にPVPが付着していないことを包含する。
また、本発明の他の側面として、以下の構成の粉体材料が提供される。
ここで開示される粉体材料は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料である。
そして、かかる粉体材料では、動的光散乱法においてキュムラント法による解析を行うことによって測定されたZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μmであり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下である。
上述したように、Agコア粒子表面に実質的にPVPを付着させることなく、かつ、Pdシェルの表面にPVPが選択的に付着するように生成されたコアシェル粒子は、Pdシェルを介した固着による二次粒子の形成が適切に抑制される。このため、かかるコアシェル粒子を含む粉体材料は、含有するコアシェル粒子の粒子径が小さく、かつ、シャープな粒度分布を有している。具体的には、上述したコアシェル粒子を含む粉体材料は、動的光散乱法(DLS:Dynamic light scattering)においてキュムラント法による解析を行うことによって測定されるZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μmになり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下になる。かかる粉体材料は、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に好適に制御されているため、電子部品の小型化や電極の薄層化に大きく貢献することができる。
なお、本明細書においてDLSを用いて粒子径に関する指標(例えば、上記「Z平均粒子径(DDLS)」および「多分散指数(PDI)」)を測定する場合、測定用の分散媒には水、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、エチレングリコール(EG)、イソボロニルアセテート(IBA)などの所定の分散媒が用いられる。また、かかるDLSでの測定の際には、粉体材料中のコアシェル粒子の凝集、沈降を抑制するために種々の手段(例えば、適切な分散媒の選択、分散剤や増粘剤などの添加剤の使用、コアシェル粒子の表面改質、分散装置の使用など)を用いるとよい。なお、分散装置を使用する場合には、一次粒子の変形や破壊を防止するという観点から超音波分散装置を使用すると好ましい。
また、本発明によって得られる粉体材料は、以下のような特徴も有している。
ここで開示される粉体材料は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料である。
そして、かかる粉体材料では、動的光散乱法においてNNLS法による解析を行うことによって測定されるピーク粒径が0.1μm~1.5μmの範囲内であって、当該ピーク粒径のピーク強度が90%以上である。
上述した通り、Agコア粒子表面に実質的にPVPを付着させることなく、かつ、Pdシェルの表面にPVPが選択的に付着するようにコアシェル粒子が生成された粉体材料では、含有するコアシェル粒子の粒子径が小さく、かつ、シャープな粒度分布を有している。上記したように、かかる粉体材料に対して動的光散乱法を行い、キュムラント法で解析すると、Z平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μmになり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下になる。しかし、かかる粉体材料を特定するための解析方法は、上記キュムラント法に限定されず、DLSにおいてNNLS法(Nonnegative Least Squares Method)を用いることもできる。かかるNNLS法による解析を行うと、ピーク粒径が0.1μm~1.5μmの範囲内になり、かつ、当該ピーク粒径のピーク強度が90%以上になる。このような粉体材料は、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に好適に制御されているため、電子部品の小型化や電極の薄層化に大きく貢献することができる。
なお、本明細書における「ピーク粒径」および「ピーク粒径のピーク強度」は、上述したように、水、DMF、EG、IBAなどの所定の溶媒に、凝集や沈降させずに粉体材料を分散させた状態で測定を行うことによって得られる値である。
ここで開示される粉体材料の好ましい一態様では、コアシェル粒子の含有率が90%以上である。
上述した非特許文献2、3のように、Agコア粒子の表面にPVPを付着させると、微小な単独粒子が多量に形成されてしまい、コアシェル粒子の収率が低下する。これに対して、本発明では、Agコア粒子の表面に好適にPdシェルを析出させることができるため、微小な単独粒子の形成を防止して、コアシェル粒子の収率の低下を抑制できる。したがって、ここで開示される粉体材料には、高い含有率でコアシェル粒子が含まれている。具体的には、ここで開示される粉体材料では、PdやAgの単独粒子などを含む粉体材料全体に対するコアシェル粒子の含有率を90%以上(典型的には95%以上、例えば99%以上)にすることができる。
なお、この「コアシェル粒子の含有率」は、FE-SEM、エネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)を用いて、個々の粒子に対して粒子径(円相当径)を測定した後、元素マッピングによるコアシェル判定を実施し、粒子をすべて円相当径が直径の球と仮定して算出したものであり、全粒子に対するコアシェル粒子の体積基準の存在割合を示している。なお、ここでの「全粒子」とはコア成分および(又は)シェル成分を主成分とした全ての粒子を指す。また、かかる「コアシェル粒子の含有率」の測定は、複数の視野を観察して合計200個以上の粒子を評価したものである。
ここで開示される粉体材料の好ましい一態様では、コアシェル粒子の表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している。
上述した態様のように、Pdシェルの表面にPVPが選択的に付着したコアシェル粒子を生成することによって、サブミクロン領域に粒径が制御されたコアシェル粒子を高い収率で含む粉体材料を得ることができるが、このPVPはコアシェル粒子の生成後にPdシェルの表面から除去されていてもよい。但し、本態様のように、PVPをPdシェルの表面に付着させたままにした粉体材料は、導電ペーストを調製する際などに分散媒へ好適に分散させることができるため、電子部品や電極など材料としてより好適に使用することができる。
ここで開示される粉体材料の好ましい一態様では、BET比表面積から換算したBET粒子径(DBET)と、Z平均粒子径(DDLS)とが、下記の式(1)に示す関係を満たしている。
DLS/DBET≦10.0 (1)
粉体材料に含まれる粒子の粒子径を評価する種々の指標の内、DLS法によって測定されるZ平均粒子径(DDLS)は、固着によって巨大な二次粒子が形成されると増加する特性を有している。一方、BET比表面積から換算されるBET粒子径(DBET)は、Z平均粒子径(DDLS)と比べて上記固着の影響を受け難いという特性を有している。したがって、BET粒子径(DBET)に対するZ平均粒子径(DDLS)の割合(DDLS/DBET)が小さくなるほど、粉体材料に含まれる二次粒子が少ないと評価することができる。
そして、上記の式(1)のように、DDLS/DBETが10.0以下である本態様の粉体材料は、Pdシェルを介した固着による二次粒子の含有量が非常に少なく、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に好適に制御されている。
なお、本明細書における「DDLS/DBET」は、上述したように、水、DMF、EG、IBAなどの所定の溶媒に、凝集や沈降させずに粉体材料を分散させた状態で測定することによって得られる値である。
また、本発明の他の側面として、以下の導電ペーストが提供される。
ここで開示される導電ペーストは、上述した各態様に係る粉体材料を分散媒体に分散させた導電ペーストである。
上述したように、コアシェル粒子を含む粉体材料を分散媒体に分散させた導電ペーストは、電子部品や電極の形成などに好適に使用される。このとき、ここで開示される導電ペーストでは、粒子径がサブミクロン領域に制御されたコアシェル粒子を含む粉体材料が用いられているため、充分に薄層化された電極を好適に形成することができる。
また、本発明の他の側面として、以下の粉体材料の製造方法が提供される。
ここで開示される粉体材料の製造方法は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料を製造する方法である。
そして、かかる製造方法は、パラジウム錯体とポリビニルピロリドンとを溶解させた溶液にAgコア粒子を分散させたAg分散混合液を調製する混合液調製工程と、ポリビニルピロリドンとAgコア粒子とを含むAg分散混合液に還元剤を添加し、Agコア粒子の表面にPdシェルを析出させるPdシェル析出工程とを備えている。
上述したように、本発明では、Pdシェルの表面に選択的にPVPが付着するようにコアシェル粒子を生成することを特徴としている。
ここで、ここで開示される粉体材料の製造方法では、Pd錯体とPVPが溶解した混合液に粉末状のAg(Agコア粒子)を分散させたAg分散混合液を調製し、当該Ag分散混合液に還元剤を添加してPdシェルを析出させている。
このように、PVPとPdとを含む混合液に粉体状のAgコア粒子を分散させた場合、PVP存在下でAgコア粒子を析出させる従来技術と異なり、Agコア粒子の表面にPVPが付着しなくなる。これは、金属粒子が析出する過程において、粒子表面に付着し易いというPVPの特性を利用したものである。したがって、ここで開示される製造方法では、PVPがAgコア粒子の表面に付着することが抑制されており、当該PVPによってPdシェルの形成が阻害されることを防止できるため、コアシェル粒子の収率が高い粉体材料を製造することができる。そして、Pdシェル析出工程において、PVPがPdシェルの表面に選択的に付着するため、Pdシェルを介した固着によって巨大な二次粒子が形成されることを適切に抑制できる。
このように、ここで開示される製造方法によれば、サブミクロン領域に粒子径が好適に制御されたコアシェル粒子を含む粉体材料を効率良く製造することができる。
また、ここで開示される粉体材料の製造方法の好ましい一態様では、還元剤が炭酸ヒドラジン、ヒドラジン、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ヒドラジン二塩酸塩、アルキルヒドラジン、酒石酸、酒石酸塩、クエン酸、クエン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、水素化ホウ素ナトリウムである。
ここで開示される製造方法において使用される還元剤は、特に制限されないが、上述した種々の材料を用いることができる。これらの中でも、毒劇物ではなく、かつ、均一で表面が滑らかなPdシェルを容易に形成できるという観点から、炭酸ヒドラジン、酒石酸塩(例えば、酒石酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)を好ましく使用することができる。
また、ここで開示される粉体材料の製造方法の好ましい一態様では、Ag分散混合液中のポリビニルピロリドンの濃度が0.1g/L~200g/Lである。
Ag分散混合液に含まれるPVP量が多すぎると、当該混合液からPdを析出させた際に、微小なPd単独粒子が析出し、コアシェル粒子の収率が低下する恐れがある。一方、PVP量が少なすぎると、Pdシェルの表面に適切にPVPを付着させることができず、Pdシェルを介したネッキングによる一次粒子同士の固着が発生する可能性が高くなる。これらの点を考慮すると、Ag分散混合液中のPVP濃度は0.1g/L~200g/Lの範囲内であると好ましく、1g/L~6g/Lの範囲内であるとより好ましい。
また、ここで開示される粉体材料の製造方法の好ましい一態様では、Ag分散混合液中のAg元素とPd元素の合計含有量を100%とした場合、Ag元素の含有量が重量割合で70%~99%になるように、パラジウム錯体とAgコア粒子の添加量を調整する。
Ag元素の含有量(Ag/Pd比)が大きくなりすぎると、Pdシェルが適切に形成されていないコアシェル粒子が生成される可能性が高くなる。一方で、Ag/Pd比が小さくなりすぎると、Agコア粒子の表面に析出できなかったPdがPd単独粒子として多く析出したり、Pdシェルを介した二次粒子が多く生成される可能性がある。これらの点を考慮すると、Ag元素の含有量が70%~99%(好ましくは80%~98%、より好ましくは80%~95%)になるように、パラジウム錯体とAgコア粒子の添加量を調整すると好ましい。これによって、コアシェル粒子の収率が高く、固着による二次粒子が少ない粉体材料を製造することができる。なお、Ag元素とPd元素の各々の含有量は、ICP-AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)やXRF(蛍光X線分析)などを用いて測定することができる。
サンプル1のAg粉体のFE-SEM写真である。 サンプル5の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル9の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル10の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル11の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル12の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル13のAg粉体のFE-SEM写真である。 サンプル14の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル15の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル16の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル17の粉体材料のFE-SEM写真である。 サンプル9の粉体材料のFE-SEM写真と、EDXマッピングによるAg元素の分布状態を示す写真と、Pd元素の分布状態を示す写真である。 サンプル15の粉体材料のFE-SEM写真と、EDXマッピングによるAg元素の分布状態を示す写真と、Pd元素の分布状態を示す写真である。 サンプル16の粉体材料のFE-SEM写真と、EDXマッピングによるAg元素の分布状態を示す写真と、Pd元素の分布状態を示す写真である。 サンプル17の粉体材料のFE-SEM写真と、EDXマッピングによるAg元素の分布状態を示す写真と、Pd元素の分布状態を示す写真である。 サンプル1のAg粉体のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル9の粉体材料のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル10の粉体材料のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル11の粉体材料のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル13のAg粉体のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル14の粉体材料のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル14の粉体材料の乾燥粉を水に再分散させた場合(サンプル14A)のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル14の粉体材料の乾燥粉をDMFに再分散させた場合(サンプル14B)のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル14の粉体材料の乾燥粉をEGに再分散させた場合(サンプル14C)のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル14の粉体材料の乾燥粉をIBAに再分散させた場合(サンプル14D)のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル15の粉体材料のDLS法による粒度分布を示す図である。 サンプル15の粉体材料の乾燥粉を水に再分散させた場合(サンプル15A)のDLS法による粒度分布を示す図である。 試験例におけるXRD測定の結果を示す図である。 サンプル1の粉体材料のTG-DTA結果である。 サンプル9の粉体材料のTG-DTA結果である。 サンプル13の粉体材料のTG-DTA結果である。 サンプル14の粉体材料のTG-DTA結果である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において数値範囲を「A~B」と示す場合、「A以上B以下」を意味するものとする。
1.コアシェル粒子
本実施形態に係るコアシェル粒子は、銀(Ag)を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウム(Pd)を主成分とするPdシェルとから構成されている。そして、かかるコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドン(PVP)が選択的に付着している。以下、本実施形態に係るコアシェル粒子の各要素について具体的に説明する。
(1)Agコア粒子
Agコア粒子は、主成分として銀(Ag)を含む金属粒子である。
かかるAgコア粒子には、主成分であるAg以外に種々の金属元素が含まれていてもよい。例えば、Agコア粒子に含まれる全ての金属元素の物質量を100mol%とした場合、Ag元素の物質量は、90mol%~100mol%であるとよく、95mol%~100mol%であると好ましい。このとき、Ag元素以外にAgコア粒子に含まれ得る金属元素としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などが挙げられる。これらの中でも、Pdシェルとの馴染みやすさなどを考慮すると、Pd、Ptなどが、Ag以外の金属元素として含まれていると好ましい。また、上述した種々の金属元素は、酸化物や硫化物などの化合物の状態でAgコア粒子に含まれていてもよい。
また、本発明を特に限定するものではないが、Agコア粒子の形状は略球形が好ましく、その粒子径は、例えば、0.01μm~1μmが適当であり、0.05μm~0.8μmであると好ましく、0.1μm~0.4μmであるとより好ましい。なお、ここでの粒子径は、動的光散乱法(DLS)においてNNLS法で解析を行うことによって測定されるピーク粒径である。
(2)Pdシェル
一方、Pdシェルは、パラジウム(Pd)を主成分とする金属被膜である。
上述したAgコア粒子と同様に、Pdシェルには、Pd以外に種々の金属元素が含まれていてもよい。例えば、Pdシェルに含まれる全ての金属元素の物質量を100mol%とした場合、Pd元素の物質量は、90mol%~100mol%であるとよく、95mol%~100mol%であると好ましい。また、Pd以外にPdシェルに含まれ得る金属元素としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などが挙げられる。また、コアシェル粒子表面の化学的、熱的安定性の向上やAgコア粒子との馴染みやすさを考慮すると、これらの金属元素の中でも、Au、Pt、Agなどが、Pd以外の金属元素として含まれていると好ましい。なお、上述した種々の金属元素は、酸化物、リン化物、窒化物などの化合物の状態でPdシェルに含まれていてもよい。また、本発明を特に限定するものではないが、Pdシェルの厚みは、0.2nm~100nmが適当であり、1nm~50nmが好ましく、例えば5nm程度に設定される。
(3)ポリビニルピロリドン
そして、本実施形態に係るコアシェル粒子では、上述したように、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドン(PVP)が選択的に付着している。このポリビニルピロリドンは、N-ビニル-2-ピロリドン(CHCHNCCO)の重合体であり、粒子表面を保護して他の粒子の粗大化を阻害する表面保護剤として使用され得る。
上述したように、PVPが付着していないコアシェル粒子では、各々の粒子同士が固着して巨大な二次粒子が形成され易くなるため、サブミクロン領域に粒子径を制御することが困難になる。一方で、コアシェル粒子の生成過程において、Agコア粒子の表面にPVPが付着すると、Agコア粒子の表面にPdシェルが析出し難くなるため、Pd単独粒子が多量に生成されてコアシェル粒子の収率が低下する恐れがある。
これに対して、本実施形態に係るコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドン(PVP)が選択的に付着している。すなわち、本実施形態では、Agコア粒子表面に実質的にPVPが付着しておらず、Pdシェル生成時に当該Pdシェルの表面にPVPを付着させている。このように、コアシェル粒子の生成過程において、Pdシェルの表面にPVPを選択的に付着させることによって、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、一次粒子同士の固着を好適に抑制することができる。なお、Pdシェルの形成を阻害しない程度に微量であれば、Agコア粒子の表面にPVPが付着していてもよい。
2.粉体材料
また、本発明の他の側面として、コアシェル粒子を含む粉体材料が提供される。以下、本発明の他の実施形態としてコアシェル粒子を含む粉体材料について説明する。
本実施形態に係る粉体材料には、少なくともコアシェル粒子が含まれている。但し、この粉体材料には、コアシェル粒子の他に、コアシェル粒子を生成する過程で生じ得る材料(Ag粒子、Pd単独粒子など)が含まれていてもよい。また、本実施形態に係る粉体材料には、必要に応じて種々の添加材(セラミックスフィラー、樹脂ビーズ、表面改質剤など)が添加されていてもよい。
そして、本実施形態に係る粉体材料に含まれるコアシェル粒子は、上記した実施形態に係るコアシェル粒子である。すなわち、本実施形態に係る粉体材料には、Pdシェルの表面にPVPが選択的に付着したコアシェル粒子が含まれている。上述したように、かかるコアシェル粒子は、Pdシェルの表面に付着したPVPによって、Pdシェルを介した固着が好適に抑制されているため、サブミクロン領域に粒子径が制御されている。
このため、本実施形態に係る粉体材料では、DLS(キュムラント法)によって測定したZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μm(典型的には0.1μm~1μm)となり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下(典型的には0.3以下、好ましくは0.2以下)となっている。このように、コアシェル粒子の粒子径が小さく、かつ、シャープな粒度分布を有している粉体材料を用いることによって、電子部品の小型化や電極の薄層化に大きく貢献することができる。
なお、上記の実施形態に係るコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にPVPを付着させることによって、Pdシェルを介した固着の発生を抑制している。しかし、かかるPVPによる固着抑制効果は、Pdシェルを析出させる際に発揮されればよいため、粉体材料を製造した後にコアシェル粒子のPdシェルの表面からPVPが除去されていてもよい。かかるPVPを除去する手段としては、遠心分離を利用した洗浄処理や加熱処理などが挙げられる。但し、粉体材料を分散媒に分散させた導電ペーストを調製する際にコアシェル粒子の分散性を確保するという観点から、PVPは、敢えて除去する必要はなく、Pdシェルの表面に付着したままの方が好ましい。
また、本実施形態では、Agコア粒子の表面にPVPが付着することを防止しているため、高い収率でコアシェル粒子を得ることができる。したがって、本実施形態に係る粉体材料では、PdやAgの単独粒子を含む粉体材料全体に対して90%以上(典型的には95%以上、例えば99%以上)の含有率でコアシェル粒子が含まれている。
なお、かかる粉体材料におけるコアシェル粒子の含有率は、FE-SEM、EDXを用いて、個々の粒子に対して粒子径(円相当径)を測定した後、元素マッピングによるコアシェル判定を実施し、粒子をすべて円相当径が直径の球と仮定して算出した全粒子に対するコアシェル粒子の体積基準の存在割合である。
また、本実施形態に係る粉体材料では、BET比表面積から換算したBET粒子径(DBET)と、DLS法によって測定したZ平均粒子径(DDLS)とが、下記の式(1)に示す関係を満たしていると好ましい。
DLS/DBET≦10.0 (1)
上述した式(1)中のZ平均粒子径(DDLS)は、固着による二次粒子が生じると大きく増加する値である。一方で、BET粒子径(DBET)は、Z平均粒子径と比べて固着の影響を受けにくい値である。したがって、BET粒子径(DBET)に対するZ平均粒子径(DDLS)の値を算出することによって、粉体材料のコアシェル粒子同士が固着している程度を評価することができる。ここで、かかるDDLS/DBETが10.0以下の場合には、Pdシェルを介した固着による二次粒子の含有量が非常に少なく、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に好適に制御された粉体材料であると評価することができる。また、固着による二次粒子の含有量がより少ない粉体材料(DDLS/DBETが2.0以下の粉体材料)は、電極の薄層化などのために更に好適に使用することができる。
また、本実施形態に係る粉体材料は、水や有機溶剤などの分散媒体に分散させた導電ペーストの状態で提供されてもよい。かかる導電ペーストには、粒子径がサブミクロン領域に制御されたコアシェル粒子が含まれているため、充分に薄層化された電極を好適に形成することができる。なお、粉体材料を分散させる分散媒体は、導電性粉末を良好に分散させ得るものであればよく、従来の導体ペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。かかる分散媒用の有機溶媒としては、例えば、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素(特に脂肪族炭化水素)、エチルセルロース等のセルロース系高分子、エチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール(BC)、ターピネオール等の高沸点有機溶媒を一種類又は複数種組み合わせたものを用いることができる。
さらに、このときの導電ペーストには、コアシェル粒子を含む粉体材料の他に、分散剤、樹脂材料(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等)、ビヒクル、フィラー、ガラスフリット、界面活性剤、消泡剤、可塑剤(例えばフタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル)、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤などの添加物が含まれていてもよい。
なお、本実施形態に係る粉体材料は、大半のコアシェル粒子がサブミクロン領域の粒径を有するように制御されている。上述したように、かかる粉体材料をDLSにおいてキュムラント法で解析した場合には、Z平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μmとなり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下となる。しかし、かかる粉体材料を特定するための解析方法は、キュムラント法に限定されず、NNLS法を用いることもできる。このように、NNLS法を用いて本実施形態に係る粉体材料を解析した場合には、ピーク粒径が0.1μm~1.5μm(典型的には0.1μm~1μm)の範囲内になり、かつ、当該ピーク粒径のピーク強度が90%以上になる。
3.粉体材料の製造方法
次に、本発明の他の側面として、上記の実施形態に係る粉体材料を製造する方法について説明する。
本実施形態に係る粉体材料の製造方法は、(1)混合液調製工程と、(2)Pdシェル析出工程とを備えている。以下、各工程について具体的に説明する。
(1)混合液調製工程
本実施形態に係る製造方法では、PdとPVPとが溶解した溶液にAgコア粒子を分散させたAg分散混合液を調製する。具体的には、所定の溶媒にパラジウム錯体を溶解させた後に、当該Pd溶液にPVPを溶解させることによって、PdとPVPを含む混合液を調製する。そして、かかる混合液を撹拌しながら、粉末状態のAgコア粒子を添加して分散させることによってAg分散混合液を調製する。
このように、本実施形態に係る製造方法では、PVP存在下でAgコア粒子を生成する従来技術と異なり、粉末状態のAgコア粒子を別途準備し、PdとPVPが溶解した混合液に当該粉末状態のAgコア粒子を分散させている。後に詳しく説明するが、これによって、Agコア粒子の表面にPVPが付着することを抑制し、Agコア粒子の表面に付着したPVPによってPdシェルの形成が阻害されることを抑制している。
なお、本実施形態において、Pd源となるパラジウム錯体は、Pd元素を含み、かつ、所望の溶媒に容易に溶解させることができれば特に限定されないが、例えば、ジアンミンジクロロパラジウム(II)、テトラアンミンジクロロパラジウム、塩化パラジウム酸やその塩などを好ましく用いることができる。
また、溶媒は、上述したパラジウム錯体とPVPとを好適に溶解させることができると共に、Agコア粒子を分散させることができればよく、種々の液体を適宜選択することができる。かかる溶媒の一例として、アンモニア水、水、アルコール、これらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ジアンミンジクロロパラジウムの溶解性を考慮すると、特にアンモニア水を好ましく用いることができる。
また、Ag分散混合液に含まれるPVP量が多すぎると、当該混合液からPdを析出させた際に、微小なPd単独粒子が析出し、コアシェル粒子の収率が低下する恐れがある。一方、PVP量が少なすぎると、Pdシェルの表面に適切にPVPを付着させることができず、Pdシェルを介した固着が発生する可能性が高くなる。これらの点を考慮すると、Ag分散混合液中のPVP濃度は0.1g/L~200g/Lの範囲内であると好ましく、0.5g/L~50g/Lの範囲内であるとより好ましく、例えば、1g/L~6g/Lの範囲内で設定するとよい。
(2)Pdシェル析出工程
次に、本実施形態に係る製造方法では、Ag分散混合液に還元剤を添加して、Agコア粒子の表面にPdシェルを析出させるPdシェル析出工程を実施する。これによって、Agコア粒子の表面がPdシェルによって覆われたコアシェル粒子が形成される。
また、本工程において用いられる還元剤としては、例えば、炭酸ヒドラジン、ヒドラジン、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ヒドラジン二塩酸塩、アルキルヒドラジンなどのヒドラジン化合物を用いることができる。また、還元剤の他の例として、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸などの有機酸およびその塩(酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩)や、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、毒劇物ではなく、かつ、均一で表面が滑らかなPdシェルを容易に形成することができるという観点から炭酸ヒドラジン、酒石酸塩(例えば、酒石酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)などを特に好ましく用いることができる。
また、本工程では、Pdを好適に析出させてPdシェルを形成するために、還元剤を添加した後にAg分散混合液を分散(撹拌)しながら還元反応を進行させた方が好ましい。このときの分散(撹拌)の手段は、特に限定されないが、例えば、超音波分散やせん断力による分散などを採用することができる。
以下、本実施形態に係る製造方法のPdシェル析出工程におけるAg分散混合液中の状態を、従来の製造方法における混合液の状態と対比しながら説明する。
従来のコアシェル粒子の製造方法では、最初に、AgとPVPとが溶解した混合液からAgを析出させることによってAgコア粒子を生成している。このとき、PVPは、金属粒子が析出する過程において、粒子表面に付着し易いという性質を有しているため、Pdシェル形成前のAgコア粒子の表面にPVPが付着する。したがって、従来の製造方法では、PVPによってAgコア粒子表面へのPdシェルの析出が阻害されるため、微小なPdの単独粒子が形成され易くなって、コアシェル粒子の収率が低下する。
一方、本実施形態に係る製造方法では、PdとPVPとを溶解させた混合液に粉体状態のAgコア粒子を分散させているため、Agコア粒子の表面にPVPが付着することを抑制できる。そして、本実施形態では、Pdシェル析出工程において、PVPがPdシェルの表面に付着する。このため、本実施形態によれば、Agコア粒子の表面にPVPが実質的に付着しておらず、Pdシェルの表面にPVPが選択的に付着したコアシェル粒子を生成することによって、コアシェル粒子の収率を向上させることができる。
そして、このコアシェル粒子は、Pdシェルの表面がPVPによって保護されているため、Pdシェルを介した固着によって巨大な二次粒子が形成されることが好適に抑制されており、粒子径がサブミクロン領域に制御される。
以上のように、本実施形態に係る製造方法によれば、サブミクロン領域に粒子径が制御されたコアシェル粒子を高い収率で含む粉体材料を好適に製造することができる。
なお、上記の実施形態の混合液調製工程では、PdとPVPとを溶解させた混合液に、粉体状態のAgコア粒子を懸濁させている。ここでいう「懸濁」とは、必ずしも分散安定化した状態を指すものでなく、Agコア粒子同士が凝集しているような状態でも良いし、静置した場合に沈降するような状態でもよい。
また、混合液調製工程中の各処理の順序は特に限定されない。例えば、PVPを溶解させる前のPd溶液にAgコア粒子を加え、当該スラリーにPVPを溶解させてもよい。また、Agコア粒子のスラリーにPVPとPd錯体を溶解させてもよく、その他のあらゆる混合順を採用することができる。この場合でも、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、粒子同士の固着を好適に抑制することができる。
また、コアシェル粒子の収率を更に向上させる、固着による二次粒子の生成を抑制するという観点から、混合液調製工程を行う際に、パラジウム錯体とAgコア粒子の各々の添加量を適宜調整すると好ましい。
具体的には、Ag元素の含有量(Ag/Pd比)が大きくなりすぎると、Pdシェルが適切に形成されていないコアシェル粒子が生成される可能性が高くなる一方で、Ag/Pd比が小さくなりすぎると、Agコア粒子の表面に析出できなかったPdがPd単独粒子として多く析出したり、Pdシェルを介した固着によって二次粒子が多く生成される可能性がある。かかる点を考慮すると、Ag分散混合液中のAg元素とPd元素の合計含有量を100%とした場合に、当該Ag分散混合液中のAg元素の含有量を重量割合で70%~99%(好ましくは80%~95%、例えば90%)に調整するとよい。これによって、コアシェル粒子の収率を向上させることができると共に、固着による二次粒子の生成を抑制することができる。
[試験例]
以下、本発明に関する試験例を説明するが、かかる試験例は本発明を限定することを意図したものではない。
A.第1の試験
本試験では、上記の実施形態で記載した知見を確認するための予備試験として、PVPが溶解している混合液に、粉体状態のAg粉を分散させて、当該Ag粉にPVPが付着するか否かを確認した。
1.試験条件
400mlの0.17%アンモニア水に、2.62gのパラジウム錯体(ジアンミンジクロロパラジウム(II))と、0.80gのポリビニルピロリドンK-90(和光純薬工業社製)を溶解させることによって溶液Aを調製した。
次に、上述の溶液Aを360ml採取し、かかる混合液に10.8gのAg粉(三井金属工業社製 SPQ02X)を添加して、マグネチックスターラーで撹拌した後、超音波分散を10分間行ってスラリー状のAg分散混合液を調製した。そして、Ag分散混合液を40ml採集し、6000rpm、10minの遠心分離を行うことによってAg粉を沈殿させ、上澄み液(溶液B)を採集した。
2.評価試験
上述の溶液Aおよび溶液Bに対してTOC(Total Organic Carbon)分析を行い、Ag粉にPVPが付着しているか否かを評価した。
ここでは、先ず、全有機体炭素計(島津製作所社製 TOC-VCPH)を用いてTOCを行った。具体的には、JIS-K-0102 22.1(2016)に準拠した680℃燃焼酸化方式によって、溶液Aおよび溶液Bの各々の全炭素(TC:Total Carbon)を測定した。そして、各溶液にリン酸を添加し、二酸化炭素等の無機炭素(IC:Inorganic Carbon)を測定した。そして、測定した全炭素(TC)から無機炭素(IC)を減算することによって、上澄み液とAg分散混合液の全有機体炭素(TOC)を算出した。
上述の評価試験の結果、上澄み液とAg分散混合液の各々の全有機体炭素(TOC)が略同じ値(1.22g/L程度)であった。この結果より、遠心分離によって沈殿したAg粉にはPVPが付着しておらず、Ag分散混合液に添加したPVPのほぼ全てが上澄み液に溶解したままになっていることが分かった。このことから、PVPが存在している溶液にAg粉を分散させても、当該Ag粉にはPVPが吸着しないことが確認できた。
B.第2の試験
次に、本試験では、従来の技術と本発明とを比較するために、17種類の粉体材料のサンプルを用意し、各サンプルに種々の評価試験を行った。
1.各サンプル
以下、各サンプルの粉体材料について説明する。
(1)サンプル1
本試験例では、先ず、Pdシェルが被覆されていないAg粉(三井金属工業社製 SPQ02X)からなる粉体材料を比較対象のサンプル1として準備した。なお、後述のサンプル2~12では、サンプル1と同じAg粉を、コアシェル粒子のAgコア粒子として用いている。
(2)サンプル2
本サンプルでは、先ず、AgとPdとの重量比が90:10になるようにスラリー状の混合液を調製した。具体的には、100mlの0.17%アンモニア水に、0.655gのパラジウム錯体(ジアンミンジクロロパラジウム(II))と、0.30gの分散剤(ポリエチレングリコール#200(関東化学社製))とを溶解させた。そして、上記サンプル1と同様のAg粉(三井金属工業社製 SPQ02X)を3.0g添加し、マグネチックスターラーで撹拌した後に超音波分散を10分間行ってスラリー状のAg分散混合液を調製した。
次に、上述のAg分散混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら0.85mlの還元剤(炭酸ヒドラジン、大塚化学社製)を添加し、Ag分散混合液中のパラジウム錯体が全て還元されてPdが析出するように撹拌を30分間継続し、コアシェル粒子の作製を試みた。そして、上澄み液のXRF(X-Ray Fluorescence)分析を行うことによって、Ag分散混合液中のパラジウム錯体が全て還元されてPdとして析出したことを確認した。
(3)サンプル3
0.30gのポリエチレングリコールの代わりに、0.15gの湿潤分散剤(BYK社製、ANTI-TERRA250)をAg分散混合液に溶解させた点を除いて、サンプル2と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(4)サンプル4
湿潤分散剤の添加量を0.15gから2.00gに増加させた点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(5)サンプル5
湿潤分散剤をBYK社製のANTI-TERRA250からBYK社製のBYK-LP C22136に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(6)サンプル6
湿潤分散剤をBYK社製のANTI-TERRA250からBYK社製のBYK-LP C22139に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(7)サンプル7
湿潤分散剤をBYK社製のANTI-TERRA250からBYK社製のBYK-LP C22141に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(8)サンプル8
湿潤分散剤をBYK社製のANTI-TERRA250からBYK社製のDISPERBYK102に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(9)サンプル9
サンプル9では、上述したサンプル2~8と異なり、Ag分散混合液に分散剤を添加せず、代わりにポリビニルピロリドン(PVP)を溶解させて、コアシェル粒子の作製を試みた。
具体的には、400mlの0.17%アンモニア水に、2.62gのジアンミンジクロロパラジウム(II)と、0.80gのポリビニルピロリドンK90(和光純薬工業社製)とを溶解させた。そして、サンプル1~8と同様のAg粉を12.0g加え、マグネチックスターラーで撹拌した後に超音波分散を10分間行うことによってスラリー状のAg分散混合液を調製した。
次に、上述のAg分散混合液を40ml採集し、かかるAg分散混合液を溶液Cとした。そして、残りのAg分散混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら3.06mlの炭酸ヒドラジンを添加し、30分間撹拌を継続した。このとき、炭酸ヒドラジンの添加後130s~160sほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。そして、上澄み液のXRF分析を行った結果、Pd錯体はすべて還元され析出したことが確認された。
そして、このようにして得られたAgPdスラリーを40mlほど採取し、遠心分離(6000rpm,10min.)によって得られた上澄みを溶液Dとした。そして、残りの大部分のAgPdスラリーを、遠心分離(6000rpm,10min.)で沈降させた後、純水40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことでAgPd粉を洗浄し、未乾燥のAgPd湿潤粉を得た。次に、AgPd湿潤粉の一部に対し、アセトン40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことで、AgPdに含まれる水をアセトンに置換した後、室温で1時間真空乾燥し、乳鉢で解砕することでAgPd乾燥粉を得た。
(10)サンプル10
Ag粉を加えてマグネチックスターラーで撹拌した後の処理を、超音波分散から、せん断力による精密分散に変更した点を除いて、サンプル9と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。なお、せん断力による精密分散では、エム・テクニック社製の精密分散装置(クレアミックスCLM-0.8S)を用い、ローター回転速度を18000rpmに設定して10分間分散を行った。
(11)サンプル11
PVPの添加量を0.80gから0.40gに減少させた点を除いて、サンプル10と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
(12)サンプル12
本サンプルでは、PVPや分散剤を添加せずに、コアシェル粒子の作製を試みた。なお、その他の条件は、サンプル9と同じ条件に設定した。
(13)サンプル13
サンプル13では、後述するサンプル14、15との比較対象として、これらのサンプルで使用するAg粉のみからなる粉体材料を準備した。なお、本サンプルのAg粉は、Agアンミン錯体溶液に還元剤を加える液相合成によって生成されたものである。
(14)サンプル14
サンプル14では、サンプル13と同様の手順の液相合成で生成したAg粉を使用した点と、各原料の添加量を変更した点とを除いて、サンプル9と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
具体的には、100mlの0.17%アンモニア水に、0.655gのジアンミンジクロロパラジウム(II)と、0.20gのポリビニルピロリドンK90とを溶解させた。そして、液相合成によって得られたAg粉を3.0g加え、マグネチックスターラーで撹拌した後に超音波分散を10分間行ってスラリー状のAg分散混合液を調製した。
次に、上述のAg分散混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら、0.85mlの炭酸ヒドラジンを添加し、Ag分散混合液中のパラジウム錯体が全て還元されてPdが析出するように撹拌を30分間継続し、コアシェル粒子の作製を試みた。このとき、炭酸ヒドラジンを添加した後80s~90sほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。そして、上澄み液のXRF分析によりPd錯体はすべて還元され析出したことが確認された。
このようにして得られたAgPdスラリーを、遠心分離(6000rpm,10min.)により沈降させた後、純水40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことでAgPd粉を洗浄し、未乾燥のAgPd湿潤粉を得た。次に、AgPd湿潤粉の一部を採集し、アセトン40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことで、AgPdに含まれる水をアセトンに置換した後、室温で1時間真空乾燥し、乳鉢で解砕することでAgPd乾燥粉を得た。
(15)サンプル15
パラジウム錯体とPVPとを溶解させる溶媒を、100mlの0.17%アンモニア水から33.3mlの0.51%アンモニア水に変更したことを除いて、サンプル14と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。なお、炭酸ヒドラジン添加後130~150sほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。
(16)サンプル16
サンプル16では、PVPや分散剤を使用せずに、液相合成によってAg粉を形成した後、該Ag粉(Agコア粒子)の表面にPdシェルを被覆させてコアシェル粒子を作製した。なお、本サンプルは、上述した特許文献1(特開平8-176605号公報)の実施例7に記載の製造方法を1/10のスケールで再現したものであり、AgとPdとの重量比が30:70になるように各原料の添加量が調整されている。
具体的には、先ず、銀量1.8gに相当する塩化銀(和光純薬工業社製)を22mlの25%アンモニア水に溶解し、液温40℃に保持し、この溶液をA液とした。次に、5mlの純水に、1.13gのL-アスコルビン酸(和光純薬工業社製)と、還元剤(和光純薬工業社製の抱水ヒドラジン((NHO 98%))を1.05g溶解し、液温40℃に保持し、この溶液をB液とした。そして、上述のA液を攪拌しながら、シリンジポンプを用いてB液を0.5分間かけて添加することによって、溶液中の銀を析出させてAg粉を生成した。
そして、得られたAg粉の懸濁液に3.0gの抱水ヒドラジンを再び加え、パラジウム量50g/lに相当する84mlのテトラアンミンジクロパラジウム(Pd(NHCl)溶液を瞬時に加えてコアシェル粒子の作製を試みた。
(17)サンプル17
テトラアンミンジクロパラジウム溶液の添加量を4mlに変更することによって、AgとPdとの重量比を90:10に調整した点を除いて、サンプル16と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
2.評価試験
次に、上述した各サンプルに対して行った評価試験について説明する。
(1)目視評価
還元剤を添加した後の透明容器内の撹拌中の混合液を目視で観察して、各サンプルの析出状態を評価した。そして、混合液を撹拌している間に粉体材料の目立った沈降が確認されず、かつ、粉体材料の凝集が確認できなかった場合を「評価A」とした。また、混合液の撹拌中に粉体材料の目立った沈降が確認されなかった一方で凝集が確認された場合を「評価B」とした。そして、混合液を撹拌しても沈降と凝集が確認された場合を「評価C」とした。評価結果を後述の表1に示す。
なお、この目視評価の結果、沈降と凝集が著しく生じたサンプルの一部と、析出した金属が透明容器の壁面に付着する、いわゆるミラー状の析出が生じたサンプルは、後述する各試験を実施することに意味がないと判断して評価試験を終了した。
(2)粉体材料の顕微鏡観察
上述の各サンプルに対して粉体材料の顕微鏡観察を行った。かかる顕微鏡観察では、日立ハイテクノロジーズ社製の電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM:Field Emission-Scanning Electron Microscope、型番S-4700)を用いた。このときに撮影したサンプル1、5、9~17のFE-SEM写真を図1~図11に示す。
さらに、サンプル9、15~17については、エネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)による元素マッピングを実施することによって、Ag元素とPd元素の各々の分布状態を解析した。解析結果を図12~図15に示す。なお、本試験のEDXによる元素マッピングには、上述のFE-SEMと、HORIBA社製のエネルギー分散型X線分析(型番:X-max)を使用した。
(3)BET測定
本試験では、サンプル1、9~15のAg粉、AdPd乾燥粉のBET測定を行った。具体的には、各サンプルを分散させた試験用分散液を、マイクロトラック・ベル社製の比表面積測定装置(型番:BELSORP-max)に供試し、-196℃におけるN吸着等温線を測定してBET多点法に基づいてBET比表面積を求めた。そして、下記の式(2)に基づいてBET比表面積からBET粒子径(DBET)を算出した。算出結果を表2に示す。
BET=6/(ρ・s) (2)
BET:BET粒子径
ρ :密度
s :BET比表面積
なお、上記の式(2)中の「密度ρ」について、Ag粉のみからなる粉体材料であるサンプル1、13では、「Ag密度=10.49g/cm」と設定した。一方、コアシェル粒子を含む粉体材料であるサンプル9~12、14、15では、「コアシェル粒子(Pd比率10wt%)の密度=10.64g/cm」と設定した。
(4)DLS測定
本試験では、サンプル1、9~17のAg粉、AdPd粉を純水に超音波分散させたスラリーに対して動的光散乱法(DLS)による測定を行った。具体的には、各サンプルの試験用分散液のDLS測定を、マルバーン社製の動的光散乱測定装置(ゼータサイザーナノZS)を用いて20℃の温度環境下で実施した。解析には、キュムラント法とNNLS法とを用いた。
なお、サンプル14、15では、AdPdの乾燥粉を表2に示す各種の分散媒に再分散させたスラリー(サンプル14A~サンプル14D、サンプル15A)のDLS測定も行った。ここで、表2中の「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを示し、「EG」はエチレングリコールを示し、「IBA」はイソボロニルアセテートを示している。
以上のDLS解析の結果を表2および図16~図29に示す。
(5)TOC測定
本試験では、サンプル9~11のTOCを測定した。具体的には、各々の溶液Cおよび溶液Dについて、680℃燃焼酸化方式で全炭素(TC)を測定した。そして、各々の溶液にリン酸を添加し、二酸化炭素等の無機炭素(IC)を測定した。さらに、測定した全炭素(TC)から無機炭素(IC)を減算して全有機体炭素(TOC)を算出した。
そして、本試験では、溶液CのTOCと溶液DのTOCとの差の値を、Pdシェルに吸着したPVPに由来する炭素量とみなし、この炭素量から導いたPVP重量を未洗浄AgPd含有PVP量とした。算出結果を表3に示す。
(6)TG-DTA測定
本試験では、示差熱-熱重量同時測定(TG-DTA:Thermogravimetry-Differential Thermal Analysis)を実施することによって、AgPd乾燥粉に含まれる有機物量を測定した。
具体的には、リガク社製の示差熱天秤装置(Thermo plus TG8120)を用い、20℃/minの昇温速度で室温から600℃まで加熱した後に10分間保持した。そして、概ね150℃までに減少した重量を「脱離した吸着水の重量」とみなし、150℃以降に発熱ピークと共に減少した重量を「有機物燃焼によって除去されたPVPの重量(洗浄後AgPd含有PVP量)」とみなした。測定結果を表3に示す。
さらに、本試験では、TOC解析で得られた「未洗浄AgPd含有PVP量」と、TG-DTAで得られた「洗浄後AgPd含有PVP量」との差の値を算出し、かかる算出結果を「洗浄処理によって除去されたPVPの量(AgPd弱吸着PVP量)」とみなした。かかる算出結果も合わせて表3に示す。
(7)XRD解析
サンプル9~12、14、15のAgPd乾燥粉に対して粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)を実施した。ここでは、リガク社製のXRD解析装置(型番:RINT-TTR III)を用い、X線をCuKα線(管電圧10kV、管電流50mA)に設定し、サンプリング幅を0.01°とすると共にスキャンスピードを2°/minに設定した。
3.評価結果
(1)観察結果
上述した目視評価とFE-SEMとEDXによる元素マッピングの結果を下記の表1に示す。また、サンプル1、4、9~17のFE-SEM写真を図1~図11に示し、サンプル9、15~17の元素マッピングの結果を図12~図15に示す。
Figure 0007075262000001
先ず、サンプル2~8では、目視で凝集、沈降が観察され、大きな二次粒子が多量に形成されたことは明確であった。サンプル4では、図2に示すように、Pdシェルを介した固着が発生しているとともに、粒子状に析出したPdが確認された。そして、サンプル3、5~8においてはPdがAg上ではなく容器壁面にミラー状に析出していた。このことから、混合液に分散剤を添加しても、コアシェル粒子同士の固着を抑制することが困難であり、Ag粉(Agコア粒子)表面に分散剤が吸着することによって、PdシェルがAg上に平坦、均一に析出しづらくなることが分かった。また、分散剤等を添加していないサンプル12においても、目視で凝集、沈降が観察され、大きな二次粒子が多量に形成されたことは明確であった。また、特許文献1に記載の方法を再現したサンプル16、17も同様に、サブミクロン領域の粒径(0.4μm程度)を有したコアシェル粒子(一次粒子)が形成されていたが、かかる一次粒子同士が固着した二次粒子が多数形成されていた(図10および図11参照)。
一方、図3~図5および図8、9に示すように、サンプル9~11およびサンプル14、15では、各粒子のネッキングが適切に抑制されていた。本試験の結果と上述した第1の試験の結果とを考慮すると、別途生成した粉体のAgコア粒子を分散させたAg懸濁混合液からPdシェルを析出させた場合、PVP存在下で析出させたPdシェルの表面にPVPが選択的に付着するため、Pdシェルを介した固着を適切に抑制できることが分かった。
また、図12および図13に示すように、サンプル9とサンプル15に対する元素マッピングの結果、これらのサンプルでは、Agコア粒子の表面をほぼ均一に覆うようにPd元素が存在しており、Pd単独粒子が確認されなかった。このことから、PVPとPdとが溶解した混合液に粉体のAgコア粒子を分散させ、PVP存在下でPdシェルを析出させた場合、PVPによってPd単独粒子の生成が抑制され、Pdシェルの形成が阻害されることを防止できることが分かった。
なお、図14および図15に示すように、サンプル16、17に対する元素マッピングの結果、これらのサンプルでは、複数のAgコア粒子を覆うようにPd元素が存在していることが確認された。このことから、サンプル16、17の粉体材料では、Agコア粒子同士がPdシェルを介した固着が生じていることが確認された。また、サンプル17においては、Pdが偏析していることも確認された。
(2)BET、DLSの測定結果
上述したBET測定と、DLS測定の各々の解析結果を表2に示し、サンプル1、9~11、13~15のDLS測定の結果を図16~図27に示す。なお、図22~図25はサンプル14のAgPd乾燥粉を所定の分散媒に再分散させた場合(サンプル14A~サンプル14D)のDLS測定の結果を示し、図27はサンプル15のAgPd乾燥粉を水に再分散させた場合(サンプル15A)のDLS測定の結果を示している。
なお、上述したように、本試験では、サンプル12、16、17についてもDLS測定を試みたが、沈降が速く、DLS測定を行うことができなかった。また、XRD解析によって得られたパターンを図28に示す。
Figure 0007075262000002
表2および図16~図21および図28に示すように、サンプル9~11およびサンプル14、15では、DLS解析によるZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μm(100nm~1500nm)の範囲内であり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下であった。一方、PVPや分散剤を添加していないサンプル12では、沈降が速く分散が困難であったため測定することができなかった。また、サンプル1、9~11を比較すると、サンプル1(Ag粉)に対しPdシェルを形成したサンプル9~11のDDLSが著しく大きくなっていないことがわかる。こうした傾向はサンプル13、14~15の比較においても同様である。
また、サンプル1、9~12のBET比表面積を比較すると、Pdシェル形成前のAg粉(サンプル1)は1.88であって、Pdシェルを形成したサンプル9~12は1.88から低下していた。これらの中でも、サンプル9~11は、BET比表面積の低下量が0.2以内に抑制されていたが、PVPを添加していないサンプル12ではBET比表面積の低下量が0.3と最も大きくなった。さらに、サンプル9~11およびサンプル14、15では、DLS/BETの値が2.0以下に抑制されていた。
これらの結果を考慮すると、サンプル9~11およびサンプル14、15のように、Pdシェルの表面にPVPを選択的に付着させることによって、Ag粒子からの粒径粗大化(凝集・連結(ネッキング))が抑制され、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に制御された粉体材料を製造できることが確認された。
さらに、サンプル14Aとサンプル15Aに示す乾燥粉体の結果より、PdシェルにPVPを選択的に付着させたコアシェル粒子では、乾燥させた後に再び水に分散させた場合でも、Z平均粒子径(DDLS)やPDIに大きな変化が生じず、乾燥後の分散も容易であるという結果が得られた。
さらに、表2、図21~図27に示す結果より、PdシェルにPVPを選択的に付着させたコアシェル粒子の乾燥粉体をDMF、EG、IBAに再分散させた場合であっても、水に分散させた場合と同様に、Z平均粒子径が0.1μm~1.5μmの範囲内になり、PDIが0.4以下の範囲内になっていた。このことから、測定の際の分散媒を変更したとしても、当該分散媒に均一に粉体材料を分散させれば、ここで開示される粉体材料のZ平均粒子径が0.1μm~1.5μmになり、PDIが0.4以下になることが確認された。
また、図28に示すXRD解析の結果、サンプル9~12およびサンプル14、15の全てにおいてPdとAgのピークが確認された。また、各サンプルで明確なピークシフトは観察されなかった。
(3)PVPの状態に関する評価結果
PDシェル表面に付着したPVPの状態を解析するための評価試験(TOC測定、TG-DTA)の結果を表3に示す。
Figure 0007075262000003
表3に示すように、サンプル9~11の何れにおいても、溶液CのTOC(PVP量)から、溶液DのTOC(PVP量)が大きく減少していた。さらに、何れのサンプルにおいても、Pd表面に付着したPVP量を示す「未洗浄AgPd含有PVP量」が多量に確認された。
これらの結果より、Ag分散混合液の状態ではAgコア粒子にPVPが付着していないが、Pd析出後の上澄み液のPVP量が減少しているため、多くのPVPがPdシェルに付着し、コアシェル粒子と共に沈殿したと解される。従って、サンプル9~11の手順でコアシェル粒子を生成した場合、Agコア粒子にPVPが実質的に付着せず、PdシェルにPVPが選択的に付着することが分かった。
また、サンプル9~11の何れにおいても、乾燥状態の粉体材料のTG-DTA測定において一定量の有機物量が確認された。このことから、複数回の洗浄を行った後でも、コアシェル粒子の表面にPVPが付着していることが確認された。一方で、洗浄処理時に除去されたPVP量を示す「AgPd弱吸着PVP量」についても一定量確認された。このことから、コアシェル粒子の表面に付着したPVPは、遠心分離を利用した洗浄処理を繰り返すことによって、必要に応じて除去できることも確認できた。
(4)TG-DTAに関する追加試験
また、各サンプルに含まれている有機物を更に詳細に解析するために、Ag粉のみからなるサンプル1とサンプル13、そして、サンプル13のAg粉を用いたサンプル14についても、TG-DTA測定を行った。そして、サンプル1、9、13、14について、TG-DTA測定中の温度上昇と重量変化に関するチャートを作成した。結果を図29~図32に示す。
図29および図30に示すように、サンプル1とサンプル9とを比較すると、何れのサンプルにおいても1つの発熱ピークが確認されたが、かかる発熱ピークが生じる温度が異なっていた。そして、サンプル9で確認された発熱ピークは、PVPの燃焼によるものであると推測される。このことから、サンプル9では、Agコア粒子の原料に混入していた有機物のほぼ全てがコアシェル粒子を生成する過程で除去されるか変性しており、コアシェル粒子生成後に存在する有機物のほぼ全てがPVPやAg原料に混入した有機物に由来したものに置き換わっていると解される。
一方、図31に示すように、サンプル13では、137.6℃~210.4℃の範囲内になだらかな発熱ピークが複数確認された。このことから、液相合成によって生成されたAgコア粒子には、様々な種類の有機物が微量に含まれていると解される。一方で、かかる液相合成のAgコア粒子を使用したサンプル14では、図32に示すように、サンプル13で確認された低温領域の発熱ピークがほぼ消失していると共に、PVPに由来していると予想される鋭い発熱ピーク(245.1℃)が生じていた。このことから、液相合成によって得られたAgコア粒子を用いた場合でも、コアシェル粒子の生成過程で大部分の有機物が除去されてPVPやAg原料に混入した有機物に由来したものに置き換わっていると推測される。
なお、図32に示すように、サンプル14では、190℃付近に若干の発熱ピークが生じていた。これは、液相合成によって生成されたAgコア粒子に含まれる種々の有機物の一部がコアシェル粒子生成後にも残存していたためと解される。この結果と上述した種々の評価試験の結果とを考慮すると、Agコア粒子に含まれる有機物の一部がコアシェル粒子の生成過程で完全に除去されなかった場合であっても、好適なコアシェル粒子を生成することができると推測される。また、これらの結果より、上述した表3中の「未洗浄AgPd含有PVP量」には、PVP以外の有機物が含まれている可能性があり、必ずしもPVPのみの量を示すものではないと解される。
以上、本発明の具体例を試験例に基づいて詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (10)

  1. 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料であって、
    動的光散乱法においてキュムラント法による解析を行うことによって測定されたZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm~1.5μmであり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下である、粉体材料。
  2. 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料であって、
    動的光散乱法においてNNLS法による解析を行うことによって測定されるピーク粒径が0.1μm~1.5μmの範囲内であって、当該ピーク粒径のピーク強度が90%以上である、粉体材料。
  3. 前記コアシェル粒子の含有率が90%以上である、請求項1または請求項2に記載の粉体材料。
  4. 前記コアシェル粒子の表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の粉体材料。
  5. BET比表面積から換算したBET粒子径(DBET)と、動的光散乱法においてキュムラント法による解析を行うことによって測定されたZ平均粒子径(DDLS)とが、下記の式(1)に示す関係を満たす、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の粉体材料。
    DLS/DBET≦10.0 (1)
  6. 請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の粉体材料を分散媒体に分散させた導電ペースト。
  7. 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料を製造する方法であって、
    パラジウム錯体とポリビニルピロリドンとを溶解させた溶液に前記Agコア粒子を分散させたAg分散混合液を調製する混合液調製工程と、
    前記ポリビニルピロリドンとAgコア粒子とを含む前記Ag分散混合液に還元剤を添加し、前記Agコア粒子の表面にPdシェルを析出させるPdシェル析出工程と
    を備えた、粉体材料の製造方法。
  8. 前記還元剤が炭酸ヒドラジン、ヒドラジン、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ヒドラジン二塩酸塩、アルキルヒドラジン、酒石酸、酒石酸塩、クエン酸、クエン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項7に記載の粉体材料の製造方法。
  9. 前記Ag分散混合液中のポリビニルピロリドンの濃度が0.1g/L~200g/Lである、請求項7または請求項8に記載の粉体材料の製造方法。
  10. 前記Ag分散混合液中のAg元素とPd元素の合計含有量を100%とした場合、前記Ag元素の含有量が重量割合で70%~99%になるように、前記パラジウム錯体と前記Agコア粒子の添加量を調整する、請求項7~請求項9のいずれか一項に記載の粉体材料の製造方法。
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