JP7074595B2 - 制震壁 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物の上下階の間に設置され、粘性流体による減衰効果を利用して構造物の振動を抑制する制震壁に関し、特に、地震によって構造物が繰り返し加振されたり、大きな変形が生じるように加振されたりするときに、粘性流体が制震壁から溢れ出るのを防止するための構造に関する。
従来、この種の制震壁として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この制震壁は、下端部が構造物の下階の梁などに連結され、上方に開口した箱状壁体と、上端部が構造物の上階の梁などに連結された状態で垂下し、箱状壁体に上方から挿入された垂下壁板と、箱状壁体内に充填された粘性流体とを備えている。
箱状壁体は、互いに前後方向に所定間隔を隔てて平行に配置された、比較的大きな前後2枚の立ち上がり壁板を有し、それらの上端部には、前後方向の奥行き寸法が、左右方向の全体にわたって幅広に形成された上部液溜まり部を有している。加えて、箱状壁体には、前後の両壁板の左右の端部同士に連なり、前後方向の奥行き寸法が幅広に形成された左右の液溜まり部(以下、「側部液溜まり部」という)を有している。側部液溜まり部は、箱状壁体の左右両端部において、その上下方向の全体わたって延びるように形成されている。一方、箱状壁体に挿入された垂下壁板は、左右方向の横幅寸法が、箱状壁体の立ち上がり壁板のそれよりも長く、垂下壁板の左右両端がそれぞれ、左右の側部液溜まり部内に位置している。
また、箱状壁体内の粘性流体は、前後の壁板間に加えて、左右の側部液溜まり部にも充填されるとともに、液面が、箱状壁体の上部液溜まり部の底部よりも高くなるように充填されている。これにより、垂下壁板が箱状壁体内で、その幅方向である左右方向に移動する場合、箱状壁体の前後の壁板と垂下壁板との間に常に、粘性流体が介在することで、減衰効果を得るための有効面積が確保されている。
例えば地震などにより、構造物が振動する場合において、構造物の上階側の梁と下階側の梁との間で、その長さ方向に相対変位が生じると、それに伴い、垂下壁板が箱状壁体内において左右方向に移動する。この場合、垂下壁板には、その移動の際の速度に応じて、箱状壁体内の粘性流体によるせん断抵抗が作用し、垂下壁板の移動が抑制されることで、構造物の上階と下階の相対変位が抑制される。
またこの場合、箱状壁体内の粘性流体が、垂下壁板の移動する側の端面によって押圧されることにより、箱状壁体の左右の側壁と垂下壁板の上記端面との間に位置する粘性流体の液面が上昇する。このように、粘性流体の液面が上昇し、箱状壁体の上端よりも高くなると、粘性流体が箱状壁体から溢れ出るおそれがある。しかし、上記の制震壁では、一般に設けられる上部液溜まり部に加えて、箱状壁体の左右両端部に側部液溜まり部を設けることで、垂下壁板で押圧された粘性流体を、垂下壁板の前面側及び後面側に流れやすくし、それにより、粘性流体の液面の上昇を抑制することによって、粘性流体が箱状壁体から溢れ出るのを防止している。
特許第5138825号公報
上述したように、従来の制震壁では、粘性流体の溢れ出しを防止するために、箱状壁体において、一般に設けられる上部液溜まり部に加えて、左右両端部に、側部液溜まり部を設けている。各側部液溜まり部は、箱状壁体の上下方向の全体にわたって延びるように形成する必要があり、このため、一般的な制震壁における箱状の外壁体に比べて、構造が複雑になり、その製造に手間がかかる。もちろん、粘性流体の溢れ出しを確実に防止するために、上部液溜まり部の高さ寸法を長くすることが考えられる。しかしその場合、外壁体に挿入される内壁体において、応力の増加や板座屈に対処することが求められ、加えて、工場で製造した制震壁を建設現場へ輸送する際の道交法上の高さ規制もあり、できるだけ高さ寸法を変更することなく、粘性流体の溢れ出しを防止することが望まれている。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、既存の制震壁を大きく設計変更することなく、比較的簡易な構成で粘性流体の溢れ出しを確実に防止することができる制震壁を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁であって、下側構造材に沿って延びるとともに下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、下側構造材に連結された外壁体と、上側構造材に沿って延びるとともに上側構造材から垂下し、外壁体に上方から挿入された状態でかつ外壁体の幅方向に移動自在に収容され、上側構造材に連結された内壁体と、外壁体の内部に充填され、外壁体の内面と内壁体との間に存する粘性流体と、内壁体の上部の幅方向における左右両側と、外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、下側構造材と上側構造材との相対変位に伴って、内壁体が外壁体内で幅方向に移動する際に、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、を備えており、粘性流体溢れ防止手段は、内壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ設けられ、外壁体に充填された粘性流体の液面の上方から下方にわたって外方に開口し、かつ、内方に所定長さ凹んだ凹状の切欠き部を有していることを特徴とする。
この構成によれば、構造物において、互いに水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に制震壁が設けられている。制震壁の箱状に形成された外壁体は、その内部に粘性流体が充填されるとともに、下側構造材に連結されている。一方、制震壁の内壁体は、外壁体に上方から挿入された状態でかつ外壁体の幅方向に移動自在に収容されるとともに、上側構造材に連結されている。
例えば風揺れや地震などにより、構造物が振動する場合において、構造物の下側構造材と上側構造材の間でそれらの長さ方向に相対変位が生じると、それに伴い、内壁体が外壁体に対し、その幅方向に移動する。この場合、内壁体には、その移動の際の速度に応じて、外壁体内の粘性流体によるせん断抵抗が作用し、内壁体の移動、すなわち外壁体と内壁体の相対変位が抑制され、それにより、外壁体と内壁体がそれぞれ連結された下側構造材と上側構造材の相対変位が抑制される。このように、制震壁は、構造物の振動エネルギーを粘性流体による抵抗力によって吸収し、構造物の振動を減衰させることによって、その振動を抑制することができる。
また、構造物が繰り返し加振されたり、大きな変形が生じるように加振されたりする場合、外壁体内の粘性流体は、内壁体によって幅方向に押圧されることにより、幅方向における左右両側の液面が上昇し、外壁体の上端の開口、特にその開口の左右両側から溢れ出るおそれがある。そこで、本発明では、内壁体の上部の幅方向における左右両側と、外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に、粘性流体溢れ防止手段を設けることにより、粘性流体が外壁体から溢れ出るのを確実に防止し、それにより、制震壁の粘性流体による減衰効果を、長期間にわたって安定して確保することができる。
また、上記の構成によれば、内壁体の上部の幅方向における左右両側に、粘性流体溢れ防止手段としての切欠き部がそれぞれ設けられている。各切欠き部は、外壁体に充填された粘性流体の液面の上方から下方にわたって外方に開口するとともに、内方に所定長さ凹んだ凹状に形成されている。内壁体が外壁体内において幅方向に移動した場合、外壁体内の粘性流体が内壁体の移動する側の端面によって押圧されることで、その端面と外壁体の対向する側壁との間に位置する粘性流体が隆起し、その液面が上昇する。
上記の切欠き部を有する内壁体では、切欠き部のない内壁体に比べて、粘性流体の液面付近における内壁体の幅方向の端面と、その端面に対向する外壁体の側壁との距離が大きくなる。これにより、切欠き部を有する内壁体が幅方向に移動する場合、切欠き部のない内壁体が上記の内壁体と同程度、幅方向に移動する場合に比べて、粘性流体の液面の上昇が抑制される。その結果、粘性流体の液面が外壁体を乗り越えることがなく、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止することができる。
請求項に係る発明は、請求項に記載の制震壁において、切欠き部は、正面形状がコ字状に形成され、内側の上下の隅部が円弧状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、正面形状がコ字状に形成された切欠き部において、内側の上下の隅部が円弧状に形成されているので、内壁体が外壁体内で幅方向に移動する際に、上記の隅部で応力集中が生じるのを回避し、内壁体の切欠き部における亀裂などの発生を効果的に防止することができる。
請求項に係る発明は、構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁であって、下側構造材に沿って延びるとともに下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、下側構造材に連結された外壁体と、上側構造材に沿って延びるとともに上側構造材から垂下し、外壁体に上方から挿入された状態でかつ外壁体の幅方向に移動自在に収容され、上側構造材に連結された内壁体と、外壁体の内部に充填され、外壁体の内面と内壁体との間に存する粘性流体と、内壁体の上部の幅方向における左右両側と、外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、下側構造材と上側構造材との相対変位に伴って、内壁体が外壁体内で幅方向に移動する際に、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、を備えており、粘性流体溢れ防止手段は、外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ設けられ、外壁体の左右の側壁において、各側壁の内面の上端に沿って前後方向に延び、粘性流体の液面が側壁の内面に沿って上昇したときに、液面を外壁体の内方に案内するための案内部を有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁体の上部の幅方向における左右両側に、粘性流体溢れ防止手段としての案内部がそれぞれ設けられている。各案内部は、外壁体の左右の側壁において、その内面の上端に沿って前後方向に延び、粘性流体の液面が上記側壁の内面に沿って上昇したときに、その液面を外壁体の内方に案内するように構成されている。したがって、内壁体が外壁体内において幅方向に移動し、それに伴い、粘性流体の液面が外壁体の側壁の内面に沿って上昇した際に、案内部によって、その液面の移動方向を変え、すなわち、粘性流体の液面を外壁体の内方に案内するので、その液面が外壁体を乗り越えることはなく、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止することができる。
請求項に係る発明は、請求項に記載の制震壁において、粘性流体溢れ防止手段は、案内部の前端付近及び後端付近からそれぞれ、外壁体の前壁又は後壁の内面の上端に沿って所定長さ延び、粘性流体の液面が前壁及び/又は後壁の内面に沿って上昇したときに、液面を外壁体の内方に案内するための前壁側案内部及び後壁側案内部を、さらに有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁体の前壁及び後壁には、案内部の前端付近及び後端付近からそれぞれ、前壁又は後壁の内面の上端に沿って所定長さ延びる前壁側案内部及び後壁側案内部が設けられている。粘性流体の液面が、外壁体の幅方向の左右両側において、前壁及び/又は後壁の内面に沿って上昇した際に、前壁側案内部及び/又は後壁側案内部によって、その液面の移動方向を変え、外壁体の内方に案内するので、粘性流体の液面が外壁体の前壁及び後壁を乗り越えることはなく、粘性流体が外壁の上端の開口の前後に溢れ出るのを防止することができる。このように、前述した外壁体の側壁に設けられた案内部に加えて、前壁及び後壁の内面の上端にそれぞれ設けられた前壁側案内部及び後壁側案内部により、外壁体の幅方向の左右両側がいずれも、前方、後方及び側方の三方から囲われるように、上記の案内部が設けられるので、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを、効果的に防止することができる。
請求項に係る発明は、構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁であって、下側構造材に沿って延びるとともに下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、下側構造材に連結された外壁体と、上側構造材に沿って延びるとともに上側構造材から垂下し、外壁体に上方から挿入された状態でかつ外壁体の幅方向に移動自在に収容され、上側構造材に連結された内壁体と、外壁体の内部に充填され、外壁体の内面と内壁体との間に存する粘性流体と、内壁体の上部の幅方向における左右両側と、外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、下側構造材と上側構造材との相対変位に伴って、内壁体が外壁体内で幅方向に移動する際に、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、を備えており、粘性流体溢れ防止手段は、外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ左右対称で別個に設けられ、外壁体の左右の側壁において、各側壁の上端に沿って前後方向に延び、外壁体の内方に向かって水平に所定長さ突出する蓋部を有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁体の上部の幅方向における左右両側に、粘性流体溢れ防止手段としての蓋部がそれぞれ左右対称で別個に設けられている。各蓋部は、外壁体の左右の側壁において、その上端に沿って前後方向に延び、外壁体の内方に向かって水平に所定長さ突出している。これにより、内壁体が外壁体内において幅方向に移動し、それに伴い、粘性流体の液面が外壁体の側壁の内面に沿って上昇した際に、蓋部によって、その液面を押し止めることができるので、その液面が外壁体を乗り越えることはなく、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止することができる。
請求項に係る発明は、請求項に記載の制震壁において、粘性流体溢れ防止手段は、蓋部の前端付近及び後端付近からそれぞれ、外壁体の前壁又は後壁の上端に沿って所定長さ延び、外壁体の内方に向かって水平に所定長さ突出する前壁側蓋部及び後壁側蓋部を、さらに有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁体の前壁及び後壁には、蓋部の前端付近及び後端付近からそれぞれ、前壁又は後壁の上端に沿って所定長さ延びる前壁側蓋部及び後壁側蓋部が設けられており、これらの前壁側蓋部及び後壁側蓋部はいずれも、外壁体の内方に向かって水平に所定長さ突出している。粘性流体の液面が、外壁体の幅方向の左右両側において、前壁及び後壁の内面に沿って上昇した際に、前壁側蓋部及び後壁側蓋部によって、その液面を押し止めることができるので、その液面が外壁体の前壁及び後壁を乗り越えることはなく、粘性流体が外壁体の上端の開口の前後に溢れ出るのを防止することができる。このように、前述した外壁体の側壁に設けられた蓋部に加えて、前壁及び後壁の上端にそれぞれ設けられた前壁側蓋部及び後壁側蓋部により、外壁体の幅方向の左右両側がいずれも、前方、後方及び側方の三方から囲われるように、上記の蓋部が設けられるので、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを、効果的に防止することができる。
請求項に係る発明は、請求項5又は6に記載の制震壁において、蓋部は、側壁に固定された蓋部本体と、この蓋部本体に、内壁体に対向した状態に設けられ、内壁体によって押圧されたときに変形するとともに、押圧が解除されたときに元の状態に復元する変形・復元部とを有していることを特徴とする。
この構成によれば、蓋部が、側壁に固定された蓋部本体と、この蓋部本体に設けられた変形・復元部とを有している。この変形・復元部は、外壁体内で幅方向に移動する内壁体が当たることよって押圧されたときに変形し、その押圧が解除されたときに元の状態に復元する。これにより、蓋部に内壁体が干渉しても、蓋部が破損することなく、外壁体からの粘性流体の溢れ防止機能を維持することができる。
請求項に係る発明は、構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁であって、下側構造材に沿って延びるとともに下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、下側構造材に連結された外壁体と、上側構造材に沿って延びるとともに上側構造材から垂下し、外壁体に上方から挿入された状態でかつ外壁体の幅方向に移動自在に収容され、上側構造材に連結された内壁体と、外壁体の内部に充填され、外壁体の内面と内壁体との間に存する粘性流体と、内壁体の上部の幅方向における左右両側と、外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、下側構造材と上側構造材との相対変位に伴って、内壁体が外壁体内で幅方向に移動する際に、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、を備えており、粘性流体溢れ防止手段は、外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ設けられ、外壁体の左右の側壁において、側壁の内面の上端に沿って前後方向に延びるとともに、外壁体の内方に向かって、前上がりに傾斜した状態で、所定長さ突出し、内壁体が外壁体内において幅方向に移動したときに、粘性流体の液面及び/又は内壁体による押圧によって起立するように変形しながら、粘性流体の液面を押さえるための起立変形部を有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁体の上部の幅方向における左右両側に、粘性流体溢れ防止手段としての起立変形部がそれぞれ設けられている。各起立変形部は、外壁体の左右の側壁において、その内面の上端に沿って前後方向に延びるとともに、外壁体の内方に向かって、前上がりに傾斜した状態で、所定長さ突出している。また、この起立変形部は、内壁体が外壁体内において幅方向に移動したときに、粘性流体の液面及び/又は内壁体による押圧によって起立するように変形しながら、粘性流体の液面を押さえる。これにより、起立変形部に内壁体が干渉しても、起立変形部が損傷することなく、外壁体からの粘性流体の溢れ防止機能を維持することができる。
請求項に係る発明は、構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁であって、下側構造材に沿って延びるとともに下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、下側構造材に連結された外壁体と、上側構造材に沿って延びるとともに上側構造材から垂下し、外壁体に上方から挿入された状態でかつ外壁体の幅方向に移動自在に収容され、上側構造材に連結された内壁体と、外壁体の内部に充填され、外壁体の内面と内壁体との間に存する粘性流体と、内壁体の上部の幅方向における左右両側と、外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、下側構造材と上側構造材との相対変位に伴って、内壁体が外壁体内で幅方向に移動する際に、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、を備えており、粘性流体溢れ防止手段は、外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ左右対称で別個に設けられ、板状に形成され、外壁体内の粘性流体の液面における端部を覆った状態で、粘性流体に浮かぶように配置された浮き板と、外壁体に設けられ、浮き板が外壁体の上端よりも上方に移動するのを阻止するためのストッパと、を有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁体の上部の幅方向における左右両側に、粘性流体溢れ防止手段としての浮き板及びストッパが設けられている。浮き板は、板状に形成され、外壁体内の粘性流体の液面における端部を覆った状態で、その粘性流体に浮かぶように配置されている。一方、ストッパは、外壁体に設けられ、浮き板が外壁体の上端よりも上方に移動するのを阻止するように構成されている。したがって、内壁体が外壁体内において幅方向に移動し、粘性流体の液面が外壁体の側壁の内面に沿って上昇するのに伴い、浮き板が上昇する場合、その浮き板は、ストッパによって、外壁体の上端よりも上方への移動が阻止され、その結果、粘性流体が外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止することができる。
請求項10に係る発明は、請求項に記載の制震壁において、ストッパは、外壁体の左右の側壁の上端部及び/又は外壁体の前壁及び後壁の上端部に固定され、浮き板が外壁体の上端付近まで上昇したときに、浮き板が下方から当接することによって、浮き板のそれ以上の上昇を阻止する当接用ストッパを有していることを特徴とする。
この構成によれば、前記ストッパとしての当接用ストッパは、外壁体の左右の側壁の上端部及び/又は外壁体の前壁及び後壁の上端部に固定されている。粘性流体の液面の上昇に伴い、浮き板が外壁体の上端付近まで上昇したときには、浮き板が当接用ストッパに下方から当接するので、浮き板のそれ以上の上昇を容易に阻止することができる。
請求項11に係る発明は、請求項に記載の制震壁において、ストッパは、上下方向に所定長さ延び、下端部が外壁体の内面に固定されるとともに、上端部が浮き板に固定され、浮き板が外壁体の上端付近まで上昇したときに、浮き板に下方への張力を作用させることにより、浮き板のそれ以上の上昇を阻止する引張り用ストッパを有していることを特徴とする。
この構成によれば、前記ストッパとしての引張り用ストッパは、上下方向に所定長さ延び、下端部が外壁体の内面に固定されるとともに、上端部が浮き板に固定されている。粘性流体の液面の上昇に伴い、浮き板が外壁体の上端付近まで上昇したときには、例えば引張り用ストッパがぴんと張った状態になることにより、浮き板に下方への張力を作用させ、浮き板のそれ以上の上昇を容易に阻止することができる。
本発明の第1実施形態による制震壁を、これを適用した建物の一部の構造材とともに概略的に示す図である。 図1の制震壁について、その左端部を破断して示す斜視図である。 (a)は、図1の制震壁の左上端部について、一部を破断して示す正面図であり、(b)は、内壁に形成された切欠き部を拡大して示す図である。 外壁体内で内壁が移動する際の粘性流体の液面の動作を説明するための図であり、(a)及び(b)は、内壁に切欠き部のない従来の制震壁における内壁体の移動の前後をそれぞれ示し、(c)及び(b)は、内壁に切欠き部を有する本実施形態の制震壁における内壁体の移動の前後をそれぞれ示している。 切欠き部の変形例を示す図であり、(a)は、全体が半円状に形成された切欠き部、(b)は内側辺が円弧状に形成された切欠き部を示す。 本発明の第2実施形態による制震壁であって、案内部が外壁体の上端部に設けられたものを説明するための図であり、(a)は、制震壁の左上端部について、一部を破断して示す正面図であり、(b)は、(a)のb-b線に沿う断面図、(c)は、左壁に固定された案内部を拡大して示す図である。 (a)は、図6(a)において、案内部の上方で内壁が切断された状態を上側から見たときの平面図、(b)は、(a)と同様の平面図であって、案内部を、外壁体の左壁に加えて、前壁及び後壁にも設けた状態を示す。 外壁体内で内壁が移動した際の粘性流体の液面の動作を説明するための図であり、(a)及び(b)は、案内部のない従来の制震壁における粘性流体の液面の動作を順に示し、(c)及び(d)は、案内部を有する第2実施形態の制震壁における粘性流体の液面の動作を順に示している。 案内部の各種の変形例を示す図である。 本発明の第3実施形態による制震壁であって、蓋部が外壁体の上端部に設けられたものを説明するための図であり、(a)は、制震壁の左上端部について、一部を破断して示す正面図であり、(b)は、(a)のb-b線に沿う断面図、(c)は、左壁に固定された蓋部を拡大して示す図であり、(d)は、(a)のd-d線に沿う断面図である。 (a)~(d)はそれぞれ、図10(a)~(d)に対応し、蓋部が外壁体の内面の上端付近に取り付けられた制震壁を示す図である。 外壁体内で内壁が移動した際の粘性流体の液面の動作を説明するための図であり、(a)及び(b)は、蓋部のない従来の制震壁における粘性流体の液面の動作を順に示し、(c)及び(d)は、蓋部を有する第3実施形態の制震壁における粘性流体の液面の動作を順に示している。 蓋部の変形例を説明するための図であり、(a)は、外壁体の左壁、前壁及び後壁にそれぞれ、側壁側蓋部、前壁側蓋部及び後壁側蓋部を設けた状態、(b)は、(a)の前壁側蓋部と後壁側蓋部の間に弾性蓋部を設けた状態、(c)は、(a)の前壁側蓋部と後壁側蓋部の間に可変蓋部を設けた状態を示す。 本発明の第4実施形態による制震壁であって、起立変形部が外壁体の上端部に設けられたものを説明するための図であり、(a)は、制震壁の左上端部について、一部を破断して示す正面図であり、(b)は、(a)のb-b線に沿う断面図、(c)は、(a)のc-c線に沿う断面図である。 (a)~(c)はそれぞれ、図14(a)~(c)に対応し、粘性流体溢れ防止手段としての起立変形部の変形後の状態を説明するための図である。 本発明の第5実施形態による制震壁であって、浮き板が外壁体内の粘性流体の液面上に配置されたものを説明するための図であり、(a)は制震壁の左上端部について、一部を破断して示す正面図であり、(b)は、(a)のb-b線に沿う断面図、(c)は、(a)のc-c線に沿う断面図である。 (a)~(c)はそれぞれ、図16(a)~(c)に対応し、浮き板が当接用ストッパに当接したときの状態を説明するための図である。 (a)~(c)はそれぞれ、図16(a)~(c)に対応し、当接用ストッパの変形例を説明するための図である。 (a)~(c)はそれぞれ、図16(a)~(c)に対応し、浮き板の上昇を阻止するストッパとして、引張り用ストッパを説明するための図である。 (a)~(c)はそれぞれ、図19(a)~(c)に対応し、浮き板に引張り用ストッパによる張力が作用したときの状態を説明するための図である。 第1実施形態と第2実施形態との組み合わせを説明するための図である。 第1実施形態と第3実施形態との組み合わせを説明するための図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による制震壁を、これを適用した建物の一部の構造材とともに概略的に示している。同図に示す建物B(構造物)は、例えば高層のビルであり、上下方向に延びる複数の柱(左柱PL及び右柱PRのみ図示)と、水平に延びる梁(上梁BU及び下梁BDのみ図示)を井桁状に組み合わせたラーメン構造を有している。
図2は、制震壁1について、その左端部を破断して示している。同図及び図1に示すように、制震壁1は、上階側の上梁BU(上側構造材)と、下階側の下梁BD(下側構造材)の間に設置されている。この制震壁1は、下梁BDに沿って延びるとともにその下梁BDから起立し、正面形状がほぼ矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、下梁BDに、複数のボルト(図示せず)で連結された外壁体2と、上梁BUに沿って延びるとともにその上梁BUから垂下し、外壁体2に上方から挿入された状態でかつ外壁体2の幅方向(図1の左右方向)に移動自在に収容され、上梁BUに、複数のボルト(図示せず)で連結された内壁体3と、外壁体2内に充填された粘性流体4とを備えている。
外壁体2は、互いに前後方向に所定間隔を隔てて配置された前後の外壁(以下、これらを区別する場合には「前壁11」及び「後壁12」という)と、これらの外壁11、12の左右の端面がそれぞれ当接した状態で接合された左右の側壁(以下、これらを区別する場合には「左壁13」及び「右壁14」という)と、これらの外壁11、12及び側壁13、14の下端面がそれぞれ当接した状態で接合された底壁15とにより、上端に開口2aを有する箱状に形成されている。また、外壁体2の内部には、前壁11と後壁12の間に、互いに所定間隔を隔てた複数の(図2では5つ)仕切壁16が配置され、各仕切壁16の左右の端面及び下端面がそれぞれ、左壁13、右壁14及び底壁15に当接した状態で接合されている。上記の前壁11、後壁12、左壁13、右壁14、底壁15及び仕切壁16はいずれも、所定厚さを有する鋼板で構成されており、これらが溶接などによって接合されている。
前壁11及び後壁12の上端部にはそれぞれ、外方に屈曲して水平に延び、さらに屈曲して上方に所定長さ延びるように形成された液溜まり部11a及び12aが設けられている。これらの液溜まり部11a及び12aにより、外壁体2の上端部は、それよりも下位の部分よりも、前後方向に拡幅した状態に形成されている。
このように構成された外壁体2内には、粘度が比較的高い所定材料(例えばポリイソブチレン)から成る粘性流体4が充填されており、その上面である液面4aが、前壁11及び後壁12の液溜まり部11a、12aの底部よりも若干高く位置している。
一方、内壁体3は、正面形状がほぼ矩形状に形成され、互いに前後方向に所定間隔を隔てて配置された複数(本実施形態では6つ)の内壁21と、これらの内壁21の上端が下方から当接した状態で接合されたフランジ22とで構成されている。これらの内壁21及びフランジ22はいずれも、所定厚さを有する鋼板で構成されており、これらが溶接などによって接合されている。
内壁体3の各内壁21は、左右方向の横幅寸法が、外壁体2の外壁11、12及び仕切壁16のそれよりも短く、外壁体2の左右の側壁13、14との間に所定間隔を有している。また、これらの内壁21は、前壁11と仕切壁16との間、仕切壁16、16同士の間、又は仕切壁16と後壁12との間にそれぞれ挿入され、前後方向に隣接する外壁11、12又は仕切壁16との間に、所定の隙間を隔てて配置されている。さらに、各内壁21の上部の左右両側には、本発明の粘性流体溢れ防止手段としての切欠き部23、23が形成されている。なお、内壁21の左右の切欠き部23、23は、左右対称に形成されているので、以下の説明では、左側の切欠き部23を代表して説明するものとする。
図3(a)は、制震壁1の左上端部を、一部破断して示しており、図3(b)は、同図(a)の一点鎖線の円Cで囲まれた切欠き部23及びその周囲を拡大して示している。図3に示すように、内壁21に形成された左側の切欠き部23は、左方に向かって開口し、内壁21の内方(図3の右方)に所定長さ凹んだ凹状に形成されている。
具体的には、この切欠き部23は、互いに上下方向に所定間隔を隔てて、左右方向に水平に延びる上側辺23a及び下側辺23bと、両辺23a、23bの右端部に連なって上下方向に延びる内側辺23cとにより、正面形状が左方に開口するコ字状に形成されている。また、切欠き部23の上側辺23aは、外壁体2の前後の外壁11、12の上端よりも若干低い位置に位置する一方、下側辺23bは、前後の液溜まり部11a、12aの底部よりも若干高くかつ粘性流体4の液面4aよりも低い位置に位置している。さらに、切欠き部23の上下の隅部、すなわち、上側辺23aと内側辺23cとの間の隅部23d、及び下側辺23bと内側辺23cとの間の隅部23eはいずれも、円弧状に形成されている。
ここで、図4を参照して、外壁体2内で内壁21が移動する場合において、上記切欠き部23の有無による粘性流体4の液面4aの動作について説明する。図4(a)及び(b)は、内壁21に切欠き部23がない内壁体3の移動の前後を示しており、図4(c)及び(d)は、内壁21に切欠き部23を有する内壁体3の移動の前後を示している。なお、図4(a)~(d)に示す液面4aは、平常時における粘性流体4の液面の位置を示している。
図4(a)に示す状態から、内壁体3が左方に所定距離、移動すると、内壁21の左端面と外壁体2の左壁13との間に位置する粘性流体4が左方に押圧される。この場合、同図(b)に示すように、その粘性流体4が隆起し、液面4bが上昇して、左壁13の上端よりも高くなることがある。そして、その液面4bが左壁13を乗り越えることで、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るおそれがある。
これに対し、内壁21に切欠き部23を有する本実施形態の制震壁1では、図4(c)に示す状態から、上記と同様に、内壁体3が左方に所定距離、移動すると、切欠き部23が凹んでいる長さ分、外壁体2の左壁13と切欠き部23の内側辺23cとの距離が大きいため、同図(d)に示すように、粘性流体4の液面4cの上昇が抑制される。
以上のように、第1実施形態によれば、各内壁21の上部の左右両側に、上記切欠き部23を設けることにより、内壁体3が左右方向に移動した際の粘性流体4の液面4aの上昇を効果的に抑制することができる。その結果、粘性流体4の液面4aが外壁体2の側壁13、14を乗り越えることがなく、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るのを防止することができる。また、切欠き部23の上下の隅部23d及び23eが円弧状に形成されているので、内壁体3が左右方向に移動する際に、両隅部23d及び23eで応力集中が生じるのを回避し、内壁21の切欠き部23における亀裂などの発生を効果的に防止することができる。
なお、内壁21に形成される切欠き部23は、コ字状に限定されるものではなく、種々の形状を採用することが可能である。例えば、図5(a)に示す切欠き部23Aは、正面形状が左方に開口する半円形に形成されている。また、同図(b)に示す切欠き部23Bは、内側辺23cが垂直に形成された前記切欠き部23と異なり、内側辺が円弧状に形成されている。これらの切欠き部23A又は23Bを、内壁21に形成した場合も、前記切欠き部23を内壁21に有する制震壁1と同様の前述した効果を得ることができる。
次に、図6~図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では、前述した第1実施形態と異なる点を中心に説明し、共通の構成部分については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略するものとする。
本実施形態の制振壁1は、本発明の粘性流体溢れ防止手段として、前記第1実施形態の切欠き部23に代えて、外壁体2の上端部の左右両側に、上昇する粘性流体4の液面4aを外壁体2の内方に案内するための案内部25、25を有している。なお、本実施形態の制震壁1では、内壁体3の各内壁21に、前述した切欠き部23は設けられていない。また、外壁体2の上端部の左右の案内部25、25は、左右対称に設けられているので、以下の説明では、左側の案内部25を代表して説明するものとする。
図6(a)は、制震壁1の左上端部を、一部破断して示しており、同図(b)は、同図(a)のb-b線に沿う断面図、同図(c)は、同図(a)の案内部25を拡大して示している。この案内部25は、比較的硬質の材料(例えば金属や合成樹脂)から成り、外壁体2の左壁13の上端部に固定されている。より具体的には、案内部25は、断面が縦長で、外壁体2の上端の開口2aよりも上方に若干突出し、下部に傾斜した案内面25aを有するとともに、外壁体2の左壁13の上端に沿って、前壁11及び後壁12の両液溜まり部11a及び12a間の全体にわたり、前後方向(図6(b)の左右方向、図7(a)の上下方向)に延びている。
図6(c)に示すように、外壁体2の左壁13の内面(図6(c)の右面)の上端部に固定された案内部25の案内面25aは、外壁体2の内方(図6(c)の右方)に前上がりに、所定角度(例えば45度)で傾斜するように形成されている。この案内面25aにより、後述するように、左壁13に沿って上昇する粘性流体の液面4aが、外壁体2の内方に案内される。
図7(a)は、図6(a)において、案内部25の上方で内壁21が切断された状態をを示している。図7(a)に示すように、案内部25を左側壁13に設ける他、図7(b)に示すように、前壁11及び後壁12の液溜まり部11a、12aの上端部に左右方向に延びるように設けてもよい。すなわち、前壁11の液溜まり部11aの上端部において、前記案内部25の前端に連なり、右方に所定長さ延びる前壁側案内部26を設けるとともに、後壁12の液溜まり部12aの上端部において、前記案内部25の後端に連なり、右方に所定長さ延びる後壁側案内部27を設けてもよい。
これらの前壁側案内部26及び後壁側案内部27は、案内部25と同じ断面を有しており、具体的には、外壁体2の上端の開口2aよりも上方に若干突出するとともに、下部に前記案内面25aと同様、外壁体2の内方に前上がりに傾斜した案内面を有している。すなわち、前壁側案内部26は、その下部に後方に前上がりに傾斜した案内面を、後壁側案内部27は、その下部に前方に前上がりに傾斜した案内面を有している。なお、上記の前壁側案内部26及び後壁側案内部27は、前記案内部25と一体に構成する他、別体に構成することも可能である。
ここで、図8を参照して、上記案内部25の有無による粘性流体4の液面4aの動作について説明する。図8(a)及び(b)は、案内部25がないときの粘性流体4の液面4aの動作を順に示し、同図(c)及び(d)は、外壁体2の左壁13の内面上端部に、案内部25が設けられているときの粘性流体4の液面4aの動作を順に示している。
前述したように、内壁体3が左方に所定距離、移動すると、内壁21の左端面と外壁体2の左壁13との間に位置する粘性流体4が左方に押圧される。これにより、その粘性流体4は隆起し、例えば図8(a)に白抜き矢印で示すように、液面4aが左壁13の内面に沿って上昇する。そして、粘性流体4の液面4aが、左壁13の内面に沿ってさらに上昇し、同図(b)に示すように、左壁13の上端よりも高くなり、その液面4aが左壁13を乗り越えることで、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るおそれがある。
これに対し、外壁体2の左壁13の内面上端部に案内部25を設けた場合には、粘性流体4の液面4aが、外壁体2の左壁13の内面に沿って、図8(c)に示すように上昇した後、同図(d)に白抜き矢印で示すように、案内部25の案内面25aに沿って、右上に案内される。この場合、左壁13に設けられた案内部25で案内された粘性流体4の液面4aは、外壁体2の内方に案内されるため、前述した図8(b)と異なり、左壁13を乗り越えることはない。
以上のように、第2実施形態によれば、外壁体2の上端部の左右両側に、案内部25(26、27)を設けることにより、外壁体2の側壁13、14や外壁11、12の内面に沿って上昇する粘性流体4の液面4aに対し、その移動方向を変え、外壁体2の内方に案内することができる。これにより、粘性流体4の液面4aが、外壁体2の側壁13、14や外壁11、12を乗り越えることはなく、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るのを防止することができる。
なお、案内部25は、上述した断面を有するものに限定されるものではなく、種々の断面形状を有するものを採用することが可能である。図9は、案内部の各種の変形例を示している。同図(a)に示す案内部31は、三角形の断面を有しており、前記案内部25と同様の案内面31aを有している。また、同図(b)に示す案内部32は、上記案内部31と同様の三角形の断面を有するとともに、円弧状の案内面32aを有している。また、同図(c)に示す案内部33は、板状の断面を有しており、前記案内部25と同様の案内面33aを有している。また、同図(d)に示す案内部34は、上記案内部33と同様の板状の断面を有するとともに、円弧状の案内面34aを有している。さらに、同図(e)に示す案内部35は、円形の断面を有しており、円弧状の案内面35aを有している。以上のように構成された案内部31~35も、前述した案内部25と同様、本発明の粘性流体溢れ防止手段としての機能を発揮することができる。
次に、図10~図13を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の制震壁1は、本発明の粘性流体溢れ防止手段として、前記第2実施形態の案内部31に代えて、外壁体2の上端部の左右両側に、上昇する粘性流体4の液面4aを上方から押し止めるための蓋部41、41を有している。なお、外壁体2の上端部の左右の蓋部41、41は、左右対称に設けられているので、以下の説明では、左側の蓋部41を代表して説明するものとする。
図10(a)は、制震壁1の左上端部を、一部破断して示しており、同図(b)は、同図(a)のb-b線に沿う断面図、同図(c)は、同図(a)の蓋部41を拡大して示しており、同図(d)は、同図(a)のd-d線に沿う断面図である。この蓋部41は、剛性が比較的高い材料(例えば鋼材)から成り、外壁体2の左壁13の上端面及び前後の液溜まり部11a、12aの上端面に固定されている。より具体的には、蓋部41は、比較的細長く、平面形状が縦長の板状に形成されている。また、蓋部41は、図10(c)に示すように、断面が横長矩形状で、外壁体2の内方、すなわち左壁13から右方に向かって水平に所定長さ突出し、左壁13の上端に沿って、前後の液溜まり部11a、12a間の全体にわたり前後方向(図10(b)の左右方向、図10(d)上下方向)に延びている。
また、上記の蓋部41に代えて、左壁13の内面の上端付近に蓋部を設けることも可能である。図11(a)~(d)はそれぞれ、図10(a)~(d)に対応し、蓋部42が、左壁13の内面(図11(c)の右面)の上端付近に固定されている。この蓋部42は、上述した蓋部41と同様の材料で構成されている。また、蓋部42は、断面が横長矩形状で、上記蓋部41と同程度、左壁13から右方に向かって水平に突出し、左壁13の内面の上端に沿って、前後の液溜まり部11a、12a間の全体にわたり前後方向(図11(b)の左右方向、図11(d)の上下方向)に延びている。
ここで、図12を参照して、上記蓋部41の有無による粘性流体4の液面4aの動作について説明する。図12(a)及び(b)は、蓋部41がないときの粘性流体4の液面4aの動作を順に示し、同図(c)及び(d)は、外壁体2の左壁13の上端面に、蓋部41が設けられているときの粘性流体4の液面4aの動作を順に示している。
前述したように、内壁体3が左方に所定距離、移動すると、内壁21の左端面と外壁体2の左壁13との間に位置する粘性流体4が左方に押圧される。これにより、その粘性流体4は隆起し、例えば図12(a)に白抜き矢印で示すように、液面4aが左壁13の内面に沿って上昇する。そして、粘性流体4の液面4aが、左壁13の内面に沿ってさらに上昇し、同図(b)に示すように、左壁13の上端よりも高くなり、その液面4aが左壁13を乗り越えることで、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るおそれがある。
これに対し、外壁体2の左壁13の上端面に蓋部41を設けた場合には、粘性流体4の液面4aが、外壁体2の左壁13の内面に沿って、図12(c)に示すように上昇した後、同図(d)に白抜き矢印で示すように、蓋部41の突出した下面に下方から当たり、それ以上の上昇が阻止される。すなわち、粘性流体4の液面4aの上昇が、蓋部41によって押し止められる。
図13は、前述した蓋部41の変形例を示している。同図(a)は、左壁13に加えて、前壁11及び後壁12の上端面に固定され、平面形状が右方に開口する凹状の蓋部43(蓋部本体)を示している。この蓋部43は、前述した蓋部41と同様に構成され、左壁13の上端に沿って前後方向に延びる側壁側蓋部43aと、その前端部及び後端部にそれぞれ連なり、右方に所定長さ延び、かつ、内壁体3の前後の内壁21、21付近まで、外壁体2の内方に水平に突出する前壁側蓋部43b及び後壁側蓋部43cを有している。そして、この蓋部43の内側、すなわち、側壁側蓋部43a、前壁側蓋部43b及び後壁側蓋部43cで囲まれたスペースには、内壁体3が左方に移動した際に、すべての内壁21が干渉するのを回避するための干渉回避部43dが画成されている。これにより、内壁体3が移動したときに、内壁21が蓋部43に干渉することがないので、その蓋部43の損傷を防止することができる。
また、上記の蓋部43の干渉回避部43dに、内壁体3の内壁21で押圧された際に一時的に変形し、その押圧が解除後に復元可能な構造のものを配置することも可能である。図13(b)は、上記の干渉回避部43dにゴムなどの弾性材料から成る弾性蓋部45(変形・復元部)を有する蓋部44を示してる。また、図13(c)は、上記の弾性蓋部45に代えて、ハニカム構造を有することで左右方向に変形及び復元可能な可変蓋部47(変形・復元部)を有する蓋部46を示している。
以上のように、第3実施形態によれば、外壁体2の上端部の左右両側に、蓋部41、42、43、44又は46を設けることにより、外壁体2の側面13、14や外壁11、12の内面に沿って上昇する粘性流体4の液面4aを、上記の蓋部41、42、43、44又は46によって押し止めることができる。これにより、粘性流体4の液面4aが外壁体2の側壁13、14や外壁11、12を乗り越えることはなく、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るのを防止することができる。
次に、図14及び図15を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の制震壁1は、本発明の粘性流体溢れ防止手段として、前記第2実施形態の案内部31及び第3実施形態の蓋部41~46に代えて、外壁体2の左壁13及び右壁14の内面の上端部にそれぞれ固定され、粘性流体4の液面4a及び/又は左右方向に移動した内壁体3による押圧によって起立するように変形しながら、上昇する粘性流体4の液面4aを押さえるための起立変形部49を有している。なお、外壁体2の上端部の左右の起立変形部49、49は、左右対称に設けられているので、以下の説明では、左側の起立変形部49を代表して説明するものとする。
図14(a)は、制震壁1の左上端部を、一部破断して示しており、同図(b)は、同図(a)のb-b線に沿う断面図、同図(c)は、同図(a)のc-c線に沿う断面図である。本実施形態の起立変形部49は、所定の材料(例えばゴムや合成樹脂)から成り、粘性流体4や内壁体3による押圧によって一時的に変形し、その押圧の解除後に復元可能な所定形状に成形されている。
具体的には、起立変形部49は、図14(c)に示すように、平面形状が前後方向に延びる縦長矩形状に形成されている。また、起立変形部49は、その大部分を占め、平面形状が台形状に形成された台形部49aが、右方に向かって前上がりに傾斜している。さらに、台形部49aの前後にそれぞれ、平面形状が三角形状に形成された前三角部49b及び後三角部49cが連なっており、図14(b)に示すように、前三角部49bが前壁11側に前下がりに、後三角部49cが後壁12側に前下がりに傾斜している。そして、この起立変形部49は、台形部49aの左端部が上方に折り返された状態で、左壁13の内面の上端部に固定されている。
図14に示す状態から、内壁体3が左方に移動すると、図15に示すように、起立変形部49の台形部49aが内壁21によって右方から押圧される。これにより、起立変形部49は、その台形部49aが押し上げられ、起立するように変形する。またこの場合、内壁21の左端面と外壁体2の左壁13との間に位置する粘性流体4も左方に押圧され、図15(a)に示すように、液面4bが上昇する。そして、この液面4bは、起立変形部49によって押さえられる。なお、内壁体3が、右方に移動し、起立変形部49への押圧が解除されると、その起立変形部49は、図14に示す元の位置に戻る。
以上のように、第4実施形態によれば、起立変形部49に内壁21が干渉しても、起立変形部49は、上方に立ち上がるように変形するので、損傷することがなく、外壁体2からの粘性流体4の溢れ防止機能を維持することができる。
次に、図16~図20を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の制震壁1は、本発明の粘性流体溢れ防止手段として、前記第2実施形態の案内部31、第3実施形態の蓋部41~46、及び第4実施形態の起立変形部49に代えて、外壁体2の上部の左右両側に、粘性流体4の液面4aに浮かぶように配置された浮き板51、及びその上昇を阻止するためのストッパ52を有している。なお、外壁体2の上部の左右の浮き板51及びストッパ52は、これらを一組として、左右対称に設けられているので、以下の説明では、左側の浮き板51及びストッパ52を代表して説明するものとする。
図16(a)は、制震壁1の左上端部を、一部破断して示しており、同図(b)及び(c)はそれぞれ、同図(a)のb-b線及びc-c線に沿う断面図である。本実施形態の浮き板51は、粘性流体4よりも小さい比重を有する材料から成り、所定の厚さを有する板状に形成されている。また、浮き板51は、外壁体2の前壁11の液溜まり部11aと、後壁12の液溜まり部12aとの間の距離よりも若干短い長さを有し、平面形状が前後方向に延びる縦長矩形状に形成されている。
一方、ストッパ52は、前後一対のストッパから成り、浮き板51の前端部及び後端部がそれぞれ下方から当接可能に構成されている。なお、以下の説明では、このストッパ52を適宜、「当接用ストッパ」というものとする。前後の当接用ストッパ52、52は、前壁11及び後壁12の液溜まり部11a及び12aの上端面の左端部にそれぞれ固定されている。各当接用ストッパ25は、対応する液溜まり部11a又は12aに沿って左右方向に所定長さ延び、平面形状が横長矩形の板状に形成されている。また、当接用ストッパ52は、外壁体2の内方、すなわち、前側の当接用ストッパ52は後方に、後側の当接用ストッパ52は前方に、所定長さ突出している。
図17は、浮き板51が上昇し、当接用ストッパ52、52に下方から当接したときの状態を示している。内壁体3が、図16に示す状態から左方に移動し、外壁体2内の左壁13と内壁21との間の粘性流体4の液面4aが上昇すると、その液面4a上の浮き板51も上昇する。そして、図17に示すように、粘性流体4の液面4bが大きく上昇したときには、浮き板51も大きく上昇し、その前端部及び後端部がそれぞれ、前後の当接用ストッパ52、52に下方から当接する。これにより、浮き板51は、それ以上の上昇が阻止され、それに伴い、粘性流体4の液面4bの上昇が押さえられる。
また、例えば、浮き板51の剛性が低い場合には、上記のストッパ52に代えて、図18に示す当接用ストッパ53を採用してもよい。同図(c)に示すように、この当接用ストッパ53は、前記一対のストッパ52、52と同様に構成された前後の端部ストッパ部53a、53aと、これらの間において、互いに前後方向に所定間隔を隔てて配置され、左右方向に所定長さ延びる複数(本例では7つ)の補助ストッパ部53bとを有している。
これらの端部ストッパ部53a及び複数の補助ストッパ部53bは、左端部が互いに連なった状態で、平面形状が櫛歯状で一体に形成され、また、各補助ストッパ部53bは、内壁体3の各内壁21に対向しない位置に配置されている。そして、この当接用ストッパ53は、前後の端部ストッパ部53a、53aがそれぞれ、前後の液溜まり部11a、12aの上端面に固定されるのに加えて、左端部が左壁13の上端面に固定されている。
上記のように構成された当接用ストッパ53により、内壁体3が左方に移動した際に、各内壁21との干渉を回避しながら、浮き板51の前端部及び後端部に加えて、中間部分を安定して押さえることができる。
さらに、図19に示すように、上記の当接用ストッパ52、53に代えて、浮き板51に下方への張力を作用させることが可能な前後一対のストッパ54、54を採用してもよい。なお、以下の説明では、このストッパ54を適宜、「引張り用ストッパ」というものとする。
図19に示すように、前後の引張り用ストッパ54、54はいずれも、引張り強度が比較的高い材料から成り、上下方向に所定の長さ寸法を有する帯状に形成されている。前側の引張り用ストッパ54は、下端部が前壁11の液溜まり部11aの底部上面に固定され、上端部が浮き板51の下面前端部に固定されている。一方、後側の引張り用ストッパ54は、下端部が後壁12の液溜まり部12aの底部上面に固定され、上端部が浮き板51の下面後端部に固定されている。なお、図19(a)、(b)に示すように、浮き板51が粘性流体4の液面4aに浮いた状態では、各引張り用ストッパ54は、上下方向に弛んだ状態になっている。
図20は、内壁体3の左方への移動によって上昇した粘性流体4の液面4bにより、浮き板51が押し上げられ、外壁体2の上端付近に到達した状態を示している。この場合、前後の引張り用ストッパ54、54はいずれも、ぴんと張った状態となる。これにより、浮き板51には、両引張り用ストッパ54、54によって下方への張力が作用し、浮き板51のそれ以上の上昇が阻止される。
以上のように、第5実施形態によれば、外壁体2の上部の左右両側において、粘性流体4の液面4a上に、浮き板51、51を浮かぶように配置するとともに、各浮き板51が外壁体2の上端付近に上昇したときに、当接用ストッパ52又は53に下方から当接させたり、引張り用ストッパ54によって下方への張力を作用させたりすることにより、浮き板51のそれ以上の上昇を阻止することができる。これにより、浮き板51によって、上昇した粘性流体4の液面4bを押さえることができるので、粘性流体4が外壁体2の上端の開口2aから溢れ出るのを防止することができる。
なお、本発明は、上述した第1~第5実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第1実施形態の粘性流体溢れ防止手段と、第2~第5実施形態のいずれかの粘性流体溢れ防止手段とを組み合わせることも可能である。すなわち、内壁体3の各内壁21に設けられる左右の切欠き部23、23と、外壁体2の上部の左右両側に設けられる案内部25等、蓋部41等、起立変形部47又は浮き板51とを組み合わせることが可能である。
例えば、図21は、第1実施形態の切欠き部23と、第2実施形態の案内部32とを組み合わせた粘性流体溢れ防止手段を備えた制震壁1を、前述した図14~図20と同様に示している。図21に示す内壁21の切欠き部23と、左壁13の内面上端部に固定された案内部32とを備えた制震壁1では、内壁体3が左方に移動し、内壁21が左壁13に接近した場合でも、切欠き部23によって、案内部32との干渉が回避できるようになっている。
また、図22は、第1実施形態の切欠き部23と、第3実施形態の蓋部43’とを組み合わせた粘性流体溢れ防止手段を備えた制震壁1を、上述した図21と同様に示している。図22に示す蓋部43’は、前述した図13(a)に示す蓋部43と同じ構成材料であるが、その蓋部43と異なり、干渉回避部43dが設けられておらず、平面形状が縦長矩形状のものである。したがって、内壁21の切欠き部23と、左壁13の内面上端部に固定された上記の蓋部43’とを備えた制震壁1では、内壁体3が左方に移動し、内壁21が左壁13に接近した場合でも、切欠き部23によって、蓋部43’との干渉が回避できるようになっている。
なお、各実施形態で示した制震壁1の内壁体3では、6つの内壁21を有するものを示したが、内壁21の数はこれに限定されるものではなく、1以上であればよい。また、実施形態で示した制震壁1、外壁体2及び内壁体3の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 制震壁
2 外壁体
2a 開口
3 内壁体
4 粘性流体
4a 粘性流体の液面
11 外壁、前壁
11a 液溜まり部
12 外壁、後壁
12a 液溜まり部
13 側壁、左壁
14 側壁、右壁
21 内壁
23 切欠き部(粘性流体溢れ防止手段)
23A 切欠き部(粘性流体溢れ防止手段)
23B 切欠き部(粘性流体溢れ防止手段)
23a 切欠き部の上側辺
23b 切欠き部の下側片
23c 切欠き部の内側辺
23d 切欠き部の上側の隅部
23e 切欠き部の下側の隅部
25 案内部
25a 案内部の案内面
26 前壁側案内部
27 後壁側案内部
31 案内部
32 案内部
33 案内部
34 案内部
35a 案内面
41 蓋部
42 蓋部
43 蓋部(蓋部本体)
43a 側壁側蓋部
43b 前壁側蓋部
43c 後壁側蓋部
43d 干渉回避部
44 蓋部
45 弾性蓋部(変形・復元部)
46 蓋部
47 可変蓋部(変形・復元部)
49 起立変形部
51 浮き板
52 当接用ストッパ(ストッパ)
53 当接用ストッパ(ストッパ)
53a 端部ストッパ
53b 補助ストッパ
54 引張り用ストッパ(ストッパ)
B 建物(構造物)
PL 左柱
PR 右柱
BU 上梁(上側構造材)
BD 下梁(下側構造材)

Claims (11)

  1. 構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、前記構造物の振動を抑制するための制震壁であって、
    前記下側構造材に沿って延びるとともに当該下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、前記下側構造材に連結された外壁体と、
    前記上側構造材に沿って延びるとともに当該上側構造材から垂下し、前記外壁体に上方から挿入された状態でかつ当該外壁体の幅方向に移動自在に収容され、前記上側構造材に連結された内壁体と、
    前記外壁体の内部に充填され、当該外壁体の内面と前記内壁体との間に存する粘性流体と、
    前記内壁体の上部の幅方向における左右両側と、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、前記下側構造材と前記上側構造材との相対変位に伴って、前記内壁体が前記外壁体内で幅方向に移動する際に、前記粘性流体が前記外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、
    を備えており、
    前記粘性流体溢れ防止手段は、前記内壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ設けられ、前記外壁体に充填された前記粘性流体の液面の上方から下方にわたって外方に開口し、かつ、内方に所定長さ凹んだ凹状の切欠き部を有していることを特徴とする制震壁。
  2. 前記切欠き部は、正面形状がコ字状に形成され、内側の上下の隅部が円弧状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の制震壁。
  3. 構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、前記構造物の振動を抑制するための制震壁であって、
    前記下側構造材に沿って延びるとともに当該下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、前記下側構造材に連結された外壁体と、
    前記上側構造材に沿って延びるとともに当該上側構造材から垂下し、前記外壁体に上方から挿入された状態でかつ当該外壁体の幅方向に移動自在に収容され、前記上側構造材に連結された内壁体と、
    前記外壁体の内部に充填され、当該外壁体の内面と前記内壁体との間に存する粘性流体と、
    前記内壁体の上部の幅方向における左右両側と、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、前記下側構造材と前記上側構造材との相対変位に伴って、前記内壁体が前記外壁体内で幅方向に移動する際に、前記粘性流体が前記外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、
    を備えており、
    前記粘性流体溢れ防止手段は、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ設けられ、当該外壁体の左右の側壁において、当該各側壁の内面の上端に沿って前後方向に延び、前記粘性流体の液面が前記側壁の内面に沿って上昇したときに、当該液面を前記外壁体の内方に案内するための案内部を有していることを特徴とする制震壁。
  4. 前記粘性流体溢れ防止手段は、前記案内部の前端付近及び後端付近からそれぞれ、前記外壁体の前壁又は後壁の内面の上端に沿って所定長さ延び、前記粘性流体の液面が前記前壁及び/又は前記後壁の内面に沿って上昇したときに、当該液面を前記外壁体の内方に案内するための前壁側案内部及び後壁側案内部を、さらに有していることを特徴とする請求項に記載の制震壁。
  5. 構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、前記構造物の振動を抑制するための制震壁であって、
    前記下側構造材に沿って延びるとともに当該下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、前記下側構造材に連結された外壁体と、
    前記上側構造材に沿って延びるとともに当該上側構造材から垂下し、前記外壁体に上方から挿入された状態でかつ当該外壁体の幅方向に移動自在に収容され、前記上側構造材に連結された内壁体と、
    前記外壁体の内部に充填され、当該外壁体の内面と前記内壁体との間に存する粘性流体と、
    前記内壁体の上部の幅方向における左右両側と、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、前記下側構造材と前記上側構造材との相対変位に伴って、前記内壁体が前記外壁体内で幅方向に移動する際に、前記粘性流体が前記外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、
    を備えており、
    前記粘性流体溢れ防止手段は、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ左右対称で別個に設けられ、当該外壁体の左右の側壁において、当該各側壁の上端に沿って前後方向に延び、当該外壁体の内方に向かって水平に所定長さ突出する蓋部を有していることを特徴とする制震壁。
  6. 前記粘性流体溢れ防止手段は、前記蓋部の前端付近及び後端付近からそれぞれ、前記外壁体の前壁又は後壁の上端に沿って所定長さ延び、当該外壁体の内方に向かって水平に所定長さ突出する前壁側蓋部及び後壁側蓋部を、さらに有していることを特徴とする請求項に記載の制震壁。
  7. 前記蓋部は、前記側壁に固定された蓋部本体と、この蓋部本体に、前記内壁体に対向した状態に設けられ、当該内壁体によって押圧されたときに変形するとともに、当該押圧が解除されたときに元の状態に復元する変形・復元部とを有していることを特徴とする請求項5又は6に記載の制震壁。
  8. 構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、前記構造物の振動を抑制するための制震壁であって、
    前記下側構造材に沿って延びるとともに当該下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、前記下側構造材に連結された外壁体と、
    前記上側構造材に沿って延びるとともに当該上側構造材から垂下し、前記外壁体に上方から挿入された状態でかつ当該外壁体の幅方向に移動自在に収容され、前記上側構造材に連結された内壁体と、
    前記外壁体の内部に充填され、当該外壁体の内面と前記内壁体との間に存する粘性流体と、
    前記内壁体の上部の幅方向における左右両側と、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、前記下側構造材と前記上側構造材との相対変位に伴って、前記内壁体が前記外壁体内で幅方向に移動する際に、前記粘性流体が前記外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、
    を備えており、
    前記粘性流体溢れ防止手段は、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ設けられ、当該外壁体の左右の側壁において、当該側壁の内面の上端に沿って前後方向に延びるとともに、当該外壁体の内方に向かって、前上がりに傾斜した状態で、所定長さ突出し、前記内壁体が前記外壁体内において幅方向に移動したときに、前記粘性流体の液面及び/又は前記内壁体による押圧によって起立するように変形しながら、前記粘性流体の液面を押さえるための起立変形部を有していることを特徴とする制震壁。
  9. 構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、前記構造物の振動を抑制するための制震壁であって、
    前記下側構造材に沿って延びるとともに当該下側構造材から起立し、正面形状が矩形状でかつ上方に開口する箱状に形成され、前記下側構造材に連結された外壁体と、
    前記上側構造材に沿って延びるとともに当該上側構造材から垂下し、前記外壁体に上方から挿入された状態でかつ当該外壁体の幅方向に移動自在に収容され、前記上側構造材に連結された内壁体と、
    前記外壁体の内部に充填され、当該外壁体の内面と前記内壁体との間に存する粘性流体と、
    前記内壁体の上部の幅方向における左右両側と、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側との少なくとも一方に設けられ、前記下側構造材と前記上側構造材との相対変位に伴って、前記内壁体が前記外壁体内で幅方向に移動する際に、前記粘性流体が前記外壁体の上端の開口から溢れ出るのを防止するための粘性流体溢れ防止手段と、
    を備えており、
    前記粘性流体溢れ防止手段は、前記外壁体の上部の幅方向における左右両側にそれぞれ左右対称で別個に設けられ、
    板状に形成され、前記外壁体内の前記粘性流体の液面における端部を覆った状態で、当該粘性流体に浮かぶように配置された浮き板と、
    前記外壁体に設けられ、前記浮き板が前記外壁体の上端よりも上方に移動するのを阻止するためのストッパと、
    を有していることを特徴とする制震壁。
  10. 前記ストッパは、前記外壁体の左右の側壁の上端部及び/又は当該外壁体の前壁及び後壁の上端部に固定され、前記浮き板が前記外壁体の上端付近まで上昇したときに、当該浮き板が下方から当接することによって、当該浮き板のそれ以上の上昇を阻止する当接用ストッパを有していることを特徴とする請求項に記載の制震壁。
  11. 前記ストッパは、上下方向に所定長さ延び、下端部が前記外壁体の内面に固定されるとともに、上端部が前記浮き板に固定され、前記浮き板が前記外壁体の上端付近まで上昇したときに、当該浮き板に下方への張力を作用させることにより、当該浮き板のそれ以上の上昇を阻止する引張り用ストッパを有していることを特徴とする請求項に記載の制震壁。
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