JP7073226B2 - オイルレベルゲージ - Google Patents

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Description

本発明は、オイルレベルゲージに関する。
たとえば、自動変速機では、回転要素と別の回転要素とを連結するためのクラッチや回転要素を制動するためのブレーキが多く使用されている。クラッチやブレーキには、作動のためのオイル(作動油)を供給する必要がある。また、クラッチやブレーキなどは、回転要素間の差回転を吸収しなければならず、潤滑のためのオイル(潤滑油)の供給を必要とする。
そのため、自動変速機の外殻をなすトランスミッションケースの底部には、オイルを貯留するオイルパンが取り付けられている。そして、オイルパンに貯留されているオイルがオイルポンプにより吸い上げられ、油圧回路を形成するバルブボディを通して、オイルの供給を必要とする各部に作動油または潤滑油として供給される。
オイルパンに貯留されているオイルの量(トランスミッションケース内のオイルの量)が多すぎると、オイルに浸かっている回転体(たとえば、デファレンシャルギヤなど)の回転時の撹拌抵抗が大きくなり、エネルギ損失の増大による燃費の悪化を招く。一方、オイルパンに貯留されているオイルの量が少なすぎると、作動油の油圧や潤滑油の油量の不足を生じたり、オイルポンプがオイルを良好に吸い上げることができず、いわゆるエア噛みが発生したりするおそれがある。
そこで、自動変速機には、オイルパンに貯留されているオイルの量が適正範囲内であるか否かを確認可能にするため、オイルレベルゲージが設けられている。
図12は、従来のオイルレベルゲージ103およびトランスミッションケース101におけるオイルレベルゲージ103の周辺の構造を示す断面図である。
トランスミッションケース101には、ゲージ差込口102が設けられており、オイルレベルゲージ103は、トランスミッションケース101の外部からゲージ差込口102に差し込まれて、ゲージ差込口102に装着される。
オイルレベルゲージ103は、ゲージ差込口102に圧入されてゲージ差込口102を塞ぐゴム栓部104と、ゴム栓部104からトランスミッションケース101内に延び、その先端部がオイルパンに貯留されているオイルに浸かるゲージ部105と、ゴム栓部104に対してゲージ部105と反対側に設けられるキャップ部106と、キャップ部106からトランスミッションケース101の外側に突出する引掛部107とを一体的に有している。
ゲージ差込口102は、略円筒状の内周面を有している。ゴム栓部104は、略円柱状の円柱状部108と、円柱状部108から周囲に張り出す山部109とを一体に有している。円柱状部108の外径は、ゲージ差込口102の内径よりも小さい。山部109は、円柱状部108の中心軸線方向に2個並べて設けられている。各山部109は、略三角形状の断面形状を有し、その断面形状で円柱状部109の全周を取り囲んだ形状をなしている。そして、各山部109の最大外径は、ゲージ差込口102の内径よりも大きく、各山部109は、ゲージ差込口102に対して締め代を持っている。そのため、オイルレベルゲージ103がゲージ差込口102に装着された装着状態では、各山部109は、ゲージ差込口102の内周面から常に圧縮荷重を受ける。
オイル量の確認に際しては、作業者により、装着状態のオイルレベルゲージ103の引掛部107に手指が引っ掛けられて、オイルレベルゲージ103がゲージ差込口102から引き抜かれる。ゲージ部105の先端部がオイルに浸かっていたので、オイルレベルゲージ103がゲージ差込口102から引き抜かれた直後の状態では、ゲージ部105の先端部にオイルが付着している。作業者は、ゲージ部105へのオイルの付着状況、つまりオイルが付着している部分の上端(ゴム栓部104側の端)の位置を確認することにより、オイルパンに貯留されているオイルの量が適正範囲内であるか否かを判別できる。オイル量の確認後、作業者により、オイルレベルゲージ103がゲージ差込口102に差し込まれて、オイルレベルゲージ103の装着状態に戻される。
特開2017-161229号公報
トランスミッションケース101は、たとえば、ダイカストにより鋳造されるアルミニウム製の鋳物である。そのため、トランスミッションケース101では、抜き勾配や鋳造型の劣化などにより、その表面が平滑でない場合がある。ゲージ差込口102の近傍でトランスミッションケース101の表面が平滑でない場合、オイルレベルゲージ103のキャップ部106とトランスミッションケース101の表面との間に隙間が生じることがある。
その隙間からゲージ差込口102にダストが進入し、ゲージ差込口102内にダストが溜まると、オイルレベルゲージ103がゲージ差込口102から引き抜かれるときに、その溜まったダストがオイルレベルゲージ103の山部109とゲージ差込口102の内周面との間に噛み込み、山部109やゲージ差込口102の内周面がダストで傷つくおそれがある。そして、山部109とゲージ差込口102の内周面との間に傷による隙間が生じたり、山部109とゲージ差込口102の内周面との間にダストの噛み込みによる隙間が生じたりし、最悪の場合にゲージ差込口102からのオイル漏れが発生する懸念がある。また、ゲージ差込口102に多量のダストが溜まると、オイル量の確認作業時に、ダストがトランスミッションケース101内に脱落する懸念を生じる。
本発明の目的は、ゲージ差込口へのダストの進入を抑制できる、オイルレベルゲージを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係るオイルレベルゲージは、ケースに形成されたゲージ差込口にケースの外側から抜き差し可能に構成され、ケース内に貯留されているオイルの量を確認するためのオイルレベルゲージであって、ゲージ差込口に差し込まれてゲージ差込口を閉塞する栓部と、栓部がゲージ差込口を閉塞した状態でケースの表面に当接するキャップ部とを含み、栓部は、ゲージ差込口に対して締め代を持ち、ゲージ差込口の内周面に押し付けられる山部と、キャップ部と山部との間に設けられ、ゲージ差込口の内周面の外側の端部に対して隙間を空けて対向するダスト進入防止部とを備える。
この構成によれば、栓部は、ケースに形成されたゲージ差込口に差し込まれて、そのゲージ差込口を閉塞する。この栓部がゲージ差込口を閉塞する状態で、キャップ部がケースの表面に当接する。栓部には、山部およびダスト進入防止部が設けられている。山部は、ゲージ差込口に対して締め代を持ち、ゲージ差込口の内周面に締め代を潰して押し付けられる。ダスト進入防止部は、山部とキャップ部との間に設けられ、栓部がゲージ差込口を閉塞する状態で、ゲージ差込口の外側の端部に対して隙間を空けて対向する。そのため、ケースの表面が平滑ではなく、キャップ部とケースの表面との間に隙間が生じていても、その隙間からゲージ差込口へのダストの進入を抑制できる。
ゲージ差込口へのダストの進入が抑制されるので、ゲージ差込口にダストが溜まることを抑制できる。その結果、ゲージ差込口に溜まったダストがオイルレベルゲージの山部とゲージ差込口の内周面との間に噛み込むことを抑制できる。よって、山部およびゲージ差込口の内周面がダストで傷ついたり、山部とゲージ差込口の内周面との間にダストの噛み込みによる隙間が生じたりすることを抑制でき、ひいては、ゲージ差込口からのオイル漏れを抑制することができる。
また、ダスト進入防止部が設けられていることにより、オイルレベルゲージとゲージ差込口の内周面との間に生じる空間の容積が低減されるので、ゲージ差込口にダストが進入しても、その空間に溜まるダストの量を低減できる。その結果、オイル量の確認作業時に、ゲージ差込口に溜まったダストがトランスミッションケース内に脱落することを抑制できる。
さらには、ダスト進入防止部は、ゲージ差込口の内周面の外側の端部に対して隙間を空けて対向するサイズに形成されているので、オイルレベルゲージをゲージ差込口に抜き差しする際の荷重に影響を与えない。よって、オイル量の確認の際の良好な作業性を確保することができる。
本発明によれば、ゲージ差込口へのダストの進入を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るオイルレベルゲージおよびそのオイルレベルゲージが設けられる自動変速機の一部を示す斜視図である。 図1に示される構成を車幅方向から見た側面図である。 オイルレベルゲージの側面図である。 ゲージ差込口の構成を示す断面図であり、ゲージ差込口にオイルレベルゲージが装着された状態を示す。 ゲージ差込口の構成を示す断面図であり、オイルレベルゲージが図4に示される状態から離脱方向に少し移動した状態を示す。 ゲージ差込口の外部側の端部およびダスト進入防止部の近傍を拡大して示す断面図である。 オイルレベルゲージの山部がゲージ差込口のテーパ面に当接した状態を拡大して示す断面図である。 オイルレベルゲージの山部がゲージ差込口のテーパ面に当接した状態を拡大して示す断面図である。 オイルレベルゲージがゲージ差込口に差し込まれる途中の状態を示す断面図である。 ゲージ差込口がテーパ面を有していない構成を示す断面図である。 工場作業でオイルレベルゲージがゲージ差込口に装着されるときの様子を示す斜視図である。 従来のオイルレベルゲージおよびトランスミッションケースにおけるオイルレベルゲージの周辺の構造を示す断面図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<オイルレベルゲージの位置>
図1は、本発明の一実施形態に係るオイルレベルゲージ6およびそのオイルレベルゲージ6が設けられる自動変速機1の一部を示す斜視図である。図2は、図1に示される構成を車幅方向から見た側面図である。
自動変速機1は、車両2の前部のエンジンコンパートメント内であって、左前輪3が収容されるタイヤハウジングの右側に配置されている。自動変速機1は、有段式の自動変速機(AT:Automatic Transmission)であってもよいし、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であってもよい。また、自動変速機1は、動力分割式無段変速機であってもよい。動力分割式無段変速機は、たとえば、変速比の変更により動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構を備え、インプット軸とアウトプット軸との間で動力を2つの経路に分岐して伝達可能な変速機である。
自動変速機1は、トランスミッションケース4を備えている。トランスミッションケース4は、たとえば、ダイカストにより鋳造されるアルミニウム製の鋳物である。トランスミッションケース4の底部には、オイルを貯留するオイルパン5が取り付けられている。そして、オイルパン5に貯留されているオイルがオイルポンプにより吸い上げられ、油圧回路を形成するバルブボディを通して、トランスミッションケース4内のオイルの供給を必要とする各部に作動油または潤滑油として供給される。
また、自動変速機1には、オイルパン5に貯留されているオイルの量が適正範囲内であるか否かを確認可能にするため、オイルレベルゲージ6が備えられている。オイルレベルゲージ6は、左前輪3が左に転舵された状態でタイヤハウジング内に露出するような位置に設けられている。オイルレベルゲージ6の位置の上方には、図2に示されるように、サイドメンバ7が前後方向に延びており、オイルレベルゲージ6の位置の前方には、ラジエータ8に接続されたラジエータホース9が上下方向に延びている。
<オイルレベルゲージの構成>
図3は、オイルレベルゲージ6の側面図である。
オイルレベルゲージ6は、栓部11、ゲージ部12、キャップ部13および挟持部14を備えている。栓部11、キャップ部13および挟持部14は、弾性変形可能な材料、たとえば、ゴムからなり、成形により一体に形成されている。
栓部11は、オイルレベルゲージ6の長手方向に延びる中心線まわりに回転対称に形成されている。栓部11には、3個の山部21,22,23が中心線方向に並べて形成されている。山部21,22,23は、いずれも、径方向外側に凸となる断面三角形状を有し、その断面三角形状が栓部11の周方向の全周にわたる環状をなしている。2個の山部21,22は、中心線方向の一方側からこの順に並び、同一形状に形成されている。残りの1個の山部23は、山部21,22に対して中心線方向の他方側に設けられ、2個の山部21,22とは異なる形状に形成されている。山部23の具体的な形状については、後述する。
また、栓部11には、山部21に対する中心線方向の一方側に、扁平な略円柱状のダスト進入防止部24が形成されている。
ゲージ部12は、金属からなり、栓部11から中心線方向の他方側に延びる細長い薄板状に形成されている。
キャップ部13は、栓部11に対して中心線方向の一方側に設けられている。キャップ部13は、扁平な略円柱状をなし、栓部11のダスト進入防止部24よりも大径に形成されている。
挟持部14は、キャップ部13に対して中心線方向の一方側に設けられている。挟持部14には、キャップ部13に連続する胴部31と、胴部31に連続する頭部32とが含まれる。胴部31は、中心線方向の中央部が円柱状に形成され、中心線方向の一方側および他方側の各端部が端に近づくほど拡径する形状に形成されている。頭部32は、円筒状の側面およびその側面の中心線方向の一方側に連続する球面状の端面を有している。頭部32の側面および端面を含む面は、胴部31の中心線方向の一方側の端縁の全周に跨がっている。
<ゲージ差込口の構成>
図4は、ゲージ差込口41の構成を示す断面図であり、ゲージ差込口41にオイルレベルゲージ6が装着された状態を示す。図5は、ゲージ差込口41の構成を示す断面図であり、オイルレベルゲージ6が図4に示される状態から離脱方向に少し移動した状態を示す。
トランスミッションケース4には、オイルパン5の底面と対向する部分に、ゲージ差込口41が形成されている。ゲージ差込口41は、トランスミッションケース4を貫通しており、トランスミッションケース4の内外を連通する。
また、ゲージ差込口41は、円筒状の内周面42を有している。ゲージ差込口41の外部側の端部には、面取り加工が施されており、ゲージ差込口41は、内周面42の外部側に連続して、外部側ほど拡径するように傾斜するテーパ面43を有している。また、ゲージ差込口41の内部側の端部にも、外部側の端部と同様の面取り加工が施されており、ゲージ差込口41は、内周面42の内部側に連続して、内部側ほど拡径するように傾斜するテーパ面44を有している。
<オイルレベルゲージの装着状態>
オイルレベルゲージ6は、ゲージ部12をトランスミッションケース4内に向けて、トランスミッションケース4の外側からゲージ差込口41に差し込まれる。オイルレベルゲージ6のキャップ部13の外径は、ゲージ差込口41の最大内径よりも大きく、キャップ部13がトランスミッションケース4に当接すると、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41にそれ以上に差し込まれることが阻止され、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着された状態となる。
この装着状態では、栓部11の2個の山部21,22およびダスト進入防止部24がゲージ差込口41内に配置される。山部21,22の最大外径は、ゲージ差込口41の内周面42の内径よりも大きく、山部21,22は、ゲージ差込口41に対して締め代を持っている。そのため、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着された状態では、山部21,22が弾性変形してゲージ差込口41の内周面42に押し付けられ、ゲージ差込口41が栓部11により液密的に閉塞される。
また、山部23の最大外径は、山部21,22の最大外径と同じであり、ゲージ差込口41の内周面42の内径よりも大きい。しかし、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着された状態では、山部23は、ゲージ差込口41からトランスミッションケース4内に抜けており、ゲージ差込口41の内周面42と接触していない。
そのため、トランスミッションケース4内の内圧が上昇して、オイルレベルゲージ6が内圧によりゲージ差込口41から離脱する方向に押されて移動しても、図5に示されるように、ゲージ差込口41から抜けている山部23がゲージ差込口41の内部側のテーパ面44に当接し、オイルレベルゲージ6のそれ以上の移動が阻止される。
また、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着された状態では、ゲージ部12の先端部がオイルパン5内に貯留されているオイルに浸かる。ゲージ部12の先端部がオイルに浸かるので、作業者は、オイルレベルゲージ6をゲージ差込口41から引き抜いて、ゲージ部12へのオイルの付着状況、つまりオイルが付着している部分の上端(プラグ部側の端)の位置を確認することにより、オイルパン5に貯留されているオイルの量が適正範囲内であるか否かを判別できる。
図6は、ゲージ差込口41の外部側の端部およびダスト進入防止部24の近傍を拡大して示す断面図である。
ダスト進入防止部24の外径は、ゲージ差込口41の内周面42の内径よりも僅かに小さい。オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着された状態において、ダスト進入防止部24は、ゲージ差込口41の内周面42との間に微小な隙間Gを空けて、その内周面42およびその外部側に連続するテーパ面43に対向する。
ダスト進入防止部24を備えていないオイルレベルゲージでは、図6に破線で示されるように、そのオイルレベルゲージとゲージ差込口41の内周面42およびテーパ面43との間に大きな空間が生じる。これと比較して、オイルレベルゲージ6では、ダスト進入防止部24が設けられているので、オイルレベルゲージ6とゲージ差込口41の内周面42およびテーパ面43との間に生じる空間の容積が低減される。
<内部側最端の山部の具体的な形状>
図7は、オイルレベルゲージ6の山部23がゲージ差込口41のテーパ面44に当接した状態を拡大して示す断面図である。図8は、オイルレベルゲージ6の山部23がゲージ差込口41のテーパ面43に当接した状態を拡大して示す断面図である。図9は、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に差し込まれる途中の状態を示す断面図である。
ゲージ差込口41のテーパ面43,44は、内周面42に対して同一の角度αで傾斜している。
オイルレベルゲージ6の栓部11に形成されている内部側最端の山部23は、円弧状の中央側面51と、中央側面51の外部側(中心線方向の一方側)に連続し、外部側ほど縮径する外部側テーパ面52と、中央側面51の内部側(中心線方向の他方側)に連続し、内部側ほど縮径する内部側テーパ面53とを有している。そして、山部23の外部側テーパ面52は、図7に示されるように、ゲージ差込口41の内部側のテーパ面44に対して角度β1で傾斜している。また、山部23の内部側テーパ面53は、図8に示されるように、ゲージ差込口41の外部側のテーパ面43に対して角度β1よりも小さい角度β2で傾斜している。
この構成により、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41から抜かれる途中、山部23がゲージ差込口41の内部側のテーパ面44に当接したときの山部23の変形に要する荷重が大きくなるのに対し、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に差し込まれる途中、山部23がゲージ差込口41の外部側のテーパ面43に当接したときの山部23の変形に要する荷重が小さくなる。
<作用効果>
以上のように、トランスミッションケース4内の内圧が上昇して、オイルレベルゲージ6が内圧によりゲージ差込口41から離脱する方向に押されて移動しても、図5に示されるように、ゲージ差込口41から抜けている山部23がゲージ差込口41の内部側のテーパ面44に当接し、オイルレベルゲージ6のそれ以上の移動が阻止される。その結果、ゲージ差込口41からのオイルレベルゲージ6の抜けを防止する機能を発揮することができる。
図10に示されるように、ゲージ差込口41がテーパ面44を有していない構成では、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41から離脱する方向に移動したときに、ゲージ差込口41の内部側の端縁が山部23に食い込むことにより、山部23が損傷するおそれがある。これに対し、ゲージ差込口41がテーパ面44を有する構成では、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41から離脱する方向に移動したときに、ゲージ差込口41の内部側の端縁が山部23に食い込むことを抑制でき、山部23が損傷することを抑制できる。
ゲージ差込口41の外部側の端部にも、外部側ほど拡径するように傾斜するテーパ面43が形成されている。これにより、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に差し込まれる際に、ゲージ差込口41の外部側の端縁が山部23に食い込むことを抑制でき、山部23が損傷することを抑制できる。
また、山部23の外部側のテーパ面52がゲージ差込口41の内部側のテーパ面44に対して角度β1で傾斜し、山部23の内部側のテーパ面53がゲージ差込口41の外部側のテーパ面43に対して角度β1よりも小さい角度β2で傾斜している。これにより、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41から抜かれる途中、山部23がゲージ差込口41の内部側のテーパ面44に当接したときの山部23の変形に要する荷重が大きくなるのに対し、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に差し込まれる途中、山部23がゲージ差込口41の外部側のテーパ面43に当接したときの山部23の変形に要する荷重が小さくなる。その結果、トランスミッションケース4内の内圧が上昇したときには、ゲージ差込口41からのオイルレベルゲージ6の抜け荷重が大きく、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41から抜けることを効果的に抑制できる。一方、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に差し込まれるときには、オイルレベルゲージ6の差込荷重が小さく、作業者がオイルレベルゲージ6をゲージ差込口41に容易に差し込むことができる。
また、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着されるときに、山部23がゲージ差込口41から抜けたことに応じて、山部23が復元し、その復元による振動が作業者の手に伝わる。これにより、ゲージ差込口41へのオイルレベルゲージ6の装着が完了したことを作業者に感じさせることができる。
オイルレベルゲージ6にダスト進入防止部24が設けられており、オイルレベルゲージ6がゲージ差込口41に装着された状態において、ダスト進入防止部24は、ゲージ差込口41の内周面42との間に微小な隙間Gを空けて、その内周面42およびその外部側に連続するテーパ面43に対向する。これにより、図6に示されるように、オイルレベルゲージ6のキャップ部13とトランスミッションケース4との間に隙間が生じていても、その隙間からゲージ差込口41へのダストの進入を抑制できる。
ゲージ差込口41へのダストの進入が抑制されるので、ゲージ差込口41にダストが溜まることを抑制できる。その結果、ゲージ差込口41に溜まったダストがオイルレベルゲージ6の山部21,22とゲージ差込口41の内周面42との間に噛み込むことを抑制できる。よって、山部21,22およびゲージ差込口41の内周面42がダストで傷ついたり、山部21,22とゲージ差込口41の内周面42との間にダストの噛み込みによる隙間が生じたりすることを抑制でき、ひいては、ゲージ差込口41からのオイル漏れを抑制することができる。
また、ダスト進入防止部24が設けられていることにより、オイルレベルゲージ6とゲージ差込口41の内周面42およびテーパ面43との間に生じる空間の容積が低減されるので、ゲージ差込口41にダストが進入しても、その空間に溜まるダストの量を低減できる。その結果、オイル量の確認作業時に、ゲージ差込口41に溜まったダストがトランスミッションケース4内に脱落することを抑制できる。
さらには、ダスト進入防止部24の外径がゲージ差込口41の内周面42の内径よりも僅かに小さいので、ダスト進入防止部24は、オイルレベルゲージ6をゲージ差込口41に抜き差しする際の荷重に影響を与えない。よって、オイル量の確認の際の良好な作業性を確保することができる。
オイルレベルゲージ6の挟持部14は、胴部31と、胴部31に連続する頭部32とを備えている。胴部31は、中心線方向の中央部が円柱状に形成され、中心線方向の一方側および他方側の各端部が端に近づくほど拡径する形状に形成されている。そのため、ゲージ差込口41に装着されているオイルレベルゲージ6の周囲にサイドメンバ7などの障害物が存在しても、図1および図2に示されるように、作業者は、胴部31をその側方から手指2本で摘まむことができる。そして、作業者は、胴部31を手指2本で摘まんだ状態で手首を動かして、胴部31を持ち上げることにより、オイルレベルゲージ6をゲージ差込口41から抜き取ることができる。また、作業者は、胴部31を手指2本で摘まんだ状態で手首を動かして、胴部31を押し下げることにより、オイルレベルゲージ6をゲージ差込口41に差し込むことができる。そのため、車両2のタイヤハウジングからのアクセスであっても、オイルレベルゲージ6をゲージ差込口41に対して良好に抜き差しすることができる。
また、胴部31がその中心線まわりに回転対称な形状に形成されているので、胴部31を作業車の手指2本で摘まむ際に、胴部31の向きを調整する必要がない。
よって、オイルレベルゲージ6は、その側方からのアクセスによる作業性に優れている。
また、栓部11、キャップ部13および挟持部14が弾性変形可能な材料からなるので、作業者がオイルレベルゲージ6をゲージ差込口41から抜き取る際に、栓部11、キャップ部13および挟持部14を変形させて、オイルレベルゲージ6を斜め手前に抜くことができる。作業者がオイルレベルゲージ6をゲージ差込口41に差し込む際にも、栓部11、キャップ部13および挟持部14を変形させることにより、オイルレベルゲージ6を斜め手前から差し込むことができる。そのため、オイルレベルゲージ6の周囲に障害物が存在しても、その障害物とオイルレベルゲージ6との干渉を避けて、オイルレベルゲージ6をゲージ差込口41に対して容易に抜き差しすることができる。
頭部32が胴部31の端縁の全周に跨がる面を有しているので、工場作業でのオイルレベルゲージ6のゲージ差込口41への装着時には、図11に示されるように、作業者が手の親指で頭部32を上から押すことができる。そのため、作業者がオイルレベルゲージ6に力を加えやすく、作業者の作業疲労を軽減でき、また、作業速度を向上させることができる。
なお、図12に示される従来の構成では、たとえば、ゲージ部105と引掛部107とをリベットで止め合わせた後、これらをゴム栓部104およびキャップ部106の成形型にセットして、ゴム栓部104およびキャップ部106が形成される。これに対し、オイルレベルゲージ6では、ゲージ部12を栓部11、キャップ部13および挟持部14の成形型にセットする前のリベット止めが不要であり、製造コストを低減することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもでき、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4:トランスミッションケース(ケース)
6:オイルレベルゲージ
11:栓部
21,22:山部
24:ダスト進入防止部
41:ゲージ差込口
42:内周面
43:テーパ面(内周面)
G:隙間

Claims (1)

  1. ケースに形成されたゲージ差込口に前記ケースの外側から抜き差し可能に構成され、前記ケース内に貯留されているオイルの量を確認するためのオイルレベルゲージであって、
    前記ゲージ差込口に差し込まれて前記ゲージ差込口を閉塞する栓部と、
    前記栓部が前記ゲージ差込口を閉塞した状態で前記ケースの表面に当接する扁平な当接面を有するキャップ部とを含み、
    前記栓部は、
    前記ゲージ差込口に対して締め代を持ち、前記ゲージ差込口の内周面に押し付けられる山部と、
    前記キャップ部と前記山部との間に設けられ、前記ゲージ差込口の内周面の外側の端部に対して隙間を空けて対向するダスト進入防止部とを備え
    前記ダスト進入防止部は、前記キャップ部の前記当接面に連続して形成され、
    前記キャップ部の前記当接面が前記ケースの表面に当接した状態で、前記ゲージ差込口の内周面の外側の端部の周方向の一部と前記当接面との間に隙間が生じるとともに、前記ダスト進入防止部と前記ゲージ差込口の内周面との間に隙間が生じる、オイルレベルゲージ。
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