JP2005061832A - 液量点検構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯車箱内に残存する潤滑油の量が規定範囲内にあるかどうかを容易にかつ確実に点検することが可能な油量点検構造を提供する。
【解決手段】本発明に基づく油量点検構造は、トランスミッションの下部に位置するオイルパン2と、オーバーフローチューブ10と、オーバーフロープラグ20とを備える。オイルパン2は、底板2aに開口2cを有しており、内部に潤滑油を貯留する。オーバーフローチューブ10は、開口2cに中空部14が面するようにオイルパン2内部の底板2a上に立設される。オーバーフロープラグ20は、開口2cを挿通し、中空部14を閉塞するように取付けられる。そして、オーバーフローチューブ10の周壁には、中空部14とオイルパン2内部とを連通する連通孔15が設けられている。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明に基づく油量点検構造は、トランスミッションの下部に位置するオイルパン2と、オーバーフローチューブ10と、オーバーフロープラグ20とを備える。オイルパン2は、底板2aに開口2cを有しており、内部に潤滑油を貯留する。オーバーフローチューブ10は、開口2cに中空部14が面するようにオイルパン2内部の底板2a上に立設される。オーバーフロープラグ20は、開口2cを挿通し、中空部14を閉塞するように取付けられる。そして、オーバーフローチューブ10の周壁には、中空部14とオイルパン2内部とを連通する連通孔15が設けられている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器内に貯留された液体の貯留量を点検するための液量点検構造に関し、より特定的には、車輌に搭載されるギヤボックス等の油量点検構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、動力を伝達するための歯車その他の機械要素を収容した歯車箱内部には、潤滑油が封入される。この潤滑油により、歯車等のスムーズな駆動が実現されるとともに、歯車等が駆動することによって生じる摩擦熱が外部へと効率よく放出されることになる。
【0003】
このような潤滑油が封入された装置としては、たとえば車輌に搭載されるものとして、発動機(エンジン)や変速機(トランスミッション)、差動装置(ディファレンシャル)、トランスパワーユニットなどが挙げられる。
【0004】
歯車等の機械要素に加わる抵抗を一定に保つためには、歯車箱内部に封入された潤滑油の量を所定量に維持する必要がある。このため、車輌の生産時や点検時、修理時等において、歯車箱内部に残存する潤滑油が規定範囲内にあるかどうかが確認される。
【0005】
このような確認作業を容易とするために、種々の油量点検構造が提案されている(たとえば、特許文献1または2参照)。油量点検構造は、主にゲージ式のものとプラグ式のものとに大別される。
【0006】
ゲージ式の油量点検構造は、歯車箱の内部と外部とを連通するパイプを歯車箱に設け、このパイプ内にゲージを挿し込んだ構成の油量点検構造である。このゲージ式の油量点検構造では、確認時にゲージをパイプから抜き取ることによってこのゲージに付着した潤滑油の量を確認し、オイルレベルを点検する。
【0007】
プラグ式の油量点検構造は、歯車箱内に開口を設け、この開口を閉塞するようにプラグを取付けた構造の油量点検構造である。このプラグ式の油量点検構造では、確認時にプラグを歯車箱から取外し、開口に治具を挿し込んだり、作業者がこの開口から歯車箱内に指を差し込んだりすることによってオイルレベルを点検する。
【0008】
ゲージ式の油量点検構造を採用した場合には、ゲージに油量の上限および下限を示す目印を設けておくことによりオイルレベルを確実に把握できるようになるという利点と、作業が容易であるという利点とが得られる。しかしながら、このゲージ式の油量点検構造を歯車箱に設置するためには、ゲージが挿し込まれるパイプをボンネット内部にまで這い回す必要があり、小型化が必須の条件である車載用の部品としては装置が大型化する懸念がある。このため、ボンネット内に設置することが一般的な前輪駆動車のエンジンを除いた他の装置への適用は、困難な場合が多い。
【0009】
これに対し、プラグ式の油量点検構造は、車輌本体の下部に配置されるトランスミッションやディファレンシャル等への適用が容易であり、省スペースの観点から有利である。しかしながら、残存する潤滑油の量を正確に把握することが困難であるという欠点も有している。特に、歯車箱内部に残存する油量が規定範囲内であるかどうかを確認することは困難であり、あくまでも歯車箱内に油が一定量以上残留しているかどうかを確認するにとどまるものである。
【0010】
【特許文献1】
実開平3−117150号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2002−129926号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、容器内に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易にかつ確実に点検することが可能な液量点検構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく液量点検構造は、容器と、筒状部と、プラグ部とを備える。容器は底部に開口を有しており、内部に液体を貯留する。筒状部は、上記開口に中空部が面するように容器内部の底部上に立設される。プラグ部は、上記開口を挿通し、中空部を閉塞するように取付けられる。そして、筒状部の周壁には、中空部と容器内部とを連通する連通手段が設けられている。
【0014】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際のドレン流量を確認することにより、容器内部に残存する液体の量がどの程度であるかを容易に判別することが可能になる。また、点検作業が非常に簡便であり、作業時間の短縮化にもつながる。
【0015】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、上記連通手段が、筒状部の周壁に設けられた連通孔にて構成されていることが好ましい。この場合、容器内部に貯留されるべき液体の液量上限に相当する位置に筒状部の上端が位置し、容器内部に貯留されるべき液体の液量下限に相当する位置に上記連通孔の下端が位置していることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際のドレン流量を確認することにより、容器内部に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易に判別することが可能になる。
【0017】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、上記連通手段が、筒状部の周壁に設けられかつ筒状部の上端にまで達する連通スリットにて構成されていることが好ましい。この場合、容器内部に貯留されるべき液体の液量上限に相当する位置に筒状部の上端が位置し、容器内部に貯留されるべき液体の液量下限に相当する位置に上記連通スリットの下端が位置していることが好ましい。
【0018】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際のドレン流量を確認することにより、容器内部に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易に判別することが可能になる。
【0019】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、プラグ部が、筒状部に螺着可能な螺子形状を有していることが好ましい。
【0020】
このように構成することにより、プラグ部の取外しが容易になり、作業の効率化が図られるようになる。
【0021】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、プラグ部の上端が、筒状部に取付けられた状態において、中空部の上端よりも上方に位置していることが好ましい。
【0022】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際に排出される液体の流量に伴う作業者の誤認識が回避されるようになり、正確に液体の残存量を把握することが可能になる。
【0023】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、プラグ部が、筒状部に取付けられた状態において、容器内部に面する凹部を有していることが好ましい。
【0024】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際に排出される液体の流量に伴う作業者の誤認識が回避されるようになり、正確に液体の残存量を把握することが可能になるとともに、装置の軽量化が実現されるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における油量点検構造を備えたトランスミッションの筐体の組付け構造を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示すトランスミッションの油量点検のためのオイルプラグ近傍の構造を模式的に示す図であり、(a)は一部破断側面図であり、(b)は底面図である。
【0027】
図1に示すように、トランスミッションの筐体は、底部が開放されたトランスミッションケース1と、このトランスミッションケース1の底部を閉塞するように取付けられる受け皿状のオイルパン2とから構成される。トランスミッションケース1内には、エンジンから入力された動力を変速して出力するための各種の機械要素が配設される。この機械要素としては、たとえばギヤやシャフト、ベアリングなどがあり、これらが組み合わされることによって変速機が構成される。
【0028】
トランスミッションケース1とオイルパン2とから構成された容器である歯車箱内には、所定量の潤滑油が封入される。この潤滑油は、たとえばオートマチックトランスミッションにおいては、ATF(Automatic Transmission Fluid)と呼ばれ、変速を行なうためのクラッチを作動させたり、トルクコンバータの力の伝達を行なったり、各種機械要素の焼け付き防止のための冷媒として作用するものである。また、マニュアルトランスミッションにおいても歯車等の回転部品のスムーズな駆動や焼け付き防止のために、トランスミッションケース内に所定量の潤滑油が封入される。
【0029】
図2(a)に示すように、トランスミッションケース1の側部所定位置には、リフィルプラグ30が取付けられている。リフィルプラグ30は、トランスミッションケース1内に潤滑油を封入するための孔を閉塞するプラグである。
【0030】
図2(a)および(b)に示すように、オイルパン2の底部には、油量を点検するための油量点検構造が設けられている。この油量点検構造は、主にオイルパン2の底部に設けられた開口と、オーバーフローチューブ10と、オーバーフロープラグ20とからなる。
【0031】
図3は、図2(a)において破線で囲んだ領域IIIの拡大図である。また、図4(a)は、図3に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、図4(b)はオーバーフロープラグの斜視図である。以下、これらの図を参照して、本実施の形態における油量点検構造について詳細に説明する。
【0032】
図3を参照して、潤滑油が封入される容器の一部であるオイルパン2の底板2aの所定位置には、上方に向かってプレス加工が施されることにより、凹部2bが設けられている。この凹部2bの頂面に相当する部分の底板2aには、開口2cが設けられている。
【0033】
オイルパン2の凹部2b上には、筒状部であるオーバーフローチューブ10が立設されている。また、プラグ部であるオーバーフロープラグ20が、オーバーフローチューブ10の中空部14を閉塞するように下方から取付けられている。
【0034】
オーバーフローチューブ10は、図4(a)に示すように、たとえば金属からなる筒状の部材にて構成されており、内部に中空部14を有している。オーバーフローチューブ10は、軸方向の上部に小径部11を有しており、軸方向の下部に大径部12を有している。また、軸方向の下端にはフランジ部13を有している。
【0035】
図3に示すように、オーバーフローチューブ10は、オイルパン2の底板2aに設けられた開口2cに中空部14が面するように、オイルパン2の底板2a上に立設されている。なお、オーバーフローチューブ10のフランジ部13とオイルパン2の底板2aとは、溶接等により水密に接続される。
【0036】
オーバーフロープラグ20は、図4(b)に示すように、金属からなるボルト状の部材である。オーバーフロープラグ20は、軸方向の上部に小径部21を有しており、軸方向の下部に大径部22を有している。また、軸方向の下端にはプラグヘッド23を有している。
【0037】
図3に示すように、オーバーフロープラグ20は、オイルパン2の底板2aに設けられた開口2cを挿通し、オーバーフローチューブ10の中空部14を閉塞するように取付けられる。なお、オーバーフローチューブ10の大径部12の内周面には雌螺子が切られており、オーバーフロープラグ20の大径部22には雄螺子が切られている。このため、これら大径部12,22同士によってオーバーフロープラグ20がオーバーフローチューブ10に螺着される。
【0038】
図3および図4(a)に示すように、オーバーフローチューブ10の周壁の一部である小径部11の所定位置には、連通手段である連通孔15が設けられている。連通孔15は、オーバーフローチューブ10の中空部14と、オイルパン2内部とが連通するように設けられる孔であり、オーバーフローチューブ10の周壁を貫通している。なお、連通孔15の開口面積は、オーバーフローチューブ10の上端開口の開口面積よりも数倍から十数倍程度小さく構成される。
【0039】
図3に示すように、上記連通孔15は、その下端がトランスミッション内に封入される油量の下限位置に相当する部位に設けられる。なお、オーバーフローチューブ10の上端は、トランスミッション内に封入される油量の上限位置に相当する部位にまで延びている。
【0040】
以上の構造の油量点検構造を採用することにより、生産時や点検時、修理時等にトランスミッション内に残存している潤滑油が規定範囲内にあるかどうかが簡便に把握できるようになる。以下、その仕組みについて説明する。
【0041】
図5は、上記構造の油量点検構造を採用した場合に、点検時等にオーバーフローチューブから排出されるドレン流量の経時変化を示すグラフである。
【0042】
図3に示すように、オーバーフロープラグ20をオーバーフローチューブ10に取付けた状態においては、トランスミッション内は水密に構成される。図5に示すように、時刻t0において、オーバーフロープラグ20を取外した場合、トランスミッション内に上限値以上の油量が封入されている場合、オーバーフローチューブ10の上端開口および連通孔15から潤滑油がオーバーフローチューブ10の中空部14内に流入し、相当量の潤滑油がオイルパン2の開口2cから排出される。
【0043】
上記ドレン流量による潤滑油の排出が続いた後、時刻t1においてオーバーフローチューブ10の上端にまで液面が達すると、オーバーフローチューブ10の上端からの潤滑油の流出が止まり、オーバーフローチューブ10の周壁に設けられた連通孔15のみからの排出となる。このため、ドレン流量は結果として大幅に低下する。
【0044】
上記ドレン流量による潤滑油の排出が続いた後、時刻t2においてオーバーフローチューブ10の連通孔15の下端にまで液面が達すると、オーバーフローチューブ10を介しての潤滑油の排出が停止する。すなわち、ドレン流量がゼロとなる。
【0045】
以上において説明したように、オーバーフロープラグ20の取外し後に、オーバーフローチューブ10を介して排出される潤滑油のドレン流量に着目することにより、トランスミッション内に残存する潤滑油の量が規定範囲内にあるかどうかが正確に判別できるようになる。すなわち、オーバーフロープラグ20の取外し後のドレン流量が、図5におけるドレン流量d1であるかドレン流量d2であるか、あるいはドレン流量がゼロであるかを確認することにより、トランスミッション内に残存する潤滑油が上限値よりも多いか規定範囲内であるか、あるいは下限値よりも少ないかが判別できるようになる。
【0046】
このドレン流量d1およびドレン流量d2は、オーバーフローチューブ10の上端開口の開口面積と連通孔15の開口面積とを調節することにより、適宜調節可能である。このため、ドレン流量の判別が可能となるようにこれら開口面積に差を持たせるとともに、作業時間を考慮して開口面積を調整することにより、油量の点検の確実性と作業時間の短縮化とが同時に実現されるようになる。
【0047】
なお、図5においては、オーバーフローチューブ10の周壁に連通孔が設けられていない従来の油量点検構造を採用した場合のドレン流量の経時変化を比較のために破線で示している。従来の油量点検構造では、連通孔からの潤滑油の排出がないため、トランスミッション内に残存する潤滑油が上限値よりも多いか否かのみの判別しか行うことができず、規定範囲内であるかどうかは治具を用いたり、指を挿入したりしない限り判別ができなかった。これに対し、本実施の形態における油量点検構造を採用した場合には、上述のとおり、トランスミッション内に残存する潤滑油が上限値よりも多いか規定範囲内であるか、あるいは下限値よりも少ないかが判別できるようになる。
【0048】
また、本実施の形態における油量点検構造では、オーバーフローチューブ10にオーバーフロープラグ20を取り付けた状態において、オーバーフロープラグ20の上端がオーバーフローチューブ10の上端よりも上方に位置するように構成されている。もし、オーバーフロープラグ20の上端がオーバーフローチューブ10の上端よりも下方に位置している場合には、潤滑油が規定範囲内にある場合にもオーバーフローチューブ10の上方に潤滑油が溜まっている場合が考えられ、オーバーフロープラグ20を取外した直後のドレン流量が図5におけるドレン流量d1とほぼ同じ流量になってしまうことが想定される。この場合、作業者が潤滑油の残存量を誤認識してしまうおそれがある。このため、上述の如く、オーバーフロープラグ20の上端がオーバーフローチューブ10の上端よりも上方に位置するように構成することにより、このような誤認識が回避され、より確実に潤滑油の油量を点検することが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態における油量点検構造では、オーバーフロープラグ20が小径部11と大径部12とに分かれており、大径部12のみに雄螺子が切られている。このため、オーバーフロープラグ20の取外しが短時間で行えるようになり、作業の効率化が図られるようになる。
【0050】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。また、図7(a)は、図6に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、図7(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。以下、これらの図を参照して、本実施の形態における油量点検構造について詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1における油量点検構造と同様の部分については、図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0051】
本実施の形態における油量点検構造では、オーバーフロープラグ20の上面に凹部24が設けられている。この凹部24は、オーバーフローチューブ10にオーバーフロープラグ20を取付けた状態において、オイルパン2の内部空間に面するように構成されている。
【0052】
このように構成することにより、上述の実施の形態1における効果に加え、オーバーフロープラグ20の捩じ込みが不十分である場合にも、オーバーフロープラグ20の上面に付着した潤滑油がオーバーフロープラグ20の上面に設けられた凹部24内に貯留された状態のままオーバーフロープラグ20の取外しの際に同時に取り出されるため、残存油量の誤認識が防止されるようになる。また、装置の軽量化にも寄与することになる。
【0053】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。また、図9(a)は、図8に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、図9(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。以下、これらの図を参照して、本実施の形態における油量点検構造について詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1における油量点検構造と同様の部分については、図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0054】
本実施の形態においては、上述の実施の形態1における連通孔15にかえて、オーバーフローチューブ10の周壁に連通手段として連通スリット16が設けられている。連通スリット16は、オーバーフローチューブ10の軸方向と同じ方向に延びており、その上端がオーバーフローチューブ10の上端開口にまで達している。また、連通スリット16の下端は、トランスミッション内に封入される油量の下限位置に相当する部位に設けられている。
【0055】
このように構成することにより、上述の実施の形態1における効果に加え、連通手段の開口面積をより大きく取ることが可能になるため、作業時間を短縮する効果が得られるようになる。
【0056】
上述の実施の形態1〜3においては、本発明に基づく液量点検構造をトランスミッションに応用した場合を例示して説明を行なったが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、車載用の他の装置(たとえば、エンジン、ディファレンシャル、トランスアクスルおよびトランスパワーユニットなど)に適用することも可能であるし、車載部品以外の装置にも当然に適用可能である。また、本発明は、容器内に貯留されている液体が油である場合に限定されるものではなく、どのような液体に対しても適用可能である。
【0057】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、容器内に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易にかつ確実に点検することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における油量点検構造を備えたトランスミッションの筐体の組付け構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すトランスミッションの油量点検のためのオイルプラグ近傍の構造を模式的に示す図であり、(a)は一部破断側面図であり、(b)は底面図である。
【図3】図2(a)において破線で囲んだ領域IIIの拡大図である。
【図4】(a)は、図3に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、(b)はオーバーフロープラグの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1における油量点検構造を採用した場合に、点検時等にオーバーフローチューブから排出されるドレン流量の経時変化を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。
【図7】(a)は、図6に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。
【図9】(a)は、図8に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。
【符号の説明】
1 トランスミッションケース、2 オイルパン、2a 底板、2b 凹部、2c 開口、10 オーバーフローチューブ、11 小径部、12 大径部、13 フランジ部、14 中空部、15 連通孔、16 連通スリット、20 オーバーフロープラグ、21 小径部、22 大径部、23 プラグヘッド、24凹部、30 リフィルプラグ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器内に貯留された液体の貯留量を点検するための液量点検構造に関し、より特定的には、車輌に搭載されるギヤボックス等の油量点検構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、動力を伝達するための歯車その他の機械要素を収容した歯車箱内部には、潤滑油が封入される。この潤滑油により、歯車等のスムーズな駆動が実現されるとともに、歯車等が駆動することによって生じる摩擦熱が外部へと効率よく放出されることになる。
【0003】
このような潤滑油が封入された装置としては、たとえば車輌に搭載されるものとして、発動機(エンジン)や変速機(トランスミッション)、差動装置(ディファレンシャル)、トランスパワーユニットなどが挙げられる。
【0004】
歯車等の機械要素に加わる抵抗を一定に保つためには、歯車箱内部に封入された潤滑油の量を所定量に維持する必要がある。このため、車輌の生産時や点検時、修理時等において、歯車箱内部に残存する潤滑油が規定範囲内にあるかどうかが確認される。
【0005】
このような確認作業を容易とするために、種々の油量点検構造が提案されている(たとえば、特許文献1または2参照)。油量点検構造は、主にゲージ式のものとプラグ式のものとに大別される。
【0006】
ゲージ式の油量点検構造は、歯車箱の内部と外部とを連通するパイプを歯車箱に設け、このパイプ内にゲージを挿し込んだ構成の油量点検構造である。このゲージ式の油量点検構造では、確認時にゲージをパイプから抜き取ることによってこのゲージに付着した潤滑油の量を確認し、オイルレベルを点検する。
【0007】
プラグ式の油量点検構造は、歯車箱内に開口を設け、この開口を閉塞するようにプラグを取付けた構造の油量点検構造である。このプラグ式の油量点検構造では、確認時にプラグを歯車箱から取外し、開口に治具を挿し込んだり、作業者がこの開口から歯車箱内に指を差し込んだりすることによってオイルレベルを点検する。
【0008】
ゲージ式の油量点検構造を採用した場合には、ゲージに油量の上限および下限を示す目印を設けておくことによりオイルレベルを確実に把握できるようになるという利点と、作業が容易であるという利点とが得られる。しかしながら、このゲージ式の油量点検構造を歯車箱に設置するためには、ゲージが挿し込まれるパイプをボンネット内部にまで這い回す必要があり、小型化が必須の条件である車載用の部品としては装置が大型化する懸念がある。このため、ボンネット内に設置することが一般的な前輪駆動車のエンジンを除いた他の装置への適用は、困難な場合が多い。
【0009】
これに対し、プラグ式の油量点検構造は、車輌本体の下部に配置されるトランスミッションやディファレンシャル等への適用が容易であり、省スペースの観点から有利である。しかしながら、残存する潤滑油の量を正確に把握することが困難であるという欠点も有している。特に、歯車箱内部に残存する油量が規定範囲内であるかどうかを確認することは困難であり、あくまでも歯車箱内に油が一定量以上残留しているかどうかを確認するにとどまるものである。
【0010】
【特許文献1】
実開平3−117150号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2002−129926号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、容器内に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易にかつ確実に点検することが可能な液量点検構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく液量点検構造は、容器と、筒状部と、プラグ部とを備える。容器は底部に開口を有しており、内部に液体を貯留する。筒状部は、上記開口に中空部が面するように容器内部の底部上に立設される。プラグ部は、上記開口を挿通し、中空部を閉塞するように取付けられる。そして、筒状部の周壁には、中空部と容器内部とを連通する連通手段が設けられている。
【0014】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際のドレン流量を確認することにより、容器内部に残存する液体の量がどの程度であるかを容易に判別することが可能になる。また、点検作業が非常に簡便であり、作業時間の短縮化にもつながる。
【0015】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、上記連通手段が、筒状部の周壁に設けられた連通孔にて構成されていることが好ましい。この場合、容器内部に貯留されるべき液体の液量上限に相当する位置に筒状部の上端が位置し、容器内部に貯留されるべき液体の液量下限に相当する位置に上記連通孔の下端が位置していることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際のドレン流量を確認することにより、容器内部に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易に判別することが可能になる。
【0017】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、上記連通手段が、筒状部の周壁に設けられかつ筒状部の上端にまで達する連通スリットにて構成されていることが好ましい。この場合、容器内部に貯留されるべき液体の液量上限に相当する位置に筒状部の上端が位置し、容器内部に貯留されるべき液体の液量下限に相当する位置に上記連通スリットの下端が位置していることが好ましい。
【0018】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際のドレン流量を確認することにより、容器内部に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易に判別することが可能になる。
【0019】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、プラグ部が、筒状部に螺着可能な螺子形状を有していることが好ましい。
【0020】
このように構成することにより、プラグ部の取外しが容易になり、作業の効率化が図られるようになる。
【0021】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、プラグ部の上端が、筒状部に取付けられた状態において、中空部の上端よりも上方に位置していることが好ましい。
【0022】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際に排出される液体の流量に伴う作業者の誤認識が回避されるようになり、正確に液体の残存量を把握することが可能になる。
【0023】
上記本発明に基づく液量点検構造にあっては、プラグ部が、筒状部に取付けられた状態において、容器内部に面する凹部を有していることが好ましい。
【0024】
このように構成することにより、プラグ部を取外した際に排出される液体の流量に伴う作業者の誤認識が回避されるようになり、正確に液体の残存量を把握することが可能になるとともに、装置の軽量化が実現されるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における油量点検構造を備えたトランスミッションの筐体の組付け構造を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示すトランスミッションの油量点検のためのオイルプラグ近傍の構造を模式的に示す図であり、(a)は一部破断側面図であり、(b)は底面図である。
【0027】
図1に示すように、トランスミッションの筐体は、底部が開放されたトランスミッションケース1と、このトランスミッションケース1の底部を閉塞するように取付けられる受け皿状のオイルパン2とから構成される。トランスミッションケース1内には、エンジンから入力された動力を変速して出力するための各種の機械要素が配設される。この機械要素としては、たとえばギヤやシャフト、ベアリングなどがあり、これらが組み合わされることによって変速機が構成される。
【0028】
トランスミッションケース1とオイルパン2とから構成された容器である歯車箱内には、所定量の潤滑油が封入される。この潤滑油は、たとえばオートマチックトランスミッションにおいては、ATF(Automatic Transmission Fluid)と呼ばれ、変速を行なうためのクラッチを作動させたり、トルクコンバータの力の伝達を行なったり、各種機械要素の焼け付き防止のための冷媒として作用するものである。また、マニュアルトランスミッションにおいても歯車等の回転部品のスムーズな駆動や焼け付き防止のために、トランスミッションケース内に所定量の潤滑油が封入される。
【0029】
図2(a)に示すように、トランスミッションケース1の側部所定位置には、リフィルプラグ30が取付けられている。リフィルプラグ30は、トランスミッションケース1内に潤滑油を封入するための孔を閉塞するプラグである。
【0030】
図2(a)および(b)に示すように、オイルパン2の底部には、油量を点検するための油量点検構造が設けられている。この油量点検構造は、主にオイルパン2の底部に設けられた開口と、オーバーフローチューブ10と、オーバーフロープラグ20とからなる。
【0031】
図3は、図2(a)において破線で囲んだ領域IIIの拡大図である。また、図4(a)は、図3に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、図4(b)はオーバーフロープラグの斜視図である。以下、これらの図を参照して、本実施の形態における油量点検構造について詳細に説明する。
【0032】
図3を参照して、潤滑油が封入される容器の一部であるオイルパン2の底板2aの所定位置には、上方に向かってプレス加工が施されることにより、凹部2bが設けられている。この凹部2bの頂面に相当する部分の底板2aには、開口2cが設けられている。
【0033】
オイルパン2の凹部2b上には、筒状部であるオーバーフローチューブ10が立設されている。また、プラグ部であるオーバーフロープラグ20が、オーバーフローチューブ10の中空部14を閉塞するように下方から取付けられている。
【0034】
オーバーフローチューブ10は、図4(a)に示すように、たとえば金属からなる筒状の部材にて構成されており、内部に中空部14を有している。オーバーフローチューブ10は、軸方向の上部に小径部11を有しており、軸方向の下部に大径部12を有している。また、軸方向の下端にはフランジ部13を有している。
【0035】
図3に示すように、オーバーフローチューブ10は、オイルパン2の底板2aに設けられた開口2cに中空部14が面するように、オイルパン2の底板2a上に立設されている。なお、オーバーフローチューブ10のフランジ部13とオイルパン2の底板2aとは、溶接等により水密に接続される。
【0036】
オーバーフロープラグ20は、図4(b)に示すように、金属からなるボルト状の部材である。オーバーフロープラグ20は、軸方向の上部に小径部21を有しており、軸方向の下部に大径部22を有している。また、軸方向の下端にはプラグヘッド23を有している。
【0037】
図3に示すように、オーバーフロープラグ20は、オイルパン2の底板2aに設けられた開口2cを挿通し、オーバーフローチューブ10の中空部14を閉塞するように取付けられる。なお、オーバーフローチューブ10の大径部12の内周面には雌螺子が切られており、オーバーフロープラグ20の大径部22には雄螺子が切られている。このため、これら大径部12,22同士によってオーバーフロープラグ20がオーバーフローチューブ10に螺着される。
【0038】
図3および図4(a)に示すように、オーバーフローチューブ10の周壁の一部である小径部11の所定位置には、連通手段である連通孔15が設けられている。連通孔15は、オーバーフローチューブ10の中空部14と、オイルパン2内部とが連通するように設けられる孔であり、オーバーフローチューブ10の周壁を貫通している。なお、連通孔15の開口面積は、オーバーフローチューブ10の上端開口の開口面積よりも数倍から十数倍程度小さく構成される。
【0039】
図3に示すように、上記連通孔15は、その下端がトランスミッション内に封入される油量の下限位置に相当する部位に設けられる。なお、オーバーフローチューブ10の上端は、トランスミッション内に封入される油量の上限位置に相当する部位にまで延びている。
【0040】
以上の構造の油量点検構造を採用することにより、生産時や点検時、修理時等にトランスミッション内に残存している潤滑油が規定範囲内にあるかどうかが簡便に把握できるようになる。以下、その仕組みについて説明する。
【0041】
図5は、上記構造の油量点検構造を採用した場合に、点検時等にオーバーフローチューブから排出されるドレン流量の経時変化を示すグラフである。
【0042】
図3に示すように、オーバーフロープラグ20をオーバーフローチューブ10に取付けた状態においては、トランスミッション内は水密に構成される。図5に示すように、時刻t0において、オーバーフロープラグ20を取外した場合、トランスミッション内に上限値以上の油量が封入されている場合、オーバーフローチューブ10の上端開口および連通孔15から潤滑油がオーバーフローチューブ10の中空部14内に流入し、相当量の潤滑油がオイルパン2の開口2cから排出される。
【0043】
上記ドレン流量による潤滑油の排出が続いた後、時刻t1においてオーバーフローチューブ10の上端にまで液面が達すると、オーバーフローチューブ10の上端からの潤滑油の流出が止まり、オーバーフローチューブ10の周壁に設けられた連通孔15のみからの排出となる。このため、ドレン流量は結果として大幅に低下する。
【0044】
上記ドレン流量による潤滑油の排出が続いた後、時刻t2においてオーバーフローチューブ10の連通孔15の下端にまで液面が達すると、オーバーフローチューブ10を介しての潤滑油の排出が停止する。すなわち、ドレン流量がゼロとなる。
【0045】
以上において説明したように、オーバーフロープラグ20の取外し後に、オーバーフローチューブ10を介して排出される潤滑油のドレン流量に着目することにより、トランスミッション内に残存する潤滑油の量が規定範囲内にあるかどうかが正確に判別できるようになる。すなわち、オーバーフロープラグ20の取外し後のドレン流量が、図5におけるドレン流量d1であるかドレン流量d2であるか、あるいはドレン流量がゼロであるかを確認することにより、トランスミッション内に残存する潤滑油が上限値よりも多いか規定範囲内であるか、あるいは下限値よりも少ないかが判別できるようになる。
【0046】
このドレン流量d1およびドレン流量d2は、オーバーフローチューブ10の上端開口の開口面積と連通孔15の開口面積とを調節することにより、適宜調節可能である。このため、ドレン流量の判別が可能となるようにこれら開口面積に差を持たせるとともに、作業時間を考慮して開口面積を調整することにより、油量の点検の確実性と作業時間の短縮化とが同時に実現されるようになる。
【0047】
なお、図5においては、オーバーフローチューブ10の周壁に連通孔が設けられていない従来の油量点検構造を採用した場合のドレン流量の経時変化を比較のために破線で示している。従来の油量点検構造では、連通孔からの潤滑油の排出がないため、トランスミッション内に残存する潤滑油が上限値よりも多いか否かのみの判別しか行うことができず、規定範囲内であるかどうかは治具を用いたり、指を挿入したりしない限り判別ができなかった。これに対し、本実施の形態における油量点検構造を採用した場合には、上述のとおり、トランスミッション内に残存する潤滑油が上限値よりも多いか規定範囲内であるか、あるいは下限値よりも少ないかが判別できるようになる。
【0048】
また、本実施の形態における油量点検構造では、オーバーフローチューブ10にオーバーフロープラグ20を取り付けた状態において、オーバーフロープラグ20の上端がオーバーフローチューブ10の上端よりも上方に位置するように構成されている。もし、オーバーフロープラグ20の上端がオーバーフローチューブ10の上端よりも下方に位置している場合には、潤滑油が規定範囲内にある場合にもオーバーフローチューブ10の上方に潤滑油が溜まっている場合が考えられ、オーバーフロープラグ20を取外した直後のドレン流量が図5におけるドレン流量d1とほぼ同じ流量になってしまうことが想定される。この場合、作業者が潤滑油の残存量を誤認識してしまうおそれがある。このため、上述の如く、オーバーフロープラグ20の上端がオーバーフローチューブ10の上端よりも上方に位置するように構成することにより、このような誤認識が回避され、より確実に潤滑油の油量を点検することが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態における油量点検構造では、オーバーフロープラグ20が小径部11と大径部12とに分かれており、大径部12のみに雄螺子が切られている。このため、オーバーフロープラグ20の取外しが短時間で行えるようになり、作業の効率化が図られるようになる。
【0050】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。また、図7(a)は、図6に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、図7(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。以下、これらの図を参照して、本実施の形態における油量点検構造について詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1における油量点検構造と同様の部分については、図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0051】
本実施の形態における油量点検構造では、オーバーフロープラグ20の上面に凹部24が設けられている。この凹部24は、オーバーフローチューブ10にオーバーフロープラグ20を取付けた状態において、オイルパン2の内部空間に面するように構成されている。
【0052】
このように構成することにより、上述の実施の形態1における効果に加え、オーバーフロープラグ20の捩じ込みが不十分である場合にも、オーバーフロープラグ20の上面に付着した潤滑油がオーバーフロープラグ20の上面に設けられた凹部24内に貯留された状態のままオーバーフロープラグ20の取外しの際に同時に取り出されるため、残存油量の誤認識が防止されるようになる。また、装置の軽量化にも寄与することになる。
【0053】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。また、図9(a)は、図8に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、図9(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。以下、これらの図を参照して、本実施の形態における油量点検構造について詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1における油量点検構造と同様の部分については、図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0054】
本実施の形態においては、上述の実施の形態1における連通孔15にかえて、オーバーフローチューブ10の周壁に連通手段として連通スリット16が設けられている。連通スリット16は、オーバーフローチューブ10の軸方向と同じ方向に延びており、その上端がオーバーフローチューブ10の上端開口にまで達している。また、連通スリット16の下端は、トランスミッション内に封入される油量の下限位置に相当する部位に設けられている。
【0055】
このように構成することにより、上述の実施の形態1における効果に加え、連通手段の開口面積をより大きく取ることが可能になるため、作業時間を短縮する効果が得られるようになる。
【0056】
上述の実施の形態1〜3においては、本発明に基づく液量点検構造をトランスミッションに応用した場合を例示して説明を行なったが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、車載用の他の装置(たとえば、エンジン、ディファレンシャル、トランスアクスルおよびトランスパワーユニットなど)に適用することも可能であるし、車載部品以外の装置にも当然に適用可能である。また、本発明は、容器内に貯留されている液体が油である場合に限定されるものではなく、どのような液体に対しても適用可能である。
【0057】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、容器内に残存する液体の量が規定範囲内にあるかどうかを容易にかつ確実に点検することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における油量点検構造を備えたトランスミッションの筐体の組付け構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すトランスミッションの油量点検のためのオイルプラグ近傍の構造を模式的に示す図であり、(a)は一部破断側面図であり、(b)は底面図である。
【図3】図2(a)において破線で囲んだ領域IIIの拡大図である。
【図4】(a)は、図3に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、(b)はオーバーフロープラグの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1における油量点検構造を採用した場合に、点検時等にオーバーフローチューブから排出されるドレン流量の経時変化を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。
【図7】(a)は、図6に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3における油量点検構造を備えたトランスミッションの断面図である。
【図9】(a)は、図8に示すオーバーフローチューブの斜視図であり、(b)は、オーバーフロープラグの斜視図である。
【符号の説明】
1 トランスミッションケース、2 オイルパン、2a 底板、2b 凹部、2c 開口、10 オーバーフローチューブ、11 小径部、12 大径部、13 フランジ部、14 中空部、15 連通孔、16 連通スリット、20 オーバーフロープラグ、21 小径部、22 大径部、23 プラグヘッド、24凹部、30 リフィルプラグ。
Claims (8)
- 底部に開口を有する容器と、
前記開口に中空部が面するように前記容器内部の底部上に立設された筒状部と、
前記開口を挿通し、前記中空部を閉塞するように取付けられるプラグ部とを備え、
前記筒状部の周壁には、前記中空部と前記容器内部とを連通する連通手段が設けられている、液量点検構造。 - 前記連通手段は、前記筒状部の周壁に設けられた連通孔からなる、請求項1に記載の液量点検構造。
- 前記筒状部の上端は、前記容器内部に貯留されるべき液体の液量上限に相当する位置に設けられており、
前記連通孔の下端は、前記容器内部に貯留されるべき液体の液量下限に相当する位置に設けられている、請求項2に記載の液量点検構造。 - 前記連通手段は、前記筒状部の周壁に設けられかつ前記筒状部の上端にまで達する連通スリットからなる、請求項1に記載の液量点検構造。
- 前記筒状部の上端は、前記容器内部に貯留されるべき液体の液量上限に相当する位置に設けられており、
前記連通スリットの下端は、前記容器内部に貯留されるべき液体の液量下限に相当する位置に設けられている、請求項4に記載の液量点検構造。 - 前記プラグ部は、前記筒状部に螺着可能な螺子形状を有している、請求項1から5のいずれかに記載の液量点検構造。
- 前記プラグ部の上端は、前記筒状部に取付けられた状態において、前記中空部の上端よりも上方に位置している、請求項1から6のいずれかに記載の液量点検構造。
- 前記プラグ部は、前記筒状部に取付けられた状態において、前記容器内部に面する凹部を有している、請求項1から7のいずれかに記載の液量点検構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003206856A JP2005061832A (ja) | 2003-08-08 | 2003-08-08 | 液量点検構造 |
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JP2003206856A JP2005061832A (ja) | 2003-08-08 | 2003-08-08 | 液量点検構造 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010025309A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Roki Co Ltd | オイルパン |
JP2015102225A (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-04 | ゴトコ・ジャパン株式会社 | オイル注入用接続具及びそれを用いたオイル交換方法 |
JP2015102224A (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-04 | ゴトコ・ジャパン株式会社 | オイル交換用接続具及びそれを用いたオイル交換方法 |
JP2017001677A (ja) * | 2015-06-05 | 2017-01-05 | エムケー精工株式会社 | フルード交換装置 |
JP2017124846A (ja) * | 2016-01-13 | 2017-07-20 | エムケー精工株式会社 | フルード交換装置 |
-
2003
- 2003-08-08 JP JP2003206856A patent/JP2005061832A/ja not_active Withdrawn
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