本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、回転ドラム式のリール21を用いて演出効果の高い疑似連演出を実行するパチンコ遊技機(遊技機の一例)1に関する例である。この内容について、図1~図9を用いて説明する。
パチンコ遊技機1は、パチンコ玉(玉)を遊技媒体として遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機1は、特定の入賞口への入賞に応じて大当たり状態(特別遊技状態)の抽選(大当たり判定)が実行され、当否の判定結果を表す図柄変動が実行されるセブン機である。パチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、図柄の変動時間が短くなる時短状態、大当たりの期待度が高くなる確変状態(確率変動状態)等が設定されている。
図1に例示のパチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤面に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の下部右側にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には玉供給皿135が遊技者側に張り出すように設けられている。玉供給皿135の右下には、玉供給皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設され、玉供給皿135の下には下皿137が設けられている。
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部132などが設けられている。
玉供給皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れるための受け皿である。玉供給皿135の玉は、図示しない供給通路を経由して発射装置341(図8を参照。)に供給されるようになっている。
遊技領域130は、遊技媒体であるパチンコ玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する中央表示器19を中心として、遊技領域130を流下した玉が入賞可能な入賞部の一例をなす始動口12、通過ゲート14、大入賞装置16等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートであり、遊技者側から見て中央表示器19の左側に配置されている。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。普図当選確率は、通常状態では1/30、時短状態では1/1となっている。
始動口12は、大当たり判定の契機となる入賞口(払出3個)である。始動口12は、中央表示器19の下側に配置されている。始動口12に玉が入賞すると、大当たり判定用の抽選用乱数が抽出され大当たり判定が実行される。始動口12は、一対の可動羽根121を開口部120に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成されている。始動口12の可動羽根121は、上記の普図判定の当選(普図当選)に応じて開放動作を実行する。
通常時の一対の可動羽根121は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(図1中、点線で示す状態。)にある。この状態では、上方に向けて開口する玉1個分の隙間を介してのみ玉が入賞する可能性がある。一方、相互に離隔するように回動した一対の可動羽根121(同図中、実線で示す状態。)は、開口部120への玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。このような開放状態では、始動口12への入賞が容易に発生する。
大入賞装置16は、大入賞口160を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー16は、始動口12の下側に配置されている。アタッカー16は、横長略矩形状を呈する大入賞口160と、この大入賞口160を封止する蓋部材161と、を有している。
平常時のアタッカー16では、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置し、大入賞口160が閉鎖状態となっている。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。大入賞口160に入賞したときの払出玉は15個となっている。
図1及び図2の中央表示器19は、枠体191の内側に図柄表示窓190が配置された大型の表示器である。中央表示器19は、図柄215を変動表示するための3つの図柄表示領域195L、C、Rを並列して有し、停止表示された3つの図柄215の組合せにより大当たり判定結果を報知する。なお、図2は、リール21L、Rの回転が爪部441L、Rによりロックされる後述の特別演出を経て、大当たり図柄が停止表示された状態を例示している。
図柄表示窓190の上側の枠部分には、普図表示部181及び普図保留表示部182が配置されている。また、図柄表示窓190の下側の枠部分には、大当たり判定結果である特図保留の保留数を表示する特図保留表示部192が配置されている。
普図表示部181は、上記の普図判定の当否の表示部である。普図表示部181は、○の点灯により普図判定の当選(普図当選)を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。普図保留表示部182は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLED(Light Emitting Diode)が連設された表示部である。普図保留表示部182は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
普図判定による普図当選が表示されると、上記のように始動口12の可動羽根121が開放動作を実行する。普図当選に応じた始動口12の開放時間は、通常状態では0.2秒、時短状態では1.5秒×3回となっている。始動口12に玉が入賞したときの払出玉は3個となっている。
特図保留表示部192は、水平方向に配置された4個のLEDにより構成されている。特図保留表示部192では、特図保留の保留数(上限保留数4個)と同数のLEDが点灯し、その点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)が表示される。
中央表示器19は、図柄表示領域195L、C、Rに個別に対応するリール21L、C、Rを備えている。リール21L、C、Rは、図3に示すごとく、外周に複数種類の図柄215が描かれた回転リールであり、本例では、円柱形状の外周面に、略一定の間隔を開けて1~9の数字の図柄215が配置されている。中央表示器19は、リール21L、C、Rの回転によって図柄を変動表示した後に、図柄表示領域195L、C、Rに停止表示された3つの数字の図柄215の組合せにより大当たり判定結果を報知する。ゾロ目の数字の図柄215が大当たりを報知する大当たり図柄であり、さらに奇数図柄のゾロ目が確変大当たり図柄となっている。
図4に示すごとく、左、中、右のリール21L、21C、21Rは、個別に設けられたステッピングモータであるリールモータ22L、C、Rによりそれぞれ独立して回転駆動される。各リールモータ22L、C、Rは、中央表示器19の枠体191に固定されたステー211により支持されている。各リール21L、C、Rには、基準位置検出センサ23L、C、Rにより検出可能な基準位置片210が取り付けられている。この基準位置片210は、回転方向の所定位置に取り付けられ、この取り付け位置が各リール21L、C、Rの基準位置となっている。
本例の中央表示器19は、左右リール21L、Rを内挿収容可能な外筒41L、Rと、左右リール21L、Rの回転ロック演出のための爪部441L、Rを含む可動部材44と、を有している。中央表示器19によれば、爪部441L、Rによって左右リール21L、Rの回転がロックされた状態で、他のリール21Cを回転させる特別演出を実行可能である。
透過部材の一例をなす外筒41L、Rは、ポリカーボネート製の無色透明な有底筒状をなし、底面の中心に駆動モータである外筒モータ42L、Rの回転軸を貫通状態で固定するための軸孔を有している。外筒41L、Rは、枠体191に固定されたステー411により外筒モータ42L、Rを介在して支持されている。外筒41L、Rは、3つのリール21L、C、Rのうちの一部である左右リール21L、Rの外側に重なって設けられている。外筒41L、Rは、リール21L、Rの図柄215を視認可能に設けられた透過部である外周側壁部415と、前後に貫通した特別孔部である食込み孔410と、を有している(図3参照。)。
食込み孔410は、図5及び図6に示すように、外筒41L、Rの外周側面をなす外周側壁部415を貫通するように穿孔されている。この食込み孔410は、およそ45度の間隔を空けて周方向の2箇所に形成されている。2箇所の食込み孔410は、図柄表示領域195を介して同時に視認可能であると共に、停止表示される図柄215の上下に位置できるように配置されている。外筒(透過部材)41L、Rには、食込み孔410を囲むように外周側壁部415よりも透明度が低い輪郭領域をなす縁取り413が設けられている。
外筒41L、Rは、外筒モータ42L、Rによって回転駆動される一方、図示しない規制部材によって回転範囲が180度足らずに規制されている。この回転範囲の両端が外筒41L、Rが駆動される位置となっている。一方の端部の位置は、図5のごとく、2箇所の食込み孔410がリール21L、Rの裏側に回り込んで遊技者が視認できなくなる遮蔽状態の位置である。他方の端部の位置は、図6のごとく、2箇所の食込み孔410がリール21L、Rの手前側(遊技者側)に現れ、リール21L、Rに重なった状態で遊技者が視認できる視認状態の位置である。つまり、外筒41L、Rは、食込み孔(特別孔部)410を遊技者が視認できない遮蔽状態からリール21L、Rに重なった状態で遊技者が視認できる視認状態に切り替わる。なお、図5(a)及び図6(a)は、リール21L(21R)及び外筒41L(41R)の正面図を示し、図5(b)及び図6(b)は、リール21L(21R)及び外筒41L(41R)の断面図を示している。
可動部材44(図4)は、外筒41L(R)が視認状態に切り替わっている状況において、外筒41L(R)の外側からリール21L(R)に向けて食込み孔410に進入する特別役物の一例をなすL字状の部材である。可動部材44は、ラックギア444のギア刃が設けられた鉛直方向のラックバー部443と、食込み孔410に食い込む爪部441L、Rが形成された水平方向の水平バー部445と、がL字状を形成している。水平バー部445には、左右リール21L、Rに対応する2箇所に爪部441L、Rが設けられている。
中央表示器19における可動部材44は、リール21L、C、Rに対して遊技者側から見て左側にラックバー部443が位置すると共に、水平バー部445の先端が右リール21Rに対応する位置に達するように組付けられる。可動部材44は、ラックバー部443の長手方向に当たる鉛直方向に進退可能である。
可動部材44としては、組付け状態において、水平バー部445が各リール21の上方に位置する第1の可動部材44Uと、水平バー部445が各リール21の下方に位置する第2の可動部材44Dと、がある。第1及び第2の可動部材44U、Dは、ラックバー部443におけるラックギア444が形成された側が異なっている。第1及び第2の可動部材44U、Dは、爪駆動モータ45により回転するピニオンギア451を挟持する状態で各ラックギア444が対面し、両方のラックギア444がピニオンギア451に螺合している。ピニオンギア451が回転すると、第1及び第2の可動部材44U、Dの両方が同時に駆動される。
ピニオンギア451を挟持して対面するラックギア444を有する第1及び第2の可動部材44U、Dは、鉛直方向に変位する方向が逆となっており、一方が上方に変位するとき他方が下方に変位し、一方が下方に変位するとき他方が上方に変位する。例えば、図4中でピニオンギア451が反時計回りに回転すれば、第1の可動部材44Uが上方に変位すると共に第2の可動部材44Dが下方に変位して、それぞれの爪部441L、Rがリール21L、Rから後退する。一方、図4中でピニオンギア451が時計回りに回転すれば、第1の可動部材44Uが下方に変位すると共に第2の可動部材44Dが上方に変位して、それぞれの爪部441L、Rがリール21L、R側に前進(進入)する。
第1及び第2の可動部材44U、Dが鉛直方向に変位する可動範囲(進退範囲)は、図示しない規制部材によって規制されている。爪部441L、Rが後退する側の可動範囲の限界は、図柄表示領域195L、Rから爪部441L、Rが見えなくなる位置である(図7(a))。反対側の限界は、上記の視認状態の外筒41L、Rの食込み孔410の内側に爪部441L、Rが進入する位置(食込み位置)である(図7(b))。
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、図8を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主制御回路20が形成された主制御基板20Bを中心として構成されている。主制御基板20Bに対しては、玉の払出を制御する払出制御基板33B、玉の打込を制御する発射制御基板34B、遊技演出を制御する副制御基板35B、入賞玉あるいは通過玉の検出器312~314、始動口(電チュー)12を開放する電チューソレノイド322、アタッカー16を開放させる大入賞ソレノイド324、及び電力供給のための電源回路部328等が電気的に接続されている。
入賞玉あるいは通過玉の検出器としては、始動口12への入賞玉を検出する始動入賞検出器313、通過ゲート14の通過玉を検出するゲート通過検出器312、及びアタッカー16への入賞玉を検出する大入賞検出器314がある。
副制御回路35が形成された副制御基板35Bには、アンプ/スピーカ131や装飾ランプ部132が電気的に接続されているほか、リール21L、C、Rを制御するリール制御基板36B、外筒41L、Rや可動部材44U、Dを制御する演出モータ制御基板37Bが通信可能に接続されている。
副制御回路35が備える記憶領域(図示略)には、大当たり判定結果を報知するための演出を決定するための演出抽選テーブルが格納されている。演出抽選テーブルとしては、大当たり判定結果(大当たりの当否、図柄変動時間)に応じて複数種類が準備されている。各演出抽選テーブルでは、左右リール21L、Rで同じ数字図柄が停止した状態で、中リール21Cで図柄を変動表示するリーチ演出用の当選乱数などが規定されている。
なお、リーチ演出の中には、大当たりの期待度が高いことを示唆するスペシャルリーチ演出が設定されている。スペシャルリーチ演出としては、大当たり判定用の抽選用乱数の読出し1回に応じて、複数回の図柄変動が発生したように見せかける疑似連演出がある。上記の外筒41L、Rや可動部材44U、D等を活用するこの疑似連演出の内容については、遊技の概要を説明した後で詳しく説明する。
払出制御基板33Bには、払出制御回路33が形成されている。この払出制御回路33は、入賞が発生したとき、主制御回路20からの指示を受けて払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行させる。
発射制御基板34Bには、発射制御回路34が形成されている。この発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作角度に応じて発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
リール制御基板36Bに形成されたリール制御回路36は、各リール21L、C、Rに個別に設けられた3つのリールモータ22L、C、Rの回転を制御するリール制御を実行する電気回路である。このリール制御基板36Bには、各リール21L、C、Rの基準位置を検出する基準位置検出センサ23L、C、Rが電気的に接続されている。基準位置検出センサ23L、C、Rは、対応するリール21L、C、Rの回転中に予め定められた基準位置が通過したことを検出する基準位置検出手段の一例をなし、各リール21L、C、Rの基準位置に取り付けられた基準位置片210(図4参照。)を検出したときに検出信号を出力する。
リール制御回路36は、基準位置検出センサ23L、C、Rの検出結果である検出信号に基づいて図柄215の位置(リール21の回転位置)を特定しながら各リール21L、C、Rを回転させる。そして、リール21L、C、Rの回転による図柄215の変動表示を所定時間に亘って実行した後、大当たり判定結果に対応した図柄215を停止させる。
演出モータ制御基板37Bに形成された演出モータ制御回路37は、外筒41L、Rを回転駆動する外筒モータ42L、R、及び上下一対の可動部材44を進退駆動する爪駆動モータ45の回転位置を制御する電気回路である。演出モータ制御回路37は、外筒モータ42L、R及び爪駆動モータ45を正転、逆転可能である。外筒モータ42L、Rは、外筒41L、Rが可動範囲(回転範囲)の限界で回転規制されたときに回転停止する。爪駆動モータ45は、可動部材44が可動範囲(進退範囲)の限界で変位規制されたときに回転停止する。演出モータ制御回路37は、過電流検出によって制御対象のモータの回転停止を検出することで、外筒41L、Rあるいは可動部材44が可動範囲の限界に達したことを検知する。
主制御回路20は、図8に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)28、記憶素子であるROM(Read Only Memory)29・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
RAM24は、CPU28のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、各4データ分の特図保留エリア241、及び普図保留エリア243が割り当てられている。特図保留エリア241は、大当たり判定結果等の特図保留の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定結果の記憶領域である。
ROM29は、CPU28に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない大当たり判定用の抽選テーブル、及び普図判定用の抽選テーブル等を記憶している。
大当たり判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルは、大当たり判定の当選乱数、あるいは普図当選乱数が規定された抽選テーブルである。なお、本例の大当たり判定用の抽選テーブルとしては、通常状態及び時短状態に適用するものと確変状態に適用するものとが設けられ、通常(時短)状態用では大当たりの当選確率が1/300となるように当選乱数が規定され、確変状態用では同確率が1/60となるように当選乱数が規定されている。なお、大当たりのうち確変大当たりである確変割合は50%となっている。また、普図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態に適用するものと時短状態及び確変状態に適用するものとが設けられ、通常状態用では普図当選確率が1/30になるように当選乱数が規定され、時短(確変)状態用では同確率が1/1となるように当選乱数が規定されている。
図8の主制御回路20は、ROM29から読み出したプログラムをCPU28に実行させることにより、以下の(1)~(5)の各手段としての機能を実現している。また、リール制御回路36は、以下の(6)の手段としての機能を実現し、副制御回路35は、以下の(7)の手段としての機能を実現し、演出モータ制御回路37は、以下の(8)の手段としての機能を実現している。
(1)抽選手段:始動口12への玉の入賞という予め定められた抽選条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態の一例である大当たり状態を発生させるか否かの抽選である大当たり判定を実行する手段。大当たり判定では、大当たりの当否のほか、図柄変動時間が併せて決定される。
(2)記憶手段:抽選手段による抽選結果の一例である抽選用乱数を特図保留として記憶する手段。記憶手段は、所定の上限保留数の一例である4個を限度として、特図保留エリア241に特図保留を記憶する。なお、普図判定結果については、4個を上限として普図保留エリア243に普図保留として記憶される。
(3)読出手段:記憶手段により記憶されている特図保留を1つずつ読み出すと共に、特図保留の読み出しに応じて記憶手段の保留数(特図保留の記憶数)を減少させる手段。読出手段は、特図保留を読み出す際、記憶時点が古いものから順番に読み出す。なお、普図保留エリア243の普図保留についても同様に読み出される。
(4)当否判定手段:読出手段が読み出した特図保留の当否(大当たりか否か)を判定する手段。
(5)特別遊技状態発生手段:特別遊技状態の発生に対応した図柄215である大当たり図柄を中央表示器19が停止表示した場合に、大当たり状態(特別遊技状態)を発生させる手段。
(6)リール制御手段:大当たり判定結果に応じた図柄215の組み合わせである大当たり図柄を中央表示器19に停止表示させるようにリール21を制御する手段。
(7)演出抽選手段:大当たり判定結果等を報知するための演出を決定する抽選手段である。演出抽選手段は、大当たり判定結果(大当たりの当否、図柄変動時間など)に応じた演出抽選テーブルを利用して演出の種類(リーチ演出、スペシャルリーチ演出(特別演出)など)を決定する。
(8)演出実行手段:リール21の回転ロック演出を実行する手段。
次に、以上のような構成のパチンコ遊技機1の(1)遊技の概要を説明し、続いてこのパチンコ遊技機1が実行する(2)疑似連演出の内容について説明する。
(1)遊技の概要
パチンコ遊技機1では、操作ハンドル15を右回転方向に操作することで玉を発射でき遊技を開始できる。発射された玉は、通過ゲート14などが配置された遊技領域130を流下する。入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
主制御回路20は、通過ゲート14を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行する。主制御回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブルと照合することにより、普図判定の結果を決定する。普図判定の結果が当選のときには普図表示部181の○を点灯させ、ハズレのときには×を点灯させる。主制御回路20は、普図判定に当選したとき、始動口(電チュー)12の可動羽根121を開放させる。
主制御回路20は、始動口12に入賞した玉を検出すると、大当たり判定用の抽選用乱数を抽出する。そして、主制御回路20は、中央表示器19による図柄変動中でなく特図保留も無ければ、大当たり判定の抽選用乱数を直ちに前記大当たり判定用の抽選テーブルの当選乱数と照合し、大当たり判定の当否等を決定する。一方、図柄変動中等であれば、大当たり判定の抽選用乱数を特図保留として一旦、特図保留エリア241に記憶する。ただし、特図保留エリア241の保留数が上限個数の4個である場合には、抽選用乱数を特図保留エリア241に記憶することなくそのまま消去する。
大当たり状態が発生中ではないとき、主制御回路20は、図柄215の変動表示が停止すると特図保留エリア241の特図保留を記憶されたタイミングが古いものから順番に1つずつ読み出す。そして、読み出した特図保留の抽選用乱数を大当たり判定用の抽選テーブルと照合して大当たり判定の当否を決定する。
主制御回路20は、このように特図保留を読み出した後、大当たり判定結果を副制御回路35に入力する。副制御回路35は、大当たり判定結果の入力を受けると、上記の演出抽選を実行する。そして、演出抽選結果に応じた演出を実行できるよう、リール制御回路36を介して中央表示器19を制御し、図柄の変動表示を開始させる。リール制御回路36は、各リールモータ22L、C、Rに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつ回転させることにより各リール21L、C、Rを回転させ、図柄215の変動表示を実行する。
リール制御回路36は、各リールモータ22L、C、Rに入力した制御パルス数、すなわちリールモータ22が回転したステップ数をカウントしている。このステップ数は、各リール21L、C、Rの基準位置片210の検出信号を取り込むごとにゼロリセットされ、直近の検出信号が発生した後のステップ数となっている。主制御回路20は、ステップ数に基づいてリール21L、C、Rの回転位置を特定し、これにより表示中の図柄215の特定を可能としている。
リール制御回路36は、左→右→中の順番で3つのリール21L、C、Rを停止させる。大当たりの場合には、同じ数字の図柄215が並ぶ大当たり図柄を図柄表示領域195L、C、Rに停止表示させ、ハズレの場合にはゾロ目ではないハズレ図柄を図柄表示領域195L、C、Rに停止表示させる。
演出抽選でリーチ演出の実行が決定している場合、リール制御回路36は、左右のリール21L、Rが停止した時点で図柄表示領域195L、Rに同じ数字図柄が停止表示される一方、中リール21Cが変動表示中というリーチ状態を発生させる。
大当たりが発生すると、図柄表示領域195L、C、Rにゾロ目の数字の図柄215が停止表示されて大当たりが報知され、大当たり状態が発生する。大当たり状態では、30秒経過するか10玉入賞するまで大入賞口160が開放されるラウンド処理が15回繰返し実行される。このような大当たり状態が発生したときの出玉(差玉=払出玉-打込玉)は約1500玉となっている。
大当たり状態の契機となった大当たりが確変大当たりの場合、大当たり状態の終了に応じて、大当たり確率が高くなる確変状態が発生する。この確変状態は、新たな大当たり状態の発生に応じて終了するので、確変大当たりの場合には必ず連荘となる。一方、通常大当たりを契機とした大当たり状態の場合には、終了に応じて、図柄変動時間が短くなり特図保留の消化が速くなる時短状態が発生する。この時短状態の継続期間は、最長で図柄変動50回分となっている。時短状態の継続中に大当たりが発生すれば、新たな大当たり状態が発生して連荘状態となる。一方、図柄変動を50回消化する間に大当たりが発生しない場合には、時短状態の終了に応じて通常状態に移行する。
(2)疑似連演出
疑似連演出は、上記の演出抽選の抽選結果に応じて実行されるスペシャルリーチ演出(特別演出)の一種である。疑似連演出は、大当たり判定結果の当否に関わらず実行されるが、大当たりの期待度が高いことを示唆する演出となっている。疑似連演出が発生したときの大当たりの確率は、通常のリーチ演出が発生したときよりも高くなっている。この疑似連演出は、1回の大当たり判定に対応する1回の図柄変動の中で、図柄を疑似的に停止表示させることで、複数回の図柄変動が発生したように見せかける演出である。この疑似連演出について、図9を参照して説明する。
まず、通常のリーチ演出と同様に、中央表示器19において図柄215が一定時間変動した後(図9(a))、リーチ状態が発生する。このとき、外筒41L、Rは、通常の図柄変動と同様、食込み孔(特別孔部)410を遊技者が視認できない遮蔽状態となっている。その後、左右の図柄変動領域195L、Rに停止表示された数字図柄とは異なる数字図柄が図柄変動領域195Cに疑似的に停止表示され、これにより、ゾロ目ではないハズレ図柄が疑似的に停止表示される(同図(b))。
このようにハズレ図柄が疑似的に停止表示されている状態で、左右の外筒41L、Rが回転駆動される。外筒41L、Rの回転に応じて食込み孔410がリール21L、Rに重なるように手前側に現れ、これにより遊技者が食込み孔410を視認できる視認状態となる(図9(c))。このときの食込み孔410の位置は、疑似的に停止表示されている図柄215を上下から挟み込む位置である。
続いて、図柄変動領域195L、Rの上下から爪部441L、Rが突出し、食込み孔410の内部へ進入する(同図(d))。このように特別役物である可動部材44は、リール21L、C、Rが図柄を停止表示した状態において、一部のリール21L、Rに重なった外筒41L、Rの食込み孔410に爪部441L、Rを進入させる。可動部材44は、食込み孔410に爪部441を進入させる場合、外筒41の内側の食込み位置まで爪部441を到達させる。
ここで上記の通り、食込み孔410の縁部には、周囲の透明な外周外壁部(透過部)415よりも透明度が低い縁取り(輪郭領域)413が設けられ、食込み孔410に対する遊技者の視認性が高められている。遊技者側からは、あたかもリール21L、Rの外周面が割れて食込み孔410が生じたように見える。そして、この食込み孔410に進入した爪部441L、Rによれば、リール21L、Rが強固に回転ロックされているように演出できる。
なお、図9(c)、(d)の動作は、非常に高速に実行すると良い。高速に実行することで、爪部441L、Rがリール21L、Rの外周面に突き刺さり、その表面が割れて食込み孔410が生じたように見せかけることが可能である。爪部441L、Rが最終的な食込み位置に到達する前に、食込み孔410が図柄215の上下に位置していることが必要である一方、外筒41L、Rよりも先に爪部441L、Rの駆動を開始しても良い。爪部441L、Rが突出して来る演出を遊技者に視認させた後、最終的な食込み位置に達する直前に外筒41L、Rを回転駆動して、食込み孔410を視認状態の位置に変位させることも良い。
図9(d)に例示するようにリール21L、Rの回転がロックされた状態で、中央の図柄変動領域195Cの図柄変動が再開される(図9(e))。このようにパチンコ遊技機1では、外筒41L、Rが視認状態に切り替わり、可動部材44の爪部441L、Rが食込み孔410に進入しているリール21L、Rが図柄を停止表示した状態で、他のリール21Cが図柄を変動表示する特別演出である疑似連演出が実行される。この疑似連演出では、外筒41L、Rの食込み孔410に爪部441L、Rが進入しているリール21L、Rが図柄を停止表示した状態を維持したまま、他のリール21Cが図柄の変動表示を開始することで、次の図柄の変動表示が疑似的に開始される。
その後、大当たり判定結果が大当たりの場合には、左右の図柄変動領域195L、Rに停止表示された数字図柄と同じ数字図柄が中央の図柄変動領域195Cに停止表示される(同図(g))。これにより疑似連演出が終了して大当たりが確定的に報知され、大当たり状態が発生する。
一方、抽選結果がハズレの場合には、左右の図柄変動領域195L、Rに停止表示された数字図柄とは異なる数字図柄が中央の図柄変動領域195Cに停止表示されて疑似連演出が終了し、ハズレが確定的に報知される(同図(f))。なお、大当たり判定結果を確定的に報知するまでの間に、図柄の疑似的な停止を2回以上の複数回繰り返すことも良い。
以上のように構成された本例のパチンコ遊技機1は、食込み孔410が穿孔された透明な外筒41L、Rと、食込み孔410に進入する爪部441L、Rとが、左右のリール21L、Rに対応して設けられている点に構成上の特徴を備えている。このパチンコ遊技機1では、爪部441L、Rが食込み孔410に進入して左右のリール21L、Rが回転ロックされているように演出する一方、他のリール21Cが図柄の変動表示を実行可能である。
このような爪部441L、Rを利用した演出によれば、一部の図柄が固定(ホールド)された状態で、他の図柄の変動表示を実行する演出の効果を高めることができる。爪部441L、Rを利用した演出によれば、一部の図柄が固定されていることを遊技者が理解し易くなるという演出的な効果や、固定されていることによる迫力を高めるという演出的な効果を向上できる。そして、これらの演出的な効果によれば、図柄の変動表示に対する遊技者の興味や期待感を高め、遊技意欲を向上できる。
このように本例のパチンコ遊技機1は、遊技者の遊技意欲を高める図柄変動を実行可能な優れた特性の遊技機である。
特に、本例の疑似連演出では、3つのリール21L、C、Rが図柄を停止表示した状態で、左右リール21L、Rに重なる食込み孔410に爪部441L、Rが進入する。そして、爪部441L、Rが食込み孔410に進入している左右リール21L、Rが図柄を停止表示した状態を維持したまま、中リール21Cが図柄の変動表示を開始することで、次の図柄の変動表示を開始する。このように一部の図柄を固定した状態で次の図柄変動を開始すれば、次の図柄変動において大当たり図柄が停止することに対する遊技者の期待感を高揚できる。
爪部441は、食込み孔410に進入する際、外筒41の内側の位置まで到達する。この場合には、爪部441がリール21の外周面に食い込んでいるように見せる演出効果を高め、これにより爪部441によってリール21の回転が強固にロックされているように見せることができる。
外筒41には、食込み孔410を囲むように輪郭領域である縁取り413が形成されている。この縁取り413によれば、遊技者による食込み孔410の視認性を向上できる。また、爪部441との組み合わせにより、リール21の外周面が割れて爪部441が突き刺さって回転がロックされているように見せる演出効果を向上できる。
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、遊技領域130に発射した玉が入賞したときに遊技価値である玉を払い出すパチンコ遊技機について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば、玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、大当たりとなる確率が高くなる確変状態が発生するパチンコ遊技機に適用しても良い。リールの回転をロックする機構については、メダルを消費して抽選を行うことでゲームが進行するスロットマシンや、得点を消費して抽選を行うことでゲームが進行するクレジット式スロットマシンに適用することも可能である。スロットマシンに適用する場合、ゲームを開始させるレバー操作が行われたときに抽選条件が成立したものとして、ボーナスゲームの抽選を実行すると良い。つまり、抽選条件や特別遊技状態は、適用対象の遊技機の遊技に応じて任意に変更しても良い。
本例では、左右の爪部441L、Rが常に連動して駆動される構成としたが、左右の爪部441L、Rを独立した可動部材とし、左右の爪部441L、Rが別々に駆動される構成としても良い。この場合、例えば、リーチ演出を経由せずにバラバラの数字図柄が停止表示された後、まず左リール21Lのみを固定し、残りのリール21C、Rを変動表示する演出が可能になる。この演出の場合、左リール21Lと同じ図柄が右リール21Rで停止表示される一方、中リール21Cで異なる図柄が停止表示されてリーチハズレとなった後、右リール21Rを固定した状態で中リール21Cの図柄変動を開始する等の演出が可能となる。また、中央の図柄変動領域195Cにも外筒41や爪部441を設け、中リール21Cを固定する演出を行っても良い。
また本例では、リール21L、Rによる図柄変動が疑似的に停止表示された後に、外筒41L、Rが遮蔽状態から視認状態に切り替わり、爪部441L、Rが食込み孔410へ進入する構成としているが、リール21L、Rの図柄変動中に外筒41L、Rを視認状態に切り替えても良い。さらに、外筒41L、Rが視認状態に切り替わった後に、爪部441L、Rが食込み孔410へ進入した後、もしくは同時にリール21L、Rの図柄変動を停止表示しても良い。この場合には、変動停止した図柄を爪部441がロックするという演出効果に代えて、変動中の図柄を爪部441が回転停止させてそのままロックするという演出効果を生じさせることができる。
さらに、一旦爪部441が回転をロックしたリール21について、疑似連演出の途中で爪部441が外れてしまい、リーチ状態が解消されてしまうというハプニング的な演出を設定しても良い。この場合には、演出が一層多彩になり、遊技者が感じるハラハラ感やドキドキ感を一層高めることができる。
また本例では、外筒41L、Rの食込み孔410の縁部の縁取り413は、周囲の無色透明な外周外壁部415よりも透明度が低い構成としているが、有色透明の外周外壁部415や縁取り413を採用しても良い。縁取り413は、光をほとんど透過しない透明度がゼロに近いものであっても良い。
また、縁取り413のない外筒41を採用しても良い。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。