(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る空気弁1を示す図面に基づいて説明する。図1は、コックを閉じた状態で配管に設置された空気弁を略示する縦断面図である。空気弁1は弁箱2を備える。弁箱2は、筒状部3と、リンク収納体7と、該リンク収納体7及び筒状部3を連結するレバー10とを備える。筒状部3は、上下方向を軸方向として配置されており、筒状部3の上端部にリンク収納体7が取り付けられている。弁箱2を分解する場合、レバー10を上側に回動させる。
筒状部3は、小径部5と、該小径部5の上端部に連結されており、小径部5よりも大径の大径部4と、小径部5の下端部から径方向に突出したフランジ6とを備える。フランジ6は、液体、例えば水が通流する配管40に、連結管43を介して接続されている。連結管43には、連結管43を開閉するコック44が設けられている。コック44を開くことによって、配管40から弁箱2内に水は移動可能である。なおフランジ6を配管40に直接的に接続し、フランジ6と筒状部3との間にコックを設けてもよい。
筒状部3の内側には、有底筒状のガイド11が収容されている。ガイド11は、その底面部を下側に向けて、筒状部3内に配置されている。ガイド11の内周面には、上下に延びたリブ11aが複数設けられている。ガイド11の底面部には一又は複数の貫通孔が形成されている。筒状部3の内側において、ガイド11の下方に整流板12が設けられている。整流板12は、筒状部3に設けられている。ガイド11の上部外周面から係止部11cが径方向外向きに突出している。係止部11cは、大径部4と小径部5との連結部分に形成された段差部分に係止している。ガイド11の内側にはフロート13が収納されている。フロート13はガイド11に案内され、筒状部3の軸方向、即ち上下方向に移動することができる。なおガイド11は必要に応じて設けられ、フロート13が上下動できる限り、ガイド11を設けなくてもよい。
筒状部3内部空間に、弁箱2の状態を検出する状態検出器、例えば故障を検出する故障検出手段としての液面センサ31が配置されている。液面センサ31は液面の有無を検出し、換言すれば、筒状部3内における空気の存否を検出する。液面センサ31は、後述するように、位置P1(図2参照)よりも下側に配置されている。液面センサ31は、例えば、導電率センサ、静電センサ又は光センサなどによって構成される。液面センサ31は第一状態検出部を構成する。
リンク収納体7は、左右に延びた箱状の収納室8を有する。収納室8の左右方向中途部の下側には、上下に貫通した開口8dが形成されている。開口8dの上側に、収納室8の上部を上下方向に貫通した弁案内筒8cが設けられている。弁案内筒8cの上端部内縁部分は内側に突出しており、前記内縁部分に第一孔8aが形成されている。前記内縁部分は、後述する第一弁21aのストッパとして機能する。弁案内筒8cの内周面に、上下に延びた複数のガイド8gが設けられている。弁案内筒8c、開口8d及び第一孔8aは同軸的に配置されている。
収納室8の左端部下側に、上下方向に貫通した貫通孔8eが形成されている。貫通孔8eには、シール性を有する部材、例えば柔軟な樹脂部材又はゴム材などによって構成された筒体15が嵌合している。筒体15の内側に第二孔15aが形成されている。弁箱2の状態を検出する状態検出器、例えば故障を検出する故障検出手段としての漏水センサ32が収納室8の下側に設けられている。漏水センサ32は第二孔15aの近傍に配置され、第二孔15aから漏出した水の存否を検出する。漏水センサ32は、例えば、導電率センサ、静電センサ、又は光センサなどによって構成される。漏水センサ32は第二状態検出部を構成する。なお液面センサ31及び漏水センサ32は、誤検知を防止すべく、複数のセンサを使用してもよい。例えば導電率センサ、静電センサ又は光センサなどの異なる複数のセンサの内、二種類以上のセンサによって同じ結果を得た場合にのみ、検出結果を採用する構成としてもよい。
収納室8には、リンク機構20、第一弁21a及び第二弁22aが収納されている。リンク機構20は、第一リンク21、第二リンク22、浮動式の連結ピン23及び支軸24を有する。第一リンク21は棒状をなし、前記開口8d及び弁案内筒8cの軸心に沿って配置されている。第一リンク21の下端部はフロート13に連結され、例えばねじ込み又は一体成形によって連結される。第一リンク21の上側に、上下方向を軸方向とした円柱状の第一弁21aが配されている。第一弁21aの下面の径方向中央部には、例えば凹部21eが形成されており、第一リンク21の上端部は凹部21eに挿入される。第一弁21aは弁案内筒8cの内側に配置され、ガイド8gによって上下方向に案内される。第一弁21aと弁案内筒8cの内周面との間には隙間が形成されている。該隙間は、第一弁21aが第一孔8aを閉じるまで空気が通流する、即ち多量排気の際の通流路を形成する。第一弁21aの下面の径方向中央部に凹部21eを形成し、また、凹部21eに傾斜を形成しておくと、第一リンク21の上端部が挿入され易いので、センター合わせができ、都合がよい。また、第一リンク21の上端部の一部に凹部21eに挿入され易いように傾斜を形成してもよい。
第一弁21a上面外周部に環状の溝21bが形成されている。溝21bは第一孔8aを囲むように形成され、溝21bにはOリング21cが嵌め込まれている。Oリング21cが前記弁案内筒8cの内縁部分に接触した場合、第一孔8aは封止され、閉じられる。Oリング21cが前記内縁部分に接触していない場合、第一孔8aは開放される。
第一リンク21の中途部に、第二孔15aに向けて開口した凹部21dが形成されている。凹部21dは、第一リンク21を前後方向に貫通している。前後方向を軸方向とした支軸24が収納室8内の左部に設けられている。支軸24は収納室8内に固定されている。第二リンク22は左右に延びた棒状をなし、第二リンク22の左部は支軸24によって、支軸24を枢軸として回転可能に支持されている。第二リンク22の左端部は第二孔15aの位置まで延びており、前記左端部には、例えば球状、円錐状、円柱状、台形状などの孔を閉塞しやすい形状の第二弁22aが取り付けられている。第二弁22aは第二孔15aに対向しており、第二孔15aを開閉する。第二リンク22の右端部は第一リンク21まで延び、前後方向を軸方向とした連結ピン23を介して、第一リンク21に連結されている。連結ピン23は第一リンク21の凹部21dに挿入されており、凹部21dにて軸回りに回転可能である。なお凹部21dに代えて、前後方向に貫通した孔を第一リンク21に形成し、この孔に連結ピン23を回転可能に挿入してもよい。
リンク収納体7は、開口8dの下側に連結したフランジ9を有する。フランジ9及び開口8dは同軸的に配置されている。フランジ9は大径部4の内側に嵌合し、収納室8及び筒状部3が連結される。フロート13、第一リンク21及び第一弁21aは筒状部3の軸線上に並ぶ。換言すれば、第二弁22a及び第二孔15aは、筒状部3の軸方向に交差する方向にて、フロート13から離隔した位置に配されている。レバー10を下側に移動させることによって、フランジ9は筒状部3に連結される。レバー10を上側に回動させることによって、フランジ9と筒状部3との連結が解除され、弁箱2が分解される。空気弁1を清掃する場合、レバー10を上側に回動させるだけで、弁箱2を分解することができる。図示しないが収納室8と筒状部3を連結するには、レバー10に替えて、例えば大径部4の内側に溝部分を形成し、この溝部分に篏合するようにフランジ9を形成し、上部からはめ込み、或いは回動することにより連結し、必要に応じてロックピンなどを用いてロックするようにしても良いのは勿論である。
図1に示すように、コック44を閉じた状態で配管40に空気弁1を設置した場合、空気弁1の内部は空気によって満たされ、フロート13はガイド11の底面に配置されている。
図2は、コック44を開き、配管40から水を導入した空気弁1を略示する縦断面図である。なお図2において、コック44の記載を省略している。コック44を開いた場合、配管40から筒状部3内に水が導入される。そしてフロート13は上側に移動し、第一弁21aは第一孔8aを閉じる。第二リンク22は支軸24を回転中心にして回転し、第二弁22aは第二孔15aを閉じる。前述したように、支軸24は、第二リンク22の左端部寄りに配置されているので、梃子の原理によって、第二弁22aが第二孔15aに押しつけられる力は増幅され、第二孔15aは封止される。図2に示すように、筒状部3内に導入された水の液面は位置P1まで上昇して止まる。液面センサ31は位置P1の、例えば僅かに下側に位置し、液面の存在を検出する。このとき、漏水センサ32は水の存在を検出していない。なお位置P1は第二弁22aが第二孔15aを閉じる水面の位置であり、空気弁1を構成する各部品の寸法、フロート13の比重及び第一弁21aの重量などに基づいて、決定できる。液面センサ31を配設する位置は、空気弁1の設置状況などを考慮して位置P1より下側で弁箱2内であれば良い。
図3は、配管40から一定量以上の空気が侵入し、この空気を排出、即ち少量排気している状態の空気弁1を略示する縦断面図である。配管40から空気が筒状部3に侵入し、弁箱2内の空気量が増えて、液面の位置がP1からP2まで下がった場合、フロート13は下側に向けて移動し、第一リンク21は下降する。このとき、収納室8内の圧力が外部圧力よりも高いことから、第一弁21aは下がることなく、第一孔8aの周縁部に密着した状態を保ち第一孔8aを閉じ続ける。第二リンク22は支軸24を回転中心にして回転し、第二弁22aは第二孔15aを開く。梃子の原理によって、フロート13の重量は増幅され、第二弁22aを第二孔15aから離れさせる力は増幅され、第二孔15aは容易に開放される。図3の矢印にて示す如く、空気弁1内の空気は第二孔15aから外部に排出される。換言すれば、第一孔8aを閉じたまま、第二弁22aを移動させ、第二孔15aから少量の排気を実行することができる。そして、空気弁1内の空気量の減少によって、液面位置はP1まで上昇し、これに伴ってフロート13も上昇し、第二弁22aは第二孔15aを閉じる。即ち、図2に示す状態に戻る。空気弁1が正常に作動している場合、空気弁は図2に示す状態と、図3に示す状態とを繰り返し、適宜外部への少量排気を行う。
液面センサ31は位置P2の液面(水)に接触し、液面を検出する。このとき、漏水センサ32は水を検出していない。フロート13が正常に動作している場合、液面センサ31は液面を検出し、且つ漏水センサ32は水を検出しない。位置P2は、位置P1よりも下側且つ第二弁22aが第二孔15aを開く水面の位置である。
なお、液面センサ31は、所定時間継続して、水を検出しなかった場合に、液面の不存在を検出してもよい。換言すれば、水の不存在を検出してから所定時間経過するまでは、液面を検出したと判断するようにしてもよい。この場合、所定時間は、例えば、正常動作において、第二弁22aが第二孔15aを開いてから、閉じるまでに要する時間、換言すれば、図3の状態から図2の状態に戻るまでに要する時間に対応する。例えば、液面センサ31の位置が本来の取付位置よりも上方にずれている場合、第二弁22aが第二孔15aを開いた時、水面の位置が液面センサ31よりも下側に位置するおそれがある。このような場合でもあっても、液面センサ31が水の不存在を検出してから所定時間内に再び、液面を検出すれば、液面の存在を継続して検出していると判断することができる。
図4は、例えば少量排気時などに弁箱2内部に存在した異物45が第二孔15aを塞いだ状態の空気弁1を略示する縦断面図である。異物45が第二孔15aを塞ぎ、配管40から空気が侵入した場合、液面の位置は下降する。第二弁22aは第二孔15aを開くものの、異物45によって、排気が妨げられ、空気弁1内は空気で満たされ、排気不良が発生する。図4に示すように、筒状部3及び収納室8を空気が満たしている場合、液面が例えば位置P3まで下がり液面センサ31は空気の存在を検出する、即ち液面の存在を検出しない。また漏水センサ32は水の存在を検出しない。
図5は、第二弁22aと第二孔15aの縁部分との間に異物45が挟まった場合、又はフロート13とガイド11との間に異物45が挟まった場合における空気弁1を略示する縦断面図である。第二弁22aと第二孔15aの縁部分との間に異物45が挟まった場合、又はフロート13とガイド11との間に異物45が挟まった場合、リンク機構20又はフロート13の移動が妨げられ、第二弁22aは第二孔15aを塞ぐことができないことがある。この場合、水は収納室8まで上昇し、例えば、収納室8内の位置P4まで液面が上昇する。そして、水は第二孔15aから漏れる。第二孔15aから水が漏れた場合、漏水センサ32は水の存在、即ち漏水を検出する。また液面センサ31は液面の存在を検出する。
収納室8の弁案内筒8c側に貫通孔8fが設けられており、該貫通孔8fを塞ぐように、洗浄バー16が設けられている。洗浄バー16を押すことによって、第二リンク22が洗浄バー16によって押され、第二弁22aは上昇し、第二孔15aが完全に開放され、弁箱2内に配管40から多量の水が入る。強制的に弁箱2内を洗浄したい場合、ユーザは洗浄バー16を押せばよい。例えば、図5に示すように、異物45の存在によって、第二孔15aから僅かに水が漏れている場合、洗浄バー16を押すことによって、多量の水が弁箱2内に導入され、第二弁22aと筒体15との間に挟まった異物45、又はフロート13とガイド11との間に挟まった異物45を洗い流し、第二孔15aから排出させることができる。
図6は、空気弁1、アクセスポイント53、サーバ50及び端末機51を備える空気弁システムを示すブロック図である。空気弁1は、配管40に複数設けられている。液面センサ31は、センシング部31a及び通信部31bを備える。センシング部31aは、例えば、導電率センサ、静電センサ、光センサなどによって構成される。通信部31bは、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)方式によって、アクセスポイント53との間で無線通信を行う。アクセスポイント53は、ネットワーク52を介してサーバ50に接続されている。センシング部31aによって検出された空気の存否を示す情報が、空気弁1を識別する弁識別情報と共に、換言すれば弁識別情報に対応付けられて、通信部31b、アクセスポイント53及びネットワーク52を介して、サーバ50に送信される。
漏水センサ32は、センシング部32a及び通信部32bを備える。センシング部32aは、例えば、導電率センサ、静電センサ、光センサなどによって構成される。通信部32bは、例えば、LPWA方式によって、アクセスポイント53との間で無線通信を行う。アクセスポイント53は、ネットワーク52を介してサーバ50に接続されている。センシング部32aによって検出された水の存否を示す情報が、空気弁1を識別する弁識別情報と共に、換言すれば弁識別情報に対応付けられて、通信部32b、アクセスポイント53及びネットワーク52を介して、サーバ50に送信される。なお空気弁1とネットワーク52との間の通信を、アクセスポイント53を使用せず、有線通信によって行ってもよい。
漏水センサ32は、例えば空気と共に瞬間的に水分が第二孔15aから排出された場合に、水を検出しないように構成されている。空気弁1が配管40に接続され、初めて水が空気弁1内に導入される場合、即ち多量排気が実行される場合などに、収納室8内に残存する水分が、第二孔15aから瞬間的に排出されることがある。そのため、例えば、最初の水の検出から、所定時間(例えば10分)経過後に水を検出した場合に、漏水を検出する。最初の水、例えば多量排気によって瞬間的に排出された水の検出を有効にすると、正常な動作をしているにも拘わらず、漏水していると判断してしまうからである。漏水センサ32をこのように構成することによって、少量排気の際に第二孔15aから排出された水だけを検出し易くなる。
なお液面センサ31及び漏水センサ32を駆動する電池、液面センサ31及び漏水センサ32の通信部31b、32bは、給電線及び通信線を介して、弁箱2の外側に配置されていてもよい。液面センサ31及び漏水センサ32の通信にLPWA方式を採用することによって、消費電力を削減することができ、電池の交換を長期間、例えば8~10年間、行う必要が無くなる。またLPWA方式によれば、電波の受発信距離は、平地では10km以上、山間部では5km以上に及び、広い領域を対象としたネットワークの構築を少ない装置で実現することができ、構築費用を削減することができる。
液面センサ31及び漏水センサ32の電池としては、ボタン電池、リチウムイオン電池又は太陽電池が挙げられる。空気弁1はマンホールに設置される場合があり、太陽電池はマンホールの蓋に設けるとよい。なお空気弁1がマンホールに設置される場合には、マンホールの蓋の全部又は一部を樹脂部材によって構成するとよい。樹脂部材にすることによって、電波が通過しやすくなり、液面センサ31及び漏水センサ32と、サーバ50との間の通信がし易くなるからである。
サーバ50は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)と、制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、例えばEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの書き換え可能な不揮発性メモリとを備える。サーバ50は、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに読み出して実行する。不揮発性メモリには、前述した弁識別情報と、液面センサ31及び漏水センサ32の検出値が記憶される。液面センサ31及び漏水センサ32は、所定のサンプリング周期にて、サーバ50に検出値を送信する。
図7は、不揮発性メモリに記憶された、空気弁1の弁識別情報、空気弁1の場所、液面センサ31によって検出された第一検出値及び漏水センサ32によって検出された第二検出値を示すテーブルの一例である。空気弁1の弁識別情報は、各空気弁1に割り当てられた固有の情報である。空気弁1の場所情報は、空気弁1の場所、本実施例では空気弁1が設置された場所の経度及び緯度である。空気弁1の弁識別情報及び場所は対応付けられており、予めテーブルに記憶されている。弁識別情報は、例えば1、2、3・・・などの数字で表される。場所は、例えば経度Xn及び緯度Yn(nは自然数)によって表される。本実施例においては、nと弁識別情報の番号とは対応する。なお空気弁1にGPS装置を設けて、GPS装置が、GPS装置によって測定された位置情報と弁識別情報とをサーバ50に送信し、受信した位置情報を弁識別情報に対応付けて、サーバ50がテーブルに記憶してもよい。
液面センサ31から弁識別情報と共に送信された空気の存否を示す情報をサーバ50が受信した場合、弁識別情報に対応する第一検出値の欄に、空気の存否を示す情報が記憶される。空気の存否を示す情報は、例えば、「0」又は「1」で示され、「0」は空気の不存在、換言すれば水の存在を示し、「1」は空気の存在を示す。
漏水センサ32から弁識別情報と共に送信された水の存否を示す情報をサーバ50が受信した場合、弁識別情報に対応する第二検出値の欄に、水の存否を示す情報が記憶される。水の存否を示す情報は、例えば、「0」又は「1」で示され、「0」は水の不存在、換言すれば空気の存在を示し、「1」は水の存在を示す。
例えば図7に示すように、弁識別情報1の空気弁1においては、第一検出値及び第二検出値はいずれも「0」であり、空気弁1は正常な状態にあることが理解される。弁識別情報2の空気弁1においては、第一検出値が「0」であり、第二検出値が「1」である。即ち、第二孔15aから水が漏れており、第二孔15aが開放されたままになっているおそれがある。弁識別情報3の空気弁1においては、第一検出値が「1」であり、第二検出値が「0」である。即ち、第二孔15aが閉じ、空気弁1内が空気によって満たされ、排気ができない状態になっているおそれがある。
前述したように、液面センサ31及び漏水センサ32は、所定のサンプリング周期にて、サーバ50に検出値を送信する。サーバ50は、液面センサ31及び漏水センサ32の検出値を受信する都度、テーブルの第一検出値及び第二検出値を更新する。
端末機51は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型端末などである。端末機51は、プロセッサ、RAM、ROM、書き換え可能な不揮発性メモリ、画面51aなどを備え、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに読み出して実行する。端末機51には、空気弁1に関する情報を表示するアプリケーションプログラムが設定されている。
図8は、端末機51の画面51aに表示された各空気弁1を示す画像の一例である。サーバ50は、不揮発性メモリに記憶されたテーブルを、ネットワーク52を介して端末機51に送信する。ユーザが端末機51を操作し、空気弁1に関する情報を表示するアプリケーションプログラムを呼び出した場合、アプリケーションプログラムはテーブルの送信をサーバ50に要求し、画面51aに地図を表示させ、送信されたテーブルに記憶され、弁識別情報に対応する場所に基づいて、弁識別情報に対応する空気弁1を地図上に表示させる。例えば、図8に示すように、地図には、例えば道路60及び鉄道61が含まれ、空気弁1は丸によって地図上に表示される。
アプリケーションプログラムは、テーブルの第一検出値及び第二検出値に基づいて、弁識別情報に対応する空気弁1の色を決定し、決定した色で空気弁1を着色させる。例えば、第一検出値及び第二検出値がいずれも「0」である場合、空気弁1の色は白に決定される。第一検出値が「0」であり、第二検出値が「1」である場合、空気弁1の色は青に決定され、第一検出値が「1」であり、第二検出値が「0」である場合、空気弁1の色は赤に決定される。例えば、図8に示すように、各空気弁1は、白丸、青丸(図8におけるハッチングが付された丸)又は赤丸(図8における黒によって塗りつぶされた丸)によって、それぞれ表示される。
ユーザは、地図上に表示された各空気弁1の色を視認して、空気弁1の状態、すなわち空気弁1が正常に動作しているか否か判断できる。従って、修理すべき空気弁1の存在を容易に確認することができ、また修理すべき空気弁1の場所を容易に把握することができる。また空気弁1の状態に応じて、赤又は青に色を変えることによって、ユーザは修理の優先順位を決定し易くなる。一般に、第二孔15aから水が排出されている場合(青色の場合)、空気弁1から排気されているので、配管40からの排気は実行されている。一方、第一孔8a及び第二孔15aが塞がり、空気が空気弁1に貯まっている場合(赤色の場合)、空気弁1から排気はされておらず、配管40からの排気は実行されていない。そのため、第二孔15aから水が排出されている場合に比べて、修理の緊急性は高い。空気溜まりが配管40にできた場合、空気溜まりは水流によって流されない。配管40が下降傾斜した部分を有し、下向きに水が流れている場合には、傾斜した部分の上端の上流側に、空気溜まりが滞留し、徐々に空気溜まりの体積は大きくなる。その結果、配管40による送水量が減少し、また配管40を破損する可能性があり、修理の緊急性は高くなる。修理の緊急性の度合に応じて、空気弁1に付される色を決定すると都合がよい。
図9は、サーバ50及び端末機51による空気弁1の状態を表示する第一表示処理を説明するフローチャートである。サーバ50のプロセッサは、液面センサ31及び漏水センサ32から、弁識別情報及び検出値を取得したか否かを判定する(S1)。弁識別情報及び検出値を取得した場合(S1:YES)、サーバ50のプロセッサは、取得した弁識別情報及び検出値を不揮発性メモリのテーブルに記憶する(S2)。換言すれば、サーバ50のプロセッサは、弁識別情報に対応付けて検出値を記憶し、テーブルの第一検出値及び第二検出値を更新する。
サーバ50のプロセッサは、端末機51からのテーブルの要求を受信したか否かを判定する(S3)。テーブルの要求を受信していない場合(S3:NO)、サーバ50のプロセッサはS1に処理を戻す。テーブルの要求を受信した場合(S3:YES)、サーバ50のプロセッサは、端末機51にテーブルを送信し(S4)、S1に処理を戻す。
S1において、弁識別情報及び検出値を取得していない場合(S1:NO)、サーバ50のプロセッサはS3に処理を進める。
端末機51のプロセッサは、アプリケーションプログラムの呼び出しがあるまで待機する(S11:NO)。ユーザが端末機51を操作することによって、アプリケーションプログラムは呼び出される。アプリケーションプログラムの呼び出しが有った場合(S1:YES)、端末機51のプロセッサはサーバ50にテーブルを要求する(S12)。
端末機51のプロセッサはサーバ50からテーブルを受信するまで待機する(S13:NO)。テーブルを受信した場合(S13:YES)、端末機51のプロセッサは、アプリケーションプログラムに従い、テーブルに記憶された情報に基づいて、端末機51の画面51aに地図を表示させ、各識別情報に対応する各空気弁1を地図上に表示させる(S14)。例えば、画面51aに地図のレイヤーを表示させ、表示させた地図のレイヤーに重ねて各空気弁1を示すレイヤーを表示させる。
端末機51のプロセッサは、表示を終了させる操作があるまで待機する(S15:NO)。表示を終了させる操作があった場合(S15:YES)、端末機51のプロセッサは、画面51aへの地図及び空気弁1の表示を終了させて(S16)、第一表示処理を終了させる。
なおユーザが、画面51aに表示された空気弁1の状態を更新する操作を行った場合、端末機51のプロセッサは、サーバ50にテーブルを要求し、受信したテーブルに基づいて、空気弁1の状態を地図上に再度表示させる(S12~S14参照)。
地図に重ねて表示する方法以外の方法によって、空気弁1の状態を表示してもよい。例えば、図7に示すように、空気弁1それぞれの状態を示す表を画面51aに表示させてもよい。
図10~図12は、空気弁1の内部における水又は空気の存在範囲を示す画像の一例である。ユーザが端末機51を操作し、空気弁1に関する情報を表示するアプリケーションプログラムを呼び出した場合、アプリケーションプログラムはテーブルの送信をサーバ50に要求し、送信されたテーブルに基づいて、空気弁1内部における水の存在範囲を示す画像を画面51aに表示させることができる。図10~図12において、ハッチングは水の存在範囲を示す。換言すれば、ハッチングが表示されていない部分は空気の存在範囲を示す。
アプリケーションプログラムは、テーブルの第一検出値及び第二検出値に基づいて、水の存在範囲を決定し、決定した存在範囲に対応する画像を、空気弁1の内部を示す画像に重ねて画面51aに表示させる。例えば、例えば、第一検出値及び第二検出値がいずれも「0」である場合、即ち、液面センサ31では水が検出され、且つ漏水センサ32では空気が検出されている場合、水は、筒状部3に存在し、且つ収納室8には空気が存在すると判定され、水が筒状部3に存在し且つ収納室8に空気が存在することを示す画像、即ち、正常状態であることが表示される(図10参照)。
第一検出値が「0」であり、第二検出値が「1」である場合、即ち、液面センサ31及び漏水センサ32において、水が検出されている場合、水は、筒状部3及び収納室8に存在すると判定され、筒状部3及び収納室8に亘る水の存在範囲を示す画像が、空気弁1の内部を示す画像に重ねて画面51aに表示される(図11参照)。第一検出値が「1」であり、第二検出値が「0」である場合、即ち、液面センサ31及び漏水センサ32において、空気が検出されている場合、水は収納室8に存在せず、且つ筒状部3にもほとんど存在しないと判定され、ガイド11の底面部付近にのみ水が存在し、他の部分に空気が存在することを示す画像が、空気弁1の内部を示す画像に重ねて画面51aに表示される(図12参照)。即ち、異常状態(故障)であることが表示される。
図13は、サーバ50及び端末機51による空気弁1内部における水の存在範囲を表示する第二表示処理を説明するフローチャートである。第二表示処理において、S21~S24は、S1~S4と同様であり、またS31~S33はS11~S13と同様であり、その詳細な説明は省略する。
S33において、端末機51のプロセッサが、サーバ50からテーブルを受信した場合(S33:YES)、端末機51のプロセッサは、アプリケーションプログラムに従い、テーブルに記憶された第一検出値及び第二検出値に基づいて、水の存在範囲を決定し(S34)、決定した水の存在範囲に対応した画像を端末機51の画面51aに表示させる(S35、図6~図8参照)。端末機51のプロセッサは、表示を終了させる操作があるまで待機する(S36:NO)。表示を終了させる操作があった場合(S36:YES)、端末機51のプロセッサは、画面51aへの地図及び各空気弁1の表示を終了させて(S37)、第二表示処理を終了させる。
水の存在領域を画像によって表示する方法以外の方法によって、水面の位置を表示してもよい。例えば、空気弁1それぞれについて、上位置、中位置又は下位置のいずれかを文字によって、端末機51の画面51aに表示してもよい。また水又は空気の存在領域を、空気弁1の外観を示す画像に重ねて画面51aに表示させてもよい。
図14は、構成を一部変更した空気弁1を略示する縦断面図である。漏水センサ32の配置位置は、収納室8の外側に限定されず、収納室8の内側に漏水センサ32を配置してもよい。例えば図14に示すように、収納室8の内側において、筒体15の隣に漏水センサ32を設けてもよい。
実施の形態1に係る空気弁1にあっては、第一孔8aから離隔した位置に第二孔15aを形成し、第二孔15aから排気を行う。また第二孔15aの直径を従来よりも大きくさせ易い。一般に、フロート13によって直接的に塞がれた第二孔15aを開放するための力のバランスは、「第二孔15aの面積」×「弁箱2の内圧」=「フロート13の重量」との関係によって成り立つところ、単純に第二孔15aの直径を大きくした場合、フロート13の重量は大きくなる。換言すればフロート13を大型化させる必要がある。実施の形態1にあっては、リンク機構20を使用することによって、フロート13の重力及び浮力をリンク機構20によって増幅させている。この結果、第二孔15aの直径を大きくしても、フロート13を大型化させることなく、第二孔15aを開放及び封止するための力を得ることができるので、第二孔15aの直径を従来よりも大きくさせ易い。従って、第二孔15aにおける異物45の詰まる可能性が少なくなり、長期間に亘り安定して少量排気を行うことが可能となり、空気弁1の信頼性を向上させることができる。
また、第一リンク21の一端部に第一弁21aを設け、第一リンク21の中途部に、連結ピン23を介して第二リンク22の一端部を連結させる。第二リンク22の他端部に第二弁22aを設け、第二リンク22の中途部に支軸24を設ける。筒状部3の軸方向にフロート13が移動した場合、第一リンク21及び第二リンク22は連動して動作し、梃子の原理によって、フロート13の重力及び浮力を増幅させ、第二弁22aに作用する力を増幅させて、第二孔15aを容易に開放及び封止させることができる。
また筒状部3内に状態検出器としての液面センサ31(第一状態検出部)を設けることによって、筒状部3内の空気の存否を検出することができる。空気が検出された場合、筒状部3内に空気が貯留された状態にあり、修理すべき状態にあることが理解される。
液面センサ31の通信部31b(第一出力部)は、筒状部3内の空気の存否をサーバ50に送信し、サーバ50に情報を記憶させることができる。また状態検出器としての漏水センサ32(第二状態検出部)を、例えば第二孔15aの隣に設けることによって、第二孔15aから排出された水の存否を検出することができる。水が検出された場合、第二孔15aから水が漏れており、修理すべき状態にあることが理解される。
また漏水センサ32の通信部32b(第二出力部)は、水の存否、換言すれば第二孔15aからの漏水の存否をサーバ50に送信し、サーバ50に情報を記憶させることができる。
実施の形態1に係るサーバ50は、空気弁1を識別する弁識別情報と、液面センサ31の検出結果とを対応付けて、端末機51に出力する。そのため、端末機51は、筒状部3内における空気の存否を空気弁1毎に区別して、表示させることができる。また空気弁1を識別する弁識別情報と、漏水センサ32の検出結果とを対応付けて、端末機51に出力する。そのため、端末機51は、第二孔15aから排出される水の存否を空気弁1毎に区別して、表示させることができる。
実施の形態1に係る端末機51で実行可能なコンピュータプログラムは、筒状部3内における空気の存否を空気弁1毎に区別して、端末機51の画面51aに表示させることができる。ユーザは、空気弁1それぞれについて、筒状部3内の状態を容易に確認することができる。
また前記コンピュータプログラムは、第二孔15aから排出される水の存否を空気弁1毎に区別して、端末機51の画面51aに表示させることができる。ユーザは、空気弁1それぞれについて、収納室8内の状態を容易に確認することができる。また前記コンピュータプログラムは、水又は空気の存在領域を、空気弁1を示す画像に重ねて表示させることができる。そのため、ユーザは、空気弁1の内部状態を視覚的に認識することができ、直感的に認識することができる。
またサーバ50及び端末機51を有するシステムを構築し、前記システムを利用した情報出力方法を実現し、スマート空気弁を実現させることができる。更には農業分野にスマート空気弁を展開させることによって、スマート農業に必要なインフラ整備を実現させて、農業の生産性向上を図ることができる。
なおサーバ50はクラウドを構成してもよい。クラウド上に、任意のセンサのデータをアップロード可能な共通プラットフォームを設置し、該共通プラットフォームに液面センサ31及び漏水センサ32の検出データを記憶させてもよい。共通プラットフォームに検出データを記憶させることによって、センサの種類に拘わらず、任意の端末機51によって、センサの検出データを確認することができる。
なおレバー10を上側に回動させて、収納室8、フランジ9、リンク機構20、フロート13及びガイド11を取り外して、筒状部3に口金を設けることができるように構成してもよい。田畑には、スプリンクラーが所定間隔、例えば20mを空けて複数設置されることがある。スプリンクラーの根幹には、空気弁1及び制御装置などが設置される。一方で、田畑には消火栓が設置されることは稀である。田畑にて火事が発生した場合には、空気弁1に口金を取り付けて、該口金に消火用ホースを接続させることによって、空気弁1を消火栓として機能させることができる。また空気弁1に、地表の温度を検出する温度センサを設けて、温度センサの検出結果を弁識別情報に対応付けて、サーバ50に送信し、テーブルに温度センサの検出結果を記憶させて、端末機51に火災の有無を通知してもよい。
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る空気弁1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図15は、空気弁1を略示する縦断面図である。
小径部5の内側に、弁箱2の状態を検出する状態検出器として、例えば流体の状態又は特性を検出する状態検出センサ33(第三状態検出部)が設けられている。筒状部3の軸方向において、状態検出センサ33の位置と、液面センサ31の位置とは略同じである。状態検出センサ33は、例えば、水の温度、圧力、酸性度又は濁り度などを検出する。状態検出センサ33は、センシング部33a及び通信部33bを備える。センシング部33aは、検出対象に応じたセンサを有し、例えば、温度センサ、圧力センサ、酸性度センサ又は濁り度センサなどを有する。通信部33bは、アクセスポイント53との間で無線通信を行う。アクセスポイント53は、ネットワーク52を介してサーバ50に接続されている。センシング部33aによって検出された検出値が、空気弁1を識別する弁識別情報と共に、換言すれば弁識別情報に対応付けられて、通信部33b、アクセスポイント53及びネットワーク52を介して、サーバ50に送信される。サーバ50は、空気弁1から受信した検出値(以下、第三検出値という)を弁識別情報に対応付けてテーブルに記憶させる。
実施の形態1と同様に、不揮発性メモリには、空気弁1の弁識別情報、空気弁1の場所、液面センサ31によって検出された第一検出値、漏水センサ32によって検出された第二検出値及び状態検出センサ33によって検出された第三検出値を示すテーブルが記憶される。サーバ50は、第三検出値と閾値とを比較し、例えば、第三検出値が閾値以上であるか否か判断する。端末機51のプロセッサはアプリケーションプログラムに従い、例えば、第三検出値が閾値以上である空気弁1を橙色に着色し、端末機51の画面51aに表示させる。
実施の形態2に係る空気弁1にあっては、状態検出センサ33を備えるので、流体の状態又は特性を検出することができる。また液面センサ31と状態検出センサ33とを設けることによって、検知対象を増加させることができる。
実施の形態2に係るサーバ50にあっては、第三検出値の検出結果を、弁識別情報に対応付けて端末機51に送信するので、端末機51は、弁識別情報に対応付けて第三検出値を表示することができる。また端末機51のコンピュータプログラムにあっては、弁識別情報に対応付けて第三検出値を端末機51の画面51aに表示させることができる。なおサーバ50は、第三検出値が閾値以下であるか否かを判定してもよい。
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る空気弁1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図16は、空気弁1の部分拡大縦断面図である。
筒状部3の大径部4には、圧抜きの為の径方向に貫通した貫通孔4aが形成されている。貫通孔4aは、前述した位置P1よりも下側に配されている。貫通孔4aには筒部4bが同軸的に嵌合している。筒部4bの中途部内周面には雌ねじ4cが形成されている。筒部4bには、検出ロッド17aが挿入される。検出ロッド17aの中途部に雄ねじ17bが形成されており、該雄ねじ17bは雌ねじ4cに螺合する。検出ロッド17aの一端部には状態検出器としての液面センサ31が取り付けられている。検出ロッド17aの他端部には取手17が設けられている。雄ねじ17bと液面センサ31との間において、検出ロッド17aにはシール部材17cが設けられている。シール部材17cは液面センサ31に隣接する。
検出ロッド17aの一端部を筒部4bに挿入し、検出ロッド17aの雄ねじ17bを筒部4bの雌ねじ4cに螺合させて、ねじ込む。検出ロッド17aの一端部は、筒状部3の内部空間に臨む位置に配される。即ち、液面センサ31は筒状部3の内部空間に臨む位置に配され、筒状部3内における空気の存否を検出することができる。検出ロッド17aは、雄ねじ17b及び雌ねじ4cの螺合を解除させることによって、貫通孔4aから抜き出される。即ち、検出ロッド17a及び液面センサ31は、筒状部3に着脱可能に取り付けられている。
空気弁1が正常に動作している場合、検出ロッド17aを貫通孔4aから抜き出すと、水が排出される。弁箱2内に空気が貯留されている場合、換言すれば排気不良が発生している場合には、初めに空気或は、少量の水分を含む空気が排出される。ユーザは、排出物を確認することによって、空気弁1が正常に動作しているか否かを確認することができる。貫通孔4aは、前述した位置P2又は位置P2よりも下側に形成されている。位置P2又は位置P2よりも下側に貫通孔4aが配置されることによって、正常動作時において液面センサ31は液面を検出することができる。
ユーザは取手17を操作し、検出ロッド17aを貫通孔4aから抜き出して、他の検出ロッド17aに交換することができる。例えば、液面センサ31が故障した場合、正常に動作する液面センサ31を取り付けた新たな検出ロッド17aに交換することができる。
また一端部に状態検出センサ33が取り付けられた検出ロッド17aを準備し、液面センサ31が取り付けられた検出ロッド17aを、状態検出センサ33が取り付けられた検出ロッド17aに交換することができる。また、状態検出センサ33が取り付けられた検出ロッド17aを、液面センサ31が取り付けられた検出ロッド17aに交換することができる。また検出ロッド17aを貫通孔4aから抜き出して、一端部に取り付けられた液面センサ31を状態検出センサ33に交換するか、又は一端部に取り付けられた状態検出センサ33を液面センサ31に交換し、再度貫通孔4aに挿入することができる。
図17は、構成を一部変更した空気弁1の部分拡大縦断面図である。図17に示すように、貫通孔4a及び検出ロッド17aをそれぞれ二つ設けてもよい。一方の検出ロッド17aに状態検出器としての液面センサ31が取り付けられており、他方の検出ロッド17aに状態検出センサ33が取り付けられている。筒状部3の軸方向において、二つの貫通孔4aの位置は略同じであり、二つの検出ロッド17aの位置は略同じである。即ち、筒状部3の軸方向において、液面センサ31の位置と、状態検出センサ33の位置とは略同じである。貫通孔4a及び検出ロッド17aを増加させることによって、検知対象を増加させることができる。なお、貫通孔4a及び検出ロッド17aをそれぞれ三つ以上設けて、検出部を三つ以上設けてもよい。また小径部5に一又は複数の検出ロッド17aを設けてもよい。また収納室8に貫通孔を設けて、漏水センサ32をロッドに取り付け、収納室8の貫通孔にロッドを挿入して、漏水センサ32を使用してもよい。
実施の形態3に係る空気弁1にあっては、液面センサ31が着脱可能に筒状部3に取り付けられているので、例えば、故障した液面センサ31を新たな液面センサ31に交換することができる。また状態検出センサ33が着脱可能に筒状部3に取り付けられているので、例えば、故障した状態検出センサ33を新たな状態検出センサ33に交換することができる。また液面センサ31を状態検出センサ33に、又は状態検出センサ33を液面センサ31に交換することができる。また収納室8の貫通孔に挿入されたロッドを交換して、漏水センサ32を交換することができる。
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る空気弁1を示す図面に基づいて説明する。図18は、空気弁1を略示する縦断面図である。実施の形態4においては、上述の液面センサ31に代えて、フロートを利用した状態検出器としての液面センサ311を使用する。筒状部3の下側に、液面検出フロート66を収納する収納室65が形成されている。収納室65は筒状部3の直径よりも大径の円盤状をなし、その上面に貫通孔65aが形成されている。筒状部3の外周面に液面センサ311が設けてある。液面センサ311は、例えばポテンショメータを備える。貫通孔65aには検出棒67が挿入されており、検出棒67の下端部は液面検出フロート66に接続され、上端部は液面センサ311に接続されている。検出棒67と貫通孔65aとの間に封止部材が設けられており、検出棒67は水密に上下動可能である。
液面検出フロートの上下動に応じて、検出棒67は上下動し、液面センサ311は検出棒67の上下位置を検出して、液面の位置を検出する。例えば、排気不良によって空気が弁箱2内に溜まった場合、液面検出フロート66は下降し、液面センサ311は、P3以下の液面位置を検出する。また漏水が発生している場合、液面検出フロート66は上昇し、液面センサ311はP1以上の液面位置を検出する。液面センサ311は弁箱2の外側に配置されているので、弁箱2内に異物、例えば泥が侵入した場合でも、異物を水と誤認して検出することを防止できる。
(実施の形態5)
以下本発明を実施の形態5に係る空気弁100を示す図面に基づいて説明する。図19は、空気弁100を略示する縦断面図である。空気弁100は、弁箱102を備える。弁箱102は上下方向に延びた筒状をなし、弁箱102の下端部はコック44を介して配管40に接続されている。弁箱102の下部内側に状態検出器としての液面センサ31が設けられている。弁箱102の上側開口は内蓋103によって塞がれている。内蓋103の中央部には上下に貫通した第一孔103aが形成されている。内蓋103の上側には外蓋104が設けられている。外蓋104と内蓋103との間には隙間101が形成されている。隙間101には、状態検出器としての漏水センサ32が配置されている。
弁箱102内に有底筒状のガイド105が設けられており、該ガイド105の内側にフロート106(第二弁)が配置されている。フロート106はガイド105に案内されて上下動する。フロート106と内蓋103との間に遊動弁107(第一弁)が設けられている。空気弁100を配管40に設置した時、遊動弁107はガイド105の底に位置し、第一孔103aは開いている。コック44が開き、弁箱102内に水が導入され、フロート106が上昇した場合、遊動弁107は上昇し、第一孔103aを閉じる。
遊動弁107の中央部に、上下に貫通した第二孔107aが形成されている。第二孔107aの直径は第一孔103aよりも小さい。水の導入によって、フロート106は上昇し、第二孔107aを閉じる。その後、配管40から一定量以上の空気が弁箱102に入ると、フロート106は下降し、第二孔107aを開く。なお内圧が外圧よりも高いので、フロート106が下降しても、遊動弁107は第一孔103aを閉じ続ける。
実施の形態5にあっては、異物45によって、フロート106の移動が妨げられた場合、実施の形態1と同様に、状態検出器としての液面センサ31及び漏水センサ32によって、異常な状態、例えば排気不良又は漏水を検出することができる。なお弁箱102の下部内側に状態検出器としての状態検出センサ33を設けてもよい。
実施の形態5においても、図16及び図17に示すように、圧抜きの為の貫通孔を弁箱102に形成し、検出ロッド17aに液面センサ31又は状態検出センサ33を取り付けて、前記貫通孔に検出ロッド挿入し、液面センサ31又は状態検出センサ33を使用してもよい。また外蓋104に貫通孔を設けて、漏水センサ32をロッドに取り付け、外蓋104の貫通孔に取り外し可能にロッドを挿入し、漏水センサ32を使用してもよい。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
本発明に関し、更に以下の事項を開示する。
(付記1)
筒状部及び該筒状部の軸線上に配置された空気を抜くための第一孔を有する弁箱と、前記筒状部内に配置され、前記筒状部の軸方向に移動可能なフロートと、前記フロートの移動によって前記第一孔を開閉する第一弁と、前記軸方向に交差する方向にて前記フロートから離隔した位置に配され、前記第一孔よりも小径の第二孔と、前記第一弁が開いている場合に前記第二孔を開き、前記第一弁が閉じている場合に前記第二孔を開閉し、少量の空気を排出可能な第二弁とを備える空気弁。
(付記2)
前記フロート、第一弁及び第二弁を連結するリンク機構を備え、前記リンク機構は、前記フロート及び第一弁を連結し、前記軸方向に延びる第一リンクと、該第一リンクの中途部及び第二弁を連結し、前記軸方向に交差する方向に延びる第二リンクと、前記第二リンクの一端部及び前記第一リンクの中途部を回動可能に連結する浮動式の連結ピンと、前記軸方向に交差する方向にて前記第一リンクから離隔した位置に配されており、前記第二リンクの中途部を回動可能に支持する支軸とを有し、前記第二弁は前記第二リンクの他端部に取り付けられている付記1に記載の空気弁。
(付記3)
前記弁箱に取り付けられており、前記弁箱内の状態を検出する状態検出器を備える付記1又は2に記載の空気弁。
(付記4)
空気を抜くための第一孔を上部に形成した弁箱と、前記弁箱内に配置され、上下方向に移動して、前記第一孔を開閉する第一弁と、前記第一孔よりも小径の第二孔と、前記弁箱内に配置され、前記第二孔を開閉する第二弁と、前記弁箱に取り付けられており、前記弁箱内の状態を検出する状態検出器とを備え、前記第二弁は、前記第一弁が閉じている場合に前記第二孔を開閉して、少量の空気を排出するように構成されている空気弁。
(付記5)
前記状態検出器は、弁箱内における空気の存否を検出する第一状態検出部を含む付記3又は4に記載の空気弁。
(付記6)
前記第一状態検出部は、前記第二弁が前記第二孔を閉じる位置まで前記フロートが上昇した状態における前記弁箱内の水位よりも下側に配置されている付記5に記載の空気弁。
(付記7)
前記弁箱に、前記弁箱内の圧力を抜くための貫通孔が形成されており、前記貫通孔に前記第一状態検出部は挿入される付記5又は6に記載の空気弁。
(付記8)
前記第一状態検出部は検出結果を出力する第一出力部を有する付記5から7のいずれか一つに記載の空気弁。
(付記9)
前記状態検出器は、前記第二孔から排出された液体の存否を検出する第二状態検出部を含む付記3から8のいずれか一つに記載の空気弁。
(付記10)
前記第二状態検出部は検出結果を出力する第二出力部を有する付記9に記載の空気弁。
(付記11)
前記状態検出器は、前記弁箱内における流体の状態又は特性を検出する第三状態検出部を含む付記3から10のいずれか一つに記載の空気弁。
(付記12)
前記第三状態検出部は検出結果を出力する第三出力部を有する付記11に記載の空気弁。
(付記13)
前記状態検出器は前記弁箱に着脱可能に取り付けられている付記3から12のいずれか一つに記載の空気弁。
(付記14)
フロートを収納する弁箱及び該弁箱内の状態を検出する状態検出器を有する空気弁から前記状態検出器の検出結果を取得する取得部と、前記空気弁を識別する弁識別情報及び前記取得部にて取得された前記状態検出器の検出結果を対応付けて、端末機に出力する出力部とを備えるサーバ。
(付記15)
前記状態検出器は、前記弁箱内における空気の存否を検出する第一状態検出部を含み、前記取得部は前記第一状態検出部の検出結果を取得し、前記出力部は、前記弁識別情報と、前記第一状態検出部の検出結果とを対応付けて、端末機に出力する付記14に記載のサーバ。
(付記16)
前記空気弁は、液体を排出する孔を有し、前記状態検出器は、前記孔から排出された液体の存否を検出する第二状態検出部を含み、前記取得部は前記第二状態検出部の検出結果を取得し、前記出力部は、前記弁識別情報及び前記第二状態検出部の検出結果を対応付けて、端末機に出力する付記14又は15に記載のサーバ。
(付記17)
前記状態検出器は、前記弁箱内における流体の状態又は特性を検出する第三状態検出部を含み、前記取得部は前記第三状態検出部の検出結果を取得し、前記出力部は、前記弁識別情報及び前記第三状態検出部の検出結果を対応付けて、端末機に出力する付記14から16のいずれか一つに記載のサーバ。
(付記18)
コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムであって、弁箱内の状態を検出する状態検出器を有する空気弁の弁識別情報及び前記状態検出器の検出結果を対応付けた情報をサーバから受信した場合、受信した情報を画面に表示する処理を実行させるコンピュータプログラム。
(付記19)
前記状態検出器は、前記弁箱内における空気の存否を検出する第一状態検出部を含み、前記弁識別情報及び前記第一状態検出部の検出結果を対応付けた情報をサーバから受信した場合、受信した情報を前記画面に表示する処理を実行させる付記18に記載のコンピュータプログラム。
(付記20)
前記空気弁は、液体を排出する孔を有し、前記状態検出器は、前記孔から排出された液体の存否を検出する第二状態検出部を含み、前記弁識別情報及び前記第二状態検出部の検出結果を対応付けた情報をサーバから受信した場合、受信した情報を前記画面に表示する処理を実行させる付記18又は19に記載のコンピュータプログラム。
(付記21)
前記第一状態検出部及び第二状態検出部の検出結果に基づいて、液体又は空気の存在領域を示す画像を、前記空気弁を示す画像に重ねて前記画面に表示する処理を実行させる付記20に記載のコンピュータプログラム。
(付記22)
前記状態検出器は、前記弁箱内における流体の状態又は特性を検出する第三状態検出部を含み、
前記弁識別情報及び前記第三状態検出部の検出結果を対応付けた情報をサーバから受信した場合、受信した情報を前記画面に表示する処理を実行させる付記18から22のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
(付記23)
フロートを収納する空気弁の弁箱内の状態を検出する状態検出器からサーバに、検出結果を出力させ、前記検出結果を取得した前記サーバから端末機に、前記空気弁を識別する弁識別情報及び前記検出結果を対応付けて出力させる情報出力方法。