JP2010230078A - 弁状態監視方法および弁状態監視システム - Google Patents

弁状態監視方法および弁状態監視システム Download PDF

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【課題】本発明が解決しようとする課題は、弁の経年的な劣化による不具合の発生前にその傾向をつかみ、弁の健全性評価をすることである。
【解決手段】上記の課題は、弁開閉時に発生する弁棒またはヨーク部のひずみを測定するため前記弁棒又はヨーク部に設けたセンサと、前記センサの測定情報を監視センタサーバへ送信するための通信モジュールと、前記測定情報を処理するための監視センタサーバを有し、弁開閉時の前記ひずみセンサの測定情報を常時あるいは定期的に測定し前記監視センタサーバへと送信し、前記監視センタサーバでは前記測定情報を基に弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視システムによって達成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は,弁状態監視方法および状態監視システムに関する。
現在、原子力発電プラントに設置されている弁の診断は、既存の弁診断装置と呼ばれるものを用いて行われている。その診断は主にプラントの定期点検時に診断装置と呼ばれる装置を現場に持ち込み、弁本体に組み込み、様々な項目について点検,診断を行うものが多い。
特開2008−39126号公報に半導体基板を弁装置の弁棒,バルブヨーク,トルクスプリング,軸の何れかに設け、該ブリッジ回路の計測値からスラスト力とトルクを求め弁の監視に用いる技術が記載されている。この弁装置の監視システムでは、既存のセンサネットシステムと高感度小型のひずみセンサを組み合わせたワイヤレスひずみセンサを用い、それを弁棒部またはヨーク部に設置することにより、弁開閉時に発生する弁棒部またはヨーク部のトルクとスラスト力の情報を取得することが可能となる。
特開2008−39126号公報
本発明が解決しようとする課題は、弁の経年的な劣化による不具合の発生前にその傾向をつかみ、弁の健全性評価をすることである。
上記の課題は、弁開閉時に発生する弁棒またはヨーク部のひずみを測定するため前記弁棒又はヨーク部に設けたセンサと、前記センサの測定情報を監視センタサーバへ送信するための通信モジュールと、前記測定情報を処理するための前記監視センタサーバを有し、弁開閉時の前記センサの測定情報を常時あるいは定期的に測定し前記監視センタサーバへと送信し、前記監視センタサーバでは前記測定情報を基に弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視システム、によって達成される。
これにより、弁の経年的な劣化による不具合を発生前にその傾向をつかみ、弁個々の状態を監視することで弁の健全性評価を行うことが可能となる。
弁の常時状態を監視することで弁の経年的な劣化傾向をつかむ状態監視に必要な装置の配置を示す図。 本発明に用いられるセンサの外観図。 本発明に用いられるワイヤレス通信モジュールの外観図。 本発明における弁の常時状態を監視することで弁の経年的な劣化傾向をつかむ状態監視の手順及びデータの利用手順を示すフローチャート。 本発明のワイヤレス通信モジュールから発信されるデータ項目を示す図。 本発明のデータベース内に格納されたデータ項目を示す図。
以下に本発明の実施形態について図面を参照し説明する。
図1に、本システムの実施形態の一例を示す。発電プラントに設置される弁において、ひずみセンサとそのひずみセンサとつながったワイヤレス通信モジュール5を準備し、監視対象となる弁1の弁棒2にそのひずみセンサ4を取り付け、ワイヤレス通信モジュールを付近のヨーク部3やサポート部に設置しておく。またワイヤレス通信モジュールからのデータを遠隔で取得するために、監視対象弁の周辺に中継器6等を一台もしくは複数台設置し、通信に必要な周辺環境を整えておく。また、本システムでは弁の劣化状態を監視するため、弁製作時や弁納入時に監視対象弁の開閉時に発生する弁棒ひずみを測定し、測定結果を元に弁棒スラスト荷重およびトルクを算出し、弁の属性情報と合わせて、初期データとして監視センタサーバに格納しておく。
前記の状態にて、発電プラント運転中もしくは定期点検時に弁の開閉操作を行った際に、ひずみセンサを用いて弁棒に発生するひずみを弁棒から直接測定する。測定された情報は測定日時等の属性情報と併せて、中継器を介して、遠隔にて監視センタサーバに送信される。受信した情報はデータベース8に格納されている初期データと比較・検証され、弁の経年的な劣化状態を評価する。尚、本実施形態ではワイヤレス通信モジュールを用いて遠隔にてデータを取得しているが、場合によっては有線にてつながれた監視システムにて取得しても、直接現場にてデータを取得してもよいものとする。
評価の結果、問題ないと判断された場合には、そのまま弁の運転を続けると共に、監視状態を継続する。一方、経年劣化が確認された場合や詳細調査が必要と判断された場合には、既存の弁診断装置にて詳細な診断を行い、その診断結果とこれまでの監視履歴やデータを考慮し、弁の改造,補修等の検討を行う。また、本方法により取得したデータはプラント全体もしくは弁の点検周期などの保全計画に反映され、利用される。ここで、本発明にて監視する弁状態とは、弁棒軸方向ひずみ,弁棒周方向ひずみによって評価される弁座摩擦係数,弁棒ネジ部の摩擦係数,グランドパッキンの摺動抵抗,弁の開閉状態などを指す。そのほかにも取り付けるセンサによって、周囲の環境温度や放射能濃度も監視することができる。
本実施例では、既存のセンサネットシステムと高感度小型のひずみセンサを組み合わせたワイヤレスひずみセンサを用い、それを弁棒部またはヨーク部に設置することにより、弁開閉時に発生する弁棒部またはヨーク部のひずみ情報を直接取得することができる。さらに、取得した情報は遠隔で監視センタサーバ等に送信され、弁棒スラスト荷重及びトルクの情報を取得することが可能となる。尚、ワイヤレスひずみセンサは弁棒に設置できる程小型のため、プラント運転中も測定対象弁に設置させておくことができ、点検作業の簡素化ができる上にプラント運転中の弁状態を常に遠隔で監視することが可能となる。
図1は、弁の経年的な劣化傾向をつかむ状態監視を行うための必要な装置の配置を示す図である。
被検査対象である弁1の弁棒2にひずみセンサ4を設置し、ワイヤレス通信モジュール5をヨーク部3に設置する。ワイヤレス通信モジュール5の設置場所はひずみセンサ4と有線にてつながっていればこの限りではない。また中継器6はワイヤレス通信モジュールから発信されたデータを受信可能な位置に設置する。尚、監視センタサーバ7にデータを確実に送信するために必要に応じて中継器6を複数器設置する。
弁の状態監視を実施する際には、ひずみセンサ4とワイヤレス通信モジュール5、および中継器を起動させた状態で、対象の弁1の開閉操作を行い、弁棒ひずみを測定し、ワイヤレス通信モジュール5および中継器6を介して、監視センタサーバ7に発生ひずみと測定日時,管理No.,弁番号等の情報を送信する。受信した管理No.と弁番号を元に監視センタサーバ7につながったデータベース8に格納されている情報を参照し、弁棒発生ひずみを元に弁棒スラスト、弁棒トルクを算出し、その値から弁棒のネジ係数,弁座摩耗係数を算出し、同じくデータベース8に格納されている過去の測定履歴と比較する。その比較結果はデータベース8に測定データと合わせて格納され、監視センタサーバ7上に表示される。また、ネットワークでつながった別の遠隔地でも監視モニター9を通して結果を確認することができる。また、MCC又はモータ電流値の運転時の挙動も併せて評価すれば、トルクスイッチ設定値,モータの惰走時間,全開→全閉又は全閉→全開ウォームギア回転数が評価できる。尚、比較評価した結果、著しい変化があるなど問題が確認された場合には、既存の弁診断装置を用いて詳細診断を行い、場合によっては補修,改造を行う。
図2にひずみセンサの外観図を示す。ひずみセンサ4はひずみを検知するセンサ10とその情報を送信する配線11から成る。このひずみセンサは高感度である上に温度校正用回路も有することから、ひずみのみならず、必要に応じて温度や振動、又、ひずみセンサの出力のパターン分析,マハラノビス距離の評価を行い、初期状態と比較することで異状態の程度を絶対値的に評価でき、又、パターン分析,マハラノビス距離を複数の弁で比較評価することで相対的に評価できる。さらに、リスクの状況の絶対的な把握と相対的な把握を可能とすることで弁のリスクベースメンテナンスを可能とすることができる。また、パターン分析,マハラノビス距離の評価は弁の特性が異なる3つの以下の状態に分割して評価することで、どの部位にリスクが高いかも評価することが可能になる。
(1)作動開始後の数秒間(又は全ストロークの作動時間の内最初の20%以内)
(2)作動の数秒間(又は全ストロークの作動時間の内最後の20%以内)
(3)(1)−(2)の間の状態
このように弁棒またはヨーク部から直接ひずみを測定するため、従来より精度の高い情報を得ることができる。
図3にワイヤレス通信モジュールの外観図を示す。ワイヤレス通信モジュール5はひずみセンサ4につながる配線11とバッテリ14およびワイヤレス通信用の電波を発信する発信装置13と通信モジュール本体12から成る。
図5に前記の装置を利用した弁の経年的な劣化傾向をつかむ弁状態監視の手順及びデータの利用のフローを示す。
始めに手順15にて弁製作時や弁納入時の弁棒ひずみを測定し、測定結果および測定結果から算出した弁棒スラスト荷重とトルクを弁番号や弁メーカなどの属性情報と合わせて、監視センタサーバ7のデータベース8に格納しておく。初期データの測定については、測定環境に合わせてひずみセンサやワイヤレス通信モジュール以外の測定装置を用いてよいものとする。また、図6に初期測定データとしてデータベース8に登録される情報の種類を例示する。このようにすることで、弁の開閉時に発生する弁棒ひずみや弁棒スラスト荷重,トルクは、弁個々により微妙な違いがあるため、弁の特性を予め初期データとして把握し、監視時に初期データと比較することで、信頼性の高い状態監視が可能となり、さらには監視結果を点検計画へ反映することも可能である。
次に手順16にて監視に必要な弁棒2に設置されたひずみセンサ4およびヨーク部3に設置されたワイヤレス通信モジュール5,弁付近に設置された中継器6を起動させる。
監視の準備が整った時点で、手順17にて弁1の開閉操作時の弁棒ひずみや周波数情報をひずみセンサ4を用いて測定し、その測定データと属性情報をワイヤレス通信モジュール5および中継器6を介して監視センタサーバ7に送信する。図5にワイヤレス通信モジュール5から発信される情報の種類を例示する。
手順18にて取得データをデータベース8に格納し、手順19にて取得したデータを元に弁開閉操作時に発生する弁棒スラスト荷重およびトルクを算出する。また、異常な高周波数が検知されていないかも併せて確認する。その後手順20にて取得データの属性情報を元に算出した弁棒スラスト荷重およびトルクをデータベース内に格納されている過去の測定データと比較する。
比較した結果、手順21にて測定結果に異常が見られるか、もしくは経年劣化や微少リークが懸念されるような場合には、詳細な弁診断が必要かどうかを検討する。尚、経年劣化が懸念される項目としては、弁棒スラスト荷重やトルクから算出可能な弁座摩擦係数や弁棒ネジ部の摩擦係数,グランドパッキンの摺動抵抗などが考えられ、これらの値も同時に算出,比較評価を行ってもよい。
手順21にて測定結果が問題なく、詳細診断は不要と判断された場合には、手順22にて検討結果を測定履歴として測定データと合わせてデータベース8に保存し、必要に応じて手順23にて弁1の監視状況の報告書を作成する。
一方、手順21にて詳細な弁診断が必要と判断された場合には、手順24にて既存の弁診断装置を用いて詳細診断を実施する。詳細診断の結果およびデータベース8に格納された過去の測定実績を元に、手順25にて弁1の診断結果が問題ないかを検討する。
手順25にて経年劣化の可能性がある場合には、必要に応じて手順26にて弁の補修,改造を実施する。
一方、手順25にて詳細診断の結果、問題ないと判断された場合には、手順22にて検討結果を測定履歴として測定データと合わせてデータベース8に保存し、必要に応じて手順23にて弁1の監視状況の報告書を作成する。
これにより、従来は定期点検時のみの点検しかできなかった弁についてもプラント運転中の常時状態において監視することができ、弁の経年的な劣化による不具合を発生前にその傾向をつかみ、弁個々の状態を監視することで弁のリスクを評価,監視(管理)保全を行うことが可能となる。
上記実施例ではプラント運転中の診断について記載したが、本発明はプラント運転中でなくとも、定期点検時や建設時等様々な場面でも適用可能である。
なお、構成とそれに対応する効果を記載すれば以下のようになる。
弁開閉時に発生する弁棒またはヨーク部のひずみを測定するため前記弁棒又はヨーク部に設けたセンサと、前記センサの測定情報を監視センタサーバへ送信するための通信モジュールと、前記測定情報を処理するための前記監視センタサーバを有し、弁開閉時の前記センサの測定情報を常時あるいは定期的に測定し前記監視センタサーバへと送信し、前記監視センタサーバでは前記測定情報を基に弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視システムによれば、弁の経年的な劣化による不具合を発生前にその傾向をつかみ、弁個々の状態を監視することで弁の健全性評価を行うことが可能となる。
前記センサの測定情報から算出した前記弁棒スラスト荷重とトルクと、弁番号と弁メーカの属性情報を格納したデータベースと、前記弁の開閉時におけるひずみセンサの測定情報とから弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視システムによれば、弁の開閉時に発生する弁棒ひずみや弁棒スラスト荷重,トルクは、弁個々により微妙な違いがあるため、弁の特性を予め初期データとして把握し、監視時に初期データと比較することで、信頼性の高い状態監視が可能となる。
絶対的な評価と相対的な評価から弁のリスクベースメンテナンスをすることを特徴とする弁状態監視システムによればリスクベースメンテナンスを可能とすることができる。
弁の特性が異なる3つの状態に分割してリスクベースメンテナンスを評価することを特徴とする弁状態監視システムによれば、どの部位にリスクが高いかも評価することが可能になる。
弁開閉時に発生する弁棒またはヨーク部のひずみを測定するため前記弁棒又はヨーク部に設けたセンサと、前記センサの測定情報を監視センタサーバへ送信するための通信モジュールと、前記測定情報を処理するための前記監視センタサーバを有し、弁開閉時の前記ひずみセンサの測定情報を常時あるいは定期的に測定し、前記モジュールが前記監視センタサーバへと送信し、前記監視センタサーバが前記測定情報を基に弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視方法によれば、弁の経年的な劣化による不具合を発生前にその傾向をつかみ、弁個々の状態を監視することで弁の健全性評価を行うことが可能となる。
前記ひずみセンサの測定情報から算出した前記弁棒スラスト荷重とトルクと、弁番号弁メーカの属性情報を格納したデータベースと、前記弁の開閉時におけるひずみセンサの測定情報とから弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視方法によれば弁の開閉時に発生する弁棒ひずみや弁棒スラスト荷重,トルクは、弁個々により微妙な違いがあるため、弁の特性を予め初期データとして把握し、監視時に初期データと比較することで、信頼性の高い状態監視が可能となる。
監視センタサーバが前記絶対的な評価と相対的な評価をし、弁のリスクベースメンテナンスを評価することを特徴とする弁状態監視方法によればリスクベースメンテナンスを可能とすることができる。
弁の特性が異なる3つの状態に分割し、リスクベースメンテナンスを評価することを特徴とする弁状態監視方法によれば、どの部位にリスクが高いかも評価することが可能になる。
1 弁
2 弁棒
3 ヨーク部
4 ひずみセンサ
5 ワイヤレス通信モジュール
6 中継器
7 監視センタサーバ
8 データベース
9 監視モニター
10 センサ部
11 配線
12 通信モジュール本体
13 発信装置
14 バッテリ

Claims (8)

  1. 弁開閉時に発生する弁棒またはヨーク部のひずみを測定するため前記弁棒又はヨーク部に設けたセンサと、
    前記センサの測定情報を監視センタサーバへ送信するための通信モジュールと、
    前記測定情報を処理するための前記監視センタサーバを有し、
    弁開閉時の前記センサの測定情報を常時あるいは定期的に測定し前記監視センタサーバへと送信し、前記監視センタサーバでは前記測定情報を基に弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視システム。
  2. 請求項1に記載の弁状態監視システムにおいて、
    前記センサの測定情報から算出した前記弁棒スラスト荷重とトルクと、弁番号と弁メーカの属性情報を格納したデータベースと、前記弁の開閉時におけるセンサの測定情報とから弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視システム。
  3. 請求項1に記載の弁状態監視システムにおいて、
    絶対的な評価と相対的な評価から弁のリスクベースメンテナンスを評価することを特徴とする弁状態監視システム。
  4. 請求項3の弁状態監視システムにおいて、
    弁の特性が異なる3つの状態に分割して評価することを特徴とする弁状態監視システム。
  5. 弁開閉時に発生する弁棒またはヨーク部のひずみを測定するため前記弁棒又はヨーク部に設けたセンサと、
    前記センサの測定情報を監視センタサーバへ送信するための通信モジュールと、
    前記測定情報を処理するための前記監視センタサーバを有し、
    弁開閉時の前記センサの測定情報を常時あるいは定期的に測定し、前記通信モジュールが前記監視センタサーバへと送信し、前記監視センタサーバが前記測定情報を基に弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視方法。
  6. 請求項5に記載の弁状態監視方法において、
    前記センサの測定情報から算出した前記弁棒スラスト荷重とトルクと、弁番号と弁メーカの属性情報を格納したデータベースと、前記弁の開閉時におけるひずみセンサの測定情報とから弁状態を診断することを特徴とする弁状態監視方法。
  7. 請求項5に記載の弁状態監視方法において、
    前記監視センタサーバが前記絶対的な評価と相対的な評価をし、弁のリスクベースメンテナンスを評価することを特徴とする弁状態監視方法。
  8. 請求項7に記載の弁状態監視方法において、
    弁の特性が異なる3つの状態に分割し、リスクベースメンテナンスを評価することを特徴とする弁状態監視方法。
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