以下に図面を参照し、本発明の第1の実施形態について詳細に記載する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る記録装置1000の内部の構成を部分的に示す斜視図である。また、図2は本発明の第1の実施形態に係る記録装置1000の内部の構成を部分的に示す断面図である。
記録装置1000の内部にはプラテン2が配置されており、このプラテン2には記録媒体3を吸着させて浮き上がらないようにするために多数の吸引孔34が形成されている。この吸引孔34はダクトと繋がっており、さらにダクトの下部に吸引ファン36が配置され、この吸引ファン36が動作することでプラテン2に対する記録媒体3の吸着を行っている。
キャリッジ6は、紙幅方向に延伸して設置されたメインレール5に支持され、X方向(交差方向)に沿った往方向および復方向に往復走査(往復移動)することが可能なように構成されている。キャリッジ6は、後述するインクジェット方式の記録ヘッド7を搭載している。なお、記録ヘッド7は、発熱体を用いたサーマルジェット方式、圧電素子を用いたピエゾ方式等、さまざまな記録方式を適用することが可能である。キャリッジモータ8は、キャリッジ6をX方向に移動させるための駆動源であり、その回転駆動力はベルト9でキャリッジ6に伝達される。
記録媒体3は、ロール状に巻かれた媒体23から巻き出すことで給送される。記録媒体3は、プラテン2の上でX方向と交差するY方向(搬送方向)に搬送される。記録媒体3はピンチローラ16と搬送ローラ11によって挟持されており、搬送ローラ11が駆動することによって搬送が行われる。また、記録媒体3はプラテン2よりY方向の下流ではローラ31と排送ローラ32に挟持され、さらにターンローラ33を介して記録媒体3は巻取りローラ24に巻きつけられている。
図3(a)は本実施形態に係る記録ヘッド7を示す斜視図である。また、図3(b)は記録ヘッドのブラックインク用の吐出口列22Kが設けられているチップ25の拡大図である。また、図3(c)は記録ヘッドのシアンインク用の吐出口列22C、マゼンタインク用の吐出口列22M、イエローインク用の吐出口列22Yが設けられているチップ25の拡大図である。
図3(a)からわかるように、本実施形態では、記録ヘッド7内にはブラックインクを吐出するための記録チップ(Bkチップ)25とカラーインクを吐出するための記録チップ(Clチップ)26が別体に設けられている。
そして、図3(b)に示すように、Bkチップ25には2つの列がY方向(所定方向)に1インチ当たり600個の記録解像度(600dpi)だけずれて配列された、ブラックインクを吐出するためのK吐出口列22Kが形成されている。これらの2つの列のそれぞれには、吐出口30aがY方向(所定方向)に1インチ当たり300個の記録解像度(300dpi)で配列されている。ここで、吐出口30aは約25plのインクを吐出可能であり、吐出口30aから記録媒体上にインクを1滴吐出して形成されるドットの径は約60μmとなる。また、図3(b)では簡単のため6つの吐出口30aしか記載していないが、実際には128個の吐出口30aによって吐出口列22Kが形成されている。
また、図3(c)に示すように、Clチップ26には吐出口30bがY方向に1インチ当たり600個の記録解像度(600dpi)で配列された列と吐出口30cがY方向に1インチ当たり600個の記録解像度(600dpi)で配列された列からなるシアンインクを吐出するための吐出口列22Cが形成されている。ここで、吐出口30bは約5plのインクを吐出可能であり、吐出口30bからインクを1滴吐出して形成されるドットの径は約50μmとなる。また、吐出口30cは約2plのインクを吐出可能であり、吐出口30cからインクを1滴吐出して形成されるドットの径は約35μmとなる。また、図3(c)では簡単のためそれぞれ3つの吐出口30bと3つの吐出口30cしか記載していないが、実際には128個の吐出口30bと128個の吐出口30cによって吐出口列22Cが形成されている。
更に、同じようにしてClチップ26にはマゼンタインクを吐出するための吐出口列22Mとイエローインクを吐出するための吐出口列22Yが形成されている。
各吐出口30a、30b、30cの直下には記録素子が設置されており(不図示)、記録素子が駆動されることで生成される熱エネルギーによって直上のインクが発泡し、それにより吐出口からインクが吐出される。なお、以降の説明では簡単のため、同じ色、且つ、同じ量のインクを吐出する列を形成する複数の吐出口の直下に形成された複数の記録素子からなる列を記録素子列と称する。
図4は、本実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。主制御部300は、演算、選択、判別、制御などの処理動作を実行するCPU301と、CPU301によって実行すべき制御プログラム等を格納するROM302と、記録データのバッファ等として用いられるRAM303、および入出力ポート304等を備えている。EEPROM313には、後述する画像データやマスクパターン、吐出不良ノズルデータ等が格納されている。そして、入出力ポート304には、搬送モータ(LFモータ)309、キャリッジモータ(CRモータ)310、記録ヘッド7に対応する各駆動回路305、306、307が接続されている。さらに、主制御部300はインターフェイス回路311を介してホストコンピュータであるPC312に接続されている。
図5は本実施形態にてCPU301が実行するデータの処理過程を示すフローチャートである。
ステップ401においてデジタルカメラやスキャナなどの画像入力機器、あるいはコンピュータ処理などによって得られるRGB各256階調(0~255)の原画像信号を600dpiの解像度で入力する。
ステップ402の色変換処理Aによって、ステップ401で入力されたRGBの原画像信号をR’G’B’信号へ変換する。
次のステップ403の色変換処理Bおいて、R’G’B’信号が各色インクに対応する信号値に変換される。本実施例の記録モードはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3色で構成するものとする。したがって、変換後の信号はシアン、マゼンタ、イエローのインク色に対応するデータC1、M1、Y1である。データC1、M1、Y1の各階調数は256(0~255)、解像度は600dpiである。なお具体的な色処理BはR、G、B各入力値とC、M、Y各出力値の関係を示した三次元ルックアップテーブル(不図示)を使用し、テーブル格子点値から外れる入力値については、その周囲のテーブル格子点の出力値から補間により出力値を求める。以下、データC1、M1、Y1のうち、データC1について代表して説明する。
ステップ404において、階調補正テーブルを用いた階調補正によりデータC1の階調補正を行い、階調補正後のデータC2を得る。
ステップ405において、データC2に対して誤差拡散法による量子化処理を行い、3階調(階調レベル0、1、2)で解像度が600dpi×600dpiのデータC3を得る。ここでは誤差拡散法を用いたが、ディザ法であっても構わない。
ステップ406において、データC3を図6に示す吐出口列展開テーブルに従って、各吐出口列用の画像データC4を得る。本実施形態では、5pl吐出口列用の画像データは生成せず、2pl吐出口列用の画像データは「0」、「1」、「2」の3階調に展開される。詳細には、画像データC4は600dpi×600dpiの解像度において「00」、「01」、「10」の3通りの2ビットの情報のいずれかとなる。ここで、ある画素において画像データを構成する2ビットの情報が「00」である場合、その情報が示す値(以下、画素値とも称する)は「0」である。また、ある画素において画像データを構成する2ビットの情報が「01」である場合、その情報が示す値(画素値)は「1」である。ある画素において画像データを構成する2ビットの情報が「10」である場合、その情報が示す値(画素値)は「2」である。画像データC2の詳細については後に説明する。
ステップ407において、画像データC4に対して後述する分配処理を行い、各走査での各画素領域に対するインクの吐出または非吐出を定める記録データC5を生成する。
その後、ステップ408にて記録ヘッドに記録データC5が送信され、ステップ409にてその記録データC5にしたがってインクが吐出される。
なお、ステップ401~407における処理のすべてをPC312が行っても良いし、ステップ401~407における処理の一部をPC312が、他部を記録装置1000が行っても良い。
本実施形態では、時分割駆動方式およびマルチパス記録方式にしたがって記録を行う。以下にそれぞれの制御について詳細に説明する。
(時分割駆動方式)
図3に示したような多数の記録素子が配列された記録ヘッドを用いる場合、全ての記録素子を同時に駆動して同一のタイミングでインクを吐出しようとすると、大容量の電源が必要となってしまう。このような電源の大容量化を抑制するために記録素子を複数の駆動ブロックに分割し、同一行内を記録するために駆動ブロックごとに駆動するタイミングを異ならせる、いわゆる時分割駆動方式を行うことが一般に知られている。この時分割駆動方式によれば、同時に駆動する記録素子の数を減らすことができるため、記録装置に必要な電源の容量を抑えることができる。
図7は本実施形態における時分割駆動方式を説明するための図である。なお、図7(a)は1つの記録素子列を構成する128個の記録素子を、図7(b)は各記録素子に印加される駆動信号を、図7(c)は実際に吐出されるインク滴をそれぞれ模式的に示す図である。なお、以下の説明では図7(a)に示すように128個の記録素子のうちの最もY方向下流側の記録素子を記録素子No.1とし、Y方向上流側に向かうにしたがって記録素子No.2、No.3、・・・No.126、No.127と1つずつ記録素子No.を増加させ、最もY方向上流側の記録素子を記録素子No.128と称して説明する。
本実施形態では、128個の記録素子をY方向に連続する16個の記録素子ずつ、第1セクションから第8セクションまでの8個のセクションに分類される。そして、8個のセクションそれぞれにおいて相対的に同じ位置に位置する記録素子を同じ駆動ブロックとし、合計で駆動ブロックNo.1から駆動ブロックNo.16までの16個の駆動ブロックに分割する。
詳細には、第1セクションから第8セクションまでの8個のセクションそれぞれにおいて最もY方向下流側の記録素子を駆動ブロックNo.1に属する記録素子とする。すなわち、記録素子No.1、No.17、・・・、No.113の記録素子が駆動ブロックNo.1に属する記録素子となる。言い換えると、0~7の整数をaとした際に、記録素子No.(16×a+1)を満たす記録素子が駆動ブロックNo.1に属する記録素子となる。
また、第1セクションから第8セクションまでの8個のセクションそれぞれにおいてY方向下流側から2つ目の記録素子を駆動ブロックNo.2に属する記録素子とする。すなわち、記録素子No.2、No.18、・・・、No.114の記録素子が駆動ブロックNo.2に属する記録素子となる。言い換えると、0~7の整数をaとした際に、記録素子No.(16×a+2)を満たす記録素子が駆動ブロックNo.2に属する記録素子となる。
以下、駆動ブロックNo.3~No.16についても同様である。詳細には、0~7の整数をaとした際に、記録素子No.(16×a+b)を満たす記録素子が駆動ブロックNo.bに属する記録素子となる。
本実施形態における時分割駆動方式では、予め定められた駆動順序にて異なる駆動ブロックに属する記録素子が互いに異なるタイミングで順次駆動されるように、各記録素子の駆動を制御する。ここで、本実施形態では駆動順序の設定が記録装置1000内のROM302に記憶されており、それを駆動回路307を介して記録ヘッドに送信する。そして記録ヘッドでは所定の間隔でブロック選択信号が送られてきて、そのブロック選択信号と記録データとのANDで駆動信号が記録素子に流れる。図7(b)では、駆動順序として駆動ブロックNo.1、5、9、13、2、6、10、14、3、7、11、15、4、8、12、16の順序で各駆動ブロックに属する記録素子が駆動されるように駆動信号27を印加する。この結果、図7(c)に示すようにインク滴28が吐出される。
(マルチパス記録方式)
本実施形態では、記録媒体上の単位領域に対して複数回の走査で記録を行うマルチパス記録方式にしたがって記録を行う。
図8は4回の走査により単位領域内に記録を行う場合を例として、一般的なマルチパス記録方式について説明するための図である。ここで、本実施形態におけるマルチパス記録方式ではX方向の上流側から下流側への走査(以下、往方向への走査とも称する)とX方向の下流側から上流側への走査(以下、復方向への走査とも称する)とを交互に実行する。
記録素子列22に設けられたそれぞれの記録素子、Y方向に沿って第1、第2、第3、第4の記録素子群に分割される。ここで、第1の記録素子群は記録素子No.97~128、第2の記録素子群は記録素子No.65~96、第3の記録素子群は記録素子No.33~64、第4の記録素子群はNo.1~32からそれぞれ構成される。また、第1から第4の記録素子群それぞれのY方向における長さは、記録素子列のY方向における長さをLとした場合、L/4となる。
1回目の記録走査(1パス)では、記録媒体3上の単位領域211に対して第1の記録素子群からインクが吐出される。ここで、1パス目はX方向の上流側から下流側に向かって行われる。
次に、記録媒体3を記録ヘッド7に対してY方向の上流側から下流側にL/4の距離だけ相対的に搬送する。なお、ここでは簡単のため、記録ヘッド7を記録媒体3に対してY方向の下流側から上流側に搬送した場合を図示しているが、搬送後の記録媒体3と記録ヘッド7との相対的な位置関係は記録媒体3をY方向下流側へ搬送した場合と同じとなる。
この後に2回目の記録走査を行う。2回目の記録走査(2パス)では、記録媒体上の単位領域211に対しては第2の記録素子群から、単位領域212に対しては第1の記録素子群からインクが吐出される。なお、2パス目はX方向の下流側から上流側に向かって行われる。
以下、記録ヘッド7の往復走査と記録媒体3の相対的な搬送を交互に繰り返す。この結果、4回目の記録走査(4パス)が行われた後には、記録媒体3の単位領域211では第1~第4の記録素子群のそれぞれから1回ずつインクが吐出されたことになる。
なお、ここでは4回の走査で記録を行う場合について説明したが、他の回数だけ走査を行って記録する場合であっても同様の過程によって記録を行うことができる。
本実施形態では、上述のマルチパス記録方式において、n(n≧2)ビットの情報を有する画像データと、m(m≧2)ビットの情報を有するマスクパターンと、画像データとマスクパターンそれぞれにおける複数ビットの情報が示す値の組み合わせに応じてインクの吐出または非吐出を規定するデコードテーブルと、を用いて、画像データから各走査での記録に用いる1ビットの記録データを生成する。なお、以下の説明では画像データ、マスクパターンともに2ビットの情報から構成される場合について記載する。
図9はそれぞれ複数ビットの情報を有する画像データおよびマスクパターンを用いて記録データを生成する過程を説明するための図である。また、図10は図9に示すような記録データの生成に際して用いるデコードテーブルを示す図である。
図9(a)はある単位領域内の16個の画素700~715を模式的に示す図である。なお、ここでは簡単のため16個の画素相当の画素領域からなる単位領域を用いて説明するが、図8を用いて説明したように本実施形態における単位領域は32個の記録素子に対応する大きさを有するため、本実施形態における単位領域は実際にはY方向に32個の画素領域からなる。
図9(b)は単位領域に対応する画像データの一例を示す図である。
本実施形態では、ある画素に対応する画像データを構成する2ビットの情報が「00」、すなわち画素値が「0」である場合には、当該画素に対してインクは1回も吐出されない。また、ある画素に対応する画像データを構成する2ビットの情報が「01」、すなわち画素値が「1」である場合には、当該画素に対してインクは1回吐出される。また、ある画素に対応する画像データを構成する2ビットの情報が「10」、すなわち画素値が「2」である場合には、当該画素に対してインクは2回吐出される。
図9(b)に示す画像データに関しては、例えば画素703における画素値は「0」であるため、画素703に対応する画素領域にはインクが1回も吐出されないこととなる。また、例えば画素700における画素値は「2」であるため、画素700に対応する画素領域にはインクが2回吐出されることとなる。
図9(c-1)~(c-4)はそれぞれ1~4回目の走査に対応し、図9(b)に示す画像データに適用するためのマスクパターンを示す図である。すなわち、図9(b)に示す画像データに対して図9(c-1)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1を適用することにより、1回目の走査で用いる記録データを生成する。同様にして、図9(b)に示す画像データに対して図9(c-2)、(c-3)、(c-4)それぞれに示すマスクパターンMP2、MP3、MP4を適用することにより、それぞれ2、3、4回目の走査で用いる記録データを生成する。
ここで、図9(c-1)~(c-4)それぞれに示すマスクパターン内の各画素には、「00」、「01」、「10」のいずれかの2ビットの情報が定められている。なお、当該2ビットの情報が「10」である場合、その情報が示す値(以下、コード値とも称する)は「2」となる。また、当該2ビットの情報が「01」である場合、その情報が示す値(コード値)は「1」となる。また、当該2ビットの情報が「00」である場合、その情報が示す値(コード値)は「0」となる。
ここで、図10に示すデコードテーブルを参照するとわかるように、コード値が「0」である場合、対応する画素における画素値が「0」、「1」、「2」のいずれであっても、インクを吐出しない。すなわち、マスクパターン内の「0」のコード値はインクの吐出をまったく許容しない(インクの吐出の許容回数が0回)ということに対応する。以下の説明では、「0」のコード値が割り当てられたマスクパターン内の画素を非記録許容画素とも称する。
一方、図10に示すデコードテーブルを参照するとわかるように、コード値が「2」である場合、対応する画素における画素値が「0」、「1」である場合にはインクを吐出しないが、「2」である場合にはインクを吐出する。すなわち、「2」のコード値は3通りの画素値に対して1回インクの吐出を許容する(インクの吐出の許容回数が1回)ということに対応する。
また、コード値が「1」である場合、対応する画素における画素値が「0」である場合にはインクを吐出しないが、「1」、「2」である場合にはインクを吐出する。言い換えると、「1」のコード値は、3通りの画素値(「0」、「1」、「2」)に対して2回だけインクの吐出を許容する(インクの吐出の許容回数が2回)、ということに対応する。すなわち、「1」のコード値は、マスクパターンを構成する2ビットの情報が再現可能な許容回数のうちの最大の許容回数を定めるコード値である。
なお、以下の説明では「1」、「2」のいずれかのコード値が割り当てられたマスクパターン内の画素を記録許容画素とも称する。
ここで、本実施形態にて用いられるmビットの情報を有するマスクパターンは、下記の(条件1)、(条件2)に基づいて設定される。
(条件1)
ここで、図9(c-1)~(c-4)に示す4つのマスクパターン内の同じ位置にある4つの画素のうちの2つの画素に対しては「1」、「2」のいずれかのコード値が1つずつ割り当てられ(記録許容画素)、残りの2(=4-2)つの画素に対しては「0」のコード値が割り当てられる(非記録許容画素)。
例えば、画素700に対しては、図9(c-1)に示すマスクパターンにて「2」、図9(c-2)に示すマスクパターンにて「1」のコード値が割り当てられている。そして、残りの図9(c-3)、(c-4)に示すマスクパターンにて「0」のコード値が割り当てられている。言い換えると、画素700は、図9(c-1)、(c-2)に示すマスクパターンでは記録許容画素であり、図9(c-3)、(c-4)に示すマスクパターンでは非記録許容画素である。
また、画素701に対しては、図9(c-4)に示すマスクパターンにて「2」、図9(c-1)に示すマスクパターンにて「1」のコード値が割り当てられている。そして、残りの図9(c-2、)(c-3)に示すマスクパターンにて「0」のコード値が割り当てられている。言い換えると、画素701は、図9(c-1)、(c-4)に示すマスクパターンでは記録許容画素であり、図9(c-2)、(c-3)に示すマスクパターンでは非記録許容画素である。
このような構成により、ある画素における画素値が「0」、「1」、「2」のいずれであったとしても、その画素値に対応するインクの吐出回数だけ当該画素に対応する画素領域にインクを吐出するような記録データを生成することができる。
(条件2)
また、図9(c-1)~(c-4)それぞれに示すマスクパターンには、「1」のコード値に対応する記録許容画素が互いにほぼ同数となるように配置されている。より詳細には、図9(c-1)に示すマスクパターンには画素701、706、711、712の4つの画素に「1」のコード値が割り当てられている。また、図9(c-2)に示すマスクパターンには画素700、705、710、715の4つの画素に「1」のコード値が割り当てられている。また、図9(c-3)に示すマスクパターンには画素703、704、709、714の4つの画素に「1」のコード値が割り当てられている。また、図9(c-4)に示すマスクパターンには画素702、707、708、713の4つの画素に「1」のコード値が割り当てられている。すなわち、図9(c-1)~(c-4)それぞれに示す4つのマスクパターンには、「01」のコード値に対応する記録許容画素が4つずつ配置されている。
同様に、図9(c-1)~(c-4)それぞれに示すマスクパターンには、「2」のコード値に対応する記録許容画素も互いに同じ数となるように配置されている。
なお、ここでは各マスクパターンにおける「1」、「2」それぞれにコード値に対応する記録許容画素がそれぞれ互いに同じ数だけ配置されている場合について記載していたが、実際には互いにほぼ同じ数だけ配置されていれば良い。
これにより、図9(c-1)~(c-4)それぞれに示すマスクパターンを用いて画像データを4回の走査に分配して記録データを生成する際に、4回の走査それぞれにおける記録率を互いにほぼ等しくすることができる。
図9(d-1)~(d-4)のそれぞれは、図9(b)に示す画像データに対して図9(c-1)~(c-4)それぞれに示すマスクパターンを適用して生成される記録データを示す図である。
例えば、図9(d-1)に示す1回目の走査に対応する記録データにおける画素700では、画像データの画素値は「2」、マスクパターンのコード値は「2」である。そのため、図10に示すデコードテーブルを参照してわかるように、画素700ではインクの吐出(「1」)が定められる。また、画素701では、画像データの画素値は「1」、マスクパターンのコード値は「1」であるため、インクの吐出(「1」)が定められる。また、画素704では、画像データの画素値は「2」、マスクパターンのコード値は「0」であるため、インクの非吐出(「0」)が定められる。
このようにして生成された図9(d-1)~(d-4)それぞれに示す記録データにしたがって1~4回目の走査にてインクが吐出される。例えば、1回目の走査では図9(d-1)に示す記録データからわかるように、画素700、701、712に対応する記録媒体上の画素領域にインクが吐出される。
図9(e)は図9(d-1)~(d-4)それぞれに示す記録データの論理和を示す図である。図9(d-1)~(d-4)それぞれに示す記録データにしたがってインクを吐出することにより、各画素に対応する画素領域には図9(e)に示す回数だけインクが吐出されることになる。
例えば、画素700においては、図9(d-1)、(d-2)に示す1、2回目の走査に対応する記録データにおいてインクの吐出が定められている。したがって、図9(e)に示すように、画素700に対応する画素領域に対しては合計で2回インクが吐出されることになる。
また、画素701においては、図9(d-1)に示す1回目の走査に対応する記録データにおいてインクの吐出が定められている。したがって、図9(e)に示すように、画素701に対応する画素領域に対しては合計で1回インクが吐出されることになる。
図9(e)に示す記録データと図9(b)に示す画像データを比較すると、いずれの画素においても画像データの画素値に対応する吐出回数だけインクが吐出されるように記録データが生成されることがわかる。例えば、画素700、704、708、712では図9(b)に示す画像データの画素値は「2」であるが、生成された記録データの論理和により示されるインクの吐出回数も2回となる。
以上の構成によれば、複数ビットの情報を有する画像データおよびマスクパターンに基づいて、複数回の走査それぞれで用いる1ビットの記録データを生成することが可能となる。
(往復走査でのインクの吐出ずれ)
次に、往走査と復走査の間(往復走査間)でのインクの吐出位置ずれについて以下に詳細に説明する。
本実施形態では、時分割駆動制御における駆動ブロックの駆動順序と、マルチパス記録方式にて用いるマスクパターンと、によって、往復走査間のインクの吐出位置ずれを抑制する。
まず、図11を参照しながら時分割駆動制御において駆動ブロックの駆動順序とY方向に延びる同一列内での各駆動ブロックからのインクの着弾位置の相関について説明する。
図11(a)は時分割駆動制御における駆動順序の一例を示す図である。また、図11(b)は図11(a)に示す駆動順序にしたがってX方向の上流側から下流側に向かう方向への走査(往方向への走査)を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。また、図11(c)は図11(a)に示す駆動順序にしたがってX方向の下流側から上流側に向かう方向への走査(復方向への走査)を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。なお、図7に示すようにY方向上流側に向かうほど記録素子No.は大きくなるため、図11(b)、(c)それぞれにおいて最もY方向下流側に位置するドットが記録素子No.1から形成されたドットであり、そこからY方向上流側に向かうほど大きな記録素子No.から形成されたドットとなり、最もY方向上流側端部に位置するドットが記録素子No.16から形成されたドットとなる。
ここでは一例として、図11(a)に示すように、駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.16の駆動順序で時分割駆動を行う場合について記載する。
往方向への走査においては、先に駆動される記録素子によって吐出されたインク滴ほどX方向の上流側に吐出される。したがって、図11(a)に示す駆動順序で記録素子No.1~No.16を時分割駆動した場合、図11(b)に示すように記録素子No.1から形成されるドットが最もX方向上流側に位置し、記録素子No.が大きくなるほど形成されるドットがX方向下流側にずれ、記録素子No.16から形成されるドットが最もX方向下流側に位置することになる。
一方、復方向への走査においては、先に駆動される記録素子によって吐出されたインク滴ほどX方向の下流側に吐出される。したがって、図11(a)に示す駆動順序で記録素子No.1~No.16を時分割駆動した場合、図11(c)に示すように記録素子No.1から形成されるドットが最もX方向下流側に位置し、記録素子No.が大きくなるほど形成されるドットがX方向上流側にずれ、記録素子No.16から形成されるドットが最もX方向上流側に位置することになる。
このように、往方向への走査においては駆動ブロックの駆動される順番が早いほどX方向の上流側にドットが形成される。また、復方向への走査においては駆動ブロックの駆動される順番が早いほどX方向の下流側にドットが形成されることがわかる。
更に、駆動順序が同じであっても走査方向が異なる場合には時分割駆動制御による各駆動ブロックからのインクの着弾位置は反転したものとなることがわかる。ここから、復方向への走査における駆動ブロックの駆動順序を往方向への走査における駆動ブロックの駆動順序と逆順とした場合、往方向への走査と復方向への走査における時分割駆動制御による各駆動ブロックからのインクの着弾位置を同じとなることがわかる。詳細には、例えば往方向への走査において図11(a)に示す駆動順序で記録素子No.1~No.16を時分割駆動する場合、復方向への走査において駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.1の駆動順序で時分割駆動すると、往方向への走査と復方向への走査でインクの着弾位置が同じとなる。
以上の点を踏まえた上で、記録データと駆動順序の組み合わせを複数通り設定し、各組み合わせにおいて生じる往復走査間での時分割駆動における各駆動ブロックからのインクの着弾位置ずれについて説明する。
図12は記録データと駆動順序の組み合わせを説明するための図である。なお、図12(a1)、(a2)は往走査、復走査それぞれに対応する記録データの一例を、図12(b1)、(b2)は往走査、復走査それぞれに対応する記録データの他の例をそれぞれ示している。なお、図12(a1)、(a2)、(b1)、(b2)それぞれにおける黒く塗りつぶされた画素がインクの吐出が定められる(記録データが「1」である)画素を示している。また、図12(c)は時分割駆動の駆動順序の一例を、図12(d)は時分割駆動の駆動順序の他の例をそれぞれ示している。また、図12(e)は記録データおよび駆動順序を異ならせた4つの組の内容を示している。
図12(e)からわかるように、ここでは第1の組から第4の組までの4通りの記録データおよび駆動順序の組を設定する。
第1の組においては、往走査、復走査それぞれにおける記録データとして図12(b1)、(b2)に示す記録データを用い、往走査における駆動順序を図12(c)に示す駆動順序に、復走査における駆動順序を図12(d)に示す駆動順序にそれぞれ設定する。ここで、図12(b1)、(b2)それぞれに示す記録データは、記録が定められる画素がX方向に連続する(記録が定められる画素のX方向における分散性が低い)データである。また、上述のように往走査での駆動順序(図12(c))と復走査での駆動順序(図12(d))が互いに逆順であるため、往復走査間での時分割駆動制御における各駆動ブロックからのインクの着弾位置は同じとなる。
次に、第2の組においては、往走査、復走査それぞれにおける記録データとして図12(a1)、(a2)に示す記録データを用い、往走査における駆動順序を図12(c)に示す駆動順序に、復走査における駆動順序を図12(d)に示す駆動順序にそれぞれ設定する。ここで、図12(a1)、(a2)それぞれに示す記録データは、記録が定められる画素がX方向に非連続である(記録が定められる画素のX方向における分散性が高い)データである。また、上述のように往走査での駆動順序(図12(c))と復走査での駆動順序(図12(d))が互いに逆順であるため、往復走査間での時分割駆動における各駆動ブロックからのインクの着弾位置は同じとなる。
次に、第3の組においては、往走査、復走査それぞれにおける記録データに図12(b1)、(b2)に示す記録データを用い、往走査、復走査それぞれにおける駆動順序を図12(c)に示す駆動順序に設定する。ここで、図12(b1)、(b2)それぞれに示す記録データは、記録が定められる画素がX方向に連続する(記録が定められる画素のX方向における分散性が低い)データである。また、上述のように往走査、復走査それぞれでの駆動順序(図12(c))が同じであるため、往復走査間での時分割駆動における各駆動ブロックからのインクの着弾位置は反対のものとなる。
次に、第4の組においては、往走査、復走査それぞれにおける記録データに図12(a1)、(a2)に示す記録データを用い、往走査、復走査それぞれにおける駆動順序を図12(c)に示す駆動順序に設定する。ここで、図12(a1)、(a2)それぞれに示す記録データは、記録が定められる画素がX方向に非連続である(記録が定められる画素のX方向における分散性が高い)データである。また、上述のように往走査、復走査それぞれでの駆動順序(図12(c))が同じであるため、往復走査間での時分割駆動における各駆動ブロックからのインクの着弾位置は反対のものとなる。
以上の4通りの記録データおよび駆動順序の組み合わせにおいて往走査と復走査の間にずれが生じた場合において記録される画像を図13から図16を用いて説明する。なお、図13は第1の組を、図14は第2の組を、図15は第3の組を、図15は第4の組をそれぞれ設定した場合に記録される画像を示している。更に、図13から図16のそれぞれにおいて、(a)は往走査と復走査の間にずれが生じなかった際に記録される画像を、(b)は往走査と復走査の間にX方向に約1/4ドット分のずれが生じた際に記録される画像を、(c)は往走査と復走査の間にX方向に約2/4ドット分のずれが生じた際に記録される画像を、(d)は往走査と復走査の間にX方向に約3/4ドット分のずれが生じた際に記録される画像をそれぞれ模式的に示している。なお、それぞれの図において内部に縦線が記載された円が往走査で形成されるドットを、内部に横線が記載された円が復走査で形成されるドットをそれぞれ示している。
まず、第1の組について記載する。
図13(a)に示すように、往復走査間で位置ずれが生じなかった場合には第1の組の設定によればX方向のドット間距離が各ドットで均一に分散した理想的な画像を記録することができる。しかしながら、図13(b)、(c)、(d)に示すように往復走査間のX方向のずれが大きくなるにつれてある画素間ではドット間距離が一様に短くなり、別の画素間ではドット間距離が一様に長くなっている。例えば、左側から2画素目と3画素目の間は往復走査間でのX方向のずれが大きくなるにつれてドット間距離が一様に短くなり、左側から4画素目と5画素目の間は往復走査間でのX方向のずれが大きくなるにつれてドット間距離が一様に長くなっている。この結果、例えばX方向に約3/4ドット分のずれが生じた場合には、図13(d)に示すように、記録される画像において本来異なる画素に形成されるべきドットが重なってきてしまい、図13(a)に示す場合に比べてドットの被覆面積に大きな違いが生じる。このため、得られる画像の画質は大きく低下してしまう。このように、第1の組の設定では往復走査間のX方向のずれが生じなかった場合には好ましい画像を得ることができるものの、往復走査間のX方向のずれが生じた場合には所望の画質を得ることができない虞がある。
次に、第2の組について記載する。
図14(a)に示すように、往復走査間で位置ずれが生じなかった場合には、図13(a)の第1の組と同様に、第2の組の設定によればX方向のドット間距離が各ドットで均一に分散した理想的な画像を記録することができる。しかしながら、図14(b)、(c)、(d)に示すように往復走査間のX方向のずれが大きくなるにつれてある画素間ではドット間距離が一様に短くなり、別の画素間ではドット間距離が一様に長くなっている。例えば左側から1画素目と2画素目の間は往復走査間でのX方向のずれが大きくなるにつれてドット間距離が一様に短くなり、左側から2画素目と3画素目の間は往復走査間でのX方向のずれが大きくなるにつれてドット間距離が一様に長くなっている。このため、第1の組の設定と同様に第2の組の設定においても、往復走査間のX方向のずれが生じなかった場合には好ましい画像を得ることができるが、往復走査間のX方向のずれが生じた場合には画質の低下を抑制することができない。
次に、第3の組について記載する。
第3の組の設定では、図15(a)に示すように、往復走査間で位置ずれが生じなかった場合にはX方向のドット間距離が各ドットで不均一となってしまう。例えば、左側から2画素目と3画素目の間では、最も上側のドットはドット間距離が長く、最も下側のドットはドット間距離が短くなっている。一方で、図15(b)、(c)に示すように、往復走査間のX方向のずれが生じた場合、第1の組や第2の組の設定に比べるとドットの被覆面積に差は生じにくい。このため、第3の組の設定によれば往復走査間のX方向のずれによる画質低下をある程度抑制することが可能となる。しかしながら、図15(d)に示すように、往復走査間のX方向のずれが比較的大きくなってくると、ドットの疎密が領域に応じて異なってきてしまう。例えば、1~4画素目を見ると、下側にはドットが密となっているのに対し、上側はドットが疎となっており、ドットの疎密が生じていることがわかる。このため、得られる画質は好ましくない。
最後に、第4の組について記載する。
第4の組の設定では、図16(a)に示すように、図15(a)の第3の組と同様に、往復走査間で位置ずれが生じなかった場合にはX方向のドット間距離が各ドットで不均一となる。例えば、左側から1画素目と2画素目の間では、最も上側のドットはドット間距離が長く、最も下側のドットはドット間距離が短くなっている。また、左側から2画素目と3画素目の間では、最も上側のドットはドット間距離が短く、最も下側のドットはドット間距離が長くなっている。そのため、第1の組や第2の組の設定に比べると往復走査間で位置ずれが生じなかった場合における画質はやや低下するが、実際の1画素の幅はそれ程大きくないので、画質の低下はさほど目立たない。更に、第4の組の設定では、図16(b)、(c)、(d)に示すように往復走査間のX方向のずれが生じた場合であっても、図16(a)に比べてドットの被覆面積に差をつけず、且つ、ドットの領域ごとの疎密も生じないように記録することができる。
以上の第1、第2、第3、第4の組の設定により記録される画像から、往復走査間のX方向のずれによる画質低下を抑制するためには第4の組の設定が最も好ましいことがわかる。したがって、本実施形態では、往走査で形成されるドットと復走査で記録されるドットがX方向で交互に生じるように記録データを生成し、更に、それらの往復走査間で各駆動ブロックから記録されるドットの着弾位置が異なるように時分割駆動を行う。ここで、本実施形態では往方向への走査と復方向への走査を行うため、それぞれの走査における駆動ブロックの駆動順序を互いに逆順ではない順序とする。このようにすることにより、図11を用いて説明したように、往走査、復走査で記録されるドットの吐出位置を異ならせることができる。
(本実施形態で適用するマスクパターン)
図17は本実施形態で用いるマスクパターンを示す図である。なお、図17(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1を、図17(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2を、図17(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3を、図17(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4をそれぞれ示している。また、図17(e)は図17(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1と図17(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1+MP3を示している。また、図17(f)は図17(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2と図17(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2+MP4を示している。なお、図17における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
また、図17からわかるように、本実施形態ではX方向に32画素、Y方向に32画素の合計1024個の画素それぞれにおいてインクの吐出の許容回数を定めたものを1つのマスクパターンの繰り返し単位とし、これをX方向、Y方向に繰り返し用いることとする。
また、インクの吐出の許容回数の論理和とは、対応する複数のマスクパターン内のコード値が示す許容回数の和を算出したものを指す。例えば、図17(a)に示すマスクパターンMP1の最も左上の画素におけるコード値は「1」(インクの吐出の許容回数が2回)であり、図17(c)に示すマスクパターンMP3の最も左上の画素におけるコード値は「0」(インクの吐出の許容回数が0回)であるため、図17(e)に示す論理和パターンMP1+MP3の最も左上の画素におけるコード値は「1」(インクの吐出の許容回数が2回)となる。また、例えば、図17(b)に示すマスクパターンMP2の最も左上の画素におけるコード値は「2」(インクの吐出の許容回数が1回)であり、図17(d)に示すマスクパターンMP4の最も左上の画素におけるコード値は「0」(インクの吐出の許容回数が0回)であるため、図17(f)に示す論理和パターンMP2+MP4の最も左上の画素におけるコード値は「2」(インクの吐出の許容回数が1回)となる。
なお、図17(a)~(d)それぞれに示すマスクパターンMP1~MP4は上述の(条件1)、(条件2)を満たすように設定されている。
すなわち、図17(a)~(d)に示す4つのマスクパターンMP1~MP4内の同じ位置にある4つの画素のうち、2つの画素に対しては「1」、「2」のいずれかのコード値が1つずつ割り当てられ、残りの2(=4-2)つの画素に対しては「0」のコード値が割り当てられるように、各画素に対するコード値が割り当てられている(条件1)。
更に、図17(a)~(d)に示す4つのマスクパターンMP1~MP4それぞれには、「1」のコード値が割り当てられた画素が互いにほぼ同数となり、且つ、「2」のコード値が割り当てられた画素が互いにほぼ同数となるように、各画素に対するコード値が割り当てられている(条件2)。
ここで、図8を用いて説明したように、本実施形態では1、3回目の走査が往方向への走査となり、2、4回目の走査が復方向への走査となる。したがって、往走査と復走査の間のインクの吐出位置ずれを抑制するためには1、3回目の走査で形成されるドットと2、4回目の走査で形成されるドットがX方向に交互に並ぶように記録データを生成すれば良い。
また、本実施形態では低濃度、例えば1つの画素領域に対して1回だけインクを吐出するような場合に往復走査間のインクの吐出位置ずれを抑制するものであり、1つの画素領域に対して複数回インクを吐出するような高濃度の画像を記録する場合には前述した特許文献2に記載の技術より往復走査間のインクの吐出位置ずれを抑制可能である。すなわち、高濃度の画像記録時において往復走査間のインクの吐出位置ずれを抑制するためには往方向への走査と復方向への走査で同じ画素領域にインクを吐出するように記録データを生成すれば良い。この点に鑑み、本実施形態で用いるマスクパターンMP1~MP4は、同じ位置にある4つの画素のうち、往走査に対応するマスクパターンMP1、MP3でコード値「1」が割り当てられている画素には復走査に対応するマスクパターンMP2、MP4でコード値「2」が割り当てられ、往走査に対応するマスクパターンMP1、MP3でコード値「2」が割り当てられている画素には復走査に対応するマスクパターンMP2、MP4でコード値「1」が割り当てられるように、各画素に対するコード値が割り当てられる。これにより、高濃度の画像、例えば画素値が「2」である画像データが入力された際には往走査と復走査で1回ずつ1つの画素領域にインクを吐出するような記録データを生成することができる。
一方、本実施形態における効果である低濃度の画像記録時における往復走査間のインクの吐出位置ずれの抑制を達成するためには、各マスクパターンMP1~MP4内の「0」、「1」、「2」の画素値のうちの「1」の画素値である場合にインクの吐出が許容される唯一のコード値である「1」のコード値(図10参照)が割り当てられた画素領域(所定の画素領域)に着目する。言い換えると、「1」のコード値は、コード値「0」、「1」、「2」の中でインクの吐出の許容回数が最も多いコード値である。
そして、本実施形態におけるマスクパターンMP1~MP4は、1、3回目の走査(往走査)に対応するマスクパターンMP1、MP3にて「1」のコード値が割り当てられた画素と、2、4回目の走査(復走査)に対応するマスクパターンMP2、MP4にて「1」のコード値が割り当てられた画素と、がX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じるように、各画素に対するコード値が定められている。言い換えると、本実施形態で用いるマスクパターンMP1~MP4は、論理和パターンMP1+MP3において「1」のコード値が割り当てられた画素と論理和パターンMP2+MP4において「1」のコード値が割り当てられた画素とがX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じるように、各画素に対するコード値が割り当てられている。
詳細には、本実施形態における論理和パターンMP1+MP3は、1024個の画素のうち512個の画素でコード値「1」が割り当てられており、そのうちのすべて、すなわち512個のコード「1」が割り当てられた画素には、論理和パターンMP2+MP4にてX方向における両側にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接している。一方、論理和パターンMP1+MP3内の512個のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2+MP4にてX方向にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接する画素は0個である。
例えば、論理和パターンMP1+MP3内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行では、X方向上流側(図中左側)から1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31番目の画素においてコード値「1」が割り当てられている。一方、論理和パターンMP2+MP4内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行では、X方向上流側(図中左側)から2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32番目の画素においてコード値「1」が割り当てられている。
ここで、論理和パターンMP1+MP3内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行の中のX方向上流側(図中左側)から3番目の画素にはコード値「1」が割り当てられているが、それとX方向における両側に隣接するY方向下流側(図中上側)端部の行の中のX方向上流側(図中左側)から2、4番目の画素には論理和パターンMP2+MP4においてコード値「1」が割り当てられている。すなわち、論理和パターンMP1+MP3内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行の中のX方向上流側(図中左側)から3番目の画素は、コード値「1」が割り当てられ、且つ、論理和パターンMP2+MP4によってX方向における両側に隣接する画素にコード値「1」が割り当てられた画素が存在する画素である。
なお、ここでは同一行内に位置するX方向上流側(図中左側)端部の画素とX方向下流側(図中右側)端部の画素は互いに隣接するものとして考える。これはマスクパターンMP1~MP4はそれぞれマスクパターンの繰り返し単位を示しているため、実際にはこれらのマスクパターンがX方向において順次用いられるので、量子化データに対して実際に適用する際にあるマスクパターンのX方向下流側(図中右側)端部の画素に相当する量子化データ内の領域の右隣には次のマスクパターンのX方向上流側(図中左側)端部の画素に相当する量子化データがくるためである。
したがって、例えば、論理和パターンMP1+MP3内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行の中のX方向上流側(図中左側)から1番目のコード値「1」が割り当てられた画素は、それとX方向における両側に隣接するY方向下流側(図中上側)端部の行の中のX方向上流側(図中左側)から32、2番目の画素に論理和パターンMP2+MP4においてコード値「1」が割り当てられていることになる。
また、本実施形態における論理和パターンMP2+MP4も、1024個の画素のうち512個の画素でコード値「1」が割り当てられており、そのうちのすべて、すなわち512個のコード「1」が割り当てられた画素には、論理和パターンMP1+MP3にてX方向における両側にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接している。一方、論理和パターンMP2+MP4内の512個のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP1+MP3にてX方向にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接する画素は0個である。
以上記載したような条件に基づいて、本実施形態で用いるマスクパターンMP1~MP4が設定される。
(本実施形態における駆動ブロックの駆動順序)
図18(a)は本実施形態で実行する時分割駆動制御における駆動順序を示す図である。また、図18(b)は図18(a)に示す駆動順序にしたがって往方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。また、図18(c)は図18(a)に示す駆動順序にしたがって復方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。
本実施形態では、図18(a)に示すように、往走査、復走査ともに駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.12の駆動順序で時分割駆動を行う。
上述したように、本実施形態では往走査と復走査で各駆動ブロックからのインクの着弾位置が異なるように時分割駆動を行う。より詳細には、本実施形態では往復走査で記録を行うため、往走査での駆動ブロックの駆動順序と復走査での駆動ブロックの駆動順序を同じ順序とする。なお、必ずしも往復走査での駆動ブロックの駆動順序を同じとする必要はなく、上述のように往復走査で記録を行う場合にインクの吐出位置が異なせるためには復走査における駆動ブロックの駆動順序が往走査における駆動ブロックの駆動順序の逆順と異なるようにすれば良い。
図18(a)に示す駆動順序にしたがって記録素子No.1~No.16を時分割駆動した場合、往方向への走査では、図18(b)に示すように最初に駆動される記録素子No.1から形成されるドットが最もX方向上流側に位置し、記録素子No.9、6、14、3、11、8、16、5、13、2、10、7、15、4の順に形成されるドットがX方向上流側から下流側にずれるように位置し、最後に駆動される記録素子No.12から形成されるドットが最もX方向下流側に位置することになる。
一方、復方向への走査では、図18(c)に示すように最初に駆動される記録素子No.1から形成されるドットが最もX方向下流側に位置し、記録素子No.9、6、14、3、11、8、16、5、13、2、10、7、15、4の順に形成されるドットがX方向下流側から上流側にずれるように位置し、最後に駆動される記録素子No.12から形成されるドットが最もX方向上流側に位置することになる。
このように、図18(a)に示す駆動順序で各駆動ブロックに属する記録素子を駆動することにより、Y方向に延びる同一列内でのインクの着弾位置を異ならせることができる。
(本実施形態による記録画像)
以上記載したように、本実施形態では、図17(a)~(d)に示すマスクパターンMP1~MP4を用い、且つ、往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序にしたがって時分割駆動を行うことにより、往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行う。
以下に32画素×32画素のすべての画素において画素値が「1」、「2」である画像データが入力された場合におけるインクの吐出位置を詳細に記載する。
図19は32画素×32画素のすべての画素に画素値が「1」である(1つの画素領域に1回インクを吐出する)画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図8の単位領域211内の全ての画素領域に相当する画素において画像データの画素値が「1」である場合、図17に示すマスクパターンMP1~MP4内のコード値「1」が割り当てられた画素に相当する画素領域にインクが吐出されることになる。すなわち、1回目の走査では図17(a)、2回目の走査では図17(b)、3回目の走査では図17(c)、4回目の走査では図17(d)の灰色で塗りつぶされた画素に相当する画素領域にインクが吐出される。
このうち、1回目、3回目の走査は往走査、2回目、4回目の走査は復走査であるため、往走査でインクが吐出される画素は図17(e)の灰色で塗りつぶされた画素、復走査でインクが吐出される画素は図17(f)の灰色で塗りつぶされた画素となる。
この際に往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序で時分割駆動を行うと、往復走査間のずれがなければ往走査では図19(a)に示す位置に、復走査では図19(b)に示す位置にそれぞれインクが吐出されてドットが形成される。
ここで、図19(a)、図19(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図19(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図19(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図19(e)にそれぞれ示している。
図19(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図19(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図19(e)も図19(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図19(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図19(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図19(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
図19からわかるように、本実施形態によれば同じ画素領域に複数ドットを形成しないため、画像の均一性の低下を抑制することができる。更に、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、1つの画素領域に1ドットを記録するような比較的低濃度の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
図20は32画素×32画素のすべての画素に画素値が「2」である(1つの画素領域に2回インクを吐出する)画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図8の単位領域211内の全ての画素領域に相当する画素において画像データの画素値が「2」である場合、図17に示すマスクパターンMP1~MP4内のコード値「1」が割り当てられた画素とコード値「2」が割り当てられた画素に相当する画素領域にインクが吐出されることになる。すなわち、1回目の走査では図17(a)、2回目の走査では図17(b)、3回目の走査では図17(c)、4回目の走査では図17(d)の灰色で塗りつぶされた画素と黒く塗りつぶされた画素に相当する画素領域にインクが吐出される。
このうち、1回目、3回目の走査は往走査、2回目、4回目の走査は復走査であるため、往走査でインクが吐出される画素は図17(e)の灰色で塗りつぶされた画素と黒く塗りつぶされた画素、復走査でインクが吐出される画素は図17(f)の灰色で塗りつぶされた画素と黒く塗りつぶされた画素となる。すなわち、すべての画素に対して往走査で1回、復走査で1回インクが吐出されることになる。
この際に往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序で時分割駆動を行うと、往復走査間のずれがなければ往走査では図20(a)に示す位置に、復走査では図20(b)に示す位置にそれぞれインクが吐出されてドットが形成される。
ここで、図20(a)、図20(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図20(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図20(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図20(e)にそれぞれ示している。
図20(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図20(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図20(e)も図20(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図20(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図20(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図20(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、1つの画素領域に2ドットを記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
このように、本実施形態によれば低濃度の画像、例えば1つの画素領域に1ドットを記録するような場合であっても、画像の均一性を損なうことなく往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことができる。
(第1の比較例)
次に、本実施形態に対する第1の比較例について詳細に説明する。
第1の比較例では、往走査で形成されるドットと復走査で記録されるドットがX方向に無相関に生じるように記録データを生成し、更に、それらの往復走査間で記録されるドットの着弾位置が同じとなるように時分割駆動を行う。
図21は第1の比較例で用いるマスクパターンを示す図である。なお、図21(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Cを、図21(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Cを、図21(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Cを、図21(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Cをそれぞれ示している。また、図21(e)は図21(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Cと図21(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Cそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_C+MP3_Cを示している。また、図21(f)は図21(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Cと図21(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Cそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2_C+MP4_Cを示している。なお、図21における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
図21(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_C~MP4_Cは、図17(a)~(d)に示すマスクパターンMP1~MP4と異なり、論理和パターンMP1_C+MP3_Cにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素と論理和パターンMP2_C+MP4_Cにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素がX方向に交互に生じないように設定されている。より詳細には、論理和パターンMP1_C+MP3_Cにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素がランダムなホワイトノイズ特性を持つ配置となり、且つ、論理和パターンMP2_C+MP4_Cにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素がランダムなホワイトノイズ特性を持つ配置となるように、マスクパターンMP1_C~MP4_C内の各画素にコード値が割り当てられている。
図21(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_C~MP4_Cは、上記の設定条件以外に関しては図17(a)~(d)に示すマスクパターンMP1~MP4と同様である。
詳細には、比較例における論理和パターンMP1_C+MP3_Cは、1024個の画素のうち513個の画素でコード値「1」が割り当てられており、そのうちの119個のコード「1」が割り当てられた画素に、論理和パターンMP2_C+MP4_CにてX方向における両側にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接している。一方、論理和パターンMP1_C+MP3_C内の513個のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_C+MP4_CにてX方向における両側にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接しない画素は119個である。すなわち、比較例では、論理和パターンMP1_C+MP3_C内のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_C+MP4_C内でコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数とX方向における両側に隣接しない画素の数は同じ数となる。
例えば、論理和パターンMP1_C+MP3_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行では、X方向上流側(図中左側)から3、4、7、11、13、14、16、17、20、21、22、24、26、27、28、32番目の画素においてコード値「1」が割り当てられている。一方、論理和パターンMP2_C+MP4_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行では、X方向上流側(図中左側)から1、2、5、6、8、9、10、12、15、18、19、23、25、29、30、31番目の画素においてコード値「1」が割り当てられている。
ここで、例えば、論理和パターンMP1_C+MP3_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行のうち、X方向上流側(図中左側)から7、11、24、32番目のコード値「1」が割り当てられた画素には、論理和パターンMP2_C+MP4_Cにてコード値「1」が割り当てられた画素とX方向における両側に隣接する。すなわち、論理和パターンMP1_C+MP3_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行内のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_C+MP4_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行内のコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数は4つとなる。
一方で、論理和パターンMP1_C+MP3_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行のうち、X方向上流側(図中左側)から21、27番目のコード値「1」が割り当てられた画素には、論理和パターンMP2_C+MP4_Cにてコード値「1」が割り当てられた画素とX方向における両側に隣接しない。すなわち、論理和パターンMP1_C+MP3_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行内のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_C+MP4_C内の最もY方向下流側(図中上側)端部の行内のコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない画素の数は2つとなる。
同様の計算を論理和パターンMP1_C+MP3_C内の各行に対して行うと、論理和パターンMP1_C+MP3_C内のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_C+MP4_C内のコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数が119個であり、X方向における両側に隣接しない画素の数もまた119個であることがわかる。
同様にして、比較例における論理和パターンMP2_C+MP4_Cは、1024個の画素のうち511個の画素でコード値「1」が割り当てられており、そのうちの120個のコード「1」が割り当てられた画素に論理和パターンMP1_C+MP3_CにてX方向における両側にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接している。一方、論理和パターンMP2_C+MP4_C内の511個のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_C+MP4_CにてX方向における両側にコード値「1」が割り当てられた画素が隣接しない画素は120個である。すなわち、比較例では、論理和パターンMP2_C+MP4_C内のコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP1_C+MP3_C内でコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数とX方向における両側に隣接しない画素の数は同じ数となる。
図22(a)は第1の比較例で実行する時分割駆動制御における往走査時の駆動順序を示す図である。また、図22(b)は第1の比較例で実行する時分割駆動制御における復走査時の駆動順序を示す図である。また、図22(c)は図22(a)に示す駆動順序にしたがって往方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。また、図22(d)は図22(b)に示す駆動順序にしたがって復方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。
第1の比較例では、図22(a)に示すように、往走査では駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.12の駆動順序で時分割駆動を行う。また、図22(b)に示すように、復走査では駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.1の駆動順序で時分割駆動を行う。すなわち、第1の比較例では、復走査時の駆動ブロックの駆動順序は往走査時の駆動ブロックの駆動順序の逆順である。
図22(a)に示す駆動順序にしたがって記録素子No.1~No.16を時分割駆動した場合、往方向への走査では、図22(c)に示すように最初に駆動される記録素子No.1から形成されるドットが最もX方向上流側に位置し、記録素子No.9、6、14、3、11、8、16、5、13、2、10、7、15、4の順に形成されるドットがX方向上流側から下流側にずれるように位置し、最後に駆動される記録素子No.12から形成されるドットが最もX方向下流側に位置することになる。
一方、図22(b)に示す駆動順序にしたがって記録素子No.1~No.16を時分割駆動した場合、復方向への走査では、図22(d)に示すように最後に駆動される記録素子No.1から形成されるドットが最もX方向上流側に位置し、記録素子No.9、6、14、3、11、8、16、5、13、2、10、7、15、4の順に形成されるドットがX方向下流側から上流側にずれるように位置し、最初に駆動される記録素子No.12から形成されるドットが最もX方向下流側に位置することになる。
このように、図22(a)、(b)にそれぞれ示す駆動順序で往走査、復走査にて各駆動ブロックに属する記録素子を駆動する場合、往走査、復走査での各駆動ブロックからのインクの着弾位置は同じものとなる。
図21(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_C~MP4_Cを用い、且つ、往走査では図22(a)、復走査では図22(b)にそれぞれ示す駆動順序にしたがって時分割駆動を行った際に記録される画像について以下に説明する。
図23は32画素×32画素のすべての画素に画素値が「1」である(1つの画素領域に1回インクを吐出する)画像データが入力された場合に第1の比較例によって記録される画像を示す図である。
図8の単位領域211内の全ての画素領域に相当する画素において画像データの画素値が「1」である場合、図21に示すマスクパターンMP1_C~MP4_C内のコード値「1」が割り当てられた画素に相当する画素領域にインクが吐出されることになる。すなわち、1回目の走査では図21(a)、2回目の走査では図21(b)、3回目の走査では図21(c)、4回目の走査では図21(d)の灰色で塗りつぶされた画素に相当する画素領域にインクが吐出される。
このうち、1回目、3回目の走査は往走査、2回目、4回目の走査は復走査であるため、往走査でインクが吐出される画素は図21(e)の灰色で塗りつぶされた画素、復走査でインクが吐出される画素は図21(f)の灰色で塗りつぶされた画素となる。
この際に往走査では図22(a)に示す駆動順序で、復走査では図22(b)に示す駆動順序でそれぞれ時分割駆動を行うと、往復走査間のずれがなければ往走査では図23(a)に示す位置に、復走査では図23(b)に示す位置にそれぞれインクが吐出されてドットが形成される。
ここで、図23(a)、図23(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図23(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図23(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図23(e)にそれぞれ示している。
図23(c)からわかるように、第1の比較例によれば往復走査間のずれが生じない場合にはドットの重なりも抜けもないようにドットを記録することができる。しかしながら、往復走査間のずれが生じてくると、図23(d)に示すようにドットの重なりや抜けが目立ち始めてしまう。往復走査間のずれが更に大きくなると図23(e)に示すように更に顕著にドットの重なりや抜けが目立つようになり、画質低下の目立つ画像が記録されてしまう。
以上記載したように、第1の比較例によっては、低濃度の画像を記録する際に往復走査間の吐出位置ずれが目立つ画像が記録されてしまう。
(第2の比較例)
第2の比較例では、第1の比較例と同様に、往走査で形成されるドットの配置と復走査で記録されるドットの配置がX方向において無相関となるように記録データを生成する。一方で、第1の実施形態における時分割制御と同じように、第2の比較例では往走査、復走査間で各駆動ブロックから記録されるドットの着弾位置が同じとなるように時分割駆動を行う。
すなわち、第2の比較例では、図21(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_C~MP4_Cを用いる。そして、往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序で時分割駆動を実行する。
図21(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_C~MP4_Cを用い、且つ、往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序にしたがって時分割駆動を行った際に記録される画像について以下に説明する
図24は32画素×32画素のすべての画素に画素値が「1」である(1つの画素領域に1回インクを吐出する)画像データが入力された場合に第2の比較例によって記録される画像を示す図である。
図8の単位領域211内の全ての画素領域に相当する画素において画像データの画素値が「1」である場合、図21に示すマスクパターンMP1_C~MP4_C内のコード値「1」が割り当てられた画素に相当する画素領域にインクが吐出されることになる。すなわち、1回目の走査では図21(a)、2回目の走査では図21(b)、3回目の走査では図21(c)、4回目の走査では図21(d)の灰色で塗りつぶされた画素に相当する画素領域にインクが吐出される。
このうち、1回目、3回目の走査は往走査、2回目、4回目の走査は復走査であるため、往走査でインクが吐出される画素は図21(e)の灰色で塗りつぶされた画素、復走査でインクが吐出される画素は図21(f)の灰色で塗りつぶされた画素となる。
この際に往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序で時分割駆動を行うと、往復走査間のずれがなければ往走査では図24(a)に示す位置に、復走査では図24(b)に示す位置にそれぞれインクが吐出されてドットが形成される。
ここで、図24(a)、図24(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図24(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図24(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図24(e)にそれぞれ示している。
図24(c)からわかるように、第2の比較例によれば、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なっている箇所や一部が重なっている箇所、ほとんど重なっていない箇所が混在するように記録される。そのため、往復走査間のずれが比較的小さい場合には図24(d)に示すように、ドットの重なりや抜けは図24(c)に示す場合よりは多くなるものの、それ程変わらない画像を記録できる。しかしながら、図24(e)に示すように、往復走査間のずれが比較的大きくなるとドットの重なりや抜けが目立つようになり、画質の低下が視認され易くなってしまう。図15を用いて先に説明したように、記録が定められた画素のX方向における分散性が低いため、往復走査間のずれが大きくなった場合において画質の低下を抑制できないのである。
以上記載したように、第2の比較例によっても、低濃度の画像を記録する際に往復走査間の吐出位置ずれが目立つ画像が記録されてしまうことがわかる。
以上、第1の実施形態にしたがって記録された画像(図19)と第1、第2の比較例にしたがって記録された画像(図23、図24)とを比較することにより、第1の実施形態による低濃度の画像を記録する際の往復走査間の吐出位置ずれの抑制の効果が実験的に確認できる。
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、図17(a)~(d)に示すようなマスクパターンMP1~MP4を用いる場合について記載したが、他の形態による実施も可能である。すなわち、復走査で記録されるドットのうち、往走査で記録されるドットとX方向に隣接するドットが往走査で記録されるドットとX方向における両側に隣接しないドットよりも多くなるように記録データを生成できるマスクパターンであれば良い。更に、往走査で形成されるドットと復走査で記録されるドットがX方向で交互に生じるように記録データを生成することができるようなマスクパターンであればより好ましい。
図25は本実施形態で用いることができるマスクパターンの他の例を示す図である。なお、図25(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Xを、図25(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Xを、図25(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Xを、図25(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Xをそれぞれ示している。また、図25(e)は図25(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Xと図25(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Xそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_X+MP3_Xを示している。また、図25(f)は図25(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Xと図25(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Xそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2_X+MP4_Xを示している。なお、図25における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
ここで、図25(e)に示す論理和パターンMP1_X+MP3_Xにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素と図25(f)に示す論理和パターンMP2_X+MP4_Xにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素とはX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じている。したがって、図25(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_X~MP4_Xを用いた場合であっても本実施形態による効果を得ることができる。
また、図26は本実施形態で用いることができるマスクパターンの更に別の例を示す図である。なお、図26(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Yを、図26(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Yを、図26(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Yを、図26(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Yをそれぞれ示している。また、図26(e)は図26(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Yと図26(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Yそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_Y+MP3_Yを示している。また、図26(f)は図26(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Yと図26(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Yそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2_Y+MP4_Yを示している。なお、図26における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
ここで、図26(e)に示す論理和パターンMP1_Y+MP3_Yにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素と図26(f)に示す論理和パターンMP2_Y+MP4_Yにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素とはX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じている。したがって、図26(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_Y~MP4_Yを用いた場合であっても本実施形態による効果を得ることができる。
また、図27は本実施形態で用いることができるマスクパターンの更に別の例を示す図である。なお、図27(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Zを、図27(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Zを、図27(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Zを、図27(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Zをそれぞれ示している。また、図27(e)は図27(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Zと図27(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Zそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_Z+MP3_Zを示している。また、図27(f)は図27(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Zと図27(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Zそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2_Z+MP4_Zを示している。なお、図27における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
ここで、図27(e)に示す論理和パターンMP1_Z+MP3_Zにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素と図27(f)に示す論理和パターンMP2_Z+MP4_Zにおいて「1」のコード値が割り当てられた画素とはX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じている。したがって、図27(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_Z~MP4_Zを用いた場合であっても本実施形態による効果を得ることができる。
更に、図27(a)~(d)に示すMP1_Z~MP4_Zのそれぞれは、コード値「1」が割り当てられた画素の配置がホワイトノイズ特性とならないように定められている。同様に、コード値「2」が割り当てられた画素の配置もまたホワイトノイズ特性とならないように定められている。したがって、1走査ごとに記録させるドットのみをみた場合において、分散性が高くなるように記録を行うことが可能となる。
なお、図25~図27にはコード値「1」が割り当てられた画素がX方向およびY方向にある程度周期的に生じるようなマスクパターンを記載したが、必ずしも周期的に生じる必要はない。
また、図45は本実施形態で用いることがマスクパターンの更に別の例を示す図である。なお、図45(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Wを、図45(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Wを、図45(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Wを、図45(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Wをそれぞれ示している。また、図45(e)は図45(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_Wと図45(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_Wそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_W+MP3_Wを示している。また、図45(f)は図45(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_Wと図45(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_Wそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2_W+MP4_Wを示している。なお、図45における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
ここで、図45(e)に示す論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向下流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素と図45(f)に示す論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向下流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素とはX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じている。
詳細には、論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向下流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられたすべての画素は、論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向下流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接している。また、論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向下流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられたすべての画素は、論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向下流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接している。
一方で、図45(e)に示す論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素と図45(f)に示す論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素はX方向において交互に生じないように設定されている。詳細には、論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がランダムなホワイトノイズ特性を持つ配置となり、且つ、論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がランダムなホワイトノイズ特性を持つ配置となるように設定されている。
更に詳細には、論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数と、論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない画素の数と、が互いにほぼ同じ数となる。また、論理和パターンMP2_W+MP4_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数と、論理和パターンMP1_W+MP3_W内のY方向上流側の半分の領域においてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない画素の数と、が互いにほぼ同じ数となる。
したがって、論理和パターンMP1_W+MP3_Wの全域でみると、論理和パターンMP1_W+MP3_Wにおいてコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_W+MP4_Wにおいてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数は、論理和パターンMP2_W+MP4_Wにおいてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない画素の数よりも多くなる。また、論理和パターンMP2_W+MP4_Wの全域でみると、論理和パターンMP2_W+MP4_Wにおいてコード値「1」が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP1_W+MP3_Wにおいてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数は、論理和パターンMP1_W+MP3_Wにおいてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない画素の数よりも多くなる。
このように、一方の論理和パターンにおいてコード値「1」が割り当てられた画素のうち、他方の論理和パターンにおいてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する画素の数が、他方の論理和パターンにおいてコード値「1」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない画素の数よりも多くなるようなマスクパターンを用いる形態であれば、本実施形態による効果を得ることができる。
また、第1の実施形態では、往走査、復走査ともに図18(a)に示す駆動順序、すなわち同じ駆動順序にて時分割駆動を行う形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。上述したが、第1の実施形態における駆動順序は、往復走査で記録を行う場合には復走査における駆動ブロックの駆動順序が往走査における駆動ブロックの駆動順序の逆順と異なっていれば良い。
なお、第1の実施形態における駆動順序は、往復走査で記録を行う場合には復走査における駆動ブロックの駆動順序が往走査における駆動ブロックの駆動順序をオフセットした順序の逆順と異なることが好ましい。この点について以下に詳細に説明する。
ここで、往走査時の駆動順序が図28(a)に示した順序であり、復走査時の駆動順序が図28(b)に示した順序である場合について説明する。図28(b)に示す駆動順序は、図28(a)に示す駆動順序をオフセットした順序の逆順となっている。
図28(a)に示す駆動順序は、駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.16という順序である。
したがって、図28(a)の駆動順序をオフセットした順序とは、例えば駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.1という順序である。この順序は、駆動ブロックNo.2~駆動ブロックNo.16までの駆動順番を1つずつ前にし、駆動ブロックNo.1を最後の駆動順番としたものである。
また、例えば駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.2という順序もまた図28(a)の駆動順序をオフセットした順序である。この順序は、駆動ブロックNo.3~No.16までの駆動順番を2つずつ前にし、駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.2をその順序を保ったまま後ろの駆動順番としたものである。
同様に考えると、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.13、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.8という順序もまた図28(a)に示す駆動順序を8つオフセットした順序である。ここで、図28(b)に示す駆動順序はこの順序の逆順となっていることがわかる。したがって、図28(b)に示す駆動順序が図28(a)に示す駆動順序をオフセットした順序の逆順であることがわかる。
図28(c)は図28(a)に示す駆動順序にしたがって往方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。また、図28(d)は図28(b)に示す駆動順序にしたがって復方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。このように、復走査時の駆動順序を往走査時の駆動順序をオフセットした順序の逆順とすると、往走査、復走査それぞれにおける各駆動ブロックからのインクの着弾位置は異なるものの、互いに平行な位置関係となるように吐出されることになる。
図29は往走査、復走査それぞれにおける記録データに図12(a1)、(a2)に示す記録データを用い、往走査での駆動順序を図28(a)に示す駆動順序に、復走査での駆動順序を図28(b)に示す駆動順序に設定した際に記録される画像を模式的に示す図である。なお、図29(a)は往走査と復走査の間にずれが生じなかった際に記録される画像を、図29(b)は往走査と復走査の間にX方向に約1/4ドット分のずれが生じた際に記録される画像を、図29(c)は往走査と復走査の間にX方向に約2/4ドット分のずれが生じた際に記録される画像を、図29(d)は往走査と復走査の間にX方向に約3/4ドット分のずれが生じた際に記録される画像をそれぞれ模式的に示している。また、それぞれの図において内部に縦線が記載された円が往走査で形成されるドットを、内部に横線が記載された円が復走査で形成されるドットをそれぞれ示している。
図29、図14、図16を比較するとわかるように、図16ほどではないが、図29に示す画像は図14に示す画像よりはドットの重なりや抜けが目立ちにくくなるように改善されている。ここで、上述したように図14は復走査時の駆動順序を往走査時の駆動順序の逆順とした場合に記録される画像であり、図16は復走査時の駆動順序を往走査時の駆動順序と同じ順序とした場合に記録される画像である。したがって、復走査時の駆動順序が往走査時の駆動順序をオフセットした順序の逆順である場合、復走査時の駆動順序が往走査時の駆動順序の逆順である場合よりは往復走査間の吐出位置ずれは抑制できる。一方、図16に示す復走査時の駆動順序が往走査時の駆動順序と同じ順序である場合の方がより好ましいこともわかる。
以上の点を踏まえると、本実施形態における復走査時の駆動順序は、まず、往走査時の駆動順序の逆順と異なる必要がある。その上で、往走査時の駆動順序をオフセットした順序の逆順と異なることが好ましい。そして、往走査時の駆動順序と同じ順序であることが更に好ましい。
(第2の実施形態)
本実施形態では、ステップ406における吐出口列展開の際、展開後のデータの解像度が展開前のデータの解像度よりも高くなるように処理を行う形態について記載する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図30(a)は本実施形態に係る記録ヘッド7を示す斜視図である。また、図30(b)は記録ヘッド内のブラックインク用の吐出口列42Kの拡大図である。また、図30(c)は記録ヘッド内のシアンインク用の吐出口列42C1および42C2の拡大図である。
図30(a)からわかるように、本実施形態では、記録ヘッド7内には1つの記録チップ43が設けられている。そして、チップ43にはブラックインクを吐出するための吐出口列42K、シアンインクを吐出するための吐出口列42C1、42C2、マゼンタインクを吐出するための吐出口列42M1、42M2、イエローインクを吐出するための吐出口列42Y、グレーインクを吐出するための吐出口列42G1、42G2の合計8つの吐出口列42が形成されている。
図30(b)に示すように、ブラックインクの吐出口列42Kは、吐出口30bがY方向に1インチ当たり600個の記録解像度(600dpi)で配列された列がY方向に1インチ当たり1200個の記録解像度(1200dpi)だけずれて配列されることで形成されている。ここで、第1の実施形態と同様に、吐出口30bは約5plのインクを吐出可能であり、吐出口30bから記録媒体上にインクを1滴吐出して形成されるドットの径は約50μmとなる。また、図30(b)では簡単のため6つの吐出口30bしか記載していないが、実際には256個の吐出口30bによって吐出口列42Kが形成されている。イエローインクの吐出口列42Yも図30(b)に示すような構成である。
また、図30(c)に示すように、シアンインクの吐出口列42C1は、吐出口30bが600dpiの記録解像度で配列された列L_Evと、吐出口30cが600dpiの記録解像度で配列された列M_Evと、吐出口30dが600dpiの記録解像度で配列された列S_Odと、の3つの列から形成される。ここで、第1の実施形態と同様に吐出口30cは約2plのインクを吐出可能であり、吐出口30cからインクを1滴吐出して形成されるドットの径は約35μmとなる。また、吐出口30dは約1plのインクを吐出可能であり、吐出口30dからインクを1滴吐出して形成されるドットの径は約28μmとなる。
また、シアンインクの吐出口列42C2は、吐出口30bが600dpiの記録解像度で配列された列L_Odと、吐出口30cが600dpiの記録解像度で配列された列M_Odと、吐出口30dが600dpiの記録解像度で配列された列S_Evと、の3つの列から形成される。
ここで、吐出口列42C1、42C2内の列L_Ev、L_Od、M_Ev、M_Od、S_Ev、S_Odは、次のような配置条件に基づいて配置されている。吐出口列42C2内の列L_Odは、吐出口列42C1内の列L_EvよりもY方向下流側(図中上側)に1200dpiだけずれて配置される。また、吐出口列42C2内の列M_Odは、吐出口列42C1内の列M_EvよりもY方向下流側(図中上側)に1200dpiだけずれて配置される。ここで、吐出口列42C2内の列M_Odは吐出口列42C2内の列L_OdよりもY方向上流側(図中下側)に2400dpiだけずれて配置される。
また、吐出口列42C1内の列S_Odは吐出口列42C2内の列M_Odと、吐出口列42C2内の列S_Evは吐出口列42C1内の列M_Evと、それぞれのY方向の中央位置がほぼ同じ位置となるように配置される。したがって、吐出口列42C1内の列S_Odもまた、吐出口列42C2内の列S_EvよりもY方向下流側(図中上側)に1200dpiだけずれて配置されることになる。
なお、図30(c)では簡単のため列L_Ev、L_Od、M_Ev、M_Od、S_Ev、S_Odを構成する吐出口としてそれぞれ3つの吐出口しか記載していないが、実際にはそれぞれ128個の吐出口によって各列が形成されている。したがって、同じ量のインクを吐出する2列(例えばS_OdとS_Ev)を1列としてみた場合、その列は256個の吐出口から形成されることになる。
また、マゼンタインクの吐出口列42M1、42M2も図30(c)に示すような構成となる。更に、グレーインクの吐出口列42G1、42G2もまた図30(c)に示すような構成となる。
データの処理過程としては、図5のステップ404までは第1の実施形態と同様の処理を行う。
そしてステップ405では、第1の実施形態と異なり、ステップ404で得られたデータC2に対して誤差拡散法による量子化処理を行うことで5階調(階調レベル0、1、2、3、4)で解像度600dpi×600dpiのデータC3´を得る。なお、本実施形態ではデータC3´のことを階調データとも称する。また、ここでは誤差拡散法を用いたが、ディザ法であっても構わない。
ステップ406では、データC3´を図31に示す吐出口列展開テーブルに従って、各吐出口列用の画像データC4´を得る。本実施形態では、5pl吐出口列、2pl吐出口列用の画像データは生成せず、1pl吐出口列用の画像データはドットを配置する数および位置を定めたドット配置パターンに基づいて、「0」、「1」、「2」、「3」、「4」の5階調に展開される。詳細には、画像データC4´は600dpi×1200dpiの解像度において「00」、「01」、「10」の3通りの2ビットの情報のいずれかにより構成される。なお、本実施形態では、画像データC4´のことを量子化データとも称する。
上述のようにデータC3´は600dpi×600dpiの解像度であるため、画像データC4´の解像度がデータC3´の解像度よりも高くなることになる。詳細には、データC3´は1画素×2画素からなる画素群に対する5値の階調レベル、すなわちその画素群に対応する画素群領域内へのインクの吐出回数の合計を定めるのに対し、画像データC4´は1つの画素群を構成する2画素それぞれに対する3通りの画素値、すなわちその2つの画素に対応する画素領域それぞれへのインクの吐出回数を定めている。
図31(b)はデータC3´の階調レベル(階調値)がレベル1である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。また、図31(c)はデータC3´の階調レベルがレベル2である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。また、図31(d)はデータC3´の階調レベルがレベル3である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。また、図31(e)はデータC3´の階調レベルがレベル4である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。なお、図31中の各画素内の「0」、「1」、「2」の記載はその画素における画素値を示している。
本実施形態では、図31(b)に示すように、階調レベルがレベル1である、すなわち画像データの濃度が低濃度である場合に用いるドット配置パターンにおいて、X方向にドットの配置が定められる画素のうち、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接する画素の数が、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接しない画素の数よりも多くなるように、ドットの配置が定められていることを特徴とする。
例えば、図30(b)に示すドット配置パターンにおける最も左上の画素にはドットの配置が定められており、且つ、その画素に隣接する最も上側であり左から二番目の画素にもドットの配置が定められている。このようにすることにより、低濃度の画像データであっても互いに隣接する位置に複数のドットを配置することができるため、往復走査間の吐出位置ずれを好適に抑制することができる。
なお、図31(c)、(d)、(e)それぞれに示すレベル2、レベル3、レベル4に対応するドット配置パターンにおいても、X方向にドットの配置が定められる画素のうち、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接する画素の数が、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接しない画素の数よりも多くなるようにドットの配置が定められている。ここから、本実施形態ではデータC3´が再現可能な階調レベル(レベル0~4)のうち、最小の階調値以外(レベル0以外)の階調レベルである場合には隣接位置に配置されるドット数が多くなるようなデータC4´を生成できる。
そして、ステップ407において、画像データC4´に対して後述する分配処理を行い、各走査での各画素領域に対するインクの吐出または非吐出を定める記録データC5´を生成する。
その後、ステップ408にて記録ヘッドに記録データC5´が送信され、ステップ409にてその記録データC5´にしたがってインクが吐出される。
(本実施形態で適用するマスクパターン)
図32は本実施形態で用いるマスクパターンを示す図である。なお、図32(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_2を、図32(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_2を、図32(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_2を、図32(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_2をそれぞれ示している。また、図32(e)は図32(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_2と図32(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_2それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_2+MP3_2を示している。また、図32(f)は図32(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_2と図32(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMP4_2それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP2_2+MP4_2を示している。なお、図17における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
また、図32からわかるように、本実施形態ではX方向に32画素、Y方向に64画素の合計2048個の画素それぞれにおいてインクの吐出の許容回数を定めたものを1つのマスクパターンの繰り返し単位とし、これをX方向、Y方向に繰り返し用いることとする。
図32に示すマスクパターンMP1_2~MP4_2の設定条件は、第1の実施形態で説明した図17に示すマスクパターンMP1~MP4と同じである。
すなわち、図32(a)~(d)に示す4つのマスクパターンMP1_2~MP4_2内の同じ位置にある4つの画素のうち、2つの画素に対しては「1」、「2」のいずれかのコード値が1つずつ割り当てられ、残りの2(=4-2)つの画素に対しては「0」のコード値が割り当てられるように、各画素に対するコード値が割り当てられている(条件1)。
更に、図32(a)~(d)に示す4つのマスクパターンMP1_2~MP4_2それぞれには、「1」のコード値が割り当てられた画素が互いにほぼ同数となり、且つ、「2」のコード値が割り当てられた画素が互いにほぼ同数となるように、各画素に対するコード値が割り当てられている(条件2)。
また、本実施形態で用いるマスクパターンMP1_2~MP4_2は、同じ位置にある4つの画素のうち、往走査に対応するマスクパターンMP1_2、MP3_2でコード値「1」が割り当てられている画素には復走査に対応するマスクパターンMP2_2、MP4_2でコード値「2」が割り当てられ、往走査に対応するマスクパターンMP1_2、MP3_2でコード値「2」が割り当てられている画素には復走査に対応するマスクパターンMP2_2、MP4_2でコード値「1」が割り当てられるように、各画素に対するコード値が割り当てられる。これにより、高濃度の画像、例えば画素値が「2」である画像データが入力された際には往走査と復走査で1回ずつ1つの画素領域にインクを吐出するような記録データを生成することができる。
更に、本実施形態におけるマスクパターンMP1_2~MP4_2は、1、3回目の走査(往走査)に対応するマスクパターンMP1_2、MP3_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素と、2、4回目の走査(復走査)に対応するマスクパターンMP2_2、MP4_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素と、がX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じ易いように、各画素に対するコード値が定められている。言い換えると、本実施形態で用いるマスクパターンMP1_2~MP4_2は、論理和パターンMP1_2+MP3_2において「1」のコード値が割り当てられた画素と論理和パターンMP2_2+MP4_2において「1」のコード値が割り当てられた画素とがX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じ易いように、各画素に対するコード値が割り当てられている。
なお、図32(e)、(f)からわかるように、本実施形態における論理和パターンMP1_2+MP3_2と論理和パターンMP2_2+MP4_2は、X方向に延びる各行のすべての画素において「1」のコード値が割り当てられた画素が交互に配置されはしない。
例えば、最もY方向下流側(上側)端部の行を見ると、図32(e)に示す論理和パターンMP1_2+MP3_2ではX方向上流側(左側)から1、3、6、8、9、11、14、16、17、19、22、24、25、27、30、32画素目でコード値「1」が定められている。また、図32(f)に示す論理和パターンMP2_2+MP4_2ではX方向上流側(左側)から2、4、5、7、10、12、13、15、18、20、21、23、26、28、29、31画素目でコード値「1」が定められている。
このように、すべての画素において論理和パターンMP1_2+MP3_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素と論理和パターンMP2_2+MP4_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素が交互に並ぶわけではない。しかしながら、論理和パターンMP1_2+MP3_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素のうち、論理和パターンMP2_2+MP4_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素とX方向における両側に隣接する画素が、論理和パターンMP2_2+MP4_2にて「1」のコード値が割り当てられた画素とX方向における両側に隣接しない画素よりも多いという条件を満たしていれば本発明による効果を得ることができる。
(本実施形態における駆動ブロックの駆動順序)
図33(a)は本実施形態で実行する時分割駆動制御における駆動順序を示す図である。また、図33(b)は図33(a)に示す駆動順序にしたがって往方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。また、図33(c)は図33(a)に示す駆動順序にしたがって復方向への走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。
本実施形態では、図33(a)に示すように、往走査、復走査ともに駆動ブロックNo.2、駆動ブロックNo.10、駆動ブロックNo.7、駆動ブロックNo.15、駆動ブロックNo.4、駆動ブロックNo.12、駆動ブロックNo.9、駆動ブロックNo.1、駆動ブロックNo.6、駆動ブロックNo.14、駆動ブロックNo.3、駆動ブロックNo.11、駆動ブロックNo.8、駆動ブロックNo.16、駆動ブロックNo.5、駆動ブロックNo.13の駆動順序で時分割駆動を行う。
図33(a)に示す駆動順序にしたがって記録素子No.1~No.16を時分割駆動した場合、往方向への走査では、図33(b)に示すように最初に駆動される記録素子No.2から形成されるドットが最もX方向上流側に位置し、記録素子No.10、7、15、4、12、9、1、6、14、3、11、8、16、5の順に形成されるドットがX方向上流側から下流側にずれるように位置し、最後に駆動される記録素子No.13から形成されるドットが最もX方向下流側に位置することになる。
一方、復方向への走査では、図33(c)に示すように最初に駆動される記録素子No.2から形成されるドットが最もX方向下流側に位置し、記録素子No.10、7、15、4、12、9、1、6、14、3、11、8、16、5の順に形成されるドットがX方向下流側から上流側にずれるように位置し、最後に駆動される記録素子No.13から形成されるドットが最もX方向上流側に位置することになる。
このように、図33(a)に示す駆動順序で各駆動ブロックに属する記録素子を駆動することにより、各駆動ブロックからのインクの着弾位置を異ならせることができる。
(本実施形態による記録画像)
以上記載したように、本実施形態では、更に図31(b)~(e)に示すドット配置パターンと図32(a)~(d)に示すマスクパターンMP1_2~MP4_2を用い、往走査、復走査ともに図33(a)に示す駆動順序にしたがって時分割駆動を行うことにより、往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行う。
以下に16画素×8画素のすべての画素において階調レベルがレベル1~4である画像データが入力された場合におけるインクの吐出位置を図34を参照しながら詳細に記載する。
ここで、図34(a1)~(a4)はそれぞれ図31(b)~(e)に示すドット配置パターンをX方向に2回繰り返したものであり、それぞれ階調レベルが1~4である画像データが入力された場合に16画素×8画素の領域内のインクが吐出される位置および数を示している。
また、図34(b1)、(b2)はそれぞれ図32(e)、(f)に示す論理和パターンMP1_2+MP3_2、MP2_2+MP4_2の左上の16画素×8画素の領域を抜き出したものであり、それぞれ往走査、復走査での各画素に対する記録の許容回数を示している。
また、図34(c1)~(c4)はそれぞれ階調レベルが1~4である画像データが入力された場合に16画素×8画素の領域内のインクが吐出される位置に関し、その位置が往走査で吐出されるか復走査で吐出されるかを示す模式図である。なお、図34(c1)~(c4)中の縦線のみが引かれた格子が往走査のみで吐出される画素を、横線のみが引かれた格子が復走査のみで吐出される画素を、縦線と横線の両方が引かれた格子が往走査と復走査の両方で吐出される画素をそれぞれ示している。
図34(c1)~(c4)から、図32に示すドット配置パターンと図33に示すマスクパターンによれば、いずれの階調レベルにおいてもX方向に互いに隣接する位置にドットの配置が定められ、且つ、2つの互いに隣接するドットの配置が定められた画素のうちの一方は少なくとも往走査で記録が行われ、他方は少なくとも復走査で記録が行われることがわかる。
図35は階調レベルがレベル4である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図35(a)、図35(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図35(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図35(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図35(e)にそれぞれ示している。
図35(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図35(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図35(e)も図35(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図35(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図35(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図35(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて画質低下はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル4の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
図36は階調レベルがレベル3である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図36(a)、図36(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図36(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図36(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図36(e)にそれぞれ示している。
図36(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図36(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図36(e)も図36(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図36(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図36(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図36(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル3の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
図37は階調レベルがレベル2である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図37(a)、図37(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図37(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図37(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図37(e)にそれぞれ示している。
図37(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図37(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図37(e)も図37(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図37(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図37(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図37(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル2の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
図38は階調レベルがレベル1である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図38(a)、図38(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図38(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図38(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図38(e)にそれぞれ示している。
図38(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図38(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図38(e)も図38(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図38(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図38(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図38(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
図38からわかるように、本実施形態においても低濃度の画像の記録時に同じ画素領域に複数ドットを記録しないため、画像の均一性の低下を抑制することができる。更に本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル1の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
本発明は、走査方向間で時分割駆動による各駆動ブロックからのインク着弾位置が異なること、および隣接する画素が異なる走査方向で記録されること、の2点で効果が発生するものである。これを実現する上では、ノズル列展開において時分割駆動解像度(第2の実施形態では600dpi)以下の解像度で隣接するようにドット配置を定めなくてはならない。図8の単位領域211の全ての領域で階調レベルがレベル1である場合に図39に示すようなドット配置パターンを用いた場合、X方向に隣接する画素が存在しないため、本発明の効果は得られない。
それは、往走査用のマスクパターンと復走査用のマスクパターンとで異なる走査で記録が許容される画素がおける両側に隣接する数を多くしたとしても、そもそも低濃度の画像では互いに隣接する位置にドットが配置されないため、往走査と復走査の間のずれ量が無い状態であっても往走査によるドットと復走査によるドットとが重なって記録されている箇所を実現できないからである。したがって、画像データを解像度変換する際において、少なくとも一部にはX方向に隣接するように配置し、その隣接画素を走査方向が逆となるようにインク滴を配置することが必要となる。
本実施形態に記載したように、図34(c4)に示したような全ての画素がX方向に隣接し、且つ、全て隣接画素を走査方向が逆となるように配置することができれば最も高い効果が現れる。ただ、本実施形態の効果を得るためには必ずしも全ての隣接画素を異なる走査方向で配置する必要はなく、全ての行において隣接する画素が隣接しない画素に比べて多ければある程度の効果が得られる。
また、本実施形態において、Y方向600dpi内にS_Ev列とS_Od列の両方で各1ドット配置される箇所は、S_Ev列とS_Od列とで走査方向が逆となるように配置されるようになっている。S_Ev列とS_Od列とが同じ時分割駆動順序である場合に、S_Ev列とS_Od列とで走査方向が同じとなるように配置されると、S_Ev列のドットとS_Od列のドットとが同じX座標に配置されるため、X方向に隙間が発生して画像均一性が劣化してしまう。それに対して、S_Ev列とS_Od列とで走査方向が逆となるように配置されると、逆方向走査時の時分割駆動によるドット配置は順方向走査時とは異なるため、S_Ev列のドットとS_Od列のドットとが異なるX座標に配置されることになり、X方向の隙間が小さくなることで画像均一性を改善することができる。600dpiの中に2ドットを配置する場合、本実施形態の図31(c)に示すように、一部の箇所は2ドットが重なるように配置され、また別の一部の箇所はY方向1200dpiずれて各1ドットが配置されるような場合であっても、本実施形態の効果を得ることができる。
以上記載したように、本実施形態によっても、画像の均一性を損なうことなく往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、往走査で記録されるドットと復走査で記録されるドットがほぼ同じ数となるような形態について記載した。
これに対し、本実施形態では、往走査で記録されるドットと復走査で記録されるドットの数が異なり、隣接するドットを配置する際の走査方向が一部同じとなるように配置する場合について説明する。
なお、上述の第1、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
本実施形態で適用する記録ヘッドの構成は、図30に示す記録ヘッドとほぼ同じであるが、各列を構成する吐出口の数が異なり、それぞれ96個の吐出口から構成される。したがって、本実施形態における同じ色、同じ量のインクを吐出する吐出口列はそれぞれ192個の吐出口から構成される。
本実施形態では、第1、第2の実施形態と異なり、記録媒体上の単位領域に対して3回の走査を行うことで記録を行う。図40は本実施形態で行うマルチパス記録方式を示す図である。
図40からわかるように、本実施形態では、記録媒体上の単位領域221に対しては往走査、復走査、往走査の順に記録が行われる。また、単位領域222に対しては復走査、往走査、復走査の順に記録が行われる。すなわち、往走査を2回、復走査を1回行う単位領域と、往走査を1回、復走査を2回行う単位領域と、が記録媒体上に混在することになる。
(本実施形態で適用するマスクパターン)
図41は本実施形態で用いるマスクパターンを示す図である。なお、図41(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_3を、図41(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMP2_3を、図41(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_3をそれぞれ示している。また、図41(d)は図41(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMP1_3と図41(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMP3_3それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMP1_3+MP3_3を示している。なお、図41における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
また、図41からわかるように、本実施形態ではX方向に32画素、Y方向に64画素の合計2048個の画素それぞれにおいてインクの吐出の許容回数を定めたものを1つのマスクパターンの繰り返し単位とし、これをX方向、Y方向に繰り返し用いることとする。
図41に示すマスクパターンMP1_3~MP4_3の設定条件は、基本的には第1の実施形態で説明した図17に示すマスクパターンMP1~MP4と同じである。
すなわち、図41(a)~(d)に示す3つのマスクパターンMP1_3~MP3_3内の同じ位置にある3つの画素のうち、2つの画素に対しては「1」、「2」のいずれかのコード値が1つずつ割り当てられ、残りの1(=3-2)つの画素に対しては「0」のコード値が割り当てられるように、各画素に対するコード値が割り当てられている(条件1)。
また、本実施形態で用いるマスクパターンMP1_3~MP3_3は、同じ位置にある3つの画素のうち、一方の方向への走査に対応するマスクパターンMP1_3、MP3_3でコード値「1」が割り当てられている画素には他方の方向への走査に対応するマスクパターンMP2_3でコード値「2」が割り当てられ、一方の方向の走査に対応するマスクパターンMP1_3、MP3_3でコード値「2」が割り当てられている画素には他方の方向への走査に対応するマスクパターンMP2_3でコード値「1」が割り当てられるように、各画素に対するコード値が割り当てられる。これにより、高濃度の画像、例えば画素値が「2」である画像データが入力された際には往走査と復走査で1回ずつ1つの画素領域にインクを吐出するような記録データを生成することができる。
また、本実施形態で用いるマスクパターンMP1_3~MP3_3は、それぞれ「1」のコード値と「2」のコード値が割り当てられた画素が互いに異なる数だけ配置されている。更に、マスクパターンMP1_3、MP3_3ではY方向における位置に応じても「1」、「2」のコード値が割り当てられた画素の数が異なっている。
詳細には、マスクパターンMP1_3には、「1」のコード値が割り当てられた画素の数は全画素に対してY方向下流側端部で約40%、Y方向上流側端部で約20%であり、その間は40%から20%の間で漸次的に変化するように定められている。また、「2」のコード値が割り当てられた画素の数は全画素に対してY方向下流側端部で約26.7%、Y方向上流側端部で約13.3%であり、その間は26.7%から13.3%の間で漸次的に変化するように定められている。
次に、マスクパターンMP2_3には、「1」のコード値が割り当てられた画素の数は全画素に対してY方向の位置によらず約40%、「2」のコード値が割り当てられた画素の数は全画素に対してY方向の位置によらず約60%となるように定められている。
そして、マスクパターンMP3_3には、「1」のコード値が割り当てられた画素の数は全画素に対してY方向下流側端部で約20%、Y方向上流側端部で約40%であり、その間は20%から40%の間で漸次的に変化するように定められている。また、「2」のコード値が割り当てられた画素の数は全画素に対してY方向下流側端部で約13.3%、Y方向上流側端部で約26.7%であり、その間は13.3%から26.7%の間で漸次的に変化するように定められている。
このように設定することにより、記録素子列の端部におけるインクの吐出量を中央部におけるインクの吐出量よりも少なくすることができる。これにより、記録素子列の端部からの吐出において生じ得るスジの発生を抑制することが可能となる。
更に、本実施形態におけるマスクパターンMP1_3~MP3_3は、1、3回目の走査(一方の方向への走査)に対応するマスクパターンMP1_3、MP3_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素と、2回目の走査(他方の方向への走査)に対応するマスクパターンMP2_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素と、がX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じ易いように、各画素に対するコード値が定められている。言い換えると、本実施形態で用いるマスクパターンMP1_3~MP3_3は、図41(d)に示す論理和パターンMP1_3+MP3_3において「1」のコード値が割り当てられた画素と図41(b)に示すマスクパターンMP2_3において「1」のコード値が割り当てられた画素とがX方向に延びる各行においてX方向に交互に生じ易いように、各画素に対するコード値が割り当てられている。
なお、図41(b)、(d)からわかるように、本実施形態におけるマスクパターンMP2_3と論理和パターンMP1_3+MP3_3は、X方向に延びる各行のすべての画素において「1」のコード値が割り当てられた画素が交互に配置されはしない。
例えば、最もY方向下流側(上側)端部の行を見ると、図41(b)に示すマスクパターンMP2_3ではX方向上流側(左側)から2、4、5、7、10、12、13、15、21、23、26、28、31画素目でコード値「1」が定められている。また、図41(d)に示す論理和パターンMP1_3+3_3ではX方向上流側(左側)から1、3、6、8、9、11、14、16、17、18、19、20、22、25、27、29、30、32画素目でコード値「1」が定められている。
このように、すべての画素においてマスクパターンMP2_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素と論理和パターンMP1_3+3_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素が交互に並ぶわけではない。しかしながら、論理和パターンMP1_3+3_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素のうち、マスクパターンMP2_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素とX方向における両側に隣接する画素が、マスクパターンMP2_3にて「1」のコード値が割り当てられた画素とX方向における両側に隣接しない画素よりも多いという条件を満たしていれば本発明による効果を得ることができる。
(本実施形態による記録画像)
以上記載したように、本実施形態では、図41(a)~(c)に示すマスクパターンMP1_3~MP3_3を用いる。その上で、第2の実施形態と同様に、図31(b)~(e)に示すドット配置パターンを用い、往走査、復走査ともに図33(a)に示す駆動順序にしたがって時分割駆動を行うことにより、往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行う。
階調レベルがレベル4である画像データが入力された場合に記録される画像は、第2の実施形態で説明した図35に示す画像とほぼ変わらないため、説明を省略する。
図42は階調レベルがレベル3である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図42(a)、図42(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図42(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図42(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図42(e)にそれぞれ示している。
図42(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図42(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図42(e)も図42(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図42(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図42(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図42(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル3の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
図43は階調レベルがレベル2である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図43(a)、図43(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図43(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図43(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図43(e)にそれぞれ示している。
図43(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図43(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図43(e)も図43(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図43(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図43(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図43(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル2の画像を記録する際、往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことができる。
図44は階調レベルがレベル1である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図44(a)、図44(b)それぞれに示すドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を図44(c)に、復走査においてX方向下流側に21.2μm(1200dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図44(d)に、復走査においてX方向下流側に42.3μm(600dpi相当)ずれて重なった場合のドット配置を図44(e)にそれぞれ示している。
図44(c)からわかるように、X方向に延びる各行に関し、往走査によるドットと復走査によるドットとがほとんど重なって記録されている行、一部が重なっている行、ほとんど重ならずにずれて記録されている行が様々に存在することがわかる。図44(d)では、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。図44(e)も図44(d)と同じで、元々重なっていた行のドットは新たに出現する反面、元々重ならずにずれていた行のドットは新たに重なることで、濃度変動は相殺されている。
このように画像全体として見たときに、図44(d)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が21.2μmであっても、あるいは図44(e)に示すX方向上流側への往復走査間のずれ量が42.3μmであっても、図44(c)に示す往復走査間のずれが生じなかった際に比べて濃度変動はほとんど発生しないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態におけるマスクパターンおよび駆動順序によれば、階調レベルがレベル1の画像を記録する際であっても往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことができる。
以上記載したように、本実施形態によっても、画像の均一性を損なうことなく往復走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、複数種類のインクのうちの互いに異なる2種類のインクを吐出する記録素子列に関し、互いに異なるドット配置パターンを用いることを特徴とする。なお、本実施形態では図30に示した記録ヘッドを用いる。ここで、本実施形態では上述の互いに異なる2種類のインクを吐出する記録素子列として、1plのシアンインクを吐出する記録素子列と1plのマゼンタインクを吐出する記録素子列について記載する。
なお、本実施形態では1pl、マゼンタインク用の記録素子列に対応する量子化データM4と、1pl、シアンインク用の記録素子列に対応する量子化データC4と、の両方に対して図32に示すマスクパターンを適用する。また、本実施形態では1pl、マゼンタインク用の記録素子列、1pl、シアンインク用の記録素子列の両方を図18に示す複数の駆動ブロックの駆動順序で時分割駆動される。
まず、本実施形態では、1plのシアンインクを吐出する記録素子列に関しては図5のステップ406にて図31に示す吐出口列展開テーブルおよびドット配置パターンを用いて展開処理を行う。
一方、図46は本実施形態において1plのマゼンタインクを吐出する記録素子列に対応する画像データM3に対して適用する吐出口列展開テーブルおよびドット配置パターンを示す図である。
本実施形態では、まず、図46(a)に示す吐出口列展開テーブルにしたがってマゼンタインクの吐出口列それぞれにおいて「0」、「1」、「2」、「3」、「4」の5階調に展開される。詳細には、図46(a)からわかるように、本実施形態では画像データM3がどのようなデータであっても5pl吐出口列、2pl吐出口列用のデータは生成しない。一方、1pl吐出口列に対しては「0」、「1」、「2」、「3」、「4」の5階調に画像データM3が展開される。
そして、展開された1pl吐出口列用のデータは、図46(b)~(e)に示す各階調値に応じて1pl、マゼンタインクのドットを配置する数および位置を定めた1pl、マゼンタインク用のドット配置パターンが適用される。これにより、600dpi×1200dpiの解像度において「00」、「01」、「10」の3通りの2ビットの情報のいずれかにより構成される画像データ(量子化データ)M4が生成される。これらの2ビットの情報「00」、「01」、「10」は、量子化データC4と同様に、それぞれ「0」、「1」、「2」の画素値に対応する。
図46(b)はデータM3の階調レベル(階調値)がレベル1である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。また、図46(c)はデータM3の階調レベルがレベル2である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。また、図46(d)はデータC3の階調レベルがレベル3である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。また、図46(e)はデータC3の階調レベルがレベル4である場合に用いるドット配置パターンを示す図である。なお、図46中の各画素内の「0」、「1」、「2」の記載はその画素における画素値を示している。
本実施形態では、図46(b)に示す階調レベルがレベル1である、すなわち画像データの濃度が低濃度である場合に用いるドット配置パターンにおいて、X方向にドットの配置が定められる画素のうち、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接する画素の数が、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接しない画素の数よりも多くなるように、ドットの配置が定められている。これは、図31(b)に示す1pl、シアンインク用のドット配置パターンと同様である。
例えば、図46(b)に示すドット配置パターンにおける最も左側であり上から二番目の画素にはドットの配置が定められており、且つ、その画素にX方向に隣接する左側から二番目であり、上側から二番目の画素にもドットの配置が定められている。このようにすることにより、低濃度の画像データであっても互いに隣接する位置に複数のドットを配置することができるため、1plのマゼンタインクの吐出における走査間の吐出位置ずれを好適に抑制することができる。
なお、図46(c)、(d)、(e)それぞれに示すレベル2、レベル3、レベル4に対応するドット配置パターンにおいても、X方向にドットの配置が定められる画素のうち、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接する画素の数が、他のドットの配置が定められる画素がX方向に隣接しない画素の数よりも多くなるようにドットの配置が定められている。ここから、本実施形態ではデータC3が再現可能な階調レベル(レベル0~4)のうち、最小の階調値以外(レベル0以外)の階調レベルである場合には隣接位置に配置されるドット数が多くなるようなデータM4を生成できる。
更に、図46(b)に示す1pl、マゼンタインク用のレベル1の階調レベルに対応するドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められるすべての画素は、図31(b)に示す1pl、シアンインク用のレベル1の階調レベルに対応するドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められる画素とY方向に隣接するように定められている。例えば、図46(b)に示すドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められる最も左側であり上から二番目の画素は、図31(b)に示すドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められる最も左上の画素および最も左側であり上から三番目の画素の2つの画素とY方向に隣接している。また、図46(b)に示すドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められる左側から二番目であり上から二番目の画素は、図31(b)に示すドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められる左側から二番目であり最も上側の画素とY方向に隣接している。
したがって、シアンインク、マゼンタインクともにレベル1の階調レベルである量子化データが入力された場合、シアンインクとマゼンタインクそれぞれの吐出が定められる位置をY方向に重畳しないようにすることができる。言い換えると、シアンインクのドット配置とマゼンタインクのドット配置は互いに排他的な関係となる。これにより、シアンインクとマゼンタインクのドット配置が重畳することにより画像に白地が生じることを抑制することができる。
なお、図46(c)、(d)、(e)それぞれに示すレベル2、レベル3、レベル4の階調レベルに対応するドット配置パターンにおいても、インクの吐出が定められるすべての画素が図31(c)、(d)、(e)それぞれに示すレベル2、レベル3、レベル4の階調レベルに対応するドット配置パターンにおいてインクの吐出が定められる画素とY方向に隣接するように定められている。
なお、ここではマゼンタインク用のドット配置パターン内のインクの吐出が定められるすべての画素が、シアンインク用のドット配置パターン内でインクの吐出が定められる画素とY方向に隣接する形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。詳細には、はマゼンタインク用のドット配置パターン内のインクの吐出が定められる画素のうち、シアンインク用のドット配置パターン内でインクの吐出が定められる画素とY方向に隣接する画素が、シアンインク用のドット配置パターン内でインクの吐出が定められる画素とY方向に隣接しない画素よりも多くなるようにすれば本実施形態による効果を得ることができる。
以上記載したように、本実施形態によれば複数種類のインクを用いる場合においても画像の均一性を損なうことなく走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことができる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、第4の実施形態に加え、複数種類のインクに応じて適用するマスクパターンを異ならせることで、走査間のインクの吐出位置ずれを更に好適に抑制する。
なお、上述した第4の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図47は本実施形態で用いる1pl、マゼンタインク用の記録素子列に対応する量子化データM4に適用するマスクパターンを示す図である。なお、図47(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMPM1を、図47(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMPM2を、図47(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMPM3を、図47(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMPM4をそれぞれ示している。また、図47(e)は図47(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMPM1と図47(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMPM3それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMPM1+MPM3を示している。また、図47(f)は図47(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMPM2と図47(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMPM4それぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMPM2+MPM4を示している。なお、図47における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
また、図47に示すように、本実施形態ではX方向に32画素、Y方向に64画素の合計2048個の画素それぞれにおいてインクの吐出の許容回数を定めたものを1つのマスクパターンの繰り返し単位とし、これをX方向、Y方向に繰り返し用いることとする。
ここで、図47(a)~(d)それぞれに示すマスクパターンMPM1~MPM4は、図32(a)~(d)それぞれに示すマスクパターンMPC1~MPC4と同様の条件にしたがって各画素に対するコード値が割り当てられる。
それに加え、本実施形態では、1つの画素群内に形成されるシアンインクのドットとマゼンタインクのドットが異なる方向への走査で形成されるように、マスクパターンMPM1~MPM4が定められている。このため、本実施形態では、図47(e)に示す論理和パターンMPM1+MPM3が図32(e)に示す論理和パターンMPC1+MPC3と同じとなり、且つ、図47(f)に示す論理和パターンMPM2+MPM4が図32(f)に示す論理和パターンMPC2+MPC4と同じとなるように、マスクパターンMPM1~MPM4が定められている。
以下に8画素×8画素のすべての画素において各階調レベルにおいてマゼンタインクが吐出される位置と、各位置に吐出される際の走査方向を図48を参照しながら詳細に記載する。
ここで、図48(a1)~(a4)はそれぞれ図32(b)~(e)に示すドット配置パターンをX方向に2回繰り返したものであり、それぞれ階調レベルが1~4である量子化データM4が入力された場合に8画素×8画素の画素内のインクが吐出される位置および数を示している。
また、図48(b1)、(b2)はそれぞれ図32(e)、(f)に示す論理和パターンMPM1+MPM3、論理和パターンMPM2+MPM4の左上の8画素×8画素の画素を抜き出したものであり、それぞれ往走査、復走査での各画素に対する記録の許容回数を示している。
また、図48(c1)~(c4)はそれぞれ階調レベルが1~4である量子化データが入力された場合に8画素×8画素の画素内のインクが吐出される位置に関し、その位置が往走査で吐出されるか復走査で吐出されるかを示す模式図である。なお、図48(c1)~(c4)中の縦線のみが引かれた格子が往走査のみで吐出される画素を、横線のみが引かれた格子が復走査のみで吐出される画素を、縦線と横線の両方が引かれた格子が往走査と復走査で吐出される画素をそれぞれ示している。
例えば、図48(a4)に示すドット配置パターンでは8画素×8画素の画素内の最も右上の領域では「1」の画素値が割り当ている。図10のデコードテーブルからわかるように、「1」の画素値が割り当てられた画素はコード値が「1」である場合のみインクの吐出を定める画素である。ここで、図48(b1)からわかるように、8画素×8画素の領域内の最も右上の画素には論理和パターンMPM1+MPM3にてコード値「1」が割り当てられている。そのため、図48(c4)に示したように、8画素×8画素の領域内の最も右上の画素には往走査のみによってインクが吐出されることがわかる。
図48(c1)~(c4)から、図31に示すドット配置パターンと図47に示すマスクパターンによれば、いずれの階調レベルにおいてもX方向に互いに隣接する位置にドットの配置が定められ、且つ、2つの互いに隣接するドットの配置が定められた画素のうちの一方は少なくとも往走査で記録が行われ、他方は少なくとも復走査で記録が行われることがわかる。
更に、図48(c4)と図34(c4)を比較するとわかるように、本実施形態によれば1つの画素群を構成する2つの画素においてシアンインクのドット、マゼンタインクのドットが1つずつ形成される場合、それらの2つのドットが異なる方向への走査で形成されることがわかる。以下、この点について図49を用いて詳細に説明する。
図49(a)はシアンインク、マゼンタインクともにレベル1の階調レベルであった場合に形成されるドットの位置と、それらのドットが形成される走査方向と、を説明するための図である。言い換えると、図49(a)中の往走査にてシアンドットが形成されている画素は図34(c4)にて縦線が引かれた画素に、復走査でシアンドットが形成されている画素は図34(c4)にて横線が引かれた画素に、往走査にてマゼンタドットが形成されている画素は図48(c4)にて縦線が引かれた画素に、復走査でマゼンタドットが形成されている画素は図48(c4)にて横線が引かれた画素にそれぞれ対応している。なお、ここでは右向きの矢印が記載されたドットが往走査で形成されるドットを、左向きの矢印が記載されたドットが復走査で形成されるドットをそれぞれ示している。
図49(a)からわかるように、1画素×2画素からなる600dpi×600dpiの画素群内の2つの画素に関し、一方の画素にはシアンドットが、他方の画素にはマゼンタドットが形成されている。更に、それらのシアンドットとマゼンタドットは異なる方向への走査で形成されている。
例えば、図49(a)の8画素×8画素の画素のうちの最も左上の画素群を構成する2つの画素では、最も左上の画素にてシアンインクが往方向への走査で形成され、最も左側であり上から二番目の画素にてマゼンタインクが復方向への走査で形成されている。また、例えば図49(a)の8画素×8画素の画素のうちの最も左下の画素群を構成する2つの画素では、最も左側であり下から二番目の画素にてマゼンタインクが復方向への走査で形成され、最も左下の画素にてシアンインクが往方向への走査で形成されている。
これにより、往走査と復走査の間にずれが生じた場合に複数種類のインクの吐出位置ずれを更に好適に抑制することが可能となる。
図49(b)は図49(a)の状態から復走査においてずれが生じ、復走査で形成されるドットがX方向の下流側に21.2μm(=1200dpi)だけずれた際に形成されるシアンドット、マゼンタドットの位置を示す図である。
図49(b)からわかるように、復走査でずれが生じた場合であっても、本実施形態によればドットの抜け(白部)がそれ程Y方向に連続しない。したがって、吐出位置ずれを好適に抑制することができる。
図50はシアンインク、マゼンタインクともに階調レベルがレベル1である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図50(a)は往走査、復走査にてシアンインクがずれなく重なった場合におけるドット配置を、また、図50(b)は往走査、復走査にてマゼンタインクがずれなく重なった場合におけるドット配置をそれぞれ示している。また、図50(c)は図50(a)、図50(b)に示すシアンインク、マゼンタインクのドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を示している。また、図50(d)は復走査においてX方向下流側に21.2um(=1200dpi)ずれて重なった場合のドット配置を、図50(e)は復走査においてX方向下流側に42.3um(=600dpi)ずれて重なった場合のドット配置をそれぞれ示している。なお、図50では図20と異なり、内部に縦線が引かれた円がシアンインクのドットを、内部に横線が引かれた円がマゼンタインクのドットをそれぞれ示している。
図50(c)、(d)、(e)からわかるように、走査間のずれが生じたとしても画質の低下はほとんど生じない。
なお、ここでは1つの画素群を構成する2つの画素に形成されるシアンドットとマゼンタドットのすべてが異なる方向への走査で形成される形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。詳細には、ある領域内の画素群のうち、シアンドットとマゼンタドットが異なる方向への走査で形成される画素群の数がシアンドットとマゼンタドットが同じ方向への走査で形成される画素群の数よりも多ければ本実施形態による効果を得ることができる。
第5の実施形態に対する参考例について以下に詳細に説明する。
参考例では、1つの画素群を構成する2つの画素に形成されるシアンドットとマゼンタドットが同じ方向への走査で形成される。
図51は参考例で用いる1pl、マゼンタインク用の記録素子列に対応する量子化データM4に適用するマスクパターンを示す図である。なお、図51(a)には1回目の走査に対応するマスクパターンMPM1_Cを、図51(b)には2回目の走査に対応するマスクパターンMPM2_Cを、図51(c)には3回目の走査に対応するマスクパターンMPM3_Cを、図51(d)には4回目の走査に対応するマスクパターンMPM4_Cをそれぞれ示している。また、図51(e)は図51(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンMPM1_Cと図51(c)に示す3回目の走査に対応するマスクパターンMPM3_Cそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMPM1_C+MPM3_Cを示している。また、図51(f)は図51(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターンMPM2_Cと図51(d)に示す4回目の走査に対応するマスクパターンMPM4_Cそれぞれにおいて定められたインクの吐出の許容回数の論理和により得られる論理和パターンMPM2_C+MPM4_Cを示している。なお、図51における白抜けで示された画素が「0」のコード値が割り当てられた画素を、灰色で塗りつぶされた画素が「1」のコード値が割り当てられた画素を、黒く塗りつぶされた画素が「2」のコード値が割り当てられた画素をそれぞれ示している。
また、図51に示すように、参考例ではX方向に32画素、Y方向に64画素の合計2048個の画素それぞれにおいてインクの吐出の許容回数を定めたものを1つのマスクパターンの繰り返し単位とし、これをX方向、Y方向に繰り返し用いることとする。
ここで、図51(a)~(d)それぞれに示すマスクパターンMPM1_C~MPM4_Cは、図32(a)~(d)それぞれに示すマスクパターンMPC1~MPC4と同様の条件にしたがって各画素に対するコード値が割り当てられる。
それに加え、参考例では、1つの画素群内に形成されるシアンインクのドットとマゼンタインクのドットが同じ方向への走査で形成されるように、マスクパターンMPM1_C~MPM4_Cが定められている。詳細には、図51(e)に示す論理和パターンMPM1_C+MPM3_Cが図32(e)に示す論理和パターンMPC1+MPC3と排他となり、且つ、図51(f)に示す論理和パターンMPM2_C+MPM4_Cが図32(f)に示す論理和パターンMPC2+MPC4と排他となるように、マスクパターンMPM1_C~MPM4_Cが定められている。なお、本実施形態ではすべての画素において一方の論理和パターンでコード値「1」が、他方の論理和パターンでコード値「2」が割り当てられている関係にあることを「排他」と称する。
例えば、図32(e)に示す論理和パターンMPC1+MPC3にてコード値「1」が割り当てられた画素は図51(e)に示す論理和パターンMPM1_C+MPM1_3にてコード値「2」が割り当てられている。更に、図32(e)に示す論理和パターンMPC1+MPC3にてコード値「2」が割り当てられた画素は図51(e)に示す論理和パターンMPM1_C+MPM3_Cにてコード値「1」が割り当てられている。したがって、論理和パターンMPC1+MPC3と論理和パターンMPM1_C+MPM3_Cは互いに排他となっていることがわかる。
以下に8画素×8画素のすべての画素において各階調レベルにおいてマゼンタインクが吐出される位置と、各位置に吐出される際の走査方向を図52を参照しながら詳細に記載する。
ここで、図52(a1)~(a4)はそれぞれ図31(b)~(e)に示すドット配置パターンをX方向に2回繰り返したものであり、それぞれ階調レベルが1~4である量子化データM4が入力された場合に8画素×8画素の画素内のインクが吐出される位置および数を示している。
また、図52(b1)、(b2)はそれぞれ図51(e)、(f)に示す論理和パターンMPM1_C+MPM3_C、論理和パターンMPM2_C+MPM4_Cの左上の8画素×8画素の画素を抜き出したものであり、それぞれ往走査、復走査での各画素に対する記録の許容回数を示している。
また、図52(c1)~(c4)はそれぞれ階調レベルが1~4である量子化データが入力された場合に8画素×8画素の画素内のインクが吐出される位置に関し、その位置が往走査で吐出されるか復走査で吐出されるかを示す模式図である。なお、図52(c1)~(c4)中の縦線のみが引かれた格子が往走査のみで吐出される画素を、横線のみが引かれた格子が復走査のみで吐出される画素を、縦線と横線の両方が引かれた格子が往走査と復走査で吐出される画素をそれぞれ示している。
例えば、図52(a4)に示すドット配置パターンでは8画素×8画素の画素内の最も右上の領域では「1」の画素値が割り当ている。図10のデコードテーブルからわかるように、「1」の画素値が割り当てられた画素はコード値が「1」である場合のみインクの吐出を定める画素である。ここで、図52(b2)からわかるように、8画素×8画素の領域内の最も右上の画素には論理和パターンMPM2_C+MPM4_Cにてコード値「1」が割り当てられている。そのため、図52(c4)に示したように、8画素×8画素の領域内の最も右上の画素には復走査のみによってインクが吐出されることがわかる。
図52(c1)~(c4)から、図31に示すドット配置パターンと図51に示すマスクパターンによれば、いずれの階調レベルにおいてもX方向に互いに隣接する位置にドットの配置が定められ、且つ、2つの互いに隣接するドットの配置が定められた画素のうちの一方は少なくとも往走査で記録が行われ、他方は少なくとも復走査で記録が行われることがわかる。
更に、図52(c4)と図31(c4)を比較するとわかるように、本実施形態によれば1つの画素群を構成する2つの画素においてシアンインクのドット、マゼンタインクのドットが1つずつ形成される場合、それらの2つのドットが同じ方向への走査で形成されることがわかる。以下、この点について図53を用いて詳細に説明する。
図53(a)はシアンインク、マゼンタインクともにレベル1の階調レベルであった場合に形成されるドットの位置と、それらのドットが形成される走査方向と、を説明するための図である。言い換えると、図53(a)中の往走査にてシアンドットが形成されている画素は図31(c4)にて縦線が引かれた画素に、復走査でシアンドットが形成されている画素は図31(c4)にて横線が引かれた画素に、往走査にてマゼンタドットが形成されている画素は図52(c4)にて縦線が引かれた画素に、復走査でマゼンタドットが形成されている画素は図52(c4)にて横線が引かれた画素にそれぞれ対応している。なお、ここでは右向きの矢印が記載されたドットが往走査で形成されるドットを、左向きの矢印が記載されたドットが復走査で形成されるドットをそれぞれ示している。
図53(a)からわかるように、1画素×2画素からなる600dpi×600dpiの画素群内の2つの画素に関し、一方の画素にはシアンドットが、他方の画素にはマゼンタドットが形成されている。更に、それらのシアンドットとマゼンタドットは同じ方向への走査で形成されている。
例えば、図53(a)の8画素×8画素の画素のうちの最も左上の画素群を構成する2つの画素では、最も左上の画素にてシアンインクが往方向への走査で形成され、最も左側であり上から二番目の画素にてマゼンタインクが往方向への走査で形成されている。また、例えば図53(a)の8画素×8画素の画素のうちの最も右上の画素群を構成する2つの画素では、最も右上の画素にてマゼンタインクが復方向への走査で形成され、最も右側であり上から二番目の画素にてシアンインクが復方向への走査で形成されている。
図53(b)は図53(a)の状態から復走査においてずれが生じ、復走査で形成されるドットがX方向の下流側に21.2μm(=1200dpi)だけずれた際に形成されるシアンドット、マゼンタドットの位置を示す図である。
図53(b)からわかるように、復走査でずれが生じた場合、参考例によるとドットの抜け(白部)がY方向に連続して生じてしまう。これにより、図49(b)に示す場合に比べて画質が低下してしまう。
図54はシアンインク、マゼンタインクともに階調レベルがレベル1である画像データが入力された場合に記録される画像を示す図である。
図54(a)は往走査、復走査にてシアンインクがずれなく重なった場合におけるドット配置を、また、図54(b)は往走査、復走査にてマゼンタインクがずれなく重なった場合におけるドット配置をそれぞれ示している。また、図54(c)は図54(a)、図54(b)に示すシアンインク、マゼンタインクのドットの配置がずれなく重なった場合におけるドット配置を示している。また、図54(d)は復走査においてX方向下流側に21.2um(=1200dpi)ずれて重なった場合のドット配置を、図54(e)は復走査においてX方向下流側に42.3um(=600dpi)ずれて重なった場合のドット配置をそれぞれ示している。なお、図54では図20と異なり、内部に縦線が引かれた円がシアンインクのドットを、内部に横線が引かれた円がマゼンタインクのドットをそれぞれ示している。
図54(c)、(d)、(e)からわかるように、参考例によると走査間のずれが大きくなるほどドットの抜け(白部)が目立つようになる。ここから、参考例によっては走査間の吐出ずれを十分に抑制できないことがわかる。
以上記載したように、本実施形態によれば複数種類のインクを用いる場合であっても走査間の吐出位置ずれを抑制した記録を行うことが可能となる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態について以下に詳細に説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
第1の実施形態に記載したマスクパターンおよび駆動順序によれば、1つの単位領域内での往復走査間の吐出位置ずれを抑制することはできる。
しかしながら、複数の単位領域の境界、例えば図8に示す単位領域211と単位領域212の境界にてスジムラが生じてしまう虞がある。
この問題について詳細に説明する。
なお、ここでは図25(a)~(d)に示すマスクパターンMP1A~MP4Aを用いる。
したがって、図8からわかるように、単位領域211には1パス目でマスクパターンMP1A、2パス目でマスクパターンMP2A、3パス目でマスクパターンMP3A、4パス目でマスクパターンMP4Aが用いられる。すなわち、往方向への走査でマスクパターンMP1AとMP3Aが用いられ、復方向への走査でマスクパターンMP2AとMP4Aが用いられる。
一方、単位領域212には2パス目でマスクパターンMP1A、3パス目でマスクパターンMP2A、4パス目でマスクパターンMP3A、5パス目でマスクパターンMP4Aが用いられる。すなわち、往方向への走査でマスクパターンMP2AとMP4Aが用いられ、復方向への走査でマスクパターンMP1AとMP3Aが用いられる。
つまり、単位領域211と単位領域212で異なる方向への走査からインク滴が配置されることになる。
この領域のうち、単位領域211上の形成画像と単位領域212上の形成画像の境界付近における時分割駆動まで考慮したドット配置を図55に示す。図55(a)は往走査でのドット配置、図55(b)は復走査でのドット配置、図55(c)は往走査および復走査が走査方向間のずれなく重なったドット配置を示す。同じ走査方向において同じノズルで配置されるドットのX方向間距離は42.3um(=600dpi)、第1駆動ブロックと第2駆動ブロックのX方向距離は2.65um(=9600dpi=600dpi÷16)である。縦線で塗りつぶされた箇所が往走査によって記録され、横線で塗りつぶされた箇所が復走査よって記録され、縦横格子線で塗りつぶされた箇所が往走査と復走査の両方によって記録されたことを示している。また、点線の矢印は図8の単位領域211上の形成画像と単位領域212上の形成画像の境界部分に対応する。図55(c)をみると境界部分においてドット間に隙間が生じ、その隙間がX方向に連続していることがわかる。
これは単位領域211上に画像を形成する場合と単位領域212上に画像を形成する場合において同じマスクパターンを使用しているが、異なる走査記録で画像を形成することになるので時分割駆動が異なり、単位領域211上の形成画像を形成するドット配置と単位領域212上の形成画像を形成するドット配置のY方向の周期が図55(c)の境界で乱れることで発生する。
例えば、すべての画素に画素値「1」の画像データが入力された場合、単位領域211内では論理和パターンMP1A+MP3Aにてコード値「1」が定められた画素がドット着弾位置が図18(b)に示すような位置となり、論理和パターンMP2A+MP4Aにてコード値「1」が定められた画素がドット着弾位置が図18(c)に示すような位置となるようにインクが吐出される。一方で、単位領域212内では論理和パターンMP2A+MP4Aにてコード値「1」が定められた画素がドット着弾位置が図18(b)に示すような位置となり、論理和パターンMP1A+MP3Aにてコード値「1」が定められた画素がドット着弾位置が図18(c)に示すような位置となるようにインクが吐出される。このように、Y方向に隣接する単位領域間で、同じ画素において時分割駆動におけるインクの着弾位置が異なってしまうために上述のスジムラが生じてしまうと考えられる。
なお、この図55(c)の画像からではわずかな差のように見えるが、実際の画像ではX方向のスジムラとして視認することができてしまう。
このスジムラを解消するため、本実施形態では、往走査から記録が開始される第1の単位領域と、復走査から記録が開始される第2の単位領域と、で用いるマスクパターンを異ならせる。
詳細には、本実施形態では、往走査から記録が開始される第1の単位領域(例えば単位領域211)に対応する画像データには、図25(a)~(d)に示すマスクパターンMP1A~MP4Aを適用する。一方、復走査から記録が開始される第2の単位領域(例えば単位領域212)に対応する画像データには、図56(a)~(d)に示すマスクパターンMP1B~MP4Bを適用する。
図56(a)~(d)はそれぞれ1~4回目の走査に対応するマスクパターンMP1B~MP4Bを示している。また、図56(e)は1、3回目の走査に対応するマスクパターンMP1B、MP3Bの論理和パターンMP1B+MP3Bを、図56(f)は2、4回目の走査に対応するマスクパターンMP2B、MP4Bの論理和パターンMP2B+MP4Bを、それぞれ示している。
ここで、図25(e)と図56(e)を比べるとわかるように、論理和パターンMP1B+MP3Bにおいてコード値「1」が割り当てられた画素には論理和パターンMP1A+MP3Aにおいてコード値「2」が割り当てられている。一方、論理和パターンMP1B+MP3Bにおいてコード値「2」が割り当てられた画素には論理和パターンMP1A+MP3Aにおいてコード値「1」が割り当てられている。このように、論理和パターンMP1B+MP3Bは論理和パターンMP1A+MP3Aを反転させたような形状となっている。
同様に、図25(f)と図56(f)を比べるとわかるように、論理和パターンMP2B+MP4Bにおいてコード値「1」が割り当てられた画素には論理和パターンMP2A+MP4Aにおいてコード値「2」が割り当てられている。一方、論理和パターンMP2B+MP4Bにおいてコード値「2」が割り当てられた画素には論理和パターンMP2A+MP4Aにおいてコード値「1」が割り当てられている。このように、論理和パターンMP2B+MP4Bは論理和パターンMP2A+MP4Aを反転させたような形状となっている。
以上記載したように、本実施形態では、単位領域ごとに図25(a)~(d)に示すマスクパターンMP1A~MP4Aと図56(a)~(d)に示すマスクパターンMP1B~MP4Bを切り替えて適用する。
このスジムラを解消するための本発明による画像形成する方法を次で示す。
図57は本発明による画像を形成する際の、記録媒体搬送と使用するノズル位置と走査方向の関係を示す模式図である。
1回目の記録走査(1パス)では、記録媒体3上の単位領域211に対して第1の記録素子群からインクが吐出される。ここで、1パス目はX方向の上流側から下流側に向かって(往方向に)行われる。単位領域211は往走査によって記録が開始される単位領域であるため、単位領域211に対応する画像データにはマスクパターンMP1A~MP4Aを用いる。1パス目は単位領域211に対する1回目の走査であるため、ここではマスクパターンMP1Aが用いられる。
次に、記録媒体3を記録ヘッド7に対してY方向の上流側から下流側にL/4の距離だけ相対的に搬送する。なお、ここでは簡単のため、記録ヘッド7を記録媒体3に対してY方向の下流側から上流側に搬送した場合を図示しているが、搬送後の記録媒体3と記録ヘッド7との相対的な位置関係は記録媒体3をY方向下流側へ搬送した場合と同じとなる。
この後に2回目の記録走査を行う。2回目の記録走査(2パス)では、記録媒体上の単位領域211に対しては第2の記録素子群から、単位領域212に対しては第1の記録素子群からインクが吐出される。なお、2パス目はX方向の下流側から上流側に向かって(復方向に)行われる。2パス目は単位領域211に対する2回目の走査であるため、第2の記録素子群に対応する画像データにはマスクパターンMP2Aが用いられる。一方、単位領域212は復走査によって記録が開始される単位領域であるため、単位領域212に対応する画像データにはマスクパターンMP1B~MP4Bを用いる。2パス目は単位領域212に対する1回目の走査であるため、第1の記録素子群に対応する画像データにはマスクパターンMP1Bが用いられる。
以下、記録ヘッド7の往復走査と記録媒体3の相対的な搬送を交互に繰り返して記録を完了させる。
図57に示したような記録方式にしたがって、単位領域ごとにマスクパターンMP1A~MP4AとマスクパターンMP1B~MP4Bとを切り替えながら適用する場合において、すべての画素において画素値が「1」の画像データが入力された場合に記録される画像について、図58を参照しながら説明する。
すべての画素において画素値が「1」である場合、マスクパターンMP1A~4AおよびマスクパターンMP1B~4Bのコード値「1」の場所にインクが吐出されることになる。すなわち、単位領域211に記録される画像においては、単位領域211に対する1回目の走査にて図25(a)、2回目の走査にて図25(b)、3回目の走査にて図25(c)、4回目の走査にて図25(d)のコード値「1」が割り当てられた画素、すなわち灰色で塗りつぶされた箇所にインクが吐出される。また単位領域212に記録される画像においては、単位領域212に対する1回目の走査にて図56(a)、2回目の走査にて図56(b)、3回目の走査にて図56(c)、4回目の走査にて図56(d)のコード値「1」が割り当てられた画素、すなわち灰色で塗りつぶされた箇所にインクが吐出される。
ここからわかるように、往走査によって記録が開始される単位領域211に関しては、単位領域211内の図25(e)に示す論理和パターンにてコード値「1」が定められた画素には、単位領域211に対する1、3回目の走査、すなわち往走査でインクが付与される。したがって、それらの画素における時分割駆動制御によるドットの着弾位置は図18(b)に示すような位置となる。また、単位領域211内の図25(f)に示す論理和パターンにてコード値「1」が定められた画素には、単位領域211に対する2、4回目の走査、すなわち復走査でインクが付与される。したがって、それらの画素における時分割駆動制御によるドットの着弾位置は図18(c)に示すような位置となる。
一方、復走査によって記録が開始される単位領域212に関しては、単位領域212内の図56(e)に示す論理和パターンにてコード値「1」が定められた画素には、単位領域212に対する1、3回目の走査、すなわち復走査でインクが付与される。したがって、それらの画素における時分割駆動制御によるドットの着弾位置は図18(c)に示すような位置となる。また、単位領域212内の図56(f)に示す論理和パターンにてコード値「1」が定められた画素には、単位領域212に対する2、4回目の走査、すなわち往走査でインクが付与される。したがって、それらの画素における時分割駆動制御によるドットの着弾位置は図18(b)に示すような位置となる。
ここで、図25(e)に示す論理和パターンと図56(f)に示す論理和パターンは互いに同じ位置においてコード値「1」が割り当てられている。したがって、ドットの着弾位置が図18(b)に示すような位置となるように時分割駆動を行う単位領域211、212内の画素を互いに同じ位置とすることができるのである。
同様に、図25(f)に示す論理和パターンと図56(e)に示す論理和パターンは互いに同じ位置においてコード値「1」が割り当てられている。したがって、ドットの着弾位置が図18(c)に示すような位置となるように時分割駆動を行う単位領域211、212内の画素を互いに同じ位置とすることができる
単位領域211上の形成画像と単位領域212上の形成画像の境界付近における時分割駆動まで考慮したドット配置を図58に示す。図58(a)は往走査でのドット配置、図58(b)は復走査でのドット配置、図58(c)は往走査および復走査が走査方向間のずれなく重なったドット配置を示す。同じ走査方向において同じノズルで配置されるドットのX方向間距離は42.3μm(=600dpi)、第1駆動ブロックと第2駆動ブロックのX方向距離は2.65μm(=9600dpi=600dpi÷16)である。同じ走査方向において同じノズルで配置されるドットのX方向間距離、第1ブロックと第2ブロックのX方向距離、縦線で塗りつぶされた箇所、横線で塗りつぶされた箇所、縦横格子線で塗りつぶされた箇所の説明は前述と同じである。また、点線の矢印は図58の単位領域211上の形成画像と単位領域212上の形成画像の境界部分に対応する。図58(c)をみると先ほどの図55(c)の境界部分で生じていたドット間の隙間が解消され、ドット配置のY方向の周期の乱れが抑えられる。
以上記載したように、往走査記録から始まる単位領域と復走査記録から始まる単位領域において、バンドAのうち+X方向(往方向)走査記録時に記録される画素とバンドBのうち-X方向(復方向)走査記録時に記録される画素とが反転した位置となるようなマスクパターンを切り替えて使用することにより、異なる走査方向から始まるバンド間の境界で発生するスジムラを抑制することができる。
(第7の実施形態)
上述したようなマスクパターンおよび駆動順序によれば、1つの単位領域内での往復走査間の吐出位置ずれを抑制することはできる。
しかしながら、マスクパターン部分を1組記憶しておき、それらのマスクパターン部分それぞれをオフセットすることで複数のマスクパターン部分を生成しても良い。ただし、このように複数のマスクパターン部分に基づいて1つのマスクパターンを生成する場合、マスクパターン部分の間で画質低下が生じる場合がある。
図59はマスクパターン部分の一例を示す図である。図59(a)~(d)はそれぞれ1~4回目の走査に対応するマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pを示している。また、図59(e)は1、3回目の走査に対応するマスクパターン部分MP1A_P、MP3A_Pの論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_Pを、図59(f)は2、4回目の走査に対応するマスクパターン部分MP2A_P、MP4A_Pの論理和パターン部分MP2A_P+MP4A_Pを、それぞれ示している。
ここで、図59(a)~(d)それぞれに示すマスクパターン部分は上述した条件を満たすものである。
図59からわかるように、本実施形態で使用するマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_PはY方向における画素数が16画素、X方向おける画素数が32画素の大きさを有している。
ここで、上述のように本実施形態における単位領域はY方向に32画素の大きさを有するため、Y方向におけるマスクパターンと単位領域の大きさを合わせるためには図59(a)~(d)それぞれに示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pと同じ大きさのマスクパターン部分をもう1つ適用する必要がある。
この際、図59(a)~(d)に示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_PそれぞれをY方向に2つ並べて適用することにより各走査に対応するマスクパターンとすると、そのマスクパターンのY方向上流側の半分とY方向下流側の半分は各コード値が割り当てられた画素が同じ形状にて存在することになる。したがって、そのマスクパターンを用いて生成した記録データによる単位領域内のドット配置がY方向上流側の半分とY方向下流側の半分とで似通ったものとなってしまう。これにより、単位領域内に記録される画像においてマスクパターン部分の各コード値が割り当てられた画素の配置に応じたむらが視認され易くなり、画質の低下に繋がってしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、マスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pそれぞれをオフセットすることによりマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを生成し、マスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pとマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_PをY方向に並べて適用することにより各走査に対応するマスクパターンを生成する。
ここで、本実施形態では、マスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを生成するために、論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_P、MP2A_P、MP4A_Pそれぞれにおける各コード値が割り当てられた画素の形状の周期の倍数に相当する量だけX方向、Y方向それぞれにオフセットする。
図59(e)、(f)それぞれに示す論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_P、MP2A_P、MP4A_Pでは、X方向に関しては2画素ごとに、Y方向に関しては8画素ごとに各コード値が割り当てられた画素が周期的に配置されていることがわかる。例えば、図59(e)に示す論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_Pでは、例えばY方向下流側端部では、X方向上流側端部からコード値「1」が割り当てられた画素、コード値「2」が割り当てられた画素という順番でX方向下流側に向かって配置されている。ここから、X方向に関しては2画素ごとに各コード値が割り当てられた画素が周期的に配置されている、すなわち各コード値が割り当てられた画素の形状のX方向における周期が2画素であることが推察できる。
また、例えば図59(e)に示す論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_Pでは、例えばX方向上流側端部では、Y方向下流側端部からコード値「1」が割り当てられた画素、コード値「1」が割り当てられた画素、コード値「1」が割り当てられた画素、コード値「1」が割り当てられた画素、コード値「2」が割り当てられた画素、コード値「2」が割り当てられた画素、コード値「2」が割り当てられた画素、コード値「2」が割り当てられた画素という順番でY方向上流側に向かって配置されている。ここから、Y方向に関しては8画素ごとに各コード値が割り当てられた画素が周期的に配置されている、すなわち各コード値が割り当てられた画素の形状のY方向における周期が8画素であることが推察できる。
したがって、本実施形態では、マスクパターン部分MP1A_P~MP4A_PのそれぞれをX方向に2×p(pは整数)画素、Y方向に8×q(qは整数)画素だけオフセットし、マスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを生成する。
図60はマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを示す図である。図60(a)~(d)はそれぞれ1~4回目の走査に対応するマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを示している。また、図60(e)は1、3回目の走査に対応するマスクパターン部分MP1B_P、MP3B_Pの論理和パターン部分MP1B_P+MP3B_Pを、図60(f)は2、4回目の走査に対応するマスクパターン部分MP2B_P、MP4B_Pの論理和パターン部分MP2B_P+MP4B_Pを、それぞれ示している。
図60(a)~(d)からわかるように、本実施形態におけるマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pは、図59(a)~(d)に示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_PをX方向上流側に8(=2×4)画素、Y方向下流側に8(=8×1)画素だけオフセットした形状となっている。
例えば、図59(a)に示すマスクパターン部分MP1A_P内のX方向上流側から9画素目、Y方向下流側から12画素目の画素にはコード値「1」が割り当てられている。したがって、図60(a)に示すマスクパターンMP1B_P内のX方向上流側から9画素目、Y方向下流側から12画素目の画素からX方向上流側に8画素、Y方向下流側に8画素だけオフセットされた画素、すなわちX方向上流側から1画素目、Y方向下流側から4画素目の画素にもまたコード値「1」が割り当てられている。
なお、図59、図60に示すマスクパターンにおいてX方向下流側端部とX方向上流側端部は隣接しており、且つ、Y方向下流側端部とY方向上流側端部もまた隣接していると考える。したがって、例えばX方向上流側端部からX方向上流側に1画素オフセットした位置はX方向下流側端部であると考える。同様に、Y方向上流側端部からY方向上流側に1画素オフセットした位置はY方向下流側端部であると考える。
例えば、図59(a)に示すマスクパターン部分MP1A_P内のX方向上流側から1画素目、Y方向下流側から5画素目の画素にはコード値「2」が割り当てられている。したがって、図60(a)に示すマスクパターンMP1B_P内のX方向上流側から1画素目、Y方向下流側から5画素目の画素からX方向上流側に8画素、Y方向下流側に8画素だけオフセットされた画素、すなわちX方向下流側から8画素目、Y方向上流側から4画素目の画素にもまたコード値「2」が割り当てられている。
同様にして、図60(b)に示すマスクパターンMP2B_Pは、図59(b)に示すマスクパターンMP2A_PをX方向上流側に8画素、Y方向下流側に8画素だけオフセットした形状となっている。また、図60(c)に示すマスクパターンMP3B_Pは、図59(c)に示すマスクパターンMP3A_PをX方向上流側に8画素、Y方向下流側に8画素だけオフセットした形状となっている。更に、図60(d)に示すマスクパターンMP4B_Pは、図59(d)に示すマスクパターンMP4A_PをX方向上流側に8画素、Y方向下流側に8画素だけオフセットした形状となっている。
上述のように、本実施形態では論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_P、MP2A_P、MP4A_Pそれぞれにおける各コード値が割り当てられた画素の形状の周期の倍数に相当する量だけマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pをオフセットしてマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pとする。したがって、図60(e)に示す論理和パターン部分MP1B_P+MP3B_Pは図59(e)に示す論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_Pと、図60(f)に示す論理和パターン部分MP2B_P+MP4B_Pは図59(f)に示す論理和パターン部分MP2A_P+MP4A_Pとそれぞれ同じ形状となる。
本実施形態におけるマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_P、MP1B_P~MP4B_Pの適用方法を図61を参照しながら説明する。
本実施形態では、各走査において、第1~第4の記録素子群のそれぞれをY方向に分割し、第1~第4の記録素子群のY方向下流側の半分の記録素子に対応する画像データに図59(a)~(d)に示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pを適用し、第1~第4の記録素子群のY方向上流側の半分の記録素子に対応する画像データに図60(a)~(d)に示すマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを適用する。したがって、第1~第4の記録素子群に対応する画像データに対して図62(a)~(d)に示すマスクパターンを適用するのと同様の記録データを生成可能である。なお、図62(a)~(d)に示すマスクパターンは1~4回目の走査に対応するマスクパターンであって、図59(a)~(d)に示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_PのY方向上流側端部と図60(a)~(d)に示すマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_PのY方向下流側端部を繋げたものである。
図59に示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pと図60に示すマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを用い、往走査、復走査ともに図63(a)に示す駆動順序で時分割駆動を行った際に記録される画像を図64に示す。なお、図63(b)は図63(a)に示す駆動順序にしたがって往走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。また、図63(c)は図63(a)に示す駆動順序にしたがって復走査を行いながら記録素子No.1~No.16を駆動した際に形成されるドットの様子を示す模式図である。
図64(a)は往走査でのドット配置、図64(b)は復走査でのドット配置、図64(c)は往走査および復走査が走査方向間のずれなく重なったドット配置を示す。同じ走査方向において同じノズルで配置されるドットのX方向間距離は42.3μm(600dpi相当)、第1駆動ブロックと第2駆動ブロックのX方向距離は2.65μm(9600dpi=600dpi÷16相当)である。縦線で塗りつぶされた箇所が往走査によって記録され、横線で塗りつぶされた箇所が復走査よって記録され、縦横格子線で塗りつぶされた箇所が往走査と復走査の両方によって記録されたことを示している。
図64(c)からわかるように、本実施形態によればマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pによって生成された記録データにしたがって記録された領域と、マスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pによって生成された記録データにしたがって記録された領域と、の間でドット配置のY方向の周期の乱れはなく、境界部にも特に隙間が出ないようにドットを配置することができる。
(比較例)
次に、論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_P、MP2A_P、MP4A_Pそれぞれにおける各コード値が割り当てられた画素の形状の周期の倍数ではない数に相当する量だけX方向、Y方向それぞれにオフセットして生成されたマスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pを用いた場合について説明する。
上述のように、論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_P、MP2A_P、MP4A_PのX方向の周期は2画素、Y方向の周期は8画素である。したがって、比較例ではマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_PのそれぞれをX方向上流側に3(≠2×p)画素、Y方向下流側に3(≠2×q)画素だけオフセットして生成されたマスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pを適用する。
図65はマスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pを示す図である。図65(a)~(d)はそれぞれ1~4回目の走査に対応するマスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pを示している。また、図65(e)は1、3回目の走査に対応するマスクパターン部分MP1C_P、MP3C_Pの論理和パターン部分MP1C_P+MP3C_Pを、図65(f)は2、4回目の走査に対応するマスクパターン部分MP2C_P、MP4C_Pの論理和パターン部分MP2C_P+MP4C_Pを、それぞれ示している。
図65(e)と図59(e)を比較するとわかるように、論理和パターン部分MP1C_P+MP3C_Pは論理和パターンMP1A_P+MP3A_Pと異なる形状となる。これは、マスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pを生成するためのオフセットの量を論理和パターン部分MP1A_P+MP3A_Pの各コード値が割り当てられた画素の形状の周期の倍数としなかったためである。これにより、マスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pにより形成されるドット配置はマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pにより形成されるドット配置と異なるものとなる。
図59に示すマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pと図65に示すマスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pを用い、往走査、復走査ともに図63(a)に示す駆動順序で時分割駆動を行った際に記録される画像を図66に示す。
図66(a)は往走査でのドット配置、図66(b)は復走査でのドット配置、図66(c)は往走査および復走査が走査方向間のずれなく重なったドット配置を示す。同じ走査方向において同じノズルで配置されるドットのX方向間距離は42.3μm(600dpi相当)、第1駆動ブロックと第2駆動ブロックのX方向距離は2.65μm(9600dpi=600dpi÷16相当)である。縦線で塗りつぶされた箇所が往走査によって記録され、横線で塗りつぶされた箇所が復走査よって記録され、縦横格子線で塗りつぶされた箇所が往走査と復走査の両方によって記録されたことを示している。
図66(c)からわかるように、比較例によればマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pによって生成された記録データにしたがって記録された領域と、マスクパターン部分MP1C_P~MP4C_Pによって生成された記録データにしたがって記録された領域と、の間でドット配置のY方向の周期の乱れが生じ、境界部でX方向に沿って延びる隙間が生じてしまう。この隙間が形成される画像においてスジとして視認されてしまう虞がある。
以上記載したように、本実施形態では1組の第1のマスクパターン部分を記憶しておき、一方の走査に対応する第1のマスクパターン部分の論理和により得られる第1の論理和パターンの各コード値が割り当てられた画素の配置の周期の整数倍だけ第1のマスクパターン部分をオフセットすることにより第2のマスクパターン部分を生成する。これにより、第1の論理和パターンの形状と、一方の走査に対応する第2のマスクパターン部分の論理和により得られる第2の論理和パターンの形状と、を同じくすることができる。これにより、マスクパターン部分間で画質が低下することなく画像を記録することができる。
なお、マスクパターンのY方向における周期が時分割駆動制御の駆動ブロックの数の約数に相当することが好ましい。
また、異なるマスクパターン部分MP1A_P~MP4A_P、マスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを各記録素子群内の異なる領域に別々に適用する形態について記載したが、マスクパターン部分MP1A_P~MP4A_Pとマスクパターン部分MP1B_P~MP4B_Pを用いて図62に示すようなマスクパターンを生成し、生成されたマスクパターンを各記録素子群に適用しても良い。
以上に説明した各実施形態では、単位領域に対して往走査と復走査を行う場合において往走査と復走査の間の吐出位置ずれを抑制する形態について記載した。したがって、復走査時の駆動順序が往走査時の駆動順序の逆順と異なる必要があり、その上で往走査時の駆動順序をオフセットした順序の逆順と異なることが好ましく、更に往走査時の駆動順序と同じ順序であることがより好ましいと記載した。
しかしながら本発明は上記のような形態に限られるものではなく、単位領域に対して片方向への走査のみで複数回記録を行う場合において、第1の種類の走査と第2の種類の走査の間の吐出位置ずれを抑制することも可能である。例えば、第1の種類の走査を複数回の走査のうちの前半の走査、第2の種類の走査を複数回の走査のうちの後半の走査とした場合、前半の走査と後半の走査の間の吐出位置ずれを抑制することができる。この場合、第2の種類の走査時の駆動順序が第1の種類の走査時の駆動順序と異なる必要があり、その上で第1の種類の走査時の駆動順序をオフセットした順序と異なることが好ましく、更に第1の種類の走査時の駆動順序の逆順であることがより好ましい。
これは、図11等を用いて説明したように、同じ駆動順序で往復走査を行った際には時分割駆動制御における各駆動ブロックからのインクの着弾位置は互いに反転した位置となり、同じ駆動順序で片方向走査を行った際には時分割駆動制御における各駆動ブロックからのインクの着弾位置は互いに同じ位置となるためである。ここから、例えば片方向走査を行う場合に第2の種類の走査時の駆動順序を第1の種類の走査時の駆動順序の逆順として時分割駆動を行った際における各駆動ブロックからのインクの着弾位置と、往復走査を行う場合に復走査時の駆動順序を往走査時の駆動順序と同じ順序として時分割駆動した際における各駆動ブロックからのインクの着弾位置と、が互いに同じ位置となることがわかる。
また、以上に説明した各実施形態では、各画素に対するインクの吐出の許容回数を示す複数ビットの情報から構成され多値のマスクパターンを用いる形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、各画素に対するインクの吐出の許容または非許容を示す1ビットの情報から構成される2値のマスクパターンを用いても良い。この場合、往走査に対応するマスクパターンから得られる第1の論理和パターンと復走査に対応するマスクパターンから得られる第2の論理和パターンに関し、第2の論理和パターンにて記録の許容が定められた画素のうち、第1の論理和パターンにて記録の許容が定められた画素とX方向における両側に隣接する画素が、第1の論理和パターンにて記録の許容が定められた画素とX方向に隣接しない画素よりも多くなるように、複数のマスクパターンが定められていれば良い。
また、以上に説明した各実施形態では、単位領域に対して往走査と復走査を2回ずつ行う形態、および単位領域に対して往走査と復走査の一方を2回、他方を1回ずつ行う形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。すなわち、単位領域に対してK(K≧1)回の往走査とL(L≧1)回の復走査を行う形態であれば本発明を適用することができる。この場合には、往走査用のマスクパターンをK個、復走査用のマスクパターンをL個用いれば良い。
また、以上で説明した各実施形態では、1画素当たり2ビットの情報から構成され、0、1、2回のいずれかの吐出回数を定める画像データと、1画素当たり2ビットの情報から構成され、0、1、2回のいずれかの許容回数を定めるマスクパターンと、を用いて記録データを生成する形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。1画素当たり3ビット以上の情報から構成される画像データ、マスクパターンを用いても良い。画像データ、マスクパターンを構成する1画素当たりの情報がnビットである場合、最大で(2^n)通りのインクの吐出回数、許容回数を定めることが可能である。
例えば、1画素当たり3ビット以上の情報から画像データ、マスクパターンが構成される場合について記載する。すなわち、画像データ、マスクパターンを構成する3ビットの情報は「000」、「001」、「010」、「011」、「100」、「101」、「110」、「111」のいずれかとなる。
ここで、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「000」である場合、画素値は「0」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は0回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「001」である場合、画素値は「1」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は1回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「010」である場合、画素値は「2」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は2回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「011」である場合、画素値は「3」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は3回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「100」である場合、画素値は「4」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は4回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「101」である場合、画素値は「5」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は5回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「110」である場合、画素値は「6」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は6回であるとする。また、ある画素において画像データを構成する3ビットの情報が「111」である場合、画素値は「7」、すなわちその画素に対するインクの吐出回数は7回であるとする。
一方、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「000」である場合、コード値は「0」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は0回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「001」である場合、コード値は「1」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は1回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「010」である場合、コード値は「2」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は2回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「011」である場合、コード値は「3」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は3回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「100」である場合、コード値は「4」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は4回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「101」である場合、コード値は「5」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は5回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「110」である場合、コード値は「6」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は6回であるとする。また、ある画素においてマスクパターン構成する3ビットの情報が「111」である場合、コード値は「7」、すなわちその画素に対するインクの吐出の許容回数は7回であるとする。
上記記載したようなルールを定めたデコードテーブルを図46に示す。例えば、コード値「1」が割り当てられた画素は画素値が「0」~「6」の場合にはインクの非吐出を定め、且つ、画素値が「7」の場合にはインクの吐出を定める記録データを生成する。また、例えば、コード値「7」が割り当てられた画素は画素値が「0」の場合にはインクの非吐出を定め、且つ、画素値が「1」~「7」の場合にはインクの吐出を定める記録データを生成する。
ここで、低濃度の画像、例えば画像データの画素値が「1」である場合であってもインクの吐出を定めるのは、マスクパターン内のインクの吐出の許容回数が最大であるコード値「7」が割り当てられた画素である。したがって、各画素当たり3ビットの情報から構成される画像データ、マスクパターンを用い、図46に示すようなデコードテーブルを用いる場合において本発明の効果を得るためには、マスクパターン内のコード値「7」が割り当てられた画素に着目する。詳細には、往走査用のマスクパターンにてコード値「7」が割り当てられた所定の画素のうち、復走査用のマスクパターンにてコード値「7」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接する所定の画素が、復走査用のマスクパターンにてコード値「7」が割り当てられた画素がX方向における両側に隣接しない所定の画素よりも多くなるように定められたマスクパターンを用いれば良い。また、画像データの画素値が「1」である場合にはインクの非吐出が定められるものの「2」である場合にインクの吐出が定められるコード値「6」が割り当てられた画素や、画像データの画素値が「1」、「2」である場合にはインクの非吐出が定められるものの「3」である場合にインクの吐出が定められるコード値「5」が割り当てられた画素も、比較的低濃度の画像記録時にインクの吐出を定める画素であるため、コード値「7」が割り当てられた画素と同じ条件で配置が定められていることが好ましい。
また、以上に説明した各実施形態では、単位領域に対する複数回の走査と走査の間に記録媒体の搬送を介在させながら記録を行う形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。すなわち、記録媒体の搬送を行うことなく単位領域に対する複数回の走査を行って記録を行う形態であっても良い。
また、本発明はサーマルジェット型のインクジェット記録装置に限定されるものではない。例えば圧電素子を利用してインクの吐出を行ういわゆるピエゾ型のインクジェット記録装置等、様々な記録装置に対して有効に適用できる。
また、各実施形態には記録装置を用いた記録方法について記載したが、各実施形態に記載の記録方法を行うためのデータを生成する画像処理装置または画像処理方法、プログラムを記録装置とは別体に用意する形態にも適用できる。また、記録装置の一部に備える形態にも広く適用できることは言うまでもない。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含む。
さらに、「インク」とは、記録媒体上に付与されることで、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。