以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字および図形等の有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また、「記録」とは、人間が視覚によって知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、およびパターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、ビニール、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。さらに、「記録素子」(「ノズル」という場合もある)とは、特にことわらない限り、吐出口、これに連通する液路、およびインクの吐出に利用されるエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を総括していうものとする。
(第1の実施形態)
図1から図8は、本発明の第1の実施形態を説明するための図であり、まずは、図1から図5を用いて、記録装置の基本構成について説明する。
(記録装置の基本構成)
図1(a)は、インクジェット記録装置(記録装置)の構成例を説明するための斜視図、図1(b)は、図1(b)は、図1(a)におけるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)の断面図、図1(c)は、記録装置における制御系のブロック図である。
4つのインクカートリッジ101は、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクを収容し、記録ヘッド102は、それらのインクを記録媒体Pに向かって吐出することによって、ドットを形成可能である。搬送ローラ103と補助ローラ104は、記録媒体Pを抑えながら図中の矢印の方向に回転することにより、白色の記録媒体Pを+Y方向(副走査方向)に搬送する。給紙ローラ105は、記録媒体Pを給送する共に、搬送ローラ103および補助ローラ104と同様に、記録紙Pを抑える役割も果たす。キャリッジ106は、インクカートリッジ101と記録ヘッド102を搭載して、画像の記録動作時に±X方向(主走査方向)に移動する。キャリッジ106は、非記録動作時および記録ヘッド102の回復動作時などにおいては、図1(a)中点線の位置(ホームポジション)hにて待機する。プラテン107は、記録媒体Pを記録位置に安定的に支える。キャリッジベルト108は、キャリッジ106を±X方向に移動させる移動力を伝達し、キャリッジシャフト109は、キャリッジ106を矢印±X方向に移動自在に支える。
図1(c)において、CPU100は、本記録装置の動作の制御処理およびデータ処理等を実行する。ROM111は、それらの処理を実行するためのプログラムが格納され、RAM112は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。CPU100がヒータの駆動データ(画像データ)および駆動制御信号(ヒートパルス信号)をヘッドドライバ102Aに供給することにより、記録ヘッド102からインクが吐出される。CPU100は、モータドライバ113Aを介して、キャリッジ106を主走査方向に移動させるためのキャリッジモータ113を制御し、またモータドライバ114Aを介して、記録媒体Pを+Yに搬送するための搬送モータ114を制御する。
本例の記録装置は、記録ヘッド102がインクを吐出しつつキャリッジ106と共に±X方向に移動する記録走査と、+Y方向の記録媒体Pの搬送と、を交互に繰り返すことによって、記録媒体Pに画像を記録する。
図2(a)は、記録ヘッド102をZ方向から見たときの平面図であり、図2(b)は、記録ヘッド102の吐出口部分の拡大図である。記録ヘッド102には、吐出口列L(Lk,Lc,Lm,Ly)が形成されている。吐出口列Lkからはブラックインクが吐出され、吐出口列Lcからはシアンインクが吐出され、吐出口列Lmからはマゼンタインクが吐出され、吐出口列Lyからはイエローインクが吐出される。吐出口列Lには、図2(b)のように複数の吐出口201が配列されている。
本例の吐出口201は、吐出するインク滴の量が2plであり、600dpi間隔でY方向(所定方向)に256個配列されている。吐出口201の直下(+Z方向)には、電気熱変換素子(ヒータ)またはピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子が配備されている。本例の場合は、吐出エネルギー発生素子としてヒータが用いられており、その発熱によってインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して、吐出口201からインクを吐出させる。
このように多数の吐出口201が配列された記録ヘッド102を用いた記録装置においては、電源の小容量化を図る方法として、吐出口201のそれぞれに対応する複数のヒータを複数のセクション(グループ)に分けて時分割駆動する方法がある。例えば、吐出口201のそれぞれに対応する256個のヒータを16のグループに分け、そのグループ毎に駆動タイミングを少しずつずらす。このような時分割駆動により、同時に駆動されるヒータの数を減らして、記録装置における電源の容量を小さく抑えることができる。
図3は、吐出口列Lと、ヒータに印加される駆動信号と、吐出口201から吐出されたインク滴と、の関係の説明図である。ノズルは、吐出口201、これに連通する液路、およびヒータ(吐出エネルギー発生素子)を含む。1つの吐出口列(「ノズル列」または「記録素子列」ともいう)Lにおけるノズルの数は吐出口201に対応する256個であり、後述するように、それぞれのノズルにノズル番号1から256を付す。これらの256個のノズルは、16ノズルずつの16セクション(第1セクションから第16セクション)に分けられる。各セクション内の16ノズルは、16の駆動ブロック(第1ブロックB1から第16ブロックB16)うちの1つに属しており、記録動作時には、ブロック単位で時分割駆動される。256個のノズルの内、同じ駆動ブロックに属するものは同時に駆動される。具体的には、それぞれのノズルにおけるヒータに、ブロック単位でパルス状の駆動信号301が印加されることによって、それぞれのノズルが時分割駆動される。これにより、それぞれのノズルにおける吐出口201からインク滴302が吐出される。
本例の場合は、256個のノズルに対して、Y方向の下流側のものにノズル番号1を付し、Y方向の上流側に向かうにしたがってノズル番号2,3,・・・,256を付した。第1セクションにおけるノズル番号1,2,3,……,16の16個のノズルは、それぞれ第1ブロックB1,第2ブロックB2,第3ブロックB3,・・・第16ブロックB16に属する。また、第2セクションにおけるノズル番号17,18,19,……,32の16個のノズルは、それぞれ第1ブロックB1,第2ブロックB2,第3ブロックB3,・・・第16ブロックB16に属する。他のセクション内のノズルも同様であり、第16セクションにおけるノズル番号241,242,243,……,256の16個のノズルは、それぞれ第1ブロックB1,第2ブロックB2,第3ブロックB3,・・・第16ブロックB16に属する。第1から第16セクションに対応する数(16)の整数(0から15)を“a”とした場合、ノズル番号が(16×a+1)のノズルが第1ブロックB1に属し、ノズル番号が(16×a+2)のノズルが第2ブロックB2に属する。他のノズル番号のノズルに関しても同様である。すなわち、ノズル番号が(16×a+b)のノズルが第bブロックBbに属する。このようにように、各セクション内のノズルは、周期的に第1ブロックB1から第16ブロックB16に対応する。
図3の例において、それぞれのセクション内のノズルは、ブロックB1,B5,B9,B13,B2,B6,B10,B14,B3,B7,B11,B15,B4,B8,B12,B16に属するものの順に駆動される。このようなブロックB1から図16の駆動順序は記録装置内のROM111(図1(c))に記憶されており、ヒータは、その駆動順序にしたがって所定の間隔で出力されるブロック選択信号と、記録データと、の論理積に対応する駆動信号に基づいて駆動される。
図4は、画像データの処理過程を説明するためのフローチャートである。
まずは、デジタルカメラまたはスキャナなどの画像入力機器、あるいはコンピュータなどから、RGBのそれぞれが256階調(0〜255)の原画像信号を600dpiの解像度で入力する(ステップS1)。RGBの原画像信号は、色変換処理AによってR’G’B’信号へ変換され(ステップS2)、そのR’G’B’信号は、色変換処理Bによって各色のインクに対応する信号値に変換される(ステップS3)。本例においては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクに対応するデータC1、M1、Y1、K1に変換される。データC1、M1、Y1、K1のそれぞれは、階調数が256(0〜255)、解像度が300dpiである。具体的に、色処理Bにおいては、R、G、Bの各入力値と、C、M、Yの各出力値と、を関係付ける三次元ルックアップテーブル(不図示)を使用する。テーブルの格子点の値から外れる入力値については、その周囲のテーブルの格子点の出力値を補間して出力値を求める。以下、データC1、M1、Y1、K1のうち、データC1を代表して説明する。
データC1は、階調補正テーブルを用いて階調補正される(ステップS4)。データC1の階調補正後のデータをデータC2とする。データC2に対して、誤差拡散法による量子化処理を行うことによって、2階調(階調レベル0、1)であって解像度が300dpi×300dpiのデータC3(「階調データ」ともいう)を得る(ステップS5)。量子化処理には、誤差拡散法の他、ディザ法を用いてもよい。階調データC3は、解像度変換処理テーブルを用いて解像度変換される(ステップS6)。解像度変換後のデータを画像データC4とする。画像データC4は、ドットの配置数および配備位置を定めたドット配置パターンに基づいて、「0」、「1」の2階調に展開される。具体的に、画像データC4は、600dpi×600dpiの解像度において、「0」、「1」の1ビット情報により構成される。画像データC4の解像度(600dpi×600dpi)は、データC3の解像度(300dpi×300dpi)よりも高くなる。
このような画像データC4に対して分配処理を行うことにより、各記録走査において、各画素領域に対するシアンインクの吐出または非吐出に対応する記録データC5を生成する(ステップS7)。同様に、マゼンタインク用の記録データM5、イエローインク用の記録データY5、ブラックインク用の記録データK5も生成される。記録データC5、M5、Y5、K5が記録ヘッド102に送信されることにより(ステップS8)、それらの記録データにしたがって、記録ヘッド102からシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクが吐出される(ステップS9)。
図5は、記録動作時における記録媒体と使用ノズルとの関係の説明図である。図5においては、ブラックインク用の吐出口列Lkを代表的に説明する。他の吐出口列Lc,Lm,Lyについても同様である。本例において採用するマルチパス記録方式は、記録媒体上の所定領域(A1,A2,A3)の画像を記録ヘッド102の2回の走査によって完成させる2パス記録方式である。記録ヘッド102は、ノズルの配列方向と交差(本例の場合は、直交)する第1方向(+X方向)、および第1方向と反対の第2方向(−X方向)に移動する。
まず、第1走査において、キャリッジ106と共に記録ヘッド102を+X方向(往路方向)に移動させつつ、ノズル番号1から128のノズルを使用して、領域A1に画像を記録する(往路記録)。この第1走査後に、記録媒体Pを128ノズル分、+Y方向に搬送する。図5においては、説明の便宜上、記録ヘッド102が−Y方向に移動するように表している。第2走査においては、キャリッジ106と共に記録ヘッド102を−X方向(復路方向)に移動させつつ、ノズル番号1から256のノズルを使用して、領域A1,A2に画像を記録する(復路記録)。この第2走査後に、記録媒体Pを128ノズル分、+Y方向に搬送する。第3走査においては、キャリッジ106と共に記録ヘッド102を+X方向(往路方向)に移動させつつ、ノズル番号1から256のノズルを使用して、領域A2,A3に画像を記録する(往路記録)。この第3走査後に、記録媒体Pを128ノズル分、+Y方向に搬送する。第4走査においては、キャリッジ106と共に記録ヘッド102を−X方向(復路方向)に移動させつつ、ノズル番号129から256のノズルを使用して、領域A3に画像を記録する(復路記録)。その後、記録媒体Pを+Y方向に排出して記録動作を終了する。
(特徴的な構成)
次に、図6から図9に基づいて、本発明の第1の実施形態の特徴的な構成について説明する。
図6は、本実施形態における解像度変換処理(ステップS6)によって変換される画像データの説明図である。図6(a)中左側の階調値「0」の階調データ(300dpi)は、同図中右側の画像データ(600dpi)に変換され、その画像データにおける各画素領域に「0」が入る。図6(b)中左側の階調値「1」の階調データ(300dpi)は、同図中右側の画像データ(600dpi)に変換され、その画像データにおける各画素領域に「1」が入ってドットが形成される。
図7は、画像データとマスクパターンを用いて、記録データを生成する過程の説明図である。図7(a)は、ある単位領域内の16個の画素600から615を模式的に表す図である。本例においては、説明の便宜上、16個の画素からなる単位領域を用いて説明する。図7(b)は、単位領域に対応する画像データを示す。図7(b)の画像データにおいて、例えば、画素700における画素値は「1」であるため、画素700に対してインクが吐出される。図7(b)の画像データによれば、単位領域内の全画素に対してインクが吐出される。図7(c−1),(c−2)は、2パス記録方式における1回目の走査と2回目の走査に対応する第1および第2のマスクパターンの説明図である。図7(b)の画像データに対して、図7(c−1)の第1のマスクパターンを適用することにより、1回目の走査において用いる記録データを生成する。同様に、図7(b)の画像データに対して、図7(c−2)の第2のマスクパターンを適用することにより、2回目の走査において用いる記録データを生成する。第1および第2のマスクパターン内の各画素には、「0」または「1」のいずれかの1ビット情報が設定されている。
図7(d−1)は、図7(b)の画像データに対して、図7(c−1)の第1のマスクパターンを適用して生成される第1の記録データの説明図である。図7(d−2)は、図7(b)の画像データに対して、図7(c−2)の第1のマスクパターンを適用して生成される第2の記録データの説明図である。例えば、1回目の走査に対応する第1の記録データ(図7(d−1))の画素600においては、画像データの画素値が「1」、第1のマスクパターンのコード値が「1」であるため、インクの吐出(「1」)が定められる。このようにして生成された第1および第2の記録データに基づいて、1回目および2回目の走査においてインクが吐出される。例えば、1回目の走査においては、図7(d−1)の第1の記録データに基づいて、画素700,702,705,707,708,710,713,715に対する記録媒体上の画素領域にインクが吐出される。
図7(e)は、第1および第2の記録データの論理和に対応する記録データであり、図7(b)の画像データの画素値「1」に対応する部分にインクが吐出されることになる。このように、画像データおよびマスクパターンに基づいて、複数回の走査のそれぞれにおいて用いる1ビットの記録データを生成することができる。
図8(a)は、1つのノズル列(例えば、ブラックインク用のノズル列)における往路記録時および復路記録時の駆動ブロック(ブロックB1からブロックB16)の駆動順序の説明図である。図8(a)中の2列目および3列目において括弧無しで示された数字は、往走査および復走査それぞれにおいて、図8(a)中の1列目に示された駆動順序にしたがって駆動される駆動ブロックを示す。た、図8(a)中の3列目において括弧付きで示された数字は、復走査におけるドットの形成位置のずれ量を示す。往路記録時においては、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動されてから、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動される(第1順序)。すなわち、ブロックB1,B3,B5,・・・,B15の駆動順序は、1番から8番の前半であり、ブロックB2,B4,B6,・・・,B16の駆動順序は、9番から16番の後半である。
一方、復路記録時においては、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動されてから、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動される(第2順序)。すなわち、ブロックB2,B4,B6,・・・,B16の駆動順序は、1番から8番の前半であり、ブロックB1,B3,B5,・・・,B15の駆動順序は、9番から16番の後半である。
本実施形態では、特許文献1に記載されているように、復走査における時分割駆動の駆動順序は、往走査における時分割駆動の駆動順序の逆順と異なる順序に設定する。これにより、往走査と復走査との間にて、走査方向におけるドットの形成位置のずれが発生した場合であっても、そのようなずれが生じていない場合と比較して、ドットの被覆面積、すなわち濃度の変化の程度を抑えることができる。
本例の2パス記録方式においては、図7(d−1),(d−2)のように2分された第1および第2の記録データを用いる。すなわち、第1の記録データに基づく往路記録(往走査)と、第2の記録データに基づく復走査)と、によって、それぞれの矢印Y方向に延在するカラム(カラム領域)を記録する。
図8(b)は、カラム毎における駆動ブロックの駆動タイミングの説明図、図8(c)は、インクのドットの形成位置の説明図、図9は、図8(c)の一部の拡大図である。+X方向に沿って、第1カラム、第2カラム、第3カラム、・・・が位置する。図9においては、説明の便宜上、往走査時に形成されるドットD1をカラムの基準として説明する。
奇数カラム(第1カラム,第3カラム,・・・)は、往走査時に駆動される奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルと、復走査時に駆動される偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルと、の両方によって記録される。偶数カラム(第2カラム,第4カラム,・・・)は、往走査時に駆動される偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルと、復走査時に駆動される奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルと、の両方によって記録される。
奇数カラムにおいては、記録ヘッドが+X方向に移動する往走査時に、奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルによって奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15が形成される。これらの奇数ドットは、図9のように、それらに対応するノズルの駆動タイミングが遅いほど+X方向にずれる。さらに、これらの奇数ドットは、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が1番から8番の前半であるため、図9中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。また、奇数カラムに対しては、記録ヘッドが−X方向に移動する復走査時に、偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルによって偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16が形成される。これらの偶数ドットは、図9のように、それらに対応するノズルの駆動タイミングが遅いほど−X方向にずれる。さらに、これらの偶数ドットは、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が1番から8番の前半であるため、図9中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。
このように奇数カラムは、図9中の左側寄りに位置する奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15と、同図中に右側寄りに位置する偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16と、の組み合わせによって記録される。
一方、偶数カラムにおいては、記録ヘッドが+X方向に移動する往走査時に、偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルによって偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16が形成される。これらの偶数ドットは、図9のように、それらに対応するノズルの駆動タイミングが遅いほど+X方向にずれる。さらに、これらの偶数ドットは、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が9番から16番の後半であるため、図9中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。また、偶数カラムに対しては、記録ヘッドが−X方向に移動する復走査時に、奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルによって奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15が形成される。これらの奇数ドットは、図9のように、それらに対応するノズルの駆動タイミングが遅いほど−X方向にずれる。これらの奇数ドットは、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が9番から16番の後半であるため、図9中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。
このように偶数カラムは、図9中の右側寄りに位置する奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15と、同図中に左側寄りに位置する偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16と、の組み合わせによって記録される。したがって、奇数カラムおよび偶数カラムは、いずれも図9中の右側寄りと左側寄りに位置するドットの組み合わせにより記録され、それぞれのカラムにおいてドットが分散して配置される。
図8(b)における四角内の数字は、奇数カラムのドットD1を基準としたときの+X方向のドットのずれ量を表す。なお、ここでは各カラムをX方向に16分割し、最も左側(−X方向)の位置を「1」とし、そこから右側(+X方向)に向かうにしたがってずれ量が1ずつ増加し、最も右側(+X方向)の位置を「16」として記載する。
往走査時(第1走査時)に形成されるドットのずれ量と、それらのドットに対応するブロックB1からB16の駆動順序(第1順序)と、は次のように対応する。往走査時においては、ブロックB1の駆動順序が1番であるため、ブロックB1に対応するドットD1の形成位置は最も左側、すなわちドットのずれ量は「1」となる。そのドットD1よりも駆動タイミングが1つずつ遅くなるドットは、形成位置が右側にずれることになるため、ドットのずれ量が「1」ずつ大きくなる。つまり、往走査時には、各記録素子の駆動順番がドットの形成位置のずれ量に対応する。
詳細には、図8(a)に示すように、往走査時には、ブロックB1、B3、B5、B7、B9、B11、B13、B15、B2、B4、B6、B8、B10、B12、B14、B16の順序で駆動される。往走査は左から右(+X方向)に向かう走査であるため、同じカラムに記録されるドットであっても、先のタイミングで駆動される記録素子に対応するドットの方が左側に位置し、後のタイミングで駆動される記録素子に対応するドットの方が右側に位置する。ここで、このような往走査において、ブロックB1〜B16に対応する記録素子の全てから同じカラムにインクを吐出した場合を想定する。この場合には、左から右に向かうにしたがって、ブロックB1、B3、B5、B7、B9、B11、B13、B15、B2、B4、B6、B8、B10、B12、B14、B16の駆動順序にしたがって、それらに対応するドットが形成されることになる。
したがって、往走査時におけるドットのずれ量は、ブロックB1で「1」、ブロックB2で「9」、ブロックB3で「2」、ブロックB4で「10」、ブロックB5で「3」、ブロックB6で「11」、ブロックB7で「4」、ブロックB8で「12」となる。同様に、ブロックB9で「5」、ブロックB10で「13」、ブロックB11で「6」、ブロックB12で「14」、ブロックB13で「7」、ブロックB14で「15」、ブロックB15で「8」、ブロックB16で「16」となる。
一方、復走査時(第2走査時)に形成されるドットのずれ量と、それらのドットに対応するブロックB1からB16の駆動順序(第2順序)と、は次のように対応する。復走査時においては、ブロックB2の駆動順序が1番であるため、ブロックB2に対応するドットD2の形成位置は最も右側、すなわちドットのずれ量は「16」となる。そのドットD2よりも駆動タイミングが1つずつ遅くなるドットは、形成位置が左側にずれることになるため、ドットのずれ量が「1」ずつ小さくなる。つまり、復走査時には、駆動順序の最大値(ここでは16)と、各記録素子の駆動順番と、の差分に関する値、詳細には差分に1を加えた数がドットの形成位置のずれ量に対応する。
詳細には、図8(a)に示すように、復走査時には、ブロックB2、B4、B6、B8、B10、B12、B14、B16、B1、B3、B5、B7、B9、B11、B13、B15の順序で駆動される。復走査は右から左(−X方向)に向かう走査であるため、同じカラムに記録されるドットであっても、先のタイミングで駆動される記録素子に対応するドットの方が右側に位置し、後のタイミングで駆動される記録素子に対応するドットの方が左側に位置する。ここで、このような復走査において、ブロックB1〜B16に対応する記録素子の全てから同じカラムにインクを吐出した場合を想定する。この場合には、左から右に向かうにしたがって、ブロックB15、B13、B11、B9、B7、B5、B3、B1、B16、B14、B12、B10、B8、B6、B4、B2の駆動順序にしたがって、それらに対応するドットが形成されることになる。
例えば、ブロックB1は9番目に駆動されるため、ドットの形成位置は、駆動順序の最大値である16と、駆動順番である9と、の差分に、1を加えた数である「8」となる。また、ブロックB16は8番目に駆動されるため、ドットの形成位置は、駆動順序の最大値である16と、駆動順番である8と、の差分に1を加えた数である「9」となる。その他のブロックも同様であり、ブロックB2で「16」、ブロックB3で「7」、ブロックB4で「15」、ブロックB5で「6」、ブロックB6で「14」、ブロックB7で「5」、ブロックB8で「13」となる。同様に、ブロックB9で「4」、ブロックB10で「12」、ブロックB11で「3」、ブロックB12で「11」、ブロックB13で「2」、ブロックB14で「10」、ブロックB15で「1」となる。
図8(b)における四角内の数値が大きくなる程、+X方向におけるドットのずれ量が大きい。第1カラムにおける全ドットの+X方向のずれ量の平均(平均値C)は、8.5である。他のカラムにおけるドットのずれ量の平均値も8.5である。このように各カラムにおけるドットのずれ量の平均値が同じであることは、それぞれのカラムにおけるドットの形成位置のX方向に対するばらつきの程度がほぼ等しいことを意味する。このようなずれ量の平均値は、時分割駆動の分割数の倍数によって、それぞれのドットの+X方向のずれ量の合計を除算することにより求めることができる。本例の場合は、ずれ量の合計を分割数16によって除算することにより、ずれ量の平均値を求めた。
このように本実施形態においては、各カラムにおけるドットの形成位置のずれ量の平均が等しくなるようにする。このような設定のために、往走査時に駆動される記録素子では駆動順番をそのまま値Aとし、復走査時に駆動される記録素子では駆動順序の最大値と駆動順番との差分に1を加えた数を値Aとしたとき、各カラムにおいて値Aの平均がほぼ等しくなるようにする。これにより、カラムにおけるドットの形成位置のX方向に対するばらつきの程度をほぼ等しくすることができ、図8(b)のようにほぼ全画素にインクを吐出するような階調において、図8(c)のように濃度ムラの少ない画像を記録することができる。
(比較例)
図18および図19は、比較例を説明するための図であり、駆動ブロックの駆動順序は図18(a)のように設定されている。すなわち、往走査時と復走査時のいずれにおいても、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動されてから、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動される。
奇数カラム(第1カラム,第3カラム,・・・)は、往走査時に駆動される奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルと、復走査時に駆動される偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルと、によって記録される。偶数カラム(第2カラム,第4カラム,・・・)は、往走査時に駆動される偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルと、復走査時に駆動される奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルと、によって記録される。
奇数カラムにおいて、往走査時に形成される奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が1番から8番の前半であるため、図19中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。また、奇数カラムにおいて、復走査時に形成される偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が9番から16番の後半であるため、図19中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。このように奇数カラムは、いずれも図19中左側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成される。
一方、偶数カラムにおいて、往走査時に記録される偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が9番から16番の後半であるため、図19中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。また、偶数カラムにおいて、復走査時に記録される奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が1番から8番の前半であるため、図19中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。このように偶数カラムは、いずれも図19中右側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成される。
図18(b)は、+X方向におけるドットのずれ量の説明図であり、図8(b)と同様に、四角内の数字は、ドットD1からD16の形成位置の+X方向のずれ量を表す。奇数カラムにおけるドットのずれ量の平均値は4.5であり、偶数カラムにおけるドットのずれ量の平均値は12.5であり、それらの値にバラツキが生じた。
このようなドットの位置の偏り、およびドットのずれ量のバラツキにより、それぞれのカラムを形成するドットの+X方向の間隔が変化する。例えば、第1カラムを形成するドットと第2カラムを形成するドットとの間隔が大きくなり、第2カラムを形成するドットと第3カラムを形成するドットとの間隔が小さくなる。これらの結果、記録画像に濃度ムラが発生しやすくなる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1つのノズル列における駆動ブロックの駆動順序を設定した。第2の実施形態においては、様々な制約から1つのノズル列では効果的な駆動順序が設定できない場合に、複数のノズル列における駆動ブロックの駆動順序を関連的に設定する。本例においては、シアンインク用とマゼンタインク用の2つのノズル列における駆動ブロックの駆動順序を関連的に設定する。
シアンインク用のノズル列における駆動ブロックの駆動順序は、前述した比較例における図18(a),(b)のノズル列と同じであり、図10(a)のように、図19のドットと同様の位置にシアンインクのドットが形成される。すなわち奇数カラムは、いずれも図10(a)中左側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成され、偶数カラムは、いずれも図10(a)中右側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成される。したがって、図18(b)と同様に、奇数カラムにおけるドットのずれ量の平均値は4.5であり、偶数カラムにおけるドットのずれ量の平均値は12.5である。
一方、マゼンタインク用のノズル列における駆動ブロックは、シアンインク用のノズル列と同様に、第1の実施形態における図8(a)のように、往走査時と復路走査時のいずれにおいても奇数ブロックが駆動されてから偶数ブロックが駆動される。しかし、マゼンタインク用のノズル列における駆動ブロックとカラムは図10(b)のような関係にあり、このような関係は、シアンインク用のノズル列における図8(b)の関係とは異なる。
すなわち、マゼンタインク用のノズル列の場合、奇数カラムは、往走査時に駆動される偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルと、復走査時に駆動される奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルと、によって記録される。このような奇数カラムにおいて、往走査時に形成される偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が9番から16番の後半であるため、図10(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。また、このような奇数カラムにおいて、復走査時に形成される奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が1番から8番の前半であるため、図10(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。このように奇数カラムは、いずれも図10(c)中右側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成される。
また、マゼンタインク用のノズル列の場合、偶数カラムは、往走査時に駆動される奇数ブロック(B1,B3,B5,・・・,B15)のノズルと、復走査時に駆動される偶数ブロック(B2,B4,B6,・・・,B16)のノズルと、によって記録される。このような偶数カラムにおいて、往走査時に形成される奇数ドットD1,D3,D5,・・・D15は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が1番から8番の前半であるため、図10(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。また、このような偶数カラムにおいて、復走査時に形成される偶数ドットD2,D4,D6,・・・D16は、それらに対応する駆動ブロックの駆動順序が9番から16番の後半であるため、図10(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。このように偶数カラムは、いずれも図10(c)中左側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成される。
このようにマゼンタインクの場合、奇数カラムは、図10(c)中右側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成され、偶数カラムは、図10(c)中左側寄りに位置する偶数ドットと奇数ドットとの組み合わせによって形成される。したがって、マゼンタインクの場合は、シアンインクの場合とは逆に、奇数カラムにおけるドットのずれ量の平均値が12.5となり、偶数カラムにおけるドットのずれ量の平均値が4.5となる。
図11は、このようなマゼンタインクとシアンインクのドットを組み合わせた場合の説明図である。奇数カラムにおけるマゼンタインクとシアンインクのドットのずれ量の平均値は8.5(=(4.5+12.5)/2)となる。同様に、奇数カラムにおけるマゼンタインクとシアンインクのドットのずれ量の平均値は8.5(=(12.5+4.5)/2)となる。この結果、記録画像における濃度ムラの発生を抑制することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態においては、図4の解像度変換処理S6によって変換された画像データを間引き、その間引かれた画像データに基づいて、2つのノズル列(本例の場合は、シアンインク用とマゼンタインク用のノズル列)を用いて画像を記録する。
図12は、本実施形態における解像度変換処理S6(図4参照)によって変換される画像データの説明図である。図12(a)のように、階調データ(300dpi)の“0”が入力されたときには画像データが「0」となり、ドットは形成されない。図12(b)のように階調データの“1”が入力されたときには、画像データの「1」に対応する位置にドットが配置され、画像データの「0」に対する位置にはドットが配置されない。
図13は、画像データおよびマスクパターンを用いて記録データを生成する過程の説明図である。
図13(a)は、ある単位領域内の16(=4×4)個の画素1300から1215を模式的に示す。ここでは説明の便宜上、16個の画素に相当する画素領域を単位領域として説明する。
図13(b)は、単位領域に対応する画像データを示す。この画像データにおいて、例えば、画素1300における画素値は「1」であるため、画素1300に対応する画素領域にはインクが吐出される。また、画素1301における画素値は「0」であるため、画素1301に対応する画素領域にはインクが吐出されない。本例の画像データによれば、インクが吐出される画素と、インクが吐出されない画素と、が千鳥状となる。図13(c−1),(c−2)は、2パス記録方式における1回目の走査と2回目の走査に対応する第1および第2のマスクパターンの説明図である。図13(b)の画像データに対して、図13(c−1)のマスクパターンを適用することにより、1回目の走査において用いる記録データを生成する。同様に、図13(b)の画像データに対して、図13(c−2)のマスクパターンを適用することにより、2回目の走査において用いる記録データを生成する。第1および第2のマスクパターン内の各画素には、「0」または「1」のいずれかの1ビットの情報が設定されている。
図13(d−1)は、図13(b)の画像データに対して、図13(c−1)の第1のマスクパターンを適用して生成される第1の記録データの説明図である。図13(d−2)は、図13(b)の画像データに対して、図13(c−2)の第2のマスクパターンを適用して生成される第2の記録データの説明図である。例えば、1回目の走査に対応する記録データ(図13(d−1))における画素1300においては、画素値が「1」、第1のマスクパターンのコード値は「1」であるため、インクの吐出(「1」)が定められる。このようにして生成された第1および第2の記録データに基づいて、1回目および2回目の走査においてインクが吐出される。例えば、1回目の走査においては、図13(d−1)の第1の記録データに基づいて、画素1300、1302,1305,1307に対する記録媒体上の画素領域にインクが吐出される。
図13(e)は、第1および第2の記録データの論理和に対応する記録データであり、図13(b)の画像データの画素値「1」に対応する部分にインクが吐出されることになる。このように、画像データおよびマスクパターンに基づいて、複数回の走査のそれぞれで用いる1ビットの記録データを生成することができる。
図14(a)は、シアンインク用のノズル列における往路記録時および復路記録時の駆動ブロック(ブロックB1からブロックB16)の駆動順序の説明図である。往路記録時においては、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動されてから、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動される。一方、復路記録時においては、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動されてから、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動される。
図14(b)は、シアンインク用のノズル列における駆動ブロックの駆動タイミングの説明図、図14(c)は、シアンインクのドットの形成位置の説明図である。
記録ヘッドが+X方向に移動する往走査時には、第1,第2カラムの順に記録される。その際、第1カラムにおいては、1つおきに間引かれた奇数ブロック(B1,B5,B9,B13)のノズルによってドットが駆動され、第2カラムにおいては、1つおきに間引かれた偶数ブロック(B2,B6,B10,B14)のノズルが駆動される。前者の奇数ブロック(B1,B5,B9,B13)の駆動順序は、図14(a)のように1番,3番,5番,7番の前半であるため、対応するドットD1,D5,D9,D13は、図14(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。後者の偶数ブロック(B2,B6,B10,B14)の駆動順序は、図14(a)のように9番,11番,13番,15番の後半であるため、対応するドットD2,D6,D10,D14は、14(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。他のカラムにも同様にドットが形成される。
記録ヘッドが−X方向に移動する復走査時には、第2,第1カラムの順に記録される。その際、第2カラムにおいては、1つおきに間引かれた偶数ブロック(B4,B8,B12,B16)のノズルによってドットが駆動され、第1カラムにおいては、1つおきに間引かれた奇数ブロック(B3,B7,B11,B15)のノズルが駆動される。前者の偶数ブロック(B4,B8,B12,B16)の駆動順序は、図14(a)のように2番,4番,6番,8番の前半である。そのため、それらに対応するドットD4,D8,D12,D16は、図14(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。後者の奇数ブロック(B3,B7,B11,B15)の駆動順序は、図14(a)のように10番,12番,14番,16番の後半である。そのため、それらに対応するドットD3,D7,D11,D15は、図14(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。他のカラムにも同様にドットが形成される。
このようにシアンインクにより、奇数カラムは、図14(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置するドットD1,D5,D9,D13と、同様に−X方向側寄りに位置するドットD3,D7,D11,D15と、によって形成される。このような奇数カラムにおけるドットの+X方向のずれ量の平均値は4である。一方、偶数カラムは、図14(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置するドットD2,D6,D10,D14と、同様に+X方向側寄りに位置するドットD4,D8,D12,D16と、によって形成される。このような偶数カラムにおけるドットの+X方向のずれ量の平均値は12である。
また、図14(b)、(c)のように、シアンインクのドットが形成されない部分(非形成部分)を複数のカラム間において異ならせる。これにより、先の記録走査と次の記録走査との間において、ドットの形成位置にX方向のずれが突発的に生じた場合にも、記録画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。そのようなドットの形成位置にX方向のずれは、例えば、キャリッジ106の走査精度、搬送ローラ103および補助ローラ104の搬送精度によっては生じるおそれがある。
図15(a)は、マゼンタインク用のノズル列における往路記録時および復路記録時の駆動ブロック(ブロックB1からブロックB16)の駆動順序の説明図である。往路記録時においては、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動されてから、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動される。一方、復路記録時においては、奇数ブロック(ブロックB1,B3,B5,・・・,B15)が駆動されてから、偶数ブロック(ブロックB2,B4,B6,・・・,B16)が駆動される。
図15(b)は、マゼンタインク用のノズル列における駆動ブロックの駆動タイミングの説明図、図15(c)は、マゼンタインクのドットの形成位置の説明図である。
記録ヘッドが+X方向に移動する往走査時には、第1,第2カラムの順に記録され、その際、第1カラムにおいて、1つおきの奇数ブロック(B1,B5,B9,B13)のノズルによってドットが駆動される。また、第2カラムにおいては、1つのおきの偶数ブロック(B2,B6,B10,B14)のノズルが駆動される。前者の奇数ブロック(B1,B5,B9,B13)の駆動順序は、図15(a)のように9番,11番,13番,15番の後半であるため、対応するドットD1,D5,D9,D13は、図14(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。後者の偶数ブロック(B2,B6,B10,B14)の駆動順序は、図15(a)のように1番,3番,5番,7番の前半であるため、対応するドットD2,D6,D10,D14は、図14(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。他のカラムにも同様にドットが形成される。
記録ヘッドが−X方向に移動する復走査時には、第2,第1カラムの順に記録され、その際、第2カラムにおいて、1つおきの偶数ブロック(B4,B8,B12,B16)のノズルによってドットが駆動される。また、第1カラムにおいては、1つのおきの奇数ブロック(B3,B7,B11,B15)のノズルが駆動される。前者の偶数ブロック(B4,B8,B12,B16)の駆動順序は、図15(a)のように10番,12番,14番,16番の後半である。そのため、それらに対応するドットD4,D8,D12,D16は、図14(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置する。後者の奇数ブロック(B3,B7,B11,B15)の駆動順序は、図15(a)のように2番,4番,6番,8番の前半である。そのため、それらに対応するドットD3,D7,D11,D15は、図14(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置する。他のカラムにも同様にドットが形成される。
このようにマゼンタインクにより、奇数カラムは、図15(c)中右側寄り(+X方向側寄り)に位置するドットD1,D5,D9,D13と、同様に+X方向側寄りに位置するドットD3,D7,D11,D15と、によって形成される。このような奇数カラムにおけるドットの+X方向のずれ量の平均値は12である。一方、偶数カラムは、図15(c)中左側寄り(−X方向側寄り)に位置するドットD2,D6,D10,D14と、同様に−X方向側寄りに位置するドットD4,D8,D12,D16と、によって形成される。このような偶数カラムにおけるドットの+X方向のずれ量の平均値は4である。
また、図15(b)、(c)のように、マゼンタインクのドットが形成されない部分(非形成部分)を複数のカラム間において異ならせる。これにより、先の記録走査と次の記録走査との間において、ドットの形成位置にX方向のずれが突発的に生じた場合にも、記録画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。そのようなドットの形成位置にX方向のずれは、例えば、キャリッジ106の走査精度、搬送ローラ103および補助ローラ104の搬送精度によっては生じるおそれがある。
図16は、このようなマゼンタインクとシアンインクのドットを組み合わせた場合の説明図である。奇数カラムにおけるマゼンタインクとシアンインクのドットのずれ量の平均値は8(=(4+12)/2)となり、同様に、奇数カラムにおけるマゼンタインクとシアンインクのドットのずれ量の平均値は8(=(12+4)/2)となる。この結果、記録画像における濃度ムラの発生を抑制することができる。
駆動ブロックの駆動順序を関連的に設定するノズル列は、本例のような異なるインク色に対応するノズル列の他、同色のインクに対応するノズル列であってもよい。また、形成されるドットの大きさは、本例のような同じ大きさに限定されず、異なる大きさであってもよい。また、駆動ブロックの駆動順序を関連的に設定するノズル列は、本例のようなノズルの配列形態が同じもの同士の組み合わせのみに限定されない。例えば、ノズルの位置がY方向に半画素ずれている複数のノズル列と、ノズルの位置がY方向に半画素ずれていないノズル列と、の組み合わせなどであってもよい。また、画像データと画素領域との関係は、図12の例に限定されない。また、2つのノズル列のそれぞれにおいて、ドットのずれ量の偏りが生じないように、駆動ブロックの駆動順序を設定してもよい。
(第4の実施形態)
図17は、本実施形態の説明図であり、記録データを生成する図4の分配処理S7までは第1の実施形態と同様である。
図17(a)は、往路記録時および復路記録時における駆動ブロック(ブロックB1からブロックB16)の駆動順序の説明図である。往路記録時および復路記録時における駆動ブロックの駆動順序は同じであり、奇数ブロックと偶数ブロックとが交互に駆動される。すなわち、1番から16の行動順序のうち、前半の1番から8番においては、駆動ブロックB1,B2,B5,B6、B9.B10,B13,B14が駆動される。その後半の9番から16番においては、駆動ブロックB4,B3.B8.、B7.B12,B11,B16,B15が駆動される。
図17(b)は、駆動ブロックの駆動タイミングの説明図、図17(c)は、ドットの形成位置の説明図である。
奇数カラムは、往走査時に奇数番目に駆動される駆動ブロック(B1,B5,・・・,B16)のノズルと、復走査時に偶数番目に駆動される駆動ブロック(B2,B6,・・・,B15)のノズルと、によって記録される。往走査時に駆動される前者の駆動ブロックのうち、半分の4つの駆動順序は前半(1番から8番)であり、他の半分の4つの駆動順序は後半(9番から16番)である。復走査時に駆動される後者の駆動ブロックも同様である。
一方、偶数カラムは、往走査時に偶数番目に駆動される駆動ブロック(B2,B6,・・・,B15)のノズルと、復走査時に奇数番目に駆動される駆動ブロック(B1,B5,・・・,B16)のノズルと、によって記録される。往走査時に駆動される前者の駆動ブロックのうち、半分の4つの駆動順序は前半(1番から8番)であり、他の半分の4つの駆動順序は後半(9番から16番)である。復走査時に駆動される後者の駆動ブロックも同様である。
このように記録される奇数カラムおよび偶数カラムにおけるドットの+X方向のずれ量は、いずれも8.5であり、濃度ムラの発生を抑制することができる。
(他の実施形態)
前述した実施形態においては、カラム間におけるドットの+X方向のずれ量の差を「0」とするように、駆動ブロックの駆動順序を設定した。しかし、その差は、必ずしも0でなくともよく、それを少なくとも3未満とすることにより、濃度ムラの発生を抑制することができる。また、時分割駆動方式における分割数は、前述した実施形態のような16のみに限定されず任意である。またマルチパス記録方式は、前述した実施形態のような2パス記録方式のみに限定されない。記録媒体の所定領域における画像を形成するための第1走査と第2走査の合計の回数(マルチパス数)に応じて、第1走査時に形成されるドットと、第2走査時に形成されるドットと、の組み合わせを異ならせることができる。
本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。