以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の実施形態において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
そして、以下の説明で前後左右上下の方向を用いて説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとする。そして、各図に適宜示す矢印についても同様の定義を用いており、車両幅方向とは左右方向に相当している。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るシャッター装置1は、車両エンジン62を駆動源として走行する車両に搭載された車両用冷却装置の一部を構成しており、図1に示すように、矩形状の枠として形成されたフレーム部材10と、複数のブレード部材20と、リンク部材30と、シャフト部材35と、補強部材40と、アクチュエータ50等を有して構成されている。
図2に示すように、車両用冷却装置は、シャッター装置1と、室外熱交換器55と、ラジエータ60と、送風機70とを有している。当該車両用冷却装置は、車両における車体Cの前側に配置されたフロントグリルGの後方において、車体Cの内部(即ち、エンジンルーム)に配置されている。
フロントグリルGから車両後方に向かって、シャッター装置1、室外熱交換器55、ラジエータ60、送風機70の順番で配置されており、車両の前後方向へ空気が流れるように構成されている。
当該シャッター装置1は、フロントグリルGの開口部を覆うように配置されており、リンク部材30のスライド移動によって各ブレード部材20の姿勢を変更することで、室外熱交換器55及びラジエータ60を通過する空気の量(即ち、通風量)を調整することができる。このシャッター装置1の具体的構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
当該車両用冷却装置において、室外熱交換器55は、シャッター装置1に対して車両後方側に配置されており、断面扁平状に形成された複数のチューブと、各チューブの間に配置された波形のフィンにより構成された熱交換器コア部と、各チューブの両端に配置された一対のヘッダタンクとを有している。
室外熱交換器55は、車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置の構成機器の一つであり、チューブが水平方向に伸びるように配置されたクロスフロー型の熱交換器として構成されている。室外熱交換器55は、冷凍サイクル装置を循環する冷媒と空気との間の熱交換を行う熱交換器として機能する。
ここで、冷凍サイクル装置は、車両用空調装置における蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成しており、室外熱交換器55に加えて、図示しない圧縮機と、減圧部(例えば、膨張弁やキャピラリチューブ等)と、蒸発器等を有している。
従って、室外熱交換器55は、車両用空調装置の運転モードに応じて、吸熱器又は放熱器の何れかとして機能する。例えば、暖房モードにおいては、室外熱交換器55は、フロントグリルGから導入される外気から吸熱する吸熱器として機能し、冷房モードでは、高圧冷媒の有する熱を外気に放熱する放熱器として機能する。
尚、冷凍サイクル装置で用いられる冷媒としては、HFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、冷媒としてHFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。
図2に示すように、車両用冷却装置のラジエータ60は、シャッター装置1及び室外熱交換器55の車両後方側に配置されている。当該ラジエータ60は、車両の駆動源である車両エンジン62を冷却する為のエンジン冷却水回路61の構成機器の一つであり、当該エンジン冷却水回路61を循環するエンジン冷却水と空気との間の熱交換によってエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。
そして、ラジエータ60は、断面扁平状に形成された複数のチューブと、各チューブの間に配置された波形のフィンとを有して構成されたラジエータコア部と、ラジエータコア部の両側に配置された一対のヘッダタンクとを有している。
ここで、エンジン冷却水回路61は、ラジエータ60及び車両エンジン62の間にてエンジン冷却水を循環可能に構成されており、エンジン冷却水を圧送するウォータポンプ63と、流路切替部64と、エンジン冷却水回路61を循環するエンジン冷却水を加温する為の電熱ヒータ65とを有している。
流路切替部64は、サーモスタットや三方弁等によって構成されており、エンジン冷却水回路61におけるエンジン冷却水の流路を切り替える際に作動する。当該エンジン冷却水回路61では、流路切替部64は、ラジエータ60の流出口側からウォータポンプ63及び車両エンジン62へと向かうエンジン冷却水の流路上に配置されている。
当該流路切替部64は、エンジン冷却水が所定温度未満である場合には、エンジン冷却水がラジエータ60を迂回する流路を流れるようにし、エンジン冷却水の温度が所定温度以上である場合には、車両エンジン62から流出したエンジン冷却水がラジエータ60を通過するように作動する。従って、エンジン冷却水回路61によれば、車両エンジン62の排熱で温められたエンジン冷却水を、ラジエータ60で空気と熱交換させることで冷却することができる。
又、当該車両用冷却装置の送風機70は、図2に示すように、シャッター装置1、室外熱交換器55、ラジエータ60に対して車両後方側に配置されている。送風機70は、ファンと、電動モータと、シュラウド71とを備えている。
ファンは、空気を送風する軸流式の送風ファンであり、回転軸を中心に回転するように構成されている。当該送風機70の電動モータは、ファンに回転動力を与える電動機であり、当該電動モータの回転軸にファンが固定されている。
そして、電動モータは、シュラウド71に設けられた複数のステーによって、シュラウド71における所定位置に支持されている。シュラウド71は、電動モータを保持すると共に、ファンにより誘起される空気流れが室外熱交換器55及びラジエータ60を通過するように空気流れをガイドする部品である。
このように構成された車両用冷却装置では、フロントグリルGを介して、エンジンルーム内へ流れる空気に対して、ラジエータ60にて、エンジン冷却水の熱を放熱して当該エンジン冷却水を冷却することができる。
この時、フロントグリルGやシャッター装置1を介して、車両の前方側から後方側に向かって流れる空気の流れは、通風方向に相当する。従って、通風方向下流側とは、前後方向における後方側ということも可能である。
次に、第1実施形態に係るシャッター装置1の具体的構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、シャッター装置1は、矩形状の枠として形成されたフレーム部材10の内側に、複数のブレード部材20を所定間隔で並列して有している。
各ブレード部材20は、フレーム部材10に対して回動可能に配置されている。フレーム部材10の車両後方側には、リンク部材30が車両左右方向へスライド移動可能に配置されている。各ブレード部材20は、リンク部材30のスライド移動に連動して、フレーム部材10に対して回動するように構成されている。
図1に示すように、フレーム部材10の側部14には、シャフト部材35が回転可能に取り付けられている。当該シャフト部材35は、フレーム部材10に取り付けられたアクチュエータ50の作動に連動して回転するように配置されている。そして、シャフト部材35の回転動作は、リンク部材30のスライド移動に連動するように構成されている。
従って、シャッター装置1は、アクチュエータ50の作動によるシャフト部材35の回転に応じて、リンク部材30がスライド移動し、リンク部材30のスライド移動に連動して、各ブレード部材20が回動するように構成されている。
この結果、当該シャッター装置1は、アクチュエータ50の作動制御によって、各ブレード部材20の回動量を調整することで、室外熱交換器55の通風量及びラジエータ60の通風量を調整できる。
又、補強部材40は、シャフト部材35の回転動作に応じて、各ブレード部材20に対して移動するように構成されている。従って、当該シャッター装置1によれば、アクチュエータ50の作動制御によって、各ブレード部材20の回動量を調整することで、各ブレード部材20の姿勢及び各ブレード部材20に対する補強部材40の位置を調整することができる。
先ず、当該シャッター装置1を構成するフレーム部材10について、図面を参照しつつ説明する。フレーム部材10は、室外熱交換器55の熱交換器コア部及びラジエータ60のラジエータコア部の空気通過面の外形に対応した大きさの枠体を為し、例えば、樹脂材料によって構成されている。
当該フレーム部材10は、図1に示すように、上側支持部11と、中間支持部12と、下側支持部13と、左右両側に配置された側部14と、中央部14Aとによって構成されている。フレーム部材10は、上側支持部11、下側支持部13及び両側の側部14によって形成される大きな枠体の内部を、上下方向における中間位置にて左右に伸びる下側支持部13と、左右方向における中央位置で上下に伸びる中央部14Aによって、4つに区画するように構成されている。
フレーム部材10の上部には、上側支持部11が形成されている。当該上側支持部11は、フレーム部材10における枠の内側に位置する面に複数の軸支持溝15を有している。上側支持部11における各軸支持溝15は、枠の内側に位置する面を上方に窪ませた溝状を為し、後方側が開放されるように構成されている。
そして、フレーム部材10の下部には、下側支持部13が形成されている。当該下側支持部13は、フレーム部材10における枠の内側に位置する面に複数の軸支持溝15を有している。下側支持部13における各軸支持溝15は、枠の内側に位置する面を下方に窪ませた溝状を為し、後方側が開放されるように構成されている。
上側支持部11と下側支持部13の間には、中間支持部12が形成されている。中間支持部12は、その上面及び下面において、それぞれ複数の軸支持溝15を有している。図5等に示すように、中間支持部12の上面に形成された軸支持溝15は、当該上面を下方に窪ませた溝状を為しており、後方が開放されている。そして、中間支持部12の上面の軸支持溝15は、上側支持部11における各軸支持溝15と対向する位置に配置されている。
そして、中間支持部12の下面に形成された軸支持溝15は、当該下面を上方に窪ませた溝状を為しており、後方が開放されている。そして、中間支持部12の下面の軸支持溝15は、下側支持部13における各軸支持溝15と対向する位置に配置されている。
フレーム部材10における各軸支持溝15は、シャッター装置1における上下方向に沿って配置されている。各軸支持溝15の内部には、後述する各ブレード部材20の支持軸23が収容される。即ち、各軸支持溝15は、各ブレード部材20をフレーム部材10に対し回動可能に支持する機能を果たしており、第1実施形態における上下方向は回動軸方向に相当する。
図1に示すように、当該シャッター装置1においては、上側支持部11と中間支持部12の間にて回動可能に支持されるブレード部材20と、中間支持部12と下側支持部13の間にて回動可能に支持されるブレード部材20が存在している。
以下の説明において、上側支持部11と中間支持部12の間に配置されるブレード部材20を上側ブレード部材20Aと呼び、中間支持部12と下側支持部13の間に配置されるブレード部材20を下側ブレード部材20Bと呼ぶ。
そして、当該フレーム部材10は、上側支持部11、中間支持部12及び下側支持部13にて、複数のブレード部材20を回動可能に支持しているので、支持部材として機能する。
当該フレーム部材10の左右両側には、側部14がそれぞれ配置されている。一方の側部14は、上側支持部11及び下側支持部13の左側端部を接続するように上下に伸びており、他方の側部14は、上側支持部11及び下側支持部13の右側端部を接続するように上下に伸びている。
又、当該フレーム部材10の左右方向中央部分には、中央部14Aが配置されている。当該中央部14Aは、上側支持部11、中間支持部12及び下側支持部13の間を接続するように上下方向に伸びており、フレーム部材10の剛性を高めている。
尚、当該シャッター装置1において、側部14には、シャフト部材35がそれぞれ配置されている。図1に示すように、シャフト部材35は、側部14に沿って上下方向に伸びるシャフト本体部36を有して構成されている。
シャッター装置1の右側に配置されたシャフト部材35は、フレーム部材10の右側上面に配置されたアクチュエータ50に取り付けられている。当該アクチュエータ50は、ステッピングモータ等により構成されており、図示しない制御装置からの制御信号によって、その作動が制御される。従って、当該シャフト部材35は、アクチュエータ50の作動に従って、シャフト本体部36の回転中心O周りに回転運動する。
次に、当該シャッター装置1におけるブレード部材20の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。当該シャッター装置1のブレード部材20は、例えば、樹脂材料によって構成されており、上側支持部11と中間支持部12の間に配置される上側ブレード部材20Aと、中間支持部12と下側支持部13の間に配置される下側ブレード部材20Bを含んでいる。
図3に示すように、上側ブレード部材20Aは、略平板状に形成されたブレード本体部21と、延出片22と、支持軸23と、リンク用延出片24と、連結軸25とを有している。
尚、ブレード部材20に関する説明においては、板状に形成されたブレード本体部21を含む平面に鉛直な方向をX方向とし、ブレード本体部21の短辺方向をY方向とする。そして、ブレード本体部21の長辺方向をZ方向とする。図1、図4に示すように、当該Z方向は、シャッター装置1における上下方向に一致する。
図1、図4に示すように、上側ブレード部材20Aにおけるブレード本体部21は、略長方形をなす平板状に形成されている。ブレード本体部21の短辺方向の長さは、フレーム部材10における軸支持溝15の間隔に対応している。ブレード本体部21における上端部側及び下端部側は、ブレード本体部21の一端側及び他端側に相当する。
ブレード本体部21における上端部及び下端部には、延出片22及び支持軸23が配置されている。延出片22は、ブレード本体部21の上端部及び下端部において、ブレード本体部21のY方向における中央部分に配置されている。当該延出片22は、何れもブレード本体部21に対してX方向の一方側(図3中、右方向)に向かって、水平に延出された板状に形成されている。
各延出片22には、当該上側ブレード部材20Aをフレーム部材10に対して回動可能に支持する為の支持軸23が配置されている。ブレード本体部21の上端部側の延出片22において、支持軸23は、延出片22の上面からZ方向に沿って上側に突出する円柱状に形成されている。
一方、ブレード本体部21の下端部側の延出片22においては、支持軸23は、延出片22の下面からZ方向に沿って下側に突出する円柱状に形成されている。各支持軸23の外径寸法は、フレーム部材10の軸支持溝15の内部において、回動可能に収容できる値に定められている。従って、支持軸23の中心軸は、上側ブレード部材20Aの回転中心Oとして機能する。
図3に示すように、上側ブレード部材20Aにおけるブレード本体部21の下端部側には、リンク用延出片24及び連結軸25が配置されている。当該リンク用延出片24は、ブレード本体部21の下端部において、ブレード本体部21のY方向における一方側(図4中、手前側)に配置されている。そして、当該リンク用延出片24は、ブレード本体部21に対してX方向の他方側(図4中、左方向)に向かって、水平に延出された板状に形成されている。
当該リンク用延出片24には、上側ブレード部材20Aの動作をリンク部材30の動作に連動させる為の連結軸25が配置されている。図3に示すように、当該ブレード本体部21の下端部において、連結軸25はリンク用延出片24の下面からZ方向に沿って下側に突出するように形成されている。
当該連結軸25は、上側ブレード部材20Aにおける支持軸23の位置に対して、X方向及びY方向に所定寸法偏心した位置に配置されている。即ち、連結軸25は、ブレード部材20の回動中心の位置からX方向及びY方向へ偏心した位置で、ブレード部材20の回動中心に沿って平行に伸びている。
当該連結軸25は、後述するリンク部材30に形成された上側リンク溝31の内部に配置されることで、各上側ブレード部材20Aとリンク部材30を連結する。これにより、各上側ブレード部材20Aは、リンク部材30のスライド動作に連動して回動するように連結される。
続いて、下側ブレード部材20Bの具体的構成について、図4を参照しつつ説明する。下側ブレード部材20Bは、上述したように、フレーム部材10の中間支持部12と下側支持部13の間に配置されるブレード部材20であり、略平板状に形成されたブレード本体部21と、延出片22と、支持軸23と、リンク用延出片24と、連結軸25とを有している。
図4に示すように、下側ブレード部材20Bにおけるブレード本体部21、延出片22及び支持軸23の構成については、上述した上側ブレード部材20Aと同様である。従って、下側ブレード部材20Bにおけるブレード本体部21、延出片22、支持軸23に関する説明は、上述した説明を参照することとして、再度の説明を省略する。
そして、下側ブレード部材20Bにおいては、リンク用延出片24及び連結軸25の構成が上側ブレード部材20Aと相違している。図4に示すように、下側ブレード部材20Bのリンク用延出片24及び連結軸25は、ブレード本体部21の上端部側に配置されている。
当該リンク用延出片24は、ブレード本体部21の上端部において、ブレード本体部21のY方向における一方側(図5中、手前側)に配置されている。そして、当該リンク用延出片24は、ブレード本体部21に対してX方向の他方側(図5中、左方向)に向かって、水平に延出された板状に形成されている。
そして、当該リンク用延出片24には、下側ブレード部材20Bの動作をリンク部材30の動作に連動させる為の連結軸25が配置されている。図4に示すように、当該ブレード本体部21の上端部において、連結軸25はリンク用延出片24の上面からZ方向に沿って上側に突出するように形成されている。
当該連結軸25は、下側ブレード部材20Bにおける支持軸23の位置に対して、X方向及びY方向に所定寸法偏心した位置に配置されており、ブレード部材20の回動中心に沿って平行に伸びている。
当該連結軸25は、後述するリンク部材30に形成された下側リンク溝32の内部に配置されることで、各下側ブレード部材20Bとリンク部材30を連結する。これにより、各下側ブレード部材20Bは、リンク部材30のスライド動作に連動して回動するように連結される。
次に、第1実施形態におけるリンク部材30の構成について、図面を参照しつつ説明する。図1、図5に示すように、フレーム部材10における中間支持部12の車両後方側には、リンク部材30が車両左右方向にスライド移動可能に取り付けられている。第1実施形態における車両左右方向はスライド方向に相当し、車両後方側は通風方向一方側に相当する。従って、スライド方向は通風方向に直交している。
当該リンク部材30は、車両左右方向に沿って伸びる角柱状に形成されており、複数の上側リンク溝31及び複数の下側リンク溝32を有している。図5に示すように、複数の上側リンク溝31は、当該リンク部材30の上面において一定の間隔をあけて配置されている。
各上側リンク溝31は、当該リンク部材30の上面を下方に窪ませた溝状に形成されており、車両前後方向に沿って伸びている。そして、各上側リンク溝31の後端部は開放されており、上側ブレード部材20Aの連結軸25を上側リンク溝31の内部に収容させることができる。これにより、各上側ブレード部材20Aをリンク部材30に対して連結させることができ、上側ブレード部材20Aの回転動作を、リンク部材30のスライド動作に連動させることができる。
そして、複数の下側リンク溝32は、当該リンク部材30の下面において一定の間隔をあけて配置されており、各上側リンク溝31の下方に位置している。図5に示すように、各下側リンク溝32は、当該リンク部材30の下面を上方に窪ませた溝状に形成されており、車両前後方向に沿って伸びている。
各下側リンク溝32は、当該リンク部材30の下面を上方に窪ませた溝状に形成されており、車両前後方向に沿って伸びている。そして、各下側リンク溝32の後端部は開放されており、下側ブレード部材20Bの連結軸25を下側リンク溝32の内部に収容させることができる。これにより、各下側ブレード部材20Bをリンク部材30に対して連結させることができ、下側ブレード部材20Bの回転動作を、リンク部材30のスライド動作に連動させることができる。
図5等に示すように、リンク部材30の端部には、シャフト部材35の回転動作をリンク部材30のスライド移動に変換する為のシャフト連動部33が配置されている。第1実施形態に係るシャフト連動部33は、上下方向に伸びるシャフト部材35によって挿通される筒状の挿通部34によって構成されている。
筒状の挿通部34の内部には、後述するシャフト部材35のリンク取付部37が配置される。当該リンク取付部37は、シャフト部材35の回転中心Oを含むシャフト本体部36に対して偏心した軸部37Aを有している。
そして、筒状の挿通部34において、リンク部材30の最も端部側(例えば、図5中右側)にあたる部分には、膨出部34Aが形成されている。膨出部34Aは、挿通部34の内壁面であって、シャフト部材35の回転動作に伴って軸部37Aが描く軌跡に従って、端部側へ膨出するように形成されている。
このように構成することで、シャフト部材35の回転角度が後述する条件を満たすまでは、リンク取付部37がシャフト連動部33における挿通部34の内壁面に接触して、リンク部材30をスライド移動させることができる。
そして、シャフト部材35の回転角度が後述する条件を満たし更に回転する場合には、リンク取付部37がシャフト連動部33における膨出部34Aの表面に沿って移動して、リンク部材30をスライド移動させることなく、シャフト部材35を回転させることができる。これらの点に関しては、後に詳細に説明する。
次に、当該シャッター装置1におけるシャフト部材35の構成について、図1等を参照しつつ説明する。上述したように、シャフト部材35は、シャッター装置1の側部14に沿って配置されており、アクチュエータ50の作動に伴って回転動作するように構成されている。
図1に示すように、シャフト部材35は、当該シャフト部材35の回転中心Oに沿って伸びるシャフト本体部36と、リンク取付部37と、補強取付部38とを有している。リンク取付部37は、リンク部材30の端部に配置されたシャフト連動部33が取り付けられる部分であり、軸部37Aと、一対のアーム部37Bによってクランク状に構成されている。
図5等に示すように、リンク取付部37の軸部37Aは、シャフト本体部36に対して偏心した位置にて、シャフト本体部36と平行に伸びるように配置されている。当該軸部37Aの上端及び下端は、アーム部37Bを介して、シャフト本体部36に接続されている。
従って、当該リンク取付部37において、軸部37Aは、シャフト本体部36から、アーム部37Bの長さ寸法だけ偏心して配置される。そして、シャフト部材35がシャフト本体部36の回転中心Oを中心として回転すると、軸部37Aは、アーム部37Bの長さに応じた円の円周上を移動する。
図5に示すように、当該リンク取付部37は、リンク部材30のシャフト連動部33における挿通部34内に配置される為、シャフト部材35の回転動作に伴って、挿通部34の内壁面と軸部37Aとの接触態様が変化する。これにより、当該シャッター装置1は、シャフト部材35の回転動作に連動して、リンク部材30をスライド方向へスライド移動させることができる。
そして、補強取付部38は、シャフト部材35に対して補強部材40が取り付けられる部分であり、図7等に示すように、軸部38Aと、一対のアーム部38Bによってクランク状に構成されている。
又、図1に示すように、補強取付部38は、シャフト部材35において、リンク取付部37の上側と下側の2カ所に設けられている。具体的には、上側の補強取付部38は、シャフト部材35の上下方向に関して、上側支持部11と中間支持部12の間に位置している。そして、下側の補強取付部38は、中間支持部12と下側支持部13の間に位置している。
補強取付部38の軸部38Aは、シャフト本体部36に対して偏心した位置にて、シャフト本体部36と平行に伸びるように配置されている。当該補強取付部38の軸部38Aは、後述する補強部材40の端部に形成されたシャフト連結部42に回動可能に連結される。
そして、当該軸部38Aの上端及び下端は、アーム部38Bを介して、シャフト本体部36に接続されている。補強取付部38のアーム部38Bは、リンク取付部37のアーム部37Bと同じ長さ寸法及び方向へ伸びるように形成されている。
従って、当該補強取付部38の軸部38Aは、リンク取付部37の軸部37Aと同軸上に位置しており、シャフト本体部36に対しても軸部37Aと同様に偏心している。この為、シャフト部材35がシャフト本体部36の回転中心Oを中心として回転すると、軸部38Aは、アーム部38Bの長さに応じた円の円周上を移動する。
この為、補強取付部38に取り付けられた補強部材40は、シャフト部材35の回転動作に伴って、フレーム部材10やブレード部材20に対して、相対的に移動することになる。これにより、当該シャッター装置1は、シャフト部材35の回転動作に連動して、各補強部材40を車両前後方向(即ち、通風方向)へ移動させることができる。
続いて、当該シャッター装置1における補強部材40について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、補強部材40は、シャッター装置1におけるフレーム部材10及びブレード部材20の車両後方側において、左右方向に伸びるように配置されている。
当該補強部材40は、ブレード部材20を構成する樹脂材料よりも高い剛性を有する材料で形成されており、平板状に形成された補強本体部41と、当該補強本体部41の両端部に配置されたシャフト連結部42とを有している。
上述したように、シャフト連結部42は、シャフト部材35の補強取付部38に対し、補強部材40を回動可能に連結させる為の構成である。シャフト連結部42の内部に対して、補強取付部38の軸部38Aを挿通させることで、シャフト部材35に対して補強部材40を回動可能に連結させることができる。
そして、当該シャッター装置1においては、フレーム部材10の側部14に対して、複数の保持部材45が着脱可能に取り付けられている。各保持部材45は、フレーム部材10の側部14に対して、シャフト部材35を回転可能に保持する機能を果たしている。
このように構成されたシャッター装置1によれば、アクチュエータ50の作動制御によって、シャフト部材35を回転させることで、リンク取付部37及びシャフト連動部33を介して、リンク部材30を車両左右方向へスライド移動させることができる。
当該シャッター装置1において、各ブレード部材20は、軸支持溝15及び支持軸23によって、フレーム部材10に対して回転可能に支持されている。そして、各ブレード部材20の連結軸25は、リンク部材30の上側リンク溝31又は下側リンク溝32の内部に配置されている。
従って、リンク部材30のスライド移動に伴って、各ブレード部材20における支持軸23と連結軸25の相対的な位置関係が変化することになる為、支持軸23周りに、各ブレード部材20を回転させることができる。
これにより、当該シャッター装置1は、各ブレード部材20の回動量を調整することによって、フレーム部材10と各ブレード部材20の間に形成される流路面積を調整することができ、シャッター装置1を通過する空気の量を調整することができる。
又、当該シャッター装置1によれば、シャフト部材35の補強取付部38に対して、補強部材40が連結されている為、シャフト部材35の回転に応じて、補強部材40を変位させることができる。即ち、当該シャッター装置1は、各ブレード部材20の回動に伴って、補強部材40を移動させることができる。
上述のように構成されたシャッター装置1の動作について、図6~図11を参照しつつ説明する。当該シャッター装置1は、上述したように、各ブレード部材20を回動させることで、開状態と閉状態に変更可能に構成されている。
ここで、シャッター装置1の開状態と閉状態について説明する。当該シャッター装置1の開状態とは、フレーム部材10と各ブレード部材20の間に形成される流路面積が最大である状態を意味している。具体的には、各ブレード部材20のY方向がシャッター装置1の前後方向に一致する姿勢を採った状態が開状態に相当する。
一方、シャッター装置1の閉状態とは、シャッター装置1における流路面積が最小である状態を意味している。具体的には、各ブレード部材20のブレード本体部21が隣り合うブレード本体部21に接触する姿勢を採った状態が閉状態に相当する。
先ず、シャッター装置1の開状態について、図面を参照しつつ説明する。図6は、開状態にあるシャッター装置1のリンク部材30等の位置関係を示す断面図である。この図6は、中間支持部12のやや上方にて、シャッター装置1を水平方向に切断した断面を示している。
図7は、開状態にあるシャッター装置1の補強部材40等の位置関係を示す断面図である。この図7は、中間支持部12の上側に位置する補強部材40のやや上方にて、シャッター装置1を水平方向に切断した断面を示している。
尚、以下の説明においては、シャッター装置1の上側部分(つまり、中間支持部12より上方)の動作を例として説明する。シャッター装置1の下側部分における動作は、上側部分と同様の動作となる為、その説明を省略する。
図6に示すように、シャッター装置1が開状態にある場合には、各上側ブレード部材20Aは、平板状のブレード本体部21の表面が車両前後方向に沿って伸びる姿勢をとる。これにより、フレーム部材10及び各上側ブレード部材20Aの間の流路面積が最大となるので、シャッター装置1を通過する気体の流量を最大に調整することができる。
各上側ブレード部材20Aが図6に示す姿勢を採る為には、フレーム部材10に対するリンク部材30の相対的な位置関係が予め定められた状態となる必要がある。又、リンク部材30は、シャフト部材35の回転動作に連動して、フレーム部材10に対してスライド移動する。この為、シャッター装置1が開状態にある場合、フレーム部材10、リンク部材30及びシャフト部材35の相対的な位置関係が、図6に示す予め定められた状態になる。
具体的には、シャッター装置1が開状態である場合、リンク取付部37における軸部37Aは、シャフト連動部33の挿通部34内において、車両左側の内壁面に接触した状態となる。これにより、シャフト部材35の回転動作による荷重は、リンク部材30を車両左側へスライド移動させるように作用することになる。この開状態において、リンク取付部37のアーム部37Bは、シャフト部材35の回転中心Oから左側後方に向かって伸びる状態となる。
そして、当該シャッター装置1において、シャフト部材35の補強取付部38は、リンク取付部37と同様の姿勢をとる。従って、シャッター装置1が開状態である場合、補強取付部38のアーム部38Bは、図7に示すように、シャフト部材35の回転中心Oから左後方に向かって伸びる状態となる。
上述したように、補強部材40は、その両端に配置されたシャフト連結部42と当該補強取付部38の軸部38Aによって、シャフト部材35に対して回動可能に連結されている。そして、補強取付部38の軸部38Aは、シャフト部材35の回転中心Oから左側後方に位置している。
この為、補強部材40の補強本体部41は、各上側ブレード部材20Aの車両後方側(つまり、通風方向下流側)において、車両左右方向に沿って伸び、各ブレード本体部21から離間した位置に配置される
尚、アーム部38Bの中心軸が示す線は、シャフト部材35の回転中心Oと軸部38Aの中心を結ぶ線分であり、以下の説明では、開状態における当該線分を第1基準線LAと呼ぶ。当該第1基準線LAは、開状態におけるシャフト部材35の状態を示している。
次に、シャッター装置1の閉状態について、図面を参照しつつ説明する。図8は、閉状態にあるシャッター装置1のリンク部材30等の位置関係を示す断面図であり、図6と同一の断面にて、シャッター装置1を水平に切断した断面を示している。そして、図9は、閉状態にあるシャッター装置1の補強部材40等の位置関係を示す断面図であり、図7と同一の断面にて、シャッター装置1を水平方向に切断した断面を示している。
上述した開状態から閉状態に変更する場合には、アクチュエータ50の作動を制御し、シャフト部材35を予め定められた閉方向(図8中、反時計まわり)へ回転させる。この閉方向に係るシャフト部材35の回転方向が上述した回転方向に相当する。シャフト部材35の閉方向への回転に伴って、リンク取付部37は、リンク部材30の挿通部34内を移動する。
これにより、リンク取付部37の軸部37Aは、シャフト連動部33の挿通部34内において、車両右側の内側壁面に接触する。この結果、シャフト部材35の閉方向への回転による荷重が、シャフト連動部33を介してリンク部材30に伝達され、シャフト部材35の回転に伴って、リンク部材30を車両右側へ徐々にスライド移動させる。
そして、リンク部材30が車両右側へスライド移動していくことで、各ブレード部材20の連結軸25は、当該ブレード部材20の回動中心である支持軸23に対して移動していく。
これにより、各ブレード部材20は、支持軸23周りに回転していき、図8に示すように、平板状のブレード本体部21が隣り合うブレード本体部21に対して接触する姿勢をとる。この時、フレーム部材10及び各上側ブレード部材20Aの間の流路面積が最小となるので、シャッター装置1は閉状態になる。
図8に示すように、閉状態におけるリンク取付部37のアーム部37Bは、シャフト連動部33の挿通部34内部にて、シャフト部材35の回転中心Oから右側後方に向かって伸びる状態となる。
この閉状態において、補強取付部38のアーム部38Bは、シャフト部材35の回転中心Oから右後方に向かって伸びる状態となる。この為、図9に示すように、補強部材40の補強本体部41は、各上側ブレード部材20Aの車両後方側(即ち、通風方向下流側)において、各ブレード本体部21から離間した位置に配置される。
ここで、図9に示すように、閉状態にてアーム部38Bの中心軸が示す線は、第2基準線LBと定義される。つまり、第1基準線LAと第2基準線LBによって定義される角度は、シャッター装置1を開状態及び閉状態の何れか一方から他方に変更する際のシャフト部材35の回転角度を意味し、第1回転角度αと呼ぶ。
つまり、開状態のシャッター装置1にて、シャフト部材35を第1回転角度αの分、上述した閉方向へ回転させることで、シャッター装置1を閉状態に変更することができる。又、閉状態のシャッター装置1において、シャフト部材35を第1回転角度αの分、閉方向とは逆向きの開方向(図8中、時計回り)に回転させることで、シャッター装置1を開状態に変更することも可能である。
ここで、当該シャッター装置1を図8、9に示す閉状態に切り替えた場合、フロントグリルGからの空気の流れは、各ブレード部材20のブレード本体部21で遮られる。この為、各ブレード部材20には、車両前方側から後方へ流れる空気による圧力が作用して、車両後方側(即ち、通風方向下流側)へ撓んでしまうことが考えられる。
閉状態にて各ブレード部材20に生じた撓みは、各ブレード部材20の塑性変形を誘発してしまい、閉状態であっても、各ブレード部材20の間に隙間を生じさせてしまう虞がある。即ち、閉状態におけるシャッター装置1の遮風性を低下させてしまうことが考えられる。
特に、当該シャッター装置1のように、車両のフロントグリルGに配置されている場合には、フロントグリルGから車両の走行に伴う走行風がエンジンルーム内に流入することになる。この為、シャッター装置1を閉状態にした場合には、車両の走行に伴うラム圧が各ブレード部材20に作用することになり、ブレード部材20の塑性変形が懸念される。
そこで、当該シャッター装置1は、閉状態において、フロントグリルGから車両後方側へ向かって流れる空気の流れによるブレード部材20の変形を抑制する為に、補強部材40を用いた変形抑制状態を実現している。
そこで、当該シャッター装置1における変形抑制状態について、図面を参照しつつ説明する。図10は、変形抑制状態にあるシャッター装置1のリンク部材30等の位置関係を示す断面図であり、図6、8と同一の断面にて、シャッター装置1を水平に切断した断面を示している。そして、図11は、変形抑制状態にあるシャッター装置1の補強部材40等の位置関係を示す断面図であり、図7、9と同一の断面にて、シャッター装置1を水平方向に切断した断面を示している。
当該シャッター装置1は、閉状態からシャフト部材35を動作させることで、変形抑制状態を実現している。当該変形抑制状態は、閉状態にある各ブレード部材20の変形を抑制する為に、各ブレード部材20を通風方向下流側から補強部材40で支持した状態を意味する。
ここで、閉状態にある各ブレード部材20を通風方向下流側から補強部材40で支持する為には、図9等に示すように、通風方向下流側に位置する補強部材40を、各ブレード部材20に近づけて、各ブレード本体部21に接触させる必要がある。
シャッター装置1の閉状態を維持したまま、補強部材40を各ブレード部材20に近づける為には、閉状態にあるシャフト部材35を更に閉方向(図8中、反時計まわり)へ回転させる必要がある。
当該シャッター装置1では、シャフト部材35の回転動作は、各ブレード部材20に対する補強部材40の移動だけでなく、リンク部材30のスライド移動に連動している。この為、リンク部材30を閉状態から更に車両右側へスライド移動させる場合について、考察する必要がある。
閉状態では、各ブレード部材20のブレード本体部21が隣り合うブレード本体部21と接触した状態となっている為、流路面積を小さくする向きへの各ブレード部材20の回動は制限されている。そして、各ブレード部材20は、連結軸25を介して、リンク部材30に連結されている為、車両右側へ向かうリンク部材30のスライド移動も制限された状態となる。
つまり、変形抑制状態にする為に、閉状態のシャフト部材35を更に閉方向へ回転させる場合には、リンク取付部37との接触によって、リンク部材30を更に車両右側にスライド移動させることなく、シャフト部材35を閉方向へ回転させる点に留意する必要がある。
この点、第1実施形態に係るリンク部材30は、シャフト連動部33の挿通部34に、膨出部34Aを有している。当該膨出部34Aは、挿通部34における車両右側の内壁面を、閉状態から更に閉方向へシャフト部材35が回転した場合に軸部37Aが描く軌跡に従って、車両右側に膨出するように形成されている。
従って、閉状態のシャフト部材35を更に閉方向に回転させた場合には、リンク取付部37の軸部37Aは、シャフト連動部33における膨出部34Aの表面に沿って移動することになる。
これにより、閉状態から更に閉方向へ向かうシャフト部材35の回転動作による荷重の伝達を遮断することができる為、リンク部材30を車両右側へスライド移動させることはない。この結果、図10に示すように、各ブレード部材20を閉状態に維持したまま、閉状態のシャフト部材35を更に閉方向へ回転させることができる。
図9、図11に示すように、閉状態のシャフト部材35を更に閉方向へ回転させることで、補強取付部38の軸部38Aは、閉状態の位置から円弧状の軌跡を描きながら、車両前方側へ移動していく。これにより、補強部材40は、複数のブレード部材20に対し、車両後方側から前方に向かって移動していき、各ブレード部材20のブレード本体部21に対して、車両後方側から接触する。
これにより、閉状態の各ブレード部材20を、通風方向下流側である車両後方側から補強部材40で支持することができるので、閉状態における走行風等に起因するブレード部材20の変形を抑制することができる。
図1等に示すように、各補強部材40は、上下方向におけるブレード部材20の中間部分において、車両左右方向に伸びるように配置されている為、フロントグリルGから導入される走行風等によるブレード部材20の変形を、より効果的に抑制することができる。
又、各ブレード部材20に対して車両後方側から補強部材40で支持する為の荷重は、アクチュエータ50の作動に起因している。換言すれば、アクチュエータ50の作動を制御することで、補強部材40にて各ブレード部材20を支持する荷重の大きさを制御することができる。
この結果、当該シャッター装置1は、例えば、走行風によりブレード部材20に作用する圧力(即ち、ラム圧)の大きさに対応した適切な荷重で、補強部材40で各ブレード部材20を支持することができ、各ブレード部材20の塑性変形を抑制できる。
ここで、図11に示すように、変形抑制状態にてアーム部38Bの中心軸が示す線は、第3基準線LCと定義される。つまり、第1基準線LAと第3基準線LCによって定義される角度は、シャッター装置1を開状態から変形抑制状態変更する際のシャフト部材35の回転角度を意味し、第2回転角度βと呼ぶ。
つまり、閉状態のシャッター装置1にて、シャフト部材35を閉方向へ更に回転させて変形抑制状態に変更する為に必要な回転量は、第2回転角度βから第1回転角度αを減じた分の回転量と定義できる。
以上説明したように、第1実施形態に係るシャッター装置1によれば、アクチュエータ50の作動によってシャフト部材35を回転させることで、リンク部材30をスライド方向に移動させ、複数のブレード部材20について支持軸23を中心として回動させることができる。
これにより、当該シャッター装置1は、フレーム部材10と複数のブレード部材20の間に形成される流路面積を調整して、図6、7に示す開状態と、図8、9に示す閉状態に変更することができる。即ち、シャッター装置1は、当該シャッター装置1を通過する気体の風量を調整することができる。
又、当該シャッター装置1は、閉状態にあるシャフト部材35を更に閉方向へ回転させることで、図10、11に示すように、複数のブレード部材20におけるブレード本体部21に対して、通風方向下流側から補強部材40を接触させた変形抑制状態にすることができる。
ここで、シャッター装置1が閉状態にある場合には流路面積が最小となる為、各ブレード部材20には、通風方向下流側へ流れる気体による圧力(風圧)が作用し、ブレード部材20の塑性変形を生じさせることが想定される。
当該シャッター装置1によれば、閉状態にある複数のブレード部材20のブレード本体部21に対して、補強部材40を通風方向下流側から接触させることができる為、各ブレード部材20を補強部材40にて通風方向下流側から支持することができる。
これにより、当該シャッター装置1は、閉状態におけるブレード部材20に関して、通風方向下流側へ流れる風圧による変形量を、補強部材40との接触によって抑制することができ、閉状態におけるシャッター装置の遮風性を向上させることができる。
又、当該シャッター装置1において、シャフト部材35は、アクチュエータ50の作動による回転動作の回転中心Oに沿って伸びるシャフト本体部36と、当該シャフト本体部36から偏心して配置された軸部37Aを含むリンク取付部37を有している。
そして、リンク部材30には、シャフト部材35の回転動作にリンク部材30のスライド移動を連動させる為のシャフト連動部33が形成されている。当該シャフト連動部33の挿通部34には、シャフト部材35のリンク取付部37が挿通されている。
第1実施形態に係るシャフト連動部33の挿通部34は、図7、図9に示すように、開状態から閉状態に変更する際のシャフト部材35の回転に伴い、リンク取付部37の軸部37Aと接触するように構成されている。
これにより、閉状態になる際のシャフト部材35の回転動作による荷重は、リンク部材30に伝達され、当該リンク部材30をスライド移動させることができる。つまり、シャフト部材35の回転に連動して、リンク部材30をスライド移動させることができ、開状態と閉状態に変更することができる。
又、当該シャフト連動部33には膨出部34Aが形成されている為、閉状態のシャフト部材35を更に閉方向へ回転させた場合には、リンク取付部37の軸部37Aは、膨出部34Aの表面に沿って移動する。
つまり、シャフト連動部33は、閉状態のシャフト部材35を更に閉方向へ回転させた場合の荷重をリンク部材30に伝達させることなく、閉方向に回転させることができる。これにより、当該シャッター装置1は、各ブレード部材20を閉状態としたままで、シャフト部材35を閉方向に更に回転させることができ、各ブレード部材20の通風方向下流側から、補強部材40を確実に接触させることができる。
そして、当該シャッター装置1によれば、変形抑制状態において、補強部材40を通風方向下流側から接触させることで、各ブレード部材20のブレード本体部21を相互に密着させることができる。この為、当該シャッター装置1は、閉状態における遮風性を更に向上させると共に、各ブレード部材20の間に隙間がある場合に生じていた自励振動を抑制することができる。
又、当該シャッター装置1によれば、閉状態で各ブレード部材20やリンク部材30が凍結してしまった場合でも、変形抑制状態にする為のシャフト部材35の回転動作を行うことで、凍結箇所の氷を壊すことができる。つまり、シャッター装置1は、閉状態時における凍結を解消する一つの作動態様として、変形抑制状態を利用することができる。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。第2実施形態に係るシャッター装置1は、第1実施形態に係るシャッター装置1の一部構成を変更したものである。尚、図12~図14では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
第2実施形態に係るシャッター装置1では、シャフト連動部33の構成が第1実施形態と相違している。即ち、第2実施形態における他の構成は、基本的に第1実施形態と同様である為、その説明を省略する。
図12~図14に示すように、第2実施形態に係るシャフト連動部33は、リンク部材30の端部において、車両前方側が開放され、上下方向に伸びる溝状に形成されている。溝状のシャフト連動部33の内部は、挿通部34を構成しており、当該挿通部34の内部には、シャフト部材35のリンク取付部37が挿通される。
そして、溝状のシャフト連動部33における車両右側には、当接部34Bが配置されている。当該当接部34Bにおける前後方向の長さは、溝状のシャフト連動部33の車両左側の壁部よりも短く構成されている。
図12に示すように、第2実施形態に係るシャッター装置1では、シャフト連動部33の当接部34Bは、閉状態である場合にリンク取付部37の軸部37Aに接触するように構成されている。
これにより、開状態から閉状態への変更に際し、シャフト部材35の回転動作による荷重がリンク部材30に対して伝達される為、リンク部材30のスライド移動及び各ブレード部材20の回動動作を、シャフト部材35の回転動作に連動させることができる。
図13に示すように、第2実施形態において、閉状態から更に閉方向へシャフト部材35が回転し、変形抑制状態になった場合、リンク取付部37の軸部37Aは、シャフト連動部33における当接部34Bの先端よりも車両前方側に位置する。
即ち、閉状態から変形抑制状態に移行する過程で、リンク取付部37の軸部37Aがシャフト連動部33の当接部34Bに当接した状態から、リンク取付部37の軸部37Aがシャフト連動部33の当接部34Bに当接することなく、シャフト部材35の回転に伴って車両前方側へ移動可能な状態に変化する。
これにより、閉状態から更に閉方向へシャフト部材35を回転させたとしても、リンク取付部37の軸部37Aは、リンク部材30に接触することはない。即ち、シャフト部材35の回転による荷重が、リンク部材30に伝達されることはなく、リンク部材30のスライド移動及び各ブレード部材20の回動も生じることはない。
従って、第2実施形態に係るシャッター装置1においても、閉状態のシャフト部材35を閉方向へ更に回転させた場合に、各ブレード部材20の閉状態を維持したまま、各ブレード部材20に対して、車両後方側から補強部材40を接触させることができる。
以上説明したように、第2実施形態に係るシャッター装置1によれば、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
即ち、閉状態になる際の閉方向へのシャフト部材35の回転動作の荷重をリンク部材30に伝達させる一方で、閉状態から変形抑制状態にする為に閉方向へ更に回転させた場合のシャフト部材35の回転動作に係る荷重を、リンク部材30に伝達させないようにすることができれば、リンク部材30のシャフト連動部33の構成として、種々の態様を採用することができる。
第2実施形態に係るシャッター装置1のように、図12~図14に示すシャフト連動部33の構成を採用しても良い。
(他の実施形態)
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した各実施形態を適宜組み合わせても良いし、上述した実施形態を種々変形することも可能である。
(1)上述した実施形態においては、シャッター装置1は、図1に示すように、気体が通過するフレーム部材10の開口部として、4つの開口部を有する構成としていたが、この態様に限定されるものではない。シャッター装置1にて空気が通過する為の開口部を有していれば、フレーム部材10の構成態様としては、種々の態様を採用できる。
(2)又、上述した実施形態においては、シャッター装置1は、複数のブレード部材20を車両上下方向に沿って伸びるように支持し、リンク部材30を車両左右方向へスライド移動させることで、シャッター装置1における通風量を調整していたが、この構成に限定されるものではない。
即ち、本発明に係るシャッター装置を、複数のブレード部材20を車両左右方向に沿って伸びるように支持させ、リンク部材30を車両上下方向にスライド移動させる構成とすることも可能である。
(3)そして、上述した実施形態においては、補強部材40は、各ブレード部材20よりも剛性の高い材料にて構成されていたが、この態様に限定されるものではない。補強部材40としての剛性が、各ブレード部材20よりも高い状態であれば良く、例えば、補強部材40の断面形状を変更することで、当該補強部材40の剛性を高めても良い。