JP7070067B2 - テトラヒドロほう酸塩の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、テトラヒドロほう酸塩の製造方法に関する。
ほう酸塩を水素化することによりテトラヒドロほう酸塩を製造する方法として、約550℃、2.3MPaの水素雰囲気下で、メタほう酸ナトリウム粉末とマグネシウム粉末とを2時間程度反応させる方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)。また、別の方法として、約300℃、1MPaの水素雰囲気下で、メタほう酸ナトリウム粉末と粒状アルミニウムとを、粒状アルミニウムを圧延粉砕しながら1時間程度反応させる方法が知られている(例えば、特許文献2)。
特開2004-224684号公報 国際公開第2015/190403号
これらの特許文献に記載された技術では、還元金属であるマグネシウムやアルミニウムを消耗材として消費するため、産業応用した場合には非常に高コストなプロセスを含むこととなる。
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、より低コストなテトラヒドロほう酸塩の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係るテトラヒドロほう酸塩の製造方法は、ほう酸塩及び炭素系還元剤を含む被処理物に対し、水素を構成元素として含有するガス雰囲気中で、粉砕メディアを用いてメカノケミカル処理を施すメカノケミカル処理工程を備えるものである。
一実施形態において、メカノケミカル処理工程は、下記式(A)で表されるEが150kJ・s/kg超となるようにして実施してもよい。
E=1/2m・t/m (A)
式(A)中、Eは被処理物の単位重量当たりの粉砕エネルギーの時間積(kJ・s/kg)、mは粉砕メディアの総重量(kg)、vは粉砕メディアの速度(m/s)、mは被処理物の重量(kg)、tは処理時間(s)、をそれぞれ示す。
一実施形態において、処理時間tは1500~36000(s)であってもよい。
一実施形態において、上記製造方法は、メカノケミカル処理工程前に、ほう酸塩を加熱する予備加熱工程をさらに備えていてもよい。
一実施形態において、メカノケミカル処理工程が、高温反応場を生じさせる第一の処理工程と、低温反応場を生じさせる第二の処理工程とを備えていてもよい。その際、高温反応場及び低温反応場の温度差は200℃以上とすることができる。
一実施形態において、第一の処理工程が800℃以上の反応場を生じさせる工程であってもよい。
一実施形態において、第二の処理工程が600℃以下の反応場を生じさせる工程であってもよい。
一実施形態において、ほう酸塩の平均粒子径は1mm以下であってもよい。
一実施形態において、ほう酸塩はメタほう酸ナトリウムであってもよい。
一実施形態において、上記製造方法は、メカノケミカル処理工程前に、テトラヒドロほう酸塩と水とを反応させてほう酸塩を得るほう酸塩調製工程をさらに備えていてもよい。
本開示によれば、より低コストなテトラヒドロほう酸塩の製造方法を提供することができる。本開示の製造方法は産業応用に非常に適していると言える。
テトラヒドロほう酸塩の製造装置を示す模式図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
<テトラヒドロほう酸塩の製造方法>
本実施形態に係るテトラヒドロほう酸塩の製造方法は、ほう酸塩及び炭素系還元剤を含む被処理物に対し、水素(H)を構成元素として含有するガス雰囲気中で、粉砕メディアを用いてメカノケミカル処理を施すメカノケミカル処理工程を備えるものである。
(メカノケミカル処理工程)
発明者らが先行文献の知見に基づき、コストを低減するべく、単にアルミニウムを炭素系材料に置き換えて検討をしたところ、メタほう酸ナトリウムを水素化して水素化ほう素ナトリウムを製造することができないことが判明した。この理由は定かではないが、発明者らは次のように推察している。以下、水素(H)を構成元素として含有するガスとして水素ガスを、ほう酸塩としてメタほう酸ナトリウム(NaBO)を、炭素系還元剤として黒鉛をそれぞれ用いた場合を例にとり説明する。
この場合、本工程では以下の2つの化学反応が生じると考えられる。
NaBO+2C+2H→NaBH+2CO (1)
NaBO+2CO+2H→NaBH+2CO (2)
上記反応では、具体的には、まず、メカノケミカル反応によって炭素表面に生じたプラスイオンと水素とが接触して炭化水素となり、プロタイド(H)が生成すると考えられる。また、メタほう酸ナトリウムのB-O結合の解離エネルギーよりも、炭素と酸素との結合エネルギーの方が高いため、ほう酸原子に結合している酸素が炭素により解離され、代わりにプロタイドが置換結合する。これにより、二酸化炭素とテトラヒドロほう酸ナトリウム(NaBH)を得ることができる。
このように、上記化学反応においては第一段階として炭化水素が生成することが重要である。しかしながら、先行文献の開示内容や、一般的に最適と考えられているメディア型粉砕処理の各種条件に基づきこの反応を進行させようとしても、必要とするこの炭化水素がそもそも生成されていない可能性があると考えた。そこで、炭化水素を生じさせるべく試行錯誤を重ねた結果、処理条件を従来よりも苛酷にすることが極めて重要であることを見出し、下記式(A)を規定するに至った。アルミニウムやマグネシウムに代えて炭素を還元剤として用い、テトラヒドロほう酸塩を得ることができると言うことは、コスト低減の観点から非常に大きなメリットである。
なお、炭素系還元剤を用いる系では、最終的には二酸化炭素(CO)が生成される。二酸化炭素は常温常圧下で気体であるため、本工程終了後に固体であるテトラヒドロほう酸塩から容易に分離することができる。常温常圧下で固体の化合物が生成されるマグネシウムやアルミニウムを用いた場合に比べ、製造効率及びコストを大幅に向上することができる。
水素(H)を構成元素として含有するガスとしては、例えば、水素ガス、炭化水素ガス、NHガス等が挙げられる。なお、予め炭化水素(CH、C、C等)を用いることで、プロタイドを容易に供給できる。これにより、製造効率をより向上することができる。
メカノケミカル処理工程は、具体的には、下記式(A)に示されるように、被処理物の単位重量当たりの粉砕エネルギーの時間積Eが150kJ・s/kg超となるようにして実施することができる。これにより炭素と水素とが反応して炭化水素が生じ、その結果としてテトラヒドロほう酸塩を得ることができる。
E=1/2m・t/m (A)
E:被処理物の単位重量当たりの粉砕エネルギーの時間積(kJ・s/kg)
:粉砕メディアの総重量(kg)
v:粉砕メディアの速度(m/s)
:被処理物の重量(kg)
t:処理時間(s)
上記エネルギーの時間積Eは250kJ・s/kg以上であってもよく、500kJ・s/kg以上であってもよい。また、Eの上限は特に限定されないが、長時間処理による生産性低下、生産コスト上昇等を抑制する観点からは、4000kJ・s/kgとすることができる。
上記式(A)中、m:粉砕メディアの総重量、v:粉砕メディアの速度、m:被処理物の重量、及びt:処理時間は、所望のE値を得られるように適宜調整することができる。いずれも特に限定されるものではないが、例えばmは5~15000kgとすることができ、vは5~30m/sとすることができ、mは0.5~2000kgとすることができ、tは1500~36000sとすることができる。なお、tは1800~10000sであってもよく、1800~5000sであってもよい。ただし、これらの数値範囲はあくまでも一例にすぎず、メカノケミカル処理に使用する機器の規模等に応じて調整可能である。
粉砕メディアの材質は、クロム鋼、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、窒化珪素、珪石、チタニア、タングステン、等が挙げられる。また、粉砕メディアの平均径は2~500mmとすることができる。粉砕メディアとしては球状であるものが好ましく、真球であってもよい。粉砕メディアが真球状に近いほど、粉砕メディアと被処理物とが衝突する際に局所的高エネルギー場が発生し易い。
炭素系還元剤の材質は、黒鉛、石墨、カーボンブラック、活性炭、木炭、石炭、コークス等の炭素系材料が挙げられる。また、炭素系還元剤の平均粒子径は0.1~300mmとすることができる。炭素系還元剤は粒子状(球状)とすることができるが、円柱状や扁平形状等の形状であってもよい。なお、炭素系還元剤が円柱状や扁平形状である場合は、炭素系還元剤の長軸方向の長さを、炭素系還元剤の粒子径とすればよい。
粉砕メディアの平均径に対する炭素系還元剤の平均粒子径の比(炭素系還元剤の平均粒子径/粉砕メディアの平均径)は1/3以下とすることができ、1/10以下であってもよい。当該比の下限は、微小サイズの炭素系還元材の入手性及びコストの観点から、1/5000とすることができる。このように、炭素系還元剤が粉砕メディアよりも充分に小さいことで、上記の局所的高エネルギー場に巻き込まれ易くなる。
粉砕メディアの全容積に対する被処理物の全容積の比は0.01~1.5とすることができ、0.05~1であってもよい。
メカノケミカル処理工程を実施する手段としては、例えばボールミルが挙げられる。ボールミルは粉砕処理効率が高く、メカノケミカル効果を効率よく生じさせることができる。これによりテトラヒドロほう酸塩を高速に製造することができ、製造コストを低く抑えることができる。同時に、ボールミルによれば大量粉砕処理が可能であるため、テトラヒドロほう酸塩を大量に製造することができ、製造コストを低く抑えることができる。なお、ボールミル装置は粉砕処理装置として一般的に広く使用されており、比較的簡便な装置構成でメカノケミカル処理が可能であるため、装置コスト及び運用コスト共に安価に抑えることができる。
なお、本実施形態において、ボールミルとは広義のボールミル(粉体工学便覧第2版参照)を意味し、いわゆる転動ボールミル(ポットミル、チューブミル及びコニカルミル)、振動ボールミル(円振動型振動ミル、旋回型振動ミル及び遠心ミル)、並びに遊星ミルを含む概念である。
メカノケミカル処理の条件は特に限定されず、上記式(A)を満たす範囲において適宜調整することができる。例えばボールミルの場合、容器の回転数は10~180回転/分とすることができる。また、処理時間tは上記のとおりである。
メカノケミカル処理工程は、ほう酸塩を加熱しながら実施することができる。本工程においては、ほう酸塩に対するメカノケミカル処理により、ほう酸塩から解離した酸素と雰囲気水素とが反応して水が生じる。そのため、ほう酸塩を加熱しながらメカノケミカル処理を実施することで、生成した水と、ほう酸塩が水素化されて生じるテトラヒドロほう酸塩とが反応してしまうことをより抑制し易くなる。加熱温度は100~500℃とすることができる。
メカノケミカル処理工程は、二段階処理とすることができ、高温反応場を生じさせる第一の処理工程と、低温反応場を生じさせる第二の処理工程を備えることができる。ここでいう高温反応場及び低温反応場は、処理雰囲気の温度に基づくものではなく、メカノケミカル処理により粉砕メディア及び被処理物の周囲に生じる局所的な温度に基づくものである。
第一の処理工程は、800℃以上の反応場を(局所的に)生じさせる工程であってもよい。このような高温反応場では、ほう酸塩から解離した酸素と炭素系還元剤の炭素とが反応して一酸化炭素を生成する反応が優先して進行し易い。第一段階として系内に一酸化炭素を生成することにより、処理効率がより向上する。高温反応場の温度は900℃以上であってもよい。高温反応場の温度上限は特に制限されないが、1400℃とすることができる。高温反応場を生じさせるためには、例えば処理雰囲気の温度を高くしたり、粉砕条件を高エネルギー側にシフトしたりすればよい。処理雰囲気の温度の観点からは、例えば第一の処理工程は、ほう酸塩を100~500℃で加熱しながら実施することができる。
第二の処理工程は、600℃以下の反応場を(局所的に)生じさせる工程であってもよい。このような低温反応場では、ほう酸塩から解離した酸素と一酸化炭素の炭素とが反応して二酸化炭素を生成する反応が進行し易い。低温反応場の温度は500℃以下であってもよい。低温反応場の温度下限は特に制限されないが、20℃とすることができる。低温反応場を生じさせるためには、例えば処理雰囲気の温度を低くしたり、粉砕条件を低エネルギー側にシフトしたりすればよい。処理雰囲気の温度の観点からは、例えば第二の処理工程は、ほう酸塩を常温(20℃)~100℃未満で(必要に応じ)加熱しながら実施することができる。
高温反応場と低温反応場との反応場の温度差は200℃以上とすることができるが、300℃以上であってもよい。
第一及び第二の処理工程における局所的な反応場の温度は、エリンガム線図に基づく次に示す方法により判定することができる。ほう酸塩及び炭素系還元剤を含む被処理物に対し、水素を構成元素として含有するガス雰囲気中で、粉砕メディアを用いてメカノケミカル処理を施した場合に、炭素系還元材の重量が減少して一酸化炭素の重量が増加する反応が生じるときには、局所的な反応場の温度が800℃以上であるといえる。これはエリンガム線図にて、800℃以上の反応場では炭素が一酸化炭素に変化する酸化反応が他の酸化反応に優先することが示されていることによるものである。一方で、ほう酸塩及び一酸化炭素を除く炭素系還元剤を含む被処理物に対し、水素を構成元素として含有するガス雰囲気中で、粉砕メディアを用いてメカノケミカル処理を施した場合に、水素を構成元素として含有するガスの重量が減少して水の重量が増加する反応が生じるときには、局所的な反応場の温度が600℃以下であるといえる。これはエリンガム線図にて、600℃以下の反応場では水素が水に変化する酸化反応が、他の酸化反応に優先することが示されていることによるものである。さらには、ほう酸塩及び一酸化炭素及びその他炭素系還元剤を含む被処理物に対し、水素を構成元素として含有するガス雰囲気中で、粉砕メディアを用いてメカノケミカル処理を施した場合に、一酸化炭素の重量が減少して二酸化炭素の重量が増加する反応が生じるときには、局所的な反応場の温度が600℃以下であるといえる。これはエリンガム線図にて、600℃以下の反応場では一酸化炭素が二酸化炭素に変化する酸化反応が、他の酸化反応に優先することが示されていることによるものである。
ほう酸塩は、吸湿剤と共にメカノケミカル処理に供されてもよい。吸湿剤としては、生石灰、シリカゲル、ベントナイト、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。これにより、上記のとおりメカノケミカル処理により生じる水を除去することができるため、メカノケミカル処理効率をより向上させることができる。
(予備加熱工程)
本実施形態に係る製造方法は、メカノケミカル処理工程前に、ほう酸塩を加熱する予備加熱工程をさらに備えていてもよい。本工程により、ほう酸塩水和物が結晶水として含んでいる水を予め除去することができる。そのため、メカノケミカル処理工程において無用の水分が存在せず、メカノケミカル処理効率を向上でき、テトラヒドロほう酸塩を製造する速度を速めることができる。
予備加熱工程は、ほう酸塩の種類や量に依るが、例えば40~300℃にて0.1~1時間の条件にて実施することができる。
(ほう酸塩調製工程)
本実施形態に係る製造方法は、メカノケミカル処理工程前に(かつ予備加熱工程を設ける場合は当該予備加熱工程前に)、テトラヒドロほう酸塩と水とを反応させてほう酸塩を得る工程をさらに備えていてもよい。テトラヒドロほう酸塩を水素キャリアとして用い、水素の需要場にてテトラヒドロほう酸塩に水を加えることにより水素を取出して使用した後、その化学反応において生じた残渣であるほう酸塩を水素供給場に戻して再度水素化することで、テトラヒドロほう酸塩を再生することができる。脱水素と再水素化を繰り返し生じさせて水素を輸送貯蔵できるので、安価に水素を輸送貯蔵することが可能になる。例えば、テトラヒドロほう酸塩としてテトラヒドロほう酸ナトリウムを用いた場合、本工程にて以下の反応(4)が生じると考えられる。
NaBH+2HO→NaBO+4H (4)
<ほう酸塩及びテトラヒドロほう酸塩>
(ほう酸塩)
ほう酸塩としては、例えばメタほう酸塩、四ほう酸塩、五ほう酸塩等のほう酸塩が挙げられる。メタほう酸塩としては、例えばNaBO、KBO、LiBO、Ca(BO、Mg(BO等が挙げられる。四ほう酸塩としては、例えばNa、NaO・2BO、KO・B、Li、Mg等が挙げられる。五ほう酸塩としては、例えばNaB、NaO・5B、KB、KO・5B、LiB等が挙げられる。また、天然のほう酸塩鉱物であるNa・10HO、Na・4HO、Ca11・5HO、CaNaB・6HO、MgCl1730等を用いることもできる。入手容易性、入手コスト、化学的安定性、水素脱着容易性、水素貯蔵密度等の観点からは、ほう酸塩としてメタほう酸ナトリウムを用いてもよい。
ほう酸塩は、メカノケミカル処理効率をより向上するという観点から粉末状とすることができる。その際、ほう酸塩の平均粒子径は、1mm以下とすることができ、500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。下限は特に限定されないが、5μmとすることができる。
(テトラヒドロほう酸塩)
テトラヒドロほう酸塩としては、上記に例示したほう酸塩に対応する水素化物が挙げられる。例えば、ほう酸塩としてメタほう酸塩を用いた場合、NaBH、KBH、LiBH、Ca(BH、Mg(BH等が挙げられる。
<テトラヒドロほう酸塩の製造装置>
図1は、テトラヒドロほう酸塩の製造装置の一例を示す模式図である。図1に示す装置100は、円筒状の反応容器10、反応容器10の両端面のそれぞれの中心部に連結された第一シャフト(ボールミルシャフト)11、各第一シャフト11を回転可能な状態に支持する軸受12、及び軸受12を支持する架台13を備えるミル機構と、駆動モーター20、及び駆動モーター20の駆動力により回転する第二シャフト(モーターシャフト)21を備えるモーター機構と、を備える。また、駆動ベルトBが、第一シャフト及び第二シャフトがそれぞれ備えるプーリー(図では駆動ベルトB裏部にあるため点線にて表記)の外周に掛けられている。第二シャフト21の回転力は、駆動ベルトBを介して第一シャフト11の一方に伝えられる。これにより、第一シャフト11に連結されている反応容器10が回転する。
反応容器10は円筒状の耐熱及び耐圧容器であり、内部を密閉可能となっている。反応容器10の材質は、ほう酸塩の水素化反応に影響を及ぼさず、水素脆化の影響が少ない金属材料(鋼材)とすることができる。反応容器10内の雰囲気(温度、ガス圧等)は、雰囲気調整機構(図示せず)により適宜調整することができる。なお、反応容器10内には被処理物(ほう酸塩30、炭素系還元剤31、粉砕メディア32等)が収容されている。容器内部では、反応容器10の回転により粉砕メディア32による摩砕力及び衝撃力が発生する。これにより、ほう酸塩30がメカノケミカル処理され、テトラヒドロほう酸塩を得ることができる。
以下、実施例により本開示をさらに詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1に示す装置を用いて、テトラヒドロほう酸塩の製造を行った。ほう酸塩としてNaBO・4HO(メタほう酸ナトリウム四水和物)(キシダ化学株式会社製、含量98質量%)を準備した。これをボールミルで粉砕処理しながら160℃で15分間加熱して結晶水を除去し、NaBO(無水メタほう酸ナトリウム)を得た。得られたNaBOの平均粒子径は100μmであった。平均粒子径はデジタルマイクロスコープにより測定した。また、炭素系還元剤として活性炭を準備した。炭素系還元剤は粒状であり、平均粒子径は3.5mmであった。
次に、NaBHを40kg生成することを想定し、反応容器10内にNaBO、炭素系還元剤、及び粉砕メディア(平均径30mmクロム鋼球)を所定量入れ、反応容器10内を真空引きした。これにより反応容器10内の空気(酸素)を排気し、その後水素を注入した。
駆動モーター20の電源を入れ、反応容器10の回転を開始した。反応容器10の回転中は反応容器10内を300℃に加熱するとともに、水素を循環フロー注入した。循環フローにより取り出された反応容器10内雰囲気は冷却コンデンサにより処理され、水分と水素・一酸化炭素の混合気体とを分離した後、水素・一酸化炭素の混合気体を反応容器10内に再注入した。被処理物の単位重量当たりの粉砕エネルギーの時間積E(kJ・s/kg)が所定値のおよそ半分になるまで、反応容器10の回転を継続した。反応容器10内における一酸化炭素濃度の増加は、一酸化炭素濃度計(新コスモス電機株式会社製、XP-3160)により確認した。エリンガム線図によると、この工程では、粉砕メディアの衝突によって発生する局所的高エネルギー反応場において、800℃以上の反応温度が得られていたと考えられる。
次に、水素・一酸化炭素の混合気体を継続的に循環フロー注入しつつ、反応容器10内を常温(20℃)にした。循環フローにより取り出された反応容器10内雰囲気は冷却コンデンサにより処理され、水分と水素・一酸化炭素・二酸化炭素の混合気体とを分離した後、水素・一酸化炭素・二酸化炭素の混合気体を反応容器10内に再注入した。被処理物の単位重量当たりの粉砕エネルギーの時間積E(kJ・s/kg)が所定値になるまで、反応容器10の回転を継続した。反応容器10内における二酸化炭素濃度の増加は、二酸化炭素濃度計(新コスモス電機株式会社製、XP-3140)により確認した。エリンガム線図によると、この工程では、粉砕メディアの衝突によって発生する局所的高エネルギー反応場において、600℃以下の反応温度が得られていたと考えられる。
その後、回転を停止し、処理後の被処理物を取り出した。被処理物から、テトラヒドロほう酸ナトリウムと、粉砕メディアとを分離した後、所望のテトラヒドロほう酸ナトリウムを得た。なお、以上の実験条件の詳細を以下の表1に示す。
Figure 0007070067000001
表中、水素化率(転化率)は、次のように算出した。まず、処理後の被処理物中に含まれるテトラヒドロほう酸ナトリウムを加水分解し、それにより生成した水素を定量した。水素量は、生成した気体容積を測定したうえで、気体を窒素にて200倍希釈したものを水素検知管(光明理化学工業株式会社製、測定濃度範囲0.05~0.8%)で測定した水素濃度から算出した。そして、100%転化した場合の水素量を基準とし、上記のように定量された水素量から、水素化率を算出した。
10…反応容器、11…第一シャフト、12…軸受、13…架台、20…駆動モーター、21…第二シャフト、30…ほう酸塩、31…炭素系還元剤、32…粉砕メディア、100…テトラヒドロほう酸塩の製造装置、B…駆動ベルト。

Claims (9)

  1. ほう酸塩を加熱して結晶水を除去する予備加熱工程と、
    結晶水を除去した前記ほう酸塩及び炭素系還元剤を含む被処理物に対し、水素を構成元素として含有するガス雰囲気中で、粉砕メディアを用いてメカノケミカル処理を施すメカノケミカル処理工程と、を備える、テトラヒドロほう酸塩の製造方法。
  2. 前記メカノケミカル処理工程が、下記式(A)で表されるEが150kJ・s/kg超となるようにして実施される、請求項1に記載の製造方法。
    E=1/2m・t/m (A)
    [式(A)中、Eは被処理物の単位重量当たりの粉砕エネルギーの時間積(kJ・s/kg)、mは粉砕メディアの総重量(kg)、vは粉砕メディアの速度(m/s)、mは被処理物の重量(kg)、tは処理時間(s)、をそれぞれ示す。]
  3. 前記処理時間が1500~36000(s)である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記メカノケミカル処理工程が、高温反応場を生じさせる第一の処理工程と、低温反応場を生じさせる第二の処理工程とを備え、前記高温反応場及び前記低温反応場の温度差が200℃以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記第一の処理工程が800℃以上の反応場を生じさせる工程である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記第二の処理工程が600℃以下の反応場を生じさせる工程である、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 前記ほう酸塩の平均粒子径が1mm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記ほう酸塩がメタほう酸ナトリウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記予備加熱工程前に、テトラヒドロほう酸塩と水とを反応させてほう酸塩を得るほう酸塩調製工程をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
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