JP7068585B2 - バイポーラ型金属空気電池、空気極製造方法、及び、集電体製造方法 - Google Patents

バイポーラ型金属空気電池、空気極製造方法、及び、集電体製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、バイポーラ型金属空気電池と、バイポーラ型金属空気電池の空気極及び集電体の製造方法とに関する。
従来、使い捨て一次電池としてアルカリ電池、マンガン電池などが広く使用されている。また、近年IoT(Internet of Things)の発展において、土壌や森の中など自然界のあらゆる所に設置して用いるばらまき型センサーの開発も進んでおり、これらのセンサーなど様々な用途に対応した小型の高性能なコイン型リチウム一次電池が普及している。
しかしながら、現在一般に用いられている使い捨て電池は、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどのレアメタル金属で構成されている場合が多く、資源枯渇の問題がある。また、電解液として、水酸化ナトリウム水溶液などの強アルカリや有機電解液が使用されているため、最終的な処分が容易ではないという問題がある。また、例えば土壌に埋め込むようなセンサーの駆動源として使用する場合など、使用する環境によっては、周辺環境に影響が懸念される。
上述したような問題を解決するために、低環境負荷な電池になりうる候補として空気電池が挙げられる。空気電池は、正極活物質に酸素と水を用い、負極にマグネシウム、鉄、アルミニウム、亜鉛などの金属を用いることから、土壌汚染等への影響や生態系への影響も低い。また、これらは資源的に豊富な材料であり、レアメタルと比較し安価である。こうした金属空気電池は、環境負荷の低い電池として研究開発が進められている。例えば、マグネシウム空気電池は、環境負荷軽減に配慮した非常用電源として販売されている。(非特許文献1参照)。
しかし、レアメタル等の環境負荷物質を用いずに電池を構成すると、電池単体としての性能が低いという課題があった。電池性能を向上するためには、電池単体を複数組み合わせて電池の高電圧化や、大容量化の試みがなされており、セル間接続の抵抗低減が可能でコンパクト化が期待できるバイポーラ電極ユニットを採用した電池の提案がなされている(非特許文献2参照)。
古河電池株式会社、"非常用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)シリーズ」がグリーン購入法適合品になりました。"、[online]、[2018年11月15日検索]、インターネット〈URL:https://corp.furukawadenchi.co.jp/ja/news/news-4202993417749662430.html> 財団法人三重県産業支援センター北勢支所、"「バイポーラ型積層電池」の試作開発に成功"、[online]、[2018年11月15日検索]、インターネット〈URL:http://www.miesc.or.jp/amic/cityarea/news/n110214/index.htm>
しかしながら、低環境負荷な材料から構成される金属空気電池においてバイポーラ構造をとると、集電体に金属箔を用いた場合と比較して電解液の遮断性が低く、集電体に染み込むことで液絡を起こしたり、負極と集電体間に負極の放電生成物である金属水酸化物等が析出したりする。これにより、反応の進行とともに放電生成物が電池間の電気的な接続を阻害し、接触抵抗が大きくなってしまうという課題があった。
本発明では、上記課題に鑑みてなされたものであり、低環境負荷を維持しつつ、バイポーラ型金属空気電池の性能向上を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、バイポーラ型金属空気電池であって、 複数のナノ構造体が非共有結合で一体化した三次元ネットワーク構造の共連続体で構成される空気極と、負極と、前記空気極と前記負極との間に配置された電解質とを備える、複数の電池と、複数の前記電池の間に配置される集電体と、を備え、複数の前記電池は、電気的に直列接続され、前記集電体は、生分解性材料を用いて前記負極と密着している。
上記バイポーラ型金属空気電池において、前記集電体は、カーボン、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄、カルシウムの少なくとも一種からなるクロス、フェルト、箔または板から構成されていてもよい。
上記バイポーラ型金属空気電池において、前記空気極のナノ構造体は、カーボン、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、硫化モリブデンのうち少なくとも一種で構成されたナノシート、又は、カーボン、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、硫化モリブデン、セルロースのうち少なくとも一種で構成されたナノファイバーであってもよい。
上記バイポーラ型金属空気電池において、前記電解質は、塩化物、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、ピロリン酸塩、メタリン酸塩のうち一種以上で構成されていてもよい。
上記バイポーラ型金属空気電池において、前記負極は、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉄、亜鉛のうち一種以上で構成されていてもよい。
上記バイポーラ型金属空気電池において、前記空気極は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンのうち少なくとも1つの金属、又は、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンのうち少なくとも1つの金属の酸化物で構成される触媒を担持してもよい。
本発明の一態様は、上記バイポーラ型金属空気電池の空気極を製造する方法において、 前記ナノ構造体が分散したゾルまたはゲルを凍結させて凍結体を得る凍結工程と、前記凍結体を真空中で乾燥させて前記共連続体を得る乾燥工程と、を含む。
本発明の一態様は、上記バイポーラ型金属空気電池の空気極を製造する方法において、 バクテリアに、酸化鉄又は酸化マンガンによるナノファイバーが分散したゲルを生産させるゲル生産工程と、前記ゲルを凍結させる凍結工程と、前記ゲルの凍結体を乾燥させる乾燥工程と、を含む。
本発明の一態様は、上記バイポーラ型金属空気電池の空気極を製造する方法において、 バクテリアに、セルロースによるナノファイバーが分散したゲルを生産させるゲル生産工程と、前記ゲルを凍結させる凍結工程と、前記ゲルの凍結体を乾燥させる乾燥工程と、 前記乾燥させて得られる前記共連続体をセルロースが燃焼しないガスの雰囲気で加熱して炭化する炭化工程と、を含む。
本発明の一態様は、上記バイポーラ型金属空気電池の集電体を製造する方法において、透水性の材料を、前記生分解性材料を用いて不透水性にする工程と、不透水性の前記材料と、前記負極とを、前記生分解性材料を用いて密着させる工程と、を含む。
本発明によれば、低環境負荷を維持しつつ、バイポーラ型金属空気電池の性能を向上することができる。
図1は、本発明の実施の形態におけるバイポーラ型金属空気電池の構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態における製造方法1を説明するためのフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態における製造方法2を説明するためのフローチャートである。 図4は、本発明の実施の形態における製造方法3を説明するためのフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態における製造方法4~6を説明するためのフローチャートである。 図6は、本発明の実施の形態における製造方法7を説明するためのフローチャートである。 図7Aは、本発明の実施の形態における集電体及び負極の構成を示す断面図である。 図7Bは、本発明の実施の形態における集電体及び負極の構成を示す平面図である。 図8Aは、本発明の実施の形態におけるコインセル型の金属空気電池のより詳細な構成例を示す断面図である。 図8Bは、本発明の実施の形態におけるコインセル型の金属空気電池のより詳細な構成例を示す平面図である。 図9Aは、本発明の実施の形態における金属空気電池の構成を示す構成図である。 図9Bは、本発明の実施の形態における金属空気電池の構成を示す構成図である。 図10は、本発明の実施例1および実施例9における金属空気電池の放電曲線を示す特性図である。 図11は、本発明の実施例7におけるpH測定に用いるビーカーセルの構成例を示す図である。 図12は、本発明の比較例2におけるコイン電池の断面図であり、放電生成物の析出箇所を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」)における金属空気電池の構成を示す構成図である。ここでは、負極金属は、代表例(一例)としてマグネシウムを記載している。本実施形態の金属空気電池は、一般的なよく知られた金属空気電池と同様に、正極活物質に空気(酸素)と水を用い、負極に金属を用いる。
図示する金属空気電池は、複数の単電池(電池)100a、100bと、複数の単電池の間に配置される集電体104と、固定部105とを備え、複数の単電池が電気的に直列接続されている。すなわち、本実施形態の金属空気電池は、n(n≧2)個の単電池100a、100bの間にn-1個の集電体104を挟み、n個の単電池が電気的に直列接続をしているバイポーラ型金属空気電池である。集電体104は、固定部105によって、負極102bと密着している。換言すると、複数の単電池100a、100bの間は、負極102bと密着した集電体104で構成されている。固定部105は、生分解性材料であることが好ましい。
第1の単電池100aは、正極でありガス拡散型の空気極101aと、負極102aと、空気極101aと負極102aとの間に挟まれて配置された電解質103とを有する。第2の単電池100bは、正極でありガス拡散型の空気極101bと、負極102bと、空気極101bと負極102bとの間に挟まれて配置された電解質103とを有する。
最外層の空気極101bの一方の面は大気に曝され、他方の面は電解質103と接する。最外層ではない空気極101aは、一方は集電体104と接し、他方の面は、電解質103と接する。また、最外層ではない負極102bの一方の面は電解質103と接し、他方の面は集電体104と接する。最外層の負極102aの電解質103側の面は、電解質103と接する。なお、空気極101aおよび空気極101bは、「空気極101」と記載し、負極102aおよび負極102bは、「負極102」と記載する場合がある。
電解質103は、電解液または固体電解質のいずれであってもよい。電解液とは、電解質が液体形態である場合をいう。また、固体電解質とは、電解質がゲル形態または固体形態である場合をいう。
本実施形態における金属空気電池は、空気極101が、非共有結合によって一体とされた複数のナノ構造体からなる三次元ネットワーク構造とされた共連続体から構成されている。共連続体は、多孔体であり、一体構造とされている。ナノ構造体は、ナノシートあるいはナノファイバーである。複数のナノ構造体が非共有結合によって一体とされている三次元ネットワーク構造の共連続体は、ナノ構造体同士の結合部が変形可能とされており、伸縮性を有した構造となっている。
ナノシートは、例えば、カーボン、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、硫化モリブデン化合物のうち少なくとも1つから構成されたものであればよい。硫化モリブデン化合物は、例えば、二硫化モリブデン、リンドープ硫化モリブデンなどである。これらの材料の元素は、植物の生育に不可欠な16種類の必須元素(C,O,H,N,P,K,S,Ca,Mg,Fe,Mn,B,Zn,Cu,Mo,Cl)から構成されていれば良い。
ナノシートは、導電性を有することが重要である。ナノシートは、厚さが1nmから1μmであり、平面縦横長さが、厚さの100倍以上のシート状物質と定義する。例えば、カーボンによるナノシートとしてグラフェンがある。また、ナノシートは、ロール状、波状であっても良く、ナノシートが湾曲や屈曲していても良く、どのような形状であってもよい。
ナノファイバーは、カーボン、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、硫化モリブデン、およびセルロース(炭化したセルロース)のうち少なくとも1つから構成されたものであればよい。これらの材料の元素は、植物の生育に不可欠な16種類の必須元素(C,O,H,N,P,K,S,Ca,Mg,Fe,Mn,B,Zn,Cu,Mo,Cl)から構成されていれば良い。
ナノファイバーも、導電性を有することが重要である。ナノファイバーは、直径が1nmから1μmであり、長さが直径の100倍以上の繊維状物質と定義する。また、ナノファイバーは、中空状、コイル状であっても良く、どのような形状であってもよい。なお、セルロースについては、後述するように、炭化により導電性を持たせて用いる。
例えば、まず、ナノ構造体が分散したゾルまたはゲルを凍結させて凍結体とし(凍結工程)、この凍結体を真空中で乾燥させる(乾燥工程)ことで、空気極101とする共連続体を作製することができる。鉄酸化物,マンガン酸化物,シリコン,セルロースのいずれかによるナノファイバーが分散したゲルであれば、所定のバクテリアに生産させることができる(ゲル生産工程)。
また、所定のバクテリアに、セルロースによるナノファイバーが分散したゲルを生産させ(ゲル生産工程)、このゲルを不活性ガスの雰囲気で加熱して炭化することで、共連続体を得る(炭化工程)ようにしてもよい。
空気極101を構成する共連続体は、例えば、平均孔径が0.1~50μmであることが好ましく、0.1~2μmであることが更に好ましい。ここで、平均孔径は、水銀圧入法により求めた値である。
空気極101には、カーボン粉末を用いた場合のようなバインダーなどの追加の材料を用いる必要がなく、コスト的に有利であり環境面でも有利である。
ここで、空気極101および負極102における電極反応について説明する。ここでは、反応例として、マグネシウムが負極の場合を記すが、n価の金属負極を用いた際にn個の電子を放出する反応が起きている。空気極反応は、導電性を有する空気極101の表面において、空気中の酸素および電解質が接することで、「1/2O+HO+2e→2OH・・・(1)」で示す反応が進行する。一方、負極反応は、電解質103に接している負極102において「Mg→Mg2++2e・・・(2)」の反応が進行し、負極102を構成しているマグネシウムが電子を放出し、電解質103中にマグネシウムイオンとして溶解する。
これらの反応により、放電を行うことが可能である。全反応は、「Mg+1/2O+HO+2e→Mg(OH)・・・(3)」となり、水酸化マグネシウムが生成(析出)する反応である。マグネシウム空気電池の理論起電力は約2.7Vである。以上の反応に関わる化合物を、図1の構成要素と共に示している。
このように、金属空気電池は、空気極101の表面において式(1)で示す反応が進行するため、空気極101の内部に反応サイトを多量に生成する方がよいものと考えられる。
正極である空気極101は、カーボン粉末をバインダーで成形するといった公知のプロセスで作製することができるが、上述した通り、金属空気電池では、空気極101内部に反応サイトを多量に生成することが重要であり、空気極101は、高比表面積であることが望ましい。例えば、本実施形態においては、空気極101を構成する共連続体の比表面積が200m2/g%以上であることが好ましく300m2/g以上であることがより好ましい。
カーボン粉末をバインダーで成形してペレット化することで作製している従来の空気極の場合、高比表面積化した際に、カーボン粉末同士の結着強度が低下し、構造が劣化することで、安定して放電することが困難であり、放電容量が低下する。
これに対し、前述したように複数のナノ構造体が非共有結合によって一体とされている三次元ネットワーク構造の共連続体により構成した本発明の空気極101によれば、上述した従来の問題が解消でき、放電容量を高くできるようになる。
また、空気極101は、触媒を担持していてもよい。触媒は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンのうち少なくとも1つの金属、あるいは、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンのうち少なくとも1つの金属からなる金属酸化物から構成されていればよい。なお、これらの材料の元素は、植物の生育に不可欠な16種類の必須元素に含まれる金属から構成され、触媒能を有していれば良い。金属としては、鉄、マンガン、亜鉛が好ましく、これらの1つからなる酸化物または2つ以上からなる複合酸化物が好ましい。また、特に、酸化マンガン(MnO2)が好適である。酸化マンガンは、本発明において特に優れた触媒性能を示すので好ましい。
また、触媒とする金属酸化物は、水和物としたアモルファス状のものであることも好ましい。例えば、上述した遷移金属酸化物の水和物であればよい。より具体的には、酸化マンガン(IV)-n水和物であればよい。なお、nは、1molのMnOに対するHOのモル数である。空気極101を構成する共連続体の表面に、酸化マンガンの水和物を、ナノサイズの微粒子として高分散で担持させることで、優れた電池性能とすることが可能となる。
例えば、空気極101の共連続体上に、酸化マンガン水和物(MnO・nHO)をナノサイズの微粒子として高分散で付着させた(添加した)ものを空気極101として使用することで、優れた電池性能を示すことが可能となる。空気極101に含まれる触媒の含有量は、空気極101の総重量に基づいて、0.1~70重量%、好ましくは1~30重量%である。空気極101に、遷移金属酸化物を触媒として添加することによって、電池性能は大きく向上する。空気極101中に電解質103の電解液が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、上述したような電解液-電極-ガス(酸素)の三相界面が形成される。この三相界面サイトにおいて、触媒が高活性であれば、電極表面における酸素還元(放電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
このような触媒は、正極活物質である酸素との相互作用が強いので、多くの酸素種を自身の表面に吸着でき、または酸素空孔内に酸素種を吸蔵することができる。
このように、触媒を構成する金属酸化物表面上に吸着された、または、酸素空孔内に吸蔵された酸素種は、上記式(1)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。このように、酸化マンガンなどの金属酸化物は、触媒として有効に機能する。このような金属酸化物の他、金属自体を触媒とすることもでき、金属も上記金属酸化物と同様に機能する。
金属空気電池では、上述した通り、電池の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位[上記の電解液/電極/空気(酸素)の三相部分]がより多く存在することが望ましい。このような観点から、上述の三相部位が触媒の表面にも多量に存在することが重要であり、触媒は比表面積が高い方が好ましい。金属または金属酸化物による触媒の比表面積は、0.1~1000m/g、好ましくは1~500m/gであればよい。なお、比表面積は、公知のN吸着によるBET法により求めた比表面積である。
触媒を添加した空気極101は、後述する金属空気電池の空気極101の製造方法により製造することができる。
次に、負極102について説明する。負極102は、負極活性物質で構成する。この負極活性物質は、金属空気電池の負極材料として用いることができる材料、つまり、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉄、亜鉛のうちいずれかの金属、または、これらを主成分として含む合金であれば特に限定されない。負極102(負極活性物質)は、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉄、亜鉛のうち一種類以上で構成されていてもよい。例えば、負極102は、負極とする金属、金属のシート、または粉末を銅などの金属箔に圧着したものなどで構成すればよい。
負極102は、公知の方法で形成することができる。例えば、マグネシウム金属を負極102とする場合には、複数枚の金属マグネシウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極102を作製することもできる。
次に、電解質103について説明する。電解質103は、空気極101(正極)および負極102の間で金属イオンおよび水酸化物イオンの移動が可能な物質であればよい。例えば、地球上に豊富に存在するカリウムやナトリウムが含まれる金属塩を挙げることができる。なお、この金属塩は、植物の生育に不可欠な16種類の必須元素(C,O,H,N,P,K,S,Ca,Mg,Fe,Mn,B,Zn,Cu,Mo,Cl)や海水や雨水に含まれる元素から構成されていれば良い。
電解質103は、塩化物(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなど)、酢酸塩(例えば、酢酸マグネシウムなど)、炭酸塩、クエン酸塩(例えば、クエン酸マグネシウムなど)、リン酸塩、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、ピロリン酸塩、メタリン酸塩のうち少なくとも1種以上から構成すればよい。また、これらの混合物から構成してもよい。酢酸マグネシウムは、肥料成分の1つであるため、仮に電解質が土壌に漏れ出たときの影響を与えないのみならず、土壌改良剤として機能するため、特に、酢酸マグネシウムが好ましい。
電解質103は、0.1~10mol/Lの濃度で、好ましくは、0.1~2mol/Lの濃度でイオン交換水に溶解し、電解液としたもの、もしくは、電解液にゲル化剤を加え、固体電解質(ゲル電解質)としたもので構成される。
前記ゲル化剤は、例えば、植物由来多糖類(コーンスターチ、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、デキストリン、タマリンシードガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、カラヤガム、ペクチン、セルロース、コンニャクマンナン、大豆多糖類)、海藻由来多糖類(カラギナン、寒天、アルギン酸)、微生物由来多糖類(キサンタンガム、ジェランガム、アグロバクテリウムスクシノグリカン、セルロース)、動物由来多糖類(キチン、キトサン、ゼラチン)のうち少なくとも一種から構成されていればよい。ゲル化剤の重量%は、イオン伝導体を含んだ電解液に対して、0.01~50%、好ましくは、0.01~10%であればよい。
集電体104は、カーボン、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄、カルシウムのうち少なくとも一種から構成されていればよい。具体的には、集電体104は、カーボン、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄、カルシウムのいずれか、またはこれらの混合物からなるクロス、フェルト、箔または板などの材料から構成されていればよい。集電体104に電解液が染み込むことで、電池がイオン的短絡を起こす可能性があるため、集電体の不透水性を確保することが好ましい。そのために、クロスやフェルトなどの透水性の材料を用いる場合は、生分解性材料を熱プレスなどにより空隙を埋めることで構成する。
生分解性材料には、天然物系、微生物系、化学合成系のいずれの材料でもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉などから構成することができる。特に、植物由来のポリ乳酸などの化学合成系が好ましい。生分解性材料には、生分解性プラスチックフィルムの他、牛乳パックなどに用いられるポリエチレンなどの樹脂の被膜が形成されている用紙、また寒天フィルムなども使用できる。
固定部105は、集電体104と、集電体104に接する負極102とを密着させる。集電体と負極との間に電解液が回り込み、放電生成物が析出すると、接触抵抗が上がり、電池性能の低下の原因となるので、負極との隙間をなくすために、固定部105を用いて密着させることが好ましい。固定部105には、前述の生分解性材料を用いることが望ましい。例えば、集電体にクロスやフェルトを用いる場合には、前述の不透水性を確保するために用いた生分解性材料を用いて、負極の周縁部と集電体とを接着させることができる。また、生分解性のシーリングテープ等を用いれば、クロス、フェルト、箔および板のいずれの形態の集電体においても負極と集電体とを密着させることが可能である。
なお、金属空気電池は、上記構成に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えば銅メッシュ)などの構造部材、また、金属空気電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。ゲル電解質を用いる場合、正極と負極が接触し短絡する可能性は低いため、セパレータを用いる必要はないが、ゲル電解質と併せて用いてもよい。電池反応の進行とともにゲル電解質中の水分が消費され薄くなるため、ゲル電解質に十分な厚みがない場合、セパレータを用いると、電池の短絡を防ぐ効果が期待できる。セパレータとしては、繊維材料であれば特に限定されないが、植物繊維またはバクテリアからつくられるセルロース系セパレータが特に好ましい。
[製造方法]
次に、製造方法について説明する。本実施形態の金属空気電池は、後述する空気極製造方法により得られる空気極101、負極102、電解質103、集電体104を、所望の金属空気電池の構造に基づいた他の必要な要素と共に、ケースなどの適切な容器内に適切に配置することで作製することができる。これらの金属空気電池の製造手順は、従来知られている方法を適用することができる。
以下、空気極101の製造方法について、製造方法1、2で説明する。
[製造方法1](空気極の製造方法)
はじめに、製造方法1について図2を用いて説明する。図2は、製造方法1を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS101で、ナノシートやナノファイバーなどのナノ構造体が分散したゾルまたはゲルを凍結させて凍結体を得る(凍結工程)。次に、ステップS102で、得られた凍結体を真空中で乾燥させて共連続体を得る(乾燥工程)。
以下、各工程についてより詳細に説明する。ステップS101の凍結工程は、非共有結合によって一体とされた複数のナノ構造体からなる三次元ネットワーク構造とされた伸縮性を有する共連続体の原料となるナノ構造体を用い、三次元ネットワーク構造を維持または構築する工程である。
ここで、ゲルとは、分散媒が分散質であるナノ構造体の三次元ネットワーク構造により流動性を失い固体状になったものを意味する。具体的には、ずり弾性率が10~10Paである分散系を意味する。ゲルの分散媒は、水(HO)などの水系または、カルボン酸、メタノール(CHOH)、エタノール(COH)、プロパノール(COH)、n-ブタノール、イソブタノール、n-ブチルアミン、ドデカン、不飽和脂肪酸、エチレングリコール、ヘプタン、ヘキサデカン、イソアミルアルコール、オクタノール、イソプロパノール、アセトン、グリセリンなどの有機系であり、これらから2種類以上を混合してもよい。
次に、ゾルとは、分散媒および分散質であるナノ構造体からなるコロイドを意味する。具体的には、ずり弾性率が1Pa以下である分散系を意味する。ゾルの分散媒は、水などの水系または、カルボン酸、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-ブチルアミン、ドデカン、不飽和脂肪酸、エチレングリコール、ヘプタン、ヘキサデカン、イソアミルアルコール、オクタノール、イソプロパノール、アセトン、グリセリンなどの有機系であり、これらから2種類以上を混合してもよい。
凍結工程は、例えば、ナノ構造体が分散したゾルまたはゲルを試験管のような適切な容器に収容し、液体窒素などの冷却材中で試験管の周囲を冷却することで、試験管に収容したゾルまたはゲルを凍結することで実施される。凍結させる手法は、ゲルまたはゾルの分散媒を凝固点以下に冷却ができれば、特に限定されるものではなく、冷凍庫などで冷却してもよい。
ゲルまたはゾルを凍結することで、分散媒が流動性を失い分散質が固定され、三次元ネットワーク構造が構築される。また、凍結工程では、ゲルまたはゾルの濃度を調整することで比表面積を自在に調整でき、ゲルまたはゾルの濃度を薄くするほど、得られる共連続体は高比表面積となる。ただし、濃度が0.01重量%以下となると、分散質が三次元ネットワーク構造を構築することが困難となるため、分散質の濃度は、0.01~10重量%以下が好適である。
ナノファイバーまたはナノシートなどのナノ構造体で高比表面積な三次元ネットワーク構造を構築することで、圧縮または引張の際に、気孔がクッションの役割を果たし、優れた伸縮性を有する。具体的には、共連続体は、弾性限界での歪みが5%以上であることが望ましく、更に10%以上であることが更に望ましい。
凍結により分散質を固定しない場合、この後の乾燥工程において、分散媒の蒸発に伴い、分散質が凝集するため、十分な高比表面積を得ることができず、三次元ネットワーク構造を有する共連続体の作製は困難となる。
次に、ステップS102の乾燥工程について説明する。乾燥工程では、凍結工程で得た凍結体より、三次元ネットワーク構造を維持または構築した分散質(一体とされている複数の微細構造体)を分散媒から取り出す工程である。
乾燥工程では、凍結工程で得られた凍結体を真空中で乾燥させ、凍結した分散媒を固体状態から昇華させる。例えば、得られた凍結体をフラスコのような適切な容器に収容し、容器内を真空引きすることで実施される。凍結体を真空雰囲気下に配置することで、分散媒の昇華点が低下し、常圧では昇華しない物質においても昇華させることが可能である。
乾燥工程における真空度は、使用する分散媒によって異なるが、分散媒が昇華する真空度であれば特に制限されない。例えば、分散媒に水を使用した場合、圧力を0.06MPa以下とした真空度にする必要があるが、昇華潜熱として熱が奪われるため、乾燥に時間を有する。このため、真空度は1.0×10-6~1.0×10-2Paが好適である。更に乾燥時にヒーターなどを用いて熱を加えても良い。
大気中で乾燥させる方法は、分散媒が固体から液体になり、この後、液体から気体になるため、凍結体が液体状態となり分散媒中で再び流動的になり、複数のナノ構造体の三次元ネットワーク構造が崩れる。このため、大気圧雰囲気での乾燥では、伸縮性を有する共連続体の作製は困難である。
[製造方法2](空気極の製造方法)
次に、バクテリアが産生ゲルを用いた空気極101の製造方法2について、図3を用いて説明する。図3は、製造方法2を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS201で、所定のバクテリアに、酸化鉄、酸化マンガン、またはセルロースのいずれかにのよるナノファイバーが分散したゲルを生産させる(ゲル生産工程)。このようにして得られたゲルを用いて共連続体を作製する。
バクテリアが産生するゲルは、nmオーダーのファイバーを基本構造としており、このゲルを用いて共連続体を作製することで、得られる共連続体は高比表面積を有するものとなる。前述したように、金属空気電池の空気極は高比表面積であることが望ましいため、バクテリアが生産したゲルを用いることは、好適である。具体的には、バクテリアが生産するゲルを用いることで比表面積が300m2/g以上を有する空気極(共連続体)の合成が可能である。
バクテリア産生ゲルは、ファイバーがコイル状や網目状に絡まった構造を有し、更にバクテリアの増殖に基づいてナノファイバーが分岐した構造を有しているため、作製できる共連続体は、弾性限界での歪みが50%以上という優れた伸縮性を実現する。従って、バクテリア生産ゲルを用いて作製した共連続体は、金属空気電池の空気極に好適である。
バクテリア産生ゲルとしては、バクテリアセルロース、酸化鉄、酸化マンガンの中から
2種類以上を混合してもよい。
バクテリアは、公知のものが挙げられ、例えば、アセトバクター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファーメンタ、アセトバクター・キシリナムATCC23768、アセトバクター・キシリナムATCC23769、アセトバクター・パスツリアヌスATCC10245、アセトバクター・キシリナムATCC14851、アセトバクター・キシリナムATCC11142、アセトバクター・キシリナムATCC10821などの酢酸菌、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属、ズーグレア属、エンテロバクター属、クリューベラ属、レプトスリックス属、ガリオネラ属、シデロカプサ属、チオバチルス属、並びにこれらをNTG(ニトロソグアニジン)などを用いる公知の方法によって変異処理することにより創製される各種変異株を培養することにより生産されたものであればよい。
上述したバクテリアにより生産させたゲルを用いて共連続体を得る方法としては、製造方法1同様に、ステップS202で凍結させて凍結体とし(凍結工程)、ステップS203で凍結体を真空中で乾燥させて共連続体とすればよい(乾燥工程)。ただし、バクテリアにより生産させたセルロースによるナノファイバーが分散したゲルを用いる場合、ステップS204で、作製した共連続体をセルロースが燃焼しないガスの雰囲気で加熱して炭化する(炭化工程)。
バクテリア産生ゲルに含まれる成分であるバクテリアセルロースは、導電性を有していないため、空気極として使用する際は、不活性ガス雰囲気下で熱処理して炭素化することで導電性を付与する炭化工程が重要となる。このようにして炭化した共連続体は、高導電性、耐腐食性、高伸縮性、高比表面積を有しており、金属空気電池の空気極として好適である。
バクテリアセルロースの炭化は、前述した凍結工程および乾燥工程により、バクテリアセルロースからなる三次元ネットワーク構造を有する共連続体を合成した後に、不活性ガス雰囲気中で500℃~2000℃、より好ましくは、900℃~1800℃で焼成して炭化すればよい。セルロースが燃焼しないガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであればよい。また、水素ガス、一酸化炭素ガスなどの還元性ガスであってもよく、また、二酸化炭素ガスであってもよい。本発明では、カーボン材料に対し賦活効果を有し、共連続体の高活性化が期待できる二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスがより好ましい。
次に、触媒を担持した空気極101の製造方法について、製造方法3~6で説明する。
[製造方法3](空気極への触媒担持方法)
次に、製造方法3について図4を用いて説明する。図4は、製造方法3を説明するためのフローチャートである。前述したように、空気極に触媒を担持させるとよい。ステップS301で、上述した製造方法1または製造方法2で得られた共連続体を、触媒の前駆体となる金属塩の水溶液に含浸する(含浸工程)。このようにして金属塩を含む伸縮性共連続体を調製したら、次に、ステップS302で、金属塩を含む伸縮性共連続体を加熱処理すればよい(加熱工程)。なお、使用する金属塩の好ましい金属は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である。特に、マンガンが好ましい。
遷移金属酸化物を共連続体に担持するためには、従来知られている方法を用いることができる。例えば、共連続体に、遷移金属塩化物や遷移金属硝酸塩の水溶液を含浸させ、ここにアルカリ水溶液を滴下する沈殿法がある。また、共連続体に遷移金属アルコキシド溶液に含浸させ、これを加水分解するゾルゲル法などがある。これらの液相法による各方法の条件は公知であり、これらの公知の条件を適用できる。本実施形態では、液相法が望ましい。
上記の液相法で担持される金属酸化物は、多くの場合、結晶化が進んでいないためアモルファス状態である。アモルファス状態の前駆体を、不活性の雰囲気で、500℃程度の高温で熱処理を行うことで、結晶性の金属酸化物を得ることができる。このような結晶性の金属酸化物は、空気極の触媒として用いた場合においても高い性能を示す。
一方、上記のアモルファス状の前駆体を100~200℃程度の比較的低温で乾燥した場合に得られる前駆体粉末は、アモルファス状態を維持しつつ、水和物の状態となる。金属酸化物の水和物は、形式的に、MexOy・nHO(ただし、Meは上記金属を意味し、xおよびyはそれぞれ金属酸化物分子中に含まれる金属および酸素の数を表し、nは1モルの金属酸化物に対するHOのモル数)と表すことができる。このような低温乾燥により得られた、金属酸化物の水和物を触媒として用いることができる。
アモルファス状の金属酸化物(水和物)は、焼結がほとんど進んでいないため、大きな表面積を有し、粒子径も30nm程度と非常に小さい値を示す。これは、触媒として好適であり、これを用いることで、優れた電池性能を得ることができる。
上述の通り、結晶性の金属酸化物は高い活性を示すが、上記のような高温での熱処理で結晶化させた金属酸化物は、表面積が著しく低下することがあり、粒子の凝集により粒子径も100nm程度となることがある。なお、この粒子径(平均粒径)は、走査型電子顕微鏡(SEM)などで拡大観察し、10μm四方(10μm×10μm)あたりの粒子の
直径を計測して、平均値を求めた値である。
また、特に高温で熱処理を行った金属酸化物による触媒は、粒子が凝集するため、共連続体の表面に高分散で触媒を添加させることが困難なことがある。十分な触媒効果を得るためには、空気極(共連続体)中に金属酸化物を大量に添加しなければならない場合があり、高温の熱処理による触媒作製は、コスト的に不利となることがある。
この問題を解消するためには、以下の製造方法4、製造方法5または製造方法6を用いればよい。
[製造方法4](空気極への触媒担持方法)
次に、製造方法4について図5を用いて説明する。図5は、製造方法4、5、6を説明するためのフローチャートである。
製造方法4では、製造方法1、製造方法2で作製した共連続体に、触媒を担持させる。製造方法4では、前述した共連続体の製造に加え、触媒を担持させる以下の触媒担持工程を加える。
まず、ステップS401の第1触媒担持工程で、共連続体を界面活性剤の水溶液に浸漬し、共連続体の表面に界面活性剤を付着させる。
次に、ステップS402の第2触媒担持工程で、金属塩の水溶液を用いて界面活性剤が付着した共連続体の表面に界面活性剤により金属塩を付着させる。
次に、ステップS403の第3触媒担持工程で、金属塩が付着した共連続体に対する熱処理により、金属塩を構成する金属または金属の酸化物からなる触媒を共連続体に担持させる。
なお、上記金属は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンの少なくとも1つの金属、あるいは、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンの少なくとも1つの金属からなる金属酸化物である。特に、マンガン(Mn)または酸化マンガン(MnO)が好ましい。
製造方法4の第1触媒担持工程で用いる界面活性剤は、空気極(共連続体)上に金属または遷移金属酸化物を高分散で担持するためのものである。界面活性剤のように、分子内にカーボン表面に吸着する疎水基と、遷移金属イオンが吸着する親水基を有していれば、共連続体に遷移金属酸化物前駆体である金属イオンを高い分散度で吸着させることができる。
上述した界面活性剤としては、分子内にカーボン表面に吸着する疎水基と遷移金属イオン(例えば、マンガンイオン)が吸着する親水基を有していれば特に限定されないが、非イオン系の界面活性剤が好ましい。例えば、エステル型の界面活性剤として、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどがある。また、エーテル型の界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどがある。
また、エステルエーテル型の界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコールなどがある。また、アルカノールアミド型の界面活性剤として、ラルアミド、コカミドDEAなどがある。また、高級アルコールの界面活性剤として、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどがある。また、ポロキサマー型の界面活性剤として、ポロキサマージメタクリレートなどを挙げることができる。
製造方法4の第1触媒担持工程における界面活性剤の水溶液の濃度は、0.1~20g/Lであることが好ましい。また、浸漬時間、浸漬温度などの浸漬条件は、例えば、室温~50℃の溶液に、1~48時間浸漬することが含まれる。
製造方法4の第2触媒担持工程では、第1触媒担持工程における界面活性剤を含有する水溶液に、触媒として機能する金属塩を更に溶解するか、または金属塩の水溶液を加えることを含む。あるいは、上述の界面活性剤を含有する水溶液とは別に、触媒として機能する金属塩を溶解させた水溶液を調製し、これに、界面活性剤を含浸した(付着させた)共連続体を浸漬してもよい。
また、金属塩が溶解した水溶液を、界面活性剤を付着させた共連続体に含浸させてもよい。必要に応じて、得られた金属塩を含む(付着した)共連続体にアルカリ性水溶液を滴下してもよい。これらのことによって、金属または金属酸化物前駆体を共連続体に付着させることができる。
製造方法4の第2触媒担持工程における金属塩の添加量は、0.1~100mmol/
Lとなる量であることが好ましい。また、浸漬時間、浸漬温度などの浸漬条件は、例えば、室温~50℃の溶液に、1~48時間浸漬することが含まれる。
より具体的には、金属としてマンガンを例にとって説明すれば、例えば、マンガン金属塩(例えば、塩化マンガンなどのハロゲン化マンガンやその水和物)を、界面活性剤を含有し、共連続体に含浸している水溶液に加える。次いで、得られたマンガン金属塩を含む共連続体にアルカリ性水溶液を滴下することで、金属または金属酸化物前駆体としての水酸化マンガンを、共連続体に担持させることができる。
上述した酸化マンガンによる触媒の担持量は、金属塩水溶液中の金属塩(例えば塩化マンガン)の濃度により調整できる。
また、上述のアルカリ性水溶液に使用するアルカリは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、アンモニウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液などを挙げることができる。これらのアルカリ性水溶液の濃度は、0.1~10mol/Lであることが好ましい。
製造方法4における第3触媒担持工程では、共連続体の表面に付着させた金属または金属酸化物の前駆体(金属塩)を、熱処理により、金属自体または金属酸化物に転化する。
具体的には、前駆体が付着した共連続体を、室温(25℃程度)~150℃、より好ましくは50℃~100℃で1~24時間乾燥させ、次いで100~600℃、好ましくは110~300℃で熱処理すればよい。
製造方法4における第3触媒担持工程では、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性雰囲気や還元性雰囲気で熱処理することで、金属自体を触媒として表面に付着させた共連続体による空気極を製造することができる。また、酸素を含むガス中(酸化性雰囲気)で熱処理することで、金属酸化物を触媒として表面に付着させた共連続体による空気極を製造することができる。
また、上述の還元条件下での熱処理を行い、一度、金属自体を触媒として付着させた共連続体を作製し、次いで、これを酸化性雰囲気で熱処理することで、金属酸化物を触媒として付着させた共連続体による空気極を製造することもできる。
別法として、金属または金属酸化物の前駆体(金属塩)が付着した共連続体を、室温~150℃、より好ましくは50℃~100℃で乾燥させ、共連続体上に金属自体を触媒として付着させ、金属/共連続体の複合体を作製してもよい。
製造方法4では、金属または金属酸化物による触媒の付着量(含有量)は、共連続体および触媒の総重量に基づいて、0.1~70重量%、好ましくは1~30重量%である。
製造方法4によれば、共連続体の表面に、金属または金属酸化物による触媒を高分散させた空気極を製造することができ、電気特性の優れた金属空気電池が構成できるようになる。
[製造方法5](空気極への触媒担持方法)
次に、製造方法5について説明する。製造方法5では、製造方法1,製造方法2で説明したことにより作製した共連続体に、前述した製造方法4とは異なる方法で触媒を担持させる。製造方法5では、前述した共連続体の製造に加え、以下の触媒担持工程を加える。
第1触媒担持工程では、共連続体を金属塩の水溶液に浸漬して共連続体の表面に金属塩を付着させる。
次に、第2触媒担持工程では、金属塩が付着した共連続体に対する熱処理により、金属塩を構成する金属からなる触媒を共連続体に担持させる。
次に、第3触媒担持工程では、触媒が担持された共連続体を高温高圧の水に作用させることで触媒を金属酸化物の水和物とする。
なお、上記金属は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンの少なくとも1つの金属、あるいは、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンの少なくとも1つの金属からなる金属酸化物である。特に、マンガン(Mn)または酸化マンガン(MnO)が好ましい。
製造方法5における第1触媒担持工程では、最終的に触媒とする金属または金属酸化物の前駆体となる金属塩の水溶液を、共連続体の表面に付着(担持)させる。例えば、上記金属塩を溶解した水溶液を別途調製し、この水溶液を共連続体に含浸させればよい。含浸の条件などは、前述したように従来と同じである。
製造方法5における第2触媒担持工程は、製造方法4の第3触媒担持工程と同様であり、不活性雰囲気または還元性雰囲気による加熱処理を実施すればよい。また、製造方法4の第3触媒担持工程の別法として説明した、前駆体が付着した共連続体を低温(室温~150℃、より好ましくは50℃~100℃)で加熱処理(乾燥)することで、共連続体に金属を付着させてもよい。
金属自体を触媒として用いた空気極101は、高活性を示すが、触媒が金属であるため、腐食に弱く、長期安定性に欠ける場合がある。これに対し、金属を以下に詳述する製造方法5の第3触媒担持工程により、加熱処理して金属酸化物の水和物とすることで、長期安定性を実現することができる。
製造方法5の第3触媒担持工程では、金属酸化物の水和物が、共連続体に付着した状態とする。具体的には、製造方法5の第2触媒担持工程で得られた、金属が付着した共連続体を、高温高圧の水に浸漬させ、付着している金属を、金属酸化物の水和物からなる触媒に転化する。
例えば、金属が付着した共連続体を、100℃~250℃、より好ましくは、150℃~200℃の水に浸漬させ、付着している金属を酸化させて金属酸化物の水和物とすればよい。
大気圧下(0.1MPa)での水の沸点は100℃であるため、大気圧下では通常100℃以上の水に浸漬させることはできないが、所定の密閉容器を用い、この密閉容器内の圧力を、例えば、10~50MPa、好ましくは25MPa程度まで上昇させることで、密閉容器内では、水の沸点が上昇し、100℃~250℃の液体状の水を実現することができる。このようにして得た高温の水に、金属が付着した共連続体を浸漬すれば、金属を金属酸化物の水和物とすることができる。
[製造方法6](空気極への触媒担持方法)
次に、製造方法6について説明する。製造方法6では、製造方法1,製造方法2で説明したことにより作製した共連続体に、前述した製造方法4、5とは異なる方法で触媒を担持させる。製造方法6では、前述した共連続体の製造に加え、触媒を担持させる以下の第1および第2触媒担持工程を加える。製造方法6では、第3触媒担持工程はない。
第1触媒担持工程では、共連続体を金属塩の水溶液に浸漬して共連続体の表面に金属塩を付着させる。
次に、第2触媒担持工程では、金属塩が付着した共連続体を高温高圧の水に作用させることで、金属塩を構成する金属による金属酸化物の水和物からなる触媒を共連続体に担持させる。
なお、上記金属は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンの少なくとも1つの金属であればよい。
製造方法6における第1触媒担持工程は、製造方法5における第1触媒担持工程と同様であり、ここでは説明を省略する。
製造方法6における第2触媒担持工程は、共連続体の表面に付着させた前駆体(金属塩)を、比較的低温の熱処理により、金属酸化物の水和物に転化する。
具体的には、前駆体が付着した共連続体を、高温高圧の水に作用させた後に、100~200℃程度の比較的低温で乾燥する。これにより、前駆体は、前駆体のアモルファス状態を維持しつつ、粒子中には水分子が存在する水和物となる。このような低温乾燥により得られた、金属酸化物の水和物を触媒として用いる。
製造方法6により作製される空気極では、金属酸化物の水和物が、共連続体上にナノサイズの微粒子の状態で、高分散で担持されうる。従って、このような共連続体を空気極とした場合、優れた電池性能を示すことが可能となる。
上記の各製造方法で得られた共連続体は、公知の手順で所定の形状に成形して空気極とすることができる。例えば、触媒未担持および触媒担持共連続体を板状体またはシートに加工し、得られた共連続体を打ち抜き刃、レーザーカッターなどなどにより所望の直径(例えば23mm)の円形に切り抜いて空気極とすればよい。
次に、集電体104の作り方について製造方法7で説明する。
[製造方法7](集電体の製造方法)
次に、製造方法7について説明する。前述したように、集電体はイオン的短絡を防ぐために、水を通さない必要があり、さらに、接触抵抗の低減のために負極と密着させる必要がある。図6は、製造方法7を説明するためのフローチャートであり、製造方法7によって作成した集電体及び負極の構成の断面図を図7Aに、負極側から見た平面図を図7Bに示す。
製造方法7では、透水性の材料(例えば、クロスやフェルトなど水を通すもの)を集電体に用いる場合、当該透水性の材料を、生分解性材料(例えば、生分解性プラスチック、生分解性樹脂、生分解性接着剤等)用いて不透水性にする工程と、不透水性の材料と、負極とを、生分解性材料を用いて密着させる工程と、を含む。具体的には以下の通りである。
まず、ステップS501で、集電体に不透水性をもたせるため、集電体にクロスやフェルトなど透水性のある繊維状の材料を用いる場合、熱プレスなどを用いて集電体の空隙に生分解性材料を入り込ませる。生分解性材料には、天然物系、微生物系、化学合成系のいずれの材料でもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉などから構成することができる。特に、植物由来のポリ乳酸などの化学合成系が好ましい。生分解性材料には、生分解性プラスチックフィルムの他、牛乳パックなどに用いられるポリエチレンなどの樹脂の被膜が形成されている用紙、また寒天フィルムなども使用できる。集電体が箔や板の場合は、不透水性なのでこの処理は必要としない。
次に、ステップS502で、不透水性を確保した集電体に負極を密着させる。図7Aに、集電体と負極を密着させたときの断面図を、図7Bに負極側から見た図を示す。密着のさせ方は、熱シール、接着剤、シーリングテープなどを使用する例が挙げられ、特に限定はされない。図7Aでは、3つの例を示している。
S501で生分解性材料を染み込ませた集電体を用いる場合、図7A(a)に示すように、集電体104より小さな負極102を配置し、その上に負極102の周縁を覆うように切り抜いた生分解性材料105(固定部)を配置し、熱シールすることで、負極102と集電体104の密着性が確保できる。この時、図7A(b)に示すように、負極102と生分解性材料105の密着性を向上するために、負極102のシール部の一部に打痕等の凹みを持たせてもよい。負極102に凹みがあることで、熱融着時に生分解材料105が入り込み、密着性が向上する。
また、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉などから構成された生分解性のシーリングテープやラッピングフィルム等の生分解性材料105を用いれば、クロス、フェルト、箔および板のすべての形態の集電体104において負極102と集電体104を密着させることが可能であり、また、負極102の大きさは、図7A(c)に示すように集電体104と同じでもよい。
[実施例]
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。はじめに、実際に用いた電池の構成について図8A、図8Bを用いて説明する。図8Aは、コインセル型の金属空気電池のより詳細な構成例を示す断面図である。また、図8Bは、コインセル型の金属空気電池の構成例を示す平面図である。図8Bは、図8Aの金属空気電池を下から上方向へ見た電池の外観図である。但し、紙面の有限な面的限界により全体のサイズを縮尺している。
本実施形態における電池は、コイン形、円筒形、ラミネート形など従来の形状で作製することができる。これらの電池の製造方法は、従来と同様の方法を用いることができる。
図8A、図8Bに示すコインセル型の電池は、複数の単電池100a、100bと、集電体104と、固定部105とを備える。図示するコインセル型の電池は、2つの単電池100a、100bを備える。各単電池100a、100bは、空気極101と、負極102と、これらの間に配置される電解質103とを備える。集電体104および固定部105は、複数の単電池100a、100bの間に配置される。固定部105は、集電体104と、集電体104に接する負極102とを密着させる。
この場合の電解質103は、電解液を含浸したシート状のセパレータ、もしくは、電解液にゲル化剤を加えたゲル電解質である。また、第1単電池100aの空気極101の側には空気極ケース201が配置され、第2単電池100bの負極102aの側には、負極ケース202が配置される。空気極ケース201は開口201aを備え、空気極101に対して周囲の空気が接触可能とされている。また、空気極ケース201と負極ケース202とは、かしめ機等を用いて嵌合され、嵌合している部分には、ガスケット203が配置されている。
空気極101と負極102とで電解質103を挾んで単電池100a、100bとする。図示する例では、この単電池100a、100bを2つ重ねて集電体104を挟んで2直列の電池し、この2直列の電池を、空気極ケース201と負極ケース202との間に配置し、空気極ケース201と負極ケース202とを嵌合させて一体とする。
なお、実施例1~7では、コイン電池を用いて評価を行うが、単電池の構成で評価しており、実施例8ではコイン電池内で2直列の構成としている。
また、図9Aおよび図9Bに示すように、電池の一部が解放状態となる筐体300を用い、筐体300内に電池セルを収容してもよい。図9Aは、筐体300内に単電池が一つ収容された構成であり、図9Bは、筐体300内に単電池が二つ直列に収容された構成である。筐体300は、負極102の側に配置される第1筐体311と、空気極101の側に配置される第2筐体312とを備える。第2筐体312には、開口312aが形成され、空気極101に対して周囲の空気が接触可能とされている。また、第1筐体311と負極102との間には、負極集電体301が設けられ、第2筐体312と空気極101との間には、正極集電体302が設けられ、各々から端子321、322が筐体300の外部に取り出されている。なお、負極102として金属を用いる場合は、負極集電体301を用いず負極102から直接端子を外部に取り出しても良い。
また、負極102、102a、電解質103、空気極101を単電池とすると、図9Bに示すように、単電池と単電池の間にバイポーラ層の集電体104が配置され、集電体104に接する負極102aを集電体104に固定するために、固定部105が設けられている。集電体104は、空気極集電体及び負極集電体の役割を果たす。
上述した構成の金属空気電池において、電解質103を、コーヒーフィルタやキッチンペーパー、濾紙のような吸水性を有する絶縁体のシートから構成するとよく、例えば、植物繊維からつくられるセルロース系セパレータのような、自然分解される材料のシートを電解質103に用いることが特に好ましい。
また、筐体300を、空気極以外の電池セル内部を封止し、電池セルを内部に維持することが可能で、自然分解される材料から構成するとよい。筐体300は、天然物系、微生物系、化学合成系のいずれの材料でも良く、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉などから構成することができる。特に、植物由来のポリ乳酸などの化学合成系が好ましい。また、筐体300の形状は、生分解性プラスチックを加工することで得られる形状であれば限定されない。筐体300に適用可能な材料の例としては、市販の生分解性プラスチックフィルムの他、牛乳パックなどに用いられるポリエチレンなどの樹脂の被膜が形成されている用紙、また寒天フィルムなども使用できる。
上述した材料で構成した第1筐体311と第2筐体312とを、周縁部で接着することで、空気極101以外の電池セル内部を密閉することが可能である。接着方法としては、熱シールや接着剤を使用する例が挙げられ、特に限定はされない。生分解性樹脂で構成される接着剤を使用することが好ましい。なお、空気極101、負極102、電解質103、第1筐体311、第2筐体312、負極集電体301、正極集電体302は、電池として作動するためのこれらの配置が損なわれない限り、形状は限定されない。例えば、平面視で、四角形または円形のシート形状、あるいは、ロールした形状で使用することができる。
上述した自然分解される材料から構成した筐体300による金属空気電池は、例えば、土壌の水分センサーなどの使い捨てデバイスで使用した際に、時間がたつにつれて自然分解され、電池を回収する必要がない。また、自然由来の材料や肥料成分で構成されているため、環境に対する負荷が極めて低い。土壌以外にも、森の中や海中などの自然界で使用しても回収する必要がなく、また、通常の生活環境下で使用した場合には燃えるごみとして処分することができる。
[実施例1]
はじめに、実施例1について説明する。実施例1は、非共有結合によって一体とされた複数のナノシートからなる三次元ネットワーク構造とされた共連続体を空気極として使用する例である。空気極を、以下のようにして合成した。以下の説明では、代表として、グラフェンをナノシートとして使用する製造方法を示すが、グラフェンを他の材料によるナノシートに変えることで、三次元ネットワーク構造を有する共連続体を調整することができる。なお、以下に示す気孔率は、共連続体を水銀圧入法により求めた細孔径分布から、細孔を円筒形とモデル化して算出した。
まず、市販のグラフェンゾル[分散媒:水(HO)、0.4重量%、Sigma-Aldrich製]を試験管に入れ、この試験管を液体窒素中に30分間浸すことでグラフェンゾルを完全に凍結させた。グラフェンゾルを完全に凍結させた後、凍結させたグラフェンゾルをナスフラスコに取り出し、これを凍結乾燥機(東京理科器械株式会社製)により10Pa以下の真空中で乾燥させることで、グラフェンナノシートを含む三次元ネットワーク構造を有する伸縮性共連続体を得た。
得られた、共連続体をX線回折(XRD)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、気孔率測定、引張試験、BET比表面積測定を行い、評価した。本実施例で作製した共連続体はXRD測定よりカーボン(C、PDFカードNo.01-075-0444)単相であることを確認した。なお、PDFカードNoは、国際回折データセンター(International Centre for Diffraction Data、ICDD)が収集したデータベースであるPDF(Powder Diffraction File)のカード番号であり、以下同様である。
また、SEM観察および水銀圧入法により、得られた共連続体は、ナノシート(グラフェン片)が連続に連なった、平均孔径が1μmの共連続体であることを確認した。また、水銀圧入法により共連続体のBET比表面積測定を測定したところ、510m/gであった。また、水銀圧入法により共連続体の気孔率を測定したところ、90%以上であった。更に、引張試験の結果から、得られた共連続体は、引張応力により歪が20%加えられても、弾性領域を超えず、応力印加前の形状に復元することを確認した。
このようなグラフェンによる共連続体を、打ち抜き刃、レーザーカッターなどにより直径14mmの円形に切り抜き、ガス拡散型の空気極を得た。
負極は、市販の金属亜鉛板(厚さ300μm、ニラコ製)を、打ち抜き刃、レーザーカッターなどにより直径14mmの円形に切り抜くことで調整した。
電解液は、塩化ナトリウム(NaCl、関東化学製)を1mol/Lの濃度で純水に溶解した溶液を用いた。セパレータは、電池用のセルロース系セパレータ(日本高度紙工業製)を用いた。
上述した空気極、負極、電解質となる電解液およびセパレータを用い、図8Aおよび図8Bで説明したようなコインセル型の亜鉛空気電池の単電池のものを作製した。まず、スポット溶接により銅メッシュ箔(MIT Japan製)の周縁部を内側に固定した空気極ケースに、上記の空気極を設置した。また、金属亜鉛板より構成した負極は、スポット溶接により周縁部を銅メッシュ箔(MIT Japan製)に固定し、更に、この銅メッシュ箔を負極ケースにスポット溶接して固定した。次に、空気極ケースに設置した空気極の上に、セパレータを載置し、載置したセパレータに電解液を注入した。次に、負極を固定した負極ケースを空気極ケースに被せ、コインセルかしめ機で空気極ケースおよび負極ケースの周縁部をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケットを含むコインセル型の亜鉛空気電池を作製した。
作製したコインセル型の空気電池の電池性能を測定した。まず、放電試験を実施した。亜鉛空気電池の放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製、SD8充放電システム)を用い、空気極の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cmを通電し、開回路電圧から電池電圧が、0Vに低下するまで測定を行った。この電池の放電試験は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の生活環境下)で測定を行った。放電容量は、共連続体からなる空気極の重量当たりの値(mAh/g)で表した。実施例1における放電曲線を図10に示す。
図10に示すように、共連続体を空気極に用いたときの平均放電電圧は1.0Vであり、放電容量は810mAh/gであることが分かる。なお、平均放電電圧は、電池の放電容量(本実施例では810mAh/g)の1/2の放電容量(実施例1では405mAh/g)の時の電池電圧とする。
以下の表1に、グラフェン(C)、酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化モリブデン(MoO)、硫化モリブデン(MoS)によるナノシートから共連続体を構成して空気極とした亜鉛空気電池の放電容量を示す。
Figure 0007068585000001
いずれも、放電容量は、800mAh/g以上を示し、後述する粉末カーボンを用いた空気極について評価した比較例1に比べて大きい値であった。炭素以外の材料によるナノシートの例の場合も、グラフェン同様、高比表面積であるため、電池反応が速やかに進行し放電生成物[Zn(OH)]が効率的に生成されたため、放電容量が改善されたものと考えられる。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例2は、非共有結合によって一体とされた複数のナノファイバーからなる三次元ネットワーク構造とされた共連続体を空気極として使用する例である。空気極を、以下のようにして合成した。以下の説明では、代表として、カーボンナノファイバーを使用する製造方法を示すが、カーボンナノファイバーを他の材料によるナノファイバーに変えることで、三次元ネットワーク構造を有する共連続体を調整することができる。
共連続体の評価法、亜鉛空気電池の作製、および放電試験の方法は、実施例1と同様にして行った。
共連続体は、実施例1に示したプロセスと同様に作製し、原料にはカーボンナノファイバーゾル[分散媒:水(HO)、0.4重量%、Sigma-Aldrich製]を使用した。
得られた共連続体は、XRD測定、SEM観察、気孔率測定、引張試験、BET比表面積測定を行い、評価した。本実施例で作製した共連続体はXRD測定よりカーボン(C、PDFカードNo.00-058-1638)単相であることを確認した。また、SEM観察および水銀圧入法により、ナノファイバーが連続に連なった平均孔径が1μmの共連続体であることを確認した。また、水銀圧入法により共連続体のBET比表面積測定を測定したところ、620m2/gあった。また、水銀圧入法により共連続体の気孔率を測定したところ、93%以上であった。更に、引張試験の結果から、実施例2の共連続体は、引張応力により歪が40%加えられても、弾性領域を超えず、応力印加前の形状に復元することを確認した。
このカーボンナノファイバーによる共連続体を空気極に用いて実施例1と同様のコインセル型の亜鉛空気電池を作製した。作製した実施例2における亜鉛空気電池の放電容量を表2に示す。実施例2では、放電容量は、860mAh/gを示し、実施例1のグラフェンによる共連続体を用いた場合よりも大きい値であった。このような特性の向上は、より伸縮性の高い比表面積が大きな共連続体を用いることにより、放電時においてスムーズに反応が行われたことによると考えられる。
表2には、カーボンナノファイバー(C)、酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化モリブデン(MoO)、硫化モリブデン(MoS)によるナノファイバーから共連続体を構成して空気極とした亜鉛空気電池の放電容量を示す。
Figure 0007068585000002
いずれも、放電容量は、810mAh/g以上を示し、実施例1のようなナノシートを含む共連続体よりも全体的に大きい値であった。これらのナノファイバーの例の場合も、カーボンナノファイバー同様、空気極が高比表面積であるため放電生成物[Zn(OH)]を生成する電池反応が効率的に安定して進行することにより、放電容量が改善されたものと考えられる。
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。実施例3では、カーボンナノファイバーによる共連続体に、酸化物または金属を触媒として担持させて構成した空気極について説明する。以下では、代表として、触媒としてMnOを共連続体に担持させる場合について説明するが、Mnを任意の金属に変えることで、任意の酸化物を触媒として共連続体に担持させることができる。また、中和の工程を行わないことで、任意の金属を触媒として共連続体に担持させることができる。
共連続体の評価法、亜鉛空気電池の作製、および放電試験の方法は、実施例1,2と同様にして行った。
共連続体は、実施例2と同様に作製した。次に、市販の塩化マンガン(II)4水和物(MnCl・4HO;関東化学製)を蒸留水に溶解し、作製した共連続体を含浸させ、塩化マンガンを担持させた。次いで、塩化マンガンを担持する共連続体(共連続体が担持する塩化マンガン)に、徐々にアンモニア水(28%)をpH7.0になるまで滴下し、中和することで水酸化マンガンを析出させた。析出物は、塩素が残留しないように、蒸留水による洗浄を5回繰り返した。
得られた水酸化マンガン担持共連続体を、アルゴン雰囲気中500℃で6時間熱処理し、酸化マンガン(MnO)を担持した共連続体を作製した。作製した酸化マンガン担持共連続体を、XRD測定、TEM観察を行い、評価した。XRD測定より、酸化マンガン(MnO、PDFファイルNo.00-011-079)のピークを観察することができた。共連続体に担持された触媒は、酸化マンガン単相であることを確認した。また、TEMにより酸化マンガンは、共連続体の表面に平均粒径100nmの粒子状で析出しているのが観察された。
この酸化マンガンを担持した共連続体を空気極に用いて実施例1と同様のコインセル型の亜鉛空気電池を作製した。作製した実施例3における亜鉛空気電池の放電容量は、1090mAh/gであった。また、以下の表3に、他の触媒を用いた場合の結果も合わせて示す。
Figure 0007068585000003
実施例3では、放電容量はいずれも、890mAh/g以上となり、実施例3の、触媒として酸化マンガンを担持していない共連続体を用いた場合よりも大きい値であった。本実施例の亜鉛空気電池の空気極は安定に作動することを確認した。
[実施例4]
次に、実施例4について説明する。実施例4では、バクテリアに産生させたナノファイバーが分散したゲルによる共連続体に、更に、酸化マンガンを触媒として担持させた場合について説明する。以下では、代表として、鉄バクテリアが産生した酸化鉄によるナノファイバーから共連続体を作製した場合について示すが、鉄バクテリアを酸化マンガンのバクテリアに変えることで、酸化マンガンによるナノファイバーによる共連続体を調整することができる。
共連続体の評価法、亜鉛空気電池の作製法、および放電試験の方法は、実施例1、2と同様にして行った。
まず、鉄バクテリアであるレプトスリックス・オクラセア(Leptothrix ochracea)を、鉄小片(純度99.9%以上、高純度化学研究所製)と共に試験管中のJOP液体培地に投入し、振とう器で20℃、14日間培養した。JOP液体培地は、滅菌地下水1L中、リン酸水素二ナトリウム12水和物0.076g、リン酸二水素カリウム2水和物0.02g、HEPES[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid:緩衝液用物質]2.383g、硫酸鉄0.01mmol/L、pHを水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整した培地である。また、レプトスリックス・オクラセアは、ATCC(American Type Culture Collection)から購入した。
培養した後、鉄小片を取り除き、得られたゲルを純水中で振とう器を用いて24時間洗浄を行った。この洗浄においては、純水は3度交換した。洗浄したゲルを原料とし、実施例3に示したプロセスを行い、酸化マンガンを担持したバクテリア産生ナノファイバーの共連続体を空気極に用いた亜鉛空気電池を作製した。
得られた、共連続体は、XRD測定、SEM観察、気孔率測定、引張試験、BET比表面積測定を行い、評価した。本実施例で作製した共連続体はXRD測定よりアモルファス状のFeO4およびγ-Fe(Fe、PDFカードNo.01-075-1372、γ-Fe、PDFカードNo.00-039-1346)であることを確認した。また、SEM観察により、直径1μmで中空状のナノファイバー(ナノチューブ)が連続に連なった、共連続体であることを確認した。また、水銀圧入法により共連続体のBET比表面積測定を測定したところ、800m/gであった。また、水銀圧入法により共連続体の気孔率を測定したところ、95%以上であった。更に、引張試験の結果から、引張応力により歪が60%加えられても、弾性領域を超えず、応力印加前の形状に復元することを確認した。
実施例4における鉄バクテリア産生の酸化鉄ナノファイバーによる共連続体を空気極に用いた亜鉛空気電池の、放電容量は1240mAh/gであった。また、以下の表4に、他の共連続体を用いた場合の結果も合わせて示す。
Figure 0007068585000004
実施例4では、実施例3のような酸化マンガンを担持したカーボンナノファイバーによる共連続体を用いた場合よりもある程度大きい値となった。この結果は、より比表面積の大きな共連続体を用いることにより、放電生成物が効率的に析出し、スムーズに反応が行われたことによると考えられる。
また、表4に示すように、バクテリア産生酸化マンガンによる共連続体を用い、酸化マンガンを触媒とした空気極による亜鉛空気電池の放電容量は、1180mAh/gを示し、実施例3よりも大きい値であった。バクテリア産生酸化マンガンは、マンガン細菌であるレプトスリックス・ディスコフォラ(Leptothrix discophora)により、マンガン小片(純度99.9%以上、高純度化学研究所製)を用いて前述同様に培養して生産した。レプトスリックス・ディスコフォラは、ATCCから購入した。このバクテリア産生ナノファイバーの場合も、鉄バクテリア産生酸化鉄同様、バクテリアにより産生された優れた伸縮性を有する空気極は比表面積が大きいため、電池反応が速やかに進行し放電生成物[Zn(OH)]を効率的に生成した結果、放電容量が改善されたものと考えられる。
[実施例5]
次に、実施例5について説明する。実施例5では、バクテリアに産生させたセルロースが分散したゲルによる共連続体に、更に、酸化マンガンを触媒として担持させた場合について説明する。共連続体の評価法、亜鉛空気電池の作製法、および放電試験の方法は、実施例1、2と同様にして行った。
まず、酢酸菌であるアセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)産生のバクテリアセルロースゲルとして、ナタデココ(フジッコ製)を用い、実施例1および実施例3に示したプロセスと同様に亜鉛空気電池を作製した。なお、実施例5では、真空中で乾燥させた後、窒素雰囲気下で1200℃、2時間の焼成により、共連続体を炭化させ、これにより空気極を作製した。
得られた共連続体(炭化した共連続体)は、XRD測定、SEM観察、気孔率測定、引張試験、BET比表面積測定を行い、評価した。この共連続体は、XRD測定よりカーボン(C、PDFカードNo.01-071-4630)単相であることを確認した。また、SEM観察により、直径20nmのナノファイバーが連続に連なった、共連続体であることを確認した。また、水銀圧入法により共連続体のBET比表面積測定を測定したところ、830m2/gであった。また、水銀圧入法により共連続体の気孔率を測定したところ、99%以上であった。更に、引張試験の結果から、引張応力により歪が80%加えられても、弾性領域を超えず、応力印加前の形状に復元することを確認し、炭化した後も優れた伸縮性を有する。
実施例5における亜鉛空気電池の、放電容量を以下の表5に示す。表5には、実施例1、2、3、4及び後述の比較例1の結果も示している。実施例5では、放電容量は、1380mAh/gを示し、実施例4のような酸化マンガンを担持した鉄バクテリア産生酸化鉄を含む共連続体を用いた場合よりも大きい値であった。
Figure 0007068585000005
上記のような特性の向上は、空気極を、より伸縮性の高い比表面積が大きな共連続体構造としたことに加えて、材料であるカーボンが優れた導電性を有するため、放電時において放電生成物[Zn(OH)]を生成する反応がスムーズに進行したためたと考えられる。
上述したように、本実施形態により、高気孔率、BET比表面積測定で、伸縮性を有する共連続体が得られ、また、この共連続体を空気極に用いた亜鉛空気電池によれば、放電時の効率的な放電生成物[Zn(OH)]の析出が実現される。上記のような特性の向上は、本実施形態の、電極に炭化バクテリアセルロースを電極に用い、さらに、触媒を担持したという改善が理由と考えられる。
[実施例6]
次に、実施例6について説明する。実施例6では、実施例5の共連続体を用いて、負極に用いる金属種を変更した場合について説明する。電池の作製法、および放電試験の方法は、実施例1、2と同様にして行った。
以下の表6に、マグネシウム合金板、アルミニウム板、亜鉛板、鉄板を負極とした金属空気電池の放電容量を示す。
Figure 0007068585000006
実施例6では、負極にマグネシウム合金板を用いた場合おいて、放電容量が、1810mAh/g、電圧は約1.3Vを示し他の金属を用いた場合よりも大きい値であった。
上記のような特性の違いは、金属のイオン化傾向により、電解液への溶解のしやすさが影響したと考えられ、負極にマグネシウム合金板を用いた場合に、負極金属の溶解に伴い発生する電子が、最も効率的に電池反応に利用されたためと考えられる。
上述したように、本実施形態により、この共連続体を空気極に用いた金属空気電池の負極にはマグネシウム合金板(Al1~10%,Zn1~10%)を用いることで、放電時に最も効率的な電子の流れが実現される。上記のような特性の向上は、本実施形態による各種の改善が理由と考えられる。
[実施例7]
次に、実施例7について説明する。実施例7では、実施例6と同様の共連続体、負極にマグネシウム合金板を用い、電解質を変更した場合について説明する。電池の作製法、および放電試験の方法は、実施例1、2と同様にして行った。電解液の調整は、実施例1と同様、1mol/Lの濃度で純粋に溶解した溶液を用いるが、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウムについては、水への溶解度が小さいため、0.1mol/Lのクエン酸に溶解した溶液を用いた。
以下の表7に、塩酸、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、炭酸、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、リン酸、HEPES、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムのそれぞれを電解質とした金属空気電池の放電容量と、測定前後のpH値を示す。
pHの測定には、pH測定器(HORIBA製、D-52)を用い、図11に示すように、電解液400で満たしたビーカーセル401内で、電池反応を進行させ、反応前後のpHを測定した。負極102および空気極101は、打ち抜き刃、レーザーカッターなどにより直径14mmの円形に切り抜くことで調整した。まず、スポット溶接により銅メッシュ箔402(MIT Japan製)の周縁部をとめ、銅メッシュ箔402の内側に上記の空気極101を設置した。また、マグネシウム合金板より構成した負極102も同様に、スポット溶接により銅メッシュ箔402(MIT Japan製)内に固定した。これらには、あらかじめスポット溶接により銅リボン403をそれぞれ固定してあり、この銅リボン403に図示しない充放電測定システム(北斗電工社製、SD8充放電システム)を接続し、空気極101の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cm2を通電し、開回路電圧から電池電圧が0Vに低下するまで電流を流した。
Figure 0007068585000007
実施例7では、電解質に酢酸マグネシウムを用いた場合に放電容量は、2280mAh/gを示し、実施例1~6のような塩化ナトリウムを電解質に用いた場合よりも大きい値であった。
表8より、まず、塩酸や、クエン酸など、強酸塩を電解液に用いた場合、負極の溶解が速く、放電容量としては非常に小さくなる。特性の向上に有効な塩として、塩化物イオンを含まない電解液は、塩化物イオンによる負極の腐食を抑制できると考えられ、これによる放電容量への影響が最も大きいと考えられる。酢酸塩やクエン酸塩といった弱酸性塩を用いた場合、電解液pHの上昇を抑制することができ、負極表面に不動態が形成しづらくなったことで、放電容量は向上したと考えられる。酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩の各カテゴリの中で、最も容量が大きいのは、マグネシウム塩であり、これは、電解質としてマグネシウム塩を溶解しておくことで負極のマグネシウムの自己腐食を抑制しているためと考えられる。
上述したように、本実施形態により、酢酸マグネシウムを用いることで放電容量の向上が実現される。また、酢酸マグネシウムは、肥料としても用いられている成分であることから、環境負荷の観点からしても、好ましい電解液である。上記のような特性の向上は、本実施形態による各種の改善が理由と考えられる。
[実施例8]
次に、実施例8について説明する。実施例8では、実施例1~7の結果を踏まえ、バクテリアに産生させたセルロースが分散したゲルによる共連続体に、更に、酸化マンガンを触媒として担持させ、負極にマグネシウム合金(厚み200μm)、電解液に酢酸マグネシウム溶液を用いて作製したバイポーラ型のコイン電池について説明する。本実施例のコイン電池は、図8Aおよび図8Bで説明したように作製した。酸化マンガンを触媒として担持させた共連続体の合成方法、共連続体の評価法、および放電試験の方法は、実施例5と同様にして行った。以下では、代表として、カーボンクロス(株式会社東陽テクニカ)と銅箔を集電体に用いた場合について示すが、任意の形態や任意の金属に変えることで任意の集電体を作製できる。
まず、カーボンクロスを集電体に用いる場合、カーボンクロスと植物系フィルムシート エコロージュ(三菱樹脂製)を重ねて熱プレスをする。熱プレスは、0.2MPa で10秒程度保持し、カーボンクロスにフィルムシートを接着する。負極は、打ち抜き刃、レーザーカッターなどにより直径12mmの円形に切り抜き、集電体との固定部は、内径11mm,外径14mmの輪状のフィルムシートを負極の上に重ねて熱プレスをすることにより、負極を固定した。
次に、銅箔を集電体に用いる場合、銅箔及び負極は 打ち抜き刃、レーザーカッターなどにより直径14mmの円形に切り抜き、生分解性の燻蒸用被覆シート(信濃化学工業株式会社)を5mm×100mmに切り取り、シーリングすることにより、負極を固定した。
実施例8におけるマグネシウム空気電池の放電容量および電圧を表8に示す。
Figure 0007068585000008
実施例8では、いずれの集電体を用いた場合も、容量は2300mAh/g程度であり、集電体への負極の固定部を設けずにコイン電池を構成した後述の[比較例2]よりも、容量が大きいことが確認できた。放電後の電池を分解すると、比較例2では、放電後の負極と集電体との間に放電生成物が確認されたが、実施例8ではほとんど確認されなかった。このことから、負極と集電体との間の生成物が電池反応を阻害していることが推察される。
[実施例9]
次に、実施例9について説明する。実施例9は、実施例1~8の結果を踏まえ、バクテリアに産生させたセルロースが分散したゲルによる共連続体に、更に、酸化マンガンを触媒として担持させ、負極にマグネシウム合金、電解液に酢酸マグネシウム溶液、集電体にカーボンクロスを用いて作製したマグネシウム空気電池について説明する。このマグネシウム空気電池は、図9Bを用いて説明したように、筐体ごと自然分解される。酸化マンガンを触媒として担持させた共連続体の合成方法、共連続体の評価法、および充放電試験方法は、実施例5と同様にして行った。
以下、実施例9におけるマグネシウム空気電池の作製方法について説明する。負極は、市販のマグネシウム合金板(厚さ200μm、ニラコ製)を、はさみを用いて20mm×20mmの正方形に切り抜くことで作製した。
マグネシウム合金板からなる負極は、この周縁部をスポット溶接により負極集電体である銅メッシュ箔(MIT Japan製)に固定し、更に、この銅メッシュ箔を平面視で25mm×25mmにカットし、この端を、端子となる3×20mmにカットした銅箔(ニラコ製)の短辺にスポット溶接した。
また、空気極用の集電体としての25mm×25mmにカットした銅メッシュ箔(MIT Japan製)に空気極を圧着し、この銅メッシュ箔の端に、端子となる3×20mmにカットした銅箔(ニラコ製)の短辺にスポット溶接した。
筐体の材料として、植物系フィルムシート エコロージュ(三菱樹脂製)を用いた。このシートを平面視30m×30mmにカットした2枚のカットシートを作製し、一方を第1筐体とし、他方を第2筐体とした。また、正極側に用いる第2筐体には、中央部に15mm×15mmの開口を形成した。
負極側の第1筐体の上に、負極を固定した負極集電体およびセパレータを配置し、空気極を圧着した空気極集電体、集電体、第2の負極とその固定部、セパレータをこの順で配置し、さらにその上に、および第2筐体を被せ、第1筐体および第2の内側の周縁部(幅約5mm)を生分解性樹脂(ミヨシ油脂製)で接着して密閉した。このようにして、マグネシウム空気電池を作製した。
実施例9におけるマグネシウム空気電池の、放電容量を表9に示す。表9には、実施例8の結果も示している。表9に示すように実施例9では、放電容量は、2000mAh/g、平均放電電圧は2.5Vを示し、実施例8のコイン型セルを用いた場合に比べて低下したが、問題なく安定して作動することが確認された。
Figure 0007068585000009
実施例9におけるマグネシウム空気電池を放電後に土壌中に設置したところ、約半月で筐体の分解が目視で確認でき、約1カ月後には完全に消失した。土壌中の微生物によって代謝され分解されたことが示された。
[実施例10]
次に、実施例10について説明する。実施例10は、実施例9と同様の手順で作製したマグネシウム空気電池について、土壌を模擬した環境下で放電試験を行った。具体的には、2mmふるいを通した真砂土540gを1/10,000aノイバウェルポッドに充填し、砂土70gで覆土し、上記マグネシウム電池の端子のみが砂土の上部に露出するように埋め込んだ。この端子から測定装置に接続し、実施例1と同様に放電容量を測定した。
実施例10におけるマグネシウム空気電池の、放電容量を上述の表9に示した。表9に示すように実施例10では、放電容量は、1810mAh/gを示し、実施例9よりも低下したが、土壌環境下においても問題なく作動することが示された。また、実施例10におけるマグネシウム空気電池を放電後に土壌中に放置したところ、放電試験開始時から約1カ月後には完全に消失した。
[比較例1]
次に、比較例1について説明する。比較例1は、空気極用の電極として公知であるカーボン(ケッチェンブラックEC600JD)、および酸化マンガンを用いた亜鉛空気電池を作製して評価した。比較例1では、実施例1と同様のコインセル型の亜鉛空気電池を作製した。電解質には、実施例5と同様の塩化ナトリウム(1mol/L)を用いた。
酸化マンガン粉末(関東化学製)、ケッチェンブラック粉末(ライオン製)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(ダイキン製)を50:30:20の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕および混合し、ロール成形して、シート状電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径14mmの円形に切り抜き空気極を得た。電池の放電試験の条件は、実施例1と同様である。
比較例1に係る亜鉛空気電池の放電容量を実施例1~5の結果とともに表5に示す。表5に示すように、比較例1の放電容量は、680mAh/gであり、実施例1よりも小さな値を示した。また、測定後に比較例1の空気極を観察したところ、空気極の一部が崩れて電解液中に分散しており、空気極の電極構造が破壊されている様子が見られた。
以上の結果より、本実施形態の金属空気電池は、公知の材料による空気極を用いた金属空気電池よりも、容量および電圧に関して優れていることが確認された。
[比較例2]
次に、比較例2について説明する。比較例2は、実施例8同様に、バクテリアに産生させたセルロースが分散したゲルによる共連続体に、更に、酸化マンガンを触媒として担持させ、負極にマグネシウム合金(厚み200μm)、電解液に酢酸マグネシウム溶液、集電体にカーボンクロスを用いて作製したマグネシウム空気電池について説明する。本実施例の電池は、コインセル型のマグネシウム空気電池であって、図8Aの固定部105がなく、集電体104に接する負極102を、集電体104に固定しない構成である。
比較例2のマグネシウム空気電池の放電容量および電圧を実施例8の結果とともに表8に示す。表8に示すように、比較例2の放電容量が1140mAh/gであり、実施例8よりも小さな値を示した。
また、図12に示すように、測定後に比較例2の負極を観察したところ、負極と集電体の間に放電生成物501が析出しており、これにより接触抵抗があがったことで、放電容量低下の原因になったと考えられる。
以上に説明したように、本実施形態によれば、金属空気電池の空気極101を、非共有結合によって一体とされた複数のナノ構造体からなる三次元ネットワーク構造とされた共連続体で構成したので、金属空気電池がより容易に取り扱えるようになる。
また、本実施形態の金属空気電池は、土壌の肥料に用いられる元素や雨水や海水中に含まれる金属以外の金属元素が含まれず、また、自然分解されるため、極めて環境負荷が低い。このような電池は、日常環境の使い捨て電池を始め、土壌中で用いるセンサーなどの様々な駆動源として有効利用することができる。
また、本実施形態によれば、負極金属種と電解液種に適当なものを選択することで、金属空気電池の放電容量を大きくすることができる。すなわち、金属空気電池の空気極101を、非共有結合によって一体とされた複数のナノ構造体からなる三次元ネットワーク構造とされた共連続体で構成し、空気極と負極との間に介在する電解質103を、塩化物イオンを含まない塩で構成するので、電子の効率的な利用と負極の不動態形成および自己腐食を抑制することができ、金属空気電池の放電容量を大きくすることができる。更に、負極102を、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉄、亜鉛のいずれかの金属、または、これらの合金で構成するので、金属空気電池の放電容量をより大きくすることができる。
また、本実施形態では、バイポーラ層となる集電体104を設け、電池を積層する際には、集電体と負極を固定することにより、電池性能の低下を防ぐことができる。具体的には、本実施形態では、集電体104を、第1の電池の空気極101と、第2の電池の負極102の間に挟み、集電体104と負極102を生分解性材料で密着させたバイポーラ型電池とすることで、環境負荷の小さな金属空気電池の性能を向上できるという優れた効果が得られる。すなわち、レアメタル等の環境負荷物質を用いないバイポーラ型金属空気電池の性能を向上することができる。
また、本実施形態の集電体104は、生分解性材料を用いて不透水性かつ負極との密着性を備えることで、低環境負荷なバイポーラ型の金属空気電池を構成することが可能となり、電池性能が向上する。
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101、101a、101b:空気極
102、102b、102b:負極
103:電解質
104:集電体
105:固定部
201:空気極ケース
202:負極ケース
203:ガスケット
300:筐体
301:負極集電体
302:正極集電体
311:第1筐体
312:第2筐体
321:端子
322:端子
400:電解液
401:ビーカーセル
402:銅メッシュ箔
403:銅リボン

Claims (8)

  1. 複数のナノ構造体からなる三次元ネットワーク構造の共連続体で構成される空気極と、負極と、前記空気極と前記負極との間に配置された電解質とを備える、複数の電池と、
    複数の前記電池の間に配置される集電体と、を備え、
    複数の前記電池は、電気的に直列接続され、
    前記負極の周縁部に配置された生分解性材料の固定部を用いて、前記集電体と前記負極とが密着している
    ことを特徴とするバイポーラ型金属空気電池。
  2. 前記集電体は、
    カーボン、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄、カルシウムの少なくとも一種からなるクロス、フェルト、箔または板から構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ型金属空気電池。
  3. 前記空気極のナノ構造体は、
    カーボン、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、硫化モリブデンのうち少なくとも一種で構成されたナノシート、又は、カーボン、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、硫化モリブデン、セルロースのうち少なくとも一種で構成されたナノファイバーである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のバイポーラ型金属空気電池。
  4. 前記空気極は、
    鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンのうち少なくとも1つの金属、又は、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンのうち少なくとも1つの金属の酸化物で構成される触媒を担持すること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバイポーラ型金属空気電池。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のバイポーラ型金属空気電池の空気極を製造する方法において、
    前記ナノ構造体が分散したゾルまたはゲルを凍結させて凍結体を得る凍結工程と、
    前記凍結体を真空中で乾燥させて前記共連続体を得る乾燥工程と、を含むこと
    を特徴とする空気極製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載のバイポーラ型金属空気電池の空気極を製造する方法において、
    バクテリアに、酸化鉄又は酸化マンガンによるナノファイバーが分散したゲルを生産させるゲル生産工程と、
    前記ゲルを凍結させる凍結工程と、
    前記ゲルの凍結体を乾燥させる乾燥工程と、を含むこと
    を特徴とする空気極製造方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載のバイポーラ型金属空気電池の空気極を製造する方法において、
    バクテリアに、セルロースによるナノファイバーが分散したゲルを生産させるゲル生産工程と、
    前記ゲルを凍結させる凍結工程と、
    前記ゲルの凍結体を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥させて得られる前記共連続体をセルロースが燃焼しないガスの雰囲気で加熱して炭化する炭化工程と、を含むこと
    を特徴とする空気極製造方法。
  8. 請求項1乃至4のいずれかに記載のバイポーラ型金属空気電池の集電体を製造する方法において、
    透水性の材料を、前記生分解性材料を用いて不透水性にする工程と、
    不透水性の前記材料と、前記負極とを、前記生分解性材料を用いて密着させる工程と、を含むことを
    を特徴とする集電体製造方法。
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