JP7068267B2 - 感温変色性色彩記憶性組成物及びそれを内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料 - Google Patents
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Description
感温変色性色彩記憶性材料は、従来の可逆熱変色性材料のように変色温度を境にその前後で変色し、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態はその状態が発現するのに要する熱又は冷熱が適用されている間は維持され、熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻るタイプと比較して、変色温度より低温側の色と高温側の色のいずれかを常温域において選択的に保持できるうえ、必要に応じて熱又は冷熱を適用することにより互変的に保持させることができ、感温記録材料、玩具類、装飾、印刷分野等多様な分野に適用されている。
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、
(b)電子受容性化合物と、
(c)前記(a)成分及び(b)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体として、下記式(1)で示されるエステル化合物と、
を含んでなる、感温変色性色彩記憶性組成物に関するものである。
又は、本発明は、
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、
(b)電子受容性化合物と、
(c)前記(a)成分、(b)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体として、下記式(2)で示されるエステル化合物と、
を含んでなる、感温変色性色彩記憶性組成物に関するものである。
更に、本発明は、前記マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなるインキ組成物に関するものである。
具体的には、消色状態にある感温変色性色彩記憶性組成物を、発色開始温度(T2)以下の温度まで冷却することにより発色状態への変化を開始させることができ、完全発色温度(T1)以下の温度に冷却することにより完全な発色状態とすることができ、感温変色性色彩記憶性組成物の温度を消色開始温度(T3)まで上げない限り、その状態を維持することができる。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
本発明に用いられるエステル化合物は、式(1)又は(2)で示される化合物である。
式中のn1はそれぞれ独立に1乃至3の整数を示し、好ましくは1又は2の整数、更に好ましくは2である。
なお、1,4-ビス(ヒドロキシアルコキシ)ベンゼン、1,3-ビス(ヒドロキシアルコキシ)ベンゼンは入手性及び価格の面から好適に用いられ、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンがより好適に用いられる。
式中のXは水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、又はハロゲン原子であり、好ましくは水素原子、メチル基、又はメトキシ基であり、より好ましくは水素原子である。
式中のn2は、1乃至3の整数であり、好ましくは1又は3である。
なお、n2が1の場合は4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテル誘導体であり、n2が2の場合は4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテル誘導体であり、n2が3の場合は4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテル誘導体である。
式(1)及び(2)以外の化合物を含んでなる場合、その含有量は、(c)成分全質量に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは2~25質量部、更に好ましくは3~20質量部である。
また、各成分は各々2種以上の混合であってもよい。
更にマイクロカプセル顔料の表面には、目的に応じて二次的な樹脂被膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
なお、粒子径、粒度分布の測定はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔株式会社堀場製作所製;LA-300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出することができる。
なお、マイクロカプセル顔料には、一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
インキが剪断減粘性付与剤を含むことにより、顔料の凝集、沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、良好な筆跡を形成できる。
更に、剪断減粘性付与剤を含むインキをボールペンに充填する場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
水溶性多糖類としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等が挙げられ、水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
側鎖にカルボキシル基を有する櫛型高分子分散剤としては、側鎖に複数のカルボキシル基を有する櫛型高分子化合物であれば特に限定されるものではないが、側鎖に複数のカルボキシル基を有するアクリル高分子化合物が好適であり、日本ルーブリゾール社製の商品名:ソルスパース43000を例示できる。
これは、マイクロカプセル顔料のゆるい凝集体を側鎖にカルボキシル基を有する櫛型高分子分散剤によって分散させる分散性をより向上させるものである。
有機窒素硫黄化合物としては、チアゾール系化合物、イソチアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイソチアゾール系化合物から選ばれる化合物が用いられる。
有機窒素硫黄化合物として具体的には、2-(4-チアゾイル)-ベンズイミダゾール(TBZ)、2-(チオシアネートメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール(TCMTB)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンから選ばれる一種又は二種以上の化合物が用いられ、好ましくは2-(4-チアゾイル)-ベンズイミダゾール(TBZ)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンから選ばれる一種又は二種以上の化合物が用いられる。
有機窒素硫黄化合物としては、株式会社パーマケム・アジア製、商品名:トップサイド88、同133、同170、同220、同288、同300、同400、同500、同600、同700Z、同800、同950、北興産業株式会社製、商品名:ホクスターHP、同E50A、ホクサイドP200、同6500、同7400、同MC、同369、同R-150を例示できる。
水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられ、好ましくはポリビニルアルコールが用いられる。
更に、ポリビニルアルコールの中でも、けん化度が70~89モル%の部分けん化度型ポリビニルアルコールは、インキのpHが酸性域でも可溶性に富むため、より好適に用いられる。
水溶性樹脂の添加量としては、インキ中に0.3~3.0質量%、好ましくは0.5~1.5質量%の範囲で添加される。
また、ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3~2.0mm、好ましくは0.3~1.5mm、より好ましくは0.3~1.0mm径程度のものが適用できる。
インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介してインキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、インキ収容管はレフィルの形態として、レフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填してもよい。
ノック式ボールペンは、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンチップを軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンチップを軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
回転式ボールペンは、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンチップを軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
スライド式ボールペンは、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンチップを軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンチップを軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー及びコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。
更に、液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
チップは、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
また、弁体は、従来より汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。特に、擦過時に実質的に磨耗しない弾性体が好ましい。
なお、鉛筆による筆跡を消去するため、一般的な消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない前述の摩擦部材が好適に用いられる。
摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、SEPS樹脂(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、EPDM等が用いられる。
摩擦部材は筆記具と別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、筆記具に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式の筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
支持体上に、感温変色性色彩記憶性組成物を含む可逆熱変色層を設けて積層体(印刷物)が得られる。
支持体上に非熱変色性着色層(像を含む)が予め形成されているものにあっては、温度変化により着色層を、可逆熱変色層によって隠顕させることができ、変化の様相を更に多様化させることができる。
また、熱可塑性樹脂やワックス類に溶融ブレンドしてクレヨンを得ることもできる。
なお、液状組成物や樹脂組成物中には、一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
積層体、或いは、樹脂組成物を用いて成形した成形体上には、光安定剤及び/又は透明性金属光沢顔料を含む層を積層することによって耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤を例示できる。
透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料を例示できる。
(1)玩具類
人形及び動物形象玩具、人形及び動物形象玩具用毛髪、人形の家及び家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具等、
(2)衣類
Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴や靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、ふろしき等の布製身の回り品、手袋、ネクタイ、帽子等、
(3)屋内装飾品
絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、額縁、造花、写真立て等、
(4)家具
布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、冷暖房器具等、
(5)装飾品
指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ等、時計、眼鏡等、
(6)文房具類
筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、粘着テープ等、
(7)日用品
口紅、アイシャドー、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、歯ブラシ等、
(8)台所用品
コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等、
(9)その他
カレンダー、ラベル、カード、記録材、及び偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、コースター、楽器、カイロ、蓄冷剤、財布等の袋物、傘、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具等。
各実施例における感温変色性色彩記憶性組成物及びそれを内包してなるマイクロカプセル顔料の製造方法と、感温変色性色彩記憶性組成物及びマイクロカプセル顔料の温度変化によるヒステリシス特性の測定方法について説明する。
なお、実施例中の部は質量部を表す。
実施例101
感温変色性色彩記憶性組成物の調製方法
(a)成分として、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1部、(b)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン2部、(c)成分として、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル(化合物125)50部及びラウリン酸ステアリル3部からなる三成分を混合し、加温して均質に溶解して感温変色性色彩記憶性組成物を得た。
この感温変色性色彩記憶性組成物は青色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内径1mm、長さ78mmの透明ガラス製毛細管に、毛細管底部から約10mmの高さまで封入し、測定試料を得た。
測定試料の感温変色性色彩記憶性組成物を封入した部分全体を水中に浸漬し、水の温度を変化させながら、感温変色性色彩記憶性組成物の変色状態を目視で観察して、T1(完全発色温度)、T2(発色開始温度)、T3(消色開始温度)、T4(完全消色温度)を測定し、TH〔T1とT2の中間の温度(T1+T2)/2〕、TG〔T3とT4の中間の温度(T3+T4)/2〕、ΔH(ヒステリシス幅TG-TH)を求めた。
実施例101の感温変色性色彩記憶性組成物はT1:24℃、T2:28℃、T3:46℃、T4:64℃、TH:26℃、TG:55℃、ΔH:29℃のヒステリシス特性を示した。
マイクロカプセル顔料の調製方法
(a)成分として3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1部、(b)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、(c)成分として1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル(化合物114)50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を混合し、均一に加温溶解し、さらに壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部、酢酸エチル40部を混合した溶液を15%ゼラチン水溶液100部中に投入し、微小滴になるように乳化分散した。
分散液を70℃で約1時間攪拌を続けた後、水溶性アミン化合物(三菱化学株式会社製、商品名:jERキュアU、エポキシ樹脂のアミン付加物)2部を水23部に溶解させた水溶液を攪拌しながら徐々に添加し、さらに液温を90℃に保って約3時間攪拌を続けてマイクロカプセル顔料の懸濁液を得た。
マイクロカプセル顔料の懸濁液から、遠心分離によりマイクロカプセル顔料を単離し、青色から無色に変色するマイクロカプセル顔料を得た(平均粒子径1.7μm)。
マイクロカプセル顔料40部を、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン50部、レベリング剤1部、消泡剤1部、粘度調整剤0.5部、水7.5部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させてインキを調製した。このインキで上質紙にベタ柄をスクリーン印刷して測定試料を得た。
測定試料を色差計(TC-3600型色差計、東京電色株式会社製)の測定部分にセットし、試料部分を2℃/分の速度で昇温、降温させ、各温度における色濃度として明度値を測定し、色濃度-温度曲線を作成した。色濃度-温度曲線よりT1、T2、T3、T4、TH〔T1とT2の中間の温度(T1+T2)/2〕、TG〔T3とT4の中間の温度(T3+T4)/2〕、ΔH(ヒステリシス幅TG-TH)を求めた。
実施例102のマイクロカプセル顔料はT1:-4℃、T2:4℃、T3:64℃、T4:80℃、TH:0℃、TG:72℃、ΔH:72℃のヒステリシス特性を示した。
マイクロカプセルに内包させる感温変色性色彩記憶性組成物の(a)成分、(c)成分、及びそれらの配合量を、以下の表1に記載した化合物と配合量に変更した以外は実施例102と同一の方法により実施例103乃至106のマイクロカプセル顔料を調製し、実施例102と同様にしてヒステリシス特性を測定した。
比較例として、以下の表3に記載した感温変色性色彩記憶性組成物を用い、実施例102と同一の方法でマイクロカプセル顔料を調製し、実施例102と同様にしてヒステリシス特性を測定した。
実施例106で調製したマイクロカプセル顔料27部(予め-16℃以下に冷却して青色に発色させたもの)を、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.3部、糖混合物〔三和澱粉工業株式会社製、商品名:サンデック70〕3.0部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、防黴剤0.1部、トリエタノールアミン1.0部、水68.1部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて筆記具用インキを調製した。
インキをポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.5mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、ポリプロピレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填してボールペンレフィルを得た。
ボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、筆記具(出没式ボールペン)を得た。
なお、筆記具は、ボールペンレフィルに設けられたチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒側面に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からチップが突出する構造である。
なお、軸筒後端部には、SEBS樹脂製の摩擦部材を設けてなる。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップの先端を出没させた状態で紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、軸筒後端部に設けたSEBS樹脂製の摩擦部材を用いて摩擦すると、該文字は消色して無色となり、この状態は室温下で維持することができた。
なお、消色後の紙面を-16℃以下の温度に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この挙動は繰り返し再現することができた。
実施例105で調製したマイクロカプセル顔料27部(予め-30℃以下に冷却して青色に発色させたもの)を、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10.0部、グリセリン10部、ノニオン系界面活性剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.2部、水51.77部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて筆記具用インキを調製した。
インキをポリプロピレン製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.5mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、ポリプロピレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸筒、後軸筒を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、筆記具(ボールペン)を得た。
なお、後軸筒後部には摩擦体としてSEBS製ゴムを装着してなる。
筆記具を用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(25℃)では青色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は室温下で維持することができた。
なお、消色後の紙面を-30℃以下の温度に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この挙動は繰り返し再現することができた。
実施例106で調製したマイクロカプセル顔料25部(予め-16℃以下に冷却して青色に発色させたもの)、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール株式会社製、商品名:ソルスパース43000〕0.2部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業株式会社製、商品名:ホクサイドR-150、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン25.0部、消泡剤0.02部、水47.78部を混合して筆記具用インキを得た。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内にインキを含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(砲弾型)と接続状態に組み立て、キャップを装着して筆記具(マーキングペン)を得た。
軸筒後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
筆跡は、室温(25℃)では青色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は室温下で維持することができた。
なお、消色後の紙面を-16℃以下の温度に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この挙動は繰り返し再現することができた。
実施例102で調製した感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料2.5部及び非熱変色性蛍光ピンク色顔料1.5部を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂12.5部、キシレン38.3部、酢酸ブチル45部、粘度調整剤0.2部からなる油性インキビヒクルに均一に分散させて塗料を調製した。
塗料を-4℃以下の温度に冷却して紫色に変色させた後、家庭用電気コードのプラグ部分(白色)にスプレー塗装して可逆熱変色層を設け、感温変色性色彩記憶性プラグを得た。
プラグは室温(25℃)で紫色を呈しているが、加温により80℃以上の温度でピンク色となった。この変色状態から冷却すると、-4℃以下の温度で再び紫色となった。
感温変色性色彩記憶性プラグは、80℃以上の温度でピンク色になると-4℃以下の温度に冷却されない限りピンク色の変色状態を保持することができるため、プラグが異常過熱状態となり、80℃以上の高温域に達した場合の温度履歴を目視により検知できた。
実施例103で調製したマイクロカプセル顔料(予め-8℃以下に冷却してピンクに発色させたもの)30部をアクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)60部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水8.8部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて印刷インキを調製した。
インキを用いて白地のTシャツ(綿製)に、100メッシュのスクリーン版で多数の星柄のパターンをスクリーン印刷して感温変色性色彩記憶性Tシャツを得た。
室温(25℃)では多数のピンク色の星柄がTシャツ表面に視認され、体温や環境温度では変化しないが、77℃以上に加熱すると星柄部分が無色となり、-8℃以下に冷却すると再びピンク色の星柄が視認された。
Tシャツ表面の星柄の一部をアイロン等による加温で消色させて、任意の星柄のみを消色させたパターンや、星柄で文字やパターンを形成し、Tシャツの柄を任意に変化させることができた。また、その変色状態を室温温度域で保持させることができ、全体を77℃以上に加温して星柄部分を全面消色させた後、-8℃以下に冷却して星柄を再び発色させることができた。
実施例106で調製したマイクロカプセル顔料5部、分散剤1部、非熱変色性ピンク色顔料0.1部、ポリプロピレンホモポリマー93.9部をエクストルーダーにて180℃で溶融混合して感温変色性を示すペレットを得た。
得られたペレットを用いて、射出成形機にてシリンダー温度180℃でプラスチックカップを成形した。
このカップは-16℃以下に冷却すると紫色になり、室温下(25℃)で放置しても紫色を呈しているが、58℃以上の飲料を注いだところ、飲料を入れた箇所がピンク色になった。飲料を取り除き、-16℃以下に冷却したところ、ピンク色に変色した箇所が再び紫色になった。
実施例104で調製したマイクロカプセル顔料20部(予め-9℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)を、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分40%)78.0部、消泡剤2.0部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて印刷インキを調製した。
上質紙上に非熱変色性インキを用いて印刷された商品券に、印刷インキを用いてグラビア印刷により偽造判別マークを印刷した。偽造判別マークは室温(25℃)では黒色を呈しており、体温や環境温度では色変化しないが、75℃以上に加熱すると無色となり、-9℃以下に冷却すると再び黒色となった。
商品券の偽造判別マークは室温温度域では黒色を呈して色変化しないため、偽造判別マークであることを識別できないが、75℃以上に加熱すると無色となることから、偽造防止機能を有していた。
実施例201
感温変色性色彩記憶性組成物の調製方法
(a)成分として、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1部、(b)成分として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン2部、(c)成分として、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル(化合物221)50部及びラウリン酸ステアリル1部からなる三成分を混合し、加温して均質に溶解して感温変色性色彩記憶性組成物を得た。
この感温変色性色彩記憶性組成物は青色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内径1mm、長さ78mmの透明ガラス製毛細管に、毛細管底部から約10mmの高さまで封入し、測定試料を得た。
測定試料の感温変色性色彩記憶性組成物を封入した部分全体を水中に浸漬し、水の温度を変化させながら、感温変色性色彩記憶性組成物の変色状態を目視で観察して、T1(完全発色温度)、T2(発色開始温度)、T3(消色開始温度)、T4(完全消色温度)を測定し、TH〔T1とT2の中間の温度(T1+T2)/2〕、TG〔T3とT4の中間の温度(T3+T4)/2〕、ΔH(ヒステリシス幅TG-TH)を求めた。
実施例201の感温変色性色彩記憶性組成物はT1:35℃、T2:41℃、T3:51℃、T4:59℃、TH:38℃、TG:55℃、ΔH:17℃のヒステリシス特性を示した。
実施例201の(c)成分を4-フェニルフェノールジエチレングリコールとラウリン酸とのジエステル(化合物224)50部に変更した以外は実施例201と同様の方法で感温変色性色彩記憶性組成物を調製した。
実施例202の感温変色性色彩記憶性組成物を用いて実施例201と同様の方法により測定試料を作製し、変色温度を測定したところ、T1:34℃、T2:38℃、T3:51℃、T4:55℃、TH:36℃、TG:53℃、ΔH:17℃のヒステリシス特性を示した。
実施例201の(c)成分を4-フェニルフェノールトリエチレングリコールとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル(化合物247)50部に変更した以外は実施例201と同様の方法で感温変色性色彩記憶性組成物を調製した。
実施例203の感温変色性色彩記憶性組成物を用いて実施例201と同様の方法により測定試料を作製し、変色温度を測定したところ、T1:40℃、T2:44℃、T3:54℃、T4:62℃、TH:42℃、TG:58℃、ΔH:16℃のヒステリシス特性を示した。
マイクロカプセル顔料の調製方法
(a)成分として3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド1部、(b)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、(c)成分として4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル(化合物203)50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を混合し、均一に加温溶解し、さらに壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部、酢酸エチル40部を混合した溶液を15%ゼラチン水溶液100部中に投入し、微小滴になるように乳化分散した。
分散液を70℃で約1時間攪拌を続けた後、水溶性アミン化合物(三菱化学株式会社製、商品名:jERキュアU、エポキシ樹脂のアミン付加物)2部を水23部に溶解させた水溶液を攪拌しながら徐々に添加し、さらに液温を90℃に保って約3時間攪拌を続けてマイクロカプセル顔料の懸濁液を得た。
マイクロカプセル顔料の懸濁液から、遠心分離によりマイクロカプセル顔料を単離し、青色から無色に変色するマイクロカプセル顔料を得た(平均粒子径1.9μm)。
マイクロカプセル顔料40部を、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン50部、レベリング剤1部、消泡剤1部、粘度調整剤0.5部、水7.5部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させてインキを調製した。インキで上質紙にベタ柄をスクリーン印刷して測定試料を得た。
測定試料を色差計(TC-3600型色差計、東京電色株式会社製)の測定部分にセットし、試料部分を10℃/分の速度で昇温、降温させ、各温度における色濃度として明度値を測定し、色濃度-温度曲線を作成した。色濃度-温度曲線よりT1、T2、T3、T4、TH〔T1とT2の中間の温度(T1+T2)/2〕、TG〔T3とT4の中間の温度(T3+T4)/2〕、ΔH(ヒステリシス幅TG-TH)を求めた。
実施例204のマイクロカプセル顔料はT1:-11℃、T2:-5℃、T3:54℃、T4:62℃、TH:-8℃、TG:58℃、ΔH:66℃のヒステリシス特性を示した。
マイクロカプセルに内包させる感温変色性色彩記憶性組成物の(a)成分、(c)成分、及びそれらの配合量を、以下の表5に記載した化合物と配合量に変更した以外は実施例204と同一の方法により実施例205乃至211のマイクロカプセル顔料を調製し、実施例204と同様にしてヒステリシス特性を測定した。
実施例204で調製したマイクロカプセル顔料27部(予め-11℃以下に冷却して青色に発色させたもの)を、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.3部、糖混合物〔三和澱粉工業株式会社製、商品名:サンデック70〕3.0部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、防黴剤0.1部、トリエタノールアミン1.0部、水68.1部ビヒクルに均一に分散させて筆記具用インキを調製した。
インキをポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.5mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、ポリプロピレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填してボールペンレフィルを得た。
ボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、筆記具(出没式ボールペン)を得た。
なお、筆記具は、ボールペンレフィルに設けられたチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒側面に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からチップが突出する構造である。
なお、軸筒後端部には、SEBS樹脂製の摩擦部材を設けてなる。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップの先端を出没させた状態で紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、軸筒後端部に設けたSEBS樹脂製の摩擦部材を用いて摩擦すると、該文字は消色して無色となり、この状態は室温下で維持することができた。
なお、消色後の紙面を-11℃以下の温度に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この挙動は繰り返し再現することができた。
実施例205で調製したマイクロカプセル顔料27部(予め-15℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)を、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10.0部、グリセリン10部、ノニオン系界面活性剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.2部、水51.77部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて筆記具用インキを調製した。
インキをポリプロピレン製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.5mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、ポリプロピレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸筒、後軸筒を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、筆記具(ボールペン)を得た。
なお、後軸筒後部には摩擦体としてSEBS製ゴムを装着してなる。
筆記具を用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は室温下で維持することができた。
なお、消色後の紙面を-15℃以下の温度に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、この挙動は繰り返し再現することができた。
実施例206で調製したマイクロカプセル顔料25部(予め-12℃以下に冷却してピンク色に発色させたもの)、ヒドロキシエチルセルロース0.5部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール株式会社製、商品名:ソルスパース43000〕0.2部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業株式会社製、商品名:ホクサイドR-150、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン25.0部、消泡剤0.02部、水47.78部を混合して筆記具用インキを得た。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内にインキを含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(砲弾型)と接続状態に組み立て、キャップを装着して筆記具(マーキングペン)を得た。
軸筒後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
筆跡は、室温(25℃)ではピンク色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は室温下で維持することができた。
なお、消色後の紙面を-12℃以下の温度に冷却すると、再び文字がピンク色になる変色挙動を示し、この挙動は繰り返し再現することができた。
実施例208で調製したマイクロカプセル顔料2.5部及び非熱変色性蛍光ピンク色顔料1.5部を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂12.5部、キシレン38.3部、酢酸ブチル45部、粘度調整剤0.2部からなる油性インキビヒクルに均一に分散させて塗料を調製した。
塗料を5℃以下の温度に冷却して紫色に変色させた後、家庭用電気コードのプラグ部分(白色)にスプレー塗装して可逆熱変色層を設け、感温変色性色彩記憶性プラグを得た。
プラグは室温(25℃)で紫色を呈しているが、加温により70℃以上の温度でピンク色となった。この変色状態から冷却すると、5℃以下の温度で再び紫色となった。
感温変色性色彩記憶性プラグは、70℃以上の温度でピンク色になると5℃以下の温度に冷却されない限りピンク色の変色状態を保持することができるため、プラグが異常過熱状態となり、70℃以上の高温域に達した場合の温度履歴を目視により検知できた。
実施例206で調製したマイクロカプセル顔料(予め-12℃以下に冷却してピンク色に発色させたもの)30部をアクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)60部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水8.8部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて印刷インキを調製した。
インキを用いて白地のTシャツ(綿製)に、100メッシュのスクリーン版で多数のハート柄のパターンをスクリーン印刷して感温変色性色彩記憶性Tシャツを得た。
室温(25℃)では多数のピンク色のハート柄がTシャツ表面に視認され、体温や環境温度では変化しないが、59℃以上に加熱するとハート柄部分が無色となり、-12℃以下に冷却すると再びピンク色のハート柄が視認された。
Tシャツ表面のハート柄の一部をアイロン等による加温で消色させて、任意のハート柄のみを消色させたパターンや、ハート柄で文字やパターンを形成し、Tシャツの柄を任意に変化させることができた。また、その変色状態を室温温度域で保持させることができ、全体を59℃以上に加温してハート柄部分を全面消色させた後、-12℃以下に冷却してハート柄を再び発色させることができた。
実施例208で調製したマイクロカプセル顔料5部、分散剤1部、非熱変色性ピンク色顔料0.1部、ポリプロピレンホモポリマー93.9部をエクストルーダーにて180℃で溶融混合して感温変色性色を示すペレットを得た。
得られたペレットを用いて、射出成形機にてシリンダー温度180℃でプラスチックカップを成形した。
このカップは5℃以下に冷却すると紫色になり、室温下(25℃)で放置しても紫色を呈しているが、70℃以上の飲料を注いだところ、飲料を入れた箇所がピンク色になった。飲料を取り除き、5℃以下に冷却したところ、ピンク色に変色した箇所が再び紫色になった。
実施例205で調製したマイクロカプセル顔料20部(予め-15℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)を、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分40%)78.0部、消泡剤2.0部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて印刷インキを調製した。
上質紙上に非熱変色性インキを用いて印刷された商品券に、印刷インキを用いてグラビア印刷により偽造判別マークを印刷した。偽造判別マークは室温(25℃)では黒色を呈しており、体温や環境温度では色変化しないが、59℃以上に加熱すると無色となり、-15℃以下に冷却すると再び黒色となった。
商品券の偽造判別マークは室温温度域では黒色を呈して色変化しないため、偽造判別マークであることを識別できないが、59℃以上に加熱すると無色となることから、偽造防止機能を有していた。
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
Claims (12)
- (a)電子供与性呈色性有機化合物と、
(b)電子受容性化合物と、
(c)前記(a)成分及び(b)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体として、下記式(1)又は(2)で示されるエステル化合物と、
を含んでなる、感温変色性色彩記憶性組成物を内包してなる、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 前記式(1)で表されるエステル化合物において、R1はそれぞれ独立に炭素数5乃至7のシクロアルキル基、又は炭素数5乃至8のシクロアルキルアルキル基である、請求項1に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 前記式(1)で表されるエステル化合物において、R1はそれぞれ独立にシクロヘキシル基、又は炭素数7もしくは8のシクロアルキルアルキル基である、請求項1または2に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 前記式(2)で表されるエステル化合物において、R2は炭素数5乃至15の直鎖アルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル基、又は炭素数6乃至8のシクロアルキルアルキル基である、請求項1に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 前記式(2)で表されるエステル化合物において、R2は炭素数7乃至13の直鎖アルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7もしくは8のシクロアルキルアルキル基である、請求項1または4に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 前記(a)成分が、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリルキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、及びビスキナゾリン化合物からなる群より選ばれる化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 前記成分(b)及び前記成分(c)の構成比が、質量基準で、前記成分(a)1部に対して、それぞれ、0.1~50部、及び1~800部である、請求項1~6のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- ヒステリシス幅ΔHが、8℃乃至80℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルと、を含んでなる、インキ組成物。
- 前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の含有量が、前記インキ組成物の全質量に対し5~40質量%である、請求項9に記載のインキ組成物。
- 請求項9又は10に記載のインキ組成物を収容した軸筒及び前記軸筒内の前記インキ組成物を導出するペン体を備えてなることを特徴とする、筆記具。
- 摩擦部材をさらに備えてなる、請求項11に記載の筆記具。
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