以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、エンジンシステム100の構成を示す概略図である。なお、図1中、信号の流れを破線の矢印で示す。図1に示すように、エンジンシステム100には、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなるECU(Engine Control Unit)110が設けられ、ECU110によりエンジン120全体が統括制御される。ただし、以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。また、ここでは、エンジン120として、ガソリンエンジンを例に挙げて説明する。
エンジン120は、複数の気筒122aを有する多気筒エンジンであり、シリンダブロック122に形成された各気筒122aの吸気ポート124に、吸気マニホールド126が連通される。吸気マニホールド126の集合部には、エアチャンバ128を介して吸気管130が連通される。吸気管130の上流側には、エアクリーナ132が設けられる。吸気管130におけるエアクリーナ132の下流側には、スロットル弁134が設けられる。
また、エンジン120のシリンダブロック122に形成された各気筒122aの排気ポート136には、排気マニホールド138が連通される。排気マニホールド138の集合部には、排気管140を介してマフラー142が連通される。排気管140には、後述する排気ガス浄化装置200が設けられる。以下、排気マニホールド138の集合部と、排気ガス浄化装置200を構成するフィルタユニット220(後述)とを連通する排気管140を上流排気管140aと呼び、フィルタユニット220とマフラー142とを連通する排気管140を下流排気管140bと呼ぶ場合がある。なお、上流排気管140aおよび下流排気管140bは、実質的に内径が等しい。
エンジン120には、点火プラグ148が、その先端が燃焼室146内に位置するように各気筒122aそれぞれに対して設けられる。また、各気筒122aの燃焼室146には、インジェクタ150が設けられる。
エンジンシステム100には、吸気管130におけるエアクリーナ132とスロットル弁134との間に、エンジン120に流入する吸入空気量を検出する吸入空気量センサ160、および、エンジン120に流入する空気(外気)の温度を検出する吸気温センサ162が設けられる。また、エンジンシステム100には、スロットル弁134の開度を検出するスロットル開度センサ164が設けられる。また、エンジンシステム100には、クランクシャフトのクランク角を検出するクランク角センサ166、アクセル(図示せず)の開度を検出するアクセル開度センサ168が設けられる。
これら各センサ160~168は、ECU110に接続されており、検出値を示す信号をECU110に出力する。
ECU110は、各センサ160~168から出力された信号を取得してエンジン120を制御する。ECU110は、エンジン120を制御する際、信号取得部180、目標値導出部182、空気量決定部184、噴射量決定部186、スロットル開度決定部188、点火時期決定部190、駆動制御部192として機能する。
信号取得部180は、各センサ160~168が検出した値を示す信号を取得する。目標値導出部182は、クランク角センサ166から取得したクランク角を示す信号に基づいて現時点のエンジン回転数を導出する。また、目標値導出部182は、導出したエンジン回転数、および、アクセル開度センサ168から取得したアクセル開度を示す信号に基づき、予め記憶されたマップを参照して目標トルクおよび目標エンジン回転数を導出する。
空気量決定部184は、目標値導出部182により導出された目標エンジン回転数および目標トルクなどに基づいて、各気筒122aに供給する目標空気量を決定する。スロットル開度決定部188は、空気量決定部184により決定された各気筒122aの目標空気量の合計量を導出し、合計量の空気を外部から吸気するための目標スロットル開度を決定する。
噴射量決定部186は、目標値導出部182により導出された目標エンジン回転数および目標トルク、空気量決定部184により決定された各気筒122aの目標空気量などに基づいて、各気筒122aに供給する燃料の目標噴射量を決定する。また、噴射量決定部186は、決定した目標噴射量の燃料をエンジン120の吸気行程あるいは圧縮行程でインジェクタ150から噴射させるために、クランク角センサ166により検出されるクランク角を示す信号に基づいて、各インジェクタ150の目標噴射時期および目標噴射期間を決定する。
点火時期決定部190は、目標値導出部182により導出された目標エンジン回転数や目標トルク、クランク角センサ166により検出されるクランク角を示す信号などに基づいて、各気筒122aでの点火プラグ148の目標点火時期を決定する。
駆動制御部192は、スロットル開度決定部188により決定された目標スロットル開度でスロットル弁134が開口するように、スロットル弁用アクチュエータ(図示せず)を駆動する。また、駆動制御部192は、噴射量決定部186により決定された目標噴射時期および目標噴射期間でインジェクタ150を駆動することで、インジェクタ150から目標噴射量の燃料を噴射させる。また、駆動制御部192は、点火時期決定部190により決定された目標点火時期で点火プラグ148を点火させる。
このようにして、燃焼室146で燃料が燃焼されたことにより生じた排気ガスは、排気管140を通じて外部に排出される。排気ガスには、炭化水素(HC:Hydro Carbon)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)や、煤等の粒子状物質が含まれるため、これらを除去する必要がある。そこで、排気管140に排気ガス浄化装置200を設けておき、排気ガス浄化装置200において、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質を除去する。
なお、ECU110は、排気ガス浄化装置として機能する際、堆積量推定部194、供給制御部196として機能する。堆積量推定部194および供給制御部196については後に詳述する。
(排気ガス浄化装置200)
図2は、排気ガス浄化装置200の構成を示す概略図である。なお、図2中、信号の流れを破線の矢印で示し、エンジン120が搭載される車両の車体を一点鎖線で示す。図2に示すように、排気ガス浄化装置200は、堆積量推定部194と、供給制御部196と、三元触媒(Three-Way Catalyst)210と、フィルタユニット220と、酸素含有ガス供給部230とを含む。本実施形態において、排気ガス浄化装置200は、車体の下方に設けられる。
三元触媒210は、上流排気管140a内に設けられる。三元触媒210は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒成分を含む。三元触媒210は、排気ポート136から排出された排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。
フィルタユニット220は、管体222と、GPF(フィルタ)224とを含む。管体222は、上流排気管140aと下流排気管140bとを接続する。上流排気管140aおよび管体222は、これらの連通箇所222aが管体222の流路断面の中央より車体側に位置するように接続される。また、管体222および下流排気管140bは、これらの連通箇所222bが管体222の流路断面の中央より車体から離隔した位置となるように接続される。
GPF224は、管体222内に設けられる。つまり、GPF224は、排気管140内における三元触媒210の下流側に設けられる。GPF224は、排気ポート136から排気された排気ガス中の粒子状物質(煤)を捕捉する。
図3は、GPF224を説明する図である。図3(a)は、GPF224の斜視図である。図3(b)はGPF224の正面図である。図3(c)は、GPF224のYZ断面図である。なお、図3(a)中、排気ガスの流れを白抜き矢印で示し、図3(c)中、排気ガスの流れを実線の矢印で示す。また、本実施形態の図3では、垂直に交わるX軸、Y軸(排気ガスの流れ方向)、Z軸を図示の通り定義している。さらに、図3(a)~図3(c)において、理解を容易にするために、外筒312に対してセル316を大きく示す。
図3(a)~図3(c)に示すように、GPF224は、ウォールフロー型のフィルタである。GPF224は、フィルタ部310と、上流プラグ部320と、下流プラグ部330とを含む。
フィルタ部310は、円筒形状の外筒312と、排気ガスを通過させるフィルタ壁314とを含む。外筒312は、例えば、セラミックで構成される。
フィルタ壁314は、例えば、セラミックで構成される。フィルタ壁314には、排気ガスに含まれる粒子状物質を捕捉しつつ排気ガスを通過させる孔が複数形成されている。フィルタ壁314は、図3中、XY面と平行な面上に設けられるとともに、Y軸方向に延在する第1壁314aと、YZ面と平行な面上に設けられるとともに、Y軸方向に延在する第2壁314bとを含む。そして、図3(b)に示すように、2つの第1壁314aと、2つの第2壁314bに囲繞された空間、もしくは、第1壁314a、第2壁314b、外筒312に囲繞された空間がセル316として形成される。
したがって、複数のセル316は、外筒312(フィルタ部310)内において、外筒312の軸方向(図3中、Y軸方向)に延在するとともに、軸方向と直交する方向(図3中、X軸方向およびZ軸方向)に並列して配される。また、GPF224では、第1セル群に分類されるセル316Aと、第2セル群に分類されるセル316Bとが交互に配置される。つまり、セル316Aとセル316Bとは隣接して交互に配される。
上流プラグ部320は、図3(c)に示すように、セル316のうち、第1セル群に分類されるセル316Aの上流側の上流開口318aを封止する。上流プラグ部320は、例えば、セラミックで構成される。
下流プラグ部330は、図3(c)に示すように、セル316A以外の(第2セル群に分類される)セル316Bの下流側の下流開口318bを封止する。下流プラグ部330は、例えば、セラミックで構成される。
また、本実施形態においてGPF224は、粒子状物質を捕捉する機能を有するとともに、排気ガスを浄化する三元触媒としての機能とOSC(Oxygen Storage capacity)としての機能とを有する。具体的に説明すると、GPF224を構成するフィルタ壁314には三元触媒を構成する触媒成分およびOSC材が担持されている。
このように、排気ガス浄化装置200は、排気管140にGPF224を備える構成により、GPF224に粒子状物質を堆積させて、排気ガスから除去することができる。そして、GPF224に堆積した粒子状物質(炭素C)は、下記式(1)に示す反応(粒子状物質の酸化反応)を進行させることによってGPF224から除去され、GPF224が再生される。
C + O2 → CO2 …式(1)
しかし、本実施形態のエンジン120はガソリンエンジンであるため、噴射量決定部186は、基本的に理論空燃比(ストイキ)となるように燃料の目標噴射量を決定する。理論空燃比での運転では、排気ガスに含まれる酸素が低濃度となるため、GPF224の再生処理が促進されない。
そこで、排気ガス浄化装置200は、酸素含有ガス供給部230を含み、GPF224における粒子状物質の堆積量が所定の堆積閾値以上になった場合に、酸素含有ガス供給部230を駆動してGPF224に供給される酸素濃度を増加させる。
図2に戻って具体的に説明すると、酸素含有ガス供給部230は、供給管232と、ポンプ234とを含む。供給管232は、上流排気管140aにおける三元触媒210と管体222(GPF224)との間に接続され、端部が大気開放される。ポンプ234は、供給管232に設けられ、外気(酸素含有ガス)を供給管232に供給する。
堆積量推定部194は、GPF224における粒子状物質の堆積量を推定する。堆積量推定部194は、例えば、エンジン120の運転条件や、前回外気を供給してから現在までの運転時間(走行距離)に基づいて粒子状物質の堆積量を推定する。
供給制御部196は、堆積量が堆積閾値以上であるとき、排気ガスの温度等のエンジン運転状態が再生処理条件を満たすと、酸素含有ガス供給部230を制御して、外気の供給を開始させる。
このように、外気を供給して再生処理を実行することで、GPF224に堆積した粒子状物質(煤)を効率よく燃焼させる。本実施形態の排気ガス浄化装置200は、上流排気管140aに対するGPF224の配置を工夫することで、再生処理において粒子状物質をさらに効率よく燃焼させる。
図2に示すように、GPF224は、管体222内を上流空間Uと下流空間Dとに仕切る。ここで、上流空間Uは、管体222内における上流排気管140aと連通する空間である。下流空間Dは、管体222内における下流排気管140bと連通する空間である。また、GPF224は、上流空間Uにセルの上流開口318aが臨み、下流空間Dにセルの下流開口318bが臨むように、管体222内に設けられる。
さらに、本実施形態において、GPF224は、外筒312の軸方向の長さが外筒312の内径よりも小さく形成されるとともに、上流排気管140aおよび下流排気管140bの軸方向と、外筒312の軸方向とが交差するように管体222内に設けられる。例えば、GPF224は、外筒312の軸方向が鉛直方向となるように、または、外筒312の軸方向が鉛直方向から上流側に0度を上回り45度未満傾斜するように、管体222内に設けられる。
したがって、軸方向が水平方向(上流排気管140a、下流排気管140bの軸方向と平行)となるようにGPF224が設けられる従来技術と比較して、管体222の鉛直方向の幅を小さくしたまま、GPF224の流路断面積(外筒312の内径)を大きくすることができる。これにより、車体の下方といったスーペースが制限された場所に、流路断面積が相対的に大きいGPF224を配置することが可能となる。また、GPF224の流路断面積を相対的に大きくすることにより、流路断面積が小さいGPF224よりも圧力損失を低くすることができる。これにより、燃費を向上することが可能となる。
なお、GPF224は、不図示のストッパに支持される。ストッパは、GPF224の下方に設けられ、管体222から延在している。また、GPF224の下部と管体222(ストッパ)との間隙には、耐熱性を有するセラミックウールが充填されている。
また、本実施形態のGPF224は、外筒312における最も上流側かつ鉛直上方の部位Mが、管体222と非接触となり、かつ、連通箇所222aに臨むように管体222内に設けられる。
そうすると、上流排気管140aを流れる高温の排気ガスは、最初に部位Mに接触することになる。したがって、部位Mは、通常運転時(再生処理を実行していないとき)に排気ガスの熱を効率よく蓄積することができる。また、部位Mは、管体222と非接触であるため、蓄積した熱が管体222を通じて外部に放熱されることを回避可能となる。
このように、通常運転時に部位Mで熱を蓄積しておくことにより、再生処理を開始する前において、部位Mが最も高温となる。そして、再生処理を実行すべく、ポンプ234が駆動されて外気が供給されると、外気は、上流排気管140a、連通箇所222aを通じてGPF224に到達する。ここで、上記したように部位Mは、連通箇所222aに臨んでいるため、外気は、GPF224における部位Mに最初に到達する。そうすると、GPF224に蓄積した粒子状物質は、まず、部位Mの近傍から燃焼し始め、その後、下流側に延焼する。ここで、部位Mは、GPF224において最も高温となっているため、部位Mの近傍の粒子状物質の着火性を向上させることができる。したがって、GPF224の外筒312を管体222に接触させている従来技術と比較して、再生処理において、粒子状物質の燃焼性をさらに向上させることが可能となる。
また、上記したように、連通箇所222aが車体側に設けられ、連通箇所222bが車体から離隔する方向に設けられ、セル316が連通箇所222aと連通箇所222bと(上流空間Uと下流空間Dと)を連通する。したがって、外気は、車体側から車体と離隔する方向に流れる。そうすると、GPF224に堆積された粒子状物質は、部位Mの近傍から燃焼しはじめ、その後、下流側、かつ、車体から離隔する方向に延焼する。
したがって、排気ガス浄化装置200において、燃焼熱は、GPF224における車体から離隔する方向に伝搬する。このため、再生処理が実行された際、排気ガス浄化装置200において、GPF224の外筒312における最も下流側かつ鉛直下方の部位Nは、上流側かつ車体側から伝搬した熱と、粒子状物質の燃焼熱とが合わさり、最も高温となる。
このように、再生処理を実行した際に最も高温となる部位を車体から離隔した位置とすることができる。これにより、再生処理において生じた熱の車体への伝搬を抑制することが可能となる。したがって、熱による車体への影響を抑制することができる。
(第1の変形例)
上記実施形態において、管体222内に1のGPF224が設けられる構成を例に挙げて説明した。しかし、GPF224の数に限定はない。
図4は、第1の変形例のフィルタユニット420の構成を示す概略図である。なお、図4中、車体を一点鎖線で示す。また、上記排気ガス浄化装置200のフィルタユニット220と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
フィルタユニット420は、管体222内に、2つのGPF224(図4中、224A、224Bで示す)が設けられている点のみがフィルタユニット220と異なる。
具体的に説明すると、管体222内において上流側に位置するGPF224Aおよび下流側に位置するGPF224Bは、外筒312同士が接触し、かつ、外筒312の軸方向が平行となるように管体222内に設けられる。
また、GPF224A、224Bは、上流排気管140aおよび下流排気管140bの軸方向と、外筒312の軸方向とが交差するように管体222内に設けられる。例えば、GPF224A、224Bは、外筒312の軸方向が鉛直方向となるように、または、外筒312の軸方向が鉛直方向から上流側に0度を上回り45度未満傾斜するように、管体222内に設けられる。
また、GPF224Aは、外筒312における最も上流側かつ鉛直上方の部位Mが、管体222と非接触となり、かつ、連通箇所222aに臨むように管体222内に設けられる。これにより、上記フィルタユニット220と同様に、通常運転時において部位Mは、排気ガスの熱を効率よく蓄積することができる。また、部位Mは、管体222と非接触であるため、蓄積した熱が管体222を通じて外部に放熱されることを回避可能となる。
また、GPF224A、224Bは、管体222内を上流空間Uと下流空間Dとに仕切る。GPF224A、224Bは、上流空間Uにセルの上流開口318aが臨み、下流空間Dにセルの下流開口318bが臨むように、管体222内に設けられる。
そして、上記したように、連通箇所222aが車体側に設けられ、連通箇所222bが車体から離隔する方向に設けられ、GPF224A、224Bのセル316が連通箇所222aと連通箇所222bと(上流空間Uと下流空間Dと)を連通する。したがって、外気は、車体側から車体と離隔する方向に流れる。そうすると、GPF224に堆積された粒子状物質は、部位Mの近傍から燃焼しはじめ、その後、下流側、かつ、車体から離隔する方向に延焼する。
したがって、フィルタユニット420においても、フィルタユニット220と同様に、燃焼熱は、GPF224A、224Bにおける車体から離隔する方向に伝搬する。このため、再生処理が実行された際、GPF224A、224Bの外筒312における最も下流側かつ鉛直下方の部位Nは、上流側かつ車体側から伝搬した熱と、粒子状物質の燃焼熱とが合わさり、最も高温となる。
このように、再生処理を実行した際に最も高温となる部位を車体から離隔した位置とすることができる。これにより、再生処理において生じた熱の車体への伝搬を抑制することが可能となる。したがって、熱による車体への影響を抑制することができる。また、第1の変形例のフィルタユニット420は、フィルタユニット220と異なり、既存のGPF224を採用することができる。
(第2の変形例)
図5は、第2の変形例の排気ガス浄化装置500の構成を示す概略図である。なお、図5中、信号の流れを破線の矢印で示し、車体を一点鎖線で示す。また、図5中、理解を容易にするために、三元触媒210、酸素含有ガス供給部230を省略する。また、上記排気ガス浄化装置200のフィルタユニット220、フィルタユニット420と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
排気ガス浄化装置500は、堆積量推定部194と、供給制御部196と、切替制御部590と、三元触媒210と、フィルタユニット520と、第1バルブ(切替機構)530と、第2バルブ(切替機構)540と、酸素含有ガス供給部230とを含む。排気ガス浄化装置500は、車体の下方に設けられる。
フィルタユニット520は、フィルタユニット420と同様に、管体222内に、2つのGPF224(図5中、224A、224Bで示す)が設けられている。なお、下流側に位置するGPF224Bは、フィルタユニット420とは異なり、外筒312が管体222から離隔して管体222内に設けられる。また、GPF224A、224Bは、外筒312の軸方向が鉛直方向となるように、管体222内に設けられる。
第1バルブ530は、上流空間Uに設けられる。第1バルブ530は、回転軸532と、弁体534とを有する。回転軸532は、管体222における上流空間Uを区画する部分、詳細には管体222の上面に設けられる。弁体534は、回転軸532に接続され、回転軸532によって回転自在となっている。弁体534は、先端が、GPF224Aの外筒312と、GPF224Bの外筒312との接触箇所(詳細には接触箇所の上端)に当接可能となっている。
第1バルブ530は、後述する切替制御部590によって、弁体534が外筒312の接触箇所に当接している第1状態と、弁体534が外筒312の接触箇所から離隔している第2状態とに切り替わる。
第2バルブ540は、上流空間Uと下流空間Dの連通空間に設けられる。第2バルブ540は、回転軸542と、弁体544とを有する。回転軸542は、GPF224Bの外筒312における下流側に設けられる。弁体544は、回転軸542に接続され、回転軸542によって回転自在となっている。弁体544は、先端が、管体222における上流空間Uを区画する部分222u、および、管体222における下流空間Dを区画する部分222dに当接可能となっている。
第2バルブ540は、切替制御部590によって、弁体544が部分222uに当接している第3状態と、弁体544が部分222dに当接している第4状態とに切り替わる。
切替制御部590は、第1バルブ530を第1状態とし、第2バルブ540を第4状態とする直列状態と、第1バルブ530を第2状態とし、第2バルブ540を第3状態とする並列状態とに切り替える。
図6は、直列状態と、並列状態とを説明する図である。図6(a)は、直列状態について説明する図である。図6(b)は、並列状態について説明する図である。なお、図6(a)、(b)中、排気ガス(または外気)の流れを実線の矢印で示す。
図6(a)に示すように、切替制御部590が、第1バルブ530を第1状態とし、第2バルブ540を第4状態としたとする。そうすると、上流排気管140aから管体222に導入された排気ガスは、まず、GPF224A(第1のフィルタ)を上方から下方に向かって(車体と離隔する方向に)通過し、下流空間Dに到達する。その後、下流空間Dに到達した排気ガスは、GPF224B(第2のフィルタ)を下方から上方に向かって(車体に近接する方向に)通過する。そして、GPF224Bを通過した排気ガスは、連通箇所222bを通じて、下流排気管140bに導かれる。つまり、直列状態は、GPF224AとGPF224Bを直列に配置し、上流排気管140aから管体222に導入された排気ガスを、GPF224Aに通過させた後、GPF224Bに通過させて下流排気管140bに導く状態と言える。
また、図6(b)に示すように、切替制御部590が、第1バルブ530を第2状態とし、第2バルブ540を第3状態としたとする。そうすると、上流排気管140aから管体222に導入された排気ガスは、GPF224AおよびGPF224Bのいずれかを上方から下方に向かって(車体と離隔する方向に)通過し、下流空間Dに到達する。その後、下流空間Dに到達した排気ガスは、連通箇所222bを通じて、下流排気管140bに導かれる。つまり、並列状態は、GPF224AとGPF224Bを並列に配置し、上流排気管140aから管体222に導入された排気ガスを、GPF224AまたはGPF224Bに通過させて下流排気管140bに導く状態と言える。
このように、切替制御部590は、第1バルブ530および第2バルブ540を制御して、排気ガスの通過経路を直列状態と並列状態とに切替える。例えば、切替制御部590は、エンジン120の始動時や再生処理を実行する際に、直列状態に切替える。エンジン120の始動時は、排気ガス中の粒子状物質の濃度が相対的に高いため、排気ガスの通過経路を直列状態とすることにより、GPF224A、224Bに効率よく粒子状物質を捕捉させることができる。また、再生処理を実行する際に、直列状態とすることにより、GPF224Aの外筒312における最も上流側かつ鉛直上方の部位Mを着火点として効率よく燃焼を開始させることができる。また、GPF224Bには、GPF224Aによって加熱された外気が供給されるため、GPF224Bにおいて効率よく燃焼を開始させることが可能となる。さらに、GPF224Aにおいて浄化しきれなかった成分をGPF224Bで浄化させることもできる。
また、切替制御部590は、エンジン120の暖機が終了した場合や、エンジン120が高負荷となっている場合に、排気ガスの通過経路を並列状態に切替える。これにより、直列状態と比較して、GPF224A、224Bによる圧力損失を低減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、上記実施形態および変形例において、ECU110が堆積量推定部194、供給制御部196、切替制御部590として機能する構成を例に挙げて説明した。しかし、堆積量推定部194、供給制御部196、切替制御部590は、ECU110と別体で構成されてもよい。
また、上記実施形態および変形例において、GPF224としてウォールフロー型のフィルタを例に挙げて説明した。しかし、GPF224は、少なくとも外筒312と、フィルタ壁とを有していればよく、構成に限定はない。
また、上記実施形態におよび変形例において、GPF224が触媒を含む構成を例に挙げて説明したが、GPF224は粒子状物質を捕捉できればよく、触媒を含まずともよい。
また、上記実施形態および変形例において、上流排気管140aと管体222との連通箇所222aは、車体側に位置し、管体222と下流排気管140bとの連通箇所222bは、連通箇所222aよりも車体から離隔している場合を例に挙げて説明した。しかし、連通箇所222aは、連通箇所222bよりも車体から離隔していてもよい。また、連通箇所222aと連通箇所222bとは同じ位置、つまり、上流排気管140aと下流排気管140bとが同軸であってもよい。
また、上記実施形態および変形例において、外筒312における最も上流側かつ鉛直上方の部位Mが、管体222と非接触となる構成を例に挙げて説明した。しかし、外筒312における上流空間Uに位置する部位であって、連通箇所222aから所定範囲内の部位が、管体222と非接触となっていればよい。例えば、外筒312の連通箇所222a側の側面であって、上流空間Uに位置する部位が管体222と非接触になっていてもよい。
また、上記第2の変形例の排気ガス浄化装置500において、切替機構が第1バルブ530および第2バルブ540を含む場合を例に挙げて説明した。しかし、切替機構は、上流排気管140aから管体222に導入された排気ガスを、第1のフィルタに通過させた後第2のフィルタに通過させて下流排気管140bに導く直列状態と、第1のフィルタに通過させるとともに第1のフィルタと並行して第2のフィルタに通過させて下流排気管140bに導く並列状態とに切り替えることができれば、構成に限定はない。
また、上記実施形態および変形例において、酸素含有ガス供給部230が酸素含有ガスとして外気を供給する場合を例に挙げて説明した。しかし、酸素含有ガス供給部230が供給する酸素含有ガスは、理論空燃比の排気ガスより酸素濃度が高いガスであればよい。
また、上記実施形態において、エンジン120としてガソリンエンジンを例に挙げて説明した。しかし、排気ガス浄化装置200、500は、エンジンの種類に限らず(例えば、ディーゼルエンジン)、エンジンから排気された排気ガスに含まれる粒子状物質を取り除くことができる。