JP7067989B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気ガス浄化装置に関する。
エンジンから排気された排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質を捕捉して取り除く車両用のフィルタとして、DPF(Diesel Particulate Filter)やGPF(Gasoline Particulate Filter)が知られている。このようなフィルタは、使用を継続するに従って粒子状物質によって目詰まりしてしまう。そこで、フィルタを昇温させることで捕捉された煤を燃焼させてフィルタから除去する再生処理が行われる。
再生処理を行う際に、排気ガス中の酸素が相対的に少ないと、煤の燃焼が促進されない。そこで、排気路に空気を噴射することで酸素を補う技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
特開2003-314245号公報
空気等の酸素含有ガスを排気路に供給する技術において、排気ガスを効率よく浄化できる技術の開発が希求されている。
本発明は、排気ガスを効率よく浄化することが可能な排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の排気ガス浄化装置は、エンジンの排気路に設けられた三元触媒と、排気路における三元触媒の下流側に設けられた、触媒機能を有するフィルタと、フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する堆積量推定部と、排気路における三元触媒とフィルタとの間に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給部と、堆積量推定部によって推定された粒子状物質の堆積量が所定の堆積閾値以上であり、エンジンの吸入空気量とフィルタの温度とに基づく所定の開始条件を満たすと、酸素含有ガス供給部を制御して、酸素含有ガスの供給を開始させる供給制御部と、を備え、堆積量推定部によって推定された粒子状物質の堆積量が第1の堆積閾値以上であり、第1の堆積閾値を上回る第2の堆積閾値未満である場合、開始条件は、吸入空気量が、アイドル運転の際の吸入空気量を上回る所定の吸入空気量以下であり、フィルタの温度が、三元触媒の温度が所定温度であると推定されるフィルタの温度以上かつフィルタの劣化温度未満である。
また、堆積量推定部によって推定された粒子状物質の堆積量が第2の堆積閾値以上である場合、開始条件は、吸入空気量が、アイドル運転の際の吸入空気量を上回る所定の吸入空気量以下であり、フィルタの温度が、粒子状物質を燃焼可能な温度の下限値以上かつフィルタの劣化温度未満であってもよい。
本発明によれば、排気ガスを効率よく浄化することが可能となる。
エンジンシステムの構成を示す概略図である。 排気ガス浄化装置の構成を示す概略図である。 実施形態の開始条件を説明する図である。 排気ガス浄化処理の流れを説明するフローチャートである。 変形例の排気ガス浄化装置の構成を示す概略図である。 変形例の開始条件を説明する図である。 変形例の排気ガス浄化処理の流れを説明するフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、エンジンシステム100の構成を示す概略図である。なお、図1中、信号の流れを破線の矢印で示す。図1に示すように、エンジンシステム100には、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなるECU(Engine Control Unit)110が設けられ、ECU110によりエンジン120全体が統括制御される。ただし、以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。また、ここでは、エンジン120として、ガソリンエンジンを例に挙げて説明する。
エンジン120は、複数の気筒122aを有する多気筒エンジンであり、シリンダブロック122に形成された各気筒122aの吸気ポート124に、吸気マニホールド126が連通される。吸気マニホールド126の集合部には、エアチャンバ128を介して吸気路130が連通される。吸気路130の上流側には、エアクリーナ132が設けられる。エアクリーナ132の下流側には、スロットル弁134が設けられる。
また、エンジン120のシリンダブロック122に形成された各気筒122aの排気ポート136には、排気マニホールド138が連通される。排気マニホールド138の集合部には、排気路140を介してマフラー142が連通される。排気路140には、後述する排気ガス浄化装置200が設けられる。
エンジン120には、点火プラグ148が、その先端が燃焼室146内に位置するように各気筒122aそれぞれに対して設けられる。また、各気筒122aの燃焼室146には、インジェクタ150が設けられる。
エンジンシステム100には、吸気路130におけるエアクリーナ132とスロットル弁134との間に、エンジン120に流入する吸入空気量を検出する吸入空気量センサ160、および、エンジン120に流入する空気(外気)の温度を検出する吸気温センサ162が設けられる。また、エンジンシステム100には、スロットル弁134の開度を検出するスロットル開度センサ164が設けられる。また、エンジンシステム100には、クランクシャフトのクランク角を検出するクランク角センサ166、アクセル(図示せず)の開度を検出するアクセル開度センサ168が設けられる。
これら各センサ160~168は、ECU110に接続されており、検出値を示す信号をECU110に出力する。
ECU110は、各センサ160~168から出力された信号を取得してエンジン120を制御する。ECU110は、エンジン120を制御する際、信号取得部180、目標値導出部182、空気量決定部184、噴射量決定部186、スロットル開度決定部188、点火時期決定部190、駆動制御部192として機能する。
信号取得部180は、各センサ160~168が検出した値を示す信号を取得する。目標値導出部182は、クランク角センサ166から取得したクランク角を示す信号に基づいて現時点のエンジン回転数を導出する。また、目標値導出部182は、導出したエンジン回転数、および、アクセル開度センサ168から取得したアクセル開度を示す信号に基づき、予め記憶されたマップを参照して目標トルクおよび目標エンジン回転数を導出する。
空気量決定部184は、目標値導出部182により導出された目標エンジン回転数および目標トルクなどに基づいて、各気筒122aに供給する目標空気量を決定する。スロットル開度決定部188は、空気量決定部184により決定された各気筒122aの目標空気量の合計量を導出し、合計量の空気を外部から吸気するための目標スロットル開度を決定する。
噴射量決定部186は、目標値導出部182により導出された目標エンジン回転数および目標トルク、空気量決定部184により決定された各気筒122aの目標空気量などに基づいて、各気筒122aに供給する燃料の目標噴射量を決定する。また、噴射量決定部186は、決定した目標噴射量の燃料をエンジン120の吸気行程あるいは圧縮行程でインジェクタ150から噴射させるために、クランク角センサ166により検出されるクランク角を示す信号に基づいて、各インジェクタ150の目標噴射時期および目標噴射期間を決定する。
点火時期決定部190は、目標値導出部182により導出された目標エンジン回転数や目標トルク、クランク角センサ166により検出されるクランク角を示す信号などに基づいて、各気筒122aでの点火プラグ148の目標点火時期を決定する。
駆動制御部192は、スロットル開度決定部188により決定された目標スロットル開度でスロットル弁134が開口するように、スロットル弁用アクチュエータ(図示せず)を駆動する。また、駆動制御部192は、噴射量決定部186により決定された目標噴射時期および目標噴射期間でインジェクタ150を駆動することで、インジェクタ150から目標噴射量の燃料を噴射させる。また、駆動制御部192は、点火時期決定部190により決定された目標点火時期で点火プラグ148を点火させる。
このようにして、燃焼室146で燃料が燃焼されたことにより生じた排気ガスは、排気路140を通じて外部に排出される。排気ガスには、炭化水素(HC:Hydro Carbon)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)や、煤等の粒子状物質が含まれるため、これらを除去する必要がある。そこで、排気路140に排気ガス浄化装置200を設けておき、排気ガス浄化装置200において、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質を除去する。
なお、ECU110は、排気ガス浄化装置として機能する際、堆積量推定部194、供給制御部196として機能する。堆積量推定部194および供給制御部196については後に詳述する。
(排気ガス浄化装置200)
図2は、排気ガス浄化装置200の構成を示す概略図である。なお、図2中、信号の流れを破線の矢印で示す。図2に示すように、排気ガス浄化装置200は、堆積量推定部194と、供給制御部196と、三元触媒(Three-Way Catalyst)210と、GPF(フィルタ)220と、熱交換器230と、酸素含有ガス供給部240と、温度センサ250とを含む。
三元触媒210は、排気路140内に設けられる。三元触媒210は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒成分を含む。三元触媒210は、排気ポート136から排出された排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。
GPF220は、排気路140内における三元触媒210の下流側に設けられる。GPF220は、排気ポート136から排気された排気ガス中の粒子状物質(煤)を捕捉する。GPF220は、ウォールフロー型のフィルタである。本実施形態においてGPF220は、粒子状物質を捕捉する機能を有するとともに、触媒機能(例えば、三元触媒210と同様の、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する三元触媒の機能)を有する。
排気ガス浄化装置200は、排気路140にGPF220を備える構成により、GPF220に粒子状物質を堆積させて、排気ガスから除去することができる。そして、GPF220に堆積した粒子状物質(炭素C)は、下記式(1)に示す反応(粒子状物質の酸化反応)を進行させることによってGPF220から除去され、GPF220が再生される。
C + O → CO …式(1)
しかし、本実施形態のエンジン120はガソリンエンジンであるため、噴射量決定部186は、基本的に理論空燃比(ストイキ)となるように燃料の目標噴射量を決定する。理論空燃比での運転では、排気ガスに含まれる酸素が低濃度となるため、GPF220の再生処理が促進されない。再生処理が促進されないと、GPF220に粒子状物質が過剰に堆積してしまい、GPF220が目詰まりを起こして、圧力損失が大きくなってしまう。そうすると、燃費が悪化してしまうという問題がある。
そこで、排気ガス浄化装置200は、熱交換器230、酸素含有ガス供給部240、温度センサ250を含み、所定の開始条件を満たした場合に、排気ガスの酸素濃度を増加させる。
具体的に説明すると、熱交換器230は、三元触媒210と外気(酸素含有ガス)とで熱交換を行う。本実施形態において、熱交換器230は、本体232と、供給管234とを含む。本体232は、少なくとも三元触媒210を囲繞する管である。本実施形態において、本体232は、三元触媒210および排気路140の一部(排気路140における三元触媒210から所定距離下流側まで)を囲繞する。なお、排気路140における本体232に囲繞される箇所には、供給口140aが形成されている。供給管234は、一端が大気開放されており、他端が本体232に接続された管である。供給管234の他端は、本体232における三元触媒210を囲繞する箇所、具体的には、本体232における上流側(好ましくは、最も上流)に接続される。
酸素含有ガス供給部240は、ポンプで構成される。酸素含有ガス供給部240は、供給管234に設けられ、外気を供給管234に供給する。酸素含有ガス供給部240によって供給された外気は、本体232を通過した後、供給口140aを通じて排気路140に供給される。したがって、酸素含有ガス供給部240によって外気が供給されると、本体232の通過過程において、外気は、三元触媒210と熱交換する。つまり、本体232の通過過程において外気は加熱され、三元触媒210は冷却される。こうして、熱交換器230によって加熱(熱交換)された外気は、供給口140aを通じて排気路140に供給される。
温度センサ250は、排気路140における三元触媒210と供給口140aとの間の排気ガスの温度を検出する。
堆積量推定部194は、GPF220における粒子状物質の堆積量を推定する。堆積量推定部194は、例えば、エンジン120の運転条件や、前回外気を供給してから現在までの運転時間(走行距離)に基づいて粒子状物質の堆積量を推定する。
供給制御部196は、所定の開始条件を満たし、かつ、堆積量が所定の堆積閾値以上であると、酸素含有ガス供給部240を制御して、外気の供給を開始させる。ここで、開始条件は、吸入空気量センサ160が検出した吸入空気量と、GPF220の温度とに基づいて設定される。なお、GPF220の温度は、温度センサ250が検出した温度に基づいて推定される。
図3は、本実施形態の開始条件を説明する図である。図3において、縦軸は吸入空気量を示し、横軸はGPF220の温度を示す。アイドル状態(アクセル開度センサ168が検出したアクセルの開度が0(ゼロ)、かつ、車速が0(ゼロ))である際の吸入空気量をKmin、アクセル開度センサ168が検出したアクセルの開度が0を上回る所定の空気量閾値である際の吸入空気量をKmax(例えば、40g/秒)とする。なお、空気量閾値は、三元触媒210に加えてGPF220で排気ガスを浄化しなければ、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を浄化できない吸入空気量の下限値である。また、粒子状物質を燃焼可能な温度の下限値をTmin、GPF220の劣化温度をTmaxとする。ここで、劣化温度は、GPF220に担持された触媒が劣化する温度の下限値、または、GPF220が溶損する温度の下限値である。
吸入空気量がKmax以上である場合、排気路140に外気を供給すると、GPF220がリーン雰囲気(ストイキよりも酸素が過剰な雰囲気)となる。この場合、GPF220において窒素酸化物を浄化できなくなってしまう。したがって、供給制御部196は、吸入空気量がKmax以上である場合およびKmin未満である場合、酸素含有ガス供給部240を駆動しない。
また、GPF220の温度がTmin未満である場合、外気を供給しても粒子状物質の燃焼(再生処理)は行われない。一方、GPF220の温度がTmax以上である場合、外気を供給してしまうと、粒子状物質の燃焼が促進され、GPF220に担持された触媒が劣化したり、GPF220自体が溶損したりしてしまう。
したがって、供給制御部196は、吸入空気量がKmin以上Kmax未満であり、GPF220の温度がTmin以上Tmax未満である場合(以下、「供給可能範囲」と称する)に開始条件を満たしたとして、酸素含有ガス供給部240を駆動して外気を供給させるとよい。
ただし、供給制御部196は、供給可能範囲内の供給推奨範囲を開始条件とし、供給推奨範囲において酸素含有ガス供給部240を駆動して外気を供給させると、さらに効率よく再生処理を行うことができる。具体的に説明すると、供給推奨範囲は、吸入空気量がKmin以上Kmax未満であり、GPF220の温度がTth以上Tmax未満の範囲である。
また、Tthは、Tminを上回り、Tmax未満の所定の温度である。Tthは、三元触媒210の温度が所定のOTP抑制温度(所定温度)であると推定されるGPF220の温度である。OTP抑制温度は、過昇温防止制御(OTP:Over Temperature Protection)の開始温度未満の温度である。OTPは、噴射量決定部186を制御して、排気ガスの空燃比がリッチとなるように燃料の噴射量を増加させる制御である。OTPを開始させることにより、三元触媒210の温度を低下させることができる。これにより、三元触媒210の劣化を防止することが可能となる。
GPF220の温度がTth以上である場合、酸素含有ガス供給部240を駆動させると、OTPが開始される前に三元触媒210を冷却することができる。これにより、OTPの作動を回避することができ、燃費を悪化させずに、三元触媒210を冷却することが可能となる。
続いて、排気ガス浄化装置200を用いた排気ガスの浄化処理について説明する。図4は、排気ガス浄化処理の流れを説明するフローチャートである。
(第1堆積量判定処理S310)
堆積量推定部194は、GPF220における粒子状物質の堆積量が第1の堆積閾値以上であるか否かを判定する。ここで、第1の堆積閾値は、再生処理が必要な粒子状物質の堆積量の下限値である。堆積量推定部194は、第1の堆積閾値以上であると判定した場合には(S310におけるYES)、第2堆積量判定処理S320に処理を移し、第1の堆積閾値以上ではないと判定した場合には(S310におけるNO)、温度判定処理S370に処理を移す。
(第2堆積量判定処理S320)
堆積量推定部194は、GPF220における粒子状物質の堆積量が第1の堆積閾値を上回る第2の堆積閾値以上であるか否かを判定する。ここで、第2の堆積閾値は、GPF220における粒子状物質の堆積量の上限値である。つまり、第2の堆積閾値は、直ちに再生処理を行う必要がある粒子状物質の堆積量である。堆積量推定部194は、第2の堆積閾値以上であると判定した場合には(S320におけるYES)、第2開始条件判定処理S350に処理を移し、第2の堆積閾値以上ではない(第2の堆積閾値未満である)と判定した場合には(S320におけるNO)、第1開始条件判定処理S330に処理を移す。
(第1開始条件判定処理S330)
供給制御部196は、吸入空気量センサ160が検出した吸入空気量、および、温度センサ250が検出した排気ガスの温度に応じて推定したGPF220の温度に基づき、開始条件を満たすか否か、つまり、供給推奨範囲であるか否かを判定する。その結果、開始条件を満たす(供給推奨範囲内である)と判定した場合には(S330におけるYES)、供給処理S340に処理を移し、開始条件を満たさない(供給推奨範囲内ではない)と判定した場合には(S330におけるNO)、排気ガス浄化処理を終了する。
(供給処理S340)
供給制御部196は、酸素含有ガス供給部240を駆動して、外気の供給を開始し、再生処理を開始する。そして、供給制御部196は、外気の供給を開始してから所定時間が経過した後、酸素含有ガス供給部240の駆動を停止して、排気ガス浄化処理を終了する。なお、所定時間は、5秒以上30秒以下である。
(第2開始条件判定処理S350)
供給制御部196は、吸入空気量センサ160が検出した吸入空気量、および、温度センサ250が検出した排気ガスの温度に応じて推定したGPF220の温度に基づき、開始条件を満たすか否か、つまり、供給可能範囲であるか否かを判定する。その結果、開始条件を満たす(供給可能範囲内である)と判定した場合には(S350におけるYES)、供給処理S360に処理を移し、開始条件を満たさない(供給可能範囲内ではない)と判定した場合には(S350におけるNO)、排気ガス浄化処理を終了する。
(供給処理S360)
供給制御部196は、酸素含有ガス供給部240を駆動して、外気の供給を開始し、再生処理を開始する。そして、供給制御部196は、外気の供給を開始してから所定時間が経過した後、酸素含有ガス供給部240の駆動を停止して、排気ガス浄化処理を終了する。なお、所定時間は、供給処理S340の所定時間より長い時間である。
(温度判定処理S370)
供給制御部196は、温度センサ250が検出した排気ガスの温度に応じて推定したGPF220の温度がTth以上であるか否かを判定する。その結果、Tth以上であると判定した場合には、燃費判定処理S380に処理を移し、Tth以上ではないと判定した場合には、排気ガス浄化処理を終了する。
(燃費判定処理S380)
供給制御部196は、温度センサ250が検出した排気ガスの温度に応じて三元触媒210の温度を推定する。そして、供給制御部196は、三元触媒210の温度に基づき、三元触媒210の温度を所定の安全温度まで低下させるために必要な燃料の量(OTPを開始して使用する燃料の量)を算出する。具体的に説明すると、三元触媒210の温度と、安全温度まで低下させるために必要な燃料の量とが関連付けられたマップが不図示のメモリに保持されており、供給制御部196は、マップを参照して、燃料の量を算出する。なお、安全温度は、三元触媒210が劣化しない温度である。
また、供給制御部196は、吸気温センサ162が検出した外気の温度に基づき、熱交換によって三元触媒210を安全温度まで低下させるために必要な外気の量を算出する。そして、供給制御部196は、算出した量の外気を供給するために、酸素含有ガス供給部240の駆動に要する電気エネルギーを算出する。また、供給制御部196は、算出した電気エネルギーを燃料の量に換算する(電気エネルギーを燃料の量に換算した値を燃料換算値と称する)。
続いて、供給制御部196は、OTPを開始して使用する燃料の量が、酸素含有ガス供給部240の駆動に要する燃料換算値より高いか否かを判定する。その結果、供給制御部196は、OTPを開始して使用する燃料の量が、外気を供給するための燃料換算値よりも高いと判定した場合には(S380におけるYES)、供給処理S390に処理を移し、OTPを開始して使用する燃料の量が、外気を供給するための燃料換算値以下であると判定した場合には(S380におけるNO)、排気ガス浄化処理を終了する。
(供給処理S390)
供給制御部196は、酸素含有ガス供給部240を駆動して、外気の供給を開始し、三元触媒210の冷却を開始する。そして、供給制御部196は、外気の供給を開始してから所定時間が経過した後、酸素含有ガス供給部240の駆動を停止して、排気ガス浄化処理を終了する。なお、所定時間は、三元触媒210が安全温度になるまでの時間である。
以上説明したように、本実施形態の排気ガス浄化装置200は、吸入空気量とGPF220の温度とに基づいて、外気を供給するため、GPF220の再生処理を効率よく行うとともに、三元触媒210を効率よく冷却することができる。
また、酸素含有ガス供給部240が三元触媒210とGPF220との間に外気を供給することにより、三元触媒210がリーン雰囲気となってしまう事態を回避することができる。これにより、三元触媒210において、効率よく排気ガスを浄化することができる。
(変形例)
上記実施形態において、エンジンシステム100(排気ガス浄化装置200)が熱交換器230を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、熱交換器230は必須の構成ではない。
図5は、変形例の排気ガス浄化装置400の構成を示す概略図である。なお、図5中、信号の流れを破線の矢印で示す。図5に示すように、変形例の排気ガス浄化装置400は、堆積量推定部194と、三元触媒210と、GPF220と、酸素含有ガス供給部440と、温度センサ450と、供給制御部496とを含む。なお、上記排気ガス浄化装置200と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、排気路140における三元触媒210とGPF220との間には、供給管442が接続される。供給管442は、端部が大気開放されている。酸素含有ガス供給部440は、ポンプで構成される。酸素含有ガス供給部440は、供給管442に設けられ、外気を供給管442に供給する。酸素含有ガス供給部440によって供給された外気は、供給管442を通じて排気路140に供給される。
温度センサ450は、排気路140における供給管442の接続箇所とGPF220との間の排気ガスの温度を検出する。
供給制御部496は、開始条件を満たし、かつ、堆積量が第1の堆積閾値以上であると、酸素含有ガス供給部440を制御して、外気の供給を開始させる。
図6は、変形例の開始条件を説明する図である。図6において、縦軸は吸入空気量を示し、横軸はGPF220の温度を示す。なお、図6における供給可能範囲は、上記実施形態で既に説明した供給可能範囲(図3参照)と実質的に等しいため、ここでは、説明を省略する。
変形例の供給推奨範囲は、吸入空気量がKmin以上Kb以下であり、GPF220の温度がTmin以上Tmax未満の範囲である。ここで、Kbは、Kminを上回り、Kmax未満の所定の吸入空気量である。
吸入空気量がKb以下の場合、吸入空気量がKbを上回る場合と比較して排気ガスの量が少ない。したがって、供給する外気の量が少なくても、排気ガス中の酸素濃度を増加させることができる。このため、Kbは、排気ガス中の酸素濃度を効率よく増加させることができる吸入空気量に決定される。
つまり、供給制御部496が、変形例の供給推奨範囲を開始条件とし、供給推奨範囲において酸素含有ガス供給部440を駆動して外気を供給させることで、相対的に少ない量の外気で排気ガスの酸素濃度を増加させることが可能となる。
続いて、排気ガス浄化装置400を用いた排気ガスの浄化処理について説明する。図7は、変形例の排気ガス浄化処理の流れを説明するフローチャートである。
(堆積量判定処理S510)
堆積量推定部194は、GPF220における粒子状物質の堆積量が第1の堆積閾値以上であるか否かを判定する。堆積量推定部194は、第1の堆積閾値以上ではないと判定した場合には(S510におけるNO)、排気ガス浄化処理を終了し、第1の堆積閾値以上であると判定した場合には(S510におけるYES)、開始条件判定処理S520に処理を移す。
(開始条件判定処理S520)
供給制御部496は、吸入空気量センサ160が検出した吸入空気量、および、温度センサ450が検出した排気ガスの温度に応じて推定したGPF220の温度に基づき、開始条件を満たすか否か、つまり、供給推奨範囲であるか否かを判定する。その結果、開始条件を満たす(供給推奨範囲である)と判定した場合には(S520におけるYES)、供給処理S530に処理を移し、開始条件を満たさない(供給推奨範囲ではない)と判定した場合には(S520におけるNO)、排気ガス浄化処理を終了する。
(供給処理S530)
供給制御部496は、酸素含有ガス供給部440を駆動して、外気の供給を開始する。そして、供給制御部496は、外気の供給を開始してから所定時間が経過した後、酸素含有ガス供給部440の駆動を停止して、排気ガス浄化処理を終了する。なお、所定時間は、5秒以上30秒以下である。
このように、変形例の排気ガス浄化装置400は、吸入空気量とGPF220の温度とに基づいて、外気を供給するため、GPF220の再生処理を効率よく行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、上記実施形態および変形例において、ECU110が堆積量推定部194、供給制御部196、496として機能する構成を例に挙げて説明した。しかし、堆積量推定部194、供給制御部196、496は、ECU110と別体で構成されてもよい。
また、上記実施形態および変形例において、酸素含有ガス供給部240、440が酸素含有ガスとして外気を供給する場合を例に挙げて説明した。しかし、酸素含有ガス供給部240、440が供給する酸素含有ガスは、理論空燃比の排気ガスより酸素濃度が高いガスであればよい。
また、上記実施形態において、温度センサ250が三元触媒210と供給口140aとの間の排気ガスの温度を検出する構成を例に挙げて説明した。しかし、温度センサ250は、少なくともGPF220の温度を推定できれば検出位置に限定はない。同様に、変形例において、温度センサ450が、供給管442の接続箇所とGPF220との間の排気ガスの温度を検出する構成を例に挙げて説明した。しかし、温度センサ450は、少なくともGPF220の温度を推定できれば検出位置に限定はない。
また、上記実施形態および変形例において、温度センサ250、450を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、排気ガス浄化装置200、400は、GPF220の温度を推定できれば、温度センサ250、450を備えずともよい。例えば、排気ガス浄化装置200、400は、エンジンの回転数に基づいて、GPF220の温度を推定してもよい。
また、上記実施形態および変形例において、GPF220が触媒を含む構成を例に挙げて説明したが、GPF220は粒子状物質を捕捉できればよく、触媒を含まずともよい。
また、供給制御部196は、上記実施形態の供給推奨範囲および変形例の供給推奨範囲を開始条件としてもよい。具体的に説明すると、GPF220の温度がTmin以上Tth未満であり、吸入空気量がKmin以上Kb以下である場合、および、GPF220の温度がTh以上Tmax未満であり、吸入空気量がKmin以上Kmax以下である場合を開始条件としてもよい。
また、上記実施形態において、吸入空気量がKmin以上Kmax以下である場合を供給推奨範囲とした。つまり、変形例と比較して、吸入空気量が多い場合も供給推奨範囲とした。これにより、実施形態において、供給推奨範囲を満たさない場合を低減することができる。なお、供給推奨範囲を面積に換算すると、実施形態の供給推奨範囲と、変形例の供給推奨範囲とは、実質的に等しい面積であってもよい。
また、上記実施形態において、熱交換器230が本体232と供給管234とを備える構成を例に挙げて説明した。しかし、熱交換器230は、三元触媒210と外気(酸素含有ガス)とを熱交換できれば構成に限定はない。
また、上記実施形態において、エンジン120としてガソリンエンジンを例に挙げて説明した。しかし、排気ガス浄化装置200は、エンジンの種類に限らず(例えば、ディーゼルエンジン)、エンジンから排気された排気ガスに含まれる粒子状物質を取り除くことができる。
本発明は、排気ガス浄化装置に利用できる。
196、496 供給制御部
200 排気ガス浄化装置
210 三元触媒
220 GPF(フィルタ)
230 熱交換器
240、440 酸素含有ガス供給部

Claims (2)

  1. エンジンの排気路に設けられた三元触媒と、
    前記排気路における前記三元触媒の下流側に設けられた、触媒機能を有するフィルタと、
    前記フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する堆積量推定部と
    前記排気路における前記三元触媒と前記フィルタとの間に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給部と、
    前記堆積量推定部によって推定された粒子状物質の堆積量が所定の堆積閾値以上であり、前記エンジンの吸入空気量と前記フィルタの温度とに基づく所定の開始条件を満たすと、前記酸素含有ガス供給部を制御して、前記酸素含有ガスの供給を開始させる供給制御部と、
    を備え
    前記堆積量推定部によって推定された粒子状物質の堆積量が第1の堆積閾値以上であり、前記第1の堆積閾値を上回る第2の堆積閾値未満である場合、
    前記開始条件は、
    前記吸入空気量が、アイドル運転の際の吸入空気量を上回る所定の吸入空気量以下であり、
    前記フィルタの温度が、前記三元触媒の温度が所定温度であると推定される前記フィルタの温度以上かつ前記フィルタの劣化温度未満である排気ガス浄化装置。
  2. 前記堆積量推定部によって推定された粒子状物質の堆積量が前記第2の堆積閾値以上である場合、
    前記開始条件は、
    前記吸入空気量が、アイドル運転の際の吸入空気量を上回る所定の吸入空気量以下であり、
    前記フィルタの温度が、粒子状物質を燃焼可能な温度の下限値以上かつ前記フィルタの劣化温度未満である請求項に記載の排気ガス浄化装置。
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