JP7066841B2 - スパッタリング方法、スパッタリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スパッタリング方法、スパッタリング装置に関し、特にカソードとマグネットとが揺動するスパッタリングに用いて好適な技術に関する。
本願は、2018年6月19日に日本に出願された特願2018-116343号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイは、表示素子を駆動する複数の薄膜トランジスタを備えている。薄膜トランジスタは、チャネル層を有し、チャネル層の形成材料は、例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)等の酸化物半導体である。近年では、チャネル層の形成対象である基板が大型化し、大型の基板に成膜するスパッタリング装置として、例えば、特許文献1に記載のように、化合物膜の特性がばらつくことを抑えるように、本出願人らは、ターゲットが走査するスパッタリング装置を用いていた。
このようなスパッタリング装置では、成膜時にターゲットが基板に対して走査される際、ターゲットの裏側に位置するマグネットも揺動させるように制御していた。
具体的には、図12,図13に示すように、ターゲット23およびマグネット25の走査方向において、マグネット25に近い基板Sの端部Re1から離れた位置にマグネット25が位置した状態で、ターゲット23が基板Sに近づいてゆき、スパッタリングをおこなうとともに、ターゲット23に対してマグネット25が走査方向に往復動作をおこなう。このとき、走査方向において、マグネット25は、ターゲット23の基板Sの端部Re1から離れた開始位置から走査を開始し、また、終了時には、開始位置と同じターゲット23の基板Sの端部Re1から離れた終了位置(開始位置)にマグネット25が位置するように制御していた。
なお、図12は、ターゲット23の往路を示しており、図13は、ターゲット23の復路を示している。
日本国特許第5801500号公報
しかしながら、上記のようにターゲットに対してマグネットを走査(揺動)させる技術では、膜厚分布や膜質分布にムラができてしまうことが、依然として解消されていないという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.膜厚分布や膜質分布におけるムラの発生を劇的に低減すること。
上記課題を解決するために、本発明の第1態様に係るスパッタリング方法は、被成膜基板において膜が形成される形成領域に向けてスパッタ粒子を放出可能なターゲットを有するカソードユニットと、基板面内方向となる走査方向において前記被成膜基板に対して前記カソードユニットを相対的に往復動作させる走査部と、前記カソードユニットにおける前記ターゲットにエロージョン領域を形成するマグネットと、前記走査方向に前記マグネットを往復動作させるマグネット走査部とを用い、前記カソードユニットが前記走査部によって前記走査方向に前記被成膜基板に対して相対的に往復動作される間に、前記マグネットを前記マグネット走査部によって前記走査方向に往復動作させるとともに、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、において、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速度と前記ターゲットに対する前記マグネットの速度との和である一定速度の和速度Vmaxとして、前記被成膜基板に対して前記マグネットの移動する領域が、前記被成膜基板の全域にわたって連続するように設定される。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットおよび前記マグネットの開始位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記被成膜基板から遠い前記ターゲットの端部に位置する、または、前記マグネットが前記走査方向において前記被成膜基板から近い前記ターゲットの端部に位置するとともに、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの1往復動作において、前記ターゲットに対する前記マグネットの往復動作における往路と復路との走査回数が奇数回に設定されるとともに、
前記マグネットの移動方向の移動方向と前記ターゲットの移動方向とが、前記ターゲットの往路と復路とにおいてそれぞれ互いに逆向きとなるように設定されてもよい。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットの往路動作終了位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記ターゲットの中央部に位置してもよい。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットおよび前記マグネットの開始位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記ターゲットの中央部に位置するとともに、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの1往復動作において、前記ターゲットに対する前記マグネットの往復動作における往路と復路との走査回数が偶数回に設定されるとともに、前記マグネットの移動方向と前記ターゲットの移動方向とが、前記ターゲットの往路と復路とにおいてそれぞれ互いに逆向きとなるように前記マグネットの移動方向が設定されてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の第2態様に係るスパッタリング装置であって、被成膜基板において膜が形成される形成領域に向けてスパッタ粒子を放出するカソードユニットと、前記カソードユニットと前記被成膜基板とを相対的に基板面内方向となる走査方向に往復動作可能な走査部と、エロージョン領域が形成されるターゲットと、前記ターゲットに対して前記被成膜基板とは反対側に配置されて前記ターゲットに前記エロージョン領域を形成するマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの前記走査方向における端部間で往復動作可能なマグネット走査部と、前記走査部と前記マグネット走査部とに接続されて、前記カソードユニットの往復動作及び前記マグネットの往復動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部において、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、において、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速度と前記ターゲットに対する前記マグネットの速度との和である一定速度の和速度Vmaxとして、前記被成膜基板に対して前記マグネットの移動する領域が、前記形成領域の全域にわたって連続するように設定される。
上記課題を解決するために、本発明の第3態様に係るスパッタリング装置であって、被成膜基板において膜が形成される成膜領域に対向して、前記成膜領域に対して相対的に移動しながらスパッタ粒子を放出する細長形状のカソードユニットと、前記カソードユニットを、前記成膜領域の一端より外側の第一成膜外位置から、前記成膜領域の他端より外側の第二成膜外位置の間で往復移動するように、前記カソードユニットの長辺に交差する走査方向に移動させるカソード走査部と、を有し前記カソードユニットは、細長のターゲットと、前記ターゲットの裏面に配置されるマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの長辺に交差する方向に往復させるマグネット走査部と、を有し、前記成膜領域において、前記カソードユニットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記カソードユニットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、が前記被成膜基板と前記マグネットの相対速度において、前記マグネットの移動方向と前記ターゲットの移動方向とが、前記ターゲットの往路と復路とにおいてそれぞれ互いに逆向きとなるように前記マグネットの移動方向が制御される。
本発明の第3態様に係るスパッタリング装置においては、前記成膜領域において、前記カソードユニットの往路動作と前記マグネットの往復動作の合成速度の最小値となる領域と、前記カソードユニットの復路動作と前記マグネットの往復動作の合成速度の最小値となる領域と、が重ならなくてもよい。

本発明の第1態様に係るスパッタリング方法は、被成膜基板において膜が形成される形成領域に向けてスパッタ粒子を放出可能なターゲットを有するカソードユニットと、基板面内方向となる走査方向において前記被成膜基板に対して前記カソードユニットを相対的に往復動作させる走査部と、前記カソードユニットにおける前記ターゲットにエロージョン領域を形成するマグネットと、前記走査方向に前記マグネットを往復動作させるマグネット走査部とを用い、前記カソードユニットが前記走査部によって前記走査方向に前記被成膜基板に対して相対的に往復動作される間に、前記マグネットを前記マグネット走査部によって前記走査方向に往復動作させ、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速度に対応して、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における前記マグネットの往復動作とが、互いに補償し合うように設定される。
これにより、マグネットの往復動作がターゲットの往復動作全体にわたって均一化される。従って、マグネットにより発生するプラズマが被処理基板に対して均一に走査されることになり、被処理基板に成膜される膜厚等の膜特性を基板面内の走査方向において均一化することが可能となる。
ここで、「互いに補償し合うように」について説明する。前記被成膜基板に対する前記マグネットの速さを、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速さと、前記ターゲットに対する前記マグネットの速さとの和で表された合成速度と称される。この合成速度に関し、合成速度が最大値となる時間も、合成速度が最小値となる時間も同じとなるので、合成速度が最大値となる領域の方が、合成速度が最小値となる領域より長くなる。このため、「互いに補償し合うように」とは、合成速度が最大値となる領域が一部重複する場合があるが、合成速度が最小値となる領域は重複しないことを意味する。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットおよび前記マグネットの開始位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記被成膜基板から遠い前記ターゲットの端部に位置する、または、前記マグネットが前記走査方向において前記被成膜基板から近い前記ターゲットの端部に位置するとともに、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの1往復動作において、前記ターゲットに対する前記マグネットの走査動作の回数が奇数回に設定される。
これにより、ターゲットの往路におけるマグネットの走査状態と、ターゲットの復路におけるマグネットの走査状態とのバラツキが相殺される。結果的に、図12,図13に示すように、ターゲットの一端から他端まで偶数回走査するフルストロークでのスパッタリングに比べて、膜厚等の成膜特性におけるムラが半分程度以下に均一化することが可能となる。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットの往路動作終了位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記ターゲットの中央部に位置する。
これにより、ターゲットの一端から他端まで偶数回走査するフルストロークでのスパッタリングに比べて、膜厚等の成膜特性におけるムラが半分程度以下に均一化することが可能となる。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットおよび前記マグネットの開始位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記ターゲットの中央部に位置するとともに、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの1往復動作において、前記ターゲットに対する前記マグネットの走査動作の回数が偶数回に設定される。
これにより、結果的に、膜厚等の成膜特性におけるムラが半分程度以下に均一化することができる。
また、前記ターゲットの開始位置において、前記走査方向における前記被成膜基板に近接する前記ターゲット端部と、前記走査方向における前記ターゲットに近接する前記被成膜基板端部とが、離間する。これにより、ターゲットに対するマグネットの走査開始を、ターゲットが被処理基板に重ならない位置から開始するように設定することが可能となり、被処理基板全面で、均一な膜特性としてスパッタリング成膜をおこなうことが可能となる。
また、前記ターゲットの折り返し位置において、前記走査方向における前記被成膜基板に近接する前記ターゲット端部と、前記走査方向における前記ターゲットに近接する前記被成膜基板端部とが、離間する。これにより、ターゲットに対するマグネットの走査終了を、ターゲットが被処理基板に重ならない位置として設定することが可能となり、被処理基板全面で、均一な膜特性としてスパッタリング成膜をおこなうことが可能となる。
本発明の第1態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットに対する前記マグネットの往路動作における速さと、前記ターゲットに対する前記マグネットの復路動作における速さとが、一定かつ互いに等しく設定される。これにより、ターゲットの往路におけるマグネットの往路での被処理基板に対する速さと、ターゲットの復路におけるマグネットの復路での被処理基板に対する速さとを同じにすることができる。また、スパッタリング時における被成膜基板に対するマグネットの速さを、被成膜基板に対するターゲットの速さと、ターゲットに対するマグネットの速さとの和として表すことができる。この2つの速さの和であるマグネットの速さで、被成膜基板を走査する領域が、走査方向における被成膜基板の全長にわたって連続するように設定することができる。これにより、ターゲットの往路におけるマグネットの走査状態と、ターゲットの復路におけるマグネットの走査状態とのバラツキを相殺して、走査方向における基板内位置による成膜バラツキが発生することを防止して、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
また、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における速さと、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における速さとが、一定かつ互いに等しく設定されることができる。これにより、ターゲットの往路におけるマグネットの走査状態と、ターゲットの復路におけるマグネットの走査状態とのバラツキを相殺して、走査方向における基板面内位置による成膜バラツキが発生することを防止して、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
本発明の第2態様に係るスパッタリング装置は、被成膜基板において膜が形成される形成領域に向けてスパッタ粒子を放出するカソードユニットと、前記カソードユニットと前記被成膜基板とを相対的に基板面内方向となる走査方向に往復動作可能な走査部と、エロージョン領域が形成されるターゲットと、前記ターゲットに対して前記被成膜基板とは反対側に配置されて前記ターゲットに前記エロージョン領域を形成するマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの前記走査方向における端部間で往復動作可能なマグネット走査部と、前記走査部と前記マグネット走査部とに接続されて、前記カソードユニットの往復動作及び前記マグネットの往復動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部において、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速度に対応して、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、が互いに補償し合うように設定される。
これにより、マグネットの往復動作がターゲットの往復動作全体にわたって均一化される。従って、マグネットにより発生するプラズマが被処理基板に対して均一に走査されることになり、被処理基板に成膜される膜厚等の膜特性を基板面内の走査方向において均一化することが可能なスパッタリング装置を提供することが可能となる。
本発明の第3態様に係るスパッタリング装置は、被成膜基板において膜が形成される成膜領域に対向して、前記成膜領域に対して相対的に移動しながらスパッタ粒子を放出する細長形状のカソードユニットと、前記カソードユニットを、前記成膜領域の一端より外側の第一成膜外位置から、前記成膜領域の他端より外側の第二成膜外位置の間で往復移動するように、前記カソードユニットの長辺に交差する走査方向に移動させるカソード走査部と、を有し前記カソードユニットは、細長のターゲットと、前記ターゲットの裏面に配置されるマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの長辺に交差する方向に往復させるマグネット走査部と、を有し、前記成膜領域において、前記カソードユニットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記カソードユニットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、が前記被成膜基板と前記マグネットの相対速度において、補償するように制御される。
これにより、マグネットの往復動作がターゲットの往復動作全体にわたって均一化される。従って、マグネットにより発生するプラズマが被処理基板に対して均一に走査されることになり、被処理基板に成膜される膜厚等の膜特性を基板面内の走査方向において均一化することが可能なスパッタリング装置を提供することができる。
本発明の第3態様に係るスパッタリング装置においては、前記成膜領域において、前記カソードユニットの往路動作と前記マグネットの往復動作の合成速度の最小値となる領域と、前記カソードユニットの復路動作と前記マグネットの往復動作の合成速度の最小値となる領域と、が重ならない。
これにより、マグネットの往復動作により変動する被処理基板への成膜レートを均一化することになり、被処理基板に成膜される膜厚等の膜特性を基板面内の走査方向全長となる領域において均一化することが可能となる。
本発明の第4態様に係るスパッタリング方法においては、前記ターゲットおよび前記マグネットの往復動作において、前記被成膜基板に対する前記マグネットの速さを、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速さと、前記ターゲットに対する前記マグネットの速さとの和として表すことができる。この2つの速さの和であるマグネットの速さで、被成膜基板を走査する領域が、前記走査方向における前記被成膜基板の全長にわたって連続するように設定することができる。これにより、被処理基板に対して速さの和で速い速度でマグネットが走査する状態を走査方向における基板全体で実現し、マグネットの早い状態と遅い状態との領域が重なって、成膜ムラを散らすことが可能となる。
ここで、前記ターゲットおよび前記マグネットの往復動作において、前記被成膜基板に対する前記マグネットの速さを、前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速さと、前記ターゲットに対する前記マグネットの速さとの差の最小値として走査する領域が、前記被成膜基板の前記走査方向において断続的に配置されてもよい。
本発明によれば、被処理基板に対してカソードが走査され、カソードに対してマグネットが走査されるスパッタリングにおいて、成膜特性にムラが発生してしまうことを劇的に低減することが可能となるという効果を奏することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるスパッタリング装置の全体構成を示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるスパッタチャンバの構成を模式的に示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるカソードユニットの構成を模式的に示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲット往路でのスパッタリングを説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲット復路でのスパッタリングを説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの走査方向における位置と時間との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲット往路でのスパッタリングを説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲット復路でのスパッタリングを説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの走査方向における位置と時間との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係を示すグラフである。 従来のスパッタリング方法におけるターゲット往路でのスパッタリングを説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。 従来のスパッタリング方法におけるターゲット復路でのスパッタリングを説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。 従来のスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの走査方向における位置と時間との関係を示すグラフである。 従来のスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係るスパッタリング方法におけるマグネットの走査回数と膜厚分布との関係を示すものである。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係るスパッタリング方法におけるスパッタリング装置の全体構成を示す構成図である。 本発明の他の実施形態に係るスパッタリング方法におけるスパッタリング装置の全体構成を示す構成図である。
以下、本発明の第1実施形態に係るスパッタリング方法、スパッタリング装置を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るスパッタリング方法を行うスパッタリング装置の全体構成を示す構成図である。図2は、本実施形態におけるスパッタチャンバの構成を模式的に示す構成図である。図3は、本実施形態におけるカソードユニットの構成を模式的に示す構成図である。図1において、符号10は、スパッタリング装置である。
本実施形態に係るスパッタリング装置10としては、一例として、基板に形成される化合物膜がインジウムガリウム亜鉛酸化物膜(IGZO膜)である場合を説明する。しかしながら、スパッタリング装置10によって成膜される膜の組成に関しては、これに限られない。ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)等の酸化膜、あるいは、Ag、Alなどの金属膜などの他の組成の成膜をおこなうこともできる。
以下では、スパッタリング装置の全体構成、スパッタチャンバの構成、カソードユニットの構成、および、スパッタチャンバの作用を順に説明する。
[スパッタリング装置の全体構成]
本実施形態に係るスパッタリング装置10は、図1に示すように、搬出入チャンバ11、前処理チャンバ12、および、スパッタチャンバ13が、1つの方向である搬送方向に沿って配列されている。3つのチャンバの各々は、相互に隣り合う他のチャンバとゲートバルブ14によって連結されている。3つのチャンバの各々には、チャンバ内のガスを排気してチャンバ内を真空状態とする排気部15が連結され、3つのチャンバの各々は、排気部15の駆動によって個別に減圧される。3つのチャンバの各々の底面には、搬送方向に沿って延びる相互に平行な2つのレーンである成膜レーン16と回収レーン17とが敷かれている。
成膜レーン16と回収レーン17とは、例えば、搬送方向に沿って延びるレールと、搬送方向に沿って配置された複数のローラーと、複数のローラーの各々を自転させる複数のモーター等から構成される。成膜レーン16は、スパッタリング装置10の内部に搬入されたトレイTを搬出入チャンバ11からスパッタチャンバ13に向けて搬送し、回収レーン17は、スパッタチャンバ13の内部に搬入されたトレイTをスパッタチャンバ13から搬出入チャンバ11に向けて搬送する。
トレイTには、紙面の手前に向かって延びる矩形状をなす基板(被処理基板)Sが立てられた状態で固定されている。基板Sの幅は、例えば、搬送方向に沿って2200mmであり、紙面の手前に向かって2500mmであることができる。なお、トレイT、基板Sを水平状態として搬送することもできる。
搬出入チャンバ11は、スパッタリング装置10の外部から搬入される成膜前の基板Sを前処理チャンバ12へ搬送し、前処理チャンバ12から搬入される成膜後の基板Sをスパッタリング装置10の外部に搬出する。成膜前の基板Sが外部から搬出入チャンバ11へ搬入されるとき、また、成膜後の基板Sが搬出入チャンバ11から外部へ搬出されるとき、搬出入チャンバ11の内部を大気圧まで昇圧する。成膜前の基板Sが搬出入チャンバ11から前処理チャンバ12へ搬入されるとき、また、成膜後の基板Sが前処理チャンバ12から搬出入チャンバ11へ搬出されるとき、搬出入チャンバ11の内部は、前処理チャンバ12の内部と同じ程度にまで減圧される。
前処理チャンバ12は、搬出入チャンバ11から前処理チャンバ12へ搬入された成膜前の基板Sに、成膜に必要とされる処理として、例えば、加熱処理や洗浄処理等を行う。
前処理チャンバ12は、搬出入チャンバ11から前処理チャンバ12へ搬出された基板Sをスパッタチャンバ13へ搬入する。また、前処理チャンバ12は、スパッタチャンバ13から前処理チャンバ12へ搬出された基板Sを搬出入チャンバ11へ搬出する。
スパッタチャンバ13は、基板Sに向けてスパッタ粒子を放出するカソード装置18、および、成膜レーン16と回収レーン17との間に配置されたレーン変更部19を備えている。スパッタチャンバ13は、前処理チャンバ12からスパッタチャンバ13へ搬入された成膜前の基板Sに対し、カソード装置18を用いてIGZO膜を形成する。
スパッタチャンバ13は、レーン変更部19を用いて成膜後のトレイTを成膜レーン16から回収レーン17へ移動させる。
[スパッタチャンバの構成]
スパッタチャンバ13の成膜レーン16は、図2に示すように、前処理チャンバ12からスパッタチャンバ13へ搬入された基板Sを搬送方向に沿って搬送し、基板Sへの薄膜の形成が開始されてから終了されるまでの間は、成膜レーン16の途中でトレイTの位置を固定する。トレイTの位置がトレイTを支持する支持部材によって固定されるとき、基板Sにおける搬送方向の縁の位置も固定される。
スパッタチャンバ13のガス供給部21aは、トレイTとカソード装置18との間の隙間に、スパッタに用いられるガスを供給する。ガス供給部21aから供給されるガスには、アルゴンガス等のスパッタガスと酸素ガス等の反応ガスとが含まれることができる。
ガス供給部21bは、カソードユニット22に接続されて、カソードユニット22とともに移動可能とされており、ガスの一部(例えば、反応性ガスの酸素)、あるいは全部を供給する。
また、ガス供給部21bを設けずに、ガス供給部21aのみとする構成も可能である。
カソード装置18は、1つのカソードユニット22を有し、カソードユニット22は、基板Sの表面Saと対向する平面に沿って配置されている。カソードユニット22では、ターゲット23、バッキングプレート24、および、マグネット(磁気回路)25が、基板Sに近い側からこの順に配置されている。
ターゲット23は、基板Sと対向する平面に沿った平板状に形成され、紙面と直交する方向である高さ方向において基板Sよりも長い幅を有し、また、搬送方向において基板Sよりも小さい幅、例えば、5分の1程度の幅を有する。ターゲット23の形成材料では主たる成分がIGZOであり、例えば、ターゲット23の形成材料のうちの95質量%がIGZOであり、好ましくは99質量%以上がIGZOであることができる。
バッキングプレート24は、基板Sと対向する平面に沿った平板状に形成され、ターゲット23にて基板Sと向かい合わない面に接合されている。バッキングプレート24には、直流電源26Dが接続している。直流電源26Dから供給される直流電力は、バッキングプレート24を通じてターゲット23に供給される。
カソードの電源として直流電源26Dに変えて、AC電源を用いてもよい。この場合、ターゲットは2枚を1対として、一組、あるいは、あるいはそれ以上設けることが好ましい。
マグネット(磁気回路)25は、相互に異なる磁極を有した複数の磁性体によって構成され、ターゲット23の表面23aであって、基板Sと向かい合うターゲット23の側面にマグネトロン磁場を形成する。ターゲット23の表面23aに対する法線に沿った方向が法線方向であるとき、ターゲット23の表面23aと基板Sの表面Saとの間の隙間で生成されるプラズマの密度は、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうち法線方向に沿った磁場成分が0(B⊥0)である部分において最も高くなる。以下では、マグネット25の形成するマグネトロン磁場のうち、法線方向に沿った磁場成分が0である領域がプラズマ密度の高い領域である。
カソード装置18は、カソードユニット22を1つの方向である走査方向に沿って移動させる走査部27を備える。走査方向は、搬送方向と平行な方向である。走査部27は、例えば、走査方向に沿って延びるレールと、カソードユニット22における高さ方向の2つの端部の各々に取り付けられたローラーと、ローラーの各々を自転させる複数のモーター等から構成される。走査部27のレールは、走査方向において基板Sよりも長い幅を有する。なお、走査部27は、走査方向に沿ってカソードユニット22を移動させることが可能であれば、他の構成として具体化されてもよい。
走査部27は、カソードユニット22を走査方向に沿って移動させることによって、IGZO膜の形成領域R1(膜が形成される形成領域、成膜領域)と対向する空間である対向領域R2でカソードユニット22を走査する。成膜対象物の一例である基板Sにおける表面Saの全体が、IGZO膜の形成領域R1の一例である。走査部27は、カソード装置18がスパッタ粒子を放出してIGZO膜の形成を開始するとき、例えば、走査部27における走査方向の一端部である開始位置Stから、走査方向の他端部である折り返し位置Enに向けて走査方向に沿ってカソードユニット22を移動させる。これにより、走査部27は、カソードユニット22のターゲット23を形成領域R1と対向する対向領域R2で走査する。
形成領域R1と対向領域R2とが対向する方向が対向方向である。対向方向にて、基板Sの表面Saと、ターゲット23の表面23aとの間の距離は、例えば、300mm以下であり、例えば、150mmであることができる。
カソードユニット22が開始位置Stに配置されるとき、走査方向での形成領域R1の2つの端部のうち、スパッタ粒子が先に到達する第1端部Re1と、走査方向にて第1端部Re1に近いターゲット23の第1端部23e1との間の走査方向に沿った距離D1が、150mm以上であることができる。
なお、カソードユニット22が開始位置Stに配置されるとき、走査方向での第1端部Re1と、ターゲット23の第1端部23e1との間の走査方向に沿った距離D1は、0mm~300mmである。
カソードユニット22が折り返し位置Enに位置するとき、走査方向での形成領域R1の2つの端部のうち、スパッタ粒子が後に到達する第2端部Re2と、走査方向にて、第2端部Re2に近いターゲット23の第2端部23e2との間の走査方向に沿った距離D1が、150mm以上であることができる。
これら距離D1と距離D2とは、走査方向において基板Sの中心に対して対称、つまり、これらは等しくなるよう設定されることができる。
なお、形成領域R1にIGZO膜等が形成されるとき、走査部27は、カソードユニット22を開始位置Stから折り返し位置Enまで走査方向に沿って走査した後、折り返し位置Enから開始位置Stまで走査方向に沿って一回走査してもよい。
あるいは、走査部27は、カソードユニット22を開始位置Stから折り返し位置Enまで走査し、折り返し位置Enから開始位置Stに向けて走査方向に沿って一往復走査した後、さらに、往復して走査してもよい。これにより、走査部27は、カソードユニット22を走査方向に沿って2往復走査する。
さらに、走査部27は、カソードユニット22を走査方向に沿って開始位置Stから折り返し位置Enを経て開始位置Stまで複数回往復移動させることによって、カソードユニット22を開始位置Stと折り返し位置Enとの間で複数回往復して走査してもよい。
走査部27がカソードユニット22を走査する回数は、IGZO膜の厚さに合わせて変更され、カソードユニット22の走査回数以外の条件が同じであれば、IGZO膜の厚さが大きいほど、走査部27がカソードユニット22を往復走査する回数が大きい値に設定される。
[カソードユニットの構成]
次に、カソードユニット22の構成をより詳しく説明する。なお、図3には、図2で説明された開始位置Stにカソードユニット22が配置された状態が示されている。
基板Sは、図3に示すように、その表面Saが配置される平面が仮想平面Pidである。ターゲット23にて基板Sと向かい合う側面である表面23aは、仮想平面Pidと平行な1つの平面上に配置されている。
ターゲット23の表面23a上にマグネトロン磁場を形成するマグネット25は、法線に沿った磁場成分が0(B⊥0)である2つの垂直磁場ゼロ領域をターゲット23の表面23aに形成する。ターゲット23の表面23aでは、主に2つの垂直磁場ゼロ領域からスパッタ粒子が放出される。2つのゼロ磁場領域のうち、走査方向にて形成領域R1の第1端部Re1に近い垂直磁場ゼロ領域が第1エロージョン領域であり、第1端部Re1から遠い垂直磁場ゼロ領域が第2エロージョン領域である。
マグネット25は、紙面と直交する高さ方向においてターゲット23と略等しい幅を有し、走査方向において例えば、ターゲット23よりも短い幅を有する細長い形状とされる。
カソードユニット22は、ターゲット23に対するマグネット25の位置を変えるマグネット走査部29を備える。マグネット走査部29は、例えば、走査方向に沿って延びるレールと、マグネット25における高さ方向の2つの端部の各々に取り付けられたローラーと、ローラーの各々を自転させる複数のモーター等から構成される。マグネット走査部29のレールは、走査方向においてターゲット23と略等しい幅を有する。なお、マグネット走査部29は、走査方向に沿ってマグネット25を移動させることが可能であれば、他の構成として具体化されてもよい。
マグネット走査部29は、例えば、走査方向において、ターゲット23の第2端部23e2とマグネット25とが重なる第1位置P1と、ターゲット23の第1端部23e1とマグネット25とが重なる第2位置P2との間で、マグネット25を走査することができる。
マグネット走査部29は、カソード装置18がスパッタ粒子を放出してIGZO膜の形成を開始するとき、マグネット25を第1位置P1から第2位置P2に向けて移動させる。マグネット走査部29は、走査部27がカソードユニット22を開始位置Stから折り返し位置Enに向けて移動させるとき、例えば、マグネット25を第1位置P1と第2位置P2との間で往復動作させる。
すなわち、マグネット25は、カソードユニット22が開始位置Stから折り返し位置Enへの移動を開始するとき、第1位置P1から第2位置P2への移動を開始し、カソードユニット22が折り返し位置Enを経て開始位置Stに戻って再度到達したとき、第1位置P1と第2位置P2との間に位置する。このように、マグネット走査部29は、走査方向に沿ってカソードユニット22の移動速度とは独立してマグネット25を往復動作させる。
本実施形態においては、後述するように、走査部27がカソードユニット22を開始位置Stから折り返し位置Enに向けて走査してまた開始位置Stに戻り、ターゲット23に対向領域R2を1回往復させるとき、マグネット走査部29は、マグネット25を第1位置P1と第2位置P2との間で奇数回走査して往復させることが好ましい。
ターゲット23が対向領域R2を1回往復してIGZO膜を形成するとき、マグネット25が第1位置P1と第2位置P2との間を複数回行き来すると、ターゲット23の走査方向に対するマグネット25の走査方向が変わるたびに、ターゲット23に対するマグネット25の相対速度が変わる。後述するように、マグネット25の相対速度が変わると、基板Sに対するマグネット25の速度は、ターゲット23の速度とマグネット25の速度との和となる速度、および、差となる速度の間でその状態も変化する。
本実施形態では、ターゲット23の速度とマグネット25の速度との和となる速度でマグネット25が移動する走査方向における領域が、この走査方向における基板S全面、つまり、形成領域R1における走査方向全域を覆うように設定される。これにより、ターゲット23およびマグネット25の走査方向において、IGZO膜の厚さにばらつきが生じることを低減できる。
[スパッタリング方法]
次に、スパッタチャンバ13におけるターゲット23とマグネット25との揺動について説明する。
ここでは、カソードユニット22が開始位置Stから折り返し位置Enを経て開始位置Stまで走査方向に沿って一往復する場合の作用を、図4~図7に基づいて説明する。
図4,図5は、本実施形態におけるスパッタリングにおけるターゲットとマグネットとの揺動を説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。図6は、本実施形態におけるターゲットとマグネットとの走査方向における位置と時間との関係を示すグラフである。図7は、本実施形態におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係を示すグラフである。
カソード装置18がIGZO膜の形成領域R1(成膜領域)に向けてスパッタ粒子の放出を開始するとき、図4に示すように、カソードユニット22は、開始位置Stに配置される。このとき、走査方向における形成領域R1の2つの端部のうち、スパッタ粒子が先に到達する第1端部Re1と、走査方向におけるターゲット23の2つの端部のうち、形成領域R1に近い第1端部23e1との間の距離D1は0mm~300mmであり、走査方向において第1端部Re1と第1端部23e1とは離間している。
また、カソードユニット22が開始位置Stに配置された状態で、マグネット25は、図4に示すように、ターゲット23の第2端部23e2の近くに位置している。
そして、カソードユニット22が走査方向に沿って移動すると、まず、ターゲット23から放出されるスパッタ粒子のうち、第1エロージョン領域E1からカソードユニット22の向かう方向に放出されるスパッタ粒子が、基板Sに到達する。
この際、カソードユニット22およびマグネット25が走査方向に沿って移動する走査速度は、次のように設定される。
走査方向にカソードユニット22が移動をはじめると、マグネット25も走査方向に移動しはじめたとき、図6,図7に示すように、カソードユニット22は、瞬間的に加速した後、一定なカソード走査速度VCaで基板Sに対して移動する。カソード走査速度VCaは、図6におけるグラフ線Caの傾きで示される。
同時に、マグネット25は、カソードユニット22のターゲット23に対してマグネット走査速度VMgで移動する。マグネット走査速度VMgは、図6におけるグラフ線Mgの傾きで示される。
ここで、カソードユニット22の移動距離よりマグネット25の移動距離のほうが短い状態となっている。
カソードユニット22の走査距離をLCa、走査時間をVCaとし、マグネット25の走査距離をLMg、走査時間をVMgとした際に、
LCa/VCa > LMg/VMg
を満たす関係とされている。
つまり、カソードユニット22が走査開始する位置から反対側まで移動する前に、マグネット25が走査開始する位置と反対側へ到達する関係とされている。
カソードユニット22が開始位置Stから折り返し位置Enに到達する往路において、マグネット25は、ターゲット23に対して第1位置P1と第2位置P2との間を偶数回と半分行き来する。
つまり、カソードユニット22が、図6に線Caで示すように、グラフ左端の開始位置Stからグラフ中央の折り返し位置Enまで移動する間に、マグネット25は、図6に線Mgで示すように、4回と半分第1位置P1と第2位置P2との間を走査する。つまり、ターゲット23の往路で、マグネット25は、第1位置P1から第2位置P2に2回到達する。
このため、マグネット25は、図7に示すように、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの和速度Vmaxと、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの差速度Vminとのいずれかで、一定速度として基板Sに対して走査される。さらに、これら、和速度Vmaxと差速度Vminとの切替時には、なるべく短い時間および距離で加速するように設定される。
なお、図6,図7においては、ターゲット23の往路における位置または速度の変化を線Caおよび線Mg上の黒三角矢印で示し、ターゲット23の復路における位置または速度の変化を線Caおよび線Mg上の二本線の矢印で示している。
ターゲット23の往路が終了し、ターゲット23が折り返し位置Enに到達した際に、図4に示すように、マグネット25は、第1位置P1と第2位置P2との中央位置Cに位置する。
そして、ターゲット23は、図6,図7に示すように、折り返し位置Enに到達すると即座に開始位置Stに向けて復路をスタートされる。同時に、マグネット25は、図6,図7に示すように、第1位置P1と第2位置P2との中央からの第2位置P2に向かう動きを継続する。
カソードユニット22が折り返し位置Enから開始位置Stに到達する復路においても、マグネット25は、ターゲット23に対して第1位置P1と第2位置P2との間を偶数回と半分行き来する。
つまり、カソードユニット22が、図6に線Caで示すように、グラフ中央の折り返し位置Enからグラフ右端の開始位置Stまで移動する間に、マグネット25は、図6に線Mgで示すように、4回と半分第1位置P1と第2位置P2との間を走査する。つまり、ターゲット23の復路で、マグネット25は第2位置P2から第1位置P1に2回到達する。
ターゲット23の復路においても、マグネット25は、図7に示すように、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの和速度Vmaxと、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの差速度Vminとのいずれかで、一定速度として基板Sに対して走査される。さらに、これら、和速度Vmaxと差速度Vminとの切替時には、なるべく短い時間および距離で加速するように設定される。
これにより、マグネット25が、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの和速度Vmaxとして基板Sに対して走査される領域は、走査方向における形成領域R1の全域、すなわち、基板Sの全域にわたって配置するように設定される。
具体的には、図7において線上の黒三角矢印で示したターゲット23の往路におけるマグネット25が和速度Vmaxで移動する領域と、図7において線上の二本線の矢印で示したターゲット23の復路におけるマグネット25が和速度Vmaxで移動する領域とが、連続する。これにより開始位置Stから折り返し位置Enを介して開始位置Stまで一往復カソードユニット22が移動する間に、走査方向における形成領域R1の全域で、マグネット25が和速度Vmaxで移動した部分が連続する。
実際には、図7に示すように、ターゲット23の往路における和速度Vmaxの領域と、ターゲット23の復路における和速度Vmaxの領域とは、互いに重なる部分もある。少なくとも、カソードユニット22が基板Sに対して一往復する間において、マグネット25が和速度Vmaxで移動する領域が、走査方向における基板Sの全体を覆うようになっている。
ターゲット23の復路が終了し、ターゲット23が開始位置Stに到達した際に、図5に示すように、マグネット25は、第2位置P2に位置する。
これにより、ターゲット23の往復動作を一回終了する。
本実施形態においては、ターゲット23の往路におけるマグネット25の走査状態と、ターゲット23の復路におけるマグネット25の走査状態とのバラツキを相殺する。これにより、走査方向における基板S内位置による成膜バラツキが発生することを防止してムラをなくし、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
また、図6に破線で囲んだように、基板S中央において、左側のターゲット23往路においてマグネット25が図で上向きに移動している部分では、右側のターゲット23の復路においてマグネット25は、図で下向きに移動している。
このように、マグネット25をターゲット23の往復動作において、第1位置P1からスタートし、奇数回走査して往復するように設定することで、マグネット25の移動方向が、ターゲット23の往路と復路とにおいて互いにキャンセルされるようにマグネット25の移動方向を設定することが可能となる。
これにより、走査方向における基板S内位置による成膜バラツキが発生することを防止してムラをなくし、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
本実施形態においては、上記のようにカソードユニット22(ターゲット23)およびマグネット25の走査速度および方向を設定したことで、成膜ムラを低減することができる。
また、本実施形態において、カソードユニット22が開始位置Stに配置された状態で、マグネット25は、図4に示した第2端部23e2側ではなく、ターゲット23の基板Sに近い第1端部23e1の近くに位置していてもよい。
この場合、図17に示すように、図7における黒三角矢印と二本線の矢印とが逆になった状態で走査が行われる。
図17は、本実施形態におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係の他の例を示すグラフである。
具体的には、図17において線上の黒三角矢印で示したターゲット23の往路におけるマグネット25が和速度Vmaxで移動する領域と、図17において線上の二本線の矢印で示したターゲット23の復路におけるマグネット25が和速度Vmaxで移動する領域とが、連続する。これにより開始位置Stから折り返し位置Enを介して開始位置Stまで一往復カソードユニット22が移動する間に、走査方向における形成領域R1の全域で、マグネット25が和速度Vmaxで移動した部分が連続することができる。
実際には、図17に示すように、ターゲット23の往路における和速度Vmaxの領域と、ターゲット23の復路における和速度Vmaxの領域とは、互いに重なる部分もあるが、少なくとも、カソードユニット22が基板Sに対して一往復する間において、マグネット25が和速度Vmaxで移動する領域が、走査方向における基板Sの全体を覆うようになることができる。
これにより、成膜ムラを低減することができる。
以下、本発明の第2実施形態に係るスパッタリング方法、スパッタリング装置を、図面に基づいて説明する。
図8,図9は、本実施形態におけるスパッタリングにおけるターゲットとマグネットとの揺動を説明するための図であって、スパッタリングにおける作用を示す図である。図10は、本実施形態におけるターゲットとマグネットとの走査方向における位置と時間との関係を示すグラフである。図11は、本実施形態におけるターゲットとマグネットとの合成速度と基板内のマグネットの位置との関係を示すグラフである。
マグネットの走査状態に関する点で、本実施形態は、上述した第1実施形態と異なる。これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、カソードユニット22が開始位置Stに配置された状態で、マグネット25は、図8に示すように、ターゲット23の第1端部23e1と第2端部23e2との中央位置Cに位置している。
また、基板Sに対するターゲット23の開始位置Stから折り返し位置Enを介して開始位置Stまで戻るまでの1往復動作において、ターゲット23に対するマグネット25の走査動作の回数が、図10,図11に示すように、偶数回に設定される。
詳細に説明すると、本実施形態において、走査方向にカソードユニット22が移動をはじめると、マグネット25も走査方向に移動しはじめたとき、図10,図11に示すように、カソードユニット22は、瞬間的に加速した後、一定なカソード走査速度VCaで基板Sに対して移動する。カソード走査速度VCaは、図10におけるグラフ線Caの傾きで示される。
同時に、マグネット25は、カソードユニット22のターゲット23に対してマグネット走査速度VMgで移動する。マグネット走査速度VMgは、図10におけるグラフ線Mgの傾きで示される。
ここで、カソードユニット22の走査距離をLCa、走査時間をVCaとし、マグネット25の走査距離をLMg、走査時間をVMgとした際に、
LCa/VCa > LMg/VMg
を満たす関係とされている。
カソードユニット22が開始位置Stから折り返し位置Enに到達する往路において、マグネット25は、ターゲット23に対して第1位置P1と第2位置P2との間を奇数回行き来する。
つまり、カソードユニット22が、図10に線Caで示すように、グラフ左端の開始位置Stからグラフ中央の折り返し位置Enまで移動する間に、マグネット25は、図10に線Mgで示すように、第1位置P1と第2位置P2との間を5回走査する。つまり、ターゲット23の往路で、マグネット25は、中央位置Cから第2位置P2に3回、および第1位置P1に2回到達する。
このため、マグネット25は、図11に示すように、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの和速度Vmaxと、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの差速度Vminとのいずれかで、一定速度として基板Sに対して走査される。さらに、これら、和速度Vmaxと差速度Vminとの切替時には、なるべく短い時間および距離で加速するように設定される。
なお、図10,図11においても、ターゲット23の往路における位置または速度の変化を線Caおよび線Mg上の黒三角矢印で示し、ターゲット23の復路における位置または速度の変化を線Caおよび線Mg上の二本線の矢印で示している。
ターゲット23の往路が終了し、ターゲット23が折り返し位置Enに到達した際に、図8に示すように、マグネット25は、第1位置P1と第2位置P2との中央位置Cに位置する。
そして、ターゲット23は、図10,図11に示すように、折り返し位置Enに到達すると即座に開始位置Stに向けて復路をスタートされる。同時に、マグネット25は、図10,図11に示すように、中央位置Cから第1位置P1に向かう動きを継続する。
カソードユニット22が折り返し位置Enから開始位置Stに到達する復路においても、マグネット25は、ターゲット23に対して第1位置P1と第2位置P2との間を奇数回行き来する。
つまり、カソードユニット22が、図10に線Caで示すように、グラフ中央の折り返し位置Enからグラフ右端の開始位置Stまで移動する間に、マグネット25は、図10に線Mgで示すように、第1位置P1と第2位置P2との間を5回走査する。つまり、ターゲット23の復路で、マグネット25は中央位置Cから第2位置P2に2回、および第1位置P1に3回到達する。
ターゲット23の復路においても、マグネット25は、図11に示すように、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの和速度Vmaxと、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの差速度Vminとのいずれかで、一定速度として基板Sに対して走査される。さらに、これら、和速度Vmaxと差速度Vminとの切替時には、なるべく短い時間および距離で加速するように設定される。
これにより、マグネット25が、カソード走査速度VCaとマグネット走査速度VMgとの和速度Vmaxとして基板Sに対して走査される領域は、走査方向における形成領域R1の全域、すなわち、基板Sの全域にわたって配置するように設定される。
具体的には、図11において線上の黒三角矢印で示したターゲット23の往路におけるマグネット25が和速度Vmaxで移動する領域と、図11において線上の二本線の矢印で示したターゲット23の復路におけるマグネット25が和速度Vmaxで移動する領域とが、連続する。これにより開始位置Stから折り返し位置Enを介して開始位置Stまで一往復カソードユニット22が移動する間に、走査方向における形成領域R1の全域で、マグネット25が和速度Vmaxで移動した部分が連続する。
実際には、図11に示すように、ターゲット23の往路における和速度Vmaxの領域と、ターゲット23の復路における和速度Vmaxの領域とは、互いに重なる部分もあるが、少なくとも、カソードユニット22が基板Sに対して一往復する間において、マグネット25が和速度Vmaxで移動する領域が、走査方向における基板Sの全体を覆うようになっている。
ターゲット23の復路が終了し、ターゲット23が開始位置Stに到達した際に、図9に示すように、マグネット25は、第1位置P1と第2位置P2との中央位置Cに位置する。
これにより、ターゲット23の往復動作を一回終了する。
本実施形態においては、ターゲット23の往路におけるマグネット25の走査状態と、ターゲット23の復路におけるマグネット25の走査状態とのバラツキが相殺される。走査方向における基板S内位置による成膜バラツキが発生することを防止してムラをなくし、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
また、図10に示すように、例えば、基板S中央において、左側のターゲット23往路においてマグネット25が図で上向きに移動している部分では、右側のターゲット23の復路においてマグネット25は、図で下向きに移動している。
このように、マグネット25をターゲット23の往復動作において、中央位置Cから第2位置P2に向かう方向にスタートして、偶数回走査するように設定することで、マグネット25の移動方向が、ターゲット23の往路と復路とにおいて互いにキャンセルされるようにマグネット25の移動方向を設定することが可能となる。
これにより、走査方向における基板S内位置による成膜バラツキが発生することを防止してムラをなくし、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
さらに、マグネット25が走査方向と反対の方向へスタートしてもよい。この場合、図11において示した黒三角矢印と二本線矢印とを逆にした状態となる。この場合でも、同様に、成膜ムラを低減することができる。
本実施形態においては、上記のようにカソードユニット22(ターゲット23)およびマグネット25の走査速度および方向を設定したことで、成膜ムラを低減することができる。
なお、上記の各実施形態においては、直流電源26Dに一枚のターゲット23が接続される構成としたが、交流電源に接続された偶数枚のターゲットを有する構成とすることもできる。
また、カソードユニット22とマグネット25との速度比を保つ場合には、カソードユニット22の速度を下げてもよい。例えば、基板Sの端付近で遅くして基板Sの端における膜厚を厚くする場合などが考えられる。
上記の実施形態においては、スパッタチャンバ13がレーン変更する構成として説明したが、本発明はこの構成に限られない。
例えば、本発明は、図18に示すように、プラテン機構を有するクラスタ型枚葉式のスパッタリング装置を採用することもできる。
図18は、他の実施形態におけるスパッタリング装置の全体構成を示す構成図である。
このスパッタリング装置100は、被処理基板Sを搬入/搬出するロード・アンロード室102と、基板S上に所定の被膜をスパッタ法により形成する成膜室(チャンバ)104と、成膜室104とロード・アンロード室102との間の搬送室103と、を備えている。スパッタリング装置100は、図において、サイドスパッタ式として示しているが、スパッタダウン式、あるいは、スパッタアップ式とすることもできる。
スパッタリング装置100には、成膜室104Aとロード・アンロード室102Aとが設けられている。これら複数のチャンバ102,102A,104,104Aが搬送室103の周囲を取り囲むように形成されており、こうしたチャンバは、例えば、互いに隣接して形成された2つのロード・アンロード室(チャンバ)と、複数の処理室(チャンバ)として構成されることになる。
例えば、一方のロード・アンロード室102は、外部からスパッタリング装置100に向けて基板Sを搬入するロード室、他方のロード・アンロード室102Aは、スパッタリング装置100から外部に基板Sを搬出するアンロード室とし、また、成膜室104と成膜室104Aとが異なる成膜工程をおこなう構成とすることもできる。
こうしたそれぞれのチャンバ102,102A,104,104Aと搬送室103との間には、それぞれ仕切りバルブが形成されていればよい。
ロード・アンロード室102には、外部から搬入された基板Sの載置位置を設定してアライメント可能な位置決め部材が配置されていてもよい。
ロード・アンロード室102には、また、この室内を粗真空引きするロータリーポンプ等の粗引き排気手段が設けられる。
搬送室103の内部には、図18に示すように、搬送装置(搬送ロボット)103aが配置されている。
搬送装置103aは、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアームと、ロボットアームの一端に形成されたロボットハンドと、上下動装置とを有している。ロボットアームは、互いに屈曲可能な第一、第二の能動アームと、第一、第二の従動アームとから構成されている。搬送装置103aは、被搬送物である基板Sを、チャンバ102,102A,103,104,104A間で移動させることができる。
成膜室104は、上述した第1および第2実施形態のスパッタチャンバ13と同様に、ムービングカソードによりスパッタリングをおこなう構成とされることができる。
さらに、本発明は、図19に示すように、インターバック式のスパッタリング装置を採用することもできる。
図19は、他の実施形態におけるスパッタリング装置の全体構成を示す構成図である。
このスパッタリング装置200は、インターバック式のスパッタ装置であり、基板(またはキャリア)Sを搬入/搬出する仕込み/取り出し室202と、基板S上に所定の被膜をスパッタ法により形成する耐圧の成膜室(真空槽)203とを備えている。
仕込み/取出し室202には、この室内を粗真空引きするロータリーポンプ等の粗引き排気手段204が設けられ、この室内には、基板を保持・搬送するための基板トレイ205が移動可能に配置されている。成膜室203の内部には、基板を加熱するためのヒータ211が設けられている。また、ターゲットを保持するバッキングプレート206に負電位のスパッタ電圧を印加する電源207、この室内にガスを導入するガス導入手段208、成膜室203の内部を高真空引きするターボ分子ポンプ等の高真空排気手段209、シールド電極となるチムニ(構造体)210が設けられている。
成膜室203は、上述した第1および第2実施形態のスパッタチャンバ13と同様に、ムービングカソードによりスパッタリングをおこなう構成とされることができる。
これらの構成においても、本発明のスパッタリング方法を適用することができ、走査方向における基板S内位置による成膜バラツキが発生することを防止してムラをなくし、成膜特性の均一化を図ることが可能となる。
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
なお、本発明における具体例について説明する。
ここでは、図4~図7に示すように、開始位置Stにおけるターゲット23に対してマグネット25を第1位置P1からスタートさせるとともに、ターゲット23に対してマグネット25を奇数回走査するように往復動作させて、開始位置Stにおけるターゲット23に対して第2位置P2で停止するように、ターゲット23を基板Sに対して一往復させて、スパッタリングをおこなった。その際における諸元を示す。
膜種:ITO
基板:1500x1850
膜厚測定ポイント:224pt(基板端10mm除く)
Power:3.1kW
圧力:0.3Pa
ガス:Ar 720sccm
ここで、マグネットの走査回数を、7pass、および、9passとして成膜をおこない、その膜厚を上記の測定ポイント数で測定し膜厚分布を算出した。なお、膜厚分布は、膜厚の最大値Maxと最小値Minとの差および和から、
(Max-Min)/(Max+Min)×100
として膜厚%を算出した。
その結果を図16に示す。
さらに、比較のため、図12~図13に示すように、開始位置Stにおけるターゲット23に対してマグネット25を第1位置P1からスタートさせるとともに、折り返し位置Enにおけるターゲット23に対して第2位置P2となるように、ターゲット23に対してマグネット25を偶数回走査動作させる。この状態で、ターゲット23を基板Sに対して一往復させて、開始位置Stで停止したターゲット23におけるマグネットが第1位置P1で停止するように、スパッタリングをおこなった。
この際、図14~図15に示すように、基板Sに対して和速度Vmaxでマグネット25が走査される領域が、ターゲット23の往路と復路とで重なるようにするとともに、差速度Vminでマグネット25が走査される領域が、ターゲット23の往路と復路とで重なるようにした。
ここで、マグネットの走査回数を、4pass、および、10passとして成膜をおこない、その膜厚を上記の測定ポイント数で測定し、同様にして膜厚分布を算出した。
その結果を図16に示す。
これらの結果から、ターゲット23に対してマグネット25の走査回数(Pass)を奇数回として、ターゲット23の往路と復路とにおいてマグネットのpass走査方向の違いをキャンセルするようにマグネットを揺動させると、膜厚分布が半分程度まで小さくなり、膜特性が大幅に改善することがわかる。
さらに、ターゲット23に対してマグネット25の走査回数(Pass)を多くすると、膜厚分布が改善することもわかる。

本発明の活用例として、OLED用のTFTのチャネル層、トップエミッション構造のカソードの金属薄膜層、IMI構造のITO層などの製造を挙げることができる。
10…スパッタリング装置
11…搬出入チャンバ
12…前処理チャンバ
13…スパッタチャンバ
14…ゲートバルブ
15…排気部
16…成膜レーン
17…回収レーン
18…カソード装置
19…レーン変更部
21…ガス供給部
22…カソードユニット
23…ターゲット
23a…表面
23e1…第1端部
23e2…第2端部
25…マグネット
26D…直流電源
27…走査部
29…マグネット走査部
P1…第1位置
P2…第2位置
C…中央位置
St…開始位置
En…折り返し位置
S…基板(被処理基板)
R1…形成領域
R2…対向領域
Re1…端部
Re2…端部
VCa…カソード走査速度
VMg…マグネット走査速度
Vmax…和速度
Vmin…差速度

Claims (7)

  1. スパッタリング方法であって、
    被成膜基板において膜が形成される形成領域に向けてスパッタ粒子を放出可能なターゲットを有するカソードユニットと、基板面内方向となる走査方向において前記被成膜基板に対して前記カソードユニットを相対的に往復動作させる走査部と、前記カソードユニットにおける前記ターゲットにエロージョン領域を形成するマグネットと、前記走査方向に前記マグネットを往復動作させるマグネット走査部とを用い、
    前記カソードユニットが前記走査部によって前記走査方向に前記被成膜基板に対して相対的に往復動作される間に、前記マグネットを前記マグネット走査部によって前記走査方向に往復動作させるとともに、
    記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、
    前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、において、
    前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速度と前記ターゲットに対する前記マグネットの速度との和である一定速度の和速度Vmaxとして、前記被成膜基板に対して前記マグネットの移動する領域が、前記被成膜基板の全域にわたって連続するように設定される、
    スパッタリング方法。
  2. 前記ターゲットおよび前記マグネットの開始位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記被成膜基板から遠い前記ターゲットの端部に位置する、または、前記マグネットが前記走査方向において前記被成膜基板から近い前記ターゲットの端部に位置するとともに、
    前記被成膜基板に対する前記ターゲットの1往復動作において、前記ターゲットに対する前記マグネットの往復動作における往路と復路との走査回数が奇数回に設定されるとともに、
    前記マグネットの移動方向と前記ターゲットの移動方向とが、前記ターゲットの往路と復路とにおいてそれぞれ互いに逆向きとなるように設定される、
    請求項1記載のスパッタリング方法。
  3. 前記ターゲットの往路動作終了位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記ターゲットの中央部に位置する、
    請求項2記載のスパッタリング方法。
  4. 前記ターゲットおよび前記マグネットの開始位置において、前記マグネットが前記走査方向において前記ターゲットの中央部に位置するとともに、
    前記被成膜基板に対する前記ターゲットの1往復動作において、前記ターゲットに対する前記マグネットの往復動作における往路と復路との走査回数が偶数回に設定されるとともに、
    前記マグネットの移動方向と前記ターゲットの移動方向とが、前記ターゲットの往路と復路とにおいてそれぞれ互いに逆向きとなるように前記マグネットの移動方向が設定される、
    請求項1記載のスパッタリング方法。
  5. スパッタリング装置であって、
    被成膜基板において膜が形成される形成領域に向けてスパッタ粒子を放出するカソードユニットと、
    前記カソードユニットと前記被成膜基板とを相対的に基板面内方向となる走査方向に往復動作可能な走査部と、
    エロージョン領域が形成されるターゲットと、
    前記ターゲットに対して前記被成膜基板とは反対側に配置されて前記ターゲットに前記エロージョン領域を形成するマグネットと、
    前記マグネットを前記ターゲットの前記走査方向における端部間で往復動作可能なマグネット走査部と、
    前記走査部と前記マグネット走査部とに接続されて、前記カソードユニットの往復動作及び前記マグネットの往復動作を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部において
    記被成膜基板に対する前記ターゲットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、
    前記被成膜基板に対する前記ターゲットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、において、
    前記被成膜基板に対する前記ターゲットの速度と前記ターゲットに対する前記マグネットの速度との和である一定速度の和速度Vmaxとして、前記被成膜基板に対して前記マグネットの移動する領域が、前記形成領域の全域にわたって連続するように設定される、
    スパッタリング装置。
  6. スパッタリング装置であって、
    被成膜基板において膜が形成される成膜領域に対向して、前記成膜領域に対して相対的に移動しながらスパッタ粒子を放出する細長形状のカソードユニットと、
    前記カソードユニットを、前記成膜領域の一端より外側の第一成膜外位置から、前記成膜領域の他端より外側の第二成膜外位置の間で往復移動するように、前記カソードユニットの長辺に交差する走査方向に移動させるカソード走査部と、を有し、
    前記カソードユニットは、
    細長のターゲットと、
    前記ターゲットの裏面に配置されるマグネットと、
    前記マグネットを前記ターゲットの長辺に交差する方向に往復させるマグネット走査部と、
    を有し、
    前記成膜領域において、前記カソードユニットの往路動作における前記マグネットの往復動作と、前記カソードユニットの復路動作における前記マグネットの往復動作と、が前記被成膜基板と前記マグネットの相対速度において、
    前記マグネットの移動方向と前記ターゲットの移動方向とが、前記ターゲットの往路と復路とにおいてそれぞれ互いに逆向きとなるように前記マグネットの移動方向が制御される、
    スパッタリング装置。
  7. 前記成膜領域において、
    前記カソードユニットの往路動作と前記マグネットの往復動作の合成速度の最小値となる領域と、
    前記カソードユニットの復路動作と前記マグネットの往復動作の合成速度の最小値となる領域と、が重ならない、
    請求項6に記載のスパッタリング装置。
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