JP7066655B2 - 搬送加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばリフロー装置に適用される搬送加熱装置に関する。
電子部品又はプリント配線基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送コンベヤで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置の加熱ゾーンでは、熱風が基板に対して吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させて基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。はんだ組成物は、粉末はんだ、溶剤、フラックスを含む。フラックスは、成分としてロジンなどを含み、はんだ付けされる金属表面の酸化膜を除去し、はんだ付けの際に加熱で再酸化するのを防止し、はんだの表面張力を小さくして濡れを良くする塗布剤の働きをするものである。
このフラックスは、加熱により、液化し、さらに、一部が気化する。したがって、大気又は不活性ガスと気化した物質が混合された気体(以下、フラックスガスと適宜称する)が加熱室としての炉内に充満する。フラックスガスは、温度の低い部位に付着し易く、冷やされることで液化し、付着している部位から滴下してしまうことから、基板の上面に付着することもあり、基板の性能を損うこととなる。また、炉内において温度が低下する部分に堆積する等によりリフロー工程に大きな影響を与える場合もある。したがって、リフロー炉内のフラックスを低減、除去するようになされる。
例えば、特許文献1には、配線基板が搬入される入口と、配線基板が搬出される出口とが形成されたチャンバ内の雰囲気ガス中に滞留するフラックスヒュームを除去する捕集装置を備えたはんだ付け装置において、フラックスヒューム除去後のガス体を噴出して、少なくともチャンバの出口側を封止するガスカーテンを形成するノズルを備えるとともに、捕集装置は雰囲気を冷却するための冷却部を有するはんだ付け装置が記載されている。かかる特許文献1は、チャンバの入口や出口等にガスカーテンを形成して雰囲気の封止性を向上させ、チャンバ内の不活性ガスの濃度の低下を防止するものである。
特許第3131090号公報
特許文献1に記載のはんだ付け装置は、チャンバ内の雰囲気の封止性を高めるためにガスカーテンを設けるものであって、フラックスガスが冷えて凝集し、液体となってプリント回路基板等の被加熱物(以下、ワークという)に付着することを防止するものではない。すなわち、特許文献1では、リフロー装置の入口および出口のスロートにガスカーテンを設けるものであり、スロートの手前の冷却部でフラックスガスが冷却されてワーク上に滴下することを防止することができない。
したがって、本発明の目的は、フラックスガスが凝集し、液体となってワークに付着することを防止することができる搬送加熱装置を提供することにある。
発明は、被加熱物に対して加熱を行うプリヒートゾーンと、被加熱物に対してはんだ付けを行なうリフローゾーンからなる加熱ゾーンと、
リフローゾーンの後に配され、はんだ付けがされた被加熱物を冷却する冷却ゾーンと、
プリヒートゾーン,リフローゾーン及び冷却ゾーン内を通過するように、被加熱物を搬送する搬送装置と、
加熱ゾーンの入口近傍及び加熱ゾーンの出口近傍のそれぞれに設けられ、搬送方向とほぼ直交する方向に延びる吹き出し口を有し、吹き出し口から加熱ゾーン内の気体を内部に押し戻す方向に気体を吹き出す第1及び第2の吹き出し部と、
プリヒートゾーン及びリフローゾーンの境界付近に設けられ、搬送方向とほぼ直交する方向に延びる吹き出し口を有し、吹き出し口からプリヒートゾーン及びリフローゾーン内の気体を内部にそれぞれ押し戻す方向に気体を吹き出す第3の吹き出し部とを備えた搬送加熱装置である。
少なくとも一つの実施形態によれば、加熱炉の内部の気体が凝集して被加熱物に付着することを防止することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれの効果であってもよい。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明を適用できるリフロー装置の概略を示す略線図である。 図2は、リフロー時の温度プロファイルの例を示すグラフである。 図3は、本発明の第1の実施形態の構成を示す略線図である。 図4A,図4B及び図4Cは、吹き出しパイプの平面図、吹き出しパイプの拡大断面図、吹き出しパイプの他の例の平面図である。 図5は、リフロー装置の一つの加熱ゾーンの構成の一例を示す断面図である。 図6A及び図6Bは、本発明の効果の説明のためのグラフである。 図7は、フラックス回収装置の一例の説明に用いる略線図である。 図8は、本発明の第2の実施形態の構成を示す略線図である。 図9は、本発明の第3の実施形態の構成を示す略線図である。
以下、本技術の実施形態等について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態等は本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。
「リフロー装置の一例」
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略的構成を示す。プリント配線板の両面に表面実装用電子部品が搭載された被加熱物が搬送コンベヤの上に置かれ、搬入口11からスロート12を通ってリフロー装置の炉内に搬入される。搬送コンベヤが所定速度で矢印方向(図1に向かって左から右方向)へ被加熱物を搬送し、被加熱物がスロート13を通過して搬出口14から取り出される。搬送コンベアの搬送方向が水平方向とされている。スロート12および13は、シール構造としてラビリンスを備えている。また、スロート12は、入り口側のラビリンスとゾーンZ1の間に空間を有しているが、簡単のためラビリンス及び空間の両者をスロートと称する。
搬入口11から搬出口14に至る搬送経路に沿って、リフロー炉(炉体)が例えば9個のゾーンZ1からZ9に順次分割され、これらのゾーンZ1~Z9がインライン状に配列されている。入口側から7個のゾーンZ1~Z7が加熱ゾーンであり、出口側の2個のゾーンZ8及びZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8及びZ9に関連して強制冷却ユニットCLが設けられている。
上述した複数のゾーンZ1~Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがって被加熱物の温度を制御する。図2に温度プロファイルの一例の概略を示す。横軸が時間であり、縦軸が被加熱物例えば電子部品が実装されたプリント配線板の表面温度である。最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間が温度がほぼ一定のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間が本加熱部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。
昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150°C~170°C)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント配線板の加熱ムラをなくすための期間である。本加熱部R3(例えばピーク温度で220°C~240°C)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。本加熱部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。本加熱部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント配線板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。
図2において、曲線1は、鉛フリーはんだの温度プロファイルの一例を示す。Sn-Pb共晶はんだの場合の温度プロファイルは、曲線2で示すものとなる。鉛フリーはんだの融点は、Sn-Pb共晶はんだの融点より高いので、プリヒート部R2及び本加熱部R3における設定温度がSn-Pb共晶はんだに比して高いものとされている。
リフロー装置では、図2における昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1及びZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4及びZ5が受け持つ。本加熱部R3の温度制御は、ゾーンZ6及びZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8及びゾーンZ9が受け持つ。本明細書では、昇温部R1及びプリヒート部R2を受け持つゾーンをプリヒートゾーンと総称し、本加熱部を受け持つゾーンをリフローゾーンと総称する。
「第1の実施形態」
本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、上述したリフロー装置と同様のリフロー装置に対して本発明を適用したものである。図3は、第1の実施形態の概略的構成を示し、図3では、被加熱物としてのプリント回路基板などのワークWを搬送するための搬送機構例えば搬送コンベアRC及びリフロー装置全体を収容する外板FPが示されている。
搬入口11から炉体内(チャンバー内)に搬入されたワークWがスロート12、ゾーンZ1~Z9、スロート13を通って搬出口14から取り出される。第1の実施形態においては、ゾーンZ1~Z5がプリヒートゾーンを構成し、ゾーンZ6~Z8がリフローゾーンを構成し、ゾーンZ9が冷却ゾーンを構成する。
プリヒートゾーンは、例えば(150°C~170°C)までワークWを加熱する区間である。プリヒートゾーンにおいては、等温加熱がなされ、フラックスが活性化され、電極、はんだ粉の表面の酸化膜が除去され、また、ワークWの加熱ムラが解消される。リフローゾーンは、(例えばピーク温度で220°C~240°C)の加熱を行う区間であって、このリフローゾーンにおいて、はんだが溶融し、接合が完成する。リフローゾーンでは、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。リフローゾーンは、プリヒートゾーンを通過していても、温度上昇のムラが存在することを考慮して、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。冷却ゾーンは、急速にワークWを冷却し、はんだ組成を形成する区間である。
リフロー装置には、ワーク搬出側に金属製の隔壁で仕切られたバッファ室24が設けられている。ワーク搬入側及び中間部にバッファ室を設けるようにしてもよい。プリヒートゾーン及びリフローゾーンには、ヒータ及びファンなどで構成された熱風による加熱装置がそれぞれ配設され、また、冷却ゾーンには、冷却ファンが配設される。
炉体の入口付近例えばスロート12とゾーンZ1の境界付近の搬送経路の上側及び下側にそれぞれ吹き出しパイプ25a,25bが設けられる。吹き出しパイプ25a,25bは、矢印で示すように、搬送経路と直交する方向よりややワーク進行方向に傾いた吹き出し角度でもって気体を噴射するものである。気体は、エアや不活性ガスであるN2(窒素)等を用いることができ、不活性ガスを用いることがより好ましい。
リフローゾーンと冷却ゾーンの境界付近例えばバッファ室24にガスカーテンが設けられる。ガスカーテンは、搬送経路の上側に設けられた吹き出しパイプ30aと、吹き出しパイプ30aに対向するように、搬送経路の下側に設けられた吸い込みノズル30bによって構成される。例えば吹き出しパイプ30aが下側の吸い込みノズル30bに向かって気体を噴出し、吸い込みノズル30bがこの気体を吸い込むようになされる。気体は、エアや不活性ガスであるN2(窒素)等を用いることができ、不活性ガスを用いることがより好ましい。
さらに、冷却ゾーンZ9とスロート13の境界付近の搬送経路の上側及び下側にそれぞれ吹き出しパイプ27a,27bが設けられる。吹き出しパイプ27a,27bは、矢印で示すように、搬送経路と直交する方向よりややワーク進行方向に傾いた吹き出し角度でもって気体を噴射するものである。気体は、エアや不活性ガスであるN2(窒素)等を用いることができ、不活性ガスを用いることがより好ましい。
吹き出しパイプ25a,25b、並びに、吹き出しパイプ30a及び吸い込みノズル30bからなるガスカーテンによって、炉体内(プリヒートゾーン及びリフローゾーン)にフラックスガスを封じ込めることができる。したがって、スロート12において炉体内のフラックスガスが凝集して液化することを防止でき、また、冷却ゾーンZ9において炉体内のフラックスガスが凝集して液化することを防止できる。したがって、フラックスガスの液化した成分がワークWに滴下することを防止することができる。なお、吹き出しパイプ27a,27bによって、炉体内への大気の進入を阻止し、炉体内の酸素濃度の上昇を防止することができる。
吹き出しパイプ25a,25b,30a,27a,27bの一例について図4A、図4B及び図4Cを参照して説明する。これらの吹き出しパイプは、同一の構成を有するので、吹き出しパイプ25aについて説明する。
吹き出しパイプ25aは、図4Aに示すように、例えば金属製の管状の形状であり、周面に小孔rが整列して形成されたものである。この小孔rを通じて矢印で示すように、気体が吹き出す。なお、小孔rを周面に2列以上形成し、同時に2箇所の小孔rから異なる吹き出し角度でもって気体を吹き出すようにしてもよい。さらに、図4Cに示すように、小孔rに代えてスリットr’を設けてスリットr’を通じて気体を吹き出すようにしてもよい。
上述した吹き出しパイプ25a,25b,30a,27a,27bは、搬送コンベアRCの搬送方向と直交する方向に延長する管状部材の周面に複数の小孔が延長方向に形成されたものである。これらの吹き出しパイプは、固定のベース部に対して回転自在に支持され、小孔から吹き出される気体の吹き出し角度が可変とされている。なお、吸い込みノズル30bは、例えば金属製の管の周面に吸い込み口を形成したものである。
さらに、フラックスガスを閉じ込めているので、炉体内ではフラックスガスの濃度が高くなる。このフラックスガスからフラックスを除去するフラックスガス浄化装置として、フラックスを回収するフラックス回収装置が設けられる。一例として、フラックス回収装置41 ,41 ,41 及び41 が設けられる。フラックス回収装置41 は、スロート12(ラビリンス出口側とゾーンZ1の入り口の間の空間)内のガスからフラックスを回収し、フラックス回収後の浄化された気体をスロート12に戻すように構成されている。フラックス回収装置41 は、ゾーンZ1のガスからフラックスを回収し、フラックス回収後の浄化された気体をゾーンZ1に戻すように構成されている。フラックス回収装置41 は、ゾーンZ5のガスからフラックスを回収し、フラックス回収後の浄化された気体をゾーンZ5に戻すように構成されている。フラックス回収装置41 は、バッファ室24のガスからフラックスを回収し、フラックス回収後の浄化された気体をバッファ室24に戻すように構成されている。なお、フラックス回収装置の設ける箇所及び個数は、図3に示すものに限られない。
さらに、フラックス回収装置によりフラックス回収後の浄化後の気体を静電式集塵機に供給し、静電式集塵機により浄化された気体を炉体内に戻したり、工場排気として放出するようにしてもよい。静電式集塵機によれば、1μm以下の微粒子を除去することができるので、工場排気として放出することが可能となる。
上述したように、炉体内のフラックスガスの濃度が高い状態でフラックス回収装置41 ~41 によってフラックスガスを回収することにより、フラックス回収率を既存のリフロー装置に比してより高くすることができる。
図5を参照して、ゾーンZ5の構成を説明する。上部炉体15と下部炉体35との対向間隙内で、プリント配線板の両面に表面実装用電子部品が搭載されたワークWが搬送コンベヤ31上に置かれて搬送される。上部炉体15内及び下部炉体35内は、雰囲気ガスである例えば窒素(N2)ガスが充満している。上部炉体15及び下部炉体35は、ワークWに対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を噴出してワークWを加熱する。なお、熱風と共に赤外線を照射しても良い。
下部炉体35は、主加熱源16、副加熱源17、送風機例えば軸流ブロワ18、蓄熱部材19、熱風循環ダクト20、開口部21等からなる。なお、上部炉体15は、例えば、上述した下部炉体35とほぼ同様の構成とされているので、対応する部分の説明を省略する。送風機としては、ターボファン、シロッコファンなどの遠心ファンを使用してもよい。さらに、図5に示す炉体の構成は、一例であり、他の構成をとりうる。
開口部21を通じて熱風がワークWに対して吹きつけられる。主加熱源16、副加熱源17は、例えば電熱ヒータで構成される。蓄熱部材19は、例えばアルミニウムからなり、多数の孔が形成され、その孔を通じて熱風が通過してワークWに対して吹きつけられる。
熱風は、軸流ブロワ18によって循環される。すなわち、(主加熱源16→蓄熱部材19→開口部21→ワークW→熱風循環ダクト20→副加熱源17→熱風循環ダクト20→軸流ブロワ18→主加熱源16)の経路を介して熱風が循環する。
軸流ブロワ18の近傍には、リフロー炉内の雰囲気ガスをフラックス回収装置413 からの浄化後の気体を導入するための配管33が設けられている。浄化後の気体は、配管33を介して炉体に流入される。フラックス回収装置413 では、フラックスヒューム中のフラックスが除去及び回収され、フラックスが低減又は除去された浄化後の気体が生成される。
さらに、本発明によれば、フラックス回収率の向上に加えて炉体内の酸素濃度が高くなることを防止することができ、炉体内に供給する不活性ガス(N2)の量を減少させることができる。例えば既存のリフロー装置に対してワークWを所定間隔で連続投入した場合の酸素濃度(ゾーンZ1及びゾーンZ9)のそれぞれの測定結果を図6A及び図6Bに示す。図6Aが既存のリフロー装置の酸素濃度を示し、図6Bが本発明の第1の実施形態によるリフロー装置の酸素濃度を示す。
また、既存のリフロー装置の酸素濃度の評価結果を表1に示し、本発明の第1の実施形態によるリフロー装置の酸素濃度の評価結果を表2に示す。
Figure 0007066655000001
Figure 0007066655000002
これらの表1及び表2から炉内酸素濃度の変動を改善できることが分かる。
フラックス回収装置41 ~41 としては、種々の方式のものを使用できる。例えば現行の広く使用されている方式である水冷/空冷方式、加圧方式、慣性集塵方式などのいずれの方式も使用することができる。慣性集塵方式は、慣性衝突を利用してエアロゾルを採取する装置をフラックス回収に使用したものである。水冷/空冷方式は、汎用性が高いが、高コスト(チラー及び配管が必要なため)という特性を有する。加圧方式は、低コスト、高効率の回収という特性を有する。慣性集塵方式は、低コスト、高効率粉塵回収が可能という特性を有する。
加圧方式のフラックス回収装置の一例について、図7を参照して説明する。フラックス
回収装置は、送風機例えばターボファンと、ターボファンの吹き出し部に設けられた経路形成部と、フラックス回収容器からなる。フラックス回収装置の下部に支持脚61及び62が設けられ、床面64に対してフラックス回収装置が設置される。また、フラックス回収装置の下部に溜まったフラックスがフラックス回収容器63によって回収されるようになされている。
フラックス回収装置のターボファンの羽根42がモータ(図示しない)によって矢印方向に回転され、羽根42の外周側面からフラックスヒュームが吹き出される。吹き出されたフラックスヒュームが経路形成部43に対して流入する。一例として、図面の用紙の裏側にモータが配置され、用紙の表側からフラックスヒュームが吸い込まれる。また、図9は、経路形成部43を覆う円形の蓋を取り外した状態を示している。
経路形成部43は、羽根42の外周側面と同心円状又は渦巻き状の経路(風の流路)を有するものである。経路形成部43がターボファンによって遠心方向に吹き出されたフラックスヒュームを浄化し、浄化後のガスを上部の配管33を通じてリフロー装置の炉内例えばゾーンZ6に戻す経路を形成する。また、液化したフラックスが下部のフラックス回収容器63によって回収される。
経路形成部43は、その中心に羽根42が取り付けられた円形の底面板45を有し、底面板45の外周に沿って外周面板44が設けられ、底面板45上に複数の経路が形成されている。さらに、複数の経路の上が蓋(図示しない)で覆われ、複数の経路を含む密閉空間が形成されている。経路形成部43は、ステンレス等の金属を加工したものである。
ターボファンの羽根42の風が吹き出す外周側面に仕切板46がほぼ1周巻き付けられ、仕切板46の一部に形成された隙間が吹き出し口47とされる。仕切板46は、底面板45に対してほぼ垂直に取り付けられた帯状の金属薄板である。
この吹き出し口47を流入口とし、同心円状に配置された仕切板46及び仕切板48によって第1の経路P1が形成される。仕切板46と仕切板48が連続し、仕切板48は、吹き出し口47の位置で、仕切板46から離間して、仕切板46と同心円状に配置される。仕切板46及び仕切板48の対向間隔が一定とされ、対向空間が経路P1とされる。吹き出し口47から吹き出されたフラックスヒュームが矢印で示すように、第1の経路P1を通って仕切板48の端部と接近する位置に形成された流出口49に導かれる。
仕切板46及び仕切板48によってほぼ1周にわたって形成された第1の経路P1の流出口49から仕切板48及び仕切板50によって形成される第2の経路P2にフラックスヒュームが流入する。仕切板50は、仕切板48と連続したもので、流出口49の位置で、仕切板48から離間して、仕切板48と同心円状に配置される。仕切板48及び仕切板50の対向間隔が一定とされ、対向空間が経路P2とされる。流出口49から経路P2にフラックスヒュームが矢印で示すように流入される。そして、フラックスヒュームが矢印で示すように、第2の経路P2を通って仕切板50の端部と接近する位置に形成された流出口51に導かれる。
仕切板46及び仕切板48の対向距離に比較して仕切板48及び仕切板50の対向距離が大とされている。仕切板46,48及び50の高さは、互いに等しい(底面板45と蓋の対向距離)ので、第2の経路P2の断面積が第1の経路P1の断面積よりも大となる。この結果、第1の経路P1においてフラックスヒュームが圧縮され、第1の経路P1から第2の経路P2に切り替わる流出口49において、フラックスヒュームが断熱膨張される。断熱膨張は、上述したようなほぼ断熱状態での膨張を意味する。したがって、第1の経路P1が圧縮部として機能し、第2の経路P2が膨張部として機能する。
流出口51を流入口とする第3の経路P3が仕切板50及び外周面板44によって形成される。仕切板50は、流出口51の位置で、仕切板50から離間して、その遊端が外周面板44の内面と接合される。仕切板50及び外周面板44の対向間隔が一定とされ、対向空間が第3の経路P3とされる。第2の経路P2から流入されたフラックスヒュームが矢印で示すように、第3の経路P3を通って配管33が接続されている流出口52に導かれる。この配管33を通じて浄化後のガスが炉内に導入される。
仕切板48及び仕切板50の対向距離に比較して仕切板50及び外周面板44の対向距離が大とされている。仕切板48,50及び外周面板44の高さは、互いに等しい(底面板45と蓋の対向距離)ので、第3の経路P3の断面積が第2の経路P2の断面積よりも大となる。この結果、第2の経路P2においてフラックスヒュームが圧縮され、第2の経路P2から第3の経路P3に切り替わる流出口51において、フラックスヒュームが断熱膨張される。したがって、第2の経路P2が圧縮部として機能し、第3の経路P3が膨張部として機能する。すなわち、第1の経路P1、第2の経路P2及び第3の経路P3が連続的に形成され、第2の経路P2は、圧縮部と膨張部の両方の機能を果たすことになる。
上述したフラックス回収装置の動作は以下の順序でなされる。
吹き出し口47から吹き出したフラックスヒュームが経路P1に流入する。
経路P1の断面積が小さいので、フラックスヒュームが圧縮される。経路P1内でフラックス分子の衝突回数が増加し、フラックス分子の一部が液化する。
流出口49から経路P2にフラックスヒュームが吹き出される。経路P1の断面積に比して経路P2の断面積が大きいので、フラックスヒュームが断熱膨張される。これによって、経路P2内の温度が低下し、フラックス分子の液化がさらに進む。
フラックス回収装置では、さらに、以下の処理がなされる。
流出口51から経路P3にフラックスヒュームが吹き出される。経路P2の断面積に比して経路P3の断面積が大きいので、経路P2から経路P3に切り替わる時にフラックスヒュームが断熱膨張される。これによって、経路P3内の温度が低下し、フラックス分子の液化がさらに進む。
経路P3を通った浄化されたフラックスヒュームが流出口52から配管33を通じて炉(例えばゾーンZ6)に戻される。
上述したように、(圧縮(経路P1)→断熱膨張(経路P2))及び(圧縮(経路P2)→断熱膨張(経路P3))の処理を行なうことによって、フラックスの回収能力を増加することができる。
「第2の実施形態」
本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、上述した第1の実施形態におけるガスカーテン(吹き出しパイプ30a及び吸い込みノズル30b)に吹き出しパイプを設けるようにしたものである。図8は、第2の実施形態の概略的構成を示す。図3と対応する部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
リフローゾーンと冷却ゾーンの境界付近例えばバッファ室24の搬送経路の上側及び下側にそれぞれ吹き出しパイプ26a,26bが設けられる。吹き出しパイプ26a,26bは、矢印で示すように、搬送経路と直交する方向よりややワーク進行方向と逆方向に傾いた吹き出し角度でもって気体を噴射するものである。気体は、エアや不活性ガスであるN2(窒素)等を用いることができ、不活性ガスを用いることがより好ましい。吹き出しパイプ26a,26bは、吹き出しパイプ25aと同様の構成(図4A及び図4B参照)を有する。
吹き出しパイプ25a,25b,26a,26bによって、炉体内(プリヒートゾーン及びリフローゾーン)にフラックスガスを封じ込めることができる。したがって、搬入口11より手前のスロート12において炉体内のフラックスガスが凝集して液化することを防止でき、また、冷却ゾーンZ9において炉体内のフラックスガスが凝集して液化することを防止できる。したがって、フラックスガスの液化した成分がワークWに滴下することを防止することができる。なお、吹き出しパイプ27a,27bによって、炉体内への大気の進入を阻止し、炉体内の酸素濃度の上昇を防止することができる。
「第3の実施形態」
図9を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、吹き出しパイプ28a,28bをプリヒートゾーンとリフローゾーンの境界に設けたものであり、他の構成は、第2の実施形態と同様である。すなわち、ゾーンZ1~Z5がプリヒートゾーンを構成し、ゾーンZ6~Z8がリフローゾーンを構成するので、ゾーンZ5とゾーンZ6の境界位置付近に吹き出しパイプ28a及び28bが設けられる。なお、この境界付近にバッファ室を形成して、バッファ室に吹き出しパイプ28a及び28bを設けてもよい。
吹き出しパイプ28a,28bは、矢印で示すように、搬送経路と直交する方向よりややワーク進行方向、並びにワーク進行方向と逆方向の二つの方向に傾いた吹き出し角度でもって気体を噴射するものである。気体は、エアや不活性ガスであるN2(窒素)等を用いることができ、不活性ガスを用いることがより好ましい。吹き出しパイプ28a,28bは、吹き出しパイプ25aと同様の構成(図4A及び図4B参照)を有する。
第2の実施形態と同様に、吹き出しパイプ25a,25b,26a,26bによって、炉体内(プリヒートゾーン及びリフローゾーン)にフラックスガスを封じ込めることができる。したがって、スロート12において炉体内のフラックスガスが凝集して液化することを防止でき、また、冷却ゾーンZ9において炉体内のフラックスガスが凝集して液化することを防止できる。したがって、フラックスガスの液化した成分がワークWに滴下することを防止することができる。なお、吹き出しパイプ27a,27bによって、炉体内への大気の進入を阻止し、炉体内の酸素濃度の上昇を防止することができる。
第3の実施形態では、炉体内のフラックスガスをプリヒートゾーンとリフローゾーンの二つの空間に分けることができる。これは、各ゾーンで発生するフラックスガスの成分が異なることを利用して、回収物を異なる成分とするためである。すなわち、プリヒートゾーンでは、その温度が低いので溶剤成分が揮発しやすく、リフローゾーンでは、その温度が高いので、主に樹脂成分が揮発しやすい。したがって、プリヒートゾーンのフラックスガスからフラックス回収装置41 ,41 ,41 によって回収された回収物の主たる成分は、溶剤系の回収物であり、リフローゾーンのフラックスガスからフラックス回収装置41 によって回収された回収物の主たる成分は、樹脂成分由来の回収物である。
このように成分ごとに回収することができるので、各成分に適した回収物の処分方法を使用できる。また、各成分に適したフラックス回収装置を使用することができ、回収効率を向上させることができる。例えば上述した加圧方式は、流路が狭い構成を有するので、主にフラックス中の溶剤成分の回収に適している。したがって、フラックス回収装置41 ,41 ,41 として加圧方式を採用する。また、慣性集塵方式は、粉塵の回収に適しているので、樹脂成分の回収に適している。したがって、フラックス回収装置41 として慣性集塵方式を採用することが望ましい。
上述した第3の実施形態によっても、フラックスガスが凝集して液化することを低減または防止することができ、また、炉体内の酸素濃度が上昇することを防止できる。さらに、発生するフラックスガスを異なる成分のものに分けてそれぞれを効率よく回収でき、それぞれに適した方法で処分することができる。
「変形例」
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば本発明においては、加熱ゾーンの入口側及び出口側の一方に吹き出し部を設け、他方は、既存のガスカーテンとしてもよい。ガスカーテンは、吹き出し部と異なり、ガス(不活性ガス又は大気)の吹き出し側と吹き出されたガスを吸い込む吸い込み側が対向して配置された構成を有するものを意味する。また、本発明は、リフロー装置等のはんだ付け装置に限らず、プリント配線板上に表面実装部品を熱硬化型の接着剤によって接着するための実装装置、パターン形成された銅張積層板上に形成されたソルダーレジストを硬化させる装置などにも適用することができる。すなわち、本発明は、加熱処理を行うことによって気化した物質が大気又は不活性ガスに対して混合された気体の浄化に対して適用できる。
また、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。また、上述の実施の形態の構成、方法、工程、形状、材料及び数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
11・・・搬入口、12,13・・・スロート、14・・・搬出口、
15・・・上部炉体、41 ~41 ・・・フラックス回収装置、
25a,25b,26a,26b,27a,27b,28a,28b・・・吹き出しパイプ、30a・・・吹き出しパイプ、30b・・・吸い込みノズル

Claims (4)

  1. 被加熱物に対して加熱を行うプリヒートゾーンと、前記被加熱物に対してはんだ付けを行なうリフローゾーンからなる加熱ゾーンと、
    前記リフローゾーンの後に配され、はんだ付けがされた被加熱物を冷却する冷却ゾーンと、
    前記プリヒートゾーン,前記リフローゾーン及び前記冷却ゾーン内を通過するように、被加熱物を搬送する搬送装置と、
    前記加熱ゾーンの入口近傍及び前記加熱ゾーンの出口近傍のそれぞれに設けられ、搬送方向とほぼ直交する方向に延びる吹き出し口を有し、前記吹き出し口から前記加熱ゾーン内の気体を内部に押し戻す方向に気体を吹き出す第1及び第2の吹き出し部と、
    前記プリヒートゾーン及び前記リフローゾーンの境界付近に設けられ、搬送方向とほぼ直交する方向に延びる吹き出し口を有し、前記吹き出し口から前記プリヒートゾーン及び前記リフローゾーン内の気体を内部にそれぞれ押し戻す方向に気体を吹き出す第3の吹き出し部とを備えた搬送加熱装置。
  2. 前記プリヒートゾーンから気体を吸い出して浄化する第1の気体浄化装置と、前記リフローゾーンから気体を吸い出して浄化する第2の気体浄化装置を有し、
    前記第1及び第2の気体浄化装置が異なる方式である請求項に記載の搬送加熱装置。
  3. 前記第1及び第2の気体浄化装置の少なくとも一方は、
    大気又は不活性ガスと加熱により気化した物質が混合された気体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部によって圧縮された気体を膨張させることによって前記物質を液化させる膨張部とを備え、
    前記物質が低減された気体を得るようにした請求項に記載の搬送加熱装置。
  4. 前記圧縮部によって圧縮された気体を膨張させる時に、熱の出入りがほぼ無いようにされた請求項に記載の搬送加熱装置。
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