[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1~図3を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の温水暖房装置1は、温水を加熱する加熱装置10、及び温水を貯湯するシスターン21とを有する熱源機2と、温水の放熱を行う暖房端末3と、温水を流通させる温水流路20とを備える。暖房端末3は、例えば床暖房装置である。
加熱装置10は、本実施形態では、例えば燃焼式の加熱装置であり、燃焼室11aを内部に有する燃焼筐11と、燃焼室11aに配置されたバーナ12(本実施形態ではガスバーナ)と、バーナ12の燃焼熱により加熱されるように燃焼室11aに配置された熱交換器13と、バーナ12に燃焼用空気を供給する燃焼ファン14と、バーナ12に燃料ガスを供給する燃料供給路15とを備える。そして、燃料供給路15には、これを開閉する電磁弁16と、バーナ12への燃料ガスの供給量を調整する比例弁等のガス量調整弁17とが組付けられている。
なお、バーナ12は、ガスバーナに限らず、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナであってもよい。また、加熱装置10は、燃焼式の加熱装置に限らず、電気式の加熱装置(ヒートポンプ式のものを含む)であってもよい。さらに、加熱装置10は、燃焼式の加熱装置と電気式の加熱装置との両方を含んでいてもよい。
温水流路20は、加熱装置10の熱交換器13と、暖房端末3と、シスターン21とを経由して温水を循環させ得るように配設されている。さらに詳細には、温水流路20は、熱交換器13から暖房端末3に温水を流す往路側流路20aと、暖房端末3から熱交換器13に温水を流す復路側流路20bと、往路側流路20aから暖房端末3を経由させずに復路側流路20bに温水を流すバイパス流路20cとを備える。
そして、シスターン21は、往路側流路20a及び復路側流路20bの一方、例えば、復路側流路20bの途中部に介装されている。また、バイパス流路20cは、その上流端部が往路側流路20aの途中部に接続され、下流端部がシスターン21の上流側の復路側流路20bの途中部に接続されている。
また、往路側流路20a及び復路側流路20bの一方、例えば、シスターン21の下流側の復路側流路20bに、温水流路20での温水の流通を行わせるためのポンプ22(以降、温水ポンプ22という)が組付けられている。
また、往路側流路20a及び復路側流路20bの一方、例えば、往路側流路20aには、バイパス流路20cの接続部よりも下流側の箇所で、該往路側流路20aを開閉する閉弁としての熱動弁23が組付けられている。さらに、往路側流路20aには、バイパス流路20cの接続部よりも下流側の箇所で、熱交換器13から流出する温水の温度(熱交換器13から暖房端末3に供給される温水の温度)を検出する温度センサ24が組み付けられている。
本実施形態の温水暖房装置1は、さらに、その運転制御を行う機能を有する制御装置30と、暖房端末3の運転に関する操作を行うためのリモコン31とを備える。リモコン31は、図示を省略する操作部及び表示器を備えており、その操作部の操作(スイッチ操作等)によって、暖房端末3による暖房運転の実行又は停止を指令する操作、暖房運転時に温水流路20で流通させつつ加熱装置10により加熱する温水の目標温度を設定する操作、暖房運転時の暖房端末3の放熱量の要求値の高低度合いを設定する操作等を行うことが可能である。
制御装置30は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成される。この制御装置30は、リモコン31と有線通信又は無線通信を行うことが可能であり、該通信により、リモコン31の操作情報を取得する。また、制御装置30には、温水暖房装置1に備えられた前記温度センサ24等の種々のセンサの検出信号が入力される。
そして、制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能によって、加熱装置10、温水ポンプ22及び熱動弁23の作動制御を行う。この場合、加熱装置10の作動制御では、制御装置30は、燃焼ファン14、電磁弁16、及びガス量調整弁17と、図示を省略する点火装置とを制御することで、バーナ12の燃焼運転を制御する。
次に、本実施形態の温水暖房装置1の作動を説明する。温水暖房装置1の電源が投入された状態で、ユーザが、暖房端末3の暖房運転を実行するための操作(暖房運転のON操作)をリモコン31で行うと、あるいは、タイマー運転機能で設定された暖房端末3の暖房運転の開始時刻になると、制御装置30は、図2のフローチャートに示す処理を実行する。
なお、以降の説明では、燃焼運転のON状態及びOFF状態は、それぞれ、バーナ12の燃焼運転(加熱装置10の加熱動作)を実行する状態、バーナ12の燃焼運転の停止状態を意味し、温水ポンプ22のON状態及びOFF状態は、それぞれ、温水ポンプ22の作動状態、温水ポンプ22の停止状態を意味し、熱動弁23のON状態及びOFF状態は、それぞれ、熱動弁23の開弁指示状態(開弁を指示する制御信号を与えた状態)、閉弁指示状態(閉弁を指示する制御信号を与えた状態)を意味する。
STEP1において、制御装置30は、加熱装置10のバーナ12の燃焼運転のON状態とOFF状態とを交互に周期的に繰り返す場合の各周期tcycの期間における燃焼運転のON状態の時間幅である加熱ON時間ton_bと、燃焼運転のON状態からOFF状態への移行後に、熱動弁23をON状態からOFF状態に切替える制御を実行すべきタイミングでの温水流路20内の温水の温度の設定値である熱動弁OFF温度Toff_vと、燃焼運転のON状態からOFF状態への移行後に、温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替える制御を実行すべきタイミングでの温水流路20内の温水の温度の設定値であるポンプOFF温度Toff_pとを設定する。
ここで、本実施形態では、図3に例示する如く、暖房端末3の暖房運転時に、バーナ12の燃焼運転のON状態とOFF状態とを周期的に交互に繰り返す場合の各周期tcyc(以降、ON/OFF周期tcycという)が、あらかじめ一定の時間幅の周期(例えばtcyc=20分)に定められている。
そして、上記加熱ON時間ton_bは、暖房端末3の今回の暖房運転に関して、ユーザがリモコン31で設定した暖房端末3の放熱量の要求値の高低度合いが高いほど、長くなる(tcycに近づく)ように、該放熱量の要求値の高低度合いに応じて設定される。換言すれば、ON/OFF周期tcycの期間(1周期の期間)における加熱装置10のOFF状態の時間幅である加熱OFF時間toff_bが、暖房端末3の放熱量の要求値の高低度合いが高いほど、短くなるように設定される。
なお、本実施形態では、制御装置30が設定する加熱ON時間ton_bの最大値は、本実施形態では、ON/OFF周期tcycに一致する時間である。加熱ON時間ton_bをON/OFF周期tcycに一致させた場合(加熱OFF時間toff_bをゼロにした場合)には、バーナ12の燃焼運転は、OFF状態に制御されることなく、連続的にON状態に維持される。
また、本実施形態では、加熱装置10により加熱する温水の目標温度Tw_sが、リモコン31の操作によってあらかじめ設定されている。該目標温度Tw_s(以降、温水設定温度という)は、本実施形態では、例えば、80℃、60℃、40℃の3種類の温度から選択的に設定される。
そして、上記熱動弁OFF温度Toff_vとポンプOFF温度Toff_pとは、上記温水設定温度Tw_sよりも低い温度となり、且つ、該温水設定温度Tw_sが高いほど、高い温度になり、且つ、ポンプOFF温度Toff_pが熱動弁OFF温度Toff_vよりも低い温度になるように、温水設定温度Tw_sに応じて設定される。
例えば、Tw_s=40℃である場合には、Toff_v=Tw_s-8℃=32℃、Toff_p=Tw_s-10℃=30℃、Tw_s=60℃である場合には、Toff_v=Tw_s-18℃=42℃、Toff_p=Tw_s-28℃=52℃、Tw_s=80℃である場合には、Toff_v=Tw_s-28℃=52℃、Toff_p=Tw_s-30℃=50℃、というようにToff_v及びToff_pがTw_sに応じて設定される。
このように設定される熱動弁OFF温度Toff_v及びポンプOFF温度Toff_pは、暖房端末3に供給される温水の温度が、温水設定温度Tw_sに一致もしくはほぼ一致する温度から、熱動弁OFF温度Toff_v又はポンプOFF温度Toff_pに一致する温度に低下するまでは、暖房端末3で所定量以上の放熱量を発生させ得る温度である。
なお、熱動弁23は、一般に、ON状態(開弁指示状態)からOFF状態(閉弁指示状態)に切り替えるように制御したとき、該熱動弁23が実際に閉弁状態になるまでに、ある程度の遅れ時間が生じる。例えば、図3に示すように、時刻t2で熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御すると、熱動弁23が実際に閉弁状態となるタイミングは、時刻t4となる。
そして、本実施形態では、このような熱動弁23の閉弁動作の遅れを考慮して、ポンプOFF温度Toff_pが熱動弁OFF温度Toff_vよりも低い温度に設定される。より詳しくは、図3に示すように、温水の温度Twが熱動弁OFF温度Toff_vまで低下することに応じて熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御した場合に(図3では時刻t2)、該熱動弁23が実際に閉弁状態になるタイミング(図3では時刻t4)が、温水の温度TwがポンプOFF温度Toff_pまで低下することに応じて温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替制御するタイミング(図3では時刻t3)とほぼ一致するように、各温度設定値Tw_sに対応するポンプOFF温度Toff_pと熱動弁OFF温度Toff_vとの温度差があらかじめ実験等に基づき設定されている。
補足すると、前記ON/OFF周期tcyc、あるいは、温水設定温度Tw_sは、例えば外気温の検出値、暖房端末3が配置された部屋の室内温度の検出値、該室内温度の目標値、暖房端末3の種類(機種)等の情報を基に、制御装置30により自動的に設定されるようになっていてもよい。
図2に戻って、上記の如くSTEP1の処理を実行した後、制御装置30は、次に、STEP2において、熱動弁23及び温水ポンプ22をON状態に制御する(ひいては、温水流路20の温水を加熱装置10の熱交換器13及び暖房端末3を経由させて循環させる)ことと、バーナ12の燃焼運転をON状態に制御する(ひいては、温水流路20で循環する温水をバーナ12の燃焼熱により加熱する)こととを実行する。さらに、制御装置30は、第1タイマtm1による計時(バーナ12の燃焼運転の開始後の経過時間の計時)を開始させる。
この場合、バーナ12の燃焼運転の制御では、制御装置30は、前記電磁弁16、ガス量調整弁17、燃焼ファン14及び図示しない点火装置を制御することで、バーナ12を点火する。そして、この点火によりバーナ12の燃焼運転が開始すると、制御装置30は、温水流路20で循環する温水の温度Twを温度センサ24を介して監視しつつ、該温水の温度Twを温水設定温度Tw_sに一致もしくはほぼ一致させるように、バーナ12の燃焼量をガス量調整弁17及び燃焼ファン14を介して制御する。
かかる制御により、温水が温水流路20で循環しつつ、温水設定温度Tw_sに一致もしくはほぼ一致する温度になるように加熱装置10で加熱される。そして、この加熱された温水が加熱装置10から暖房端末3に供給され、該暖房端末3で放熱する。これにより、暖房端末3の暖房運転が行われる。
上記のように熱動弁23及び温水ポンプ22をON状態に制御すると共に、バーナ12の燃焼運転をON状態に制御した状態で、制御装置30は、STEP3において、第1タイマtm1の計時値が前記加熱ON時間ton_bに達したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP3の判断処理を繰り返す。
そして、STEP3の判断結果が肯定的になると、制御装置30は、さらに、STEP4において、加熱ON時間ton_bがON/OFF周期tcycよりも短い時間であるか否かを判断する。
このSTEP4の結果が否定的となる場合は、加熱ON時間ton_bがON/OFF周期tcycに一致する場合である。この場合には、制御装置30は、STEP5において、第1タイマtm1の計時値をリセット(ゼロに初期化)した上で、該第1タイマtm1によるの計時を改めて開始する。そして、制御装置30は、STEP3からの処理を再び実行する。従って、加熱ON時間ton_bがON/OFF周期tcycに一致する場合には、熱動弁23及び温水ポンプ22をON状態と、バーナ12の燃焼運転のON状態とが連続的に継続する。
一方、STEP4の判断結果が肯定的となる場合には、制御装置30は、次に、STEP6において、バーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させる(バーナ12の燃焼運転を停止させる)。この場合、制御装置30は、電磁弁16を閉弁させることで、バーナ12を消火し、その後、燃焼ファン14を停止させる。なお、熱動弁23及び温水ポンプ22はON状態に維持される。
さらに、STEP6では、第2タイマtm2による計時(バーナ12の燃焼運転の停止後の経過時間の計時)を開始する。
補足すると、本実施形態は、バーナ12の燃焼運転のON状態で、温度センサ24で検出される温水の温度(加熱装置10から暖房端末3に供給される温水の温度)は、前記したように温水温度設定値Tw_sに一致もしくはほぼ一致するように制御される。このため、STEP6でバーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させた時点又はその直前もしくは直後の時点で暖房端末3に供給される温水の温度は、温水温度設定値Tw_sに一致もしくはほぼ一致する。従って、前記熱動弁OFF温度Toff_v及びポンプOFF温度Toff_pは、STEP6でバーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させた時点又はその直前もしくは直後の時点で温度センサ24で検出される温水の温度に応じて設定してもよい。
次いで、制御装置30は、STEP7において、温度センサ24による温水の温度Twの検出値が前記熱動弁OFF温度Toff_vまで低下したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP7の判断処理を繰り返す。
ここで、前記STEP6の処理によって、バーナ12の燃焼運転が停止された状態にて、温水が温水流路20で暖房端末3を経由しつつ循環する。このため、バーナ12の燃焼運転の停止前に、温水設定温度Tw_sに一致もしくはほぼ一致する温度に加熱装置10で加熱された温水が、暖房端末3で放熱しつつ、その温度が低下していく。
そして、温度センサ24による温水温度Twの検出値が熱動弁OFF温度Toff_vまで低下することによって、STEP7の判断結果が肯定的になると、次に、STEP8において、制御装置30は、熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御する。例えば図3に例示する如く、時刻t2において、温水の温度Tw(検出値)が熱動弁OFF温度Toff_vまで低下し、この時、熱動弁23がON状態からOFF状態に切替制御される。なお、この場合、温水ポンプ22はON状態に維持される。また、熱動弁23の閉弁動作は、前記したように遅れを有するので、熱動弁23が実際に閉弁状態となるタイミングは、熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御を行った時点から遅れた時点(例えば図3の時刻t4)となる。
次いで、制御装置30は、STEP9において、温度センサ24による温水の温度Twの検出値がさらに前記ポンプOFF温度Toff_pまで低下したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP9の判断処理を繰り返す。
そして、温水の温度Twの検出値がポンプOFF温度Toff_pまで低下することによってSTEP9の判断結果が肯定的になると、STEP10において、制御装置30は、温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替制御する。
この場合、前記したように、熱動弁23の閉弁動作の遅れを考慮してポンプOFF温度Toff_pが設定されているので、STEP9の判断結果が肯定的になる時点、すなわち、温水ポンプ22がON状態からOFF状態に切替制御される時点とほぼ同時に、熱動弁23が閉弁状態になる。従って、STEP9の判断結果が肯定的になる時点、または、これとほぼ同じ時点まで、暖房端末3に温水が供給されつつ、暖房端末3の放熱が行われる。
上記の如く、温水ポンプ22をOFF状態に切替制御した後、制御装置30は、STEP11において、第2タイマtm2の計時値が前記加熱OFF時間toff_b(=tcyc-ton_b)に達したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP11の判断処理を繰り返す。
そして、第2タイマtm2の計時値が加熱OFF時間toff_bに達することによって、STEP11の判断結果が肯定的になると、制御装置30は、STEP2からの処理を再開する。これにより、温水流路20での温水の循環と、バーナ12の燃焼運転とが再開される。
以上説明した実施形態によれば、暖房端末3の暖房運転時に、バーナ12の燃焼運転がON状態からOFF状態に移行した後、暖房端末3に供給される温水の温度Twの検出値が熱動弁OFF温度Toff_vまで低下した時に、熱動弁23がON状態からOFF状態に切替制御され、さらに、温水の温度Twの検出値がポンプOFF温度Toff_pまで低下した時に、温水ポンプ22がON状態からOFF状態に切替制御される。
そして、この場合、熱動弁OFF温度Toff_v及びポンプOFF温度Toff_pは、温水温度設定値Tw_sに応じて(換言すれば、燃焼運転のOFF状態への移行時に暖房端末3に供給される温水の温度に一致もしくはほぼ一致する温度に応じて)、前記した如く設定される。
このため、燃焼運転のOFF状態への移行時までに蓄えられた温水流路20内の温水の熱量や、該移行後に、加熱装置10の熱交換器13の余熱によって温水に与えられる熱量を、燃焼運転のOFF状態の期間で、暖房端末3での放熱による暖房のために有効に活用することができる。また、当該暖房のために有効に活用される熱量を、燃焼運転のOFF状態への移行時までに温水に蓄えられた熱量に見合った適量にすることができる。
また、閉弁動作に遅れを有する熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御した後に、時間差をおいて温水ポンプ22がOFF状態に切替制御されるので、熱動弁23の切替制御後、該熱動弁23が実際に閉弁状態になっていない期間でも、温水の熱量を暖房端末3による暖房のために有効活用することができる。
また、熱動弁OFF温度Toff_v及びポンプOFF温度Toff_pが前記した如く設定されているので、熱動弁23が実際に閉弁した状態で、温水ポンプ22を作動させてしまうのを防止することができる。ひいては、温水ポンプ22の不要なエネルギー消費を低減できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4及び図5を参照して説明する。なお、本実施形態は、制御装置の一部の制御処理だけが第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
本実施形態では、温水暖房装置1の電源が投入された状態で、ユーザが、暖房端末3の暖房運転を実行するための操作(暖房運転のON操作)をリモコン31で行うと、あるいは、タイマー運転機能で設定された暖房端末3の暖房運転の開始時刻になると、制御装置30は、図4のフローチャートに示す処理を実行する。
STEP21において、制御装置30は、前記第1実施形態で説明した加熱ON時間ton_bと、燃焼運転のON状態からOFF状態への移行後、熱動弁23をON状態からOFF状態に切替える制御を実行すべきタイミングまでの経過時間の設定値である熱動弁OFF切替時間toff_vと、燃焼運転のON状態からOFF状態への移行後、温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切り替える制御を実行すべきタイミングまでの経過時間の設定値であるポンプOFF切替時間toff_pとを設定する。
この場合、加熱ON時間ton_bの設定の仕方は、第1実施形態と同じである。また、熱動弁OFF切替時間toff_vとポンプOFF切替時間toff_pとは、第1実施形態と同様に設定された温水設定温度Tw_sが高いほど、長い時間になり、且つ、ポンプOFF切替時間toff_pが熱動弁OFF切替時間toff_vよりも長い時間になるように、温水設定温度Tw_sに応じて設定される。
例えば、Tw_s=40℃である場合には、toff_v=30秒、toff_p=toff_v+30秒=60秒、Tw_s=60℃である場合には、toff_v=60秒、toff_p=toff_v+30秒=90秒、Tw_s=80℃である場合には、toff_v=90秒、toff_p=toff_v+30秒=120秒、というようにToff_v及びToff_pがTw_sに応じて設定される。
このように設定される熱動弁OFF切替時間toff_v及びポンプOFF切替時間toff_pは、暖房端末3に供給される温水の温度が、温水設定温度Tw_sに一致もしくはほぼ一致する温度になっている状態で、燃焼運転をON状態からOFF状態に切り替えた場合に、その後、熱動弁OFF切替時間toff_v又はポンプOFF切替時間toff_pが経過するまでは、暖房端末3で所定量以上の放熱量を発生させ得る時間である。
また、ポンプOFF切替時間toff_pは、第1実施形態で説明した熱動弁23の閉弁動作の遅れ時間にほぼ一致するようにあらかじめ定められた時間だけ、熱動弁OFF切替時間toff_vよりも長い時間に設定される。このため、図5に示すように、燃焼運転をON状態からOFF状態に切り替えた後の経過時間が熱動弁OFF切替時間toff_vに達することに応じて熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御した場合に(図5では時刻t12)、該熱動弁23が実際に閉弁状態になるタイミング(図5では時刻t14)が、燃焼運転をON状態からOFF状態に切り替えた後の経過時間がポンプOFF切替時間toff_pに達することに応じて温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替制御するタイミング(図5では時刻t13)とほぼ一致するように、ポンプOFF切替時間toff_pが熱動弁OFF切替時間toff_vよりも長い時間に設定される。
図4に戻って、上記の如くSTEP21の処理を実行した後、制御装置30は、次に、STEP22において、熱動弁23及び温水ポンプ22をON状態に制御することと、バーナ12の燃焼運転をON状態に制御することとを実行すると共に、第1タイマtm1による計時(バーナ12の燃焼運転の開始後の経過時間の計時)を開始させる。このSTEP22の処理は、第1実施形態のSTEP2の処理と同じである。
次いで、制御装置30は、第1実施形態のSTEP3~6の処理と同じ処理をSTEP23~26で実行する。これにより、加熱ON時間ton_bがON/OFF周期tcycよりも小さい場合には、第1タイマtm1の計時値が加熱ON時間ton_bに達した時に、STEP26において、バーナ12の燃焼運転がON状態からOFF状態に切替制御されると共に、第2タイマtm2の計時が開始される。また、加熱ON時間ton_bがON/OFF周期tcycに一致する場合には、熱動弁23及び温水ポンプ22をON状態と、バーナ12の燃焼運転のON状態とが連続的に継続する。
なお、STEP26でバーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させた時点又はその直前もしくは直後の時点で暖房端末3に供給される温水の温度は、第1実施形態の場合と同様に、温水温度設定値Tw_sに一致もしくはほぼ一致する。従って、前記熱動弁OFF切替時間toff_v及びポンプOFF切替時間toff_pは、STEP26でバーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させた時点又はその直前もしくは直後の時点で温度センサ24で検出される温水の温度に応じて設定してもよい。
STEP26の処理の実行後、制御装置30は、STEP27において、第2タイマtm2の計時値(燃焼運転をOFF状態に切替制御した後の経過時間の計時値)が、前記熱動弁OFF切替時間toff_vに達したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP27の判断処理を繰り返す。
そして、第2タイマtm2の計時値が熱動弁OFF切替時間toff_vに達することによって、STEP27の判断結果が肯定的になると、次に、STEP28において、制御装置30は、熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御する。例えば図3に例示する如く、時刻t12において、熱動弁23がON状態からOFF状態に切替制御される。なお、この場合、温水ポンプ22はON状態に維持される。
次いで、制御装置30は、STEP29において、第2タイマtm2の計時値がさらに前記ポンプOFF切替時間toff_pに達したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP29の判断処理を繰り返す。
そして、第2タイマtm2の計時値がポンプOFF温度切替時間toff_pに達することによってSTEP29の判断結果が肯定的になると、STEP30において、制御装置30は、温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替制御する。
この場合、前記したように、熱動弁23の閉弁動作の遅れを考慮してポンプOFF切替時間toff_pが設定されているので、STEP29の判断結果が肯定的になる時点、すなわち、温水ポンプ22がON状態からOFF状態に切替制御される時点とほぼ同時に、熱動弁23が閉弁状態になる。従って、STEP29の判断結果が肯定的になる時点、または、これとほぼ同じ時点まで、暖房端末3に温水が供給されつつ、暖房端末3の放熱が行われる。
上記の如く、温水ポンプ22をOFF状態に切替制御した後、制御装置30は、STEP31において、第2タイマtm2の計時値が前記加熱OFF時間toff_b(=tcyc-ton_b)に達したか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまで、STEP31の判断処理を繰り返す。
そして、第2タイマtm2の計時値が加熱OFF時間toff_bに達することによって、STEP31の判断結果が肯定的になると、制御装置30は、STEP2からの処理を再開する。これにより、温水流路20での温水の循環と、バーナ12の燃焼運転とが再開される。
以上説明した実施形態によれば、暖房端末3の暖房運転時に、バーナ12の燃焼運転がON状態からOFF状態に移行した後、熱動弁OFF切替時間toff_vが経過した時に、熱動弁23がON状態からOFF状態に切替制御され、さらに、ポンプOFF切替時間toff_pが経過した時に、温水ポンプ22がON状態からOFF状態に切替制御される。
そして、この場合、熱動弁OFF切替時間toff_v及びポンプOFF切替時間toff_pは、温水温度設定値Tw_sに応じて(換言すれば、燃焼運転のOFF状態への移行時に暖房端末3に供給される温水の温度に一致もしくはほぼ一致する温度に応じて)、前記した如く設定される。
このため、第1実施形態と同様に、燃焼運転のOFF状態への移行時までに蓄えられた温水流路20内の温水の熱量や、該移行後に、加熱装置10の熱交換器13の余熱によって温水に与えられる熱量を、燃料運転のOFF状態の期間で、暖房端末3での放熱による暖房のために有効に活用することができる。また、当該暖房のために暖房端末3で放熱させる時間を、燃焼運転のOFF状態への移行時までに温水に蓄えられた熱量に見合った適切な時間にすることができる。
また、第1実施形態と同様に、閉弁動作に遅れを有する熱動弁23をON状態からOFF状態に切替制御した後に、時間差をおいて温水ポンプ22がOFF状態に切替制御されるので、熱動弁23の切替制御後、該熱動弁23が実際に閉弁状態になっていない期間でも、温水の熱量を暖房端末3による暖房のために有効活用することができる。
また、熱動弁OFF切替時間toff_v及びポンプOFF切替時間toff_pが前記した如く設定されているので、熱動弁23が実際に閉弁した状態で、温水ポンプ22を作動させてしまうのを防止することができる。ひいては、温水ポンプ22の不要なエネルギー消費を低減できる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。以下に他の実施形態をいくつか説明する。
前記各実施形態では、バーナ12の燃焼運転のON状態からOFF状態への移行後(加熱装置10の作動状態から停止状態への移行後)で、該移行時までに温水に蓄えられた熱量を暖房端末3で適切に放熱させることができるので、バーナ12の燃焼運転のON状態からOFF状態への移行(加熱装置10の作動停止)を、前記加熱ON時間ton_pの経過時点よりも多少、早めの時点で行うようにしてもよい。このようにしても、暖房端末3の暖房運転時の放熱量を、バーナ12の燃焼運転のOFF状態の期間を含めて十分に確保することが可能である。
また、前記各実施形態では、バーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させた後(加熱装置10の作動状態から停止状態への移行後)、熱動弁23及び温水ポンプ22の両方をON状態からOFF状態に切替制御した。ただし、熱動弁23及び温水ポンプ22のいずれか一方だけをON状態からOFF状態に切替制御してもよい。また、熱動弁23及び温水ポンプ22の両方をON状態からOFF状態に切替制御する場合、熱動弁23及び温水ポンプ22の切替制御を同時もしくはほぼ同時に行うようにしてもよい。
また、前記第1実施形態では、温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替制御することを、温水の温度Twの検出値に応じて行う代わりに、例えば、熱動弁23をON状態からOFF状態に制御してから、所定時間が経過した時に実行するようにしてもよい。
また、バーナ12の燃焼運転をON状態からOFF状態に移行させた後(加熱装置10の作動状態から停止状態への移行後)、熱動弁23又は温水ポンプ22をON状態からOFF状態に切替制御するタイミングは、前記第1実施形態又は第2実施形態と異なる仕方で設定することも可能である。
例えば、加熱装置10の作動状態から停止状態への移行時に暖房端末3に供給される温水の温度の検出値又は設定値と、その後の該温水の温度の時間的変化率(低下速度)とに応じて、上記タイミングを設定することも可能である。
また、前記各実施形態では、本発明における開閉弁として熱動弁23を例示した。ただし、本発明における開閉弁は、熱動弁23以外の開閉弁(例えば、電動モータにより開閉駆動される弁等)であってもよい。
また、暖房端末3は、床暖房装置に限らず、例えば、パネルヒータ等の暖房端末であってもよい。