JP7065538B2 - タイヤ加硫金型装置 - Google Patents
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Description
近年においては、このタイヤのトレッド部成形用の環状金型として、環状金型をその円周方向に複数に分割してなる環状分割金型からなるものが多く用いられている。この各分割金型をセグメントと呼ぶが、このような複数のセグメントからなる環状金型を備えたタイヤ加硫金型として、例えば下記特許文献1がある。
上記特許文献1に示すような複数のセグメントを備える従来のタイヤ加硫金型装置100は、図9に示すように、タイヤのトレッド部を成形する環状分割金型を構成する複数のセグメント80と、複数のセグメント80の半径方向外方に配置される外部リング60と、複数のセグメント80を載置させて支持すると共に、外部リング60を受け入れる箱型形状の下型プレート50とを備え、外部リング60を軸線方向の下方に移動させることで、外部リング60が下型プレート50の内側面と各セグメント80との間に嵌合すると共に、各セグメント80を半径方向内方に押動して環状分割金型を閉じ、外部リング60を軸線方向の上方に移動させることで、外部リング60が下型プレート50の内側面と各セグメント80との間から抜け出ると共に、各セグメント80を半径方向外方に移動させて環状分割金型を開くようにするものが一般的であった。
しかしながら複数のセグメントを備える従来のタイヤ加硫金型装置においては、外部リング60を下方に移動させる際、外部リング60を精度良く下降させることができない場合、外部リング60の下面側の端部が、下型プレート50の側壁の上面や側壁の内側面と接触することで、外部リング60や下型プレート50が破損したり、変形したりするという問題があった。また外部リング60の外側面の下方位置には、外部リング60と下型プレート50との間の気密性を確保するためのシール部材が配置されているところ、シール部材も破損したり、変形したりするという問題があった。
外部リングの下面側の端部が下型プレートの側壁の内側面と接触する位置に至るまでに、嵌合用凸部と嵌合用凹部とを嵌合させることができる。よって嵌合用凸部と嵌合用凹部との嵌合によって、外部リングの下型プレートに対する移動姿勢を望ましい位置に調整することができる。従って外部リングと下型プレートとが接触することに伴う外部リングや下型プレートの損傷、摩耗を効果的に防ぐことができ、補修回数の低減と長寿命化を図ることができる。また外部リングと下型プレートとの組み違いを防止することができると共に、外部リングが回転することを効果的に防止することができる。従って各セグメントの閉止によって組み上げられる環状金型の組み上げ(型組み)精度の向上と安定性の向上を図ることができるタイヤ加硫金型装置とすることができる。
複数個の嵌合用凸部と嵌合用凹部とによって、外部リングと下型プレートとの芯出しを精度良く行えると共に、外部リングの移動姿勢を一段と望ましい位置に調整することができる。また外部リングの径方向へのブレを効果的に抑えることができる。従って各セグメントの閉止によって組み上げられる環状金型を、正確に芯出しされた非常に精度のよい環状金型に型組みすることができる。よって環状金型の組み上げ(型組み)精度の向上と安定性の向上を一段と図ることができるタイヤ加硫金型装置とすることができる。
嵌合用凹部に対して嵌合用凸部を嵌合させ易いものとすることができる。
外部リングによる各セグメントの押動は、外部リング側案内平坦面をセグメント側案内平坦面に当接させて行うことが可能となるので、各セグメントは外部リングに対して面接触状態で安定して押動され、姿勢がぐらつかない。よって外部リングとの不要な接触や当たりによるセグメントの損傷、摩耗を十分に低減させることができ、補修回数の低減と長寿命化を図ることができる。また各セグメントの閉止によって組み上げられる環状金型の組み上げ(型組み)精度の向上と安定性の向上を図ることができる。
本発明の実施形態に係るタイヤ加硫金型装置1は、図1に示すように、上型プレート2、下型プレート3、外部リング4を外殻とし、それらの内側にタイヤのトレッド部を成形するための上部金型5、下部金型6、及び環状分割金型を構成する複数の環状に配されたセグメント7を備えている。自動車のタイヤの加硫成形は、前記トレッド部を成形する上部金型5と下部金型6、及び複数のセグメント7からなる環状分割金型とで行われる。
なお各セグメント7は、更に複数の部分から構成されるようにしてもよい。
前記各セグメント7の外方に1つの外部リング4が配置されている。外部リング4の移動により、各セグメント7の半径方向内方と外方への移動がなされる。
各セグメント7による環状分割金型の型組みが完成することで、タイヤ加硫成形の準備が整う。
一方、加硫成形が終了した後に、外部リング4を図4に示す状態から上方へ移動させると、外部リング4が、上方が開口した箱型の下型プレート3の内側面と各セグメント7との間から抜け出ると共に、各セグメント7は半径方向外方(図4上で左方向)へ移動される。これによって図3に示すように、各セグメント7が開放され、型組みが解かれて開放される。
本実施形態においては、図1、図7に示すように、下型プレート3の側壁31の上面31aに、側面視U字状の嵌合用凹部たるガイドピン嵌合用凹部Uを設けてある。また図7に示すように、ガイドピン嵌合用凹部Uの開口部の開口端U1を曲面形状(面取り形状)としてある。
また下型プレート3の内側面32の上端32aから下端32cに至る途中位置32bまでを、途中位置32bから上端32aに向かって外向きに傾斜させてなる外向き傾斜面Kとしてある。加えて、内側面32のうち、外向き傾斜面Kを除くその他の面Qを、下型プレート3の半径方向に対して直角な面として構成してある。
ここで図5、図6に示すように、外部リング4は、ピストンロッド8を介して下方へ移動される際、型組み完了時に外部リング4の外側面45が、上記その他の面Qと接するような位置関係で下方へと移動される。よって下型プレート3に外向き傾斜面Kを設けることで、図5(a)に示すように、外部リング4を下方に移動させる際において、外部リング4の外側面45の下端が下型プレート3の途中位置32bに達するまでは、外側面45と下型プレート3との間に間隙Sを設けることができる。なお、図5(a)に示す間隙S1は、外側面45の下端と内側面32との間隙を示すものである。
外向き傾斜面Kの傾斜角度は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
またガイドピンTよりも下方位置に凹所47を設け、この凹所47に、外部リング4と下型プレート3との間の気密性を保持するためのOリングGを嵌め込んである。
また本実施形態においては、図5(a)に示すガイドピンTの下面T1から外部リング4の下面48までの長さDを、外向き傾斜面Kの鉛直方向の長さEよりも短い長さに構成してある。
前記外部リング側截頭円錐状内側面41の一部には、各セグメント7に対向する位置に、軸方向に延びる帯状の外部リング側案内平坦面42が設けられている。該外部リング側案内平坦面42は外部リング側截頭円錐状内側面41と同一勾配をもって傾斜するように構成している。
前記各セグメント7は、外部リング4と対向する面である半径方向の外側面を、上方に向かって先細りする截頭円錐状外側面、即ちセグメント側截頭円錐状外側面71に構成している。このセグメント側截頭円錐状外側面71は前記外部リング側截頭円錐状内側面41と同じ勾配の円錐状曲面に構成している。
前記セグメント側截頭円錐状外側面71の一部である円周方向中央部には、軸方向に帯状のセグメント側案内平坦面72が設けられている。該セグメント側案内平坦面72はセグメント側截頭円錐状外側面71と同じ勾配をもって傾斜する構成としている。
前記外部リング側案内平坦面42とセグメント側案内平坦面72とは相互に対向する位置にあり、外部リング4が降下する際に、その最終降下位置に至る手前の位置までの間において、相互に面当接する構成とされている。
なお、前記下型プレート3、外部リング4(ガイドピンT)や各セグメント7は、鉄、アルミ等の金属で構成することができる。
また図3、図4に示すように、各セグメント7は上型プレート2や下型プレート3との間での動きをスムーズするため、銅合金、軟窒化処理した鉄合金、その他の良摺動プレート9を取り替え可能に介在させている。
前記凹所44に取り付けられた外部リング側金属プレート43の上面が外部リング側案内平坦面42となる。
なお、外部リング側金属プレート43の凹所44への取り付けは、ネジ10等、その他の取り付け手段を用いて着脱自在に行うことができる。
また外部リング側金属プレート43は、銅合金又は軟窒化処理等の表面処理した鉄合金、その他の摺動に適した材料を用いることができる。
T字ブロック11はセグメント7側に形成されたT字溝13に遊嵌された状態に構成される。
T字ブロック11とT字溝13とが遊嵌されることで、外部リング4と各セグメント7とが遊嵌状態に連結される。この外部リング4と各セグメント7との遊嵌連結は、セグメント7を閉止状態から開放状態に移動させる際に利用される。即ち、外部リング4を上方に移動させることで、該外部リング4に遊嵌された各セグメント7が半径方向外方に移動され、型組みが開放される。
なお図3、図4において、符号14はストッパーで、符号15はストッパー用溝である。前記外部リング4の可動範囲の上限と下限が、このストッパー14とストッパー用溝15で決められる。
前記凹所74に取り付けられたセグメント側金属プレート73の上面がセグメント側案内平坦面72となる。
なお、セグメント側金属プレート73の凹所74への取り付けは、図示しないネジ等の取り付け手段を用いて着脱自在に行うことができる。
またセグメント側金属プレート73は、銅合金又は軟窒化処理等の表面処理した鉄合金、その他、摺動に適した材料を用いることができる。
今、図3(a)に示すように、外部リング4が最上位の位置にある場合においては、環状分割金型を構成する各セグメント7は半径方向の最外方にあって、型組みが最も開放された状態にある。
型組みが最も開放された状態では、外部リング4と各セグメント7とは非当接の状態である。即ち、外部リング側截頭円錐状内側面41と外部リング側案内平坦面42は、何れも、セグメント側截頭円錐状外側面71とセグメント側案内平坦面72に対して離れた状態にある。
またガイドピンTは、ガイドピン嵌合用凹部Uに対して離れた状態にあり、各セグメント7同士も相互に離れた状態にある。
勿論、外部リング4と各セグメント7とは、T字ブロック11とT字溝13とによって遊嵌状態に連結されている。
一方、外部リング側截頭円錐状内側面41はセグメント7側に対して離れた状態、即ち非当接を維持する。
外部リング側案内平坦面42がセグメント側案内平坦面72に当接することで、外部リング4によるセグメント7の押動が開始され、各セグメント7は半径方向内側に向けて移動を開始する。
この場合における外部リング4によるセグメント7の押動は、案内平坦面42、72同士の面当接によるものであるから、移動中におけるセグメント7の姿勢が安定し、速度を上げても搖動が生じ難い。即ち、セグメント7が外部リング4に彼是当たって傷がついたりすることが防止される。
この際、既述したように、下型プレート3の内側面32に外向き傾斜面Kを設けると共に、ガイドピンTの下面T1から外部リング4の下面48までの長さDを、外向き傾斜面Kの鉛直方向の長さEよりも短い長さに構成することで、図5(b)に示すように、外部リング4の外側面45と下型プレート3の内側面32との間には依然として間隙S2がある。なお、図5(b)に示す間隙S2は、外側面45の下端と内側面32との間隙を示すものである。
つまり本実施形態の構成とすることで、図5、図7(a)、図7(b)に示すように、外部リング4の下面48(下端)が下型プレート3の内側面32の途中位置32b(外向き傾斜面Kの終端ラインL)に差し掛かるまでに、ガイドピンTをガイドピン嵌合用凹部Uに嵌合させることができる。よって下面48が途中位置32bに達して、外部リング4の下端部分と下型プレート3とが近接して衝突する可能性が生じる段階になる前に、ガイドピンTがガイドピン嵌合用凹部Uに嵌合されることで、外部リング4の移動姿勢を適正な位置に調整することができる。従って外部リング4と下型プレート3とが衝突することを防止でき、外部リング4や下型プレート3の損傷、摩耗を効果的に防ぐことができ、補修回数の低減と長寿命化を図ることができる。また外部リング4と下型プレート3との組み違いを防止することができると共に、外部リング4が回転することを効果的に防止することができる。従って、各セグメント7の閉止によって組み上げられる環状金型の組み上げ(型組み)精度の向上と安定性の向上を図ることができるタイヤ加硫金型装置1とすることができる。
更に外部リング4と下型プレート3とが衝突することを防止できることで、Oリング(シール部材)が破損したり、変形したりすることを防止できる。よって外部リング4と下型プレート3との間の気密性を精度良く保つことが可能なタイヤ加硫金型装置1とすることができる。
この状態においては、外部リング4と各セグメント7は、外部リング側案内平坦面42とセグメント側案内平坦面72とによる面当接の他、外部リング側截頭円錐状内側面41とセグメント側截頭円錐状外側面71による線当接が開始される。
代わりに、外部リング側截頭円錐状内側面41によるセグメント側截頭円錐状外側面71への直接的な線当接による押動が行われ、各セグメント7が移動される。
この外部リング側截頭円錐状内側面41とセグメント側截頭円錐状外側面71との線当接による押動は、その後、セグメント7の閉止位置まで続く。
前記環状分割金型の型組みが完了する各セグメント7の閉止位置では、外部リング側截頭円錐状内側面41とセグメント側截頭円錐状外側面71とが同じ曲率半径をもって密着し、また各隣り合うセグメント7同士も密着状態となって環状リングが完成する。一方、外部リング側案内平坦面42とセグメント側案内平坦面72とは当接することなく、間隙をもって離間した状態となる。
セグメント7側のT字溝13に対して外部リング4側のT字ブロック11が遊嵌されているため、外部リング4の上昇により、T字ブロック11がT字溝13に引っ掛かった状態となって、セグメント7が半径方向外方へ引きずられる。
なお、T字ブロック11は、外部リング4が下方へ降下している間においては、T字溝13の何れの内壁にも当接することがないように寸法設計される。
2 上型プレート
3 下型プレート
4 外部リング
5 上部金型
6 下部金型
7 セグメント
8 ピストンロッド
9 良摺動プレート
10 ネジ
11 T字ブロック
12 ネジ
13 T字溝
14 ストッパー
15 ストッパー用溝
31 側壁
31a 上面
32 内側面
32a 上端
32b 途中位置
32c 下端
41 外部リング側截頭円錐状内側面
42 外部リング側案内平坦面
43 外部リング側金属プレート
44 凹所
45 外側面
46 凹所
47 凹所
48 下面
50 下型プレート
60 外部リング
71 セグメント側截頭円錐状外側面
72 セグメント側案内平坦面
73 セグメント側金属プレート
74 凹所
80 セグメント
100 タイヤ加硫金型装置
D 長さ
E 長さ
K 外向き傾斜面
G Oリング
L 外向き傾斜面終端ライン
Q その他の面
S 間隙
S1 間隙
S2 間隙
T ガイドピン
T1 下面
U ガイドピン嵌合用凹部
U1 開口端
Claims (4)
- タイヤのトレッド部を成形する環状分割金型を構成する複数のセグメントと、該複数のセグメントの半径方向外方に配置される外部リングと、前記複数のセグメントを載置させて支持すると共に前記外部リングを受け入れる箱型形状の下型プレートとを備え、前記外部リングを軸線方向の一方向に移動させることで、外部リングが下型プレートの内側面と各セグメントとの間に嵌合すると共に各セグメントを半径方向内方に押動して環状分割金型を閉じ、前記外部リングを軸線方向の前記一方向とは逆方向に移動させることで、外部リングが下型プレートの内側面と各セグメントとの間から抜け出ると共に各セグメントを半径方向外方に移動させて環状分割金型を開くように構成したタイヤ加硫金型装置であって、前記外部リングは、その外側面に凸状の嵌合用凸部を備え、前記下型プレートは、側壁の上面に前記嵌合用凸部を受け入れる嵌合用凹部を備えると共に、内側面の上端から下端に至る途中位置までを、前記途中位置から上端に向かって外向きに傾斜させてなる外向き傾斜面としてあり、且つ前記嵌合用凸部の下面から外部リングの下面までの長さを、前記外向き傾斜面の鉛直方向の長さよりも短い長さに構成してあることを特徴とするタイヤ加硫金型装置。
- 外部リングに備える嵌合用凸部と、下型プレートに備える嵌合用凹部とを、外部リングと下型プレートの周方向にそれぞれ4個以上備えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫金型装置。
- 嵌合用凹部は、開口部の開口端を曲面形状としてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ加硫金型装置。
- 各セグメントの外側面と、それに対向する外部リングの内側面とを、互いに対向するセグメント側截頭円錐状外側面と外部リング側截頭円錐状内側面とに構成し、前記各セグメント側截頭円錐状外側面の一部と前記外部リング側截頭円錐状内側面の一部とには、互いに対向してセグメント側案内平坦面と外部リング側案内平坦面とを構成し、外部リングを上方から下方に降下移動させることで、外部リングを下型プレートの内側面と各セグメントとの間に嵌合すると共に外部リングが各セグメントを半径方向内方に押動して環状分割金型を閉じ、前記降下した外部リングを上方へ上昇移動させることで、外部リングが下型プレートの内側面と各セグメントとの間から抜け出ると共に各セグメントを半径方向外方に後退移動させて環状分割金型を開くように構成したことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のタイヤ加硫金型装置。
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