JP7064884B2 - 部品組付装置の較正方法 - Google Patents
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前記ワークの外形を模して、前記組付領域と同形状の基準領域を備えた基準点治具と、先端の平面形状が前記基準領域と同形状の棒状部を有する位置決め用治具と、前記棒状部の軸方向と交差する方向に突出するマーカー用治具とを用い、
前記制御部は、
前記カメラが撮影する前記視野領域内に直交座標系としてxy座標系を設定するとともに、前記末端効果器の水平方向への可動範囲内に直交座標系としてXY座標系を設定し、
前記カメラが撮影する前記固定位置に設置された基準点治具の前記基準領域の画像データを処理して当該基準領域の輪郭を抽出するとともに、当該輪郭を形成する座標領域に基づいてカメラ基準点のxy座標を設定するカメラ基準点設定ステップと、
前記棒状部の先端が鉛直下方を向くように、前記位置決め用治具が前記末端効果器に保持されている状態で、前記スカラロボットに対するティーチングにより、前記棒状部の先端を前記基準領域に位置合わせさせる位置合わせステップと、
前記位置合わせステップにより、前記棒状部の先端において前記カメラ基準点に相当するロボット基準点のXY座標を設定するロボット基準点設定ステップと、
前記カメラ基準点と前記ロボット基準点との対応関係を記憶する基準点記憶ステップと、
前記マーカー用治具が鉛直方向に対して交差する方向に突出するように前記末端効果器に保持されている状態で、前記スカラロボットに、前記マーカー用治具の先端が前記カメラの視野領域内でX軸に沿って所定の距離Dだけ直線移動させるマーカー移動ステップと、
前記カメラから出力された前記マーカー移動ステップの前後での画像データに基づいて特定される前記X軸の方向とx軸との交差角度を求めるとともに、前記所定の距離Dと前記カメラの撮影領域内における前記マーカー用治具の先端の移動距離dとの対応関係とを求める補正ステップと、
を実行し、
xy座標系を前記XY座標系に変換するための変換式を求める、
ことを特徴とする部品組付装置の較正方法としている。
前記位置決め用治具が前記末端効果器に保持されている状態で、前記基準点治具を、前記カメラ基準点を通る鉛直方向の軸周りに回転させて、異なる三つ以上の複数の回転状態で停止させ、
前記制御部は、前記複数の回転状態のそれぞれにおいて、前記位置合わせステップを実行するとともに、複数の前記位置合わせステップの実行機会毎に、前記末端効果器を水平面内で回転させる鉛直方向の軸のXY座標を記憶する回転軸座標記憶ステップと、
前記複数の位置合わせステップの実行機会にて記憶した前記軸のXY座標に基づいて、当該軸と前記末端効果器までのアーム長を計算するアーム長計算ステップと、
を実行して前記変換式を補正する、
ことを特徴としている。
本発明の実施例に係る方法で較正される部品組付装置は、スカラロボットとマシンビジョンを備えて、極めて小さな部品をワークの所定の組付位置に極めて高い精度で位置合わせした状態で組み付ける「高精度組み付け」を行うことができる。
次に、本装置1が扱う部品100とワーク200について説明する。図2に、本装置1による高精度組み付けの対象となる部品100とワーク200の概略を示した。図2(A)は部品10の外観図であり、図2(B)はワーク200の外観図である。図2(A)に示したように、部品100は、球形の第1部品101と五角柱状の第2部品102とで構成され、ともにゴムなどの弾性体からなる。そして、本装置1では、部品100をワーク200に組み付ける際、第1部品101と第2部品102とを互いに接触させた状態でスカラロボット10の末端効果器11に保持させる。具体的には、本装置1における末端効果器11は、対面する二本の指を離間、近接させるように水平方向に平行移動させて部品を摘まむ「グリッパー」であり、部品100は、その二本の指により、図2(A)において白抜き矢印方向で示した水平方向両側から把持されることで末端効果器11に保持される。そして、太線矢印で示した鉛直下方向に移動されたのち、その移動先に待機しているワーク200の所定の組付領域に組み付けられる。
実施例に係る較正方法では、従来の較正方法と同様に、スカラロボット10に対するティーチングと、マシンビジョンによる画像処理とを行って、スカラロボット10に設定された座標系とマシンビジョンに設定された座標系とを整合させている。しかし、実施例に係る較正方法では、ワーク200を模した治具やティーチングに際して末端効果器11に保持させる治具を用いるとともに、ティーチングの手順、およびマシンビジョンによるティーチング時にカメラ20が出力する画像データに対する処理の手順などの特徴を有している。それによって、本装置1が極めて高い精度で部品組み付け作業を行うことができるようになっている。以下では、まず、本装置1が備える、スカラロボット10、マシンビジョン、マシンビジョンに付帯するカメラ20以外のハードウエア構成、および高精度組み付けのための補助機構などについて説明し、その上で、上記治具の構成や較正方法の手順について説明する。
図3は本装置1が備えるスカラロボット10の概略構成図である。図3に示したスカラロボット10は、鉛直方向に回転軸を有する三つの回転関節(12、13、14)と、各回転関節間(12-13、13-14)に架け渡された二本のリンク(15、16)と、先端側に末端効果器11が取り付けられたアーム18と、このアーム18を上下方向に昇降させるための直動関節17とを備えている。そして、アーム18を下流側として、基端に向けて順次回転関節(14、13)とリンク(16,15)とを辿って最も上流側の回転関節12は、その回転軸112の位置が固定されている。スカラロボット10は、この最も上流にある回転軸112が固定されている点を原点Oxyzとしている。
上述したように、マシンビジョンは、カメラ20と制御部50に実装された画像処理プログラムを主体にして構成されている。カメラ20は撮像素子を備えたデジタルカメラであり、光学系を通して撮像素子に結像した画像を所定の形式の画像データに変換して制御部50に転送する。カメラ20は、本装置1がスカラロボット10により部品100の組み付け作業が開始されるのに先だって、カメラ駆動部30によって撮影位置まで移動される。なお、カメラ駆動部30は、本装置1の所定位置に設置されている。そして、カメラ駆動部30は、撮影位置において、カメラ20の視野領域の中心(レンズの光軸)が、設計上の組付孔206の開口中心を通るようにカメラ20を精密に移動させる。
本装置1は、弾性体からなる部品100をその部品100よりも狭小な組付孔206に挿入する。そこで、本装置1にて部品100を組み付ける際、末端効果器11における二本の指の互いに対面する側の面に潤滑油を塗布しておくとともに、組付孔206の内部に潤滑剤を充填させておく。それによって、部品100の表面と組付孔206の内壁との摩擦を軽減させている。しかし、潤滑油が満たされた組付孔206を可視光による照明下でカメラ20を用いて撮影すると、潤滑油の表面で可視光が反射してしまう。そのため、マシンビジョンが、画像処理によって組付孔206の開口部の輪郭を正確に検出することが難しくなる。
さらに、本装置1は、カメラ20での撮影時に、液体透過性に優れた近赤外線を被写体に向けて照射するための赤外線照明装置を備えている。図4に、赤外線照明装置21を含むカメラ20の光学系の一例を示した。カメラ20のレンズ22の光軸23は、鉛直方向であり、レンズ22は下方に開口している。それによって、カメラ20は、鉛直下方に載置されたワーク200の組付孔206とその周囲を視野領域として撮影する。そして、赤外線照明装置21の筐体24の内方には、下方に向けて赤外線を照射する多数の赤外線LED25が周囲に配置されている。図5に示した例では、筐体24はランプシェード状で下方が開放している。各赤外線LED25は、被写体となるワーク200の組付孔206に対し、上方外側から内側に向かって斜め下方方向に赤外線を照射するように筐体24の内方に保持されている。すなわち、液体透過性に優れた赤外線による照明光が、組付孔206の縁に斜めに照射される。それによって、カメラ20によって撮影される画像は、組付孔206の内方や周囲に潤滑油26が残存していても、組付孔206の開口の形状や輪郭が明確なものとなる。
ワーク固定部40は、組み付け作業に際し、ワーク200を本装置1の所定の設置位置に高精度で固定する。図5は、ワーク固定部40によってワーク200を固定した状態を示す概略図であり、ワーク200を、鉛直方向を含む面で切断したときの縦断面図に相当する。図5に示したように、ワーク固定部40は、ワーク200の下方に突出して縮径された円柱部202が挿入される孔41を有する台座42とワーク200の拡径された円柱部201を把持する図示しない機構とを備えている。また、ワーク200は、上方の円柱部201の下端の所定位置に孔209が形成されており、台座42には、その孔209に係合する凸部43が上方に突出して形成されている。そして、ワーク200がワーク固定部40により所定の設置位置に固定されると、ワーク200は、台座42に対して固定される。
マシンビジョンは、カメラ20の視野領域を二次元座標で認識する。制御部50は、マシンビジョンの座標系で記述された部品の組付位置の座標を、スカラロボット10側に設定されている水平面上の座標系で記述した座標に変換する。そして、本装置1は、部品100とワーク200の組付孔206との水平面内での位置合わせについては、以下で説明する較正方法によって極めて高い精度で制御できるようになっている。
<較正用治具>
実施例に係る本装置の較正方法では、種々の治具を用いる。本実施例では、ワーク200を模して組付孔206と同形状の孔(以下、基準孔とも言う)を備えた治具(以下、基準点治具とも言う)と、末端効果器11に保持させて使う治具(以下、位置決め用治具とも言う)とを用いる。
本実施例に係る較正方法では、マシンビジョンが認識するxy座標系を、スカラロボット10が認識するXY座標系に正確に変換する。それによって、本装置1は、個々のワーク200の外形寸法や組付孔206の寸法などに誤差がある場合でも、マシンビジョンが認識した組付孔206のxy座標から変換されたXY座標に基づいて末端効果器11を組付位置に正確に移動させることができる。そして、xy座標系をXY座標系に変換するために、まず、マシンビジョンに設定されるxy座標系における基準点(以下、カメラ基準点(x0,y0)とも言う)と、スカラロボット10に設定されるXY座標系における基準点(以下、ロボット基準点(X0,Y0)とも言う)とを共通化する。
上述したようにマシンビジョンとスカラロボット10の双方の基準点を共通化したならば、次に、マシンビジョンとスカラロボット10の双方の座標軸(x軸とX軸、y軸とY軸)の交差角度を補正するとともに、双方において認識する距離を整合させる。すなわち、マシンビジョンが認識したワーク200の組付位置にスカラロボット10の末端効果器11を正しく誘導する必要がある。そのためには、末端効果器11をロボット基準点(X0,Y0)に対し、どの方向に、どの程度の距離だけ移動させるのかをスカラロボット10に指示する必要がある。そこで、マシンビジョンの座標軸(x軸、y軸)とスカラロボット10の座標軸(X軸、Y軸)との交差角度を補正するとともに、双方の距離を整合させるスケーリングを行う。
以上の手順によって較正された本装置1にて部品組み付け作業を実施する際、制御部50が固定位置に設置されたワーク200をカメラ20に撮影させ、組付位置207の座標(x,y)を特定し、その組付位置207の座標(x,y)を制御部50に転送する。制御部50は、カメラ基準点(x0,y0)とその組付位置(x,y)との誤差に基づいて、スカラロボット10の末端効果器11をロボット基準点(X0,Y0)からどの方向にどれだけの距離だけ移動させればよいのかを計算し、末端効果器11の移動先のXY座標を特定する。また、リニアゲージ60のカーソル部61をワーク200において組付孔206が形成されている面に当接させて、カーソル部61の移動量ΔhからZ座標を特定する。そして、特定されたXYZ座標に末端効果器11を移動させ、部品100を組付孔206に挿入する。
上述したように、スカラロボット10は、末端効果器11の位置を特定するために、作動軸114と保持軸103との距離であるアーム長L3を用いている。そして、スカラロボット10は、ユーザー入力によってこのアーム長L3の設定値を変更できるようになっている。ところで、一般的なスカラロボット10は、様々な末端効果器11をユーザー側で交換可能に取り付けられるようになっている。しかし、末端効果器11を設計上の位置に全く誤差のない状態で取り付けることは極めて難しい。そのため、上記アーム長L3の誤差が要求される部品100の組付誤差を超えてしまう可能性がある。そこで、本実施例の補正方法には、アーム長L3の誤差を補正する手順も含まれている。以下に、そのアーム長L3の誤差を補正する手順について説明する。
上記実施例の方法によって較正される部品組付装置1における部品の組み付け動作の態様としては、ワーク200の組付孔206に部品100を挿入する態様に限らない。例えば、ワーク200の表面に設けられた所定の平面形状を有する組付領域に部品100を載置したり接着したりするような態様であってもよい。
20 カメラ、30 カメラ駆動部、40 ワーク固定部、50 制御部、
60 リニアゲージ、70 基準点治具、72 基準孔、73 基準位置、74a 上層円柱部、74b 下層円柱部、76 基準軸、80 位置決め用治具、82 芯金部、83 突起部、86 マーカー部、100 部品 101 第1部品、
102 第2部品、103 保持軸、112、113 回転軸、
114 回転軸(作動軸)、200 ワーク、206 組付孔、207 組付位置、
Oxy マシンビジョンの原点、OXY スカラロボットの原点
Claims (2)
- 末端効果器を備えたスカラロボットと、所定の視野領域を撮影して画像データを出力するカメラと、制御部とを備えて所定の固定位置に設置されたワークに設けられた組付領域に部品を組み付ける部品組付装置の較正方法であって、
前記ワークの外形を模して、前記組付領域と同形状の基準領域を備えた基準点治具と、先端の平面形状が前記基準領域と同形状の棒状部を有する位置決め用治具と、前記棒状部の軸方向と交差する方向に突出するマーカー用治具とを用い、
前記制御部は、
前記カメラが撮影する前記視野領域内に直交座標系としてxy座標系を設定するとともに、前記末端効果器の水平方向への可動範囲内に直交座標系としてXY座標系を設定し、
前記カメラが撮影する前記固定位置に設置された基準点治具の前記基準領域の画像データを処理して当該基準領域の輪郭を抽出するとともに、当該輪郭を形成する座標領域に基づいてカメラ基準点のxy座標を設定するカメラ基準点設定ステップと、
前記棒状部の先端が鉛直下方を向くように、前記位置決め用治具が前記末端効果器に保持されている状態で、前記スカラロボットに対するティーチングにより、前記棒状部の先端を前記基準領域に位置合わせさせる位置合わせステップと、
前記位置合わせステップにより、前記棒状部の先端において前記カメラ基準点に相当するロボット基準点のXY座標を設定するロボット基準点設定ステップと、
前記カメラ基準点と前記ロボット基準点との対応関係を記憶する基準点記憶ステップと、
前記マーカー用治具が鉛直方向に対して交差する方向に突出するように前記末端効果器に保持されている状態で、前記スカラロボットに、前記マーカー用治具の先端が前記カメラの視野領域内でX軸に沿って所定の距離Dだけ直線移動させるマーカー移動ステップと、
前記カメラから出力された前記マーカー移動ステップの前後での画像データに基づいて特定される前記X軸の方向とx軸との交差角度を求めるとともに、前記所定の距離Dと前記カメラの撮影領域内における前記マーカー用治具の先端の移動距離dとの対応関係とを求める補正ステップと、
を実行し、
xy座標系を前記XY座標系に変換するための変換式を求める、
ことを特徴とする部品組付装置の較正方法。 - 請求項1に記載の部品組付装置の較正方法において、
前記位置決め用治具が前記末端効果器に保持されている状態で、前記基準点治具を、前記カメラ基準点を通る鉛直方向の軸周りに回転させて、異なる三つ以上の複数の回転状態で停止させ、
前記制御部は、前記複数の回転状態のそれぞれにおいて、前記位置合わせステップを実行するとともに、複数の前記位置合わせステップの実行機会毎に、前記末端効果器を水平面内で回転させる鉛直方向の軸のXY座標を記憶する回転軸座標記憶ステップと、
前記複数の位置合わせステップの実行機会にて記憶した前記軸のXY座標に基づいて、当該軸と前記末端効果器までのアーム長を計算するアーム長計算ステップと、
を実行して前記変換式を補正する、
ことを特徴とする部品組付装置の較正方法。
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