JP7064674B2 - 切削工具及びこの切削工具を備えた切削装置 - Google Patents

切削工具及びこの切削工具を備えた切削装置 Download PDF

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Description

本発明は、被加工物に穴をあけると共に裏面と表面の面取りやバリ取り等の加工をスムーズに且つ正確に行うことができる切削工具、及びこの切削工具を備えた切削装置に関する。
従来、金属製の被加工物に孔あけ加工するために、ドリルやエンドミル等の切削工具が用いられている。また、これらの切削工具は、ボール盤やNC(Numerical Control)旋盤、マシニングセンタ等の切削装置に取り付けられて使用されている。これらの切削工具を用いて被加工物に孔あけするときには、被加工物の一方の面、例えば旋盤に載置された状態の表側の面から切削を行い、切削工具が被加工物の他方の面、例えば、裏側の面まで切削工具を貫通させることで行なわれる。また、貫通させた孔を広げるように切削することもある。
このとき、被加工物の裏面の孔から切削工具が突き抜ける際や、貫通させた孔を広げるように切削する際に、孔の周囲にバリができることがあるため、このバリを除去する必要がある。また、形成された穴の回りは、角が立っており、作業者や使用者が触れると怪我をしたり、他の部品が損傷したりするおそれがあるため、この角を滑らかにするように面取りが行われる。このように、孔あけ加工を行なう場合、被加工物の裏側の加工を行なうことが必要となるが、被加工物を一つ一つ裏返して再度加工することは手間がかかり、作業性が悪くなる。また、円筒等の被加工物は裏側から切削工具が入らず、加工は出来なかった。また、更に孔あけをするときの表面の穴の回りにはバリ、角が立つこともあった。したがって、被加工物に孔あけ加工を行う際には、ドリル等を被加工物の裏側の面まで貫通させる工程、貫通させた孔を所望の大きさまで広げる工程、表側の面のバリ取り又は面取りを行う工程、裏側の面のバリ取り又は面取りを行う工程がある。このため、複数の切削工具が必要となるが、各工程における工程において共通に利用できる切削工具を用いて、工具を交換する回数をできる限り少なくすることが望まれている。
下記特許文献1には、一本のドリルで孔あけ機能、孔拡大機能、孔の表面側の面取り機能、及び、孔の裏面側の面取り機能を有するドリルの発明が開示されている。このドリルの発明によれば、棒状ドリル及び錐形ドリルで被加工物に孔をあけ、さらに径大錐形ドリルで孔の径を拡大することができる。孔の表面側の面取りには径大錐形ドリルを用い、孔の裏面側の面取りは逆錐形ドリルを用いることができる。また、広げた孔の内面に沿うようにドリルを移動させながら、被加工物の孔の表面側に径大錐形ドリルを当てると同時に、被加工物の孔の裏面側に逆錐形ドリルを当てることにより、孔の表面側の面取り加工と孔の裏面側の面取り加工とを同時に行うことができる。
下記特許文献2には、一本のドリルで孔あけ機能、表面の面取り機能及び裏面の面取り機能を有する両面取りドリルの発明が開示されている。下記特許文献2に開示された両面取りドリルの発明では、シャンクと連接するドリルボディと、前記ドリルボディの先端部に切刃とを有し、且つ前記シャンクの一部分とドリルボディと切刃にかけ、且軸線と平行状に切欠する逃げ溝とを有し、前記切刃を構成する傾斜角度が90度前後の前方ドリル刃をドリルの先端から緩やかに傾斜するように形成し、前記前方ドリル刃の上方に外径刃を形成し、前記外径刃より前記ドリルボディにかけてやや急角度をもって傾斜する前記外径刃に対し45度前後の面取り刃を形成せしめた両面取りドリルにおいて、前記外径刃が、一方の逃げ溝から他方の逃げ溝にかけて、最初の幅員が極端に狭く漸次広くなるように形成されている。下記特許文献2に開示された両面取りドリルの発明によれば、前方ドリル刃と外径刃と共に、穴開け作業と、被切削物の面取り作業と、裏面の面取り作業及び側面部の面取り作業の4つの作業を同時に処理できる。
下記特許文献3には、1つの切削工具で孔の表面側の面取り又はバリ取り機能と孔の裏面側の面取り又はバリ取り機能とを有する切削工具の発明が開示されている。下記特許文献3の切削工具は、刃部の首部側には切削工具の回転方向に対して反対の向きにねじれた第1溝と、この第1溝に沿った刃部の外周側に第1切刃とからなる第1切削部を有し、かつ、刃部の先端側には切削工具の回転する方向にねじれた第2溝と、この第2溝に沿った刃部の外周側に第2切刃とからなる第2切削部を有している。この切削工具では、孔に刃部を貫通させ、第1切削部を孔の裏面側に当てることにより、第1切削部により孔の裏面側の面取り又はバリ取りを行う。この時、第1切削部は切削工具の回転方向に対して反対の向きにねじれた第1溝と、この第1溝に沿った刃部の外周側に第1切刃とを有しているため、切削した屑は孔の裏面側に排出される。一方、第2切削部を孔の表面側に当てることにより、第2切削部により孔の表面の面取り又はバリ取りを行う。この時、第2切削部は切削工具の回転する方向にねじれた第2溝と、この第2溝に沿った刃部の外周側に第2切刃とを有しているため、切削した屑は孔の表面側に排出される。これにより、表面のバリ取りを行う際には切削した屑を孔の表面側に排出することができ、裏面のバリ取りを行う際には切削した屑を孔の裏面側に排出することができるため、切削した屑が被加工物の孔から確実に排出され、被加工物の孔の表面側及び裏面側の面取りやバリ取りを円滑に行うことができる。
実公昭51-019268号公報 特開2000-288813号公報 特開2016-112634号公報
上記特許文献1に開示されたドリルの発明では、孔あけ、孔の拡大、孔の表面側及び裏面側の面取りが1つの切削工具で可能である。しかしながら、孔を拡大する工程では径大錐形ドリルを被加工物に対して垂直方向に移動させながら切削するため、孔の形状は平面視で円形状に限定されている。また、大きい錐形ドリル及び逆錐形ドリルの形状は錐形状であるため、孔の立体形状は錐形に限定されてしまい、孔の内径形状を滑らかな円筒形に加工することができない。さらに、径大錐形ドリルは孔の拡大と面取りに共通に使用されているが、孔の拡大のためには切刃をある程度荒引に設定する必要があり、一方、面取り仕上げに用いるためには切刃を仕上げ用に設定する必要がある。このため、共通に利用するためには大きい錐形ドリルの切刃の設定が難しく、両方に最適な設定は極めて困難である。
上記特許文献2に開示された両面取りドリルの発明では、孔あけと孔の表面側及び裏面側の面取りとが可能である。しかしながら、孔の径はドリルの直径に依存してしまい、1つの切削工具では1通りの径の穴しか開けることができない。また、ドリル部分でバリ取りを行うので、例えば削り過ぎが発生する恐れがあり、仕上げ加工には不向きである。さらに、孔の裏面側の面取りを行なう面取り刃はドリルの軸線に対して略垂直に形成されている。このように、略垂直に形成された面取り刃で面取りを行なうと、被加工物の加工を行なう部分に垂直にあてて切削を行なうため、切削する部分に直角方向から大きな力がかかり、被加工物を損傷するおそれがある。また、バリ取りに用いた場合、バリが取られる際に略真横に引っ張られ、新たなバリが発生するおそれもあるため、バリ取り加工を円滑に行うことができない。
上記特許文献3に開示された切削工具では孔の表面側及び裏面側の面取り又はバリ取り加工を円滑に行うことができるが、この切削工具では孔あけや孔を拡大する機能有していない。
本発明の目的は、孔あけ加工に必要な複数の機能、すなわち、孔あけ機能、孔拡大機能、孔の表面側の面取り又はバリ取り機能、及び、孔の裏面側の面取り又はバリ取り機能を1つの切削工具で実現すると共に、孔の内面形状を滑らかな円筒状にすることができる切削工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、面取り又はバリ取りを円滑に行うことができる切削工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、孔の拡大と、面取り又はバリ取りとを同時に行うことが可能な切削工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、孔の拡大を円滑に行うことが可能な切削工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記切削工具を備えた切削装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の切削工具は、ドリル機能のためのドリル切刃と、孔拡大機能のための孔拡大切刃と、表面バリ取り又は面取り機能のための表面用切刃と、裏面バリ取り又は面取り機能のための裏面用切刃と、が設けられた切削工具であって、前記切削工具の先端から順に、前記ドリル切刃、前記裏面用切刃、前記孔拡大切刃及び前記表面用切刃が備えられ、前記切削工具の回転方向に、削り屑を前記ドリル切刃側から前記表面用切刃側へ誘導するようにねじれた溝が、前記表面用切刃と前記孔拡大切刃と前記ドリル切刃とに沿って連続して一体に設けられ、前記切削工具の回転方向と逆方向に、削り屑を前記孔拡大切刃側から前記ドリル切刃側へ誘導するようにねじれた溝が、前記裏面用切刃に沿って設けられていることを特徴とする。
本発明の第2の態様の切削工具は、第1の態様の切削工具において、前記ドリル切刃と、前記表面用切刃とは共通であることを特徴とする。
本発明の第3の態様の切削工具は、第の態様の切削工具において、前記ドリル切刃と、
前記孔拡大切刃と、前記表面用切刃と、前記裏面用切刃と、は互いに独立した機能を有することを特徴とする。
本発明の第4の態様の切削工具は、第1の態様の切削工具において、前記ドリル切刃、前記裏面用切刃、前記孔拡大切刃及び前記表面用切刃はそれぞれ1個又は複数個設けられていることを特徴とする。
本発明の第5の態様の切削工具は、第1~4のいずれかの態様の切削工具において、前記ドリル切刃と、前記裏面用切刃との間に外径部がさらに設けられていることを特徴とする。
本発明の第の態様の切削工具は、第1~5のいずれかの態様の切削工具において、前記孔拡大切刃と、前記表面用切刃とは被加工物に同時に当てられるように配置されていることを特徴とする。
本発明の第の態様の切削工具は、第1~6のいずれかの態様の切削工具において、前記孔拡大切刃と、前記裏面用切刃とは被加工物に同時に当てられるように配置されていることを特徴とする。
本発明の第の態様の切削工具は、第1~7のいずれかの態様の切削工具において、前記孔拡大切刃と、前記表面用切刃と、前記裏面用切刃とは被加工物に同時に当てられるように配置されていることを特徴とする。
本発明の第の態様の切削工具は、第1~8のいずれかの態様の切削工具において、前記孔拡大切刃は荒引き切刃及び仕上切刃からなることを特徴とする。
本発明の第10の態様の切削装置は、第1~9のいずれかの態様の前記切削工具を備えたことを特徴とする。
本発明の第1の態様の切削工具によれば、孔あけ加工に必要な複数の機能、すなわち、孔あけ機能、孔拡大機能、孔の表面側の面取り又はバリ取り機能、及び、孔の裏面側の面取り又はバリ取り機能を1つの切削工具で実現すると共に、孔の内面形状を滑らかな円筒
状にすることができる切削工具を提供することができる。また、孔あけ機能、孔拡大機能、孔の表面側の面取り又はバリ取り機能、及び、孔の裏面側の面取り又はバリ取り機能を有する切刃を備えた切削工具を提供することができるとともに、切削工具を縦方向に移動させることにより各機能を選択することができる。さらに、切削工具の回転方向にねじれた溝は、表面用切刃と孔拡大切刃とドリル切刃とに沿って連続して一体に設けられているため、表面用切刃と孔拡大切刃とドリル切刃裏面用切刃とによって切削された屑が孔の表面側に排出されることにより、孔の切削加工を円滑に行うことができるとともに、裏面用切刃は、切削工具の回転方向と逆方向にねじれた溝に沿って設けられているため、切削した屑が孔の裏面側に排出されることにより、孔の裏面のバリ取り又は面取りを円滑に行うことができる。
本発明の第2の態様の切削工具によれば、ドリル切刃により、表面用切刃を共用することができる。
本発明の第3の態様の切削工具によれば、孔あけ機能、孔拡大機能、孔の表面側の面取り又はバリ取り機能、及び、孔の裏面側の面取り又はバリ取り機能の各機能のための独立した切刃を備えた切削工具を提供することができる。これにより、切削工具が各機能に専用の切刃を備えるため、各機能に対して最適な切刃を設定することができる。
本発明の第4の態様の切削工具によれば、孔あけ機能、孔拡大機能、孔の表面側の面取り又はバリ取り機能、及び、孔の裏面側の面取り又はバリ取り機能を有する切刃を備えた切削工具を提供することができる。また、各切刃の数は1個とすることも複数個とすることもできる。
本発明の第5の態様の切削工具によれば、ドリル切刃と裏面用切刃との間に外径部をさらに設けることにより、孔あけ加工をより円滑にすることができる。
本発明の第の態様の切削工具によれば、孔を拡大する加工と、表面バリ取り又は面取り加工とを同時に行うことができるため、加工の工数を省略できると共に、加工にかかる時間を短縮することができる。
本発明の第の態様の切削工具によれば、孔を拡大する加工と、裏面バリ取り又は面取り加工とを同時に行うことができるため、加工の工数を省略できると共に、加工にかかる時間を短縮することができる。
本発明の第の態様の切削工具によれば、孔を拡大する加工と、表面バリ取り又は面取り加工と、裏面バリ取り又は面取り加工とを同時に行うことができるため、加工の工数を省略できると共に、加工にかかる時間を短縮することができる。
本発明の第の態様の切削工具によれば、孔拡大切刃として、荒引き切刃及び仕上切刃を有するため、荒引き切刃により孔を拡大する加工を迅速に行うと共に、仕上切刃により孔の表面を滑らかに仕上げることが可能である。
本発明の第10の態様の切削装置によれば、前記切削工具の効果を奏する切削装置を提
供することができる。
切削工具の模式図である。 切削工具の斜視図である。 切削工具の側面図である。 切削工具の正面図である。 孔あけ加工の初期の状態を示す模式図である。 孔あけ加工の終了時の状態を示す模式図である。 孔拡大加工における荒引き工程を示す模式図である。 孔拡大加工における仕上げ工程を示す模式図である。 裏面バリ取り又は面取り加工を示す模式図である。 表面バリ取り又は面取り加工を示す模式図である。 孔拡大加工における荒引き工程と、裏面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を示す模式図である。 孔拡大加工における仕上げ工程と、表面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を示す模式図である。 孔拡大加工と、裏面バリ取り又は面取り加工と、表面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を示す模式図である。 ドリル部により表面バリ取り又は面取り加工を行う場合を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る切削工具を説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための切削工具を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る切削工具1について、図1~図10を参照して説明する。
まず、図1~図4を用いて、本発明の第1実施形態に係る切削工具1の構成について説明する。なお、図1は切削工具の模式図であり、図2は切削工具の斜視図であり、図3は切削工具の側面図であり、図4は切削工具の正面図である。
<切削工具1の形状>
本発明の実施形態に係る切削工具1は、被加工物に孔あけ加工、孔拡大加工、表面バリ取り加工、及び、裏面バリ取り加工を行うものである。被加工物の加工は、切削装置に切削工具1を取り付け、所定のプログラムにより自動で行なわれる。このような切削装置としては、NC旋盤やマシニングセンタ等があげられる。なお、このような切削装置は公知のものであるので、詳細な説明は省略する。
切削工具1は、先端から順に、ドリル部10、外径部15、裏面切削部20、荒引き切削部25、仕上げ切削部30、表面切削部35、及び、シャンク40が設けられ、金属製材料により一体に形成されている。シャンク40は切削装置のチャック装置に固定される部分であり、本実施形態では円筒形状であるが、例えば6角柱などの角柱形状でもよい。本実施形態ではシャンク40は表面切削部35の大径側の端部に直接接続されているが、本発明ではこれに限定されず、切削工具の切刃部が小径の場合には、例えば、表面切削部35の大径側の端部側から、テーパー状に徐々に太くなるようなテーパー部を介して大径のシャンク40に接続されるような構成としてもよい。
ドリル部10は先端側が鋭い突起となるような略円錐形状であり、被加工物に所定の径の孔をあけるために用いられる。ドリル部10の上方(以下、切削工具1について、シャンク40側を「上方」、ドリル部10の先端側を「下方」という。)の径は、被加工物にあけられる孔の径と略一致している。ドリル部10には、複数本のドリル溝12が切削工具1の回転方向にねじれて形成されている。ドリル溝12は、本実施形態では、右回転の切削装置を例として説明するので、切削工具1の回転方向は右回転であり、ドリル溝12がねじれる方向は右方向である。なお、左回転の切削装置を用いる場合には、ドリル溝12がねじれる方向は左方向とする。また、本実施例では、ドリル溝12が3個設けられている例を示すが、本発明ではドリル溝12の個数は3個に限定されるものではなく、1個であっても、3個以外の複数個、例えば2個、4個、5個、6個等であってもよい。各ドリル溝12の回転方向と反対側にはドリル溝に沿うようにドリル切刃11(図2~図4を参照)が設けられている。したがって、ドリル切刃11もドリル溝12と同様に切削工具の回転方向にねじれている。
図3に示されるように、各ドリル溝12は、外径溝17、荒引き切削溝27、仕上げ切削溝32及び表面切削溝37と連続的に形成されており、それぞれ全体として1個の切削溝28を構成している。切削溝28は切削工具1の回転方向にねじれるように、かつ、ドリル溝12と同じ個数だけ形成されている。ドリル切刃11及びドリル溝12が切削工具の回転方向にねじれており、また、ドリル溝12と連続して形成されている切削溝28も切削工具1の回転方向にねじれている。このため、ドリル切刃11による被加工物の削り屑は、被加工物の表面側(図1の上方、ドリル部10からシャンク40へ向かう方向。)に排出されるため、円滑に孔あけ加工を行うことができる。
ドリル溝12の回転方向側には、ドリル溝12に沿うように、切削工具1の回転方向にねじれたドリル連絡溝13が形成されている。ドリル連絡溝13は、切削工具1の回転方向と反対側及び上方で切削溝28に接続されていると共に、上方では連絡溝29に接続されている。連絡溝29は、切削溝28に対して切削工具1の回転方向に形成されると共に、切削溝28に沿うように形成されている。連絡溝29も、切削溝28と同様に、切削工具1の回転方向にねじれている。ドリル切刃11による被加工物の削り屑は、切削溝28を通って、あるいは、一旦ドリル連絡溝13を介してた後、切削溝28又は連絡溝29を通って、上方に排出される。
ドリル部10を側方から見ると、図1に示されているように略二等辺三角形となり、この二等辺三角形においてドリル部10の先端である頂点を挟む2つの辺がなす角度θは、本実施形態では略90度とされているが、本発明ではこれに限定されることなく、θの角度は例えば30度~150度の間、好ましくは、60度~120度の間で適宜決定することができる。また、前記二等辺三角形においてドリル部10の先端である頂点を挟む2つの辺の一方が切削工具1の軸線となす角θは、θに応じて決定され、本実施形態ではθが略90であるので、θは略45度である。
本実施形態では、ドリル連絡溝13を形成したものを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明にはドリル連絡溝13をドリル溝12で兼用したものや、ドリル連絡溝の全部または一部を省略したものも含まれる。
ドリル部10の上方には、薄い円筒状、あるいは、円板状で、ドリル部10の上方の径と一致している外径部15が設けられている。外径部15の外周は、ドリル部10があけた穴の内周に摺接するように、滑らかな円弧状となっており、切刃は設けられていない。外径部15には各ドリル溝12から連続してドリル溝12と同じ本数だけ外径溝17が設けられている。なお、本実施形態では、外径部15には切刃は設けられていないが、必要に応じて、各外径溝17の切削工具の回転方向と反対側に、各外径溝17に沿うように外径切刃を形成してもよい。各外径溝17は切削溝28に連続して一体に形成されている。ドリル連絡溝13は、外径部15の上方まで伸び、その上方で切削溝28及び連絡溝29に接続されている(図3参照)。
各外径溝17はドリル溝12から連続して、回転方向にねじれて設けられており、さらに、切削溝28及び連絡溝29もまた回転方向にねじれているため、ドリル切刃11によって削り取られた被加工物の削り屑は、被加工物の表面側、すなわち、上方に排出される。すなわち、ドリル切刃11によって削り取られた被加工物の削り屑は、切削溝28を通って、あるいは、一旦ドリル連絡溝13を介した後、切削溝28又は連絡溝29を通って、上方に排出される。
本実施形態では、外径部15を設けた例を説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、外径部15を設けずにドリル部10の上方に直接裏面切削部20を形成するもの等も含む。外径部15が設けられていない場合でも、ドリル部10により、ドリル部10の上方の径に対応した所定の径の孔をあけることができる。
外径部15の上方には略逆円錐台形状の裏面切削部20が設けられている。裏面切削部20は、被加工物の孔の裏面側のバリ取り又は面取りを行うために用いられる。裏面切削部20の下方の径は、外径部15の径と等しく設定されている。裏面切削部には複数の裏面切削溝22が形成されている。裏面切削溝の個数はドリル溝12の数と一致しており、本実施形態では3個である。各裏面切削溝22は切削工具1の回転方向と逆方向にねじれている(図2及び図3を参照)。各裏面切削溝22の切削工具1の回転方向と反対側には、各裏面切削溝22に沿うように裏面用切刃21(図3を参照)が形成されている。被加工物の孔の裏面に裏面切削部20を当てて被加工物の孔の裏面のバリ取り又は面取りを行う際に、裏面切削溝22及び裏面用切刃21は切削工具1の回転方向とは逆方向にねじれているために、裏面用切刃21で削り取られた被加工物の削り屑は、被加工物の裏面側、すなわち、下方に排出される。これにより、被加工物の孔の裏面側のバリ取り又は面取りを円滑に行うことができる。
本実施例では外径部15を設けた例で説明したが、外径部15を設けない場合には、ドリル部10の上方に直接裏面切削部20を形成する。この場合、ドリル部10の上方の径と、裏面切削部20の下方の径とは一致している。
裏面切削部20を側方から見ると、図1に示されているように略等脚台形となり、この等脚台形の対向する傾斜する辺の一方と、切削工具1の軸心とのなす角θは、本実施形態では略45度であるが、本発明ではこれに限定されず、例えばθは30度~60度の間で適宜決定される。
裏面切削部20の上方には略円筒形状の荒引き切削部25が設けられている。荒引き切削部25は、ドリル部10であけた孔を拡大する加工に用いられる。荒引き切削部25は略円筒状であり、荒引き切削部25の径は裏面切削部20の上方の径と一致している。荒引き切削部25には複数の荒引き切削溝27が形成されている。荒引き切削溝27の個数はドリル溝の数と一致している。各荒引き切削溝27は切削溝28と一体に形成されている。すなわち、各荒引き切削溝27は下方において外径溝17を介してドリル溝12と一体に形成され、また、各荒引き切削溝27は、上方において仕上げ切削溝32及び表面切削溝37と連続して一体に設けられていると共に、切削工具1の回転方向にねじれている。また、各荒引き切削溝27における切削工具1の回転方向側には、荒引き切削溝27に沿うように、切削工具1の回転方向にねじれている連絡溝29(図3を参照)が形成されている。
各荒引き切削溝27の切削工具1の回転方向と反対方向には、荒引き切削溝27に沿うように荒引き切刃26(図2及び図3を参照)が形成されている。荒引き切削溝27及び荒引き切刃26は切削工具1の回転方向にねじれているため、荒引き切刃26によって削り取られた被加工物の削り屑は、被加工物の表面側、すなわち、上方へ排出されることにより、孔を拡大する荒引き加工を円滑に行うことができる。荒引き切刃26によって削り取られた被加工物の削り屑は、切削溝28を通って、あるいは、切削溝28に沿って形成されている連絡溝29を通って、上方へ排出される。また、荒引き切刃26は荒めに設定されているため、孔を拡大する加工を迅速に行うことができる。
荒引き切削部25の上方には、仕上げ切削部30が設けられている。仕上げ切削部30はドリル部10であけた孔を荒引き切削部25で拡大した後に、孔の内面を滑らかに仕上げる加工に用いられる。仕上げ切削部30は略円筒状であり、仕上げ切削部30の径は、荒引き切削部25の径と略同一である。仕上げ切削部30には複数の仕上げ切削溝が設けられている。各仕上げ切削溝は切削工具1の回転方向にねじれて、切削溝28と連続して一体に形成されている。すなわち、各仕上げ切削溝32の下方には荒引き切削溝27が連続して形成され、上方には表面切削溝37が連続して形成されており、全体として連続した切削溝28を構成している。仕上げ切削溝32の個数は、荒引き切削溝27及び表面切削溝37の個数と一致しており、本実施形態では3個である。各仕上げ切削溝32に対して切削工具1の回転方向側には、各仕上げ切削溝32に沿うように連絡溝29(図3を参照)が設けられており、切削溝28及び連絡溝29は、切削工具1の回転方向にねじれるように形成されている。
仕上げ切削溝32に対して切削工具1の反対方向には、仕上げ切削溝32に沿うように仕上げ切刃31(図2及び図3を参照)が形成されている。仕上げ切削溝32及び仕上げ切刃31は切削工具1の回転方向にねじれて形成されているため、仕上げ切刃31で削り取られた被加工物の削り屑は、被加工物の表面側、すなわち、上方に排出されることにより、孔の内面を滑らかにする仕上げる加工が円滑に行える。仕上げ切刃31で削り取られた被加工物の削り屑は、切削溝28を通って、あるいは、切削溝28に沿って形成されている連絡溝29を通って、上方へ排出される。また、仕上げ切刃31は、孔の内面を滑らかに仕上げられるように、細かい切刃となるように設定されている。
仕上げ切刃31の上方には、表面切削部35が設けられている。表面切削部35は、被加工物の孔の表面側のバリ取り又は面取り加工をするために用いられる。表面切削部35は略円錐台形状に形成されている。表面切削部35の下方の径は略円筒状の仕上げ切削部30の径と略同一である。表面切削部35には、複数の表面切削溝37が設けられている。各表面切削溝は、切削工具1の回転方向にねじれており、下方において仕上げ切削溝32に連続しており、切削溝28として連続して一体に形成されている。表面切削溝37に対して切削工具1の回転方向側には、表面切削溝37に沿うように連絡溝29(図3を参照)が形成さており、切削溝28及び連絡溝29は、切削工具1の回転方向にねじれるように形成されている。
表面切削溝37に対する切削工具1の回転方向と反対側には、表面切削溝37に沿うように表面用切刃36が設けられている。表面切削溝37及び表面用切刃36は、切削工具1の回転方向にねじれているため、表面用切刃36で削り取った被加工物の削り屑は、被加工物の表面側、すなわち、上方へ排出されることにより、被加工物の孔の表面側のバリ取り又は面取り加工を円滑に行うことができる。表面用切刃36で削り取った被加工物の削り屑は、切削溝28を通って、あるいは、切削溝28に沿って形成されている連絡溝29を通って、上方へ排出される。
表面切削部35を側方から見ると、図1に示されているように略等脚台形となり、この等脚台形の対向する傾斜する辺の一方と、切削工具1の軸心とのなす角θは、本実施形態では略45度であるが、本発明ではこれに限定されず、例えばθは30度~60度の間で適宜決定される。
表面切削部35の上方にはシャンク40が設けられている。本実施形態では表面切削部35の上方の径はシャンク40の径と一致している。ただし、表面切削部35の上方から、テーパー状に徐々に太くなるようなテーパー部を介して大径のシャンク40に接続されるような構成としてもよい。
本実施形態では、切削溝28に沿うように連絡溝29を形成したものを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明には連絡溝29を切削溝28で兼用したものや、連絡溝29の全部または一部を省略したものも含まれる。また、本実施形態では、荒引き切削部25の上方に仕上げ切削部30を形成した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は仕上げ切削部30の上方に荒引き切削部25を設けたものを含む。
<加工の手順>
図5~図10を参照して、切削工具1を用いた被加工物に対して孔をあけ、孔を拡大し、孔の表面側及び裏面側のバリ取り又は面取りを行う加工について説明する。
(1)まず被加工物45に対して孔をあける工程を説明する。図5に示したように、ドリル部10の先端を被加工物45の表面46に当てて、切削工具1を下方へ押し下げていくと、ドリル切刃11によって、被加工物45に孔をあけていくことができる。被加工物45の表面46から切削工具1をさらに下方へ押し下げていくと、被加工物45にはドリル部10の上方の径に応じた径の円筒状の孔があけられていき、その孔の内周には外径部15の外周が摺接する。図6には、ドリル部10が被加工物45を完全に貫通したところを示している。なお、外径部15が設けられていない場合でも、ドリル部10のドリル切刃11によって、ドリル部10の上方の径に応じた円筒状の孔があけられる。
ドリル溝12から連続的に設けられた切削溝28、ドリル連絡溝13、及び、連絡溝29が切削工具1の回転方向にねじれて形成されていることにより、被加工物45を削ったときに発生する削りかすは孔の表面側、すなわち、上方に排出される。このために、ドリル切刃11により被加工物45に孔48をあける加工を円滑に行うことができる。
(2)次に、孔48を荒引き切削部25の荒引き切刃26(図1~3参照)により拡大していく工程を説明する。図7に示すように、上記(1)であけられた被加工物45の円筒状の孔48の内周に沿って平面視で円周を描くように、荒引き切削部25を被加工物45の円筒状の孔48の内周に押し当てていくことにより、孔48を拡大していく。荒引き切刃26は荒めに設定されているため、孔を拡大する加工を迅速に行うことができる。
荒引き切削溝27と連続的に設けられた切削溝28、及び、連絡溝29が切削工具1の回転方向にねじれて形成されていることにより、荒引き切刃26により被加工物45を削ったときに発生する削り屑は孔の表面側、すなわち、上方に排出される。このために、荒引き切刃26により被加工物45の孔48を拡大する加工を円滑に行うことができる。
(3)次に、拡大した孔48を仕上げ切削部30の仕上げ切刃31(図1~3参照)により滑らかに仕上げていく工程を説明する。図8に示すように、上記(2)で拡大された被加工物45の円筒状の孔48の内周に沿って平面視で円周を描くように、仕上げ切削部30の仕上げ切刃31を被加工物45の円筒状の孔48の内周に押し当てていくことにより、孔48の内周を滑らかに仕上げていく。仕上げ切刃31は、細かい切刃となるように設定されているため、孔の内面を滑らかに仕上げられる。
仕上げ切削溝32と連続的に設けられた切削溝28、及び、連絡溝29が切削工具1の回転方向にねじれて形成されていることにより、仕上げ切刃31により被加工物45を削ったときに発生する削り屑は孔の表面側、すなわち、上方に排出される。このために、仕上げ切刃31により被加工物45の孔48の内周面を滑らかに仕上げる加工を円滑に行うことができる。
(4)次に、孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程を説明する。図9に示すように、上記(3)で内周面が滑らかに加工された円筒状の孔48の裏面側の内周に沿って平面視で円周を描くように、裏面切削部20の裏面用切刃21(図1,3参照)を被加工物45の円筒状の孔48の裏面側の内周側かつ下方から押し当てることにより、孔48の裏面側の内周のバリ取り又は面取り加工をすることができる。裏面切削部20の傾斜角度θは適切に、例えば45度に設定されており、また、裏面用切刃21はバリ取り又は面取りに適した細かさに設定されているため、孔の裏面側のバリ取り又は面取りを適切に行うことができる。
裏面切削部20には、切削工具1の回転方向と反対の方向にねじれた裏面切削溝22が形成されているため、裏面用切刃21により被加工物45を削ったときに発生する削り屑は孔の裏面側、すなわち、下方に排出される。このために、裏面用切刃21により被加工物45の裏面47側のバリ取り又は面取り加工を円滑に行うことができる。
(5)次に、孔48の表面46をバリ取り又は面取りする工程を説明する。図10に示すように、上記(3)で内周面が滑らかに加工された円筒状の孔48の表面側の内周に沿って平面視で円周を描くように、表面切削部35の表面用切刃36(図1~3参照)を被加工物45の円筒状の孔48の表面側の内周側かつ上方から押し当てることにより、孔48の表面側の内周のバリ取り又は面取り加工をすることができる。表面切削部35の傾斜角度θは適切に、例えば45度に設定されており、また、表面用切刃36はバリ取り又は面取りに適した細かさに設定されているため、孔の表面側のバリ取り又は面取りを適切に行うことができる。
表面切削部35には、切削工具1の回転方向にねじれた表面切削溝37が切削溝28と連続して形成されており、また、連絡溝29も切削工具1の回転方向にねじれて設けられているため、表面用切刃36により被加工物45を削ったときに発生する削り屑は孔の表面側、すなわち、上方に排出される。このために、表面用切刃36により被加工物45の表面46側のバリ取り又は面取り加工を円滑に行うことができる。
本実施形態では、上記(4)の孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程の次に、上記(5)の孔48の表面46をバリ取り又は面取りする工程を行う例を説明したが、本発明ではこれに限定されず、上記(5)の工程の次に上記(4)の工程を行うようにしてもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る切削工具1による加工の手順について、図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は孔拡大加工における荒引き工程と、裏面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を示す模式図である。図1~図10に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。
第2実施形態に係る加工の手順では、上記(2)の孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程、及び、上記(4)の孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程を同時に行う点で第1実施形態に係る加工の手順と異なる。
図11に示すように、上記(2)の孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程において、被加工物45の円筒状の孔48の内周に沿って平面視で円周を描くように、荒引き切削部25を被加工物45の円筒状の孔48の内周に押し当てるのと同時に、被加工物45の孔48の裏面47側に裏面切削部20の裏面用切刃21(図1,3参照)が当たる位置に切削工具1を配置させることにより、上記(2)の孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程、及び、上記(4)の孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程を同時に行うことができる。
荒引き切削溝27と連続的に設けられた切削溝28、及び、連絡溝29が切削工具1の回転方向にねじれて形成されていることにより、荒引き切刃26により被加工物45を削ったときに発生する削り屑は孔の表面側、すなわち、上方に排出される。一方、裏面切削部20には、切削工具1の回転方向と反対の方向にねじれた裏面切削溝22が形成されているため、裏面用切刃21により被加工物45を削ったときに発生する削り屑は孔の裏面側、すなわち、下方に排出される。これにより、上記(2)の孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程、及び、上記(4)の孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程を同時に行う場合にも、両方の加工を円滑に行うことができる。
第2実施形態においては、上記(2)の孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程、及び、上記(4)の孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程を同時に行った後に、拡大した孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げることになるが、孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げる工程においてバリが発生した場合には、再度、孔48の裏面側に裏面用切刃21を当てることによりバリ取り又は面取り加工を行うことができる。なお、仕上げ切削部30の上方に荒引き切削部25が設けられている場合には、拡大した孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げていく工程、及び、孔48の裏面をバリ取り又は面取りする工程とを同時に行うことができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る切削工具1による加工の手順について、図12を参照して説明する。なお、図12は、孔拡大加工における仕上げ工程と、表面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を示す模式図である。図1~図11に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。
第3実施形態に係る加工の手順では、上記(3)の拡大した孔48を仕上げ切削部30の仕上げ切刃31(図1~3)により滑らかに仕上げていく工程、及び、上記(5)の孔48の表面46をバリ取り又は面取りする工程を同時に行う点で、第1実施形態に係る加工の手順と異なる。
図12に示すように、上記(3)の拡大した孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げていく工程において、被加工物45の円筒状の孔48の内周に沿って平面視で円周を描くように、仕上げ切刃31を被加工物45の円筒状の孔48の内周に押し当てるのと同時に、被加工物45の孔48の表面46側に表面切削部35の表面用切刃36(図1~3参照)が当たる位置に切削工具1を配置させることにより、上記(3)の拡大した孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げていく工程、及び、上記(5)の孔48の表面46をバリ取り又は面取りする工程を同時に行うことができる。
仕上げ切削溝32及び表面切削溝37と連続的に設けられた切削溝28、及び、連絡溝29が切削工具1の回転方向にねじれて形成されていることにより、仕上げ切刃31により被加工物45を削ったときに発生する削り屑、及び、表面用切刃36により被加工物45を削った時に発生する削り屑は、孔48の表面側、すなわち、上方に排出される。これにより、上記(3)の拡大した孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げていく工程、及び、上記(5)の孔48の表面46をバリ取り又は面取りする工程を同時に行う場合にも、両方の加工を円滑に行うことができる。
仕上げ切削部30の上方に荒引き切削部25が設けられている場合には、孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程、及び、孔48の表面をバリ取り又は面取りする工程を同時に行うことができる。この場合、孔48を荒引き切刃26により拡大していく工程、及び、孔48の表面をバリ取り又は面取りする工程を同時に行った後に、拡大した孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げることになるが、孔48を仕上げ切刃31により滑らかに仕上げる工程においてバリが発生した場合には、再度、孔48の表面側に表面用切刃36を当てることによりバリ取り又は面取り加工を行うことができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る切削工具1Aによる加工の手順について、図13を参照して説明する。なお、図13は、孔拡大加工と、裏面バリ取り又は面取り加工と、表面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を示す模式図である。図1~図12に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。
第4実施形態に係る加工の手順では、孔58を拡大していく工程と、裏面バリ取り又は面取り加工と、表面バリ取り又は面取り加工とを同時に行う場合を点で、第1実施形態に係る加工の手順と異なる。第4実施形態では、荒引き切削部25と仕上げ切削部30との区別はなく、図示しない孔拡大切刃が形成されている孔拡大切削部50が設けられている。
孔拡大切削部50の長さ寸法(切削工具1の軸心方向の長さ寸法)は、被加工物55の厚みと略一致するように設定されている。このため、孔拡大切削部50を被加工物に55の孔58の内周面に当てると、同時に、被加工物55の孔の裏面57側には裏面切削部20の裏面用切刃21(図1,3参照)が当たると共に、被加工物55の孔の表面56側には表面切削部35の表面用切刃36(図1~3参照)が当たることになる。したがって、第4実施形態では、孔拡大切削部50による孔58の拡大と、裏面用切刃21による孔58の裏面57側のバリ取り又は面取りと、表面用切刃36による孔58の表面56側のバリ取り又は面取りとを同時に行うことができる。孔拡大切削部50には、図示されない孔拡大切削溝及び孔拡大切刃が設けられている。孔拡大切削溝はドリル溝及び表面切削溝37と連続的に一体に設けられており、切削工具1Aの回転方向にねじれている。
孔拡大切削部50の長さ寸法は、被加工物55の厚みと等しいか、あるいは、被加工物55の厚みよりも僅かに短い寸法に設定されている。孔拡大切削部50の長さ寸法が、被加工物55の厚みと等しい場合には、裏面用切刃21による孔58の裏面57側のバリ取りと、表面用切刃36による孔58の表面56側のバリ取りとを、孔拡大切削部50による孔58の拡大と、同時に行うことができる。孔拡大切削部50の長さ寸法が、被加工物55の厚みよりも僅かに短い寸法に設定されている場合には、被加工物55の厚みよりも僅かに短い寸法に対応した分の面取り、すなわち、裏面用切刃21による孔58の裏面57側の面取りと、表面用切刃36による孔58の表面56側の面取りとを、孔拡大切削部50による孔58の拡大と、同時に行うことができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る切削工具1Bによる加工の手順について、図14を参照して説明する。なお、図14は、ドリル部により表面バリ取り又は面取り加工を行う場合を示す模式図である。図1~図13に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。
第5実施形態に係る加工の手順では、ドリル部10を用いて被加工物45の孔48の表面46側のバリ取り又は面取りを行う点で、第1実施形態に係る加工の手順と異なる。被加工物45の孔48の表面46側のバリ取り又は面取りを行う際には、切削工具1Bを回転させた状態で、被加工物の孔48の上方かつ孔48の内周面側からドリル部10のドリル切刃11を押し当てて、ドリル部10が孔の内周に沿うように切削工具1Bを移動させる。
第5実施形態では、ドリル部10を用いて被加工物45の孔48の表面46側のバリ取り又は面取りを行うため、ドリル部10によりドリル機能と、表面バリ取り又は面取り機能とに共用することができ、別途の表面切削部35を設ける必要がなく、切削工具1の構造を簡略化することができる。また、ドリル溝12に連続して形成されている切削溝28、ドリル連絡溝13及び連絡溝29は、切削工具1Bの回転方向にねじれているため、ドリル部10のドリル切刃11によって削られた被加工物45の削り屑は、被加工物の表面側、すなわち、上方側に排出される。このため、ドリル切刃11による被加工物45の表面46のバリ取り又は面取り加工を円滑に行うことができる。
1、1A、1B…切削工具 10…ドリル部 11…ドリル切刃
12…ドリル溝 13…ドリル連絡溝 15…外径部
17…外径溝 20…裏面切削部 21…裏面用切刃
22…裏面切削溝 25…荒引き切削部 26…荒引き切刃
27…荒引き切削溝 28…切削溝 29…連絡溝
30…仕上げ切削部 31…仕上げ切刃 32…仕上げ切削溝
35…表面切削部 36…表面用切刃 37…表面切削溝
40…シャンク 45…被加工物 46…表面
47…裏面 48…孔 50…孔拡大切削部
55…被加工物 56…表面 57…裏面
58…孔

Claims (10)

  1. ドリル機能のためのドリル切刃と、
    孔拡大機能のための孔拡大切刃と、
    表面バリ取り又は面取り機能のための表面用切刃と、
    裏面バリ取り又は面取り機能のための裏面用切刃と、
    が設けられた切削工具であって、
    前記切削工具の先端から順に、前記ドリル切刃、前記裏面用切刃、前記孔拡大切刃及び前記表面用切刃が備えられ、
    前記切削工具の回転方向に、削り屑を前記ドリル切刃側から前記表面用切刃側へ誘導するようにねじれた溝が、前記表面用切刃と前記孔拡大切刃と前記ドリル切刃とに沿って連続して一体に設けられ、
    前記切削工具の回転方向と逆方向に、削り屑を前記孔拡大切刃側から前記ドリル切刃側へ誘導するようにねじれた溝が、前記裏面用切刃に沿って設けられていることを特徴とする切削工具。
  2. 前記ドリル切刃と、前記表面用切刃とは共通であることを特徴とする請求項に記載の切削工具。
  3. 前記ドリル切刃と、
    前記孔拡大切刃と、
    前記表面用切刃と、
    前記裏面用切刃と、
    は互いに独立した機能を有することを特徴とする請求項に記載の切削工具。
  4. 前記ドリル切刃、前記裏面用切刃、前記孔拡大切刃及び前記表面用切刃はそれぞれ1個又は複数個設けられていることを特徴とする請求項に記載の切削工具。
  5. 前記ドリル切刃と、前記裏面用切刃との間に外径部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の切削工具。
  6. 前記孔拡大切刃と、前記表面用切刃とは被加工物に同時に当てられるように配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の切削工具。
  7. 前記孔拡大切刃と、前記裏面用切刃とは被加工物に同時に当てられるように配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の切削工具。
  8. 前記孔拡大切刃と、前記表面用切刃と、前記裏面用切刃とは被加工物に同時に当てられるように配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の切削工具。
  9. 前記孔拡大切刃は荒引き切刃及び仕上切刃からなることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の切削工具。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の前記切削工具を備えたことを特徴とする切削装置。
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