JP7064394B2 - 脱陽イオン水の導電率の測定システム及び測定方法 - Google Patents

脱陽イオン水の導電率の測定システム及び測定方法 Download PDF

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Description

本発明は脱陽イオン水の導電率の測定システム及び測定方法に関し、特に火力発電所における復水の導電率の測定システムに関する。
火力発電所では、ボイラで生成された高温高圧の水蒸気が蒸気タービンに導入され、蒸気タービンから排出された排蒸気が復水器で凝縮されて復水となり、復水がボイラに給水として供給されるという水循環が行われている。復水中には腐食生成物などの不純物が蓄積するため、火力発電所には定常運転時に復水からこれらの不純物を除去する復水脱塩装置が設置されている。復水器が海水冷却方式である場合、復水脱塩装置は復水に混入する可能性のある海水に含まれる塩化ナトリウム等を一定時間にわたり捕捉して復水系を保護する機能も有している。しかし、一定量を上回る量の海水が流入すると復水脱塩装置の運転許容範囲を超えるため、火力発電所には、復水中の海水成分を検出することを目的として導電率計が設けられている。
一方、火力発電所においては復水系の配管等の腐食を抑制するため、復水にアンモニア等のpH調整剤を添加し、復水をアルカリ性にする運用が行われている。このため、復水は比抵抗が低く導電率が高い状態にあり、微量の海水が復水系に混入しても比抵抗ないし導電率の変化が少ない。従って、導電率計で海水の混入を精度よく検知することが難しい。この課題を解決するため、アンモニア等の陽イオンを予め電気式脱陽イオン装置で除去し、導電率の低下した復水を導電率計に供給する方法がとられることがある(特許文献1,2)。この方法によれば、海水に由来する陰イオンの検出精度が高められ、海水の混入を精度よく検知することができる。
特許第4671272号公報 特許第3704289号公報
火力発電所では、負荷の変動に対応するため日間起動停止(DSS)、週末起動停止(WSS)等の運用が行われ、頻繁に起動停止が繰り返されることがある。火力発電所の運転中は電気式脱陽イオン装置も稼動状態にあるが、運転が停止すると電気式脱陽イオン装置の運転も停止する。電気式脱陽イオン装置は停止中には電圧が印加されないため、電気式脱陽イオン装置の脱塩室内に滞留する復水中の陽イオンが脱塩室内で拡散する。このため、電気式脱陽イオン装置の起動後しばらくの間は、通常より多い陽イオンを含む復水が電気式脱陽イオン装置から排出する可能性がある。その場合、導電率計には導電率の高い復水が供給されることとなり、海水に由来する陰イオンを正確に検出できなくなる。この状態は一定時間の経過後解消されるが、導電率計は測定可能な状態となるまでしばらく待機する必要がある。
本発明は、電気式脱陽イオン装置が起動されてから導電率計での導電率の測定が可能な状態となるまでの時間を短縮することが可能な脱陽イオン水の導電率の測定システム及び測定方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、脱陽イオン水の導電率の測定システムは、陽イオンと陰イオンとを含む火力発電所の復水に対して脱陽イオン処理を行う電気式脱陽イオン装置と、電気式脱陽イオン装置の下流に設けられ、電気式脱陽イオン装置の出口水に対して脱陽イオン処理を行う第1の脱陽イオン装置と、第1の脱陽イオン装置の下流に設けられ、少なくとも第1の脱陽イオン装置で処理された水の導電率を測定する導電率計と、第1の脱陽イオン装置と導電率計との間に設けられた第2の脱陽イオン装置と、第1の脱陽イオン装置と第2の脱陽イオン装置との間に設けられ、第1の脱陽イオン装置の脱陽イオン性能を測定する測定手段と、を有する。
本発明の一態様によれば、脱陽イオン水の導電率の測定方法は、陽イオンと陰イオンとを含む火力発電所の復水に対して電気式脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行った後、電気式脱陽イオン装置に復水が充填された状態で、電気式脱陽イオン装置への通電を停止することと、電気式脱陽イオン装置への通電を再開し、電気式脱陽イオン装置の出口水に対して、電気式脱陽イオン装置の下流に設けられた第1の脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行うことと、少なくとも第1の脱陽イオン装置で処理された水の導電率を、第1の脱陽イオン装置の下流に設けられた導電率計で測定することと、第1の脱陽イオン装置の出口水に対し、第1の脱陽イオン装置と導電率計との間に設けられた第2の脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行うことと、第1の脱陽イオン装置と第2の脱陽イオン装置との間に設けられた中間導電率計で、第1の脱陽イオン装置の出口水の導電率を測定することと、中間導電率計で測定した出口水の導電率と導電率計で測定した水の導電率とを比較し、第1の脱陽イオン装置の陽イオン除去性能の低下が生じているか否かを判定することと、を有する。
被処理水に対して電気式脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行った後、電気式脱陽イオン装置への通電を停止すると、上述のように被処理水中の陽イオンが脱塩室内で拡散する。この状態で電気式脱陽イオン装置を再起動しても、陽イオンが脱塩室内で拡散する状態はしばらく続くため、陽イオンは電気式脱陽イオン装置から流出する。しかし、電気式脱陽イオン装置から流出した陽イオンは少なくとも第1の脱陽イオン装置で除去され、第1の脱陽イオン装置の出口水は脱陽イオン水となっているため、導電率計で直ちに測定を行うことができる。従って、電気式脱陽イオン装置が起動されてから導電率計での導電率の測定が可能な状態となるまでの時間を短縮することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システムの概念図である。 電気式脱陽イオン装置の運転中と停止中の脱塩室における陽イオン濃度の分布を示す概念図である。 電気式脱陽イオン装置の入口水/出口水と第1の脱陽イオン装置の出口水の陽イオン濃度の時間変化の一例を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システムの概念図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る脱陽イオン水の導電率測定システムの概念図である。 本発明の第3の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システムの概念図である。
以下、図面を参照して本発明のいくつかの実施形態を説明する。各実施形態において、被処理水は火力発電所の復水である。すなわち、本発明の各実施形態は火力発電所が備えるシステムである。しかし、本発明はこれに限定されず、電気式脱陽イオン装置で生成される脱陽イオン水の導電率を測定するシステムと方法に適用することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システム1(以下、システム1という)の概念図を示している。システム1は電気式脱陽イオン装置3と、第1の脱陽イオン装置4と、導電率計5と、流量計2と、弁6とを有している。これらの装置は復水配管8から分岐する配管7上に設置されている。電気式脱陽イオン装置3は陽イオンと陰イオンを含む被処理水に対して脱陽イオン処理を行い、脱陽イオン水を生成する。第1の脱陽イオン装置4は電気式脱陽イオン装置3の下流に設けられ、電気式脱陽イオン装置3の出口水に対して脱陽イオン処理を行う。第1の脱陽イオン装置4は後述するように電気式脱陽イオン装置3の起動時に電気式脱陽イオン装置3で除去されない陽イオンを除去する。流量計2は電気式脱陽イオン装置3に流入する復水(被処理水)の流量を測定する。弁6は通常開かれているが、システム1を復水系から隔離する必要があるときに閉じられる。導電率計5は第1の脱陽イオン装置4の下流に設けられ、電気式脱陽イオン装置3と第1の脱陽イオン装置4で被処理水を処理することによって生成される脱陽イオン水の導電率を測定する。導電率計5の下流はドレン(図示せず)に接続されており、復水として再利用され、または廃棄される。
第1の脱陽イオン装置4にはH形のカチオン交換樹脂が充填されている。第1の脱陽イオン装置4は陽イオンが除去できる限り形式は限定されないが、カチオン交換樹脂が充填されたカートリッジポリッシャーであることが望ましい。これによって、第1の脱陽イオン装置4の交換を容易に行うことができる。第1の脱陽イオン装置4の樹脂量は250ml~2000ml程度の範囲から選択され、カラムのサイズは樹脂量に応じて例えば以下のように設定することができる。
・樹脂量約2000mlの場合:直径100mm×高さ250mm
・樹脂量約 570mlの場合:直径 60mm×高さ200mm
・樹脂量約 250mlの場合:直径 40mm×高さ200mm
樹脂層の層高が低すぎると、イオン交換帯長さの確保が困難となるとともに流路断面内で被処理水の流れの偏りが生じやすくなり、イオン交換能力を発揮できない。イオン交換樹脂層の直径に対する層高の比は2以上とすることが望ましい。一方、カラムが大きすぎると、第1の脱陽イオン装置4の停止前にカラム内に滞留した水が再起動後に復水配管8から供給される水と置換されるのに時間がかかる。従って、必要な交換容量になるよう樹脂量及びカラムのサイズを決めることが望ましい。
電気式脱陽イオン装置3は脱塩室31と脱塩室31の両側にカチオン交換膜34,35を介して配置された一対の濃縮室32,33と、を有している。濃縮室32には正極36が、濃縮室33には負極37が配置され、濃縮室32,33は電極室を兼ねている。正極36と負極37は直流電源〈図示せず〉に接続されている。脱塩室31にはカチオン交換体38が充填されている。カチオン交換体38の構成はカチオン成分を捕捉、除去できる限り限定されないが、カチオン交換樹脂またはモノリス状多孔質陽イオン交換体(以下、単に「モノリス」という。)、繊維状多孔質陽イオン交換体、粒子凝集型多孔質陽イオン交換体を好適に用いることができる。
モノリスとしては、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均径が1~1000μm、好ましくは10~100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、全細孔容積が1~50ml/g、好ましくは4~20ml/gであり、イオン交換基が均一に分布され、イオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥多孔質体以上のものが挙げられる。モノリスのその他の物性及びその製造方法は、例えば特開2003-334560号公報に開示されている。
陽イオン交換体としてモノリスを用いれば、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。このため、電気式脱陽イオン装置3の脱イオン効率が著しく向上し非常に有利である。また、モノリスの全細孔容積が1ml/g未満であると、単位断面積当りの通水量が小さくなってしまい、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が50ml/gを超えると、骨格部分の占める割合が低下し、多孔質体の強度が著しく低下してしまうため好ましくない。全細孔容積が1~50ml/gであるモノリスを電気式脱陽イオン装置3のイオン交換体として使用した場合、多孔質体の強度と脱イオン効率を共に満足したものとすることができる点で好ましい。また、モノリスのイオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥多孔質体未満であると、イオン吸着容量が不足して好ましくない。また、イオン交換基の分布が不均一であると、多孔質陽イオン交換体内のイオン移動が不均一となり、吸着されたイオンの迅速な排除が阻害されるので好ましくない。
繊維状多孔質陽イオン交換体としては、例えば特開平5-64726号公報に記載の単繊維や単繊維の集合体である織布及び不織布、さらにこれらの加工品に放射線グラフト重合を利用してイオン交換基を導入し、加工成形したものが挙げられる。また、粒子凝集型多孔質陽イオン交換体としては、例えば特開平10-192716号公報、特開平10-192717号公報に記載の熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーの混合ポリマー、あるいは架橋性ポリマーを用いてイオン交換樹脂粒子を結合し、加工成形したものが挙げられる。
本実施形態の電気式脱陽イオン装置3はEDI(Electro DeIonization)とも呼ばれる電気再生式脱陽イオン装置である。EDIでは、カチオン交換体38によってカチオン成分(NH 、Na、Ca2+、Mg2+等)が捕捉されるのと同時に、脱塩室31内で水の解離反応が起こり、水素イオンと水酸化物イオンが発生する。カチオン交換体38に捕捉されたカチオン成分は、水素イオンと交換されてカチオン交換体38から遊離する。遊離したカチオン成分はカチオン交換体38を伝って負極37側のカチオン交換膜35まで電気泳動し、カチオン交換膜35で電気透析されて濃縮室33へ移動する。濃縮室33に移動したカチオン成分は、濃縮室33を流れる濃縮水と共に排出される。カチオン交換体38の交換基はカチオン成分と結合後、カチオン成分を遊離させて水素イオンと再結合するため、カチオン交換体38は連続的に再生されることとなる。このように、EDIにおいては、カチオン成分の除去とカチオン交換体38の再生が自動的かつ連続的に行われるため、基本的にカチオン交換体38の再生を別工程で行う必要がない。なお、電気式脱陽イオン装置3はEDIに限定されず、カチオン交換体38が充填されない電気透析装置(ED)であってもよい。
以下、システム1の運転方法について述べる。発電所の運転中は、復水配管8を復水が流れている。復水のサンプリングを行うときは弁6が開かれており、復水の一部が配管7を通って電気式脱陽イオン装置3に導入される。配管7を流れる復水の流量、すなわち電気式脱陽イオン装置3に導入される被処理水の流量は電気式脱陽イオン装置3の上流に設置された流量計2で測定される。
復水(被処理水)には、復水系の配管や設備の腐食を防止するため、アンモニアやヒドラジンが含まれている。これらは復水のpHを調整するために復水に添加されるpH調整剤である。復水のpHは従来の火力発電所では8.5~9.8程度とされていたが、近年では10以上で運用されることもある。pH調整剤は通常陽イオン(カチオン成分)の形態で復水中に存在している。例えば、アンモニアはNH の形態で復水中に存在している。被処理水中の陽イオンは電気式脱陽イオン装置3のカチオン交換体38に捕捉され、カチオン交換膜35を通って負極37側の濃縮室33に排出される。図2(a)には脱塩室31における陽イオンCの分布を概略的に示している。陽イオンCは、脱塩室31の入口では脱塩室31の幅方向(電流印加方向)におけるほぼ全域に分布しているが、被処理水の流通方向下流に行くに従い負極37側に偏在するようになる。脱塩室31の出口付近では、陽イオンCは脱塩室31の幅方向のほぼ全域に渡って除去され、脱塩室31の出口水はほぼ純水(脱陽イオン水)となる。このため、導電率計5で測定される処理水の導電率は0.06μS/cm程度となる。
海水冷却方式の復水器に接続された復水系には海水が混入する可能性がある。すなわち、復水器内では蒸気側が減圧されているため、復水器内の海水が流れる細管にピンホールなどが生じると、海水が細管から蒸気側に侵入し、復水の塩類濃度が著しく上昇する。海水に含まれる塩としてはNaCl,NaSOなどが挙げられる。これらの塩が混入した復水が電気式脱陽イオン装置3に導入されると、カチオン交換体38でNH 、Naが捕捉され、HCl、HSOなどを含む処理水が電気式脱陽イオン装置3から排出される。導電率計5はCl、SO -2等の形態で処理水中に存在する陰イオンを検出する。このため、導電率計5で測定される処理水の導電率は通常よりも大きな値(例えば0.1μS/cm以上)となる。このように、陽イオンがほとんど除去され、塩素イオン等の海水由来の陰イオンを含む処理水の導電率を導電率計5で測定することによって、海水の復水への混入を検出することができる。このような導電率計5は酸導電率計と呼ばれることもある。
次に、火力発電所が停止後に再起動するときのシステム1の作動を述べる。火力発電所が停止すると、電気式脱陽イオン装置4の脱塩室31に被処理水が充填された状態で、電気式脱陽イオン装置3への通電も停止され、正極36と負極37の間を流れる電流もゼロとなる。電流が停止すると濃縮水からの陽イオンの逆拡散やイオン交換体にイオン交換された陽イオンの拡散が生じ、図2(b)に示すように、脱塩室31のほぼ全域に陽イオンCが分布する。この状態で電気式脱陽イオン装置3への通電を再開すると、陽イオンCは再び負極37側に偏在し、図2(a)に示す状態となる。しかしながら、図2(a)に示す状態になるまでは通常数時間を要するため、通電後(すなわち、火力発電所の立ち上げ後)直ちに電気式脱陽イオン装置3の出口水の導電率を導電率計5で測定すると、陽イオンを大量に含む処理水の導電率が測定されることになる。従って、従来のシステムでは処理水の導電率が所定の基準値に達するまで導電率計5による測定を待機する必要がある。
本実施形態では電気式脱陽イオン装置3の出口水が第1の脱陽イオン装置4で処理され、出口水に含まれる陽イオンが除去される。第1の脱陽イオン装置4は陽イオンを直接樹脂で除去するため、上述の待機時間が不要であり、第1の脱陽イオン装置4の出口水は陽イオン濃度の低下した処理水となっている。これにより、電気式脱陽イオン装置3の通電直後から導電率計5による高精度の測定が可能となる。
図3には、電気式脱陽イオン装置3の入口水/出口水と第1の脱陽イオン装置4の出口水の陽イオン濃度の時間変化の一例を示している。横軸は、電気式脱陽イオン装置3が停止し脱塩室31の陽イオン分布が図2(b)に示す状態となった後、電気式脱陽イオン装置3を再起動してからの経過時間を示している。電気式脱陽イオン装置3の入口水の導電率は一定である。電気式脱陽イオン装置3は被処理水に対して脱陽イオン処理を行うため、導電率は電気式脱陽イオン装置3の起動直後から減少し始め、約4時間で一定値に達している。このとき電気式脱陽イオン装置3の脱塩室31の陽イオン分布は図2(a)に示す状態になっていると考えられる。この間、電気式脱陽イオン装置3の出口水に含まれる陽イオンは第1の脱陽イオン装置4で除去されるため、第1の脱陽イオン装置4の出口水の導電率は電気式脱陽イオン装置3の起動直後から十分低い値に維持されている。
このように、脱陽イオン装置3の通電再開後(すなわち、火力発電所の立ち上げ後)一定の時間が経過すると、電気式脱陽イオン装置3の出口水の陽イオン濃度は低下するため、第1の脱陽イオン装置4の陽イオン負荷は急激に減少する。換言すれば、第1の脱陽イオン装置4は、主に脱陽イオン装置3の通電再開後一定時間内に電気式脱陽イオン装置3から排出される陽イオンを除去できればよく、一定時間経過後に処理する陽イオンの量はごくわずかである。従って、第1の脱陽イオン装置4のイオン交換容量は、この一定時間内に発生する陽イオンの負荷に基づき決定することが可能である。第1の脱陽イオン装置4のイオン負荷は限られているため、イオン交換樹脂の頻繁な薬品再生は不要である。イオン交換容量は一定期間(例えば1~2年)に薬品再生が不要となる程度の容量であればよく、充填する樹脂量もこれに見合った量とすることができる。一定期間経過後は薬品再生を行ってもよいが、第1の脱陽イオン装置4を新品に交換することもできる。第1の脱陽イオン装置4がカートリッジポリッシャーである場合、交換は容易に行うことができる。
図3に示す例の場合、第1の脱陽イオン装置4のイオン交換容量は以下のように求めることができる。1回あたりのイオン交換量は図3のA,B,Cで囲まれる範囲に相当する。この範囲を近似的に次の3つの領域、
20μS/cm(0.377×10-3mol/L)×0.5h
5μS/cm(0.037×10-3mol/L)×1.5h
1μS/cm(4.432×10-6mol/L)×2.0h
に分割する。括弧内は導電率に対応する陽イオンのモル数である。被処理水の流量を10L/hとすると、各領域でのイオン交換量は、
0.377×10-3mol/L×10L/h×0.5h=1.88×10-3mol
0.037×10-3mol/L×10L/h×1.5h=5.60×10-4mol
4.432×10-6mol/L×10L/h×2.0h=8.86×10-5mol
合計 2.53×10-5mol
となる。火力発電所の停止/再起動(すなわち、脱陽イオン装置3の停止/通電再開)を300回/年行うとすると、1年分のイオン交換量は2.53×10-5mol×300回=0.75molとなる。総交換容量が2.5eq/L-Resinのイオン交換樹脂を用いる場合、1年分のイオン交換量は0.3Lのイオン交換樹脂でまかなうことができる。従って、余裕をみて0.5~1Lのイオン交換樹脂を第1の脱陽イオン装置4に充填すれば、1年間は再生若しくは交換なしで使えることになる。
図4は本発明の第2の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システム101の概念図を示している。本実施形態では第1の実施形態に対して脱気膜装置9が追加されており、それ以外の構成は第1の実施形態と同様である。脱気膜装置9は電気式脱陽イオン装置3と導電率計5との間であって、第1の脱陽イオン装置4の上流に設けられている。陽イオンと陰イオンを含む被処理水は電気式脱陽イオン装置3で陽イオンを除去され、脱気膜装置9で脱気され、第1の脱陽イオン装置4で脱陽イオン処理を施され、得られた処理水の導電率が導電率計5で測定される。第1の脱陽イオン装置4は陽イオンしか除去しないため、第1の脱陽イオン装置4の出口水の導電率が増加することがある。脱気膜装置9はあらかじめ溶存ガスを除去し、処理水に残存する陰イオン濃度を低下させることができる。
図5は第2の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システム101の変形例201の概念図を示している。本変形例では脱気膜装置9は電気式脱陽イオン装置3と導電率計5との間であって、第1の脱陽イオン装置4の下流に設けられている。このような構成であっても処理水に残存する陰イオン濃度を低下させることができる。
図6は本発明の第3の実施形態に係る脱陽イオン水の導電率測定システム301の概念図を示している。本実施形態では第1の脱陽イオン装置4と導電率計5との間に、第1の脱陽イオン装置4の出口水に対し脱陽イオン処理を行う第2の脱陽イオン装置11が設けられている。第2の脱陽イオン装置11は第1の脱陽イオン装置4と同様、カチオン交換樹脂が充填されたカートリッジポリッシャーとすることができ、第1の脱陽イオン装置4と同程度のイオン交換容量を有していることが好ましい。さらに、第1の脱陽イオン装置4と第2の脱陽イオン装置11との間に第1の脱陽イオン装置4の出口水の導電率を測定する中間導電率計10が設けられている。従って、本実施形態では、第1の脱陽イオン装置4と第2の脱陽イオン装置11で脱陽イオン処理を施された処理水の導電率が測定されることになる。
中間導電率計10で測定した第1の脱陽イオン装置4の出口水の導電率(以下、第1の導電率という)と、導電率計5で測定した第2の脱陽イオン装置11の出口水の導電率(以下、第2の導電率という)は電気信号に変換され、導電率測定システム301の表示装置(ディスプレイ、メータ等)あるいはオペレータルームの表示装置(ディスプレイ、メータ等)に表示することができる。導電率測定システム301の判断手段12は、第1の導電率が所定の値より大きい場合、第1の脱陽イオン装置4の陽イオン除去性能の低下が生じていると判断することができる。あるいは、判断手段12は第1の導電率と第2の導電率とを比較し、第1の導電率の第2の導電率に対する差分または比率が所定の値より大きい場合、第1の脱陽イオン装置4の陽イオン除去性能の低下が生じていると判断することができる。通常、被処理水の陽イオンは電気式脱陽イオン装置3と第1の脱陽イオン装置4の少なくともいずれかで除去されるため、第2の脱陽イオン装置11はほとんど陽イオン負荷が掛からず、ほぼ新品の状態である。このため、第2の脱陽イオン装置11は第1の脱陽イオン装置4の陽イオン除去性能の低下が生じているか否かを判断するための基準装置として用いることができる。陽イオン除去性能の低下が生じていると判断された場合には、第1の脱陽イオン装置4の交換が必要となるが、第2の脱陽イオン装置11が作動しているため、導電率の測定結果への影響はほぼ無視できる。第1の脱陽イオン装置4の新品への交換または薬品再生は導電率測定システム301が稼動していないときに行うことができる。あるいは、第1の脱陽イオン装置4があった位置に第2の脱陽イオン装置11を取り付け、第2の脱陽イオン装置11があった位置に新品の脱陽イオン装置を取り付けてもよい。
このように中間導電率計10は、第1の脱陽イオン装置4と第2の脱陽イオン装置11との間に設けられ、第1の脱陽イオン装置4の脱陽イオン性能を測定する測定手段として機能する。従って、第1の脱陽イオン装置4の脱陽イオン性能を測定することができる限り、中間導電率計10以外のものを用いることも可能である。測定手段は例えばリーク検出を行うものであってもよい。あるいは、H形のカチオン交換樹脂は経年変化によって体積が減少することから、樹脂層の頂面位置を監視することでカチオン交換樹脂の劣化の程度を推定することもできる。この場合、測定手段は第1の脱陽イオン装置4の樹脂層の頂面位置を目視できるサイトグラス、あるいはサイトグラスを通して樹脂層の頂面位置を撮影するカメラであってもよい。
1、101、201、301 脱陽イオン水の導電率測定システム
2 流量計
3 電気式脱陽イオン装置
4 第1の脱陽イオン装置
5 導電率計
6 弁
7 配管
8 復水配管
9 脱気膜装置
10 中間導電率計
11 第2の脱陽イオン装置
12 判断手段

Claims (6)

  1. 陽イオンと陰イオンとを含む火力発電所の復水に対して脱陽イオン処理を行う電気式脱陽イオン装置と、
    前記電気式脱陽イオン装置の下流に設けられ、前記電気式脱陽イオン装置の出口水に対して脱陽イオン処理を行う第1の脱陽イオン装置と、
    前記第1の脱陽イオン装置の下流に設けられ、少なくとも前記第1の脱陽イオン装置で処理された水の導電率を測定する導電率計と、
    前記第1の脱陽イオン装置と前記導電率計との間に設けられた第2の脱陽イオン装置と、
    前記第1の脱陽イオン装置と前記第2の脱陽イオン装置との間に設けられ、前記第1の脱陽イオン装置の脱陽イオン性能を測定する測定手段と、
    を有する、脱陽イオン水の導電率の測定システム。
  2. 前記第1の脱陽イオン装置はカチオン交換樹脂が充填されたカートリッジポリッシャーである、請求項1に記載の測定システム。
  3. 前記電気式脱陽イオン装置と前記導電率計との間であって、前記第1の脱陽イオン装置の上流または下流に設けられた脱気膜装置を有する、請求項1または2に記載の測定システム。
  4. 前記測定手段は前記第1の脱陽イオン装置の出口水の導電率を測定する中間導電率計であり、
    前記中間導電率計で測定した前記出口水の導電率と前記導電率計で測定した水の導電率とを比較し、前記第1の脱陽イオン装置の陽イオン除去性能の低下が生じているか否かを判定する判断手段を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の測定システム。
  5. 陽イオンと陰イオンとを含む火力発電所の復水に対して電気式脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行った後、前記電気式脱陽イオン装置に前記復水が充填された状態で、前記電気式脱陽イオン装置への通電を停止することと、
    前記電気式脱陽イオン装置への通電を再開し、前記電気式脱陽イオン装置の出口水に対して、前記電気式脱陽イオン装置の下流に設けられた第1の脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行うことと、
    少なくとも前記第1の脱陽イオン装置で処理された水の導電率を、前記第1の脱陽イオン装置の下流に設けられた導電率計で測定することと、
    前記第1の脱陽イオン装置の出口水に対し、前記第1の脱陽イオン装置と前記導電率計との間に設けられた第2の脱陽イオン装置で脱陽イオン処理を行うことと、
    前記第1の脱陽イオン装置と前記第2の脱陽イオン装置との間に設けられた中間導電率計で、前記第1の脱陽イオン装置の出口水の導電率を測定することと、
    前記中間導電率計で測定した前記出口水の導電率と前記導電率計で測定した水の導電率とを比較し、前記第1の脱陽イオン装置の陽イオン除去性能の低下が生じているか否かを判定することと、を有する、脱陽イオン水の導電率の測定方法。
  6. 前記電気式脱陽イオン装置と前記導電率計との間であって、前記第1の脱陽イオン装置の上流または下流に設けられた脱気膜装置で前記復水を脱気することを有する、請求項に記載の測定方法。
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