JP7064194B2 - 炭化水素変換触媒とその製造方法およびこの炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法 - Google Patents
炭化水素変換触媒とその製造方法およびこの炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7064194B2 JP7064194B2 JP2018164465A JP2018164465A JP7064194B2 JP 7064194 B2 JP7064194 B2 JP 7064194B2 JP 2018164465 A JP2018164465 A JP 2018164465A JP 2018164465 A JP2018164465 A JP 2018164465A JP 7064194 B2 JP7064194 B2 JP 7064194B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydrocarbon
- methane
- conversion catalyst
- hydrocarbon conversion
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
また、特許文献4には、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)またはチタン酸鉛(PbTiO3)を担体としてハロゲン化物を担持させた触媒が開示されており、特許文献5、6には、担体に石英ウール等を使用し、この担体にナトリウム(Na)とマンガン(Mn)およびタングステン(W)の複合酸化物を担持させた触媒が提案されている。さらに、特許文献7には、酸化カップリング触媒として酸化イットリウム(Y203)と炭酸カルシウム(CaO)の複合酸化物を用いる技術が開示されている。
したがって、メタンは上述したように安定供給が可能かつ安価であるなど工業用原料としての基本的条件を満たしている一方、従来の技術で製造される触媒では工業的に適さないといったことが存在することから、工業的にメタンから炭化水素を生産するプロセスとしては、依然として上述したようなメタンの改質によって生成する合成ガス(COとH2)を経由した間接的プロセスによる生産方法が採用されているというのが実情である。
本発明の炭化水素変換触媒の製造方法は、クエン酸カルシウムと、クエン酸ナトリウムと、アスパラギン酸と、を混合し調製した第一調製液と、該第一調製液に硝酸溶液を混合して第二調製液を調製し、該第二調製液を加熱することを特徴とする。
本発明の炭化水素の製造方法は、メタンカップリング反応により炭素数が2のC2炭化水素および/または炭素数が3のC3炭化水素をメタンから直接変換して製造する方法であり、メタンを含有するメタン含有ガスを、本発明の炭化水素変換触媒に接触させて行う方法であり、該触媒に前記メタン含有ガスを接触させる際に、二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスの存在下で前記触媒と前記メタン含有ガスを接触させることを特徴とする。
本発明の炭化水素変換触媒の製造方法によれば、クエン酸カルシウムと、クエン酸ナトリウムと、アスパラギン酸と、を混合し加熱するだけの簡単な操作で本発明の炭化水素変換触媒を製造することができる。しかも、安価な原料を用いることができるので、本発明の炭化水素変換触媒を経済的に製造することができる。
本発明の炭化水素の製造方法によれば、メタン含有ガスを二酸化炭素含有ガスの存在下で本発明の炭化水素変換触媒と接触させることによって、メタンから直接C2炭化水素および/またはC3炭化水素を変換して製造することができる。しかも、触媒の本発明の炭化水素変換触媒は安価に製造することができるので、C2炭化水素および/またはC3炭化水素を経済的に製造することができるようになる。さらに、近年、世界的に問題となっている二酸化炭素を反応ガスとして使用するので、環境負荷を低減することが可能となる。したがって、工業的にも環境的にも適した製法を提供することができる。
本実施形態の炭化水素変換触媒は、メタンカップリングにより炭素数が2のC2炭化水素および/または炭素数が3のC3炭化水素をメタンから製造する際に用いられる触媒であって、安価な原料を用いてメタンを直接C2炭化水素および/またはC3炭化水素に変換できるようにしたこと特徴を有している。
2CH4+CO2 → C2H6+CO+H2O
2CH4+2CO2 → C2H6+2CO+2H2O
つぎに、本実施形態の炭化水素変換触媒を説明する。
本実施形態の炭化水素変換触媒は、カルシウムの酸化物とナトリウムの炭酸塩とを含有する複合酸化物を有するものである。具体的には、本実施形態の炭化水素変換触媒は、触媒として機能する複合酸化物を備えており、この複合酸化物の構成要素として少なくともカルシウムの酸化物とナトリウムの炭酸塩を含有するように形成されたものである。
このため、本実施形態の炭化水素変換触媒を所定の温度(後述する)で加熱すれば、ナトリウムの炭酸塩を溶融させた溶融塩を複合酸化物の表面に形成させることができる。すると、本実施形態の炭化水素変換触媒を反応触媒として用いる場合、所定の温度でメタンカップリング反応を行えば、かかる反応をより促進させる、つまり本実施形態の炭化水素変換触媒の触媒機能をより向上させることができる。
ハロゲン元素としては、フッ素や塩素、臭素などを挙げることができるが、とくに限定されない。しかし、経済的な観点から入手がし易い塩素を用いるのが望ましい。複合酸化物が塩素を含有する構成とした場合、複合酸化物の触媒活性を向上させることができるようになる。言い換えると、本実施形態の炭化水素変換触媒を用いてメタンからC2炭化水素および/またはC3炭化水素の生成を行う場合、これらの炭化水素の生成の再現性を向上させることができるようになる。
炭素(C)が5%~10%、酸素(O)が50%~65%、ナトリウム(Na)が10%~15%、塩素(Cl)が0.05%~1%、カルシウム(Ca)が10%~15%となるように調製することができる。
なお、各元素の濃度%とは、複合酸化物中に占める各元素のモル%を意味する。
また、本実施形態の炭化水素変換触媒は、上記のごとき複合酸化物をそのまま使用してもよいが、触媒担体に担持させた状態で使用してもよい。触媒担体としては、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、アルミナ、シリカ等を使用することができる。
本実施形態の炭化水素変換触媒の製造方法は、カルシウムの酸化物とナトリウムの炭酸塩を含有する複合酸化物として調製することができる方法であれば、その製法はとくに限定されない。
なお、以下の説明では、カルシウムの酸化物として酸化カルシウム、ナトリウムの炭酸塩として炭酸ナトリウムを用いる場合を代表として説明する。
カルシウムの原料としては、クエン酸カルシウムを用いる。ナトリウムの原料としては、クエン酸ナトリウムを用いる。その他の原料としては、アスパラギン酸を用いる。
以下では、まず3種類の原料を直接混合する方法で本実施形態の炭化水素変換触媒の製造方法を説明した後に、クエン酸カルシウムとアスパラギン酸およびクエン酸ナトリウムとアスパラギン酸とを別々に混合する場合について説明する。
まず、図1に基づいて、3種類の原料を直接混合して本実施形態の炭化水素変換触媒を製造する場合について説明する。
図1に示すように、クエン酸カルシウムとクエン酸ナトリウムとアスパラギン酸とを水に混合して第一調製液を調製する。各化合物の混合割合は、とくに限定されない。
例えば、クエン酸カルシウムとクエン酸ナトリウムとアスパラギン酸が、モル比において、クエン酸カルシウム:クエン酸ナトリウム:アスパラギン酸=1~2:1~2:6~10となるように混合するのが好ましく、より好ましくは、1:1:9となるように混合する。
ついで、調製した第一調製液を硝酸と混合して第二調製液を調製する。
混合する硝酸は、とくに限定されず、例えば、質量分率が60%の濃硝酸水溶液を用いることができる。また、硝酸の混合割合もとくに限定されない。例えば、第一調製液中のクエン酸カルシウム1molに対して硝酸を少量ずつ入れて、かかるクエン酸カルシウムが溶けるまで混合すればよい。
調製した第二調製液を所定の温度で加熱すれば、乾燥した状態の複合酸化物を調製することができる。この複合酸化物が本実施形態の炭化水素変換触媒である。
この複合酸化物はそのまま本実施形態の炭化水素変換触媒として使用してもよいし、他の形状(例えば、粉状(パウダー状)、顆粒状、粒子状、球状、ペレット状、ハニカム状、板状、格子状等)に成形して使用してもよい。
例えば、粉状(パウダー状)とする場合、平均粒子径が、1μm~20μm程度となるような粉末状に調製すれば、接触面積をより向上させることができる。この場合、触媒としての機能をより向上させることが可能となるので好ましい。なお、平均粒子径とは、レーザー回析・散乱法により測定された粒度分布における体積平均粒径のことを意味する。
つまり、本実施形態の炭化水素変換触媒の製造方法は、メタンから直接C2炭化水素および/またはC3炭化水素を変換するための触媒として高価な金属を用いた従来の触媒を製造する方法と比べて、触媒の製造コストを確実に低くすることができる。言い換えれば、本実施形態の炭化水素変換触媒の製造方法は、経済的に優れた触媒の製造方法であるといえる。
したがって、工業的にメタンから直接C2炭化水素および/またはC3炭化水素を変換して製造する場合、本実施形態の炭化水素変換触媒の製造方法を用いて製造した触媒を使用すれば、従来の触媒を採用する場合と比べてC2炭化水素および/またはC3炭化水素の製造コストを低く抑えることができる。
なお、第二調製液を加熱する方法は、上述したような複合酸化物の形態を形成することができる処理方法であれば、とくに限定されない。例えば、第二調製液を所定の温度で焼成することによって調製することができる。具体的には、第二調製液を600℃~900℃で焼成するのが好ましく、より好ましくは650℃~750℃であり、さらに好ましくは700℃で焼成する。
なお、この焼成工程においては、酸素存在下で加熱するのが好ましい。酸素の供給方法はとくに限定されない。例えば、酸素を直接供給してもよいし、酸素を含有する空気などの酸素含有ガスを供給してもよい。
また、焼成する時間もとくに限定されない。例えば、焼成後の焼成物(つまり本実施形態の炭化水素変換触媒)の形状が、パウダー状(粉状)になるまで行うのが好ましい。焼成物(つまり本実施形態の炭化水素変換触媒)をパウダー状(粉末状)にすることによって、接触面積を向上させることができるので、触媒としての機能をより発揮させやすくなる。
なお、第二調製液を加熱する工程において、第二調製液を予備的に加熱して焼成前の前駆体を形成する工程(予備乾燥の工程)を含むようにしてもよい。
この場合、乾燥した状態の焼成前前駆体を焼成すればよいので、焼成温度を低くでき、焼成時間も短くできるので、第二調製液を直接焼成して焼成物を得る場合と比べて安定した複合酸化物を調製できるという利点が得られる。
この予備乾燥を行う工程は、第二調製液を焼成しやすい状態に調製する工程である。具体的には、第二調製液の水分がある程度なくなるまで乾燥して焼成前の前駆体を調製する工程である。
乾燥温度は、とくに限定されないが、100℃~140℃で乾燥するのが好ましく、より好ましくは、110℃~130℃である。また、乾燥時間もとくに限定されない。例えば、第二調製液を120℃下で乾燥する場合、乾燥する時間は第二調製液の量等に応じて適宜調整すればよく、例えば、第二調製液が100mlの場合、12時間の予備乾燥を行えば、上記のような状態にすることができる。
ハロゲン化合物を添加(ドープ)した第二調製液を加熱することによって、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、酸素(O)、炭素(C)およびハロゲン元素を含有する複合酸化物を調製することができる。
この複合酸化物を本実施形態の炭化水素変換触媒として使用する場合、塩素を含まない複合酸化物と比べてメタンカップリングによるC2炭化水素および/またはC3炭化水素を生成する際の再現性を向上させることができる。言い換えれば、ハロゲン元素をドープすることによって、本実施形態の炭化水素変換触媒の複合酸化物の触媒活性を向上させることができる。
塩素を含有する塩素化合物としては、とくに限定されないが、アルカリ金属と結合したものが好ましく、とくに経済的観点から、一般に入手し易い塩化ナトリウムが好ましい。
なお、塩化ナトリウムは、粉末状ものものであってもよく水溶液の状態であってもよい。水溶液の状態で添加する場合には、塩化ナトリウムを水に加えて20重量%の水溶液として用いることができる。
つぎに、図2に基づいて、本実施形態の炭化水素変換触媒の製造方法において、第一調製液を2工程で調製する場合について説明する。
なお、第一調製液後の工程は、上述した3種類の原料を直接混合する場合と同様の操作であるので、以下の説明では割愛する。
各化合物の混合割合は、とくに限定されない。例えば、クエン酸カルシウムとアスパラギン酸が、モル比において、クエン酸カルシウム:アスパラギン酸=1:8~1:10となるように混合するのが好ましい。また、クエン酸ナトリウムとアスパラギン酸が、モル比において、クエン酸ナトリウム:アスパラギン酸=1:8~1:10となるように混合するのが好ましい。
つぎに、本実施形態の炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法について説明するが、まず、その概略ついて説明する。
例えば、メタン含有ガスは、メタン100%とからなるガスであってもよく、メタン以外の成分を含有したものであってもよいが、反応性を向上させる上ではメタンを主成分とするガスが好ましい。
なお、メタン含有ガス中のメタン以外の成分は、メタンカップリング反応を阻害しない範囲となるように調製するのが好ましい。また、メタン含有ガスは、そのまま反応に用いてもよいが、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈させたものを用いてもよい。例えば、ヘリウムで希釈した際のメタンの濃度が、体積%において、1%となるように調整したものをメタン含有ガスとして用いてもよいが、かかる濃度に限定されるものではない。
例えば、二酸化炭素含有ガスは、二酸化炭素100%とからなるガスであってもよく、二酸化炭素以外の成分を含有したものであってもよいが、反応性を向上させる上では二酸化炭素を主成分とするガスが好ましい。
なお、二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素以外の成分は、メタンカップリング反応を阻害しない範囲となるように調製するのが好ましい。
また、二酸化炭素含有ガスは、そのまま反応に用いてもよいが、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈させたものを用いてもよい。例えば、ヘリウムで希釈した際の二酸化炭素の濃度が、体積%において、1%となるように調整したものを二酸化炭素含有ガスとして用いてもよいが、かかる濃度に限定されるものではない。
メタンカップリング反応に供するメタンと二酸化炭素の割合は、メタン/二酸化炭素のモル比が、0.3~3となるように調整するのが好ましく、より好ましくは1となるように調整する。とくに、メタンと二酸化炭素の供給する割合を、メタン/二酸化炭素のモル比が1以上となるように調整すれば、熱平衡の観点からメタンカップリングを促進させることができるようになるので、好ましい。
メタンカップリング反応の温度は、800℃~1000℃が好ましく、より好ましくは900℃~1000℃であり、さらに好ましくは950℃~1000℃である。反応温度が、800℃よりも低いと、触媒の活性が低下する傾向があり、1000℃よりも高くなるとメタンの燃焼反応が増大して炭素数が2のC2炭化水素や炭素数が3のC3炭化水素の選択率が低下する傾向がある。
したがって、メタンカップリング反応の温度は、上記範囲内となるように調整するのが好ましい。
この場合、本実施形態の炭化水素変換触媒の複合酸化物の表面では、ナトリウムの炭酸塩が溶融した溶融塩が形成される。このため、ナトリウムの炭酸塩をカップリング反応に寄与させる場合と比べてより触媒としての活性を向上させることができるようになる。つまり、メタンカップリング反応を促進させることができるようになるので、より炭素数が2のC2炭化水素や炭素数が3のC3炭化水素の生産性を向上させることができるようになる。
メタンカップリング反応に用いられるメタン含有ガスと二酸化炭素含有ガスの流量(ml/min)は、本実施形態の炭化水素変換触媒を量との関係で、適宜調整すればよく、例えば、所定の空間速度となるように調整することができる。空間速度で表す場合には、5000~60000ml/g/hとなるように調整するのが好ましく、より好ましくは6000~12000ml/g/hである。
なお、空間速度とは、触媒単位重量あたりの供給するガス(例えば、メタン含有ガスと二酸化炭素含有ガス)の時間あたりの総容積流量であり、触媒重量とは、反応容器内に設置した本実施形態の炭化水素変換触媒の重量である。
例えば、上記排出ガスには、メタンのメタンカップリング反応により生成した炭素数が2のC2炭化水素や炭素数が3のC3炭化水素のほか、副生成物として一酸化炭素および水が含まれる。このため、排出ガスを目的成分(C2炭化水素、C3炭化水素)に応じて適宜、分離精製処理を行えば、所望の純度のC2炭化水素および/またはC3炭化水素を得ることができる。なお、排出ガスの分離精製方法により、C2炭化水素とC3炭化水素をそれぞれ単独となるように精製してもよいし、混同するように精製してもよいのは言うまでもない。
しかも、触媒として使用する本実施形態の炭化水素変換触媒は、複合酸化物としてナトリウムの炭酸塩を含有しているので、メタンカップリング反応における反応温度を上記範囲内となるように調整すれば、本実施形態の炭化水素変換触媒の複合酸化物の表面に、ナトリウムの炭酸塩が溶融した溶融塩を形成させることができる。かかる溶融塩によって、本実施形態の炭化水素変換触媒の触媒機能をより向上させることができるので、メタンカップリングの反応をより促進させることができる。すると、メタンから直接C2炭化水素および/またはC3炭化水素をより効率よく製造(生産)することができる。
さらに、メタンカップリング反応における触媒として作用する本実施形態の炭化水素変換触媒は上述したように安価に製造することができるので、メタンからC2炭化水素および/またはC3炭化水素を経済的に製造することができるようになる。
また、近年、世界的に問題となっている二酸化炭素を反応ガスとして使用することによって、環境負荷を低減することが可能となる。
したがって、本実施形態の炭化水素の製造方法は、工業的に適した製法として採用することができる。
なお、本実施形態の炭化水素変換触媒、その製造方法、炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法を実施例に基づいて以下説明するが、本実施形態がこれら実施例により限定されるものではない。
なお、硝酸は、第一調製液中のクエン酸カルシウムに対して、クエン酸カルシウムが溶液に溶ける最小量となるように調製した。
また、塩化ナトリウムは、第一調製液中のクエン酸カルシウムに対して、モル比(塩化ナトリウム/クエン酸カルシウム)において、0.6となるように調製した。
この触媒が、本実施形態の炭化水素変換触媒に相当する。
走査型電子顕微鏡(SEM):日本電子社製、型番;JIB-4600f
透過型電子顕微鏡(TEM):日本電子社製、型番;JEOL-2100f-WCs
エネルギー分散型X線分析装置(EDX):日本電子社製、型番;JED-2300t
図3には、調製した触媒のSEM画像を示し、図4には、触媒のTEM-EDS画像を示す。また、図5には、SEM-EDSによる調製した触媒の組成データを示す。
図6には、調製した触媒のX線解回折結果を示す。
上述した製造方法で調製した触媒を石英反応器(内径5mm)に入れて、950℃に加熱しながら、ヘリウムで希釈したメタンガス(1%)と二酸化炭素(1%)の混合ガスを10ml/minで導入し、反応を開始した。かかる反応器における、空間速度は、6000ml/g/hであった。なお、メタンと二酸化炭素のモル比(メタン/二酸化炭素)は1であった。
反応器の排出ガスをガスクロマトグラフィー(島津社製、型番GC-2014)を用いて測定した。
図7に示すように、調製した炭化水素変換触媒を用いれば、メタンカップリング反応により、メタンから直接C2炭化水素(エチレン、アセチレン、エタン)およびC3炭化水素(プロパン、プロピレン)を変換して生成させることができることが確認できた。
とくに、メタンカップリング反応を950℃で行ったが、かかる温度は炭酸ナトリウムの融点以上である。このため、炭化水素変換触媒の複合酸化物の表面上では炭酸ナトリウムの融解が促進され、その融解塩が形成されているものと考えられる。このため、メタンカップリング反応が促進され、メタンから上記C2炭化水素およびC3炭化水素を効率よく生成することができたものと推察される。
図8に示すように、塩化ナトリウムを添加した製法(図8(B))では、塩化ナトリウムを添加しない製法(図8(A))と比べてC2炭化水素であるエチレンの再現性を向上させることができることを確認した。
また、図8(B)に示すように、塩化ナトリウムの添加量は、第一調製液中のクエン酸カルシウムに対して、塩化ナトリウム/クエン酸カルシウムのモル比が0.6(ナトリウム/カルシウムのモル比では0.2)となるように調製すれば、より効率よくC2炭化水素であるエチレンを製造することができることが確認できた。
さらに、炭化水素変換触媒は、クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸三ナトリウム、L-アスパラギン酸といった安価な原料を用いて製造することができることが確認できたので、メタンからC2炭化水素およびC3炭化水素を直接変換するコストを従来の高価な金属を用いた触媒と比べて低く抑えることができる可能があることが確認できた。
また、工業的な分野のみならず、メタンカップリング反応を利用する他の技術分野についても本実施形態の炭化水素変換触媒に関する技術を幅広く利用できる可能性があることが確認できた。
Claims (14)
- 二酸化炭素の存在下でメタンカップリングにより炭素数が2のC2炭化水素および/または炭素数が3のC3炭化水素をメタンから直接変換して製造する際に用いられる触媒であり、
該触媒が、カルシウムの酸化物と、ナトリウムの炭酸塩と、を含有する複合酸化物を有するものである
ことを特徴とする炭化水素変換触媒。 - 前記複合酸化物が、ハロゲン元素を含有する
ことを特徴とする請求項1記載の炭化水素変換触媒。 - 前記カルシウムの酸化物が、酸化カルシウムであり、
前記ナトリウムの炭酸塩が、炭酸ナトリウムであり、
前記ハロゲン元素が、塩素である
ことを特徴とする請求項2記載の炭化水素変換触媒。 - 前記複合酸化物中、
前記カルシウムの元素含有量が、10モル%以上~15モル%以下となるように含有し、
前記ナトリウムの元素含有量が、10モル%以上~15モル%以下となるように含有し、
前記塩素の元素含有量が、0.05モル%以上~1モル%以下となるように含有する
ことを特徴とする請求項3記載の炭化水素変換触媒。 - 請求項1~4のいずれかに記載の炭化水素変換触媒を製造する方法であり、
クエン酸カルシウムと、クエン酸ナトリウムと、アスパラギン酸と、を混合し調製した第一調製液と、該第一調製液に硝酸溶液を混合して第二調製液を調製し、該第二調製液を加熱する
ことを特徴とする炭化水素変換触媒の製造方法。 - 前記第二調製液を調製する際に塩素化合物を添加する
ことを特徴とする請求項5記載の炭化水素変換触媒の製造方法。 - 前記第一調製液において、
前記クエン酸カルシウムと前記クエン酸ナトリウムと前記アスパラギン酸を、モル比において、1~2:1~2:6~10となるように混合する
ことを特徴とする請求項5または6記載の炭化水素変換触媒の製造方法。 - 前記第一調製液を調製する工程において、
前記クエン酸カルシウムと前記アスパラギン酸を混合して第一準備液を調製し、該第一準備液を、前記クエン酸ナトリウムと前記アスパラギン酸を混合し調製した第二準備液と混合して前記第一調製液を調製する工程を含み、
前記第一準備液は、
前記クエン酸カルシウムと前記アスパラギン酸を、モル比において、1:8~1:10となるように混合し、
前記第二準備液は、
前記クエン酸ナトリウムと前記アスパラギン酸を、モル比において、1:8~1:10となるように混合する
ことを特徴とする請求項5または6記載の炭化水素変換触媒の製造方法。 - 前記第二調製液を加熱する工程において、
100℃~140℃で予備乾燥した後、600℃~900℃で焼成する
ことを特徴とする請求項5、6、7または8記載の炭化水素変換触媒の製造方法。 - 前記塩素化合物が、塩化ナトリウムであり、
クエン酸カルシウムに対して、塩化ナトリウム/クエン酸カルシウムのモル比が0.05~2.0となるように添加する
ことを特徴とする請求項6記載の炭化水素変換触媒の製造方法。 - メタンカップリング反応により炭素数が2のC2炭化水素および/または炭素数が3のC3炭化水素をメタンから直接変換して製造する方法であり、
メタンを含有するメタン含有ガスを、請求項1~4のいずれかに記載の炭化水素変換触媒に接触させて行う方法であり、
該触媒に前記メタン含有ガスを接触させる際に、二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスの存在下で前記触媒と前記メタン含有ガスを接触させる
ことを特徴とする炭化水素の製造方法。 - 前記メタン含有ガスと前記触媒とを前記二酸化炭素含有ガスの存在下で800℃~1000℃で接触させる
ことを特徴とする請求項11記載の炭化水素の製造方法。 - メタンと二酸化炭素のメタン/二酸化炭素のモル比が、0.3~3となるように前記メタン含有ガスと前記二酸化炭素含有ガスを供給する
ことを特徴とする請求項11または12記載の炭化水素の製造方法。 - 前記炭素数が2のC2炭化水素が、
エタン、エチレンおよびアセチレンから選ばれる少なくとも1種類を含み、
前記炭素数3のC3炭化水素が、
プロパンまたはプロピレンを含む
ことを特徴とする請求項11、12または13記載の炭化水素の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018164465A JP7064194B2 (ja) | 2018-09-03 | 2018-09-03 | 炭化水素変換触媒とその製造方法およびこの炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018164465A JP7064194B2 (ja) | 2018-09-03 | 2018-09-03 | 炭化水素変換触媒とその製造方法およびこの炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020037061A JP2020037061A (ja) | 2020-03-12 |
JP7064194B2 true JP7064194B2 (ja) | 2022-05-10 |
Family
ID=69737239
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018164465A Active JP7064194B2 (ja) | 2018-09-03 | 2018-09-03 | 炭化水素変換触媒とその製造方法およびこの炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7064194B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3026451B2 (ja) * | 1990-08-06 | 2000-03-27 | 大阪瓦斯株式会社 | 炭化水素の製造方法 |
JPH059133A (ja) * | 1991-06-28 | 1993-01-19 | Sekiyu Shigen Kaihatsu Kk | メタンからエタン、エチレンの製造方法 |
JP3679180B2 (ja) * | 1995-12-27 | 2005-08-03 | 石油資源開発株式会社 | メタンから炭素数2以上の炭化水素を合成するための流動接触反応用触媒及び該触媒による炭化水素の合成方法 |
-
2018
- 2018-09-03 JP JP2018164465A patent/JP7064194B2/ja active Active
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
JOURNAL OF CATALYSIS,1988年,vol.111,p.302-316 |
Studies in Surface Science and Catalysis,1997年,Vol.107,p.279-283 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020037061A (ja) | 2020-03-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101294592B1 (ko) | 메탄 산화이량화 반응촉매, 그 제조방법 및 이를 이용한 메탄 산화이량화 반응방법 | |
KR20120109998A (ko) | 메탄의 산화성 짝반응을 위한 방법 | |
JP2012532010A (ja) | 炭化水素の酸化カップリング用触媒 | |
JP5493928B2 (ja) | 炭化水素の製造方法 | |
JPS62223132A (ja) | メタンからのこれより高級な炭化水素の製造方法 | |
JP5778309B2 (ja) | 水素製造触媒およびそれを用いた水素製造方法 | |
WO2015153610A1 (en) | Process for converting of methane stream reforming syngas with co2 | |
JP7376955B2 (ja) | 触媒及び炭化水素の製造方法 | |
Xiong et al. | High thermal stability Si-Al based N-carrier for efficient and stable chemical looping ammonia generation | |
JP7064194B2 (ja) | 炭化水素変換触媒とその製造方法およびこの炭化水素変換触媒を用いた炭化水素の製造方法 | |
JP5015057B2 (ja) | 塩素合成用触媒およびその製造方法、ならびに該触媒を用いた塩素の合成方法 | |
CN113226540B (zh) | 包含氧载体物质及脱氢催化剂的烯烃制造用催化剂 | |
JP7172799B2 (ja) | 二酸化炭素吸蔵還元型触媒、および、メタン製造方法 | |
WO2018015363A2 (en) | A catalyst composition for direct synthesis of vinyl chloride from ethylene | |
KR20110075323A (ko) | 수성 시프트 가스 반응 방법 및 이를 이용한 수소 제조 방법 | |
KR20200062459A (ko) | 금속이 첨가된 페로브스카이트 구조의 스트론튬 티타네이트를 기반으로 하는 메탄의 산화이량화 반응용 촉매 및 이의 제조방법 및 이용 | |
JPH0669969B2 (ja) | 炭化水素の製造方法 | |
KR20200004678A (ko) | 메탄의 산화이량화 반응용 촉매 | |
WO2021172107A1 (ja) | 典型元素酸化物を含む金属担持物、アンモニア合成用触媒、及びアンモニアの合成方法 | |
JP2914206B2 (ja) | 炭化水素改質用ニッケル担持触媒およびその製造方法 | |
RU2341507C1 (ru) | Способ получения углеводородов c2-c3 | |
KR20150022050A (ko) | 이산화탄소 자원화를 위한 cog 개질 공정 | |
JP2010058043A (ja) | 水蒸気改質用触媒および水素の製造方法 | |
JP6089894B2 (ja) | 合成ガス製造用触媒及び合成ガスの製造方法 | |
JP2017178885A (ja) | 炭化水素の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20191007 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20191007 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191031 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210125 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210125 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220104 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220304 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220324 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220408 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7064194 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |