JP7063180B2 - 圧延用遠心鋳造複合ロールの外層材、及び圧延用遠心鋳造複合ロール - Google Patents
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Description
0.05≦(%C-%V×0.177-%Nb×0.129-%Cr×0.099-%Mo×0.063-%W×0.033)+(%Ni)≦4.0
を満足し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有し、基地組織の85%以上が焼戻しマルテンサイト及び/又はベイナイト組織であり、焼戻しマルテンサイト又はベイナイトの短径が0.5~3.0μmである熱間圧延用ロール外層材を開示している。特許文献2は、この外層材により、耐摩耗性を確保するとともに、ロール表面のピット状の疵を軽減させ、耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用複合ロールを提供できると記載している。
質量基準で1.50~2.70%のCと、0.3~3%のSiと、0.1~3%のMnと、0.1~2.5%のNiと、4.0~7.0%のCrと、4.1~8.0%のMoと、5.0~10.0%のVと、0~0.4%のWと、0.1~3.0%のNbと、0.005~0.15%のNと、0~0.05%のBとを含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなるFe合金からなり、V含有量(質量%)とNb含有量(質量%)との比V/Nbが1~20.0であり、次式:
C-bal=C%-0.2×V%-0.06×Cr%-0.063×Mo%-0.033×W%-0.13×Nb%・・(1)
[ただし、C%、V%、Cr%、Mo%、W%及びNb%は、それぞれC、V、Cr、Mo、W及びNbの含有量(質量%)である。]
で示されるC-balが0~0.28であることを特徴とする。
図1は遠心鋳造法により形成された外層1と、外層1に溶着一体化した内層2とからなる圧延用遠心鋳造複合ロール10を示す。ダクタイル鋳鉄からなる内層2は、外層1に溶着した胴芯部21と、胴芯部21の両端から一体的に延出する軸部22,23とを有する。
本発明の圧延用遠心鋳造複合ロールを構成する外層は、質量基準で1.50~2.70%のCと、0.3~3%のSiと、0.1~3%のMnと、0.1~2.5%のNiと、4.0~7.0%のCrと、4.1~8.0%のMoと、5.0~10.0%のVと、0~0.4%のWと、0.1~3.0%のNbと、0.005~0.15%のNと、0~0.05%のBとを含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなるFe合金からなり、V含有量(質量%)とNb含有量(質量%)との比V/Nbが1~20.0であり、次式:
C-bal=C%-0.2×V%-0.06×Cr%-0.063×Mo%-0.033×W%-0.13×Nb%・・(1)
で示されるC-balが0~0.28である外層材からなる。
(a) C:1.50~2.70質量%
CはV、Cr及びMoと(さらに、Nb及びWを含有する場合にはNb及びWとも)結合して硬質炭化物を生成し、外層の耐摩耗性の向上に寄与する。Cが1.50質量%未満では硬質炭化物の晶出量が少なすぎて外層に十分な耐摩耗性を付与することができない。一方、Cが2.70質量%を超えると過剰な炭化物の晶出により外層の靱性が低下し、耐クラック性が低下するため、圧延によるクラックが深くなり、改削時のロール損失量が増加する。Cの含有量の下限は好ましくは1.60質量%であり、より好ましくは1.70質量%である。またCの含有量の上限は好ましくは2.60質量%であり、より好ましくは2.50質量%である。
Siは溶湯の脱酸により酸化物の欠陥を減少させるとともに、基地に固溶して耐焼付き性を向上させ、さらに溶湯の流動性を向上させて鋳造欠陥を防止する作用を有する。Siが0.3質量%未満では溶湯の脱酸作用が不十分であり、溶湯の流動性も不足し、欠陥発生率が高い。一方、Siが3質量%を超えると合金基地が脆化し、外層の靱性は低下する。Si含有量の下限は好ましくは0.4質量%であり、より好ましくは0.5質量%である。Si含有量の上限は好ましくは2.0質量%であり、より好ましくは1.5質量%である。
Mnは溶湯の脱酸作用の他に、SをMnSとして固定する作用を有する。MnSは潤滑作用を有し、圧延材の焼き付き防止に効果があるので、所望量のMnSを含有するのが好ましい。Mnが0.1質量%未満ではその添加効果は不十分である。一方、Mnが3質量%を超えてもさらなる効果は得られない。Mnの含有量の下限は好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%である。Mnの含有量の上限は好ましくは2.0質量%であり、より好ましくは1.5質量%である。
Niは外層の基地の焼き入れ性を向上させる作用を有するので、大型の複合ロールの場合にNiを含有すると、冷却中のパーライトの発生を防止し、外層の硬さを向上させることができる。Niの添加効果は0.1質量%未満ではほとんどなく、2.5質量%を超えるとオーステナイトが安定化しすぎ、硬さが向上しにくくなる。Ni含有量の下限は好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%であり、更に好ましくは0.5質量%である。Ni含有量の上限は好ましくは2.4質量%であり、より好ましくは2.3質量%である。
Crは基地をベイナイト又はマルテンサイトにして硬さを保持し、外層の耐摩耗性を維持するのに有効な元素である。Crが4.0質量%未満ではその効果が不十分であり、Crが7.0質量%を超えると、基地組織の靭性が低下する。Crの含有量の下限は好ましくは4.1質量%であり、より好ましくは4.2質量%である。Cr含有量の上限は好ましくは6.5質量%であり、より好ましくは6.0質量%である。
MoはCと結合して硬質炭化物(M6C、M2C)を形成し、外層の硬さを増加させるとともに、基地の焼入れ性を向上させる。また、MoはV及び/又はNbとともに強靭かつ硬質MC炭化物を生成し、耐摩耗性を向上させる。Moが4.1質量%未満ではそれらの効果が不十分である。一方、Moが8.0質量%を超えると、外層の靭性が低下する。Mo含有量の下限は好ましくは4.5質量%であり、より好ましくは5.0質量%である。Mo含有量の上限は好ましくは7.0質量%であり、より好ましくは6.5質量%である。
VはCと結合して硬質のMC炭化物を生成する元素である。MC炭化物は2500~3000のビッカース硬さHvを有し、炭化物の中で最も硬い。Vが5.0質量%未満では、MC炭化物の析出量が不十分となって、外層の耐摩耗性が低下する。一方、Vが10.0質量%を超えると、鉄溶湯より比重の軽いMC炭化物が遠心鋳造中の遠心力により外層の内側に濃化し、MC炭化物の半径方向偏析が著しくなるだけでなく、MC炭化物が粗大化して合金組織が粗くなり、圧延時に肌荒れしやすくなる。V含有量の下限は好ましくは5.1質量%であり、より好ましくは5.2質量%である。V含有量の上限は好ましくは9.0質量%であり、より好ましくは8.0質量%である。
WはCと結合して硬質のM6C等の硬質炭化物を生成し、外層の耐摩耗性向上に寄与する。またMC炭化物にも固溶してその比重を増加させ、偏析を軽減させる作用を有する。しかし、Wが0.4質量%を超えると、M6C炭化物が多くなり、組織が不均質となり、肌荒れの原因となる。従って、Wを含有する場合、0.4質量%以下とする。上記効果を得るためにはWは0.02質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましい。Wの含有量の上限は好ましくは0.3質量%であり、より好ましくは0.2質量%である。
Vと同様に、NbもCと結合して硬質MC炭化物を生成する。NbはV及びMoとの複合添加により、MC炭化物に固溶してMC炭化物を強化し、外層の耐摩耗性を向上させる。NbはVより原子量が大きいためVを主体としたMC炭化物に固溶することにより、鉄溶湯より比重の小さなV主体のMC炭化物の比重が大きくなるため、遠心鋳造中の遠心力によるMC炭化物の偏析を軽減させる作用を有する。Nbが0.1質量%未満では、MC炭化物の晶出量の寄与が少なく、MC炭化物の偏析を軽減させる効果が得られない。一方、Nbが3.0質量%を超えると、鉄溶湯より比重の重いNbを主体とするMC炭化物の晶出量が増加し、遠心力により表面側に濃化及び偏析しやすくなる。Nb含有量の下限は好ましくは0.2質量%である。より好ましくは0.3質量%である。Nb含有量の上限は好ましくは2.5質量%であり、より好ましくは2.2質量%である。
NはVやNbやその他の微量元素と結びついて窒化物となり、その窒化物が炭化物の凝固核となって炭化物を微細化させる。特にこれらの窒化物はMCが液相から凝固する際に有効な核となるので、耐摩耗性や耐肌荒れ性に寄与するMCの生成温度とその分布に大きく影響を与える。Nが0.005質量%未満の場合はMCの核となる窒化物が不十分になり微細なMCが均質に分布できなくなる。MCが不均質な状態で分布すると耐摩耗性が不十分となるばかりでなく、MCが少ない部分と多い部分で損傷の差が発生して耐肌荒れ性も不十分となる。Nが0.15質量%を超えると、液相中のMCの核が増加しMCの晶出が容易になるため、鉄基地となるオーステナイト晶出より高い温度でMCが先に単独の粒状晶として晶出する。体積割合で大部分を占めるオーステナイトが液相である段階でMCが粒状の固相として晶出すると、オーステナイトが晶出するまでの間に粒状のMCの偏析が発生しやすくなる。偏析により硬質のMCが不均一に生じるため、全体として耐摩耗性劣化や耐肌荒れ性の不足が生じる。N含有量の上限は好ましくは0.1質量%である。十分な炭化物微細化効果を得るには、N含有量の下限は好ましくは0.01質量%である。
Bは炭化物に固溶し、炭化物の融点を低下させる作用があり、凝固過程においてこの部分が最終凝固部となり、鋳造方案によっては引け巣欠陥として残りやすくなる。この作用は、0.05重量%を超えると顕著になり、ロール材質や鋳造方案に制限が出てくる可能性がある。B含有量の上限は好ましくは0.04質量%であり、より好ましくは0.03質量%である。
V、Nbはともに硬質のMC炭化物を形成する元素であり、V/Nbを調整することにより、MCの密度を適正化し、遠心鋳造の凝固時に遠心力による重力偏析を軽減し、MC炭化物をロール外層内に適正に分布させることが可能となる。V/Nbが1未満の場合、溶鋼密度に対してMCの密度が高くなる傾向となりMCがロール外面側に移動しやすく、外層内の特定層位置に濃化しMCの偏析が発生しやすい傾向となる。V/Nbが20を超えるとMC密度が低くなるため凝固時にロール内面側に移動しやすく、使用層内のMC量が減少するとともに、最内面に濃化すると容易に再溶融しにくく内層との接合が困難となる。V/Nbは2以上が望ましく、3以上がさらに望ましい。V/Nbは15以下が望ましく10以下がさらに望ましい。
C-balは基地中の炭素量を示す指標であり、次式(1):
C-bal=C%-0.2×V%-0.06×Cr%-0.063×Mo%-0.033×W%-0.13×Nb%・・(1)
[ただし、C%、V%、Cr%、Mo%、W%及びNb%は、それぞれC、V、Cr、Mo、W及びNbの含有量(質量%)である。]で示される。C-balは、炭化物形成元素含有量とこれと化合して炭化物を構成する炭素含有量のバランスの指標であり、C-balが高すぎると炭化物形成元素に対してC量が過剰となるため、目的としない炭化物が晶出し、適正な特性を得ることができなくなる。逆にC-balが低すぎると鉄基地中の炭素含有量が不足するため十分な硬さを得ることができなくなる。従って、C-balを適度な範囲とすることが好ましい。C-balが0%未満になると基地を硬くするのに不十分でありロールの耐摩耗性を十分発揮できなくなり、C-balが0.28%を超えると低硬度のセメンタイト等目的とする晶出炭化物が得られない傾向となるので好ましくない。
外層材はさらに、質量基準で0.1~10%のCo、0.01~0.5%のZr、0.005~0.5%のTi、及び0.001~0.5%のAlからなる群から選ばれた少なくとも一種を含有しても良い。外層材はさらに、周期表第2族元素、第3族元素からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有しても良い。
Coは基地中に固溶し、基地の熱間硬さを増加させ、外層の耐摩耗性及び耐肌荒れ性を改善する効果を有する。Coが0.1質量%未満では効果はほとんどなく、また5質量%を超えてもさらなる向上は得られないとともに原料コストアップになる。Co含有量の下限は好ましくは1質量%である。またCo含有量の上限は好ましくは3質量%であり、さらに好ましくは2.0質量%である。
V及びNbと同様に、ZrはCと結合してMC炭化物を生成し、外層の耐摩耗性を向上させる。また、Zrは溶湯中で結晶核として作用する酸化物を生成し、凝固組織を微細にする。さらに、ZrはMC炭化物の比重を増加させ、偏析防止に効果がある。しかし、Zrが0.5質量%を超えると、介在物となるので好ましくない。Zr含有量の上限はより好ましくは0.3質量%である。十分な添加効果を得るためには、Zrの含有量の下限はより好ましくは0.02質量%である。
TiはC及びNと結合し、TiC、TiN又はTiCNのような硬質の粒状化合物を形成する。これらは、MC炭化物の核となるため、MC炭化物の均質分散効果があり、外層の耐摩耗性及び耐肌荒れ性の向上に寄与する。しかし、Ti含有量が0.5質量%を超えると、溶湯の粘性が増加し、鋳造欠陥が発生しやすくなる。Ti含有量の上限はより好ましくは0.3質量%であり、最も好ましくは0.2質量%である。十分な添加効果を得るために、Tiの含有量の下限はより好ましくは0.01質量%である。
Alは酸素との親和性が高いため、脱酸剤として作用する。また、AlはN及びOと結合し、形成された酸窒化物が溶湯中に懸濁されて核となり、MC炭化物を微細均一に晶出させる。しかし、Alが0.5質量%を超えると、外層が脆くなる。また、Alが0.001質量%未満ではその効果が十分でない。Al含有量の上限はより好ましくは0.3質量%であり、最も好ましくは0.2質量%である。十分な添加効果を得るために、Alの含有量の下限はより好ましくは0.01質量%である。
周期表第2族元素及び第3族元素は、OやS元素との親和性が高く脱酸及び脱硫作用があるため、溶湯の清浄作用を持ち、鋳造欠陥発生を防止する作用がある。しかし、通常溶湯のOやS含有量を考慮すると、合計で0.1質量%を超えて添加してもその効果はない。これら合計の好ましい上限は、0.05質量%でありより好ましくは0.03質量%である。周期表第2族元素、第3族元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Ceなどが例示できる。
外層材の組成の残部は実質的にFe及び不可避的不純物からなる。不可避的不純物のうち、P及びSは機械的性質の劣化を招くので、少なくするのが好ましい。具体的には、Pの含有量は0.1質量%以下が好ましい。Sの含有量は0.05質量%以下が好ましい。その他の不可避的不純物として、Cu、Sb、Te等の元素を外層の特性を損なわない範囲で含有しても良い。外層の優れた耐摩耗性及び耐肌荒れ性を確保するために、Cuは、0.5質量%以下、Sb、Teはその合計で0.1%以下であるのが好ましい。
外層の組織は、(a)MC炭化物、(b)基地粒界の共晶炭化物、及び(c)基地からなり、MC炭化物を面積率で9~22%、基地粒界の共晶炭化物を面積率で2~10%含有するのが好ましい。基地粒界の共晶炭化物は、M2C、M6C、M7C3などである。金属Mは主にFe、Cr、Mo、V、Nb及びWの少なくとも一種であり、金属M、C及びBの割合は組成により変化する。本発明において、外層組織には黒鉛が存在しないのが好ましい。MC炭化物は、粒状で特に硬質であり、耐摩耗性に顕著な効果がある。面積率で9~22%のMC炭化物を含有することにより、耐摩耗性により優れた外層材質となる。MC炭化物は面積率で10~17%であるのがより好ましい。一方、基地粒界に形成する共晶炭化物は、基地を支える作用を持つため、圧延負荷による基地の組成流動を防止することによって、耐肌荒れ性の効果を発揮する。
(1)組成
本発明の圧延用遠心鋳造複合ロールの内層は、質量基準で2.4~3.6%のCと、1.5~3.5%のSiと、0.1~2%のMnと、0.1~2%のNiと、0.7%未満のCrと、0.5%未満のMoと、1%未満のVと、0.01~0.1%のMgとを含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鉄であるのが好ましい。
本発明の圧延用遠心鋳造複合ロールの内層は黒鉛が晶出した黒鉛鋳鉄からなる。黒鉛鋳鉄は黒鉛を含有しない白鋳鉄より軟らかく、変形能が大きい。黒鉛鋳鉄は、球状、片状、隗状等の黒鉛の形状に応じて分類される。特に、球状黒鉛が晶出した球状黒鉛鋳鉄は大きな強靭性を有するため、ロール内層材に好ましい。
本発明の圧延用遠心鋳造複合ロールについて説明したが、外層と内層との間に緩衝層を形成する目的で、外層と内層との中間的組成を有する中間層を設けることができる。中間層の厚さは10~30 mmが好ましい。
本発明の遠心鋳造製複合圧延ロールのサイズは特に限定されないが、好ましい例は、外層の外径が200~1300 mmで、ロール胴長が500~6000 mmで、外層の圧延使用層の厚さが25~200 mmである。
遠心鋳造複合ロールは、具体的には以下の方法により製造するのが好ましい。図2(a)及び図2(b)は、遠心鋳造用円筒状鋳型30で外層1を遠心鋳造した後に内層2を鋳造するのに用いる静置鋳造用鋳型の一例を示す。静置鋳造用鋳型100は、内面に外層1を有する円筒状鋳型30と、その上下端に設けられた上型40及び下型50とからなる。円筒状鋳型30は鋳型本体31と、その内側に形成された砂型32と、鋳型本体31及び砂型32の下端部に形成された砂型33とからなる。上型40は鋳型本体41と、その内側に形成された砂型42とからなる。下型50は鋳型本体51と、その内側に形成された砂型52とからなる。下型50には内層用溶湯を保持するための底板53が設けられている。円筒状鋳型30内の外層1の内面は内層2の胴芯部21を形成するためのキャビティ60aを有し、上型40は内層2の軸部23を形成するためのキャビティ60bを有し、下型50は内層2の軸部22を形成するためのキャビティ60cを有する。円筒状鋳型30を用いる遠心鋳造法は水平型、傾斜型又は垂直型のいずれでも良い。
表1-1及び表1-2に示す化学組成(残部はFe及び不可避的不純物である。)の各外層用溶湯を用いて、外径100 mm及び長さ160 mmのインゴットを鋳造した。このインゴットに対して、1060℃に加熱後、焼入れを行い、500~550℃で3回焼戻しを行った後、加工を行い、外径60 mm、内径35 mm及び幅40 mmのスリーブ構造の試験用ロール(外層材)を作製した。
圧延材:SUS304
圧下率:25%
圧延速度:150 m/分
圧延材温度:950℃
圧延距離:1000 m/回
ロール冷却:水冷
ロール数:4重式
図2(a)に示す構造の円筒状鋳型30を水平型の遠心鋳造機に設置し、表2-1及び表2-2に示す化学組成(残部はFe及び不可避的不純物である。)の各溶湯を用いて外層1を遠心鋳造した。外層外周における重力倍数は120 Gであった。外層1が凝固した後、内面に外層1が形成された円筒状鋳型30を起立させ、軸部22形成用の中空状下型50の上に円筒状鋳型30を立設し、円筒状鋳型30の上に軸部23形成用の中空状上型40を立設し、図2(b)に示す静置鋳造用鋳型100を構成した。
1・・・外層
2・・・内層
21・・・胴芯部
22、23・・・軸部
100・・・静置鋳造用鋳型
30・・・遠心鋳造用円筒状鋳型
32,33,42,52・・・砂型
40・・・静置鋳造用上型
50・・・静置鋳造用下型
60,60a,60b,60c・・・キャビティ
Claims (3)
- 質量基準で1.50~2.70%のCと、0.3~3%のSiと、0.1~3%のMnと、0.1~2.5%のNiと、4.0~7.0%のCrと、4.1~8.0%のMoと、5.0~10.0%のVと、0~0.4%のWと、0.1~3.0%のNbと、0.005~0.15%のNと、0~0.05%のBとを含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなるFe合金からなり、V含有量(質量%)とNb含有量(質量%)との比V/Nbが1~20.0であり、次式:
C-bal=C%-0.2×V%-0.06×Cr%-0.063×Mo%-0.033×W%-0.13×Nb%・・(1)
[ただし、C%、V%、Cr%、Mo%、W%及びNb%は、それぞれC、V、Cr、Mo、W及びNbの含有量(質量%)である。]
で示されるC-balが0~0.28であることを特徴とする圧延用遠心鋳造複合ロールの外層材。 - 請求項1に記載の圧延用遠心鋳造複合ロールの外層材において、
前記外層材がさらに、質量基準で0.1~5%のCo、0.01~0.5%のZr、0.05~0.5%のTi、及び0.001~0.5%のAlからなる群から選ばれた少なくとも一種を含有することを特徴とする圧延用遠心鋳造複合ロールの外層材。 - 請求項1又は2に記載の外層材からなる外層と、前記外層の内側に溶着一体化した内層とからなることを特徴とする圧延用遠心鋳造複合ロール。
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