JP2015080813A - 遠心鋳造製圧延用複合ロール - Google Patents

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Kazunori Kamimiyata
和則 上宮田
晋也 石川
Shinya Ishikawa
晋也 石川
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Abstract

【課題】圧延用複合ロールを遠心鋳造法にて製造する際に、遠心鋳造時の外層材内部における鋳造欠陥の発生を抑制するとともに十分に黒鉛を晶出させる。
【解決手段】外層材と内層材とを備える遠心鋳造製圧延用複合ロールにおいて、 前記外層材は、化学成分が質量比で、C : 1.5 〜 4.0%、Si:0.5 〜 3.0%、Mn:0.1 〜 1.5%、Ni: 1.0 〜 6.0%、Cr: 0.1 〜 3.0%、Mo: 0.1 〜 3.0%、V : 1.0 〜6.0%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式および(2)式の両方を満足する。
4.0≦V+C≦8.0 ・・・(1)
0.2≦Si/ (Cr + 2V)≦0.3 ・・・(2)
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐摩耗性を付与するためにMC炭化物を晶出させた外層材に、さらに黒鉛を晶出させて耐焼付性を兼備させた遠心鋳造製圧延用複合ロールに関する。
近年、鉄鋼例えば形鋼、薄板、厚板等の熱間圧延分野においては、鋼板の板厚精度向上や表面品質向上の要求が高まっている。また、熱間圧延用ロールに対しても、高い耐摩耗性が求められてきており、薄鋼板を製造する熱間仕上圧延機の前段においては、ハイス系鋳鉄ロールの適用が進んできている。
一方、熱間仕上圧延機の後段においては、例えば鋼板の蛇行に起因して2枚の鋼板が圧延ロールに噛み込むような、いわゆる絞り事故が生じる確率が高くなる。この絞り事故発生時には、鋼材が圧延ロールに焼付くことが主因となり、圧延ロールに深いクラックが入ることがある。特に、ハイス系鋳鉄ロールの耐焼付性はあまり高くないため、熱間仕上圧延機の後段にハイス系鋳鉄ロールを用いた場合には、ロールにクラックが入りやすくなってしまう。このため、従来、熱間仕上圧延機の後段においては、高合金グレン鋳鉄ロールが主に使用されていた。
高合金グレン鋳鉄ロールは、黒鉛、炭化物および基地組織からなり、特に耐焼付性に優れているため、絞り事故が発生した際も、ロールのクラックの発生・進展が極めて少ない、つまり耐事故性に優れるという特徴がある。
しかしながら、高合金グレン鋳鉄ロールは、ハイス系鋳鉄ロールに比較すると耐摩耗性が劣るため種々の改善が行われている。例えば、高合金グレン鋳鉄ロールが有している課題、即ち、耐摩耗性を改善する先行技術として、特許文献1に開示されている。この技術は、MC系(セメンタイト)の炭化物及び黒鉛を有し耐焼付性に優れた従来の高合金グレン鋳鉄材に、例えばV、Nb等の添加によるMC炭化物等の硬質炭化物を共存させ、耐焼付性を確保すると共に耐摩耗性を向上させようとする技術である。
また、ハイス系鋳鉄ロールが有している課題、即ち、耐焼付性を改善する先行技術として、特許文献2に開示されている。この技術は、連続肉盛り鋳造法において、鋼製軸に溶着する位置の近傍にSi含有接種材を供給するという手段で、ハイス系鋳鉄ロールの外層材に黒鉛を晶出させることを特徴とする技術である。
特許第3307501号公報 特許第3205745号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている圧延用複合ロールは、耐摩耗性を向上させるためのMC炭化物形成元素であるVを増加させると、黒鉛の晶出が困難となり耐焼付性が損なわれるという問題があった。これに加えて、外層材のロール内面側に偏析層に伴う鋳造欠陥が発生しやすく、これらを起点に、製造時および圧延使用時にスポーリング等の割損トラブルが発生する危険性があった。
また、特許文献2に開示されている圧延用複合ロールも、耐摩耗性を向上させるためのMC炭化物形成元素であるVを増加させると、黒鉛の晶出が困難となり耐焼付性が損なわれるという問題があった。また、連続肉盛り鋳造法という手段に限定されるため、製造コストが高いという問題があった。
前記の従来技術の課題に鑑み、本発明の目的は、圧延用複合ロールを遠心鋳造法にて製造する際に、複合ロールの外層材において、MC炭化物形成元素であるVの含有量を増加させた場合においても、遠心鋳造時の外層材内部における鋳造欠陥の発生を抑制するとともに、十分に黒鉛を晶出させることが可能な成分設計条件を見出すことにより、耐摩耗性と耐焼付性を両立させることを実現した遠心鋳造製圧延用複合ロールを提供することにある。
本発明は、前期課題を解決するためになされたもので、その発明の要旨とするところは、
(1)外層材の化学成分が質量比で、
C : 1.5 〜 4.0%、
Si: 0.5 〜 3.0%、
Mn: 0.1 〜 1.5%、
Ni: 1.0 〜 6.0%、
Cr: 0.1 〜 3.0%、
Mo: 0.1 〜 3.0%、
V : 1.0 〜 6.0%、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式および(2)式の両方を満足することを特徴とする、遠心鋳造製圧延用複合ロール。
4.0≦V+C≦8.0 ・・・(1)
0.2≦Si/ (Cr + 2V)≦0.3 ・・・(2)
(2)内層材が高級鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄で形成されていることを特徴とする、(1)に記載の遠心鋳造製圧延用複合ロール。
(3)更に、外層材には化学成分が質量比で、Nb:0.1 〜 3.0%、Ti: 0.005 〜 0.3%、W:0.01 〜 2.0%、Co:0.01〜 2.0%、B:0.001 〜 0.1%のうち1種以上を含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の遠心鋳造製圧延用複合ロール。
本発明によれば、遠心鋳造法で製造される複合ロールの外層材において、MC炭化物形成元素であるVの含有量を増加させた場合においても、遠心鋳造時の外層材内部における鋳造欠陥の発生を抑制するとともに、十分に黒鉛を晶出させることができる。これにより、耐摩耗性と耐焼付性を両立させた遠心鋳造製圧延用複合ロールを製造することができ、その工業的な効果は多大である。
本発明に係る複合ロールは、外層材の化学成分を所定の範囲に限定し、かつ、下記(1)式および(2)式を同時に満足することが必要となる。これにより、耐焼付性を確保したまま、耐摩耗性を向上させた遠心鋳造製圧延用複合ロールの製造が可能となる。
4.0≦V+C≦8.0 ・・・(1)
0.2≦Si/ (Cr+2V)≦0.3 ・・・(2)
以下に、まず、本発明に係る外層材の化学成分について、その限定理由を説明する。なお「%」の表記は「質量%」を示す。
(C:1.5 〜 4.0%)
Cは、主として、黒鉛及びFe、Cr、Mo、Nb、V、W等と結合してMC系(セメンタイト)やMC系等種々の炭化物を形成する。また、マトリックス中に固溶され、ベイナイトやマルテンサイト相を生成する。多量に含有させるほど、耐摩耗性の向上には有効であるが、4.0%を超えると、粗大な炭化物や黒鉛が形成され、靱性の低下や肌荒れの原因となる。また、1.5%未満だと炭化物量が少なく、また、硬度の確保が難しく、耐摩耗性の劣化が起こる。したがって、その範囲を1.5〜4.0%とした。より好ましい範囲は2.0%〜3.0%である。
(Si:0.5 〜 3.0%)
Siは、黒鉛の晶出を目的として添加する。しかし、0.5%未満だとその効果が不十分であり、逆に3.0%を超えると靱性を低下させるため、その範囲を0.5〜3.0%とした。黒鉛を晶出させるという観点では、Siの含有量は多い方が好ましく、Siの含有量のより好ましい範囲は1.0%〜3.0%である。更に好ましくは1.5%〜3.0%である。
(Mn:0.1 〜 1.5%)
Mnは、脱酸、脱硫作用を目的として添加する。しかし、0.1%未満だとその効果が不十分であり、また、1.5%を超えると靱性を低下させるため、その範囲を0.1〜1.5%とした。より好ましい範囲は0.3%〜1.2%である。
(Ni:1.0 〜 6.0%)
Niは、マトリックス中に固溶されて、基地組織のベイナイトやマルテンサイトを安定化させる。そのためには、1.0%以上を含有させる必要がある。しかし、6.0%を越えて含有させた場合、残留オーステナイト量が過大となり、硬度の確保が困難になったり、鋼板の熱間圧延中にロールの変形等を起こすことがある。したがって、その範囲を1.0〜6.0%とした。より好ましい範囲は2.0%〜5.5%である。
(Cr:0.1 〜 3.0%)
Crは、焼入性の増加、硬度の増加、焼き戻し軟化抵抗の増加、炭化物硬度の安定化等のために添加する。しかし、3.0%を超えると共晶炭化物量が過大となり、靱性が低下するため、上限を3.0%とした。一方、0.1%未満であると前記効果が得られなくなる。したがって、その範囲を0.1〜3.0%とした。より好ましい範囲は0.5%〜2.5%である。
(Mo:0.1 〜 3.0%)
Moは、マトリックス中に固溶されて基地組織を強化すると共に、Cと結合して炭化物を形成する。基地組織強化のためには、0.1%以上の含有が必要であるが、3.0%を超えると、粗大炭化物が形成され靱性が低下する。したがって、その範囲を0.1〜3.0%とした。
(V:1.0 〜 6.0%)
Vは、特に耐摩耗性を向上させるために重要な元素である。即ち、VはCと結合して耐摩耗性に大きく寄与するMC炭化物を形成する重要な元素である。1.0%未満では、MC炭化物量が不十分で耐摩耗性の向上が不十分となる。したがって、1.0%を下限とした。一方、6.0%を超えると、MC炭化物が粗大化しすぎて靱性の低下に繋がるとともに、黒鉛化を著しく阻害する。さらに、低密度のMC炭化物が初晶として単独で晶出してしまい、複合ロールを遠心鋳造法で製造する場合には、当該MC炭化物の密度が溶湯の密度に比べ小さいことから、著しい重力偏析が発生する。したがって、6.0%を上限とした。より好ましい範囲は2.0%〜5.5%である。
本発明に係るロール外層材の基本成分は、上記のとおりであるが、ロールのサイズ、要求されるロールの使用特性等により、その他の化学成分として、前記の基本成分に加えて、さらに以下に記載する化学成分を適宜選択して含有してもよい。
(Nb:0.1 〜 3.0%)
本発明に係る複合ロールは、上記必須元素の他にNbを含有することができる。Nbは、マトリックス中にほとんど固溶されず、そのほとんどが高硬度のMC炭化物を形成して、耐摩耗性を向上させる。特に、Nbの添加で生ずるMC炭化物は、Vの添加で生ずるMC炭化物に比べ、溶湯密度との差が小さいため、遠心鋳造による重力偏析の発生が少ない。さらに、Nb添加の場合、V添加と比較して黒鉛化阻害作用が極めて小さい。したがって、Nbの添加有無の選択については、例えばMC炭化物の重力偏析を軽減したい場合や、黒鉛晶出量を増加させたい場合に添加するとその効果がより大きい。Nbの添加量については、0.1%未満ではその効果が不十分であり、3.0%を越えて含有させた場合、MC炭化物が初晶として粗大なデンドライト状に晶出するため、靱性の低下に繋がる。したがって、Nbを添加する場合は、その範囲を0.1〜3.0%とする。
(Ti:0.005 〜 0.30%)
本発明に係る複合ロールは、上記必須元素の他にTiを含有することができる。Tiは、NおよびOとの脱ガス作用が期待できるとともに、TiCNもしくはTiCを形成して、MC炭化物の晶出核にもなり得る。Tiの含有量が0.005%未満ではその効果が期待できず、0.30%を超えると溶湯の粘性が高くなり、鋳造欠陥を誘発する危険性が高くなる。したがって、Tiを添加する場合は、その範囲を0.005〜0.30%とする。
(W:0.01 〜 2.0%)
本発明に係る複合ロールは、上記必須元素の他にWを含有することができる。Wは、Moと同様にマトリックス中に固溶されて基地組織を強化すると共に、Cと結合してMCやMC等の共晶炭化物を形成し耐摩耗性が向上する。基地強化のためには、0.01%以上の含有が必要であるが、2.0%を超えると、粗大共晶炭化物が形成されて靱性が低下する。したがって、Wを添加する場合には、その範囲を0.01〜2.0%とする。なお、Wの添加有無の選択については、例えば、共晶炭化物増量により耐摩耗性の向上を図る場合に添加するとその効果がより大きい。
(Co:0.01 〜 2.0%)
本発明に係る複合ロールは、上記必須元素の他にCoを含有することができる。Coは、ほとんどがマトリックス中に固溶され、基地組織を強化する。そのため、高温での硬度及び強度を向上させる作用を有している。0.01%未満ではその効果が不十分であることから、下限を0.01%とする。一方、2.0%を越えるとその効果が飽和するため、経済性の観点からも2.0%を上限とする。なお、Coの添加有無の選択については、例えば、耐摩耗性の向上が要求され、共晶炭化物の増量が困難である場合に添加するとその効果が大きい。
(B:0.001 〜 0.10%)
本発明に係る複合ロールは、上記必須元素の他にBを含有することができる。Bは、0.001%以上で焼入性が高まり、靱性の低下を防ぐとともに、晶出する黒鉛を均一微細分散化させる効果がある。しかし、過剰になると、靱性が低下するため、0.1%以下に抑える必要がある。したがって、Bを添加する場合は、その範囲を0.001〜0.10%とする。より好ましい範囲は0.005%〜0.08%である。なお、Bの添加有無の選択については、例えば、耐肌荒れ性向上が要求される場合に添加するとその効果がより大きい。
(P:0.2%以下、S:0.1%以下)
P、Sは、原材料より不可避的に混入するものであり、材質を脆くするため、少ないほど好ましい。したがって、Pを0.2%以下、S:0.1%以下に制限することが好ましい。
また、本発明に係る複合ロールの外層材の化学成分については、下記(1)式および(2)式を満たす必要がある。
4.0≦V+C≦8.0 ・・・(1)
0.2≦Si/(Cr+2V)≦0.3 ・・・(2)
一般に、耐摩耗性を向上させるためには、MC炭化物形成元素であるVの含有量を増加させることが有効であると考えられるが、従来技術においては、Vの含有量を増加させると、遠心鋳造時に発生する外層材内の偏析に伴う鋳造欠陥が発生しやすく、ロールの製造時および圧延使用時にスポーリング等の割損トラブルが発生する危険性が高まる。また、Vを1.0%以上含有させると、耐焼付性を付与するための黒鉛の晶出を阻害する作用が顕著となり、黒鉛の晶出が認められないという品質バラツキが多発し、耐焼付性を損なうこととなる。
しかしながら、本願発明者らにより、外層材の化学成分が上記(1)式と(2)式を同時に満足するように規定されれば、外層材のV含有量を1.0%以上に増加させた場合においても、偏析に伴う鋳造欠陥の発生を抑制できるとともに、耐焼付性を付与するために重要な黒鉛の晶出を阻害しないことが見出された。これにより、Vの含有量の増加と黒鉛の晶出を両立させた遠心鋳造製複合ロールを安定的に製造することが可能となった。
また、前述の特許文献1や特許文献2のような鋼系の内層材を用いて遠心鋳造法で複合ロールを製造する場合には、外層材と、外層材より融点の高い鋼系内層材とが溶融し、外層材と内層材との接合部(以下、「境界部」という)が形成されることになる。このとき、複合ロールの内層材が鋼系の材質である場合、外層材と内層材との境界部が最終凝固部となり、該境界部に鋳巣、引け巣等の鋳造欠陥が発生しやすくなる。
さらに、複合ロールの内層材が鋼系の材質である場合には、前述の製造上の課題とともに、従来から一般的に使用されている高合金グレン鋳鉄ロールと比較して、圧延時の熱膨張量が大きく、通板性に問題があり、特に、熱延後段スタンドでは絞り事故発生の確率が高くなるという課題もある。
これに対して、本願発明者らは、高級鋳鉄(強靭鋳鉄)、または球状黒鉛鋳鉄で形成された内層材を用いることが好ましいとの知見を得た。このような内層材を用いれば、外層材の融点と内層材の融点との差が極めて小さくなる。この結果、最終凝固部は内層材の押湯部(製品外)となり、外層材と内層材との境界部において、鋳巣・引け巣等の鋳造欠陥が無い健全なロールの製造が可能となる。さらに、鋼と比較して熱膨張が小さいため、絞り事故の発生を減少させることもできる。なお、Cが2.5%より低いと内層材の収縮量が大きくなるため、下限は2.5%とすることが好ましい。一方4.0%を超えると黒鉛晶出量が過大となり、内層材の強靭性が劣化するため、上限は4.0%とすることが好ましい。
ここで、本発明に係る複合ロールの内層材として用いる高級鋳鉄(強靭鋳鉄)の好適な組成例(mass%)を示す。
C : 2.5 〜 4.0%、
Si: 0.8 〜 2.5%、
Mn: 0.2 〜 2.0%、
P : 0.2%以下、
S : 0.1%以下、
Ni: 5.0%以下、
Cr: 2.0%以下、
Mo: 2.0%以下、
残部: 外層材から混入する前記の外層材構成元素および実質的にFe。
また、球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)の好適な組成例(mass%)も示す。
C : 2.5 〜 4.0%、
Si: 1.5 〜 3.5%、
Mn: 0.2 〜 2.0%、
P : 0.2%以下、
S : 0.1%以下、
Ni: 5.0%以下、
Cr: 2.0%以下、
Mo: 2.0%以下、
Mg: 0.01〜0.1%
残部: 外層材から混入する前記の外層材構成元素および実質的にFe。
なお、外層材から内層材へ混入する合金元素量を抑制したい場合等には、外層材と内層材との間に中間層を設けることも可能である。
下記表1に示す化学成分、即ち、No.1〜No.28からなる複合ロールを遠心鋳造法により、内層径600mm、ロール外径800mm、外層材厚100mm、胴長2400mmの熱延仕上用ロールを製作した。溶解温度は1550℃、鋳込み温度は、凝固点+100℃である。鋳造後、430℃で30時間加熱し、徐冷することにより残留オーステナイトの分解と歪取りを行った。なお、実際の圧延用ロールを製造する場合には、硬度仕様に合わせて、焼き入れ・焼き戻し等の熱処理を実施してもよい。
Figure 2015080813
なお、表1中の下線部は、外層材の化学成分が前述の範囲の範囲外にある場合や、下記(1)式や(2)式を満足していない場合を示している。
その後、前記複合ロールにおける外層材の内部および外層材と内層材との境界部における鋳造欠陥の有無を確認するため、超音波探傷検査にて、その欠陥の有無を調査した。さらに、外層部におけるミクロ組織調査により黒鉛晶出の有無を調査した。
その結果、本発明に係る外層材成分設計条件である下記(1)式と(2)式を同時に満足させたNo.1〜15およびNo.26〜28のロールにおいては、外層材において黒鉛の晶出が認められた。また、外層材の内部において有害な鋳造欠陥は検出されなかった。この結果は、(1)式と(2)式を同時に満足させることで、前述の問題を解決できることが示している。
4.0≦V+C≦8.0 ・・・(1)
0.2≦Si/(Cr+2V)≦0.3 ・・・(2)
次に、内層材に鋳鋼を適用したNo.26〜28の複合ロールにおいては、いずれも外層材と内層材の境界部に鋳造欠陥が検出された。これは、複合ロールの外層材と融点の高い鋼系内層材とが溶融し、外層材と内層材との境界部が最終凝固部となったために、該境界部に鋳巣、引け巣等が発生したためと考えられる。
一方、内層材に球状黒鉛鋳鉄を適用したNo.1〜15およびNo.16〜25の複合ロールにおいては、いずれも境界部での鋳造欠陥は皆無であった。これは、溶融点が外層材とほぼ同等の内層材を選択した効果が顕著に認められたものである。つまり、溶融点が外層材とほぼ同等の内層材を適用したことにより、内層材の凝固において、外層材近傍(境界部)から内部に向かって凝固が進行する指向性凝固が確保されたためである。
本実施例の結果から、遠心鋳造製圧延用複合ロールにおいて、外層材の化学成分を所定の範囲内にすると共に、上記(1)式と(2)式の両方を満足するように規定することにより、MC炭化物形成元素であるVの含有量を増加させた場合においても、遠心鋳造時の外層材内部における鋳造欠陥の発生を抑制することができ、十分に黒鉛を晶出させることができる。また、内層材として球状黒鉛鋳鉄を用いることにより、外層材と内層材との境界部における鋳造欠陥の発生も抑制することができる。なお、本願発明に係る実施例においては、内層材として球状黒鉛鋳鉄を用いたが、球状黒鉛鋳鉄と同様に、強度や靱性の大きい高級鋳鉄を内層材として用いても同様の結果が得られると推認される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、圧延用複合ロールの遠心鋳造法を用いた製造に適用することができる。

Claims (3)

  1. 外層材と内層材とを備える遠心鋳造製圧延用複合ロールであって、
    前記外層材は、化学成分が質量比で、
    C : 1.5 〜 4.0%、
    Si: 0.5 〜 3.0%、
    Mn: 0.1 〜 1.5%、
    Ni: 1.0 〜 6.0%、
    Cr: 0.1 〜 3.0%、
    Mo: 0.1 〜 3.0%、
    V : 1.0 〜 6.0%、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式および(2)式の両方を満足することを特徴とする、遠心鋳造製圧延用複合ロール。
    4.0≦V+C≦8.0 ・・・(1)
    0.2≦Si/ (Cr + 2V)≦0.3 ・・・(2)
  2. 前記内層材は、高級鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の遠心鋳造製圧延用複合ロール。
  3. 前記外層材が更に、Nb:0.1 〜 3.0%、Ti: 0.005 〜 0.3%、W:0.01 〜 2.0%、Co:0.01〜2.0%、B:0.001 〜0.1%のうち1種以上を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の遠心鋳造製圧延用複合ロール。
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