JP2003342669A - 熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール - Google Patents

熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール

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JP2003342669A JP2002155440A JP2002155440A JP2003342669A JP 2003342669 A JP2003342669 A JP 2003342669A JP 2002155440 A JP2002155440 A JP 2002155440A JP 2002155440 A JP2002155440 A JP 2002155440A JP 2003342669 A JP2003342669 A JP 2003342669A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐焼付き性および耐肌荒れ性がと
もに優れた、熱間圧延用ロール外層材及び熱間圧延用複
合ロールを提案する。 【解決手段】外層材の組成を、C:2.4 〜3.2 %、Si:
0.9 〜2.5 %、Mn:0.2〜1.5 %、Cr:0.8 〜2.5 %、M
o:1.2 〜4.0 %、Ni:2.0 〜7.0 %、V:1.5〜2.7
%、Nb:0.1 〜0.8 %、B:0.020 〜0.2 %、REM :0.
0006〜0.040 %、を含み、かつC、Cr、Nb、V含有量
が、1.8 ≦ C−(0.236×V+0.129 ×Nb)≦ 2.6 、C
r/C <1.0 、3.0 ≦ Cr+V ≦4.6 (ここで、
C、V、Nb、Cr:各元素の含有量(質量%))を満足
し、さらに、Ti:0.05%未満、Al:0.1%以下のうちか
ら選ばれた1種または2種を含み、残部Feおよび不可避
的不純物からなる組成とし、組織を黒鉛を含む組織とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延用複合ロ
ールに係り、とくに耐摩耗性、耐焼付き性および耐肌荒
れ性に優れ、鋼板の熱間圧延仕上ミル用や継目無鋼管造
管用として好適な熱間圧延用複合ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼板や鋼管の熱間圧延技術の進歩
はめざましく、それに伴い、使用される熱間圧延用ロー
ルの特性、とくに耐摩耗性の向上が強く要求されてき
た。このような耐摩耗性向上の要求に対し、外層組成を
高速度工具鋼組成に類似した組成とし、硬質な炭化物を
析出させて、耐摩耗性を格段に向上させた高性能ロール
(ハイス系ロール)が開発され実用化されている。
【0003】一方、被圧延材の焼付きが生じやすい圧延
スタンドやミルでは、黒鉛を含有し耐焼付き性に優れた
Niグレン鋳鉄ロールが組み込まれて熱間圧延が行われて
きた。熱間圧延用ロールに黒鉛を含有させることは、黒
鉛が潤滑性に富むことから焼付き防止には有効である。
しかし、従来のNiグレン鋳鉄ロールは、耐摩耗性が劣
り、そのためロール寿命が短いという問題があった。一
方、耐摩耗性に優れたハイス系ロールは、焼付きや粗大
絞り亀裂の生成など耐事故性の観点で問題があり、例え
ば、鋼板の絞り圧延事故の発生頻度が高い鋼板の熱間圧
延仕上後段スタンドでは、ハイス系ロールを安定して使
用することはできず、依然として、多量のNiグレン鋳鉄
ロールが使用されている。
【0004】このような問題に対し、例えば、特開平1-
287248号公報には、Niグレン鋳鉄に1.0 〜5.0 %のVを
添加し、耐摩耗性を向上させるとした熱間圧延用ロール
が提案されている。また、特開平6-335712号公報には、
Niグレン鋳鉄に2.0 〜8.0 %のVを添加し、0.5 〜5%
の黒鉛に加えて0.2 〜10%のMC型炭化物を出現させて耐
摩耗性を向上させるとした熱間圧延用ロールが提案され
ている。さらに特開平6-256889号公報には、2〜10%の
Crと0.1 〜10%のWと、V、Nbのうちの1種または2種
を合計で1.5 〜10%を含み、黒鉛を有するハイス系鋳鉄
材が提案されている。
【0005】また、鋼板圧延と同様に鋼管圧延において
も、熱間圧延用ロールへの耐焼付き性と耐摩耗性の向上
が強く要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近では、圧
延製品の品質向上と効率的生産のため、圧延速度の増加
や連続圧延量の増加などが指向されており、熱間圧延用
ロールの使用環境はますます過酷化している。さらに、
被圧延材の高合金化や圧延製品の表面品質要求の厳格化
などにより、耐摩耗性と耐焼付き性に優れるとともに、
耐肌荒れ性にも優れた熱間圧延作業ロールが熱望される
ようになった。
【0007】例えば、特開2001-20335号公報に、Nb、W
の含有量を制御して、炭化物の重力偏析を抑制し、肌荒
れの発生を抑制した熱間圧延用ロールが提案されてい
る。また、特開2001-181780 号公報には、成分調整し、
2%以上の黒鉛を晶出させ、肌荒れの発生を抑制した耐
摩耗性熱間圧延用ロールが提案されている。しかしなが
ら、特開2001-20335号公報、特開2001-181780 号公報に
記載された技術で製造された熱間圧延用ロールでは、耐
摩耗性、耐焼付き性および耐肌荒れ性を同時に満足する
ことは不可能であった。
【0008】本発明は、上記した従来技術の問題を有利
に解決し、耐摩耗性、耐焼付き性および耐肌荒れ性がと
もに優れた、熱間圧延用ロール外層材及び熱間圧延用複
合ロールを提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、熱間圧延用ロールの耐摩耗性、
耐焼付き性、耐肌荒れ性に影響する種々の要因について
鋭意検討した。V、Nb、CrおよびWの多量添加で耐摩耗
性が向上することは、 従来からよく知られたことであ
り、とくに、V、Nbは、耐摩耗性向上に極めて大きな効
果を有し、必要最低限の耐摩耗性を確保するうえでは、
1.5 質量%以上のV含有を必要とする。しかし、本発明
者らの検討によれば、黒鉛を晶出するような成分系でV
を1.5 質量%以上含有すると、羽毛状の粗大なMC炭化
物が晶出する。この粗大なMC炭化物は熱間圧延におい
てロール表面に凸状に残存し、肌荒れを誘引する。本発
明者らは、粗大なMC炭化物の晶出抑制方法について、
更なる検討を行い、Nbの添加が有効であることを見出し
た。Nbは、炭化物を形成しMC炭化物の晶出核となるこ
とで、MC炭化物の粗大化を抑制する作用を有する。し
かし、Nbの添加のみでは、耐肌荒れ性を向上することは
困難である。
【0010】さらにNb炭化物の生成核となるAlやTiを含
有することにより、Nb炭化物を微細に分散せしめ、微細
分散したNb炭化物を核にMC炭化物を生長させること
で、MC炭化物の粗大化を抑制し、耐肌荒れ性を改善す
ることができるという知見も得た。なお、Nb、Al、Tiを
含有した場合でも、肌荒れを抑制するためには、Vは2.
7 質量%以下に限定する必要がある。
【0011】また、本発明者らは、さらに耐摩耗性を向
上させる目的でCrやWを増量すると、肌荒れが一層顕著
になり、また、V(Nb)、Cr、Wを同時に増量すると、
耐焼付き性が劣化するという知見も得た。本発明者ら
は、CrやWで形成される共晶炭化物が肌荒れを促進した
り、焼付きを発生させるためと考え、Cr量を最低限に抑
え、Wを無添加とし、その上でMoを増量することを思い
付いた。これにより、Cr量増加材やW添加材に比べて耐
摩耗性が向上し、肌荒れも抑制される傾向となることを
知見した。
【0012】また、本発明者らは、耐肌荒れ性向上のた
めに、共晶炭化物を減少させる方法として、有効C量
(=C−(0.236×V+0.129 ×Nb))を低減することを
考えた。VとNbによってMC炭化物の形成に消費された
残りのC量(有効C量)が、共晶炭化物や黒鉛の形成に
寄与する。しかし、有効C量を低減すれば、共晶炭化物
が減少し耐肌荒れ性は向上すると考えられるが、耐焼付
き性に効果がある黒鉛も減少する。そこで、本発明者ら
は、有効C量を厳格に調整すれば、耐焼付き性と耐肌荒
れ性を兼備させることも可能であると考えた。
【0013】まず、本発明者らが行った基礎的実験結果
について、説明する。質量%で、2.1 〜3.9 %Cー1.9
%Si−0.4 %Mn−4.5 %Ni−1.6 %Cr−2.4%Mo−2.0
%V−0.4 %Nb−0.05%Al−0.07%B−0.002 %REM −
残部Feを含有する溶湯を溶製し、厚さ35mmのY型キール
ブロックを作製し、試験材とした。これら試験材から試
験片を採取し、焼付き試験、摩耗試験を実施した。ま
た、3.2%C−1.9 %Si−0.4 %Mn−4.5 %Ni−1.6 %C
r−2.4 %Mo−0.5 %Nb−0.05%Al−0.07%B−0.003 R
EM を含有し、さらにVを2.8 %、あるいは3.5 %含有
し、残部Feの溶湯(有効C量:2.4 、2.2 )を溶製し、
同様に試験材とし、摩耗試験を実施した。
【0014】焼付き試験は、図3に示すように、高周波
加熱コイルにより900 ℃に加熱され、150rpmで回転する
円板状の相手材(材質:SUS410、大きさ:190mm φ)を
25mm厚の板状試験片に100kgf(980 N)で10s間圧接し
た。試験後、板状試験片の表面を観察し、表面に相手材
の焼付き(へばりつき)が認められる場合を、「焼付き
有り」とし、相手材の焼付き(へばりつき)が認められ
ず摩耗している場合を、「焼付き無し」とした。
【0015】また、摩耗試験は、相手材(材質:S45C、
大きさ:190mm φ)と試験片(大きさ:60mmφ)の2円
盤すべり摩耗方式で実施した。回転数700rpmで回転させ
ながら、相手材を800 ℃に加熱し、試験片を水冷し、試
験片と相手材のすべり率を10%として、荷重100kgf(98
0 N)で圧接しながら150min間転動させた。試験後、試
験片の摩耗減量(摩耗量)を測定した。さらに試験片表
面の肌荒れ状況を目視で観察すると共に、肌荒れの大き
な部分について、試験片周辺方向に10mmの長さにわた
り、 触針式粗さ計を用いてJIS B 0601の規定に準拠して
粗さ曲線を求め、十点平均粗さRz を求めた。
【0016】得られた結果を、有効C量:{C−(0.23
6 ×V+0.129 ×Nb)}との関係で図1に示す。なお、
Cr,C,V,Nbは、各元素の含有量(質量%)である。
有効C量が3.2 %と3.4 %の試験片(図中の×印)で
は、大きな肌荒れの発生と同時に摩耗量が他の2質量%
Vを含有する試験片の1.3 倍以上に増加して、耐摩耗性
の著しい低下がみられた。
【0017】図1から、有効C量が2.6 %を超えると、
十点平均粗さ(Rz )が著しく増加し、著しい肌荒れが
発生することがわかる。また、有効C量が1.8 %未満で
は焼付きが発生している。有効C量を1.8 〜2.6 %の範
囲に限定することにより、耐焼付き性、耐肌荒れ性を兼
備した熱間圧延用ロールが得られるという知見を得た。
【0018】なお、図1から、この有効C量の範囲内で
も、V量が2.8 質量%(▲部)、3.5 質量%(■部)と
高くなると、著しい肌荒れが発生することがわかる。有
効C量が所定の範囲内であっても、耐肌荒れ性が劣化す
る場合があり、本発明者らは、更なる検討を行った。優
れた耐摩耗性、優れた耐肌荒れ性および優れた耐焼付き
性を兼備した熱間圧延作業用ロールとするためには、有
効C量を1.8 〜2.6 %の範囲に調整したうえで、さらに
CrとVの合計含有量(Cr+V)を、所定範囲内に調整す
る必要があることを知見した。Crは、硬質な共晶炭化物
を形成して耐摩耗性を向上するがCr量を増加すると共晶
炭化物が増加し、耐肌荒れ性が劣化する。また、Vは、
耐摩耗性向上に極めて有用であるがV量が増加するとMC
型炭化物が粗大化して肌荒れが発生する。このため耐肌
荒れ性と耐摩耗性を両立するには、Cr量とV量を好適範
囲にバランスさせることが有効となる。
【0019】次に、このような知見を得た基礎的な実験
結果について、説明する。質量%で、2.9 %C−1.8 %
Si−0.5 %Mn−4.5 %Ni−1.86〜1.92%Cr−2.3%Mo−
1.01〜3.43%V−0.29〜0.35%Nb−0.05%Al−0.06%B
−0.015 %REM −残部Feを含有する溶湯を溶製し、厚さ
35mmのY型キールブロックを作製し、試験材とした。な
お、試験材の有効C量は2.09〜2.64%であった。これら
試験材から試験片を採取し、摩耗試験を実施した。
【0020】摩耗試験は、相手材(材質:S45C、大き
さ:190mm φ)と試験片(大きさ:60mmφ)の2円盤す
べり摩耗方式で実施した。回転数700rpmで回転させなが
ら、相手材を800 ℃に加熱し、試験片を水冷し、試験片
と相手材のすべり率を10%として、荷重100kgf (980 N)
で圧接しながら150min間転動させた。試験後、試験片の
摩耗減量(摩耗量)を測定した。さらに試験片表面の肌
荒れ状況を目視で観察し、肌荒れの大きな部分について
試験片周辺方向に10mmの長さにわたり、 触針式粗さ計を
用いてJIS B 0601の規定に準拠して粗さ曲線を求め、十
点平均粗さRz を求めた。
【0021】得られた結果を、(Cr+V)との関係で図
2に示す。なお、Cr,Vは、各元素の含有量(質量%)
である。図2から、(Cr+V)が3.0 未満では摩耗量が
増大し、 耐摩耗性が低下することがわかる。また、(Cr
+V)が4.6 を超えて増大すると、表面粗さ(Rz)が増
大し耐肌荒れ性が劣化していることがわかる。本発明者
らは、耐摩耗性と耐肌荒れ性をともに向上させるため
に、CrとVの合計含有量(Cr+V)を3.0 〜4.6 の範囲
に限定する必要があることを知見した。
【0022】また、本発明者らは、共晶炭化物量の増加
を抑制するため、あるいは、基地や炭化物へのCr濃化に
起因した焼付きの発生を防止するために、Cr/Cを1.0
未満に制限する必要があることを知見した。また、本発
明者らは、耐焼付き性を向上させるために、ロール組織
中に黒鉛を有することが重要であることに鑑み、黒鉛の
晶出を促進する要因について検討した。黒鉛晶出を促進
するには、炭化物形成元素を減ずること、炭化物形成を
促進するO、Nを低減すること、黒鉛の核となる物質を
添加することが考えられる。
【0023】Cr含有量を低減し、Wを添加しないという
手段は、Cr、Wが強力な炭化物形成元素であることか
ら、黒鉛晶出には有利となる。また、AlやTiの含有は、
AlやTiがO、Nを固定する作用を有していることから、
黒鉛晶出には有利となる。しかし、これらの手段だけで
は、優れた耐摩耗性と耐肌荒れ性を維持しつつ、優れた
耐焼付き性を有する熱間圧延作業用ロールとすることは
難かしい。そこで、本発明者らは、さらに検討を行なっ
た結果、さらに加えてBを含有することにより耐焼付き
性が向上することを見出した。
【0024】上記した成分調整により、黒鉛とMC型炭
化物と共晶炭化物と基地が共存する組織を有するロール
が得られるが、熱間圧延作業用ロールとしてはさらに粗
大片状黒鉛の晶出を防止する必要がある。粗大片状黒鉛
は、切欠きとして作用し、ロールの圧延表面の欠け落ち
を発生させて、肌荒れと摩耗量を増加させる。本発明者
らは、粗大片状黒鉛の生成を抑制する要因について鋭意
検討し、微量のREM を含有することにより、粗大片状黒
鉛の晶出が抑えられ、微細片状、塊状、球状のいずれか
の黒鉛が出現し、黒鉛形態が改善されること見出した。
【0025】本発明は、上記した知見に基づいて、さら
に検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発
明は、熱間圧延用複合ロールの外層に用いられる外層材
であって、質量%で、C:2.4 〜3.2 %、Si:0.9 〜2.
5 %、Mn:0.2 〜1.5 %、Cr:0.8 〜2.5 %、Mo:1.2
〜4.0 %、Ni:2.0 〜7.0 %、V:1.5 〜2.7 %、Nb:
0.1 〜0.8 %、B:0.020 〜0.2 %、REM :0.0006〜0.
040 %、を含み、かつC、Cr、Nb、V含有量が次(1)
〜(3)式 1.8 ≦ C−(0.236×V+0.129 ×Nb) ≦ 2.6 ・・・(1) Cr/C <1.0 ・・・(2) 3.0 ≦ Cr+V ≦4.6 ・・・(3) (ここで、C、V、Nb、Cr:各元素の含有量(質量
%))を満足し、さらに、Ti:0.05%未満、Al:0.1 %
以下のうちから選ばれた1種または2種を含み、残部Fe
および不可避的不純物からなる組成と、黒鉛を含む組織
とを有することを特徴とする耐摩耗性、耐焼付き性およ
び耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール外層材である。
また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%
で、Co:0.5 〜4.0 %含む組成とすることが好ましい。
【0026】また、本発明は、外層と内層が溶着一体化
してなる熱間圧延用複合ロールであって、前記外層が、
質量%で、C:2.4 〜3.2 %、Si:0.9 〜2.5 %、Mn:
0.2〜1.5 %、Cr:0.8 〜2.5 %、Mo:1.2 〜4.0 %、N
i:2.0 〜7.0 %、V:1.5〜2.7 %、Nb:0.1 〜0.8
%、B:0.020 〜0.2 %、REM :0.0006〜0.040 %を含
み、かつCr、C、V、Nb含有量が前記(1)〜(3)式
を満足し、さらに、Ti:0.05%未満、Al:0.1 %以下の
うちから選ばれた1種または2種を含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなる組成と、黒鉛を含む組織とを有
することを特徴とする耐摩耗性、耐焼付き性および耐肌
荒れ性に優れた熱間圧延用複合ロールである。また、本
発明では、前記外層が、前記組成に加えて、さらに質量
%で、Co:0.5 〜4.0 %含む組成とすることが好まし
い。
【0027】
【発明の実施の形態】まず、本発明の熱間圧延用複合ロ
ールの外層(外層材)の組成限定理由について説明す
る。なお、組成における質量%は単に%と記す。 C:2.4 〜3.2 % Cは、V、Nb、Cr、Moと結合して、ロールの耐摩耗性を
向上するための硬質炭化物形成に必須な元素であるとと
もに、黒鉛の晶出ならびに耐焼付き性を確保するために
必要な元素であり、本発明では2.4 %以上の含有を必要
とする。一方、3.2 %を超えて含有すると共晶炭化物が
多量に出現し、またMC型炭化物が粗大化して、耐肌荒れ
性が低下する。このため、Cは2.4 〜3.2 %の範囲に限
定した。
【0028】Si:0.9 〜2.5 % Siは、脱酸剤として作用するとともに、Cの活量を増加
し黒鉛を晶出させやすくする元素であり、本発明では0.
9 %以上の含有を必要とする。一方、2.5 %を超えて含
有すると、本発明成分において黒鉛の粗大化及び組織の
粗大化を発生させ、ロールの耐肌荒れ性や耐摩耗性が著
しく低下する。このようなことから、Siは0.9 〜2.5 %
の範囲に限定した。
【0029】Mn:0.2 〜1.5 % Mnは、溶鋼中のSをMnS として固定し、耐摩耗性を阻害
するSを無害、安定化するために有効である。また、焼
入れ性を向上させ硬さを増加させるという効果もある。
このような効果を得るためには、0.2 %以上の含有が必
要である。しかし、1.5 %を超えて含有すると凝固界面
に偏析し材料を脆化させる。このため、Mnは0.2 〜1.5
%の範囲に含有した。なお、好ましくは0.3 〜1.0 %で
ある。
【0030】Cr:0.8 〜2.5 % Crは、共晶炭化物を増量させ、硬質化させる元素であ
り、Moとともに含有させることにより、ロール圧延時の
炭化物破壊を抑制し耐摩耗性を向上させる効果を有す
る。このような効果を得るためには、0.8 %以上の含有
を必要とする。一方、2.5 %を超えて含有すると、共晶
炭化物が増加し耐肌荒れ性が低下するとともに、黒鉛量
が減少して耐焼付き性も低下する。このため、Crは0.8
〜2.5 %に限定した。
【0031】Mo:1.2 〜4.0 % Moは、共晶炭化物を過度に増量させることなく、炭化物
や基地を強化する作用を有し、優れた耐肌荒れ性を維持
しつつ耐摩耗性を向上させる効果を有する。特に、Nbと
複合して含有することにより、硬質なMC型炭化物を強化
し、耐摩耗性を顕著に向上させる重要な効果を発揮する
が、このような効果を得るためには、1.2 %以上の含有
を必要とする。一方、4.0 %を超えて含有すると、Mo主
体の硬く脆弱な炭化物が多量に形成され、耐肌荒れ性が
劣化する。このため、Moは1.2 〜4.0 %に限定した。な
お、好ましくは1.5 〜3.5 %である。
【0032】Ni:2.0 〜7.0 % Niは、焼入れ性を向上し、材料の硬さを増加させて耐摩
耗性を向上させる効果を有する。また、Niは黒鉛の晶出
を促進させる効果も有する。このような効果は2.0 %以
上の含有で認められるが、7.0 %を超えて含有すると、
オーステナイトを著しく安定化し、残留オーステナイト
量が増加し耐焼付き性を低下させる。このため、Niは2.
0 〜7.0 %の範囲に限定した。なお、好ましくは3.0 〜
6.0 %である。
【0033】V:1.5 〜2.7 % Vは、硬質なMC型炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させ
る効果を有する元素である。本発明では、一定レベル以
上の耐摩耗性を得るために、1.5 %以上の含有を必要と
する。一方、2.7 %を超えると、MC型炭化物が粗大化し
て肌荒れが発生する。さらに、焼付きが発生しやすくな
ったりする等の弊害もある。このため、Vは1.5 〜2.7
%の範囲に限定した。なお、好ましくは、1.5 〜2.3 %
である。
【0034】Nb:0.1 〜0.8 % Nbは、MC型炭化物に固溶して炭化物を強化する作用を有
する元素であり、とくに、本発明の含有範囲内のCr、M
o、Vと複合して含有することにより、炭化物を著しく
強化して耐摩耗性を顕著に向上させる重要な効果を有し
ている。Vのみの含有ではMC型炭化物が羽毛状に成長し
て組織が粗大化し、ロールの肌荒れを誘引するが、Nbと
Vを複合して含有することにより、MC型炭化物の羽毛状
化を抑制することができ、さらにTi、Alと複合添加する
ことにより、炭化物が微細化し、肌荒れが抑制される。
このような効果を得るためには、0.1 %以上のNb含有を
必要とする。なお、Nbが0.1 %未満では、MC型炭化物の
偏析や粗大化が発生する。一方、0.8 %を超えて含有す
ると、MC型炭化物がデンドライト状に粗大化するため、
却って肌荒れが発生するようになる。また、遠心鋳造法
で製造すると、MC型炭化物の偏析が生じる。このような
ことから、Nbは0.1 〜0.8 %の範囲に限定した。
【0035】B:0.020 〜0.2 % Bは、黒鉛を微細分散する作用と、さらに、耐焼付き性
を向上させる作用を有する。このような効果はREM 共存
下で0.020 %以上の含有で認められるが、0.2%を超え
て含有すると、炭化物が脆弱化し、耐摩耗性が低下する
とともに、黒鉛量も減少する。このため、Bは0.020 〜
0.2 %の範囲に限定した。なお、好ましくは0.04〜0.10
%である。
【0036】REM :0.0006〜0.040 % REM は、耐摩耗性と耐肌荒れ性をともに向上させる重要
な元素である。REM は、肌荒れ性と耐摩耗性に顕著な悪
影響を及ぼす粗大片状黒鉛の晶出を抑制する作用を有
し、さらに組織を微細化する効果も有する。このような
効果を得るためには、0.0006%以上の含有を必要とす
る。一方、0.040 %を超えて含有しても効果が飽和し、
含有量に見合う効果が期待できないうえ、焼付きを抑制
する黒鉛量を減少する傾向を示す。このため、REM は0.
0006〜0.040 %の範囲に限定した。なお、好ましくは、
0.001 〜0.03%である。
【0037】Ti:0.05%未満、Al:0.1 %以下のうちか
ら選ばれた1種または2種 Ti、Alは、いずれも、炭化物生成を助長するOやNを固
定することにより、黒鉛化を促進する作用を有し、ま
た、Nb炭化物の核となることによりMC型炭化物を微細分
散させる重要な効果を有する。このような効果は、Tiが
0.01%以上、Alが0.03%以上の含有で顕著に認められ
る。 一方、Tiを0.05%以上含有すると、微細MC型炭化物
が密集し、その部分で大きな肌荒れを発生させる。ま
た、Alを0.1 %を超えて含有すると、溶湯の流動性が低
下して鋳造欠陥が発生しやすくなる。このため、Tiは0.
05%未満、Alは0.1 %以下に限定した。なお、Al、Tiの
いずれも含有しない場合には、耐焼付き性が劣化すると
共に、MC型炭化物が粗大化し、肌荒れ性が発生する。な
おTiは0.010 〜0.040 %とすることが好ましい。また、
Alは0.02〜0.06%とすることが好ましい。
【0038】また、本発明では、上記した成分範囲内と
したうえで、さらに次(1)〜(3)式 1.8 ≦C−(0.236 ×V+0.129 ×Nb)≦2.6 % ……(1) Cr/C<1.0 ……(2) 3.0 ≦Cr+V≦4.6 ……(3) (ここで、C、V、Nb、Cr:各元素の含有量 (質量
%))を満足するように各成分の含有量を調整すること
が重要である。これにより、優れた耐摩耗性、耐肌荒れ
性及び耐焼付き性を兼備した熱間圧延作業用ロール外層
(外層材)となる。
【0039】 1.8 ≦C−(0.236 ×V+0.129 ×Nb)≦2.6 % ……(1) 有効C量:{C−(0.236 ×V+0.129 ×Nb)}が1.8
未満では、黒鉛の生成が認められなくなり、 耐焼付き性
が劣化する。一方、2.6 %を超えると共晶炭化物が過度
に増加し、顕著な肌荒れが発生し耐肌荒れ性が劣化す
る。このため、有効C量:{C−(0.236 ×4+0.129
×Nb)}を1.8 以上2.6 以下に限定した。なお、V含有
量が2.1 %を超える場合には、肌荒れの抑制の観点から
有効C量は2.5 以下にすることが好ましい。(0.236 ×
V+0.129 ×Nb)は、VとNbによってMC型炭化物の形成
に消費されるC量を意味し、{C−0.236 ×V−0.129
×Nb}は、耐焼付き性向上に有利な黒鉛や共晶炭化物の
生成に寄与する残されたC量を示す値である。
【0040】 Cr/C<1.0 ……(2) Cr/Cが1.0 以上、すなわちCr含有量がC含有量以上と
なる場合には、基地中および炭化物中のCr濃度が増加
し、また黒鉛量が減少するため、焼付きが顕著に発生し
やすくなる。Cr/Cを1.0 未満とすることにより、従来
のNiグレン鋳鉄ロールと同等の優れた耐焼付き性を維持
できる。
【0041】 3.0 ≦Cr+V≦4.6 ……(3) (Cr+V)が3.0 未満では、耐摩耗性が低下し、摩耗量
が著しく増大する。一方、4.6 を超えると肌荒れが著し
く大きくなる。このため、本発明では、(Cr+V)を3.
0 〜4.6 の範囲に限定した。なお、耐肌荒れ性を重視す
る場合には、Cr+Vを3.0 近い組成とし、耐摩耗性を重
視する場合は、Cr+Vを4.6 に近い組成とすることが好
ましい。
【0042】上記した成分範囲とすることに加えて上記
した(1)、(2)、(3)式をすべて満足するように
組成を調整することにより、耐摩耗性、 耐焼付き性およ
び耐肌荒れ性を同時に向上させることができる。また、
本発明の外層材 (外層)は、上記した組成に加えてさら
に、Co:0.5 〜4.0 %を含有してもよい。
【0043】Co:0.5 〜4.0 % Coは、基地に分配され、基地の合金元素固溶量を増加す
ると共に、基地を強化し、粗大な絞りクラックの生成を
抑える効果があり、必要に応じ含有することができる。
このような効果を得るためには、Coを0.5 %以上含有す
ることが好ましい。一方、4.0 %を超えて含有しても、
効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、高価
な元素であるため経済的に不利となる。このため、Coは
0.5 〜4.0 %の範囲に限定することが好ましい。
【0044】また、本発明の外層材 (外層)では、上記
した組成に加えて、黒鉛を含む組織を有する。黒鉛は、
耐焼付き性の向上に有効に作用する。このような効果は
0.1%以上の黒鉛の含有で顕著となるが、2%を超えて
存在すると、耐摩耗性が著しく低下する。このため、黒
鉛は2%以下とすることが好ましい。本発明では、外層
材の製造方法は特に限定されないが、上記した組成の溶
湯を、遠心鋳造法で所定の寸法形状の外層材とすること
が製造コストの観点から好ましい。この場合、外層材の
凝固途中あるいは完全凝固後に、鋳型の回転を停止し内
層材を静置鋳造して、複合ロールとすることが好まし
い。これにより外層材の内面側が再溶解され外層と内層
が溶着一体化した、複合ロールとなる。
【0045】静置鋳造される内層は、鋳造性と機械的性
質に優れた球状黒鉛鋳鉄やいも虫状黒鉛鋳鉄あるいは黒
鉛鋼などを用いるのが好ましい。また、外層と内層の間
に、黒鉛鋼や高炭素鋼からなる中間層を設けてもよい。
遠心鋳造法でロールを製造する場合、中間層は、外層の
遠心鋳造に引きつづいて、遠心鋳造すれば良い。なお、
以上の説明は、主として、鋼板の熱間圧延用ロールを対
象に説明してきたが、本発明は、鋼板の熱間圧延用複合
ロールに限定されることはなく、カリバー付き鋼管圧延
用複合ロールに適用しても何ら問題ないことはいうまで
もない。なお、鋼管圧延用のスリープ式ロールを製造す
る場合は、外層を遠心鋳造後、球状黒鉛鋳鉄や、高炭素
鋼を内層材として、遠心鋳造すれば良い。
【0046】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成を有する溶湯を
溶解し、Ca−Siで接種した後、ロール外層材に相当する
リング状試験材( 外径:250 mmφ、肉厚:80mm) を遠心
鋳造方法により鋳造した。なお、鋳込み温度は1450℃、
遠心力は重力倍数で160 Gとした。鋳造後、試験材に50
0 ℃で焼戻し処理を施した。焼戻し後の硬さは、Hs77〜
86であった。なお、Niグレン鋳鉄を従来例とした。
【0047】これらリング状試験材から試験片を採取
し、組織観察、摩耗試験、および焼付き試験を行った。 (1) 組織観察 リング状試験材から組織観察用試験片を採取し、リング
状試験材中央断面について、まず黒鉛の有無を観察し
た。ついで、リング状試験材断面について、硝酸水溶液
で腐食しマクロ組織を観察し、MC型炭化物の偏析状況
を調査した。偏析模様が観察される場合を偏析有り、そ
の他の場合を偏析無しとした。 (2) 摩耗試験 リング状試験材から試験片(大きさ:60mmφ)を採取
し、相手材(材質:S45C、大きさ:190 mmφ) と試験片
の2 円盤すべり摩耗方式で摩耗試験を実施した。試験片
を回転数700rpmで回転させながら、相手材を800 ℃に加
熱し、試験片を水冷し、試験片と相手材のすべり率を10
%として、荷重100kgf(980 N )で圧接しながら150min
間転動させた。試験後、試験片の摩耗減量(摩耗量)を
測定した。さらに試験片表面の肌荒れ状況を目視で観察
し、一部の肌荒れの大きな部分について試験片周辺方向
に10mmの長さにわたり、 触針式粗さ計を用いてJIS B 06
01の規定に準拠して粗さ曲線を求め、十点平均粗さRz
を求めた。 (3) 焼付き試験 リング状試験材から試験片(25mm厚の板状) を採取し、
図3に示す方式の試験機で焼付き試験を実施した。試験
片(25mm厚板状) に、高周波加熱コイルにより、900 ℃
に加熱されて150rpmで回転する円板状の相手材(材料:
SUS410、大きさ:190 mmφ) を100kgf(980 N)で10s間
圧接した。試験後の試験片表面に相手材(金属)のへば
り付きがある場合を「焼付き有り」(×)、へばり付き
がなく表面が摩耗している場合を「焼付きなし」(○)
として、耐焼付き性を評価した。
【0048】得られた結果を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】本発明例は、いずれも耐摩耗性に優れ、か
つ焼付きや肌荒れの発生がなく、極めて優れた耐摩耗
性、耐焼付き性および耐肌荒れ性を有するロール外層材
となっている。一方、本発明の範囲から外れる比較例
は、耐摩耗性、耐焼付き性および耐肌荒れ性の少なくと
も1つ以上が低下している。(Cr+V)量、V含有量が
本発明範囲を低い外れる比較例(リング材No. A)で
は、摩耗量が多く耐摩耗性が低下している。また、(Cr
+V)量、V含有量が本発明範囲を高く外れる比較例
(リング材No. F,No. G)では、著しい肌荒れが発生
し、耐肌荒れ性が低下している。また、Cr含有量、Cr/C
量、(Cr+C)量が本発明範囲を高く外れる比較例(リ
ング材No. M,No. N)では、摩耗量が増加し耐摩耗性
が低下するとともに、肌荒れ、焼付きが発生し耐肌荒れ
性、耐焼付き性が低下している。また、Al、Ti、REM を
含有しない比較例(リング材No. O)では、焼付き、肌
荒れがともに発生し、耐肌荒れ性、耐焼付き性が低下
し、、REM を含有しないためさらには耐摩耗性が低下し
ている。また、Ti含有量が高くはずれ、Nb,B,REM を
含有しない比較例(リング材No. P)では、肌荒れが発
生し、耐肌荒れ性が低下している。C含有量が本発明範
囲を低く外れる比較例(リング材No. Q)では、焼付き
が発生し、 耐焼付き性が低下している。また、Al、Ti、
REM を含有せず、有効C量が本発明範囲を高く外れ、Mo
含有量が本発明範囲を低く外れる比較例(リング材No.
W)では、有効C量の過剰とTi、Alを含有しないことで
肌荒れが発生し、Mo量の不足とREM を含有しないことに
起因して摩耗量が著しく増加し、耐摩耗性、耐肌荒れ性
が低下している。また、V含有量が本発明範囲を高く外
れ、有効C量が本発明範囲を低く外れる比較例(リング
材No. X)では、焼付きが発生し、耐焼付き性が低下し
ている。なお、従来例(リング材No.NiG)は耐焼付き性
に優れるが耐摩耗性が著しく劣っている。 (実施例2)製品胴径685 mm、胴長2380mmの複合ロール
を以下の手順で製造した。
【0052】遠心力140 Gで回転する鋳型内に、外層と
して肉厚120 mmになるように、外層材溶湯を鋳込んだ。
外層が凝固した後に鋳型の回転を停止し、鋳型を立てて
内層材( 球状黒鉛鋳鉄)を鋳造することで、外層−内層
を一体化させ、外層の表面温度が80℃以下になるまで冷
却した後、鋳型を解体し、外層−内層からなる複合ロー
ルとした。
【0053】得られた複合ロールは、500 ℃に30時間加
熱したのち徐冷する熱処理(焼戻し処理)を実施し、外
層の硬さを79〜83Hsとした。熱処理後、ロール胴端部か
ら外層の化学組成分析用試験材、組織観察用試験片を採
取した。なお、内層についてはロール軸端の中心部から
化学組成分析用試料を採取した。各複合ロールの外層、
内層の化学組成を表3に示す。
【0054】得られた複合ロールを、熱間仕上圧延ミル
のF7スタンドの作業ロールとして投入し、中炭素鋼10本
の試験圧延を実施した。なお、その中の1 本で絞り圧延
を再現し、焼付き状況を比較した。
【0055】
【表3】
【0056】本発明例(複合ロールNo.1)は、従来ロ
ールであるNiG 鋳鉄ロールの約2倍の極めて良好な耐摩
耗性と耐肌荒れ性を有することが確認された。また、絞
り圧延において焼付きは発生しなかった。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板の熱間圧延の後段
圧延スタンド用ロールとして、耐摩耗性、耐焼付き性お
よび耐肌荒れ性を兼備した複合ロールが安価に製造で
き、産業上格段の効果を奏する。また、本発明の複合ロ
ールは、優れた耐焼付き性、耐肌荒れ性および耐摩耗性
が要求される鋼管圧延用ロールとしても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】十点平均粗さ(Rz )、焼付き、肌荒れと有効
C量との関係を示すグラフである。
【図2】摩耗量、十点平均粗さ(Rz )と(Cr+V)量
の関係を示すグラフである。
【図3】焼付き試験の概要を示す概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 13/00 F16C 13/00 E (72)発明者 小関 智史 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 Fターム(参考) 3J103 AA02 AA85 FA01 FA12 FA13 FA14 GA17 HA04 HA13 HA14 HA32 4E016 AA03 DA03 EA02 EA23 FA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延用複合ロールの外層に用いられ
    る外層材であって、質量%で、 C:2.4 〜3.2 %、 Si:0.9 〜2.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 Cr:0.8 〜2.5 %、 Mo:1.2 〜4.0 %、 Ni:2.0 〜7.0 %、 V:1.5 〜2.7 %、 Nb:0.1 〜0.8 %、 B:0.020 〜0.2 %、 REM:0.0006〜0.040 %、 を含み、かつC、Cr、Nb、V含有量が下記(1)〜
    (3)式を満足し、さらに、Ti:0.05%未満、Al:0.1
    %以下のうちから選ばれた1種または2種を含み、残部
    Feおよび不可避的不純物からなる組成と、黒鉛を含む組
    織とを有することを特徴とする耐摩耗性、耐焼付き性お
    よび耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール外層材。記 1.8 ≦ C−(0.236×V+0.129 ×Nb) ≦ 2.6 ・・・(1) Cr/C <1.0 ・・・(2) 3.0 ≦ Cr+V ≦4.6 ・・・(3) ここで、C、V、Nb、Cr:各元素の含有量(質量%)
  2. 【請求項2】 前記組成に加えてさらに、質量%で、C
    o:0.5 〜4.0 %含む組成とすることを特徴とする請求
    項1に記載の熱間圧延用ロール外層材。
  3. 【請求項3】 外層と内層が溶着一体化してなる熱間圧
    延用複合ロールであって、前記外層が、質量%で、 C:2.4 〜3.2 %、 Si:0.9 〜2.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 Cr:0.8 〜2.5 %、 Mo:1.2 〜4.0 %、 Ni:2.0 〜7.0 %、 V:1.5 〜2.7 %、 Nb:0.1 〜0.8 %、 B:0.020 〜0.2 %、 REM:0.0006〜0.040 %、 を含み、かつCr、C、V、Nb含有量が下記(1)〜
    (3)式を満足し、さらに、Ti:0.05%未満、Al:0.1
    %以下のうちから選ばれた1種または2種を含み、残部
    Feおよび不可避的不純物からなる組成と、黒鉛を含む組
    織とを有することを特徴とする耐摩耗性、耐焼付き性お
    よび耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用複合ロール。記 1.8 ≦ C−(0.236×V+0.129 ×Nb) ≦ 2.6 ・・・(1) Cr/C <1.0 ・・・(2) 3.0 ≦ Cr+V ≦4.6 ・・・(3) ここで、C、V、Nb、Cr:各元素の含有量(質量%)
  4. 【請求項4】 前記外層が、前記組成に加えて、さらに
    質量%で、Co:0.5〜4.0 %含む組成とすることを特徴
    とする請求項3に記載の熱間圧延用複合ロール。
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