JP4341357B2 - 熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール - Google Patents

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Description

本発明は、熱間圧延用複合ロールに係り、とくに鋼板の熱間圧延仕上後段スタンドに好適な熱間圧延用複合ロールに関する。
近年、鋼板の熱間圧延技術の進歩は著しく、それに伴い、使用される熱間圧延用ロール特性の向上、とくに耐摩耗性の向上が強く要望されてきた。このような耐摩耗性向上の要求に対し、外層組成を高速度工具鋼組成に類似した組成とし、硬質炭化物を析出させて耐摩耗性を格段に向上させた高性能ロール(以下、ハイス系ロールともいう)が開発され実用化されている。
一方、被圧延材の絞り事故や、被圧延材の焼付きが生じやすい圧延スタンド、例えば熱間仕上圧延後段スタンドには、黒鉛を含むことで、耐焼付き性に優れたNiグレン鋳鉄ロールが組み込まれている。しかし、従来のNiグレン鋳鉄ロールでは耐摩耗性が劣り、ロール寿命が短いという問題があった。一方、耐摩耗性に優れたハイス系ロールは、黒鉛を含まないため、絞り事故に遭遇すると、焼付きや粗大な熱衝撃亀裂が生成するため、絞り事故の発生頻度が多い熱間仕上圧延後段スタンドでの使用は問題があった。このため、熱間仕上圧延後段スタンドには、耐摩耗性に劣るが、耐焼付き性に優れたNiグレン鋳鉄ロールを使用せざるを得ない状況であり、グレン鋳鉄ロールの耐摩耗性向上が要望されていた。
このような要望に対し、例えば、特許文献1には、Niグレン鋳鉄に1.0〜5.0%のVを添加して、耐摩耗性を向上させるとした熱間圧延用ロールが提案されている。また、特許文献2には、Niグレン鋳鉄に2.0〜8.0%のVを添加し、0.5〜5%の黒鉛に加えて0.2〜10%のMC型炭化物を出現させて耐摩耗性を向上させるとした熱間圧延用ロールが提案されている。
特開平1−287248号公報 特開平6−335712号公報
最近では、圧延製品の品質向上と効率的生産のため、圧延速度の増加や連続圧延量の増加などが指向されており、熱間圧延用ロールの使用環境はますます過酷化している。さらに、被圧延材の高合金化や、圧延製品の表面品質要求の厳格化により、耐摩耗性、耐焼付き性に優れると共に、耐肌荒れ性にも優れた熱間圧延作業ロールが要望されている。しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載された技術では、耐摩耗性を向上させると、耐肌荒れ性が低下する傾向を示し、耐摩耗性と耐肌荒れ性をともに向上させることができないという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題を有利に解決し、耐摩耗性および耐肌荒れ性がともに優れた熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロールを提案することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、Niグレン鋳鉄ロールの耐摩耗性と耐肌荒れ性に影響する各種因子について鋭意検討した。その結果、Niグレン鋳鉄ロールの耐摩耗性を向上させると、肌荒れが発生するが、この肌荒れは、基地部に突起したMC型炭化物を起点にして基地部にスケールが付着し、一方、共晶炭化物にはスケールが付着しないことによる凹凸に起因することを突き止めた。そして、本発明者らは、この知見に基づき、MC炭化物が存在する基地部にも、多数の二次炭化物を析出させることにより、基地部へのスケール付着が抑制され、基地部の凸化を防止できるとの考えに想到した。この考えに基づき、本発明者らは、更に検討を行った結果、ロール化学組成と熱処理との組み合わせを特定することにより、基地部に多数の二次炭化物を析出させることができ、これにより基地部へのスケール付着が軽減され肌荒れを防止できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:1.0〜2.5%、Mn:0.3〜1%、Ni:3〜5%、Cr:1.5〜2.5%、Mo:1.0〜4%、V:1.4〜3.0%、Nb:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.2%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、少なくとも基地の一部に、最大長さ:0.1〜5μmの二次炭化物を50000〜1000000個/mm2 含む組織と、を有することを特徴とする耐摩耗性および耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール外層材。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有する組成とすることを特徴とする熱間圧延用ロール外層材。
(3)外層と内層が溶着一体化してなる熱間圧延用複合ロールであって、前記外層が、質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:1.0〜2.5%、Mn:0.3〜1%、Ni:3〜5%、Cr:1.5〜2.5%、Mo:1.0〜4%、V:1.4〜3.0%、Nb:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.2%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、少なくとも基地の一部に、最大長さ:0.1〜5μmの微細二次炭化物を50000〜1000000個/mm2 含む組織と、を有することを特徴とする耐摩耗性および耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用複合ロール。
(4)(3)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有する組成とすることを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
(5)質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:1.0〜2.5%、Mn:0.3〜1%、Ni:3〜5%、Cr:1.5〜2.5%、Mo:1.0〜4%、V:1.4〜3.0%、Nb:0.1〜0.5%、B:0.0005〜0.2%を含み、あるいはさらにAl:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成のロール外層材用素材に、800〜950℃に加熱し焼入れする焼入れ処理と、さらに焼戻処理を施すことを特徴とする耐摩耗性および耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール外層材の製造方法。
(6)(5)において、前記焼入れ処理の加熱時間が4〜40hであることを特徴とする
熱間圧延用ロール外層材の製造方法。
本発明によれば、鋼板の熱間仕上圧延の後段スタンド用ロールとして、優れた耐摩耗性と優れた耐肌荒れ性とを兼備した複合ロールが安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明の熱間圧延用複合ロールの外層(外層材)の組成限定理由について説明する。なお、組成における質量%は単に%と記す。
C:2.5〜3.5%
Cは、V、Nb、Cr、Moと結合してロールの耐摩耗性を向上させるための硬質炭化物形成に必要な元素であるとともに、黒鉛として晶出し耐焼付き性の確保に必要な元素であり、本発明では、2.5%以上の含有を必要とする。一方、3.5%を超えて含有すると共晶炭化物が多量に出現し、MC型炭化物が粗大化して、耐肌荒れ性が低下する。このため、Cは2.5〜3.5%の範囲に限定した。
Si:1.0〜2.5%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、Cの活量を増加し黒鉛の晶出を促進させる元素であり、本発明では1.0%以上の含有を必要とする。一方、2.5%を超えて含有しても、上記した効果が飽和するうえ、かえって耐摩耗性が低下し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Siは1.0〜2.5%に限定した。
Mn:0.3〜1%
Mnは、溶湯中のSをMnSとして固定し、耐摩耗性を阻害するSを除去する作用を有するとともに、焼入れ性を向上し材料の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上させる効果を有する。このような効果は0.3%以上の含有で認められる。一方、1%を超えて含有すると、偏析が顕著となり、材料が脆化する。このようなことから、Mnは0.3〜1%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.3〜0.8%である。
Ni:3〜5%
Niは、焼入れ性を向上し、材料の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上させる効果を有する。また、黒鉛の晶出を促進させる効果を有する。このような効果は、3%以上の含有で認められるが、5%を超えて含有すると、オーステナイトが安定化し、残留オーステナイト量が増加し、二次炭化物の析出量が少なくなるとともに、耐摩耗性が低下する。このため、本発明ではNiは3〜5%の範囲に限定した。なお、好ましくは3.5〜4.8%である。
Cr:1.5〜2.5%
Crは、Moと共に硬質な共晶炭化物を生成し、耐摩耗性を向上させるとともに二次炭化物の析出にも寄与する元素であり、本発明では1.5%以上の含有を必要とする。一方、2.5%を超えて含有すると、黒鉛の晶出が抑制されて耐焼付き性が低下するとともに、共晶炭化物が多量に形成され、耐摩耗性を低下させる。このため、Crは1.5〜2.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.5〜2.3%である。
Mo:1.0〜4%
Moは、黒鉛の晶出を阻害することなく、耐摩耗性向上に有効な炭化物を生成する元素である。またMoは、V、Nbとともに含有すると、より強靭な硬質炭化物であるMC型炭化物を生成して、耐摩耗性を向上させる効果を有する。このような効果を得るためには、1.0%以上の含有を必要とするが、4%を超えて含有すると、MC型炭化物の凸化が顕著となり、肌荒れの抑制が困難となる。このため、Moは1.0〜4%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.5〜3.2%である。
V:1.4〜3.0%
Vは、硬質なMC型炭化物を形成し、耐摩耗性を顕著に向上させる効果を有する。一定レベル以上の耐摩耗性を確保するために、本発明では1.4%以上の含有を必要とする。しかし、3.0%を超える含有は、MC型炭化物の粗大化を招き、耐肌荒れ性が顕著に低下する。このため、本発明ではVは1.4〜3.0%の範囲に限定した。
Nb:0.1〜0.5%
Nbは、V、Moとともに含有することにより、MC型炭化物に固溶してMC型炭化物を強化し、耐摩耗性を顕著に向上させる効果を有する。また、NbはMC型炭化物を微細化する作用を有し、耐肌荒れ性向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、0.5%を超えて含有すると、MC型炭化物の偏析を助長するとともにMC型炭化物の粗大化を招き、耐肌荒れ性を低下させる。このため、Nbは0.1〜0.5%の範囲に限定した。
B:0.0005〜0.2%
Bは、微細な二次炭化物の多量析出を促進する作用を有し本発明では重要な元素であり、0.0005%以上の含有を必要とする。一方、0.2%を超えて含有すると、炭化物が脆弱化し耐摩耗性が低下するとともに、黒鉛量が減少する。このため、Bは0.0005〜0.2%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.01〜0.1%である。
本発明では、上記した基本組成に加えてさらに、Al:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有できる。
Al:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下
Al、Tiはいずれも、酸化物、窒化物、炭化物等がNb炭化物の晶出核となり、Nb炭化物を微細分散させ、そのNb炭化物を核としてMC型炭化物を微細分散させて、耐肌荒れ性を向上させる。このような効果はAlが0.006%以上、Tiが0.005%以上の含有で顕著となる。一方、Alを0.06%、Tiを0.05%を超えて含有すると、微細MC型炭化物が密集し、その部分で大きな肌荒れを生じるため、Alを0.06%以下、Tiを0.05%以下とすることが好ましい。
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
つぎに、本発明の熱間圧延用ロール外層材の組織限定理由について説明する。
本発明の熱間圧延用ロール外層材は、上記した範囲の組成を有し、かつ少なくとも基地の一部に、最大長さ:0.1〜5μmの二次炭化物を50000〜1000000個/mm2 含む組織を有する。本発明のロール外層材は、この微細な二次炭化物に加えて、黒鉛と、共晶炭化物と、MC型炭化物と、基地と、からなる組織を有する。なお、組織中には少量のTi(CN)、MnSとの介在物が含まれてもよいことはいうまでもない。また基地組織はベイナイトおよび/またはマルテンサイトとすることが好ましい。
基地の一部に微細二次炭化物を分散させることにより、基地へのスケール付着が防止され、それにより肌荒れが抑制されて、耐肌荒れ性が顕著に向上する。このような効果を得るためには、最大長さ:0.1〜5μmの微細な二次炭化物を、50000〜1000000個/mm2 の密度で基地の一部に分散させる必要がある。
微細二次炭化物の密度が50000個/mm2未満では、二次炭化物によるスケール付着防止効果が不足して所期した肌荒れ防止効果が期待できなくなる。一方、1000000個/mm2を超えて多く析出させても効果が飽和する。また、微細二次炭化物の大きさが、最大長さで0.1μm未満では、スケール付着防止作用が小さく所期した効果が期待できない。一方、最大長さが5μmを超えて大きくなると、基地中の二次炭化物密度が低下し耐肌荒れ性が劣化する。このようなことから、基地の一部に分散させる微細二次炭化物は、最大長さ:0.1〜5μm、分散密度:50000〜1000000個/mm2 に限定した。
なお、本発明でいう「基地の一部」とは、少なくとも共晶炭化物から10μm以上離間した領域とする。また、本発明でいう二次炭化物の「最大長さ」とは、試片を腐食し、走査型電子顕微鏡(5000倍)で観察し、各二次炭化物粒の長さを測定し最大値をその炭化物粒の最大長さとした。また、二次炭化物の分散密度は、ロール外層材の断面を走査型電子顕微鏡(5000倍)で2視野以上観察、撮像し、画像解析装置により最大長さ:0.1〜5μmの炭化物粒の単位面積あたりの個数を測定し、分散密度(個/mm2)とした。なお、1視野の面積は16×16μm=256μm2である。
本発明の最大の特徴は、少なくとも基地の一部に微細二次炭化物を分散させた組織を有するロール外層材とする点にある。これにより、耐摩耗性と耐肌荒れ性とを兼備した熱間圧延用ロール外層材となる。
つぎに、本発明の熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロールの好ましい製造方法について説明する。
本発明では、ロール外層材の製造方法はとくに限定されないが、上記した組成の溶湯を、遠心鋳造法で所定の寸法形状のロール外層材とすることが製造コストの観点から好ましい。
遠心鋳造法でロール外層材を鋳造する場合、ロール外層材の凝固途中あるいは完全に凝固したのち、鋳型の回転を停止し内層材を静置鋳造して、複合ロールとすることが好ましい。これにより、ロール外層材の内面側が再溶解され外層と内層とが溶着一体化した複合ロールとなる。
静置鋳造される内層は、鋳造性と機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄、いも虫状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼などを用いることが好ましい。また、外層と内層の間に、黒鉛鋼や高炭素鋼からなる中間層を設けても良い。遠心鋳造法でロールを製造する場合には,中間層は外層の遠心鋳造に引き続いて遠心鋳造すればよい。
本発明の熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロールは、鋳造後、熱処理を施される。熱処理は、800〜950℃に加熱し焼入れする焼入れ処理と、さらに焼戻処理を施す処理とすることが好ましい。焼入れの加熱温度が800℃未満では、加熱温度が低すぎて微細二次炭化物の分散が不十分となる。一方、加熱温度が950℃を超えて高くなると、生成する二次炭化物が粗大化して、所望の大きさの微細二次炭化物量が不足する。このため、焼入れ加熱温度は800〜950℃の範囲の温度とすることが好ましい。加熱時間はCの拡散・凝集の時間を確保する観点から4〜40h程度とすることが好ましい。なお、加熱温度はより好ましくは、850〜930℃である。焼入れ加熱後は空冷、あるいは80℃/h以上の冷却速度で焼入れすることがパーライト変態の防止という観点から好ましい。
また、焼戻処理は400〜550℃程度の温度とすることが好ましい。焼戻温度が400℃未満では基地の靭性回復という観点から焼戻し効果が不十分であり、一方、550℃を超えると軟化が生じ好ましくない。
表1に示す組成を有する溶湯を、高周波炉で溶解し、Ca−Siで接種したのち、ロール外層材に相当するリング状試験片(外径:250mmφ、肉厚:70mm)を遠心鋳造法により鋳造した。なお、鋳込み温度は1320℃、遠心力は重力倍数で160Gとした。鋳造後、表2に示す条件で焼入れ処理,焼戻し処理を施した。焼戻し後の硬さはHs79〜82であった。なお、Niグレン鋳鉄を従来例(リング状試験材No.14)とした。
得られたリング状試験材から試験片を採取し、組織観察、摩耗試験、および焼付き試験を実施した。試験方法は次の通りとした。
(1)組織試験
リング状試験材から組織観察用試験片を採取し、試験材断面について、まず黒鉛の有無を観察した。ついで、試験片断面をナイタール腐食し、ミクロ組織を走査型電子顕微鏡(倍率:5000倍)で観察し、微細二次炭化物の大きさ、分散密度を調査した。なお、観察した視野数は2視野とし、各視野での最大長さ:0.1〜5μmの微細二次炭化物粒の密度を求め、各視野の平均値を各試験材の微細二次炭化物の分散密度とした。なお、1視野の面積は256μm2である。本発明における微細二次炭化物の分散状態の一例を走査型電子顕微鏡組織写真で図1に示す。また、黒鉛量(面積%)を100倍の光学顕微鏡で観察し、画像解析装置で測定した。測定面積は16mm2とした。
(2)摩耗試験
リング状試験材から試験片(外径:60mmφ、肉厚:10mm)を採取し、相手材(材質:S45C,大きさ:190mmφ、肉厚:16mm)と試験片との2円盤すべり摩耗方式で摩耗試験を実施した。試験片を回転数700rpmで回転させながら。相手材を430℃に加熱し、試験片を水冷し、試験片と相手材のすべり率を10%として、荷重100kgf(980N)で圧接しながら90min間転動させた。試験後、試験片の摩耗減量(摩耗量)を測定し、Niグレン鋳鉄の摩耗量との比(=(Niグレン鋳鉄の摩耗量)/(試験片の摩耗量))で耐摩耗性を評価した。比が1.0より大きくなる場合が耐摩耗性が向上したことを意味する。さらに試験片表面の肌荒れ状況を目視で観察し、一部の肌荒れの大きな部分について試験片周方向に4mmの長さに亘り、触針式粗さ計を用いて、JIS B 0601−2001の規定に準拠してRz(10点平均粗さ)を求めた。
(3)焼付き試験
リング状試験材から試験片(25mm厚の板状)を採取し、図2に示す方式の試験機で焼付き試験を実施した。試験片に、高周波誘導加熱コイルにより、900℃に加熱されて150rpmで回転する円板状の相手材(材質:SUS410、大きさ:190mmφ、肉厚:14mm)を荷重 100kgf(980N)で10s間圧接した。試験後の試験片表面に相手材のへばり付きがある場合を「焼付き有り」(×)、へばり付きがなく表面が摩耗している場合を「焼付きなし」(○)として、耐焼付き性を評価した。
得られた結果を表2に示す。
本発明例はいずれも、従来例(Niグレン鋳鉄:リング状試験材No. 14)に比べ優れた耐摩耗性を有し、しかも焼付きや肌荒れの発生もなく、耐摩耗性、耐焼付き性および耐肌荒れ性がともに優れたロール材となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は耐焼付き性、耐肌荒れ性のいずれかが低下している。Mo、V含有量が本発明の範囲を外れる比較例(リング状試験片No.13)は耐摩耗性が十分でない。
本発明例(リング状試験材No. A)における微細二次炭化物の分散状態の一例を示す 顕微鏡組織写真である。 焼付き試験に使用した試験機の概要を模式的に説明する説明図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:2.5〜3.5%、 Si:1.0〜2.5%、
    Mn:0.3〜1%、 Ni:3〜5%、
    Cr:1.5〜2.5%, Mo:1.0〜4%、
    V:1.4〜3.0%、 Nb:0.1〜0.5%、
    B:0.0005〜0.2%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、少なくとも基地の一部に、最大長さ:0.1〜5μmの微細炭化物を50000〜1000000個/mm2 含む組織と、を有することを特徴とする耐摩耗性および耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール外層材。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延用ロール外層材。
  3. 外層と内層が溶着一体化してなる熱間圧延用複合ロールであって、前記外層が、質量%で、
    C:2.5〜3.5%、 Si:1.0〜2.5%、
    Mn:0.3〜1%、 Ni:3〜5%、
    Cr:1.5〜2.5%, Mo:1.0〜4%、
    V:1.4〜3.0%、 Nb:0.1〜0.5%、
    B:0.0005〜0.2%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、少なくとも基地の一部に、最大長さ:0.1〜5μmの微細炭化物を50000〜1000000個/mm2 含む組織と、を有することを特徴とする耐摩耗性および耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用複合ロール。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有する組成とすることを特徴とする請求項3に記載の熱間圧延用複合ロール。
  5. 質量%で、
    C:2.5〜3.5%、 Si:1.0〜2.5%、
    Mn:0.3〜1%、 Ni:3〜5%、
    Cr:1.5〜2.5%, Mo:1.0〜4%、
    V:1.4〜3.0%、 Nb:0.1〜0.5%、
    B:0.0005〜0.2%
    を含み、あるいはさらにAl:0.06%以下および/またはTi:0.05%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成のロール外層材用素材に、800〜950℃に加熱し焼入れする焼入れ処理と、さらに焼戻処理を施すことを特徴とする耐摩耗性および耐肌荒れ性に優れた熱間圧延用ロール外層材の製造方法。
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