JP5041938B2 - 圧延用複合ロール - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼の熱間圧延又は冷間圧延用の複合ロールに関する。
鉄鋼の圧延用複合ロールとして、圧延材に接する外層部(使用層)を耐摩耗性にすぐれる材料(例えば、ハイス系鋳鉄材、高クロム材、高合金グレン材、アダマイト材等)から形成し、軸部を強靱性にすぐれるダクタイル鋳鉄材から形成したものが使用されている。
耐摩耗性材料は、Cr、V、Mo、W等の合金元素を多く含んでおり、これら元素がCと結合して炭化物を晶出することにより、すぐれた耐摩耗性を発揮する。また、ダクタイル鋳鉄材は、球状化黒鉛を晶出することにより、すぐれた強靱性を発揮する。
この複合ロールの製作は、一般的には、外層部を遠心力鋳造にて鋳造し、外層部の凝固が完了した後、又は凝固途中に遠心力回転を停止し、次に、軸部を静置鋳造することにより行われ、外層部と軸部は冶金学的に一体化される。
複合ロールには、外層部と軸部の間に中間層部を設けるものがある。この場合、外層部の凝固完了後又は凝固途中に中間層部を遠心力鋳造し、中間層部の凝固が完了した後、又は凝固途中に遠心力回転を停止し、次に、軸部を静置鋳造することにより、外層部、中間層部及び軸部が冶金学的に一体化された複合ロールが製作される。
ところで、軸部のダクタイル鋳鉄材は、黒鉛の球状化が不十分であったり、チャンキー黒鉛と称される異常黒鉛が発生すると、強度の低下を招く。
また、軸部にCr、V、Mo、W等の炭化物生成元素が含まれると、炭化物が形成され、Cが炭化物の生成に消費される結果、黒鉛化が阻害される。また、炭化物量が増加すれば、軸部が硬く脆くなる不都合がある。しかしながら、冶金学的一体化の過程で、外層部の合金成分が、直接又は中間層部を介して、軸部へ混入することは不可避である。
一方、黒鉛化促進のために、Si、Ni等の黒鉛化促進元素を添加するとチャンキー黒鉛の発生を招く。特に、熱間圧延用ロールは、一般的には、約0.5トン〜16トンもある大型鋳造品であり、軸部鋳造時の凝固速度が遅いため、チャンキー黒鉛が発生し易い傾向にある。
圧延用複合ロールの軸部に用いられるダクタイル鋳鉄材の黒鉛を制御する技術として、Biを含有させるものがある(特許文献1及び特許文献2)。また、Biと共にSnを同時に添加するものがある(特許文献3)。
特許第3002392号公報 特開2002−317237号公報 特開2005−270991号公報
特許文献1及び特許文献2のダクタイル鋳鉄材は、Biによって黒鉛を微細化し、黒鉛粒数を増加させるものであるが、大型複合ロールの軸部のように凝固速度が遅い場合、黒鉛の微細効果が不十分であり、チャンキー黒鉛を晶出する問題がある。
特許文献3のダクタイル鋳鉄材は、大型複合ロールの軸部のように凝固速度が遅い場合でも黒鉛の微細晶出効果が得られるように、Biと同時にSnを適量含有させるものであるが、チャンキー黒鉛の晶出を完全に抑制するには不十分である。
Sbは、黒鉛球状化の阻害作用が特に強い元素であるから、これまで、圧延用複合ロールの軸部を構成するダクタイル鋳鉄材に用いられたことはなかった。
発明者らは、Sbの添加によりチャンキー黒鉛が発生するような状況下においても、通常の大きさの黒鉛を正常に晶出することが可能となることを見出した。
しかも、圧延用ロール軸材のような大型の凝固時間がかかる鋳物であっても、Sb添加によって通常の大きさの黒鉛を正常に成長させる作用は阻害されることがないことを見出した。
本発明の技術的課題は、外層部に耐摩耗性材料、軸部にダクタイル鋳鉄材を用いた圧延用複合ロールにおいて、チャンキー黒鉛の晶出が生じ難い軸部を有する圧延用複合ロールを提供することであり、Sbの添加によって、通常の大きさの黒鉛をロール軸材全体にわたってチャンキー黒鉛を発生させることなく、正常に晶出させることができるものである。
本発明は、外層部と軸部とが溶着一体化されてなる圧延用複合ロールにおいて、外層部は、重量%にて、C:1〜4%、Cr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%を含有するFe基合金からなり、軸部は、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材からなり、かつ、パーライトを主体とする基地中に球状黒鉛が晶出した組織を有し、該球状黒鉛は、軸部の露出部表面の任意の2mm×2mmの領域における黒鉛の合計面積の90%以上が、円相当径で30μm以上であるダクタイル鋳鉄材からなることを特徴とするものである。
本発明はまた、外層部と、軸部と、前記外層部及び前記軸部との間に介在される中間層部とが溶着一体化されてなる圧延用複合ロールにおいて、外層部は、重量%にて、C:1〜4%、Cr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%を含有するFe基合金からなり、軸部は、重量%にて、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材からなり、かつ、パーライトを主体とする基地中に球状黒鉛が晶出した組織を有し、該球状黒鉛は、軸部の露出部表面の任意の2mm×2mmの領域における黒鉛の合計面積の90%以上が、円相当径で30μm以上であり、中間層部は、重量%にて、C:1〜4%、Cr:0.1〜15%、Mo:0.01〜4%を含有するFe基合金からなることを特徴とするものである。
外層部は、重量%にて、V:8.0%以下、W:5.0%以下、Nb:2.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含むことができ、その場合、中間層部は、重量%にて、V:4.0%以下、W:3.0%以下、Nb:1.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
軸部の引張強さは、350MPa以上であることが好ましい。
ダクタイル鋳鉄材からなる本発明の圧延用複合ロールの軸部は、炭化物生成元素の軸部への混入を可及的に少なく抑えられており、黒鉛の球状化に悪影響を及ぼさない範囲内でSbを含有させることにより、チャンキー黒鉛の晶出が阻止されるので、軸部はすぐれた強靱性を具備することができる。
従って、高耐摩耗性材料の外層部と、強靱性にすぐれる軸部を有する圧延用複合ロールを提供することができる。
外層部と軸部とが溶着一体化された本発明の圧延用複合ロールは、外層部用の合金溶湯を鋳込んだ後、軸部用の合金溶湯を鋳込むことによって形成されることができる。
外層部と、軸部と、前記外層部及び前記軸部との間に介在される中間層部とが溶着一体化された本発明の圧延用複合ロールは、外層部用の合金溶湯を鋳込み、その後、中間層部用の合金溶湯を鋳込み、さらに、軸部用の合金溶湯を鋳込むことによって形成されることができる。
外層部及び中間層部の鋳造は、遠心力鋳造法により行われ、軸部の鋳造は、静置鋳造法により行われる。遠心力鋳造法として、円筒状金型の回転軸が水平方向の横型、斜め方向の傾斜型、垂直方向の縦型の各種方法を適用することができる。
図1は、外層部と軸部の間に中間層部を有する鋳造後の複合ロールを示しており、(1)は外層部、(2)は軸部、(3)は中間層部である。
なお、本発明の圧延用複合ロールは、公知の如く、鋳造完了後、所定の焼入れ及び焼戻しが施された後、機械加工を行ない、最終製品となる。
外層部を構成する材料は、圧延用ロールの外層として要求される耐摩耗性にすぐれる材料が用いられる。この材料は、重量%にて、C:1〜4%と、炭化物形成元素であるCr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%とを含有し、高硬度炭化物が晶出した組織を有するFe基合金であり、所望により、炭化物形成元素として、V:8.0%以下、W:5.0%以下、Nb:2.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含むことができる。
外層部の前記Fe基合金として、具体的には、ハイス系鋳鉄材、高クロム材、高合金グレン材、アダマイト材を挙げることができる。
<外層部>
ハイス系鋳鉄材は、例えば、重量%にて、C:1.0〜2.5%、Si:0.2〜1.2%、Mn:0.2〜1.2%、Ni:0.05〜3.0%、Cr:2.0〜8.0%、V:2.0〜8.0%、Mo:2.0〜8.0%を含有すると共に、所望により、W:5.0%以下、Ti:0.5%以下及びNb:2.0%以下の少なくとも1種を含有し、残部Fe及び不可避の不純物である。所望により、Co:5.0%以下をさらに含むことができる。
高クロム材は、例えば、重量%にて、C:2.0〜3.2%、Si:0.5〜1.5%、Mn:0.5〜1.5%、Ni:1.0〜2.0%、Cr:10.0〜25.0%、Mo:0.5〜2.0%、V:2.0%以下、Nb:1.0%以下を含有し、残部Fe及び不可避の不純物である。
高合金グレン材は、例えば、重量%にて、C:2.7〜4.0%、Si:0.4〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、Ni:3.5〜5.0%、Cr:1.0〜2.5%、Mo:0.1〜2.0%、W:1.0%以下、V:2.0%以下、Co:1.0%以下、Nb:1.0%以下を含有し、残部Fe及び不可避の不純物である。
アダマイト材は、例えば、重量%にて、C:1.0〜2.8%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜1.2%、Ni:0.5〜5.0%、Cr:0.5〜2.5%、Mo:0.1〜2.0%を含有し、残部Fe及び不可避の不純物である。
<軸部>
軸部を構成する材料は、重量%にて、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材である。
Sbは、チャンキー黒鉛の晶出を抑制する作用を有する。チャンキー黒鉛は、Si、Ni等の黒鉛化元素の含有によって晶出し易いが、Sbの含有によって、このチャンキー黒鉛の晶出を阻止することができる。このチャンキー黒鉛晶出抑制作用を有効に発揮させるために、Sbは、0.001%以上含有させるものとし、0.015%以上含有させることが好ましい。
一方、Sbは、黒鉛の球状化を阻害する作用があり、あまりに多く含有すると、芋虫状の黒鉛を発生させる傾向があり、強靱性の低下を招く。このため、Sbの含有量の上限は0.1%とする。Sbは、チャンキー黒鉛の晶出を抑制できれば、黒鉛球状化への悪影響を回避するためにその含有量は少ない方が好ましい。それゆえ、上限は、0.0080%とすることが好ましい。
軸部のダクタイル鋳鉄材は、前記Sbの他に、例えば、C:2.8〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:0.3〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Mg:0.02〜0.1%を含有すると共に、所望により、Sn:0.001〜0.13%及び/又はBi:0.0003〜0.1%を含有し、残部Fe及び不可避の不純物から構成することができる。
Cは、黒鉛を晶出するために2.8%以上含有させる。しかし、4.0%を超えると黒鉛量が過多となり、強靱性の低下を招くので、上限を4.0%とする。
Siは、黒鉛化を促進するので1.5%以上含有させるものとし、2.0%以上の含有がより好ましい。しかし、含有量が多くなると基地が脆くなるので、上限を4.5%とする。
Mnは、Sと結合してMnSを形成し、Sによる脆化を防止するために0.3%以上含有させる。1.0%を超えると材質が脆くなるので、上限を1.0%とする。
Niは、黒鉛化を促進するので0.05%以上含有させる。しかし、3.0%を越えても含有量の増加に対応する効果を得られないので、上限を3.0%とする。
Mgは、黒鉛を球状化させるために0.02%以上含有させる。しかし、0.1%を超えて含有すると黒鉛化が阻害され、強靱性の低下を招くので、上限を0.1%とする。
Snは、パーライトを安定化する作用があり、また、Sbと同様、チャンキー黒鉛の晶出を抑制する作用を有するので、0.001%以上含有することが好ましく、0.02%以上含有することがより好ましい。一方、Sbと同様、黒鉛の球状化を阻害する作用を有するため、上限は0.13%、より好ましくは0.10%とする。
Biは、Sbと同様、チャンキー黒鉛の晶出を抑制する作用を有するので、0.0003%以上含有させることが好ましい。Biもまた、黒鉛の球状化を阻害する元素であるので、上限は0.1%とする。
なお、外層部には、炭化物生成元素であるCr、V、Mo、W、Ti、Nbが含まれ、外層部と軸部、又は中間層部と軸部を冶金学的に一体化させる際に外層部から軸部へ不可避的に混入する。これらの元素は、炭化物を生成し、生成された炭化物によって軸部の強靱性の低下を招くと共に、Cが炭化物生成のために消費されると、黒鉛化に必要なCが不足することになり、結果として黒鉛化が阻害される。このため、これら元素の軸部への混入量は合計量で4.0%以下となるように、外層部及び中間層部の成分を調整することが好ましい。
また、外層部にCoが含まれる場合、軸部へ混入することがあるが、軸部に含まれるCoは特に有害ではないので、最大2%程度含まれていても差し支えない。
また、接種材として、Ca、Al、Baなどを添加することがあり、これら各成分が不純物として残留する場合もあるが、夫々、0.05%以下の含有であれば差し支えない。
軸部のダクタイル鋳鉄材は、パーライトを主体とする基地と、球状黒鉛及び少量の炭化物の3相からなり、チャンキー黒鉛のような異常黒鉛は晶出されず、強靱性にすぐれている。
より具体的には、軸部は、パーライトを主体とする基地中に球状黒鉛が晶出した組織を有し、該球状黒鉛は、軸部の露出部表面の任意の2mm×2mmの領域における黒鉛の合計面積の90%以上が、円相当径で30μm以上である。
軸部の引張強さは350MPa以上であることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましく、450MPa以上であることがさらに好ましい。
<中間層部>
中間層部は、外層部の合金成分の軸部への混入量を少なくするために設けられ、重量%にて、C:1〜4%、Cr:0.1〜15%、Mo:0.01〜4%を含有するFe基合金から形成される。
Cは、含有量が少ないと凝固点が高くなり、溶着不良が起こり易くなるので、1%以上含有させる。あまり多く含有すると炭化物が過多となり材質が脆くなるので、上限は、外層部のC量よりも少ない量とし、最大でも4%とする。
CrとMoは、材質を強化する作用があるので、Crは0.1%以上、Moは4%含有させる。含有量があまり多くなると材質の脆化を招くので、上限は外層部のC量よりも少ない量とし、最大でも、Crは15%、Moは4%とする。
中間層部のFe基合金は、脱酸性及び湯流れ性の向上のために2.0%以下のSiを含有することができる。また、Sを固定化してSによる脆化を防ぐために、2.0%以下のMnを含有することができる。さらに、材質を強化するために、3.0%以下のNiを含有することができる。
なお、V、W及びNbは、外層部と冶金学的に一体化させる際に外層部から不可避的に混入するが、これらは中間層に脆化をもたらすのでできるだけ少ない方が好ましく、中間層部を鋳込む際、中間層部のFe基合金溶湯は、V、W及びNbの含有量を0.1%以下に制限することが好ましい。
<2層ロール>
外層部と軸部が冶金学的に一体化された2層構造の供試ロールを次の要領にて作製した。
遠心力鋳造用金型に外層材溶湯を遠心力鋳造した後、金型の回転を止め、外層部が鋳造された金型を垂直に立てて、両端に上型と下型を連設して、その内部に軸部溶湯を鋳込んだ。
使用した遠心力鋳造用金型の内径は590mm、外層部の鋳込み厚さは66mmである。
<3層ロール>
次に、外層部、中間層部及び軸部が夫々冶金学的に一体化された3層ロールを次の要領にて作製した。
遠心力鋳造用金型に外層材溶湯を遠心力鋳造し、外層部が完全に凝固した後引き続いて中間層材溶湯を遠心力鋳造し、外層部と、中間層部とを溶着させた。中間層部が凝固するのを待って、金型の回転を止め、外層部と中間層部を内有した金型を垂直に立てて、両端に上型と下型を連設して、その内部に軸部となる内層材溶湯を鋳込んだ。
外層材がハイス系鋳鉄材のとき、使用した遠心力鋳造用金型の内径は850mm、外層部の鋳込み厚さは90mm、中間層部の鋳込み厚さは25mmである。
外層材が高クロム材のとき、使用した遠心力鋳造用金型の内径は774mm、外層部の鋳込み厚さは99mm、中間層部の鋳込み厚さは23mmである。
外層材が高合金グレン材のとき、使用した遠心力鋳造用金型の内径は680mm、外層部の鋳込み厚さは90mm、中間層部の鋳込み厚さは23mmである。
表1〜表6に供試ロールの合金化学成分を示している。
表1及び表2は、外層材がハイス系鋳鉄材の実施例で、表1は2層ロール、表2は3層ロールである。表1中、No.1〜No.5は発明例、No.101〜No.102は比較例である。表2中、No.11〜No.15は発明例、No.111〜No.112は比較例である。
表3及び表4は、外層材が高クロム材の実施例で、表3は2層ロール、表4は3層ロールである。表3中、No.21〜No.23は発明例、No.121は比較例である。表4中、No.31〜No.34は発明例、No.131〜No.132は比較例である。
表5及び表6は、外層材が高合金グレン材の実施例で、表5は2層ロール、表6は3層ロールである。表5中、No.41〜No.44は発明例、No.141は比較例である。表6中、No.51〜No.54は発明例、No.151は比較例である。
各供試ロールの軸部の露出部表面の軸芯に近い部分より、2mm×2mmの領域を金属顕微鏡にて観察し、チャンキー黒鉛の晶出の有無を観察する共に、画像解析ソフトWinroofを用いて、黒鉛の合計面積、円相当径で30μm以上の黒鉛の面積、及び円形度を測定した。
「円相当径」は、黒鉛の面積と同じ面積の等価円の直径(単位:μm)を表す。即ち、円相当径=2×(面積/π)1/2で算出される。
「円形度」は、黒鉛の周囲長と面積から、円形度=4π×面積/(周囲長)2として算出したもので、1に近いほど真円に近いことを意味する。
測定結果より、円相当径で30μm以上の黒鉛が全黒鉛に占める割合と、円形度を、百分率表示で表1〜表6に示す。
表1中、軸部の露出部表面の任意の2mm×2mmの領域における黒鉛の合計面積の90%以上が、円相当径で30μm以上の黒鉛で占められているとき、チャンキー黒鉛は観察されなかった。
発明例のNo.33及びNo.54と、比較例のNo.121、No.131及びNo.151の金属顕微鏡写真を、夫々、図2〜図6に示す。
図2及び図3に示されるように、No.33及びNo.54は、チャンキー黒鉛の晶出は認められず、黒鉛の球状化状態も良好である。
図4〜図6に示されるように、No.121、No.131及びNo.151は、円相当径で30μm以上の黒鉛が全黒鉛に占める面積率が90%より少ないため、チャンキー黒鉛が晶出することを示している。
なお、円形度が55%以上では、黒鉛の状態は球状であり、43%の例(No.102、No.112、No.132)では芋虫状であった。この結果より、円形度が約50%よりも低くなると、黒鉛の球状化状態は悪化することが推測される。
引張試験片は、軸部製品表面相当の軸部余長部から採取し、JISに準拠して引張試験を行なった。その試験結果を表1〜表6に示す。
表1〜表6の結果より、発明例は、チャンキー黒鉛の晶出が観察されず、また、黒鉛の球状化が良好であり、高い引張強度を具えている。
これに対し、比較例のNo.101、No.111、No.121、No.131、No.141及びNo.151は、Sbの含有量が本発明の規定よりも少ないか含んでいないため、チャンキー黒鉛の晶出が観察され、引張強度の低下を招くことを示している。
なお、比較例のNo.102、No.112及びNo.132は、Sbの含有量が本発明の規定よりも多いため、芋虫状黒鉛の晶出が観察され、黒鉛の球状化不良により、引張強さが低くなっている
本発明の圧延用複合ロールは、外層部が耐摩耗性にすぐれ、軸部は強靱性にすぐれるので、熱間圧延用及び冷間圧延用として利用され、ロール性能の向上により、圧延製品の品質改善に対する寄与も大きい。
外層部、中間層部及び軸部を有する圧延用複合ロールの鋳造後の縦断面図である。 発明例No.33の軸部の金属顕微鏡写真である。 発明例No.54の軸部の金属顕微鏡写真である。 比較例No.121の軸部の金属顕微鏡写真である。 比較例No.131の軸部の金属顕微鏡写真である。 比較例No.151の軸部の金属顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. 外層部と軸部とが溶着一体化されてなる圧延用複合ロールであって、外層部は、重量%にて、C:1〜4%、Cr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%を含有するFe基合金からなり、軸部は、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材からなり、かつ、パーライトを主体とする基地中に球状黒鉛が晶出した組織を有し、該球状黒鉛は、軸部の露出部表面の任意の2mm×2mmの領域における黒鉛の合計面積の90%以上が、円相当径で30μm以上である圧延用複合ロール。
  2. 外層部は、重量%にて、V:8.0%以下、W:5.0%以下、Nb:2.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含んでいる請求項1の圧延用複合ロール。
  3. 外層部と、軸部と、前記外層部及び前記軸部との間に介在される中間層部とが溶着一体化されてなる圧延用複合ロールであって、外層部は、重量%にて、C:1〜4%、Cr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%を含有するFe基合金からなり、軸部は、重量%にて、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材からなり、かつ、パーライトを主体とする基地中に球状黒鉛が晶出した組織を有し、該球状黒鉛は、軸部の露出部表面の任意の2mm×2mmの領域における黒鉛の合計面積の90%以上が、円相当径で30μm以上であり、中間層部は、重量%にて、C:1〜4%、Cr:0.1〜15%、Mo:0.01〜4%を含有するFe基合金からなることを特徴とする圧延用複合ロール。
  4. 外層部は、重量%にて、V:8.0%以下、W:5.0%以下、Nb:2.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含んでいる請求項3の圧延用複合ロール。
  5. 中間層部は、重量%にて、V:4.0%以下、W:3.0%以下、Nb:1.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含んでいる請求項3又は4の圧延用複合ロール。
  6. 軸部の引張強さは350MPa以上である請求項1乃至5の何れかに記載の圧延用複合ロール。
  7. 外層部と軸部とが溶着一体化された圧延用複合ロールの製造方法であって、外層部として、重量%にて、C:1〜4%、Cr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%を含有するFe基合金の溶湯を鋳込み、その後、軸部として、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材の溶湯を鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロールの製造方法。
  8. 外層部と、軸部と、前記外層部及び前記軸部との間に介在される中間層部とが溶着一体化された圧延用複合ロールの製造方法であって、外層部として、重量%にて、C:1〜4%、Cr:1〜25%、Mo:0.1〜8.0%を含有するFe基合金の溶湯を鋳込み、その後、中間層部として、V、W及びNbの含有量を0.1%以下に制限したFe基合金の溶湯を鋳込み、さらに、軸部として、Sb:0.001〜0.1%を含有するダクタイル鋳鉄材の溶湯を鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロールの製造方法。
  9. 外層部のFe基合金の溶湯は、重量%にて、V:8.0%以下、W:5.0%以下、Nb:2.0%以下のうちの少なくとも1種をさらに含んでいる請求項7の圧延用複合ロールの製造方法。
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