JP3582400B2 - 耐事故性に優れた遠心鋳造製熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール - Google Patents

耐事故性に優れた遠心鋳造製熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心鋳造性複合ロールに関し、とくに熱間圧延の仕上後段スタンドに好適な熱間圧延用複合ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱間圧延技術の進歩はめざましく、それに伴い、使用される熱間圧延ロールの特性、とくに耐摩耗性の向上が強く要求されてきた。このような耐摩耗性の向上要求に対し、高速度工具鋼組成に類似した組成の外層とし、硬質な炭化物を析出させ、耐摩耗性を格段に向上させた、高性能ロール(ハイス系ロール)が開発され実用化されている。
【0003】
例えば、特開平8−73977 号公報には、重量比で、C:2.5 〜4.0 %、Si:1.5 %以下、Mn:1.2 %以下、Cr:6.0 〜20%、Mo:2.0 〜12%、V:3.0 〜10.0%、Nb:0.6 〜5.0 %を含有し、10<6.5C−1.3V−0.7Nb ≦2Cr −2を満足する組成のハイス系の熱間圧延用ロール外層材が提案されている。この外層材を使用した複合ロールは、摩擦係数が低く、耐摩耗性、耐肌あれ性と耐バンディング性に優れているとされる。
【0004】
また、特開平10−183289号公報には、重量比で、C:2.4 〜2.9 %、Si:1 %以下、Mn:1%以下、Cr:12〜18%、Mo:3〜9%、V:3〜8%、Nb:0.5 〜4%を含有し、0.27≦Mo/Cr <0.7 、およびC+0.2Cr ≦6.2 を満足する組成のハイス系の外層を有する熱間圧延用ロールが提案されている。この熱間圧延用ロールは、炭化物の偏析が少なく耐摩耗性に著しく優れているとされる。
【0005】
また、特開平10−192916号公報には、連続肉盛鋳造法により常温〜100 ℃における熱膨張係数が12×10−6/℃以下あるいはさらに熱伝導率が0.12cal /(cm・sec ・℃) 以下の軸材の外周に、ハイス系材の外層を溶着形成した熱間圧延用複合ロールが提案されている。このロールは、耐摩耗性、耐肌あれ性に優れ、さらにサーマルクラウンが小さいとされている。
【0006】
しかしながら、圧延製品の品質向上と効率的生産の観点から熱間圧延用ロールの使用環境はますます過酷化し、同時に生産される圧延製品の品種が多様化するに伴い、ロールの使いやすさへの要望が高くなるなど、熱間圧延作業ロールに対する要求もさらに高く、しかも多様化している。
例えば、熱間仕上圧延における最終スタンドでは、とくに薄物圧延時に、圧延トラブル等で鋼板が折り畳まれた状態で圧延されるという、いわゆる絞り圧延事故がしばしば発生し、ハイス系ロールの使用を制限することを余儀なくされている。このような絞り圧延事故が発生すると、作業ロール表面には非常に大きな熱負荷と面圧が瞬間的に負荷され、このため、作業ロール表面に粗大な亀裂、いわゆる絞りクラックが形成されることが多い。絞りクラックが形成されたままの作業ロールで圧延を続けると、繰り返し圧延応力の作用により絞りクラックから疲労亀裂が伝播して、ついには作業ロールの割損に至る。
【0007】
絞り圧延事故の多くは、作業ロールのサーマルクラウンの増加により、ロールギャップが小さくなるためであると考えられている。ロールギャップが小さくなることにより、通板性が低下して、鋼板の蛇行や、鋼板の腹伸び、耳伸び等の圧延トラブルが生じて、鋼板が折り畳まれて圧延されるのである。
ここで、耐摩耗性に優れるハイス系ロールは、ロールの消耗量が少なくなるため、サーマルクラウンが見掛け上大きくなって通板性が低下するという問題があった。また、ハイス系ロールでは絞りクラックが発生しやすいという問題もあり、ハイス系ロールの熱間仕上圧延最終スタンドへの適用が制限されていた。
【0008】
例えば、特開平8−73977 号公報、特開平10−183289号公報に記載された技術で製造された熱間圧延用複合ロールは、炭化物の強化により亀裂発生への抵抗が高いが、硬質な炭化物を多量に含有することから、過大な絞り圧延に遭遇した場合には亀裂が炭化物を進展して粗大化し、同時に内層と外層の熱膨張係数の隔たりからロール外層に高い残留応力が存在することに起因し、亀裂の進度が著しく促進されて、スポーリングと呼ばれるロール表面の割損事故が発生する場合があり、熱間仕上圧延の後段スタンド用ロールとして、安定して使用できるまでの特性を有していないという問題があった。
【0009】
また、特開平10−192916号公報に記載された技術で製造された熱間圧延用複合ロールは、軸材の熱膨張係数と熱伝達率を低下させ、軸材の熱膨張を抑制させることでロールのサーマルクラウンを減少させようとするものであるため、圧延中に最も熱膨張するロール外層部の熱膨張の抑制が不十分であり、優れた通板性を確保できるほど圧延中の見掛けのサーマルクラウンを低減できず、圧延トラブルの発生を完全に抑制することができないという問題があった。
【0010】
このような背景から、熱間仕上圧延の後段スタンドでも安定して使用可能なハイス系ロールが熱望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、熱間仕上圧延の最終スタンドに安定して適用できる、優れた耐摩耗性と耐肌荒れ性を有し、かつ良好な通板性や耐絞りクラック性などの、耐事故性に優れた遠心鋳造製熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、ハイス系ロール外層材における耐摩耗性、耐肌荒れ性、耐事故性におよぼす合金元素配合量の影響について鋭意研究した。その結果、Cr、Mo含有量を高くし、VとNbを複合添加するとともに、C、CrおよびMo量を最適化することにより、熱膨張係数の低下、耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐事故性の向上が同時に可能であることを見いだした。
【0013】
しかし、良好な通板性を確保し耐事故性を向上させるために、外層材の熱膨張係数を小さくすると、ロール熱処理時の冷却中に、外層材が収縮する量より内層材が収縮する量が非常に大きくなり、熱処理中のロールの内部応力や熱処理後のロールの残留応力を増加させることになる。この熱処理中の応力増加は、熱処理中のロール割損事故の原因となり、また、熱処理後の残留応力の増加は、絞り圧延に遭遇した際のロール表層部の剪断力を増大させ、絞りクラックの生成と粗大化を促進する原因になる。そこで、本発明者らは、外層の熱膨張係数が低く、かつ残留応力の低い複合ロールを安定して製造するという観点から、内層材の熱膨張係数を低減する必要があるという結論に達した。
【0014】
本発明における複合ロールは、焼入れ後に 500℃前後の温度で応力弛緩処理を兼ねた焼戻処理が1回から複数回実施される。このことから、本発明者らは、ロール熱処理中の応力や熱処理後の残留応力を低減するには、内層材の室温から 500℃における平均熱膨張係数を低下することが有効であることに思い至った。
本発明は、上記した知見に基づいて完成されたものである。
【0015】
すなわち、遠心鋳造で製造された外層と溶着一体化した内層を有する熱間圧延用複合ロールであって、前記外層が、重量比で、C: 1.5〜2.4 %(2.4 %を除く)、Si:0.1 〜2.0 %、Mn:0.1 〜2.0 %、Cr:7〜13%、Mo: 2.5〜10%、V:3〜10%、Nb:0.5 〜5%を含み、あるいはさらにCo:10%以下、Ni:3%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有し、さらに次(1)、(2)式
0.27 ≦Mo (%) /Cr (%) ≦0.8 ……(1)
Cr (%) /C (%) ≧3.3 ……(2)
(ここで、Cr、Mo、C:各元素の含有量(%))
を同時に満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ室温から300 ℃における平均熱膨張係数が11.5×10-6/℃以下であり、前記内層が重量比で、C: 2.5 4.O %、 Si 1.5 3.5 %、 Mn 0.3 2.0 %、 Cr 0.3 0.8 %、 Mo 0.5 4.0 %、V: 0.1 1.0 %、 Nb 0.04 0.5 %、 Mg 0.02 0.08 %を含み、あるいはさらに Ni 1.5 %以下および/または Co 10 %以下を含有し、残部 Fe および不可避的不純物からなる組成を有し、かつ室温から500 ℃までの平均熱膨張係数が13.5×10-6/℃以下である球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロールであ
【0016】
また、本発明は、遠心鋳造で製造された外層と内層との間に中間層を有し、該中間層を介して外層と内層が溶着一体化してなる熱間圧延用複合ロールであって、前記外層が、重量比で、C: 1.5〜2.4 %(2.4 を除く)、Si:0.1 〜2.0 %、Mn:0.1 〜2.0 %、Cr:7〜13%、Mo: 2.5〜10%、V:3〜10%、Nb:0.5 〜5%を含み、あるいはさらにCo:10%以下、Ni:3%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有し、さらに前記(1)、前記(2)式を同時に満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ室温から300 ℃における平均熱膨張係数が11.5×10-6/℃以下であり、前記内層が重量比で、C: 2.5 4.O %、 Si 1.5 3.5 %、 Mn 0.3 2.0 %、 Cr 0.3 0.8 %、 Mo 0.5 4.0 %、V: 0.1 1.0 %、 Nb 0.04 0.5 %、 Mg 0.02 0.08 %を含み、あるいはさらに Ni 1.5 %以下および/または Co 10 %以下を含有し、残部 Fe および不可避的不純物からなる組成を有し、かつ室温から500 ℃までの平均熱膨張係数が13.5×10-6/℃以下である球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロールであり、また、本発明では、前記中間層が、重量比で、C:1.5 〜3%、Si:0.5 〜3.5 %、Mn:0.2 〜2%、Cr:1.0 〜6.0 %、Mo:1.0 〜6.0 %、V:3%以下、Nb:2%以下を含み、あるいはさらにNi:2%以下および/またはCo:8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する合金材料であることが好ましい。また、本発明では、前記中間層は、前記外層の平均熱膨張係数と前記内層の平均熱膨張係数との中間の平均熱膨張係数、または前記内層の平均熱膨張係数と同等の平均熱膨張係数を有する合金材料であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロールの外層の組成限定理由について説明する。
なお、組成における%は重量比である。
C: 1.5〜2.4 2.4 を除く)
Cは、ロールの耐摩耗性を向上するための炭化物形成に必須な元素であり、本発明では 1.5〜2.4 2.4 を除く)の範囲に限定した。本発明の範囲にC量を調整することにより、共晶炭化物の多量晶出が抑制されて耐摩耗性と同時に耐絞りクラック性(耐熱衝撃性)が向上する。C含有量が 1.5%未満では、炭化物量が不足して耐摩耗性が劣化する。一方、2.4 %を超えると炭化物量が過多となり熱衝撃特性を劣化させ、同時に熱膨張係数をも増加させる。熱膨張係数を低くする観点から、1.5 〜2.4 % 2.4 を除く)とした
【0018】
Si: 0.1〜 2.0%
Siは、脱酸剤として作用するともに、Crと同様に基地に固溶して耐高温酸化性を高める作用もある。このような作用は、0.1 %以上の含有で認められるが、2.0 %を超えて添加しても効果が飽和し、経済的に不利となる。このため、Siは0.1 〜 2.0%の範囲に限定した。
【0019】
Mn: 0.1〜 2.0%
Mnは、溶鋼中のSをMnS として固定し、Sの悪影響を除去するために有用である。また、焼入れ性を向上する効果もある。このような効果を得るためには、0.1 %以上の含有が必要である。しかし、2.0 %を超えて含有するとオーステナイトが多量に残留してロール特性を劣化させる。このため、Mnは0.1 〜 2.0%の範囲に限定した。
【0020】
Cr:7〜13
Crは、耐摩耗性と耐肌荒れ性を向上させる強固なCr系炭化物を出現させるために必須の元素である。また、Crは、基地に固溶して熱膨張係数を効果的に低下させる作用を有する。さらにCrは、熱伝導率を低下させる強い作用をもち、外層から内層への熱伝達を抑制し、内層が熱膨張することによるサーマルクラウンの増大を抑制する重要な効果を有する。このような効果は、Cr7%以上の含有で認められる。Crが7%未満では、上記した効果が不足し、通板性の向上、耐摩耗性の向上を達成することが不可能となる。一方、13%を超えると炭化物が過多となって耐熱衝撃性が低下する
【0021】
Cr/C:≧ 3.3
Cr/Cは、熱膨張係数に影響を及し、本発明では重要な因子であり、3.3 以上に限定する。Cr/Cが、 3.3未満では、基地に固溶するCr量が不足して、所定の熱膨張係数を達成できない。なお、好ましくはCr/Cは3.5 〜7.5 の範囲である。
【0022】
Mo: 2.5〜10%
Moは、Cr炭化物およびMC炭化物中に濃化してこれらのCr系炭化物を強化し、耐肌荒れ性と耐摩耗性および耐熱衝撃性を著しく向上する効果を有する。また、Moは熱膨張係数の低下にも効果的に作用する。このような効果は、2.5 %以上の含有で認められる。しかし、10%を超える含有は、脆弱なMo系の炭化物が多量に出現し、耐肌荒れ性と耐摩耗性が著しく劣化する。このため、Moは2.5 〜10%の範囲に限定した。
【0023】
0.27≦Mo(%)/ C(%)≦0.8
本発明では、さらにMo/Cr が0.27〜0.8 の範囲となるようにCr含有量に応じMo含有量を調整する。Mo/Cr が2.7 未満では、Cr系炭化物の強化が不十分であり、一方、0.8 を超えると、強化されたCr系炭化物に比べて脆弱なMo系の炭化物が多量に出現し、耐肌荒れ性と耐摩耗性が著しく劣化する。
【0024】
V:3〜10%
Vは、硬質なMC炭化物を形成させ、耐摩耗性を向上させる効果を有する。このため、一定レベルの耐摩耗性を得るために、ハイス系ロールとしては必須な元素である。このような効果は、3%以上の含有で認められるが、10%を超える含有は、溶湯の融点を上昇させるとともに溶湯の流動性を低下させ、遠心鋳造を困難にする。このため、Vは3〜10%の範囲に限定した。なお、好ましくは、3〜7%の範囲である。
【0025】
Nb: 0.5〜5%
Nbは、Vと同様に硬質なMC炭化物を形成させ、さらにMoをより効果的にMC炭化物中に濃化させる作用を有し、本発明の範囲のCr、Moとの共存により耐摩耗性を著しく向上する。さらに、MC炭化物を粒状化して、亀裂生成への抵抗力を高める作用も有する。このような効果は、0.5 %以上の含有で認められるが、5%を超えて添加しても効果が飽和するうえ、MC型炭化物の晶出温度を著しく上昇させ、MC型炭化物の著しい粗大化を招き、炭化物の偏析を助長する。なお、好ましくは、0.5 〜3%である。
【0026】
Co:10%以下
本発明では、Coは必要に応じ添加できる。Coは、基地中に固溶するとともに、他元素の基地への固溶量を高めて基地をより強化する効果を有する。またCoは、熱膨張係数を低下する作用も有する。10%を超えて含有してもその効果が飽和するため10%を上限とするのが好ましい。
【0027】
Ni:3%以下
本発明では、Niは必要に応じ添加できる。Niは、焼入れ性を向上させる作用があり、熱処理での変態挙動を制御するのに有用な元素である。しかし、耐摩耗性を劣化する作用も合わせもつため、3%以下に限定するのが好ましい。Ni含有量が3%を超えると、焼入れ性向上効果も飽和する。
【0028】
さらに、本発明では、下記の範囲内であれば、W、Bを含有してもよい。
W:1%以下
Wは、硬質な炭化物を形成する元素であり、1%以下であれば含有してもさしつかえない。しかし、1%を超えると、耐肌荒れ性や耐熱衝撃性が劣化する。
B:0.05%以下
Bは、Nと結合しNを安定化させる作用を有するため、0.05%以下であれば含有してもよい。本発明では、Cr、V、Nbなどの合金元素を多量に含有するため、通常の大気溶解では多量のNが不可避的に溶湯に混入し、Nの悪影響も懸念される。BはNとともにBNを形成してNを安定化する作用があるためBを0.05%以下であれば含有してもよい。しかし、0.05%を超えると材質が脆くなる。
【0029】
本発明の複合ロールの外層は、上記した成分以外は残部Feおよび不可避的不純物である。
また、本発明の複合ロールの外層は、室温から 300℃における平均熱膨張係数が11.5×10−6/℃以下の低熱膨張係数を有する外層である。とくに、外層の熱膨張係数の低減は、ロールのサーマルクラウンを大幅に低減し、ロールの通板性向上に最も有効に作用する。室温から 300℃における平均熱膨張係数が11.5×10−6/℃を超えると、ロールのサーマルクラウンが大幅に増大する傾向を有し、優れた通板性を確保できなくなる。
【0030】
本発明の熱間圧延用複合ロールでは、従来のハイスロールに比べて耐摩耗性も向上しているため、ロール消耗量が小さくなる。このため、外層が従来のロールと同様に膨張したときには、従来に比べ、あたかもロールが膨張したように見えてしまう。すなわち、摩耗量が小さくなった分だけ、見掛け上サーマルクラウンが増大したようにみえる。しかし、本発明のロールは、室温から 300℃における熱膨張係数が11.5×10−6/℃以下と小さく限定されているため、実際にはサーマルクラウンが大幅に低下しており、従来のハイス系ロールに比べて見掛け上のサーマルクラウンも減少する。このため、本発明の熱間圧延用ロールは、通板性が向上するのである。
【0031】
本発明の範囲の組成を有する外層が、耐摩耗性、耐熱衝撃性を有し、低い熱膨張係数を有することを本発明者らが行った実験結果に基づいて説明する。
表1に示す組成のロール外層用溶湯を溶製し、遠心鋳造法で690mm φのロール外層材(肉厚:80mm)とした。これら外層材を、1050℃に加熱したのち、焼入れし、さらに 500〜 550℃で2回焼戻しを実施した。なお、外層材No.O−11 は、熱間仕上圧延後段最終スタンド用の作業ロールとして主に使用されている NiG鋳鉄である。
【0032】
ついで、これら熱処理ずみ外層材から、試験片を採取し、摩耗試験、熱衝撃試験および熱膨張試験を実施した。
摩耗試験は、相手材(S45C)と試験片の2円盤すべり摩耗方式で実施した。回転数600rpmで回転させながら、相手材を800 ℃に加熱し、試験片を水冷し、試験片と相手材のすべり率を10%として、荷重 100kgで圧接しながら転動させた。この試験を相手材を更新して4回繰り返した後(転動回数:72000 回)、試験片の摩耗減量を測定した。
【0033】
熱衝撃試験は、加熱回転した円板状の相手材(S45C)を25mm厚の板状の試験片に圧接し、圧接終了直後に水冷する方式で行った。相手材の温度は 800℃から1050℃の間(50℃ピッチ)で変化させた。この熱衝撃試験では、相手材の温度が高いほど試験片への熱負荷が大きくなり、試験片に熱衝撃亀裂が入りやすくなるため、亀裂が発生する温度が高いほど耐熱衝撃性が優れることを意味する。
【0034】
熱膨張試験は、5mmφ×20mm長さの試験片を用いて、室温(20℃)〜300 ℃、室温(20℃)〜500 ℃における平均熱膨張係数を測定した。
これらの結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003582400
【0036】
【表2】
Figure 0003582400
【0037】
本発明の外層組成の範囲では、従来組成である外層材No.11 (NiG 鋳鉄)と比べて、いずれも摩耗量が1/10程度までに低減しており、極めて優れた耐摩耗性を有している。また、室温から 300℃における熱膨張係数も11.5×10−6以下と極めて小さい熱膨張係数を有しており、サーマルクラウンの減少による通板性向上が期待できる。
【0038】
さらに、本発明の外層組成の範囲では、熱衝撃試験における熱衝撃亀裂発生温度が1050℃以上と高く、耐熱衝撃性に優れ、絞りクラックの抑制が達成できる。なお、本発明の外層組成の範囲を外れた場合は、熱膨張係数が大きいか、耐摩耗性、耐熱衝撃性のいずれかが劣化している。
外層材No.O−8は、Cr量とCr/Cが本発明の範囲を外れたため、熱膨張係数が大きく、耐摩耗性、耐熱衝撃性が著しく劣化している。
【0039】
外層材No.O−9は、C量が本発明の範囲を外れたため、耐熱衝撃性が著しく劣化している。
外層材No.O−10 は、Wを多量に含有し、Nb量が本発明の範囲を外れたため、熱膨張係数が大きく、耐摩耗性と耐熱衝撃性が著しく劣化している。
本発明では、上記した組成の溶湯を、遠心鋳造法で外層としたのち、さらに内層を静置鋳造して、外層と内層が溶着一体化した複合ロールとする。
【0040】
静置鋳造される内層は、鋳造性と機械的性質に優れた球状黒鉛鋳鉄を用い、さらに残留応力の低い複合ロールを安定して製造することを可能とするため、室温から 500℃までの平均熱膨張係数が13.5×10-6/℃以下となる組成とする。室温から 500℃の間の平均熱膨張係数を低下するにはCrとMoあるいはCoの添加が有効である。
【0041】
つぎに、内層の組成について説明する。
C:2.5 〜 4.0%
Cは、鋳造性の向上と黒鉛を出現させるために添加される。C含有量が 2.5%未満では黒鉛の量が少なく、鋳造性が劣化し、引け巣が発生しやすくなる。一方、4.0 %を超えると粗大な黒鉛が出現し内層材質が脆弱となる。このため、Cは 2.5〜 4.0%の範囲に限定する。
【0042】
Si:1.5 〜 3.5%
Siは、Cと同様に鋳造性の向上と黒鉛化のために添加される。Si含有量が 1.5%未満では黒鉛化が不十分となり、炭化物の晶出が増加する。このため内層が硬脆化する。一方、 3.5%を超えて含有しても、黒鉛化の効果は飽和するうえ、形の崩れた黒鉛が出現しやすくなり、内層強度が低下する。このため、Siは1.5 〜3.5 %の範囲に限定する。
【0043】
Mn:0.3 〜 2.0%
Mnは、溶湯中のSをMnS として固定し、Sの悪影響を除去する作用を有する。このような作用は0.3 %以上の含有で認められるが、2%を超えて含有すると内層材質が脆化する。
Cr:0.3 〜 0.8%
Crは、パーライト組織を安定にする作用を有し、内層強度を向上させ、さらに熱膨張係数を低下させる効果を有する。この効果は0.3 %以上の含有で認められるが、0.8 %を越えて含有すると共晶炭化物の晶出が増加して内層材質が硬脆化する。
【0044】
Mo:0.5 〜 4.0%
Moは、内層の熱膨張係数を低下させる作用を有し、さらに強度を増加させる作用もある。この効果を得るためには 0.5%以上含有させる必要があるが、4.0 %を超えて含有すると炭化物の晶出量が増加して内層材質が硬脆化する。
V:0.1 〜1%
Vは、MC炭化物を形成し、脆弱なセメンタイトの出現を抑制するとともに、内層強度を上昇させる効果を有する。この効果を得るには0.1 %以上の含有が必要である。一方、1%を超える含有は、内層材質を硬脆化させる。このため、Vは 0.1〜1%の範囲に限定する。
【0045】
Nb:0.04〜0.5 %
Nbは、Vと同様にMC炭化物を形成させ、脆弱なセメンタイトの出現を抑制するとともに、内層強度を上昇させる効果を有する。しかし、0.5 %を超える含有は、内層材質を硬脆化させる。このため、Nbは0.04〜 0.5%以下に限定する。
【0046】
Mg:0.02〜0.08%
Mgは、黒鉛を球状化して強度を向上するために必須な元素である。黒鉛を球状化するためには、0.02%以上の含有を必要とする。0.02%未満では、黒鉛が球状化度合いが低下する。一方、0.08%を超えると白銑化しやすくなり、また、ドロスなどの介在物欠陥が多くなる。このため、Mgは0.02〜0.08%の範囲に限定する。
【0047】
Ni 1.5 %以下
Ni は、炭化物の出現を抑制して強度を向上する作用を有し、必要に応じ含有できる。しかし、 1.5 %を超えて含有しても効果が飽和するため、 Ni 1.5 %以下に限定するのが好ましい。
Co:10%以下
Coは、熱膨張係数を低下するのに効果をもち、必要に応じ含有できる。しかし、10%を超えて含有しても、効果が飽和する。このため、Coは10%以下に限定するのが好ましい。
なお、内層は、上記した成分以外は残部Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物として、P:0.05%以下、S:0.03%以下とするのが好適である。
【0048】
本発明の複合ロールの内層は、室温から 500℃における熱膨張係数を13.5×10−6/℃以下とする。
本発明の複合ロールの熱処理は、焼入れに引き続いて 400〜 600℃での焼戻し処理が1回から複数回実施される。外層と内層の熱処理中あるいは熱処理後の熱膨張差を低減するために、室温から 500℃における平均熱膨張係数を13.5×10−6/℃以下に限定する。室温から 500℃における平均熱膨張係数が13.5×10−6/℃を超えると、ロール製造における熱処理時に内層と外層との収縮量差が著しく大きくなるため、内層に過大な引張応力が、外層には過大な圧縮応力が発生する。内層の過大な引張応力は熱処理でのロール割損事故を発生させ、外層の過大な圧縮残留応力は粗大な絞りクラックの発生原因となる。このため、本発明では、内層の室温から 500℃における熱膨張係数は、13.5×10−6/℃以下に限定する。これにより、内層外層に発生する応力を制限でき、ロール割損事故や粗大絞りクラックの生成を抑制できる。なお、従来の球状黒鉛鋳鉄では、室温から 500℃における熱膨張係数は13.5×10−6/℃を超えていることが多い。
【0049】
本発明の範囲の組成を有する内層が、低い熱膨張係数を有することを、本発明者らが行った実験結果に基づいて説明する。
表3に示す組成の溶湯を溶製し、肉厚50mmの大きさの鋳造品としたのち、1050℃に加熱し冷却(徐冷)し基地組織をパーライト組織とした。これら鋳造品から、試験片を採取し、引張試験と熱膨張試験を実施した。その結果を表4に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0003582400
【0051】
【表4】
Figure 0003582400
【0052】
本発明の内層材(内層材No.I−1〜No.I−5)は、いずれも室温から500 ℃における平均熱膨張係数は13.5×10−6/℃以下となっており、複合ロールの熱処理での過大な応力の発生を抑制できる。しかも、白銑化元素であるCrとMoを増加したにもかかわらず、内層材として十分な 500MPa 以上の引張強さを保持できる。
一方、本発明の内層組成の範囲を外れる鋳造品では、内層材No.I−6はCrとMo量が、No.I−7はMoとV量が、それぞれ本発明の範囲を外れており、平均の熱膨張係数が13.5×10−6/℃を超え、複合ロールの熱処理での過大な応力が発生することが懸念される。
【0053】
本発明の複合ロールでは、外層と内層の間に中間層を設け、内層と外層を溶着一体化させることができる。中間層は、外層を遠心鋳造法で製造したのち、遠心鋳造法で外層の内側に形成させるのが好ましい。中間層の存在は、外層と内層の熱膨張率、ヤング率などの物理的性質や機械的性質の隔たりを埋める緩衝層としての作用を有し、かつ外層成分、とくに炭化物形成元素(Cr)が内層に過剰に混入し内層が硬脆化するのを防止するのに有効である。
【0054】
中間層は、1〜3%のCを含有した合金材料、例えば、過共析鋼、黒鉛鋼、鋳鉄系材料とするのが好ましい。さらにより好ましくは、外層と内層の中間あるいは内層と同等の熱膨張係数をもつことが、ロール製造上、あるいはロール使用上推奨される。
つぎに、中間層の好ましい組成について、説明する。
【0055】
C:1〜3%
Cは、基地中に溶け込んで強度を確保する。C含有量が1%未満ではその効果が不十分であり、一方、3%を超えると、炭化物が多くなり靱性が低下する。このため、Cは1〜3%に限定する。なお、好ましくは1.5 〜3%である。
Si:0.5 〜3.5 %
Siは、硬脆化の抑制と鋳造性確保のため、0.5 %以上必要である。しかし、3.5 %を超えるて含有しても効果が飽和する。このため、Siは0.5 〜3.5 %とするのが好ましい。
【0056】
Mn:0.2 〜2%
Mnは、強度を向上させる効果があり、強度確保のためには0.2 %以上の含有が必要であるが、2%を超える含有は効果が飽和する。このため、Mnは0.2 〜2%とするのが好ましい。
Cr:1.0 〜6.0 %
Crは、熱膨張係数を低下させるのに有効な元素である。外層あるいは内層の熱膨張係数に近づけるには1.0 %以上含有するのが好ましい。一方、6%を超える含有は、炭化物が過多隣、材質が脆化する。このようなことから、Crは1.0 〜6.0 %とするのが好ましい。
【0057】
Mo:1.0 〜6.0 %
Moも、Crと同時に熱膨張係数を低下させるのに有効な元素である。外層あるいは内層の熱膨張係数に近づけるには1%以上含有するのが好ましくい。一方、6%を超える含有は、炭化物が過多となり、材質が脆化する。このため、Moは1.0 〜6.0 %に限定するのが好ましい。
【0058】
V:3%以下、Nb:2%以下
V、Nbはいずれも、中間層の強度を向上させる作用があり、本発明の中間層では含有する。しかし、Vが3%、Nbが2%を超えて含有すると、中間層にミクロな引け巣が形成されやすくなり、中間層の強度が低下する。このため、Vは3%以下、Nbは2%以下に限定するのが好ましい。
【0059】
Ni:2%以下
Niは、焼入れ性の向上に有効であり、必要に応じ含有できる。2%を超えて含有しても効果が飽和する。このため、Niは2%以下に限定するのが好ましい。
Co:8%以下
Coは、熱膨張係数を低下させる作用を有し、必要に応じ含有できる。8%を超えて含有してもその効果は変化がないため、8%以下に限定するのが好ましい。
【0060】
なお、中間層は上記した成分以外は残部Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、P:0.05%以下、S:0.03%以下とするのが好適である。また、脱酸剤として、Al、Ti、Zr等を添加してもよい。
なお、本発明の複合ロールにおける中間層は、外層の平均熱膨張係数と内層の平均熱膨張係数との中間の平均熱膨張係数、または内層の平均熱膨張係数と同等の平均熱膨張係数を有するものであることが好ましい。
【0061】
【実施例】
胴径 690mm、胴長2400mmの複合ロールを以下の手順で製造した。
遠心力 140Gで回転する鋳型内に、外層として肉厚80mmになるように、表5に示す組成の溶湯を鋳込んだ。外層が凝固した直後に、外層の内面に肉厚40mmに相当する中間層を鋳造して、外層の内面を7〜20mm再溶解させ、中間層と一体溶着させた。中間層が凝固した後に鋳型の回転を停止し、内層材を鋳造することによって外層−中間層−内層を一体溶着させた。外層の表面温度が80℃以下になるまで冷却した後、鋳型を解体した。
【0062】
得られた複合ロールは、1050℃から焼入れし、引き続いて 500〜 550℃で3回以上焼戻しする熱処理を実施し、外層の硬さを77〜82Hsとした。
熱処理後、ロール胴端部から外層と中間層の試験材を採取した。外層は化学組成分析用試料、熱膨張試験用試験材を採取し、中間層はその肉厚中央部から化学組成分析用試料を採取した。なお、内層についてはロール軸端の中心部から化学組成分析用試料と熱膨張試験用試験材を採取した。
【0063】
各複合ロールの外層、中間層、内層の化学組成と、外層、内層の熱膨張係数を表5に示す。
【0064】
【表5】
Figure 0003582400
【0065】
本発明例の外層、内層は、いずれも低い熱膨張係数を有している。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例では、高い熱膨張係数を有している。
ロールNo.4では、外層が本発明範囲であるが、内層が本発明範囲を外れているため、熱処理中にロール胴端部が割損した。この割損は、内層と外層の熱歪差に基づく過大な熱応力の発生に起因している。なお、仮に熱処理中にロールが割損せずに製造できたとしても、熱間圧延中に、ロールの熱膨張によって割損する可能性が大きく、また、絞り圧延が発生した場合には非常に大きな亀裂が生成しやすくなるものと考えられる。
【0066】
ロールNo.4を除く、ロールNo.1No.3の複合ロールを、熱間仕上圧延ミルのF7スタンドの作業ロールとして投入し、試験圧延を実施した。なお、ロールNo.4は、熱処理中にロール胴端部が割損したため、熱延仕上げ圧延機での試験圧延は実施しなかった。試験圧延は、圧延距離約200 kmとした。
本発明例(ロールNo. 1)は、鋼板の蛇行や耳伸び、腹伸び等の圧延トラブルの発生もなく、極めて良好な通板性が確認された。これに対し、比較例(ロールNo.3)(従来のハイス系ロール)では、鋼板に腹伸びが生じ、通板性の劣化が認められた。
【0067】
圧延直後、ロールをミルから引き出し、ロール表面温度の低下推移とロール外径の収縮量の推移を4時間測定し、ロール全体としての見掛け上の熱膨張係数(見掛けの熱膨張係数)を求めた。なお、見掛けの熱膨張係数は、ロール内部の温度を表面温度と同じ温度とみなして熱膨張係数を算出した。
その結果を図1に示す。
【0068】
図1から、本発明例(ロールNo. 1)では、比較例(ロールNo.3)(従来のハイス系ロール)と比べて見掛けの熱膨張係数が大幅に低下している。本発明の複合ロールは、外層にCrを多量含有していることにより、内層への熱伝導が抑制され見掛けの熱膨張係数が非常に小さくなっている。このことから、本発明の複合ロールは、サーマルクラウンの抑制効果が極めて大きいことが明らかである。
【0069】
また、本発明の複合ロールの圧延肌は良好で、肌荒れの発生もなかった。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、熱間仕上圧延の最終スタンドにおいても、良好な通板性を有し、絞り圧延などの圧延トラブルを防止でき、安定した熱間仕上圧延が可能となり、さらに、ロールの耐摩耗性が向上しロール消耗量が減少し、ロール原単位が向上する。また、ロール製造時の割損が防止でき、ロールの安定製造が可能となる効果もある。また、本発明の複合ロールは、中間層を省略した構造と、すなわち、外層と内層の2構造で構成したロールとしてもよい。
【0071】
なお、本発明の複合ロールは、熱間仕上圧延後段スタンドに適用するのが好適であるが、耐摩耗性と耐肌荒れ性に優れるため熱延仕上げ前段用ロールあるいは熱延粗ミル用ロールとしても適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】各複合ロールの見掛けの熱膨張係数を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 遠心鋳造で製造された外層と内層との間に中間層を有し、該中間層を介して外層と内層が溶着一体化してなる熱間圧延用複合ロールであって、前記外層が、重量比で
    C:1.5 〜2.4 %(2.4 を除く)、Si:0.1 〜2.0 %、
    Mn:0.1 〜2.0 %、 Cr:7〜13%、
    Mo:2.5 〜10%、 V:3〜10%、
    Nb:0.5 〜5%
    を含み、さらに下記(1)、(2)式を同時に満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ室温から300 ℃における平均熱膨張係数が11.5×10-6/℃以下であり、前記内層が、重量比で、
    C: 2.5 4.O %、 Si 1.5 3.5 %、
    Mn 0.3 2.0 %、 Cr 0.3 0.8 %、
    Mo 0.5 4.0 %、 V: 0.1 1.0 %、
    Nb 0.04 0.5 %、 Mg 0.02 0.08
    を含有し、残部 Fe および不可避的不純物からなる組成を有し、かつ室温から500 ℃までの平均熱膨張係数が13.5×10-6/℃以下である球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール。

    0.27≦Mo (%) /Cr (%) ≦0.8 ……(1)
    Cr (%) /C (%) ≧3.3 ……(2)
    ここで、Cr、Mo、C:各元素の含有量(%)
  2. 前記外層が、前記組成に加えて、さらに重量比で、Co:10%以下、Ni:3%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール。
  3. 前記内層が、前記組成に加えて、さらに重量比で、Ni:1.5 %以下および/またはCo:10%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール。
  4. 前記中間層が、重量比で、
    C:1.5 〜3%、 Si:0.5 〜3.5 %、
    Mn:0.2 〜2%、 Cr:1.0 〜6.0 %、
    Mo:1.0 〜6.0 %、 V:3%以下、
    Nb:2%以下
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する合金材料であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール。
  5. 前記中間層が、前記組成に加えて、さらに重量比で、Ni:2%以下および/またはCo:8%以下を含有することを特徴とする請求項に記載の耐事故性に優れた熱間圧延仕上後段スタンド複合ロール。
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