JP2000178675A - 複合ロール - Google Patents

複合ロール

Info

Publication number
JP2000178675A
JP2000178675A JP2000002903A JP2000002903A JP2000178675A JP 2000178675 A JP2000178675 A JP 2000178675A JP 2000002903 A JP2000002903 A JP 2000002903A JP 2000002903 A JP2000002903 A JP 2000002903A JP 2000178675 A JP2000178675 A JP 2000178675A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer layer
layer
less
roll
inner layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000002903A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeru Morikawa
長 森川
Yoshito Seto
良登 瀬戸
Akitoshi Okabayashi
昭利 岡林
Hiroyuki Kimura
広之 木村
Takashi Shikata
敬 志方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP2000002903A priority Critical patent/JP2000178675A/ja
Publication of JP2000178675A publication Critical patent/JP2000178675A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れ、かつロール表面において、
マクロ偏析に起因する摩耗のむら及び表面粗さのむらが
できないよう均一材質の外層を備えた複合ロールを提供
する。 【解決手段】 耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外
層の内周面に溶着された中間層と、該中間層の内周面に
溶着された内層とからなり、且つ前記外層と中間層が遠
心力鋳造されてなる複合ロールにおいて、前記外層は、
化学組成が重量%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:0.1 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50% Ti:0.01〜0.5 %、 V, Nb :一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなる。外層には前記合金成
分の他、Ti、Zr、Bが0.01〜0.50%を含有させるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄鋼圧延用等の複合ロー
ルに関する。
【0002】
【従来の技術】複合ロールには、耐摩耗材で形成された
圧延使用層たる外層に強靭材によって形成された中実状
内層(軸芯部) を溶着したものや、図1に示すように外
層1 と内層2 との間に中間層3 を介在させたものがあ
る。尚、図2に示すように、円筒形ロールはスリーブロ
ールとも呼ばれ、通常、ロール軸に焼きばめ等により固
着され、組み立てられて圧延に供される。前記中間層3
は、外層1 と内層2 とを直接溶着した場合に生じる、外
層1 から内層2 への高合金元素の混入を防止し、内層の
強靭性劣化防止のために形成されるものである。
【0003】従来、耐摩耗性に優れた外層材として、特
公昭58−30382 号公報、特公昭61−16415 号公報に開示
されているように、Crを10〜25%含有した高クロム鋳
鉄や耐焼付性をも改善した黒鉛晶出高クロム鋳鉄が使用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、圧延条件が苛酷
になり、より高い耐摩耗性が要求されるようになった。
このため、前記公報に言及されているように、高クロム
鋳鉄や黒鉛晶出高クロム鋳鉄にNb,Vの一種又は二種
を合計で2%以下添加して、その微細炭化物を結晶核と
して生成させ、これによって組織の微細化、緻密化を図
り、もって耐摩耗性の向上が図られている。しかし、耐
摩耗性の向上の要求に十分応えているとはいえないのが
実情である。
【0005】一方、鉄鋼圧延における耐摩耗性を大幅に
改善するには、材質中にWを多量に添加すればよいと考
えられる。しかしながら、複合ロールの外層は、主とし
て遠心力鋳造によって鋳造されることから、Wが比重差
により分離し、周方向に偏析が生じて均一な材質が得難
いという問題がある。そこで、上記の技術背景に鑑み、
複合ロールの外層をCr、Mo、W、V、Nbの所定量
を含有した特殊鋳鉄材で形成すれば、これらの高硬度複
合炭化物の存在により、耐磨耗性を飛躍的に向上させる
ことができ、また鋳造に際しマクロ偏析も生じにくいと
いう効果を本発明者らは知見し、一応の効果を得た。
【0006】しかし、更に上記外層につき研究を重ねた
ところ、先にも説明したとおり、Cr、Mo、W、V、
Nbを含有した鋳鉄材は高硬度複合炭化物を有し、耐摩
耗性を飛躍的に向上させることができるが、これを、遠
心力鋳造法で製作する際には遠心力鋳造特有のマクロ偏
析が生じてしまい、複合ロールの外層に適用して圧延に
供すると、ロール表面においてマクロ偏析に起因する摩
耗のむら及び表面粗さのむらができるという新たな解決
すべき課題が生じてきた。本発明はかかる問題に鑑みて
なされたもので、耐摩耗性に優れかつ前記問題とされた
課題を解決した均一材質の外層を備えた鉄鋼圧延用等の
複合ロールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の複合ロールは、
耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外層の内周面に溶
着された中間層と、該中間層の内周面に溶着された内層
とからなり、且つ前記外層と中間層が遠心力鋳造されて
なる複合ロールにおいて、前記外層は、化学組成が重量
%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:0.1 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50%、 Ti:0.01〜0.50%、 V, Nb :一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなることを特徴とする(請
求項1)。
【0008】また本発明の複合ロールは請求項1の化学
組成におけるTi:0.01〜0.50%に変えてZr:0.01〜
0.50%としたものであり(請求項2)、また請求項3の
発明は、請求項1の化学組成にさらにZr:0.01〜0.50
を加えたものである。また、請求項4の発明は、請求項
1の化学組成中のTiや、請求項2のZrの代わりに、
B:0.01〜0.50%加えたものであり、また請求項5の発
明は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の化学組成
に、B:0.01〜0.50%を更に加えたものである点に特徴
がある。
【0009】
【作用】本発明の複合ロールに係る外層は、耐摩耗性の
みならずマクロ偏析の面からも複合ロールの外層として
最適な組成を求めて種々の合金を組み合わせて遠心力鋳
造実験した結果、Cr、Mo、W、V、Nbに加えて、
Al、Ti、Zr、B等の特殊元素を加えることによっ
て、耐摩耗性を飛躍的に向上させ、マクロ偏析がなく均
一な表面性条のロール外層材を得ることができた。ここ
で、本発明の重要な作用の第1の特徴はCr、Mo、
W、V、Nbを含有した鋳鉄材の遠心力鋳造においてこ
れら合金が形成する高硬度複合炭化物によって耐摩耗性
の飛躍的改善が得られる含有量を求めた点であり、作用
の第2の特徴は遠心力鋳造においてもマクロ偏析しない
ようにAlを主体として、Ti、Zr、B等の合金を加
えた点である。
【0010】特に第2の点については、従来は脱酸材と
して、あるいは特殊な材料における組織微細化材として
のみ用いられていたAlを、高合金であるがために遠心
力鋳造においてマクロ偏析を生じ易い鋳鉄材に含有させ
ることにより、下記のメカニズムによってマクロ偏析が
改善されるものである。即ち、Al、Ti、Zr、Bは
溶融中の酸素と結合して酸化物となり、Mo、W、V、
Nbなど本発明の外層の性能に重要な元素のロスを防ぐ
のみならず、更に凝固初期の溶湯中においてこれら酸化
物を凝固の核としたCr、Mo、W、V、Nbの高硬度
複合炭化物を形成する。この結果、微細に分散した高硬
度複合炭化物が得られ、耐摩耗性が向上する。
【0011】一方、高硬度複合炭化物は溶湯の比重より
も小さいため、凝固初期の固相率の低い溶湯中では遠心
力の影響を受け、外層の内面側に移動し、マクロ偏析の
原因となる。溶湯の中を粒子が移動する際には周囲から
その粒子の径の二乗に比例した抵抗を受けるが、粒子に
働く遠心力は粒子の径の三乗に比例するから、Al含有
により、高硬度複合炭化物の粒子の径が小さくなるほ
ど、粒子の表面積Sと体積Vの比S/Vが大きくなっ
て、抵抗が大きくなり遠心力による溶湯中での移動が起
こりにくくなり、遠心力鋳造特有のマクロ偏析が改善さ
れる。
【0012】なお、本発明の複合ロールは、例えば後記
する化学組成の高炭素鋳鋼により、外層と内層との間に
中間層を形成してあるので、本発明の特定組成の外層の
高合金成分が内層に混入して、その強靱性を劣化するの
を防止することができる。また、中間層と内層との境界
部は低合金となるので、炭化物層の形成が抑制され、境
界強度の向上を図ることができる。また、本発明の特定
組成の外層のオーステナイト熱処理の際、内層の温度上
昇を防止することができ、内層材質の強靭性劣化を防止
しつつ、外層のみを1100℃以上の高温に加熱することが
できる。また、後記する実施例の如き中間層組成とすれ
ば、外層の焼入れ時にマルテンサイト変態は起こらない
か、起こるとしても僅かな量であるので外層に焼入れ熱
処理を施しても、過大な残留応力が生じることがなく、
耐事故性に優れる。
【0013】また、後記する実施例の内層を片状黒鉛鋳
鉄、球状黒鉛鋳鉄又は黒鉛鋼すなわち、黒鉛の晶出した
鉄鋼材で形成すれば、ヤング率を 19000kg/mm2 程度以
下とすることができ、過負荷時にロールの偏平化によっ
て負荷を吸収し、耐事故性を向上することができる。ま
た、低温歪取り焼鈍によって、外層熱処理時の残留応力
を軽減することができる。また、熱伝導性ひいては放熱
性に優れ、圧延時のロールの熱変形を防止することがで
きる。又、良好な靭性を有するため、衝撃的な圧延トル
クに対しても耐えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明の複合ロールの外層
に使用される耐摩耗鋳鉄材の化学組成の限定理由につい
て説明する。以下、成分の単位はすべて重量%である。 C:1.0 〜3.0 % Cは主としてFeおよびCrと結合してM7 3 型の高
硬度複合炭化物を形成すると共に、Cr, Mo, V, N
b, Wと結合してMC型, M6 C型,M2 C型等の高硬
度複合炭化物をも形成する。この高硬度複合炭化物形成
のために、 1.0%以上のC%が必要である。一方、 3.0
%を越えてCが含有されると炭化物量が増すと共に脆く
なり、耐クラック性が劣化するため、 3.0%以下とす
る。 Si:0.1 〜2.0 % Siは本発明材が鋳造合金であるため、湯流れ性の確保
のために必要な元素であり、同時に又、使用原材料から
0.1%程度は不可避的に含有される。しかし、2.0%を
越えると靭性の低下を招くため好ましくない。 Mn:0.1 〜2.0 % Mnは硬化能を増し、また、Sと結合してMnSを生成
し、Sによる脆化を防ぐ元素であり、同時に使用原材料
から 0.1%程度は不可避的に含有される。しかし、 2.0
%を越えると靭性の低下を招くため好ましくない。 Ni:0.1 〜4.5 % Niは基地中に固溶し、連続冷却変態線図(CCT図)
および等温変態線図(TTT図)におけるベーナイト変
態を長時間側に移動させるため、焼入れ性が向上し、焼
入れ時の冷却速度を遅くしても途中でベーナイト変態が
起こらず、多量の残留オーステナイトがマルテンサイト
変態するため、高硬度が得られる。本発明のような複合
ロールの外層材の場合、焼入れ時の外層と内層の熱膨張
差に起因する熱応力が大きく、また重量物である大形ロ
ールの場合、熱容量が大きく、冷却速度を大きくするこ
とが困難であるものについては焼入れ時の冷却速度が遅
くても焼入れ組織が得られることは大変重要である。こ
の際、0.1 %未満ではこのような効果得られず、一方、
4.5 %を越えて含有されると、残留オーステナイトが増
して、高硬度が得難くなる。なお、0.1 %Ni以上では
焼入れ温度から400〜650 ℃までの温度にかけての冷却
速度が100 ℃/Hr以上あれば焼入れ組織が得られる。 Cr:3.0 〜10.0% CrはFe, Mo, V, Nb, Wと共にCと結合して、
高硬度複合炭化物を形成して高温に於ける耐摩耗性の向
上に寄与する。また、一部は基地中に固溶して焼入れ性
および耐摩耗性を改善する。 3.0%未満ではこれらの効
果が少なく、耐摩耗性改善が期待できない。一方、10.0
%を越えて含有されると靭性の劣化を来すため好ましく
ない。 Mo:0.1 〜9.0 % MoはFe, Cr, V, Nb, Wと共にCと容易に結合
して、主としてM7 3 型 M6 C型,M2 C型複合炭
化物を形成し、常温および高温硬度を高めて耐摩耗性の
向上に寄与する。MoはWに比較して少量添加でその効
果を発揮する。このさい、 0.1%未満では所期の耐摩耗
性を得ることができず、一方、 9.0%を越えると靭性の
低下を来し好ましくない。 W:1.5 〜10.0% Wも同様にFe, Cr, Mo,V, Nbと共にCと容易
に結合して複合炭化物を形成し、常温および高温硬度を
高めて耐摩耗性の向上に寄与する。 1.5%未満では所期
の耐摩耗性を得ることができず、一方、10.0%を越える
と靭性の低下を来し、耐ヒートクラック性を悪化させ
る。また、遠心力鋳造の際、マクロ偏析を生成し易くさ
せる。このため10.0%以下とする。 Al:0.01〜0.50% Alは通常は「脱酸剤」として使用されるが、脱酸によ
って、溶湯中のO濃度を低下せしめ、ハイス材溶湯中の
酸化し易い合金元素であるMo,W,Vなどのロスを防
止する。一方、Al酸化物が溶湯中で凝固の核となり微
細組織が得られる。ハイス材の場合はこのAl酸化物を
核として高硬度のMC炭化物が晶出するためにMC型炭
化物が微細分散化され、耐摩耗性に寄与し、また微細分
散化されるため、S/Vが大きくなり遠心力によって移
動しにくくなり、遠心力鋳造下における偏析を軽減す
る。
【0015】ここで、前記の式中、「S」はMC型炭化
物粒子の表面積を、また「V」は体積を示す。なお、溶
湯中を前記粒子が移動する際に、周囲から、その粒子の
径の二乗に比例する抵抗を受ける。一方、遠心力は粒子
の径の三乗に比例するから、粒子の径が小さくなるほ
ど、遠心力の影響を受けやすくなる。以上の点からAl
は遠心力鋳造特有の年輪状偏析(バンド状偏析)は殆ど
認められないが0.01%未満ではこのような効果は十分で
なく、一方0.50%を越えるも同様である。
【0016】Ti、Zr、B:0.01〜0.50% TiもAlも同様に溶湯中で酸化物を形成するために、
凝固組織を微細化し、その結果としてAlと同様に遠心
力鋳造における年輪状偏析を改善する効果があるが、T
iは酸化傾向が強すぎるために、遠心力鋳造前に溶湯表
面が酸化して鋳造性が悪化したり、遠心力鋳造された後
で回転中の外層の内面が酸化して、その後の中間層ある
いは内層との溶着性が悪化する。このため、組織微細化
および年輪状偏析の改善を目的としては、Alと併用す
る必要がある。
【0017】ZrもTiと同様であり、Alと併用す
る。以上、Ti、Zrは、上記の効果を発揮するには、
少なくとも0.01〜0.50%が必要である。次にBも組織の
微細化作用があり、年輪状偏析の改善に寄与すること
は、Ti、Zrと同様であるが、基地中に溶け込んだB
による焼入れ性の増大効果を有する。圧延ロールのよう
な大質量の鋳物の場合、冷却温度を速くすることが困難
な場合があるが、焼入れ性の増大によって、焼入れ組織
を得易くなる。以上の二つの効果を発揮するには少なく
とも0.01〜0.50%が必要である。0.01%未満ではこのよ
うな効果が十分ではなく、一方0.50%を越えると材質が
脆くなり好ましくない。 V,Nb:一種又は二種の総計で3.0 〜10.0% VはNbと同様にFe,Cr,Mo,Wと共にCと容易
に結合して、主としてMC側の複合炭化物を形成し、常
温及び高温度硬度を高めて耐摩耗性の向上に寄与する。
また、このMC型複合炭化物は厚さ方向に枝状に生成す
るため、基地の塑性変形を抑止し、機械的性質、さらに
は耐クラック性の向上にも寄与する。単独または二種を
複合して3.0 %以上添加しないとかかる効果は現れにく
い。しかし、添加量が10.0%を越えると靱性の低下を招
来すると共に、遠心力鋳造の際、マクロ偏析を生成し易
くなる。このため、10.0%以下とする。
【0018】本発明外層の耐摩耗鋳鉄材は以上の合金成
分のほか残部がFeおよび不純物で形成される。尚、
P,Sは原料より不可避的に混入するが、材質を脆くす
るので少ない程望ましく、P:0.2 %以下、S:0.1 %
以下に止めておくのがよい。次に本発明複合ロールで使
用する好適な内層材について例示する。内層材として
は、下記の理由により黒鉛が晶出した材料、具体的には
片状黒鉛鋳鉄(FCと略記) 、球状黒鉛鋳鉄(DCIと
略記) 、黒鉛鋼(SGSと略記) を用いる。 黒鉛晶出材を用いる理由 圧延使用時には、過負荷状態の発生(例えば、2枚
板噛み) は避けられないが、外層材のヤング率は 21000
〜 23000kg/mm2 と高いため、外層材中に大きな応力が
発生する。中間層のヤング率は 20000〜 23000kgf /mm
2 であるが、層厚が25〜30mm程度と比較的薄いため、複
合化する内層材のヤング率が低ければ、過負荷時には、
ロールの偏平化によって内層材の方で負荷を吸収し得
る。
【0019】このため、内層材のヤング率を低くする方
が、使用時の安全性を増す。20000kgf /mm2 未満のヤ
ング率とするためには、内層材は、黒鉛の晶出したもの
でなければならない。 外層材は特殊合金が含まれており、また、焼戻し2
次硬化現象によって硬化するため、一般に残留応力の除
去がされ難い材料である。このため、複合ロールに対
し、外層材の硬化熱処理すると、外層材の変態による膨
張により、外層には圧縮応力、内層には引張応力が生じ
る。内層材の引張応力が過大になると、内層の破損や中
間層・内層の境界部での破断が生じ、ロールの破壊に至
る。
【0020】破壊を防止するには、複合ロールに歪取り
焼鈍を施し、内層材の残留応力を解放すればよい。しか
し、600 ℃を越える高温歪取り焼鈍では外層の硬度低下
を招来する。従って、低温歪取り焼鈍により、内層材の
残留応力を解放する必要がある。このためには、内層材
は黒鉛が晶出したものがよい。尚、本発明の場合、低温
歪取り焼鈍は外層の焼戻し熱処理によりその目的を達成
することができる。 ロールは使用時に圧延材(1000℃前後) から熱を受
ける。ロールの熱変形を防止、所定形状を維持するには
放熱が良好でなければならない。従って、内層は熱の伝
導が良くなければならない。そのため内層材として黒鉛
晶出材が好適である。 ロールのネック部には、ベンディング力とモーター
トルクに耐える強度が必要である。衝撃的な荷重もある
ことから、強度とともに靭性も重要である。黒鉛を晶出
させることにより、靭性を向上させることができる。
【0021】次に、複合ロールの内層を形成する各種内
層材の特徴および好ましい組成(単位wt%) について説
明する。内層は叙上の通り、黒鉛を含むことが必要であ
るが、外層と内層との溶着時に外層の高合金成分の混入
が必然的に生じる。この点を考慮して組成を決定する必
要がある。 (1) FCの場合 FCは鋳造性が良好で、ヤング率が10000 〜15000kg /
mm2 と低く、又黒鉛の形態が片状であるため、残留応力
の除去が容易で、熱伝導率も高い。また、加工性も良好
で、中空ロールの内層材として用いた場合、内面加工が
容易である。もっとも、強度は30kg/mm2 程度が限度で
あるため、圧延荷重の大きな条件下で使用する複合ロー
ルには適さない。尚、下記組成のFCの固相線は1130〜
1170℃である。
【0022】以下に好ましい組成例と限定理由を示す。 C:2.5 〜4.0 % Cは黒鉛を晶出させるために必要であり、 2.5%未満で
は黒鉛量が少ない。一方、4.0 %を越えると黒鉛量が過
多となり、強度が低下する。 Si:0.8 〜2.5 % Siは黒鉛晶出を助長する作用をなし、 0.8%未満では
黒鉛化が不充分である。一方、 2.5%を越えると基地が
脆くなる。
【0023】Mn:0.2 〜1.5 % Mnは基地の強化と共にSの害を防ぐ作用がある。 0.2
%未満ではその作用がほとんど期待できない。一方、
1.5%を越えると材質が脆くなる。 P, S:各々0.2 %以下 P, Sは不純元素であるため少ない程よく、 0.2%以下
に止めるのがよい。低濃度のものは高コストになるた
め、経済性を考慮すると、0.01%程度以上の含有は止む
を得ないであろう。
【0024】Ni:3.0 %以下 Niは黒鉛化と基地の強化のために有効であるが、 3.0
%を越えると未変態組織が残留し易くなり、強度が劣化
する。 Cr, Mo:各々2.0 %以下 Cr, Moは基地の強化作用があるが、多過ぎると黒鉛
化を阻害させる。基地強化のためには、 0.1%以上含有
させることが望ましい。一方、黒鉛化の阻害を防止する
には、外層からの混入量を含めて 2.0%以下に止める必
要がある。
【0025】W,V,Nbの総計で4.0 %以下 これらの元素は外層から必然的に混入する。W, V, N
bは内層材質改善作用はない。従って、これらの元素は
不純物として解釈され、内層材の機械的性質を劣化させ
ない範囲として、4%まで許容される。なお、本発明の
外層材にAl, Ti, Zr,Bを含んでいるが、これら
の元素は中間層を介して内層に必然的に混入するが微量
であるため、材質上ほとんど問題にはならない。FCは
以上の成分の他、残部実質的にFeで形成される。尚、
中間層に溶着する前すなわち鋳込前の溶湯組成範囲を下
記に例示する。溶湯組成は溶着後に上記内層組成となる
ように、中間層からの成分混入量が考慮されて決定され
る。
【0026】 C :2.5 〜4.0 %、 Si:0.8 〜2.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 残部実質的にFe (2) DCIの場合 DCIは鋳造性が良好で、ヤング率が15000 〜19000 kg
/mm2 であり、黒鉛量も多い。更に、その黒鉛の形態
は、FCと異なり、球状であるため、強度および靭性も
優れている。また、加工性も良好である。このため内層
材として好適である。尚、特公昭59−52930 号公報、特
公昭59−52931 号公報に開示されているように、フェラ
イト・オーステナイト共存温度域(780 〜900 ℃) に加
熱保持後、200 〜800 ℃/Hrで急冷し、オーステナイ
トを微細パーライト化する熱処理により、基地組織がフ
ェライト・パーライトの2相混合組織となる。この組織
はクラックの進展、残留応力の除去効果に特に優れる。
前記2相混合組織化の熱処理は、複合ロールの外層の硬
化熱処理の前熱処理として行えばよい。尚、下記組成の
DCIの固相線は1130〜1170℃である。
【0027】以下に好ましい組成例と限定理由を示す。 C :2.5 〜4.0 %、 Si:1.3 〜3.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 W,V,Nbの総計で4%以下、 Mg:0.02〜0.1
%、 残部実質的にFe Si, Mg以外の成分限定理由はFCと同様のため、こ
の二成分について説明する。
【0028】Siは黒鉛化促進元素である。DCIは黒
鉛の球状化のため、Mgが含有される。Mgは強力な黒
鉛化阻害元素であるため、Mgの存在下で黒鉛化を図る
には、Si 1.3%以上必要である。一方、 3.5%を越え
ると、基地を脆くすると共に、多量のフェライトを析出
させ、強度も低下する。Mgは黒鉛を球状化させる作用
を有する。その作用を得るためには0.02%以上必要であ
る。一方、 0.1%を越えると、黒鉛化を阻害し、又鋳造
欠陥を発生させ易くする。
【0029】尚、外層に溶着する前のDCIの好適な溶
湯組成を下記に例示する。 C :2.5 〜4.0 %、 Si:1.3 〜3.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 Mg:0.02〜0.1 %、 残部実質的にFe (3) SGSの場合 SGSはヤング率が17000 〜20000 kg/mm2 と高く、ま
た黒鉛量も少ないため、残留応力は比較的除去され難
い。また、鋳造性もあまり良好ではなく、大きな押湯等
を必要とする。しかし、強度は40kg/mm2 以上と優れて
おり、また靭性にも優れているので、大きなベンダー荷
重等が働く苛酷な使用条件で用いられるロールには最適
である。また、固相線(下記組成のSGSの場合) が11
70〜1250℃とFC, DCIに比べて高いので、外層のオ
ーステナイト化熱処理の際に劣化しにくい利点がある。
【0030】以下に好ましい組成例と限定理由を示す。 C :1.0 〜2.3 %、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 W,V,Nbの総計で4.0 %以下、 残部実質的にFe C, Si以外の成分限定理由はFCと同様のため、この
二成分について説明する。
【0031】Cは黒鉛を晶出させるために必要である。
1.0%未満では黒鉛の晶出は生じにくい。一方、 2.3%
を越えると黒鉛形状が崩れて、強度が低下する。Siは
黒鉛化のために必要である。 0.5%未満では黒鉛晶出は
困難となり、一方、 3.0%を越えると基地が脆くなる。
尚、外層に溶着する前のSGSの好適な溶湯組成を下記
に例示する。 C :1.0 〜2.3 %、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 残部実質的にFe 次に、本発明の実施形態で使用する中間層を例示する。
中間層は、外層の合金成分が内層に混入するのを軽減す
ることを目的の一つとして形成されるが、それ自体も30
kg/mm2 程度以上の強度が必要である。強度が不足する
と、外層と中間層との境界部が破断し、外層が剥離す
る。従って、中間層には外層から多量の合金成分が混入
しても高強度な材質とする必要がある。かかる理由か
ら、中間層材としては下記組成の高炭素鋳鋼(ADと略
記) が好適である。以下、本発明の実施形態で使用する
好適な中間層材の組成と限定理由を示す。 C:1.0 〜2.5 % Cは強度向上に寄与するが、1.0 %未満では凝固点が高
くなり、溶着が不充分になり易い。一方、2.5 %を超え
ると炭化物が過多となり、材質が脆くなる。 Si:0.2 〜3.0 % Siは脱ガスの促進作用、湯流れ性の向上作用がある。
0.2%未満ではかかる作用が期待できず、一方、 3.0%
を越えると材質が脆化する。尚、高Si領域ではNi含
有量との関係で黒鉛の晶出が見られる場合があるが、材
質上問題はない 。 Mn:0.2 〜1.5 % Mnは内層材のダクタイル鋳鉄と同様の理由によって上
記範囲に限定される。 Ni:4.0 %以下 Niは材質を強化する作用がある。しかし、 4.0%を越
えると作用が飽和すると共に未変態組織が生じ易くな
り、強度が劣化する。 Cr, Mo:各々 4.0%以下 Cr, Moは材質を強化する作用がある。しかし、 4.0
%を越えると機械的性質がかえって劣化するようにな
る。 W,V,Nb:総計で12%以下 これらの元素は中間層の材質を向上する作用はほどんど
ないが、外層からの混入は避けられない。中間層材質の
機械的性質を劣化させない範囲として、12%まで許容さ
れる。尚、本発明の外層にAl,Ti,Zr,Bを含ん
でいるので、これらの元素も中間層に必然的に入ってく
る。この場合、同様の理由により、これらの元素を含め
て総計で12%以下とする。
【0032】中間層材の成分は、以上の他、残部実質的
にFeで形成される。尚、P,Sは不純物であり、材質
を脆くするため少ない程よく、本発明の実施形態におい
ては、内層材と同様、両者とも 0.2%以下に止めるのが
よい。尚、外層に溶着する前の溶湯組成範囲を下記に例
示する。溶湯組成は溶着後に上記中間層組成となるよう
に、外層からの成分混入量が考慮されて決定される。 C :1.0 〜2.5 % 、 Si:0.2 〜3.0 %、 Mn:0.2 〜1.5 % 、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:4.0 %以下、 Cr:4.0 %以下、 Mo:4.0 %以下、 残部実質的にFe 本発明の実施形態では、外層と内層(軸芯部) との間に
1.0〜2.5 %Cの中間層を設けたので、内層に有害な合
金元素が外層から内層へ、溶着の際に直接混入するのを
大幅に抑制することができるほか、下記の効果を奏す
る。
【0033】外層の焼入れ熱処理の際、オーステナイト
化熱処理のため、外層を1100℃以上に加熱するのがよい
が、外層を1100℃以上に加熱しても内層への伝熱は中間
層を介して行われるため、熱量の調整により内層の温度
を1100℃以下に容易に抑えることができ、内層の溶損を
防止することができる。中間層は外層との溶着によっ
て、Cr, Mo, W, Vの濃度が高くなるが、それでも
これらの元素は外層よりも低く抑えられるので、外層と
内層を直接溶着させた時よりも、外層と中間層を溶着さ
せた後、中間層と内層を溶着させる方が、内層の溶着部
分の合金濃度は低くできる。このため、中間層を設けた
場合は内層との境界に炭化物層が形成されにくく、境界
強度が改善できる。
【0034】また、本発明の実施形態に係る中間層はロ
ールの焼入れ熱処理中にその大半がパーライト変態し、
更に残部がベイナイト変態する。マルテンサイト変態は
起こらないか、起こしてもごくわずかの量である。この
ため、マルテンサイト変態に伴う大きな膨張挙動がな
く、ロールへの残留応力を大きくすることはない。尚マ
ルテンサイト変態を多量に起こすと、外層のマルテンサ
イト変態と合わさって、外層・中間層に大きな圧縮の残
留応力(軸方向)、内層にはそれに見合う大きな引張の
残留応力(軸方向)が働らき、内層が引張・破壊する。
【0035】
【実施例】本発明の複合ロールは、通常、中実状ロール
の場合、外層および中間層が遠心力鋳造された後、その
内部に内層(軸芯部) が静置鋳造される。また、スリー
ブロールの場合、外層、中間層に引き続いて内層も遠心
力鋳造される。図3は横型遠心力鋳造装置を示してお
り、遠心力鋳造用金型4 は回転ローラ5,5 によって回転
自在に支持されており、溶湯は堰鉢6 から注湯樋7 を介
して金型4 内に鋳込まれる。8は湯止め用砂型である。
中実状の複合ロールを鋳造するには、まず、外層材溶湯
を回転する金型4 に鋳込み、それが凝固した後に、外層
1の内周面に中間層材溶湯を鋳込んで、中間層3 を遠心
力鋳造する。その後、外層1 と中間層3 とを内有した金
型4 を起立させ、その両端に軸芯部形成用の上型、下型
を連設して静置鋳型を構成し、その内部に内層材溶湯を
鋳込めばよい。該横型遠心力鋳造装置においては、金型
内に鋳込まれた溶湯の各部は金型の回転毎に上下動する
ため、Gの変動があり、またローラや金型の偏心や傷に
より振動が発生し易く、鋳込まれた外層材溶湯中の成分
は移動し易い。このため、厚肉の外層を鋳造する場合、
成分の移動により偏析が生じ易くなるので、通常、凝固
開始温度+70℃程度以下として比較的低温で鋳込むのが
よい。もっとも、本発明に係る外層材は高耐摩耗材であ
るために、摩耗しにくく、外層は比較的薄くてもよく、
鋳込厚さで80mm(望ましくは55〜70mm) 程度までは金型
により急冷されるため、前記温度より高温で鋳込んでも
偏析のおそれはほとんどない。尚、製品外層厚さとして
は中間層による溶解代20mm、加工代10mmを考慮すると50
mm(望ましくは25〜40mm) 程度となる。
【0036】図4は立型遠心力鋳造装置を示しており、
遠心力鋳造用金型11の上下端には上型12、下型13が組み
立てられており、該鋳型は回転する基盤14に同心状に機
械的に固定されている。このため、堰鉢15を介して鋳型
内に鋳込まれ、遠心力の作用で金型11内面に上昇し付着
した外層材溶湯16は、Gの変動や振動を受けにくい。従
って、立型遠心力鋳造すれば、厚肉の外層を鋳造する場
合でも偏析が生じにくいため、より高温で鋳込むことが
でき、作業性の向上や異物の混入による鋳造欠陥の防止
に効果的である。尚、遠心力鋳造用金型11のみ基盤14に
固定し、外層および中間層を鋳造後、上型、下型を組み
立て、軸芯部を静置鋳造してもよいことは勿論である。
【0037】本発明の外層耐摩耗鋳鉄材は、複合ロール
の外層として鋳造後、ロール全体を焼入れ温度(オース
テナイト化温度) から 400〜 650℃までの温度域を 150
℃/Hr以上の冷却速度で焼入れることにより、良好な
焼入れ組織を得ることができる。焼戻しは 500〜 600℃
の温度で1回ないし数回行なうとよい。本発明に係る外
層材は、オーステナイト化熱処理の際に基地中に固溶し
たMo,W,V,Nb,Al,Ti,Zr,B等が焼戻
し熱処理によって微細炭化物として析出し、焼戻し2次
硬化現象を生じるため、高温硬度に優れる。
【0038】外層の加熱方法としては、ロール全体を加
熱炉に入れて加熱する方法、外層外周面の回りに誘導加
熱コイルや多数のガスバーナを配置しておき、これらに
よって外層のみを急速加熱する方法がある。前者は昇温
に時間がかかり、外層表面に厚い酸化膜ができ、外層の
歩留りが低下する。更に、鋳鉄材質の内層の溶損を回避
して加熱するには1100℃(望ましくは1000℃) 以下の加
熱に止めなければならず、このため炭化物を基地中に十
分固溶させることが難しく、以後の熱処理によっても十
分な硬度が得難いという問題がある。これに対して、外
層のみの加熱方法によれば、中間層の形成と相まって、
外層を1100℃以上に、内層を1100℃未満に確実に止める
ことができるので、内層の部分溶融や、結晶粒の粗大化
による強度低下を防止することができる。また、内層
(軸芯部) の中心に向かうほど低温となるため、オース
テナイト化温度に加熱後、外層の熱を内部へ逃がすこと
ができ、焼入れの際、外層深部の冷却速度を大きくする
ことができる。
【0039】本発明の複合ロールは熱間圧延、冷間圧延
を問わず、圧延設備の圧延用ロールおよびその付帯設備
のピンチロールあるいは圧延材の搬送用ローラー等の、
耐摩耗性を要求されるロール、ローラーに適用される。
尚、圧延材としては、鉄鋼および非鉄金属のみならず非
金属をも対象とする。 〔具体的実施例〕 (1) 内径φ1040mmの遠心力鋳造用金型に表1の外層材溶
湯を遠心力鋳造し、外層が完全に凝固した後引き続い
て、同表の中間層材溶湯を遠心力鋳造し、外層と中間層
とを溶着させた。鋳込量は肉厚で外層70mm、中間層25mm
とした。尚、実施例は試料No.1〜6であり、 No.7の外
層材は耐摩耗性を改善した高クロム鋳鉄材で、資料No.
7の外層材はAlを含有しないものである。表中の組成
の単位は重量%、残部は実質的にFeである。 (2) 中間層が完全に凝固するのを待って、金型の回転を
止め、外層および中間層を内有した金型を垂直に立て
て、両端に上型および下型を連設して、その内部に同表
に併せて示した内層材(軸芯材) 溶湯を鋳込んだ。
【0040】
【表1】
【0041】(3) 鋳造された複合ロールを粗加工した
後、実施例のロールに対しては、 600℃に均一に予熱
後、図5に示すように、ロールを水平に対向配置されか
つロール軸方向に沿って 250mmピッチで平行に列設され
たガスバーナ21間に回転自在に支持し、ロールを回転さ
せながら、外層の表面を加熱した。外層表面温度が1170
℃、内層の中心部の温度が 830℃となったところで加熱
を止めた。加熱に要した時間は 300分であった。熱伝導
の温度データより、本例の場合、内層外周面付近の温度
は 960℃と推定された。一方、従来のロールに対して
は、ロール全体を1050℃で5時間保持してオーステナイ
ト化した。 (4) 実施例および従来例のロールに対して、加熱停止
後、速やかに噴霧水冷を行い、ロール表面温度を 500℃
に急冷した後、常温まで放冷した。その後、550℃で20
時間保持する焼戻し熱処理を2回繰り返した。熱処理後
の外層表面硬度は、下記表2の通りであった。同表よ
り、実施例の外層は、従来例のそれに比べて、硬度の向
上が著しく、耐摩耗性に優れていることが分かる。尚、
外層表面の酸化状態を観察したところ、酸化層の厚さ
は、実施例では 0.5mm程度であったのに対して、従来例
では3.0mm 程度と著しかった。
【0042】
【表2】
【0043】(5) 胴表面を仕上加工した後、超音波探傷
試験によって溶着状況を確認したところ、いずれのロー
ルについても溶着は良好であった。次に、ロール胴部を
切断し、外層断面を目視観察したところ、いずれのロー
ルも成分の偏析は認められなかった。又、中間層の層厚
の中央部および内層(軸芯部) 中心部における成分を分
析した結果を表3に示す。同表より、実施例および従来
例とも内層における外層高合金成分の混入量は非常に少
ないことが分かる。
【0044】
【表3】
【0045】(6) 胴端の余長部から外層材を切り出し
て、基地硬さ(マイクロピッカース硬さ)と高温硬さ
(ピッカース硬さ)を測定した。その結果、表4に示す
ように、従来例に比較して、基地硬さおよび高温硬さの
両方共に優れており、耐摩耗性および耐肌荒れ性の点で
複合ロールの外層材として望ましいことが分かる。特
に、熱負荷が大きい熱間圧延用ロール、中でも鉄鋼業に
おける熱間薄板圧延量ロールの外層材として好適である
ことが判明した。表4は、600 ℃での高温硬さの低下率
〔600℃での高温硬さ)/常温硬さ×100〕を示
す。
【0046】
【表4】
【0047】更に、表5は、大越式摩耗試験における比
摩耗量を高クロム鋳鉄材(試料7)を基準として表した
ものであるが、試料1〜6は良好な耐摩耗性を示してい
る。
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の複合ロール
はその外層をCr,Mo,W, V, Nbの他Al等の特
殊元素を所定量加えた特定化学組成とした特殊鋳鉄材で
形成したことにより、ロール材として使用して顕著な効
果を発揮したのである。即ち、Cr,Mo,W,V,N
bを含有した複合ロールの外層鋳鉄材は高硬度複合炭化
物を有し、耐摩耗性を飛躍的に向上させることができる
が、遠心力鋳造法で製作する際には遠心力鋳造特有のマ
クロ偏析が生じてしまい、複合ロールの外層に適用して
圧延に供すると、ロール表面においてマクロ偏析に起因
する摩耗のむら及び表面粗さのむらできるという問題点
を有していたが、本発明では耐摩耗性のみならずマクロ
偏析の面からも複合ロールの外層として最適な組成を求
めて種々の合金を組み合わせて遠心力鋳造実験し、Al
等の特殊元素を加えることによって耐摩耗性が飛躍的に
向上し、マクロ偏析がなく均一な表面性状のロール外層
材を提供することができたのである。
【0050】特に本発明の重要な点は、Cr、Mo、
W、V、Nbを含有した鋳鉄材の遠心力鋳造において、
これら合金が形成する高硬度複合炭化物によって耐摩耗
性の飛躍的改善が得られる含有量を求めた点と、及び遠
心力鋳造においてもマクロ偏析しないようにAlを主体
として、Ti、Zr、B等の合金を加えた点で顕著な効
果を奏した。因みに、後者について説明すると、従来は
脱酸材として、あるいは特殊な材料における組織微細化
材としてのみ用いられていたAlを、高合金であるがた
めに遠心力鋳造においてマクロ偏析を生じ易い鋳鉄材に
含有させることによりマクロ偏析が改善されるものであ
る。
【0051】即ち、Al、Ti、Zr、Bは溶湯中の酸
素と係合して酸化物となり、Mo、W、V、Nbなど本
発明の外層の性能に重要な元素のロスを防ぐのみなら
ず、更に凝固初期の溶湯中においてこれら酸化物を凝固
の核としたCr、Mo、W、V、NBの高硬度複合炭化
物を形成する。この結果、微細に分散した高硬度複合炭
化物が得られ、耐摩耗性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中実状複合ロールの断面図であ
る。
【図2】本発明に係るスリーブ状複合ロールの断面図で
ある。
【図3】横型遠心力鋳造装置の主要部断面図である。
【図4】立型遠心力鋳造装置の主要部断面図である。
【図5】複合ロール外層加熱状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 外層 2 内層 3 中間層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月7日(2000.2.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 複合ロール
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄鋼圧延用等の複合ロー
ルに関する。
【0002】
【従来の技術】複合ロールには、耐摩耗材で形成された
圧延使用層たる外層に強靭材によって形成された中実状
内層(軸芯部) を溶着したものや、図1に示すように外
層1 と内層2 との間に中間層3 を介在させたものがあ
る。尚、図2に示すように、円筒形ロールはスリーブロ
ールとも呼ばれ、通常、ロール軸に焼きばめ等により固
着され、組み立てられて圧延に供される。前記中間層3
は、外層1 と内層2 とを直接溶着した場合に生じる、外
層1 から内層2 への高合金元素の混入を防止し、内層の
強靭性劣化防止のために形成されるものである。
【0003】従来、耐摩耗性に優れた外層材として、特
公昭58−30382 号公報、特公昭61−16415 号公報に開示
されているように、Crを10〜25%含有した高クロム鋳
鉄や耐焼付性をも改善した黒鉛晶出高クロム鋳鉄が使用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、圧延条件が苛酷
になり、より高い耐摩耗性が要求されるようになった。
このため、前記公報に言及されているように、高クロム
鋳鉄や黒鉛晶出高クロム鋳鉄にNb,Vの一種又は二種
を合計で2%以下添加して、その微細炭化物を結晶核と
して生成させ、これによって組織の微細化、緻密化を図
り、もって耐摩耗性の向上が図られている。しかし、耐
摩耗性の向上の要求に十分応えているとはいえないのが
実情である。
【0005】一方、鉄鋼圧延における耐摩耗性を大幅に
改善するには、材質中にWを多量に添加すればよいと考
えられる。しかしながら、複合ロールの外層は、主とし
て遠心力鋳造によって鋳造されることから、Wが比重差
により分離し、周方向に偏析が生じて均一な材質が得難
いという問題がある。そこで、上記の技術背景に鑑み、
複合ロールの外層をCr、Mo、W、V、Nbの所定量
を含有した特殊鋳鉄材で形成すれば、これらの高硬度複
合炭化物の存在により、耐磨耗性を飛躍的に向上させる
ことができ、また鋳造に際しマクロ偏析も生じにくいと
いう効果を本発明者らは知見し、一応の効果を得た。
【0006】しかし、更に上記外層につき研究を重ねた
ところ、先にも説明したとおり、Cr、Mo、W、V、
Nbを含有した鋳鉄材は高硬度複合炭化物を有し、耐摩
耗性を飛躍的に向上させることができるが、これを、遠
心力鋳造法で製作する際には遠心力鋳造特有のマクロ偏
析が生じてしまい、複合ロールの外層に適用して圧延に
供すると、ロール表面においてマクロ偏析に起因する摩
耗のむら及び表面粗さのむらができるという新たな解決
すべき課題が生じてきた。本発明はかかる問題に鑑みて
なされたもので、耐摩耗性に優れかつ前記問題とされた
課題を解決した均一材質の外層を備えた鉄鋼圧延用等の
複合ロールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の複合ロールは、
耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外層の内周面に溶
着された中間層と、該中間層の内周面に溶着された内層
とからなり、且つ前記外層と中間層が遠心力鋳造されて
なる複合ロールにおいて、前記外層は、化学組成が重量
%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:0.1 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50%、 Ti:0.01〜0.50%、 V, Nb :一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなることを特徴とする(請
求項1)。
【0008】また本発明の複合ロールは請求項1の化学
組成におけるTi:0.01〜0.50%に変えてZr:0.01〜
0.50%としたものであり(請求項2)、また請求項3の
発明は、請求項1の化学組成にさらにZr:0.01〜0.50
を加えたものである。また、請求項4の発明は、請求項
1の化学組成中のTiや、請求項2のZrの代わりに、
B:0.01〜0.50%加えたものであり、また請求項5の発
明は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の化学組成
に、B:0.01〜0.50%を更に加えたものである点に特徴
がある。
【0009】
【作用】本発明の複合ロールに係る外層は、耐摩耗性の
みならずマクロ偏析の面からも複合ロールの外層として
最適な組成を求めて種々の合金を組み合わせて遠心力鋳
造実験した結果、Cr、Mo、W、V、Nbに加えて、
Al、Ti、Zr、B等の特殊元素を加えることによっ
て、耐摩耗性を飛躍的に向上させ、マクロ偏析がなく均
一な表面性のロール外層材を得ることができた。ここ
で、本発明の重要な作用の第1の特徴はCr、Mo、
W、V、Nbを含有した鋳鉄材の遠心力鋳造においてこ
れら合金が形成する高硬度複合炭化物によって耐摩耗性
の飛躍的改善が得られる含有量を求めた点であり、作用
の第2の特徴は遠心力鋳造においてもマクロ偏析しない
ようにAlを主体として、Ti、Zr、B等の合金を加
えた点である。
【0010】特に第2の点については、従来は脱酸材と
して、あるいは特殊な材料における組織微細化材として
のみ用いられていたAlを、高合金であるがために遠心
力鋳造においてマクロ偏析を生じ易い鋳鉄材に含有させ
ることにより、下記のメカニズムによってマクロ偏析が
改善されるものである。即ち、Al、Ti、Zr、Bは
溶融中の酸素と結合して酸化物となり、Mo、W、V、
Nbなど本発明の外層の性能に重要な元素のロスを防ぐ
のみならず、更に凝固初期の溶湯中においてこれら酸化
物を凝固の核としたCr、Mo、W、V、Nbの高硬度
複合炭化物を形成する。この結果、微細に分散した高硬
度複合炭化物が得られ、耐摩耗性が向上する。
【0011】一方、高硬度複合炭化物は溶湯の比重より
も小さいため、凝固初期の固相率の低い溶湯中では遠心
力の影響を受け、外層の内面側に移動し、マクロ偏析の
原因となる。溶湯の中を粒子が移動する際には周囲から
その粒子の径の二乗に比例した抵抗を受けるが、粒子に
働く遠心力は粒子の径の三乗に比例するから、Al含有
により、高硬度複合炭化物の粒子の径が小さくなるほ
ど、粒子の表面積Sと体積Vの比S/Vが大きくなっ
て、抵抗が大きくなり遠心力による溶湯中での移動が起
こりにくくなり、遠心力鋳造特有のマクロ偏析が改善さ
れる。
【0012】なお、本発明の複合ロールは、例えば後記
する化学組成の高炭素鋳鋼により、外層と内層との間に
中間層を形成してあるので、本発明の特定組成の外層の
高合金成分が内層に混入して、その強靱性を劣化するの
を防止することができる。また、中間層と内層との境界
部は低合金となるので、炭化物層の形成が抑制され、境
界強度の向上を図ることができる。また、本発明の特定
組成の外層のオーステナイト熱処理の際、内層の温度上
昇を防止することができ、内層材質の強靭性劣化を防止
しつつ、外層のみを1100℃以上の高温に加熱することが
できる。また、後記する実施例の如き中間層組成とすれ
ば、外層の焼入れ時にマルテンサイト変態は起こらない
か、起こるとしても僅かな量であるので外層に焼入れ熱
処理を施しても、過大な残留応力が生じることがなく、
耐事故性に優れる。
【0013】また、後記する実施例の内層を片状黒鉛鋳
鉄、球状黒鉛鋳鉄又は黒鉛鋼すなわち、黒鉛の晶出した
鉄鋼材で形成すれば、ヤング率を 19000kg/mm2 程度以
下とすることができ、過負荷時にロールの偏平化によっ
て負荷を吸収し、耐事故性を向上することができる。ま
た、低温歪取り焼鈍によって、外層熱処理時の残留応力
を軽減することができる。また、熱伝導性ひいては放熱
性に優れ、圧延時のロールの熱変形を防止することがで
きる。又、良好な靭性を有するため、衝撃的な圧延トル
クに対しても耐えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明の複合ロールの外層
に使用される耐摩耗鋳鉄材の化学組成の限定理由につい
て説明する。以下、成分の単位はすべて重量%である。 C:1.0 〜3.0 % Cは主としてFeおよびCrと結合してM7 3 型の高
硬度複合炭化物を形成すると共に、Cr, Mo, V, N
b, Wと結合してMC型, M6 C型,M2 C型等の高硬
度複合炭化物をも形成する。この高硬度複合炭化物形成
のために、 1.0%以上のC%が必要である。一方、 3.0
%を越えてCが含有されると炭化物量が増すと共に脆く
なり、耐クラック性が劣化するため、 3.0%以下とす
る。 Si:0.1 〜2.0 % Siは本発明材が鋳造合金であるため、湯流れ性の確保
のために必要な元素であり、同時に又、使用原材料から
0.1%程度は不可避的に含有される。しかし、2.0%を
越えると靭性の低下を招くため好ましくない。 Mn:0.1 〜2.0 % Mnは硬化能を増し、また、Sと結合してMnSを生成
し、Sによる脆化を防ぐ元素であり、同時に使用原材料
から 0.1%程度は不可避的に含有される。しかし、 2.0
%を越えると靭性の低下を招くため好ましくない。 Ni:0.1 〜4.5 % Niは基地中に固溶し、連続冷却変態線図(CCT図)
および等温変態線図(TTT図)におけるベーナイト変
態を長時間側に移動させるため、焼入れ性が向上し、焼
入れ時の冷却速度を遅くしても途中でベーナイト変態が
起こらず、多量の残留オーステナイトがマルテンサイト
変態するため、高硬度が得られる。本発明のような複合
ロールの外層材の場合、焼入れ時の外層と内層の熱膨張
差に起因する熱応力が大きく、また重量物である大形ロ
ールの場合、熱容量が大きく、冷却速度を大きくするこ
とが困難であるものについては焼入れ時の冷却速度が遅
くても焼入れ組織が得られることは大変重要である。こ
の際、0.1 %未満ではこのような効果得られず、一方、
4.5 %を越えて含有されると、残留オーステナイトが増
して、高硬度が得難くなる。なお、0.1 %Ni以上では
焼入れ温度から400〜650 ℃までの温度にかけての冷却
速度が100 ℃/Hr以上あれば焼入れ組織が得られる。 Cr:3.0 〜10.0% CrはFe, Mo, V, Nb, Wと共にCと結合して、
高硬度複合炭化物を形成して高温に於ける耐摩耗性の向
上に寄与する。また、一部は基地中に固溶して焼入れ性
および耐摩耗性を改善する。 3.0%未満ではこれらの効
果が少なく、耐摩耗性改善が期待できない。一方、10.0
%を越えて含有されると靭性の劣化を来すため好ましく
ない。 Mo:0.1 〜9.0 % MoはFe, Cr, V, Nb, Wと共にCと容易に結合
して、主としてM7 3 型 M6 C型,M2 C型複合炭
化物を形成し、常温および高温硬度を高めて耐摩耗性の
向上に寄与する。MoはWに比較して少量添加でその効
果を発揮する。このさい、 0.1%未満では所期の耐摩耗
性を得ることができず、一方、 9.0%を越えると靭性の
低下を来し好ましくない。 W:1.5 〜10.0% Wも同様にFe, Cr, Mo,V, Nbと共にCと容易
に結合して複合炭化物を形成し、常温および高温硬度を
高めて耐摩耗性の向上に寄与する。 1.5%未満では所期
の耐摩耗性を得ることができず、一方、10.0%を越える
と靭性の低下を来し、耐ヒートクラック性を悪化させ
る。また、遠心力鋳造の際、マクロ偏析を生成し易くさ
せる。このため10.0%以下とする。 Al:0.01〜0.50% Alは通常は「脱酸剤」として使用されるが、脱酸によ
って、溶湯中のO濃度を低下せしめ、ハイス材溶湯中の
酸化し易い合金元素であるMo,W,Vなどのロスを防
止する。一方、Al酸化物が溶湯中で凝固の核となり微
細組織が得られる。ハイス材の場合はこのAl酸化物を
核として高硬度のMC炭化物が晶出するためにMC型炭
化物が微細分散化され、耐摩耗性に寄与し、また微細分
散化されるため、S/Vが大きくなり遠心力によって移
動しにくくなり、遠心力鋳造下における偏析を軽減す
る。
【0015】ここで、前記の式中、「S」はMC型炭化
物粒子の表面積を、また「V」は体積を示す。なお、溶
湯中を前記粒子が移動する際に、周囲から、その粒子の
径の二乗に比例する抵抗を受ける。一方、遠心力は粒子
の径の三乗に比例するから、粒子の径が小さくなるほ
ど、遠心力の影響を受けやすくなる。以上の点からAl
は遠心力鋳造特有の年輪状偏析(バンド状偏析)は殆ど
認められないが0.01%未満ではこのような効果は十分で
なく、一方0.50%を越えるも同様である。
【0016】Ti、Zr、B:0.01〜0.50% TiもAlも同様に溶湯中で酸化物を形成するために、
凝固組織を微細化し、その結果としてAlと同様に遠心
力鋳造における年輪状偏析を改善する効果があるが、T
iは酸化傾向が強すぎるために、遠心力鋳造前に溶湯表
面が酸化して鋳造性が悪化したり、遠心力鋳造された後
で回転中の外層の内面が酸化して、その後の中間層ある
いは内層との溶着性が悪化する。このため、組織微細化
および年輪状偏析の改善を目的としては、Alと併用す
る必要がある。
【0017】ZrもTiと同様であり、Alと併用す
る。以上、Ti、Zrは、上記の効果を発揮するには、
少なくとも0.01〜0.50%が必要である。次にBも組織の
微細化作用があり、年輪状偏析の改善に寄与すること
は、Ti、Zrと同様であるが、基地中に溶け込んだB
による焼入れ性の増大効果を有する。圧延ロールのよう
な大質量の鋳物の場合、冷却温度を速くすることが困難
な場合があるが、焼入れ性の増大によって、焼入れ組織
を得易くなる。以上の二つの効果を発揮するには少なく
とも0.01〜0.50%が必要である。0.01%未満ではこのよ
うな効果が十分ではなく、一方0.50%を越えると材質が
脆くなり好ましくない。 V,Nb:一種又は二種の総計で3.0 〜10.0% VはNbと同様にFe,Cr,Mo,Wと共にCと容易
に結合して、主としてMC側の複合炭化物を形成し、常
温及び高温度硬度を高めて耐摩耗性の向上に寄与する。
また、このMC型複合炭化物は厚さ方向に枝状に生成す
るため、基地の塑性変形を抑止し、機械的性質、さらに
は耐クラック性の向上にも寄与する。単独または二種を
複合して3.0 %以上添加しないとかかる効果は現れにく
い。しかし、添加量が10.0%を越えると靱性の低下を招
来すると共に、遠心力鋳造の際、マクロ偏析を生成し易
くなる。このため、10.0%以下とする。
【0018】本発明外層の耐摩耗鋳鉄材は以上の合金成
分のほか残部がFeおよび不純物で形成される。尚、
P,Sは原料より不可避的に混入するが、材質を脆くす
るので少ない程望ましく、P:0.2 %以下、S:0.1 %
以下に止めておくのがよい。次に本発明複合ロールで使
用する好適な内層材について例示する。内層材として
は、下記の理由により黒鉛が晶出した材料、具体的には
片状黒鉛鋳鉄(FCと略記) 、球状黒鉛鋳鉄(DCIと
略記) 、黒鉛鋼(SGSと略記) を用いる。 黒鉛晶出材を用いる理由 圧延使用時には、過負荷状態の発生(例えば、2枚
板噛み) は避けられないが、外層材のヤング率は 21000
〜 23000kgf/mm2 と高いため、外層材中に大きな応力
が発生する。中間層のヤング率は 20000〜 23000kgf /
mm2 であるが、層厚が25〜30mm程度と比較的薄いため、
複合化する内層材のヤング率が低ければ、過負荷時に
は、ロールの偏平化によって内層材の方で負荷を吸収し
得る。このため、内層材のヤング率を低くする方が、使
用時の安全性を増す。20000 kgf /mm2 未満のヤング率
とするためには、内層材は、黒鉛の晶出したものでなけ
ればならない。 外層材は特殊合金が含まれており、また、焼戻し2
次硬化現象によって硬化するため、一般に残留応力の除
去がされ難い材料である。このため、複合ロールに対
し、外層材の硬化熱処理すると、外層材の変態による膨
張により、外層には圧縮応力、内層には引張応力が生じ
る。内層材の引張応力が過大になると、内層の破損や中
間層・内層の境界部での破断が生じ、ロールの破壊に至
る。
【0019】破壊を防止するには、複合ロールに歪取り
焼鈍を施し、内層材の残留応力を解放すればよい。しか
し、600 ℃を越える高温歪取り焼鈍では外層の硬度低下
を招来する。従って、低温歪取り焼鈍により、内層材の
残留応力を解放する必要がある。このためには、内層材
は黒鉛が晶出したものがよい。尚、本発明の場合、低温
歪取り焼鈍は外層の焼戻し熱処理によりその目的を達成
することができる。 ロールは使用時に圧延材(1000℃前後) から熱を受
ける。ロールの熱変形を防止、所定形状を維持するには
放熱が良好でなければならない。従って、内層は熱の伝
導が良くなければならない。そのため内層材として黒鉛
晶出材が好適である。 ロールのネック部には、ベンディング力とモーター
トルクに耐える強度が必要である。衝撃的な荷重もある
ことから、強度とともに靭性も重要である。黒鉛を晶出
させることにより、靭性を向上させることができる。
【0020】次に、複合ロールの内層を形成する各種内
層材の特徴および好ましい組成(単位wt%) について説
明する。内層は叙上の通り、黒鉛を含むことが必要であ
るが、外層と内層との溶着時に外層の高合金成分の混入
が必然的に生じる。この点を考慮して組成を決定する必
要がある。 (1) FCの場合 FCは鋳造性が良好で、ヤング率が10000 〜15000kgf
mm2 と低く、又黒鉛の形態が片状であるため、残留応力
の除去が容易で、熱伝導率も高い。また、加工性も良好
で、中空ロールの内層材として用いた場合、内面加工が
容易である。もっとも、強度は30kgf/mm2 程度が限度
であるため、圧延荷重の大きな条件下で使用する複合ロ
ールには適さない。尚、下記組成のFCの固相線は 11
30〜1170℃である。
【0021】以下に好ましい組成例と限定理由を示す。 C:2.5 〜4.0 % Cは黒鉛を晶出させるために必要であり、 2.5%未満で
は黒鉛量が少ない。一方、4.0 %を越えると黒鉛量が過
多となり、強度が低下する。 Si:0.8 〜2.5 % Siは黒鉛晶出を助長する作用をなし、 0.8%未満では
黒鉛化が不充分である。一方、 2.5%を越えると基地が
脆くなる。
【0022】Mn:0.2 〜1.5 % Mnは基地の強化と共にSの害を防ぐ作用がある。 0.2
%未満ではその作用がほとんど期待できない。一方、
1.5%を越えると材質が脆くなる。 P, S:各々0.2 %以下 P, Sは不純元素であるため少ない程よく、 0.2%以下
に止めるのがよい。低濃度のものは高コストになるた
め、経済性を考慮すると、0.01%程度以上の含有は止む
を得ないであろう。
【0023】Ni:3.0 %以下 Niは黒鉛化と基地の強化のために有効であるが、 3.0
%を越えると未変態組織が残留し易くなり、強度が劣化
する。 Cr, Mo:各々2.0 %以下 Cr, Moは基地の強化作用があるが、多過ぎると黒鉛
化を阻害させる。基地強化のためには、 0.1%以上含有
させることが望ましい。一方、黒鉛化の阻害を防止する
には、外層からの混入量を含めて 2.0%以下に止める必
要がある。
【0024】W,V,Nbの総計で4.0 %以下 これらの元素は外層から必然的に混入する。W, V, N
bは内層材質改善作用はない。従って、これらの元素は
不純物として解釈され、内層材の機械的性質を劣化させ
ない範囲として、4%まで許容される。なお、本発明の
外層材にAl, Ti, Zr,Bを含んでいるが、これら
の元素は中間層を介して内層に必然的に混入するが微量
であるため、材質上ほとんど問題にはならない。FCは
以上の成分の他、残部実質的にFeで形成される。尚、
中間層に溶着する前すなわち鋳込前の溶湯組成範囲を下
記に例示する。溶湯組成は溶着後に上記内層組成となる
ように、中間層からの成分混入量が考慮されて決定され
る。
【0025】 C :2.5 〜4.0 %、 Si:0.8 〜2.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 残部実質的にFe (2) DCIの場合 DCIは鋳造性が良好で、ヤング率が15000 〜19000 kg
f/mm2 であり、黒鉛量も多い。更に、その黒鉛の形態
は、FCと異なり、球状であるため、強度および靭性も
優れている。また、加工性も良好である。このため内層
材として好適である。尚、特公昭59−52930 号公報、特
公昭59−52931 号公報に開示されているように、フェラ
イト・オーステナイト共存温度域(780 〜900 ℃) に加
熱保持後、200 〜800 ℃/Hrで急冷し、オーステナイ
トを微細パーライト化する熱処理により、基地組織がフ
ェライト・パーライトの2相混合組織となる。この組織
はクラックの進展、残留応力の除去効果に特に優れる。
前記2相混合組織化の熱処理は、複合ロールの外層の硬
化熱処理の前熱処理として行えばよい。尚、下記組成の
DCIの固相線は1130〜1170℃である。
【0026】以下に好ましい組成例と限定理由を示す。 C :2.5 〜4.0 %、 Si:1.3 〜3.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 W,V,Nbの総計で4%以下、 Mg:0.02〜0.1
%、 残部実質的にFe Si, Mg以外の成分限定理由はFCと同様のため、こ
の二成分について説明する。
【0027】Siは黒鉛化促進元素である。DCIは黒
鉛の球状化のため、Mgが含有される。Mgは強力な黒
鉛化阻害元素であるため、Mgの存在下で黒鉛化を図る
には、Si 1.3%以上必要である。一方、 3.5%を越え
ると、基地を脆くすると共に、多量のフェライトを析出
させ、強度も低下する。Mgは黒鉛を球状化させる作用
を有する。その作用を得るためには0.02%以上必要であ
る。一方、 0.1%を越えると、黒鉛化を阻害し、又鋳造
欠陥を発生させ易くする。
【0028】尚、外層に溶着する前のDCIの好適な溶
湯組成を下記に例示する。 C :2.5 〜4.0 %、 Si:1.3 〜3.5 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 Mg:0.02〜0.1 %、 残部実質的にFe (3) SGSの場合 SGSはヤング率が17000〜20000kgf/mm2と高く、また
黒鉛量も少ないため、残留応力は比較的除去され難い。
また、鋳造性もあまり良好ではなく、大きな押湯等を必
要とする。しかし、強度は40kgf/mm2以上と優れてお
り、また 靭性にも優れているので、大きなベンダー荷
重等が働く苛酷な使用条件で用 いられるロールには
最適である。また、固相線(下記組成のSGSの場合)
が 1170〜1250℃とFC, DCIに比べて高いので、
外層のオーステナイト化熱 処理の際に劣化しに
くい利点がある。
【0029】以下に好ましい組成例と限定理由を示す。 C :1.0 〜2.3 %、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 W,V,Nbの総計で4.0 %以下、 残部実質的にFe C, Si以外の成分限定理由はFCと同様のため、この
二成分について説明する。
【0030】Cは黒鉛を晶出させるために必要である。
1.0%未満では黒鉛の晶出は生じにくい。一方、 2.3%
を越えると黒鉛形状が崩れて、強度が低下する。Siは
黒鉛化のために必要である。 0.5%未満では黒鉛晶出は
困難となり、一方、 3.0%を越えると基地が脆くなる。
尚、外層に溶着する前のSGSの好適な溶湯組成を下記
に例示する。 C :1.0 〜2.3 %、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:3.0 %以下、 Cr:2.0 %以下、 Mo:2.0 %以下、 残部実質的にFe 次に、本発明の実施形態で使用する中間層を例示する。
中間層は、外層の合金成分が内層に混入するのを軽減す
ることを目的の一つとして形成されるが、それ自体も30
kgf/mm2 程度以上の強度が必要である。強度が不足す
ると、外層と中間層との境界部が破断し、外層が剥離す
る。従って、中間層には外層から多量の合金成分が混入
しても高強度な材質とする必要がある。かかる理由か
ら、中間層材としては下記組成の高炭素鋳鋼(ADと略
記) が好適である。以下、本発明の実施形態で使用する
好適な中間層材の組成と限定理由を示す。 C:1.0 〜2.5 % Cは強度向上に寄与するが、1.0 %未満では凝固点が高
くなり、溶着が不充分になり易い。一方、2.5 %を超え
ると炭化物が過多となり、材質が脆くなる。 Si:0.2 〜3.0 % Siは脱ガスの促進作用、湯流れ性の向上作用がある。
0.2%未満ではかかる作用が期待できず、一方、 3.0%
を越えると材質が脆化する。尚、高Si領域ではNi含
有量との関係で黒鉛の晶出が見られる場合があるが、材
質上問題はない。 Mn:0.2 〜1.5 % Mnは内層材のダクタイル鋳鉄と同様の理由によって上
記範囲に限定される。 Ni:4.0 %以下 Niは材質を強化する作用がある。しかし、 4.0%を越
えると作用が飽和すると共に未変態組織が生じ易くな
り、強度が劣化する。 Cr, Mo:各々 4.0%以下 Cr, Moは材質を強化する作用がある。しかし、 4.0
%を越えると機械的性質がかえって劣化するようにな
る。 W,V,Nb:総計で12%以下 これらの元素は中間層の材質を向上する作用はほどんど
ないが、外層からの混入は避けられない。中間層材質の
機械的性質を劣化させない範囲として、12%まで許容さ
れる。尚、本発明の外層にAl,Ti,Zr,Bを含ん
でいるので、これらの元素も中間層に必然的に入ってく
る。この場合、同様の理由により、これらの元素を含め
て総計で12%以下とする。
【0031】中間層材の成分は、以上の他、残部実質的
にFeで形成される。尚、P,Sは不純物であり、材質
を脆くするため少ない程よく、本発明の実施形態におい
ては、内層材と同様、両者とも 0.2%以下に止めるのが
よい。尚、外層に溶着する前の溶湯組成範囲を下記に例
示する。溶湯組成は溶着後に上記中間層組成となるよう
に、外層からの成分混入量が考慮されて決定される。 C :1.0 〜2.5 % 、 Si:0.2 〜3.0 %、 Mn:0.2 〜1.5 % 、 P :0.2 %以下、 S :0.2 %以下、 Ni:4.0 %以下、 Cr:4.0 %以下、 Mo:4.0 %以下、 残部実質的にFe 本発明の実施形態では、外層と内層(軸芯部) との間に
1.0〜2.5 %Cの中間層を設けたので、内層に有害な合
金元素が外層から内層へ、溶着の際に直接混入するのを
大幅に抑制することができるほか、下記の効果を奏す
る。
【0032】外層の焼入れ熱処理の際、オーステナイト
化熱処理のため、外層を1100℃以上に加熱するのがよい
が、外層を1100℃以上に加熱しても内層への伝熱は中間
層を介して行われるため、熱量の調整により内層の温度
を1100℃以下に容易に抑えることができ、内層の溶損を
防止することができる。中間層は外層との溶着によっ
て、Cr, Mo, W, Vの濃度が高くなるが、それでも
これらの元素は外層よりも低く抑えられるので、外層と
内層を直接溶着させた時よりも、外層と中間層を溶着さ
せた後、中間層と内層を溶着させる方が、内層の溶着部
分の合金濃度は低くできる。このため、中間層を設けた
場合は内層との境界に炭化物層が形成されにくく、境界
強度が改善できる。
【0033】また、本発明の実施形態に係る中間層はロ
ールの焼入れ熱処理中にその大半がパーライト変態し、
更に残部がベイナイト変態する。マルテンサイト変態は
起こらないか、起こしてもごくわずかの量である。この
ため、マルテンサイト変態に伴う大きな膨張挙動がな
く、ロールへの残留応力を大きくすることはない。尚マ
ルテンサイト変態を多量に起こすと、外層のマルテンサ
イト変態と合わさって、外層・中間層に大きな圧縮の残
留応力(軸方向)、内層にはそれに見合う大きな引張の
残留応力(軸方向)が働らき、内層が引張・破壊する。
【0034】
【実施例】本発明の複合ロールは、通常、中実状ロール
の場合、外層および中間層が遠心力鋳造された後、その
内部に内層(軸芯部) が静置鋳造される。また、スリー
ブロールの場合、外層、中間層に引き続いて内層も遠心
力鋳造される。図3は横型遠心力鋳造装置を示してお
り、遠心力鋳造用金型4 は回転ローラ5,5 によって回転
自在に支持されており、溶湯は堰鉢6 から注湯樋7 を介
して金型4 内に鋳込まれる。8は湯止め用砂型である。
中実状の複合ロールを鋳造するには、まず、外層材溶湯
を回転する金型4 に鋳込み、それが凝固した後に、外層
1の内周面に中間層材溶湯を鋳込んで、中間層3 を遠心
力鋳造する。その後、外層1 と中間層3 とを内有した金
型4 を起立させ、その両端に軸芯部形成用の上型、下型
を連設して静置鋳型を構成し、その内部に内層材溶湯を
鋳込めばよい。該横型遠心力鋳造装置においては、金型
内に鋳込まれた溶湯の各部は金型の回転毎に上下動する
ため、Gの変動があり、またローラや金型の偏心や傷に
より振動が発生し易く、鋳込まれた外層材溶湯中の成分
は移動し易い。このため、厚肉の外層を鋳造する場合、
成分の移動により偏析が生じ易くなるので、通常、凝固
開始温度+70℃程度以下として比較的低温で鋳込むのが
よい。もっとも、本発明に係る外層材は高耐摩耗材であ
るために、摩耗しにくく、外層は比較的薄くてもよく、
鋳込厚さで80mm(望ましくは55〜70mm) 程度までは金型
により急冷されるため、前記温度より高温で鋳込んでも
偏析のおそれはほとんどない。尚、製品外層厚さとして
は中間層による溶解代20mm、加工代10mmを考慮すると50
mm(望ましくは25〜40mm) 程度となる。
【0035】図4は立型遠心力鋳造装置を示しており、
遠心力鋳造用金型11の上下端には上型12、下型13が組み
立てられており、該鋳型は回転する基盤14に同心状に機
械的に固定されている。このため、堰鉢15を介して鋳型
内に鋳込まれ、遠心力の作用で金型11内面に上昇し付着
した外層材溶湯16は、Gの変動や振動を受けにくい。従
って、立型遠心力鋳造すれば、厚肉の外層を鋳造する場
合でも偏析が生じにくいため、より高温で鋳込むことが
でき、作業性の向上や異物の混入による鋳造欠陥の防止
に効果的である。尚、遠心力鋳造用金型11のみ基盤14に
固定し、外層および中間層を鋳造後、上型、下型を組み
立て、軸芯部を静置鋳造してもよいことは勿論である。
【0036】本発明の外層耐摩耗鋳鉄材は、複合ロール
の外層として鋳造後、ロール全体を焼入れ温度(オース
テナイト化温度) から 400〜 650℃までの温度域を 150
℃/Hr以上の冷却速度で焼入れることにより、良好な
焼入れ組織を得ることができる。焼戻しは 500〜 600℃
の温度で1回ないし数回行なうとよい。本発明に係る外
層材は、オーステナイト化熱処理の際に基地中に固溶し
たMo,W,V,Nb,Al,Ti,Zr,B等が焼戻
し熱処理によって微細炭化物として析出し、焼戻し2次
硬化現象を生じるため、高温硬度に優れる。
【0037】外層の加熱方法としては、ロール全体を加
熱炉に入れて加熱する方法、外層外周面の回りに誘導加
熱コイルや多数のガスバーナを配置しておき、これらに
よって外層のみを急速加熱する方法がある。前者は昇温
に時間がかかり、外層表面に厚い酸化膜ができ、外層の
歩留りが低下する。更に、鋳鉄材質の内層の溶損を回避
して加熱するには1100℃(望ましくは1000℃) 以下の加
熱に止めなければならず、このため炭化物を基地中に十
分固溶させることが難しく、以後の熱処理によっても十
分な硬度が得難いという問題がある。これに対して、外
層のみの加熱方法によれば、中間層の形成と相まって、
外層を1100℃以上に、内層を1100℃未満に確実に止める
ことができるので、内層の部分溶融や、結晶粒の粗大化
による強度低下を防止することができる。また、内層
(軸芯部) の中心に向かうほど低温となるため、オース
テナイト化温度に加熱後、外層の熱を内部へ逃がすこと
ができ、焼入れの際、外層深部の冷却速度を大きくする
ことができる。
【0038】本発明の複合ロールは熱間圧延、冷間圧延
を問わず、圧延設備の圧延用ロールおよびその付帯設備
のピンチロールあるいは圧延材の搬送用ローラー等の、
耐摩耗性を要求されるロール、ローラーに適用される。
尚、圧延材としては、鉄鋼および非鉄金属のみならず非
金属をも対象とする。 〔具体的実施例〕 (1) 内径φ1040mmの遠心力鋳造用金型に表1の外層材溶
湯を遠心力鋳造し、外層が完全に凝固した後引き続い
て、同表の中間層材溶湯を遠心力鋳造し、外層と中間層
とを溶着させた。鋳込量は肉厚で外層70mm、中間層25mm
とした。尚、実施例は試料No.1〜6であり、 No.7の外
層材は耐摩耗性を改善した高クロム鋳鉄材で、資料No.
7の外層材はAlを含有しないものである。表中の組成
の単位は重量%、残部は実質的にFeである。 (2) 中間層が完全に凝固するのを待って、金型の回転を
止め、外層および中間層を内有した金型を垂直に立て
て、両端に上型および下型を連設して、その内部に同表
に併せて示した内層材(軸芯材) 溶湯を鋳込んだ。
【0039】
【表1】
【0040】(3) 鋳造された複合ロールを粗加工した
後、実施例のロールに対しては、 600℃に均一に予熱
後、図5に示すように、ロールを水平に対向配置されか
つロール軸方向に沿って 250mmピッチで平行に列設され
たガスバーナ21間に回転自在に支持し、ロールを回転さ
せながら、外層の表面を加熱した。外層表面温度が1170
℃、内層の中心部の温度が 830℃となったところで加熱
を止めた。加熱に要した時間は 300分であった。熱伝導
の温度データより、本例の場合、内層外周面付近の温度
は 960℃と推定された。一方、従来のロールに対して
は、ロール全体を1050℃で5時間保持してオーステナイ
ト化した。 (4) 実施例および従来例のロールに対して、加熱停止
後、速やかに噴霧水冷を行い、ロール表面温度を 500℃
に急冷した後、常温まで放冷した。その後、550℃で20
時間保持する焼戻し熱処理を2回繰り返した。熱処理後
の外層表面硬度は、下記表2の通りであった。同表よ
り、実施例の外層は、従来例のそれに比べて、硬度の向
上が著しく、耐摩耗性に優れていることが分かる。尚、
外層表面の酸化状態を観察したところ、酸化層の厚さ
は、実施例では 0.5mm程度であったのに対して、従来例
では3.0mm 程度と著しかった。
【0041】
【表2】
【0042】(5) 胴表面を仕上加工した後、超音波探傷
試験によって溶着状況を確認したところ、いずれのロー
ルについても溶着は良好であった。次に、ロール胴部を
切断し、外層断面を目視観察したところ、いずれのロー
ルも成分の偏析は認められなかった。又、中間層の層厚
の中央部および内層(軸芯部) 中心部における成分を分
析した結果を表3に示す。同表より、実施例および従来
例とも内層における外層高合金成分の混入量は非常に少
ないことが分かる。
【0043】
【表3】
【0044】(6) 胴端の余長部から外層材を切り出し
て、基地硬さ(マイクロッカース硬さ)と高温硬さ
ッカース硬さ)を測定した。その結果、表4に示す
ように、従来例に比較して、基地硬さおよび高温硬さの
両方共に優れており、耐摩耗性および耐肌荒れ性の点で
複合ロールの外層材として望ましいことが分かる。特
に、熱負荷が大きい熱間圧延用ロール、中でも鉄鋼業に
おける熱間薄板圧延量ロールの外層材として好適である
ことが判明した。表4は、600 ℃での高温硬さを示す。
【0045】
【表4】
【0046】更に、表5は、大越式摩耗試験における比
摩耗量を高クロム鋳鉄材(試料7)を基準として表した
ものであるが、試料1〜6は良好な耐摩耗性を示してい
る。
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の複合ロール
はその外層をCr,Mo,W, V, Nbの他Al等の特
殊元素を所定量加えた特定化学組成とした特殊鋳鉄材で
形成したことにより、ロール材として使用して顕著な効
果を発揮したのである。即ち、Cr,Mo,W,V,N
bを含有した複合ロールの外層鋳鉄材は高硬度複合炭化
物を有し、耐摩耗性を飛躍的に向上させることができる
が、遠心力鋳造法で製作する際には遠心力鋳造特有のマ
クロ偏析が生じてしまい、複合ロールの外層に適用して
圧延に供すると、ロール表面においてマクロ偏析に起因
する摩耗のむら及び表面粗さのむらできるという問題点
を有していたが、本発明では耐摩耗性のみならずマクロ
偏析の面からも複合ロールの外層として最適な組成を求
めて種々の合金を組み合わせて遠心力鋳造実験し、Al
等の特殊元素を加えることによって耐摩耗性が飛躍的に
向上し、マクロ偏析がなく均一な表面性状のロール外層
材を提供することができたのである。
【0049】特に本発明の重要な点は、Cr、Mo、
W、V、Nbを含有した鋳鉄材の遠心力鋳造において、
これら合金が形成する高硬度複合炭化物によって耐摩耗
性の飛躍的改善が得られる含有量を求めた点と、及び遠
心力鋳造においてもマクロ偏析しないようにAlを主体
として、Ti、Zr、B等の合金を加えた点で顕著な効
果を奏した。因みに、後者について説明すると、従来は
脱酸材として、あるいは特殊な材料における組織微細化
材としてのみ用いられていたAlを、高合金であるがた
めに遠心力鋳造においてマクロ偏析を生じ易い鋳鉄材に
含有させることによりマクロ偏析が改善されるものであ
る。
【0050】即ち、Al、Ti、Zr、Bは溶湯中の酸
素と係合して酸化物となり、Mo、W、V、Nbなど本
発明の外層の性能に重要な元素のロスを防ぐのみなら
ず、更に凝固初期の溶湯中においてこれら酸化物を凝固
の核としたCr、Mo、W、V、Nの高硬度複合炭化
物を形成する。この結果、微細に分散した高硬度複合炭
化物が得られ、耐摩耗性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中実状複合ロールの断面図であ
る。
【図2】本発明に係るスリーブ状複合ロールの断面図で
ある。
【図3】横型遠心力鋳造装置の主要部断面図である。
【図4】立型遠心力鋳造装置の主要部断面図である。
【図5】複合ロール外層加熱状態を示す断面図である。
【符号の説明】 1 外層 2 内層 3 中間層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 37/08 C22C 37/08 Z 37/10 37/10 (72)発明者 岡林 昭利 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク ボタ尼崎工場内 (72)発明者 木村 広之 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク ボタ尼崎工場内 (72)発明者 志方 敬 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク ボタ尼崎工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外
    層の内周面に溶着された中間層と、該中間層の内周面に
    溶着された内層とからなり、且つ前記外層と中間層が遠
    心力鋳造されてなる複合ロールにおいて、 前記外層は、化学組成が重量%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:0.1 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50% Ti:0.01〜0.5 %、 V, Nb :一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなることを特徴とする複合
    ロール。
  2. 【請求項2】 耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外
    層の内周面に溶着された中間層と、該中間層の内周面に
    溶着された内層とからなり、且つ前記外層と中間層が遠
    心力鋳造されてなる複合ロールにおいて、 前記外層は、化学組成が重量%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:3.0 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 % W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50% Zr:0.01〜0.5 %、 V, Nb:一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなることを特徴とする複合
    ロール。
  3. 【請求項3】 耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外
    層の内周面に溶着された中間層と、該中間層の内周面に
    溶着された内層とからなり、且つ前記外層と中間層が遠
    心力されてなる複合ロールにおいて、 前記外層は、化学組成が重量%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:0.1 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50% Ti:0.01〜0.50%、 Zr:0.01〜0.50% V, Nb :一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなることを特徴とする複合
    ロール。
  4. 【請求項4】 耐摩耗鋳鉄材で形成された外層と、該外
    層の内周面に溶着された中間層と、該中間層の内周面に
    溶着された内層とからなり、且つ前記外層と中間層が遠
    心力鋳造されてなる複合ロールにおいて、 前記外層は、化学組成が重量%で、 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Ni:0.1 〜4.5 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜9.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 Al:0.01〜0.50%、 B :0.01〜0.50% V, Nb:一種又は二種の総計で3.0 〜10.0%、 および残部実質的にFeからなることを特徴とする複合
    ロール。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の
    外層の化学組成に、さらに、B:0.01〜0.50%を含有す
    ることを特徴とする複合ロール。
JP2000002903A 2000-01-01 2000-01-11 複合ロール Pending JP2000178675A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000002903A JP2000178675A (ja) 2000-01-01 2000-01-11 複合ロール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000002903A JP2000178675A (ja) 2000-01-01 2000-01-11 複合ロール

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34693091A Division JP3458356B2 (ja) 1991-12-27 1991-12-27 複合ロール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000178675A true JP2000178675A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18531943

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000002903A Pending JP2000178675A (ja) 2000-01-01 2000-01-11 複合ロール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000178675A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004114049A (ja) * 2002-09-24 2004-04-15 Hitachi Metals Ltd 圧延用ロール
JP2004183085A (ja) * 2002-12-06 2004-07-02 Hitachi Metals Ltd 圧延用ロール
CN102615106A (zh) * 2012-04-05 2012-08-01 常熟市轧辊厂限公司 一种含硼离心复合高速钢轧辊及其制备方法
CN104174832A (zh) * 2014-07-07 2014-12-03 宜昌船舶柴油机有限公司 耐磨磨辊铸造方法
CN104388813A (zh) * 2014-12-25 2015-03-04 常熟市瑞峰模具有限公司 试剂瓶生产用合金铸铁模具
CN105579157A (zh) * 2013-09-25 2016-05-11 日立金属株式会社 离心铸造制复合辊及其制造方法
WO2020203570A1 (ja) * 2019-04-03 2020-10-08 日鉄ロールズ株式会社 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
CN112609122A (zh) * 2020-11-30 2021-04-06 河北津西钢铁集团重工科技有限公司 一种无限冷硬复合轧辊及其铸造方法

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004114049A (ja) * 2002-09-24 2004-04-15 Hitachi Metals Ltd 圧延用ロール
JP2004183085A (ja) * 2002-12-06 2004-07-02 Hitachi Metals Ltd 圧延用ロール
CN102615106A (zh) * 2012-04-05 2012-08-01 常熟市轧辊厂限公司 一种含硼离心复合高速钢轧辊及其制备方法
KR102219332B1 (ko) * 2013-09-25 2021-02-22 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 원심 주조제 복합 롤 및 그 제조 방법
CN105579157A (zh) * 2013-09-25 2016-05-11 日立金属株式会社 离心铸造制复合辊及其制造方法
KR20160060061A (ko) * 2013-09-25 2016-05-27 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 원심 주조제 복합 롤 및 그 제조 방법
EP3050638A1 (en) * 2013-09-25 2016-08-03 Hitachi Metals, Ltd. Centrifugally cast composite roll and method for manufacturing same
EP3050638A4 (en) * 2013-09-25 2017-05-17 Hitachi Metals, Ltd. Centrifugally cast composite roll and method for manufacturing same
US9724740B2 (en) 2013-09-25 2017-08-08 Hitachi Metals, Ltd. Centrifugally cast composite roll and its production method
CN104174832A (zh) * 2014-07-07 2014-12-03 宜昌船舶柴油机有限公司 耐磨磨辊铸造方法
CN104388813A (zh) * 2014-12-25 2015-03-04 常熟市瑞峰模具有限公司 试剂瓶生产用合金铸铁模具
WO2020203570A1 (ja) * 2019-04-03 2020-10-08 日鉄ロールズ株式会社 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
TWI725801B (zh) * 2019-04-03 2021-04-21 日商日鐵羅絲股份有限公司 離心鑄造製輥軋用複合軋輥及其製造方法
KR20210130210A (ko) * 2019-04-03 2021-10-29 닛테츠 롤즈 가부시키가이샤 원심 주조제 압연용 복합 롤 및 그 제조 방법
JPWO2020203570A1 (ja) * 2019-04-03 2021-12-02 日鉄ロールズ株式会社 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
JP7048820B2 (ja) 2019-04-03 2022-04-05 日鉄ロールズ株式会社 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
KR102485793B1 (ko) * 2019-04-03 2023-01-05 닛테츠 롤즈 가부시키가이샤 원심 주조제 압연용 복합 롤 및 그 제조 방법
US11628481B2 (en) 2019-04-03 2023-04-18 Nippon Steel Rolls Corporation Centrifugally cast composite roll for rolling and method of manufacturing the same
CN112609122A (zh) * 2020-11-30 2021-04-06 河北津西钢铁集团重工科技有限公司 一种无限冷硬复合轧辊及其铸造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000160277A (ja) 複合ロール
KR20210040940A (ko) 압연용 원심 주조 복합 롤 및 그의 제조 방법
KR930012181B1 (ko) 압연로울용 복합로울
JP2000178675A (ja) 複合ロール
JPH09209073A (ja) H型鋼圧延ロール用複合スリーブ
JP2002088445A (ja) 複合ロール
JP2835259B2 (ja) 黒鉛を有するハイス系鋳鉄材及び複合ロール
JP3458357B2 (ja) 複合ロール
JPH08117965A (ja) 遠心鋳造製複合ロールの製造方法
JP3002313B2 (ja) 複合ロール
JP2635973B2 (ja) 高硬度黒鉛晶出高クロム複合ロール
JP3892141B2 (ja) 黒鉛と燐化鉄を有するハイス系鋳鉄材
JP2835260B2 (ja) 黒鉛を有するハイス系鋳鉄材及び複合ロール
JP3155398B2 (ja) 複合ロール
JP3582400B2 (ja) 耐事故性に優れた遠心鋳造製熱間圧延仕上後段スタンド用複合ロール
JP3358664B2 (ja) 複合ロール
JP3458356B2 (ja) 複合ロール
JP3407755B2 (ja) 複合ロール
JP3468797B2 (ja) 耐肌荒れ性に優れる外層を備えた複合ロール
JP2002088444A (ja) 複合ロール
JP2784114B2 (ja) 複合ロール
JPH1177118A (ja) H型鋼圧延用複合スリーブ
JP2974822B2 (ja) 遠心力鋳造複合ロール
JP2986236B2 (ja) 強靱な内層を備えた複合ロール
JPH05311316A (ja) 薄肉外層ロール