JP7062024B2 - 膜/電極接合体の製造方法、膜/電極接合体及び燃料電池 - Google Patents

膜/電極接合体の製造方法、膜/電極接合体及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、膜/電極接合体の製造方法、膜電/極接合体、及び燃料電池に関する。
高分子電解質膜と電極から構成された膜/電極接合体は、高分子電解質燃料電池の性能と耐久性に影響を与える核心部品である。このうち、高分子電解質膜は、テュポン社で製造したNafion(登録商標)膜、Solvay社のAquivion(登録商標)膜のようなペルフルオロ化高分子電解質膜が最も代表的に使われており、高価なペルフルオロ化高分子電解質膜を代替するための炭化水素高分子電解質膜を開発する研究も盛んに行われている。燃料電池が駆動される環境において、電解質膜は収縮と膨張を繰り返しながら物理的な劣化が発生し、空気極で発生する過酸化水素とヒドロキシラジカルによる化学的な劣化が発生する。このような電解質膜の劣化は、電極と電解質膜とを容易に分離して界面抵抗を増加させる。一方、膜/電極接合体を製造する方法により、Ptの溶解、凝集、移動、金属遮蔽及び金属酸化物の形成による電極の劣化が発生する。
膜/電極接合体を製造する工程において、電解質膜と電極との接着互換性を最も大きくし、電気抵抗を最小化するために、転写方式(いわゆる、テカル工程)の製造技術が幅広く用いられている。
最近、ゴア社で多層コーティング方式により膜/電極接合体を製造する新しい工程を開発した。しかし、これは、電極と電解質のコーティングステップごとに乾燥工程が求められるため、工程のラインが長くなり、クライアントのニーズに合わせた規格化された電極を適用し難い問題がある。
燃料電池の運転中に発生するヒドロキシラジカルによる高分子電解質膜の化学的な劣化は、MEA性能に主なイシューである。従来における熱間圧着転写法によるMEA接合法(いわゆる、テカル工程)は、低いガラスの転移温度を有するペルフルオロ系スルホン酸膜に焦点が合わせられた製造工程である。
特に、高いガラス転移温度を有するshort side chainのペルフルオロ化スルホン酸膜と芳香族炭化水素高分子を熱間圧着の転写法によりMEA製造したとき、さらに高い温度と圧力条件が求められ、完成された製品の界面安定性が低下してしまう。また、高い圧力の熱間転写方式は、薄膜の電解質膜に致命的な機械的欠陥を招くことになる。表面が丈夫な特性を有している強化複合膜もまたテカル工程でMEAを製造するとき界面安定性が低下する。このように製造されたMEAは、燃料電池運転中、電解質膜と電極との間の脱離現象が生じ、耐久性が低下し、性能を急減させるという恐れがある。最近、連続なコーティング方式で強化複合膜を含むMEAの製造工程が開発されたが、各コーティングステップごとに乾燥ステップが求められるため、工程のラインが長くなる恐れがあり、電極の大きさをクライアントのニーズに合わせて規格化し難い短所がある。
本発明は、上述した問題を解決するためのもので、膜/電極接合体の物理的かつ化学的な耐久性を向上させ、熱間圧着工程によって工程ラインの縮小及び工程の連続性が改善された、膜/電極接合体の製造方法を提供することにある。
本発明は、本発明による膜/電極接合体の製造方法を適用して、物理的かつ化学的な耐久性及び界面抵抗を最小化し、燃料電池の性能を改善させることのできる、膜/電極接合体を提供することにある。
本発明は、本発明による膜/電極接合体を含む燃料電池を提供することにある。
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどにより制限されることなく、言及されない他の課題は、下記の記載によって該当分野の当業者に明らかに理解できるものである。
本発明の一実施例により、電極層を備えるステップと、多孔性支持体層を備えるステップと、前記多孔性支持体の両面に各々電極層を位置させて熱間圧着するステップとを含み、前記電極層を備えるステップは、電極触媒層上の少なくとも一部に水素イオン伝導性バインダー樹脂を含む機能性層を形成するステップと、前記機能性層上の少なくとも一部に電解質層を形成するステップとを含む、膜/電極接合体の製造方法に関する。
本発明の一実施例により、前記機能性層は、酸化防止剤、ガス透過調節剤、又は、この2つを含む機能性添加剤をさらに含み、前記酸化防止剤は、セリウム(III)イオン、マンガン(III)イオン、セリウム酸化物(CeO)、マンガン酸化物(MnO)、及びセリウムナノ粒子からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含み、前記ガス透過調節剤は、金属担持炭素粒子を含み、前記金属は、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含む単一金属又は合金であり得る。
本発明の一実施例により、前記酸化防止剤:ガス透過調節剤の比率(モル%)は、1:0.01~1:20であり、前記水素イオン伝導性バインダー:前記酸化防止剤、ガス透過調節剤、又は、この2つの比率(モル%)は、1:0.001~1:0.2であり得る。
本発明の一実施例により、前記機能性層は、1μm~10μmの厚さを有し得る。
本発明の一実施例により、前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は、ペルフルオロ化系高分子、スルホン化された炭化水素系高分子、ベンゾイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテルエーテルケトン系高分子、及びポリフェニルキノキサリン系高分子からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含み得る。
本発明の一実施例により、前記機能性層上の少なくとも一部に電解質層を形成するステップは、水素イオン伝導性バインダー樹脂及び非水溶性溶媒を含む電解質層コーティング組成物を製造するステップと、前記機能性層上の少なくとも一部に前記コーティング組成物をコーティングするステップとを含み得る。
本発明の一実施例により、前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は前記電解質層コーティング組成物のうち1~40重量%として含まれ、前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は、前記機能性層の水素イオン伝導性バインダーと同一であるか又は異なり得る。
本発明の一実施例により、前記非水溶性溶媒は、炭素数4~20の1次アルコール、2次アルコール、及び3次アルコールからなる群で選択された少なくともいずれか1つを含み得る。
本発明の一実施例により、前記機能性層:前記電解質層の厚さ比は、1:0.5~1:10であり得る。
本発明の一実施例により、前記多孔性支持体層を備えるステップは、多孔性支持体に前処理組成物を含浸させ前処理するステップをさらに含み、前記前処理するステップは、前記前処理組成物内に1℃~80℃温度及び1分~60分の間に浸漬し得る。
本発明の一実施例により、前記前処理するステップは、第1前処理組成物内に前記多孔性支持体を浸漬した後乾燥するステップと、第2前処理組成物内に乾燥された多孔性支持体を浸漬するステップとを含み、前記前処理ステップ後に前記多孔性支持体は、前記第2前処理溶液によって湿潤化された状態又は半乾燥された状態であり得る。
本発明の一実施例により、前記第1前処理組成物は、有機溶媒を含み、前記第2前処理組成物は、水素イオン伝導性バインダー樹脂及び有機溶媒を含み得る。
本発明の一実施例により、前記第2前処理組成物のうち前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は0.5重量%~20重量%を含み得る。
本発明の一実施例により、前記第2前処理組成物は、含浸促進剤をさらに含み、前記含浸促進剤は、前記第2前処理組成物のうち0.01重量%~10重量%で含み、前記含浸促進剤は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤又はこの2つを含み得る。
本発明の一実施例により、前記有機溶媒は、炭素数1~20のアルコール、非プロトン性溶媒又はこの2つを含み、前記第2前処理組成物は、2種以上のアルコールの適用時に1つのアルコール:残りのアルコールの混合比(質量比)は、1:10~1:30であり得る。
本発明の一実施例により、前記第2前処理組成物は、アルコールを含む水系溶媒又は非プロトン性溶媒を含む非水系溶媒を含み得る。
本発明の一実施例により、前記熱間圧着するステップは、湿潤化状態又は半乾燥された状態の多孔性支持体の両面に各々電解質層が接するよう電極層を位置させ、熱間圧着し得る。
本発明の一実施例により、前記熱間圧着するステップは、100℃~200℃温度、1kgf/cm~100kgf/cmの圧力、及び1mm/sec~100mm/secの速度でロールラミネーションし得る。
本発明の一実施例により、多孔性支持体と、前記多孔性支持体の両面に位置する電極層とを含み、前記電極層は、電極触媒層と、前記電極触媒層上に機能性層と、及び前記機能性層上に電解質層とを含み、前記電解質層の少なくとも一部は、前記多孔性支持体の厚さ方向に含浸される膜/電極接合体に関する。
本発明の一実施例により、本発明による膜/電極接合体を含む燃料電池に関する。
本発明は、触媒層(電極)上に機能性層と電解質層を構成し、多孔性支持体で電解質層の浸透を最大化させることのできる電極層(又は、電極)と、緻密度の改善された多孔性支持体を用いる新しい熱間圧着工程により、物理的かつ化学的な耐久性と性能が改善された膜/電極接合体を提供することができる。
本発明は、膜/電極接合体の規格調節が容易で、連続工程によって工程ラインの縮小及び工程の効率を向上させて製造工程の経済性を改善させることができる。
本発明の一実施例により、本発明に係る膜/電極接合体の製造方法のフローチャートを示す。 本発明の一実施例により、本発明に係る膜/電極接合体の製造方法の工程を例示的で示す。 本発明の一実施例により、本発明の実施例及び比較例で製造された膜/電極接合体(MEA)の断面のSEMイメージを示す。 本発明の一実施例により、本発明の実施例及び比較例で製造された膜/電極接合体(MEA)の製造工程及び強化複合膜の種類に応じる性能を比較して示す。 本発明の一実施例により、本発明の実施例及び比較例で製造された膜/電極接合体(MEA)で機能性層の有無及び機能性層内の添加剤の有無による水素透過電流密度を比較して示す。 本発明の一実施例により、本発明の実施例及び比較例で製造された膜/電極接合体(MEA)で機能性層の有無及び機能性層内の添加剤の有無によるOCV変化及び湿式/乾式のサイクル回数を比較して示す。
以下、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。各図面に提示された同じ参照符号は同じ部材を示す。
以下で説明する実施形態には様々な変更が加えられ、特許出願の権利範囲がこのような実施形態によって制限されたり限定されたりすることはなく、これに対する全ての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解されなければならない。本明細書で用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。
本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
以下、本発明の膜/電極接合体の製造方法、膜/電極接合体及び燃料電池について、実施例及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明がこのような実施例及び図面に制限されることはない。
本発明は、膜/電極接合体の製造方法に関し、本発明の一実施例により、前記製造方法は、電極層を備えるステップS100と、多孔性支持体層を備えるステップS200と、熱間圧着するステップS300とを含む。以下、図1及び図2を参照してより具体的に説明する。
本発明の一実施例により、電極層を備えるステップS100は、電極触媒層の一面又は両面の少なくとも一部に機能性層及び電解質層が形成された電極層を形成するステップである。
本発明の一実施例により、図1及び図2を参照すると、電極層を備えるステップS100は、触媒層を形成するステップS110、機能性層を形成するステップS120、及び電解質層を形成するステップS130を含み、各ステップは連続工程で行われることができる。
触媒層を形成するステップS110は、基材、例えば、離型フィルム上に触媒コーティング組成物にコーティングして形成されるものであって、触媒コーティング組成物は、触媒物質及び溶媒を含み、水素イオン伝導性バインダー樹脂をさらに含んでもよい。
触媒物質は、本発明の技術分野において、燃料電池の電極に適用可能な触媒物質であれば、制限されることなく適用でき、例えば、金属-炭素担体触媒であってもよい。金属-炭素担体触媒において金属の例として、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)及び銅(Cu)からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含むことができるが、これに制限されることはない。
炭素担体は、多孔性であり、炭素(C)、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト(Graphite)、グラフェン(Graphene)、活性炭、多孔性炭素(Mesoporous Carbon)、炭素繊維(Carbon fiber)及び炭素ナノワイヤー(Carbon nano wire)からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含むことができるが、これに制限されることはない。
溶媒は、水、有機溶媒又はこの2つは10重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、又は、40重量%~90重量%を含み、水素イオン伝導性バインダー樹脂は、触媒コーティング組成物内に1重量%~10重量%として含まれ、水素イオン伝導性バインダー樹脂及び溶媒は、下記で具体的に説明する。
機能性層を形成するステップS120は、電極触媒層上の少なくとも一部に機能性層を形成することで、機能性層コーティング組成物を電極触媒層上にコーティングして膜を形成することができる。
機能性層コーティング組成物は、電極触媒層上にコーティング性と不溶解性を有し、電極触媒層上に簡単な工程でコーティングが円満に行われ、電極物質層内に浸透(又は、吸収)されないため、電極物質層の構造を保護する保護層の役割と、電解質層に対する接着補助層(adhesive supporting layer)としての役割を果たすことができる。また、電解質層は、電極層への浸透を最小化又はほとんど浸透されないため、多孔性支持体内に含浸が円満に行われ、電解質層と電極層との間の界面抵抗が最小化し、膜/電極接合体内で電解質層の均一な膜を形成することができる。
機能性層コーティング組成物は、水素イオン伝導性バインダー樹脂及び溶媒を含み、酸化防止剤、ガス透過調節剤、又は、この2つを含む機能性添加剤をさらに含んでもよい。すなわち、機能性層コーティング組成物は、電極に対するコーティング性と不溶解性を有する水素イオン伝導性バインダー樹脂溶液に機能性添加剤を混合し、コーティング工程を介して機能性層を形成することができる。
また、機能性層は、水素イオン伝導性バインダー樹脂を導入して電極層と電解質層との間の接触互換性を向上させ、膜/電極接合体の化学的及び物理的な耐久性と界面抵抗を最小化し、電解質層の多孔性支持体に浸透を最大化させるだけではなく、機能性添加剤により膜/電極接合体の性能及び機能を改善させることができる。
水素イオン伝導性バインダー樹脂の例として、ペルフルオロ化系高分子、スルホン化された炭化水素系高分子、ベンゾイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテルエーテルケトン系高分子、及びポリフェニルキノキサリン系高分子からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含んでもよく、好ましくは、低いガラス転移温度を有するペルフルオロ化系高分子であり得る。又は、水素イオン伝導性バインダー樹脂は、100℃~150℃のガラス転移温度の水素イオン導電性高分子を含んでもよい。
ペルフルオロ化系高分子の例として、化学式(1)に表示されるナフィオン(Nafion、DuPont社)、フレミオン(Flemion、Asahi Glass社)、アシプレックス(Asiplex、Asahi Chemical社)、ダウXUS(Dow XUS、Dow Chemical社)、アクイヴィオン(Aquivion、Solvay社)などであり、これらに制限されることはない。
Figure 0007062024000001

(m≧0(例えば、m=0~1)、n=1~5、x=1~14、y=200~1000である。)
スルホン化された炭化水素系高分子の例では、スルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン(S-PES)、スルホン化されたポリベンゾイミダゾール(S-PBI)、スルホン化されたポリエーテルケトン(S-PEEK)、ポリ(パラ)フェニレン(S-PP)、スルホン化されたポリイミド(S-PI)、スルホン化されたポリスルホン(S-PS)、下記の化学式(2)及び化学式(3)に表示されるスルホン化されたポリフェニルスルホンなどであるが、これらに制限されることはない。
Figure 0007062024000002

(RはH、K、Li、Na、Rb、Csのうち選択された無機カチオン性や又はN(アンモニウム)、P(ホスホニウム)、NNR(イミダゾリウム)、NH(ピリジニウム)、ピロリジニウム、及びスルホニウムのうち選択された有機カチオン性であり、XとYは各々5~50範囲内の数であり、nは、2~50の整数であり、R、R、R、R及びRは互いに同一であるか異なり、各々独立的にC1~C7の直鎖又は分枝アルキル基である。)
Figure 0007062024000003

(RはH、K、Li、Na、Rb、Csのうち選択された無機カチオン性や又はN(アンモニウム)、P(ホスホニウム)、NNR(イミダゾリウム)、NH(ピリジニウム)、ピロリジニウム、スルホニウムのうち選択された有機カチオン性であり、XとYは各々5~50範囲内の数であり、nは2~50の整数であり、R、R、R、R、及びRは互いに同一であるか異なり、各々独立的にC1~C7の直鎖又は分枝アルキル基である。)
水素イオン伝導性バインダー樹脂は、機能性層コーティング組成物のうち1重量%~20重量%、又は、1重量%~15重量%、又は、1重量%~10重量%として含まれ、範囲内に含まれれば、電極層の上部表面で電解質膜との接着力を向上させて電極層を保護しながら、電極層との界面抵抗を低減する役割を行うことから、好ましい。
水素イオン伝導性バインダー樹脂は、水系懸濁液又は有機樹脂溶液に適用され、水系懸濁液のうち、水素イオン伝導性バインダー樹脂は2重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、又は、30重量%以上を含んでもよい。また、機能性層コーティング組成物は、残量の水及び/又は有機溶媒を追加して水素イオン伝導性バインダー樹脂の分率を調節することができる。
溶媒は、非水溶性溶媒を含み、触媒層(電極)に対する優れたコーティング性と不溶解性を有する機能性コーティング組成物の形成を補助することができる。
非水溶性溶媒は、非水溶性アルコールであり、例えば、炭素数4~20の1次アルコール、2次アルコール及び3次アルコールからなる群で選択された少なくともいずれか1つを含んでもよい。より具体的に、非水溶性溶媒は、ブタン-1-オール(C4)、ペンタン-1-オール(C5)、ヘキサン-1-オール(C6)、ヘプタン-1-オール(C7)、オクタン-1-オール(C8)、ノナン-1-オール(C9)、デカン-1-オール(C10)のような1次アルコール、ブタン-2-オール(C4)ペンタン-2-オール(C5)、ヘキサン-2-オール(C6)、ヘプタン-2-オール(C7)、2-メチルブタン-1-オール(C5)、シクロヘキサノール(C6)のような2次アルコール、及び2-メチルプロパン-2-オール(C4)、2-メチルブタン-2-オール(C5)、2-メチルペンタン-2-オール(C6)、2-メチルヘキサン-2-オール(C7)、2-メチルヘプタン-2-オール(C8)、3-メチルペンタン-3-オール(C6)、3-メチルオクタン-3-オール(C9)のような3次アルコールからなる群で選択されたいずれか1つを含んでもよい。
非水溶性溶媒は、機能性層コーティング組成物のうち、1重量%~10重量%、又は、2重量%~5重量%として含まれ、溶媒の含量範囲内に含まれれば、電極層の上部表面に対するコーティング性を実現できるため、好ましい。
機能性添加剤のうち、酸化防止剤は、セリウム(III)イオン、マンガン(III)イオンのような金属イオン、セリウム酸化物(CeO)、マンガン酸化物(MnO)のような金属酸化物、及びセリウムナノ粒子からなる群で選択された少なくとも1つ以上を含んでもよい。酸化防止剤は、水素イオン伝導性バインダー樹脂のイオン性官能基、例えば、スルホン酸基の濃度を基準として0.5モル%~10モル%として含まれてもよい。
機能性添加剤のうち、ガス透過調節剤は、ガス透過の低減剤を含んでもよい。ガス透過低減剤は、金属担持炭素粒子であり、金属は、白金(Pt)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)からなる群で選択された少なくとも1つ以上を含む金属、合金及び/又は金属炭化物である。例えば、単一金属として、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、二重金属合金として鉄-コバルト(FeCo)、三重金属合金として鉄-スズ-銅(FeSnCu)、金属炭化物としてタングステン-カーバイド(WC)などであり得る。
ガス透過低減剤は、水素イオン伝導性バインダー樹脂のイオン性官能基、例えば、スルホン酸基の濃度を基準として、0.1モル%~10モル%、0.1モル%~5モル%、又は、0.1モル%~3モル%として含まれてもよい。範囲内に含まれれば、燃料電池運転中に発生する水素ガスの透過を抑制することができるため、好ましい。
酸化防止剤:ガス透過調節剤の比率(モル%)は、1:0.01~1:20、1:0.01~1:10、1:0.1~1:10、又は、1:0.1~1:5であり得る。
水素イオン伝導性バインダー樹脂:酸化防止剤、ガス透過調節剤、又は、この2つの比率(モル%)は、1:0.001~1:0.2、又は、1:0.01~1:0.1であり得る。この範囲内に含まれれば、水素イオン伝導性バインダー樹脂と機能性添加剤との混合が円満に行われ、薄くて均一な機能性層を形成し、機能性添加剤による膜/電極接合体の性能及び機能の改善と電解質層による触媒層への浸透を防止することができる。
機能性層は、1μm~10μm、又は、1μm~5μmの厚さで形成される。この厚さの範囲内に含まれれば界面抵抗を最小化させ、厚さ増加による膜/電極接合体の耐久性低下及び燃料電池の性能低下を防止することができる。
電解質層を形成するステップS130は、機能性層上の少なくとも一部に電解質層コーティング組成物を用いて機能上層上に電解質膜を形成することで、電解質膜は機能性層上に形成され、熱間圧着工程で電極層の損傷を最小化することができ、多孔性支持体内への浸透を容易に行うことができる。
電解質層コーティング組成物は、水素イオン伝導性バインダー樹脂及び非水溶性溶媒を含んでもよい。電解質層コーティング組成物において、水素イオン伝導性バインダー樹脂は、機能性層で言及した通りであり、成分及び/又は含量は、機能性コーティング組成物と同一であるか、又は互いに異なってもよい。また、電解質層コーティング組成物は、多孔性支持体内に浸透させる純粋電解質層を形成することができる。
水素イオン伝導性バインダー樹脂は、電解質層コーティング組成物のうち、1重量%~40重量%、5重量%~40重量%、又は、1重量%~30重量%として含まれてもよい。水素イオン伝導性バインダー樹脂は、水系懸濁液に適用され、水系懸濁液のうち、アイオノマーは2重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、又は、30重量%以上に含まれてもよい。
また、電解質層コーティング組成物は、残量の水及び/又は有機溶媒を追加して水素イオン伝導性バインダー樹脂の分率を調節することができる。
溶媒は、機能性層で言及した非水溶性溶媒であり、電解質層コーティング組成物のうち1重量%~20重量%、又は、2重量%~10重量%として含まれてもよい。この含量範囲内に含まれれば、多孔性支持体内への含浸率と膜/電極接合体と多孔性支持体との間の接着力を向上させ、純粋電解質成分からなる電解質膜を温和な条件で形成することができる。
電解質層は、機能性層よりも厚く形成され、多孔性支持体内に浸透と膜/電極接合体の接着力、耐久性などを考慮して、1μm超過及び30μm以下、5μm~15μm、又は、8μm~10umの厚さで形成される。この厚さの範囲内に含まれれば、多孔性支持体内に電解質層の含浸を増加させ、厚さ増加による膜/電極接合体の耐久性の低下及び燃料電池の性能低下を防止することができる。好ましくは、機能性層:電解質層の厚さ比は、1:0.5~1:10である。
電極層を形成するステップS100において、コーティングは、ディープコーティング、スピンコーティング、噴射コーティング、ドクターブレード、スロットダイコーティング、バーコーティング、溶液キャスティングなどを用いて形成してもよい。電極層を形成するステップS100は、各コーティングステップの後に乾燥ステップを加え、乾燥は30℃~200℃の温度で熱風、加熱、真空、光などを用いることができる。
本発明の一実施例により、多孔性支持体層を備えるステップS200は、膜/電極接合体の構成として燃料電池に適用可能なイオン交換膜を備えるステップであり、好ましくは、水素イオン伝導性バインダー樹脂溶液で前処理して多孔性支持体内に水素イオン伝導性バインダー樹脂が含浸された強化複合膜を形成することができる。
図1及び図2を参照すると、多孔性支持体層を備えるステップS200は、多孔性支持体に前処理組成物を含浸させて前処理するステップS210(pre-wetting)を含む。
前処理するステップS210は、前処理組成物のうち多孔性支持体を常温以上、又は、30℃~100℃温度及び1分以上、又は、10分~10時間の間に浸漬してもよい。このような温度及び時間を調節し、前処理溶液の含浸程度に応じる湿潤化された状態又は半乾燥された状態の多孔性支持体を形成することができる。前処理組成物は、溶液、スラリー、エマルジョン、コロイダルなどの状態であり得る。
前処理するステップS210は、第1前処理ステップS211及び第2前処理ステップS212を含み、例えば、第1前処理組成物内に多孔性支持体を浸漬してから乾燥し、次に、第2前処理組成物内に乾燥された多孔性支持体を浸漬する工程を進む。
第1前処理ステップS211は、第1前処理組成物内に多孔性支持体を浸漬した後乾燥するものであって、第1前処理組成物は有機溶媒を含み、第1前処理組成物内に浸漬した後、真空乾燥方式により乾燥して不純物を除去することができる。
第2前処理ステップS212は、第2前処理組成物内に第1前処理ステップS211を経た乾燥された多孔性支持体を浸漬し、第2前処理溶液により湿潤化された状態又は半乾燥された状態である多孔性支持体を形成することができる。
半乾燥された状態は、多孔性支持体の全体体積のうち50%以上、又は、70%以上の第2前処理溶液が含浸された後、乾燥を介して50%未満、40%以下の溶媒が残存するものである。また、湿潤化された状態は、多孔性支持体の全体体積のうち50%以上、又は、70%以上の第2前処理溶液が含浸されたものである。
第2前処理組成物は、水素イオン伝導性バインダー樹脂、及び有機溶媒を含み、水素イオン伝導性バインダー樹脂は、0.5重量%~20重量%として含まれてもよい。
水素イオン伝導性バインダー樹脂の含量は、水、有機溶媒又はこれらの2つを添加して含量を調節することができる。水素イオン伝導性バインダー樹脂は、機能性層で言及した通りである。
有機溶媒は、水系及び/又は非水系有機溶媒を含み、有機溶媒は、非プロトン性溶媒、アルコール又はこの2つを含んでもよい。有機溶媒は、第2前処理組成物のうち2重量%以上、2重量%~70重量%、又は、20重量%~60重量%として含まれてもよい。
水素イオン伝導性バインダー懸濁液:アルコールの質量比は1:0.1~1:5、1:0.2~1:2、又は、1:1であってもよい。
有機溶媒は、2つ以上を適用するとき1つの有機溶媒:残りの溶媒は1:10~1:30、1:20~1:30、又は、1:25であってもよい。例えば、エタノール:2-プロパノールは1:20~1:25であってもよい。
アルコールの例では、炭素数1~20の1次、2次及び/又は3次アルコールを含み、例えば、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2オールのような1価アルコール、又はエチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、ジプロピレングリコール(dipropylene glycol)、テトラメチレングリコール(tetramethylene glycol)、ペンタメチレングリコール(Pentamethylene glycol)のような2価アルコール、又はグリセロール(glycerol)のような3価アルコールからなる群で選択された少なくとも1つを含んでもよい。
非プロトン性溶媒の例として、1-メチル-2-ピロリジノン(1-methyl-2-pyrrolidinone、NMP)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide、DMAc)、N、N-ジメチルアセトアミド(N、N-dimethylacetamide、DMA)、N、N-ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide、DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(Hexamethylphosphoramide、HMPA)、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(1、3-Dimethyl-2-imidazolidinone、DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、グリセロール、トルエン、酢酸、アセトン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン、メチルエチルケトン、ベンゼン、エチルベンゼン及びキシレンからなる群で選択された少なくともいずれか1つを含むことができるが、これに制限されることはない。
含浸促進剤をさらに含み、第2前処理組成物のうち0.01重量%~10重量%、0.1重量%~5重量%、又は、0.2重量%~1重量%として含まれてもよい。含浸促進剤は、2-(ペルフルオロヘキシル)エタノール(2-(Perfluorohexyl)ethanol)、3-(ペルフルオロブチル)プロパノール(3-(Perfluorobutyl)propanol)、ペルフルオロオクタノール(Perfluoro octanol)、Triton X-100、TWEEN80、及びBrijTM-35のような非イオン性界面活性剤又はセトリモニウムブロミド(Cetrimonium bromide)とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Sodium dodecyl benzene sulfonate)のようなイオン性界面活性剤のうち少なくともいずれか1つを含むことができるが、これに制限されることはない。
多孔性支持体は、燃料電池に適用可能な多孔性支持体であれば、制限されることなく使用され、好ましくは、ポリスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリピロロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリホスファゼ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、セルロース及びナイロンからなる群で選択された少なくともいずれか1つを含み、さらに好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエチレン(PE)であってもよい。加えて、イオン交換膜として用いられる高分子をさらに含んでもよく、その例として、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレンサクシネート(PESc)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルケトン(PEK)及びポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含むことができるが、これに制限されることはない。
本発明の一実施例により、熱間圧着するステップS300は、図2を参照すると、前処理された多孔性支持体の両面に各々電極層を位置させて前処理された多孔性支持体が電極層間に挿入された状態で熱間圧着(又は、ロールラミネーション)と、離型フィルムを除去して連続工程で膜/電極接合体を形成することができる。
電極層は、前処理された多孔性支持体と電極層の電解質層が接するように配置され、多孔性支持体についてはステップS200で説明されたように、湿潤化状態又は半乾燥された状態である。
最終的に、膜/電極接合体は電極層110、110´(各々正極及び負極)、機能性層120、120´及び電解質層130、130´の少なくとも一部が含浸された多孔性支持体層200を含む。機能性層120及び機能性層120´は互いに同一であるか又は異なり、電解質層130及び電解質層130´は互いに同一であるか又は異なってもよい。製造工程、成分、又はこの両方が同一であるか又は異なってもよい。
熱間圧着するステップS300は、言及した機能性層と電解質層を含む電極層と前処理された多孔性支持体を用いて熱間圧着のロールラミネーションすることで、多孔性支持体内に電解質含浸性及び膜の緻密度が向上し、物理的かつ化学的な耐久性及び性能の向上した高分子電解質燃料電池の核心部品である膜/電極接合体(Membrane electrode assembly、MEA)を提供することができる。
熱間圧着するステップS300は、100℃~200℃温度、1kgf/cm~100kgf/cm圧力、1mm/sec~100mm/sec速度のうち少なくとも1つの条件でロールラミネーションしてもよい。
本発明は、膜/電極接合体に関し、膜/電極接合体は、多孔性支持体、多孔性支持体の両面に位置する電極層を含み、電極層は、電極触媒層、電極触媒層上に機能性層、及び機能性層上に電解質層を含んでもよい。
電解質層の少なくとも一部は、多孔性支持体の厚さ方向に含浸されることで、電解質層の全体厚さのうち1%以上、5%以上、10%以上、1%~20%、又は、1%~50%、又は、1%~70%が多孔性支持体の厚さ方向に含浸され、電解質層は、電極触媒層で浸透しないものである。膜/電極接合内で機能性層は、1μm~10μmの厚さで形成されてもよい。
膜/電極接合体の触媒担持量、例えば、白金などのような触媒金属担持量は0.2mg/cm以上であり得る。
本発明は、本発明による膜/電極接合体を含む燃料電池を提供することができ、例えば、高分子電解質燃料電池であり得る。高分子燃料電池は、単位電池、スタックなどであってもよく、本発明の技術分野で適用される構成を含み、具体的には言及しない。
以下、実施例及び比較例に参照して本発明をより詳しくは説明する。但し、下記の実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の内容が下記の実施例に限定されることはない。
実施例1:ペルフルオロ化系の強化複合膜を含むMEA製造-アルコール系支持体の前処理溶液
<機能性層コーティング電極の製造>
下記の表1の構成により、炭素に担持された白金触媒(Pt/C)、非プロトン性溶媒(N-Methyl-2-pyrrolidone、NMP)基盤の水素イオン伝導性バインダであるアクイヴィオン樹脂(Aquivion D83)を含む溶液を使用する触媒層コーティング組成物を製造した。アクイヴィオンのイオノモの含量は全体固形物を基準として35wt%である。
Figure 0007062024000004
水素イオン伝導性バインダーであるアクイヴィオン樹脂(Aquivion D83)の懸濁液(76重量%物含量)にヘキサン-1-オールアルコールを5重量%を添加し、高分子のスルホン酸基濃度を基準として、セリウム(III)イオン(酸化防止剤)は2.5モル%、白金担持炭素粒子(ガス透過低減剤)は1モル%添加し、水を追加して10重量%機能性層コーティング組成物を製造した。触媒層コーティング組成物をドクターブレード方式で離型紙に一定の厚さでコーティングし、機能性層コーティング組成物を同じ方式で触媒層上にコーティングした。触媒層及びアイオノマー厚さは各々10μm及び3μmである。
<機能性層コーティング電極上段に電解質層の形成>
水素イオン伝導性バインダーであるアクイヴィオン樹脂(Aquivion D83)の懸濁液(76重量%物含量)にヘキサン-1-オールアルコールを5重量%添加し、水を追加して10重量%電解質層コーティング組成物を製造した。電解質層は、ドクターブレード方式で機能性層上にコーティングした。電解質層の厚さは10μmである。
<ポリテトラフルオロエチレン多孔性支持体の前処理>
多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)支持体をエタノールに30分間浸漬した後、50℃で真空乾燥して気孔内部の不純物を除去した。
アクイヴィオン樹脂(Aquivion D83)の懸濁液(76重量%物含量)にエタノール及び2-プロパノールを46%重量比(混合比=1:22)で添加し、0.4重量%の2-(ペルフルオロヘキシル)エタノール(2-(Perfluorohexyl)ethanol)を含浸促進剤として添加した後、水を追加して2重量%アルコール系溶液組成物を製造した。製造された溶液組成物にポリテトラフルオロエチレン支持体を10分間浸漬して湿潤化させた。
<膜/電極接合体の製造>
機能性層がコーティングされた電極を上段と下段のロールに配置し、前処理された多孔性支持体が中間に挿入されるようロールを配置した後、同時にロールラミネーション(熱間圧着)されて膜/電極接合体を製造した。ロールラミネーションは、120℃温度及び10kgf/cmの圧力で1mm/sec速度で実行された。
実施例2:ペルフルオロ化系の強化複合膜を含むMEA製造-非水系支持体の前処理溶液
<ポリテトラフルオロエチレン多孔性支持体の前処理>
多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)支持体をエタノールに30分間浸漬した後50℃で真空乾燥して気孔内部の不純物を除去した。
アクイヴィオン樹脂(Aquivion D83)の懸濁液(76重量%物含量)の溶媒を非プロトン性溶媒(N-Methyl-2-pyrrolidone、NMP)に置換した後、0.4重量%の2-(ペルフルオロヘキシル)エタノール(2-(Perfluorohexyl)ethanol)を含浸促進剤として添加し、2重量%非水系の溶液組成物を製造した。製造された溶液組成物にポリテトラフルオロエチレン支持体を10分間浸漬して湿潤化させた。
<膜/電極接合体の製造>
実施例1の機能性層がコーティングされた電極と製造された非水系アクイヴィオン溶液で前処理された多孔性支持体を用いて、実施例1と同じ条件のロールラミネーション工程を介してMEAを製造した。
実施例3:炭化水素系強化複合膜を含むMEA製造-非水系支持体の前処理溶液
<ポリエチレン多孔性支持体の前処理>
多孔性ポリエチレン(PE)支持体をエタノールに30分間浸漬した後50℃で真空乾燥して気孔内部の不純物を除去した。
常用炭化水素高分子(Sulfonated poly(arylene ether sulfone、SPES50、スルホン化も50%)を非プロトン性溶媒(N-Methyl-2-pyrrolidone、NMP)に溶解し、0.4重量%の2-(ペルフルオロヘキシル)エタノール(2-(Perfluorohexyl)ethanol)を含浸促進剤として添加し、2重量%溶液組成物を製造した。製造された溶液組成物にポリテトラフルオロエチレン支持体を10分間浸漬して湿潤化させた。
<膜/電極接合体の製造>
実施例1の機能性層がコーティングされた電極と炭化水素高分子(Sulfonated poly(arylene ether sulfone、SPES 50、スルホン化も50%)溶液で前処理された多孔性支持体を用いて、実施例1と同じ条件のロールラミネーション工程を介してMEAを製造した。
比較例1:テカル工程で強化複合膜を含むMEA製造
<ペルフルオロ化強化複合膜の製造>
ペルフルオロ化強化複合膜は、多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)支持体の内部容積を水素イオン伝導性ペルフルオロ化高分子(Aquivion D83)に含浸させ製造した。強化複合膜の厚さは27μmである。
<膜/電極接合体の製造>
機能性層がコーティングされていない電極と製造された強化複合膜を用いて従来におけるテカル工程を介してMEAを製造した。
テカル工程を用いたMEA製造は、120℃、40kgf/cmの条件で高分子電解質膜に触媒層を転写して取得した。このように製造されたMEAの白金担持量は、概略0.25mg/cm前後で保持された。
比較例2:添加剤がない機能性層コーティング電極を用いたMEA製造
<機能性層コーティング電極の製造>
実施例1の機能性層コーティング組成物でセリウム(III)イオン(酸化防止剤)と白金担持炭素粒子(ガス透過低減剤)の2種添加剤を除いて、ヘキサン-1-オールアルコールを5重量%添加し、水を追加して10重量%の機能性層コーティング組成物を製造した。
実施例1と同じ方式で、2種の添加剤が除外された機能性層コーティング組成物を触媒層上にコーティングした。触媒層及びアイオノマー厚さは各々10μm及び3μmである。
<膜/電極接合体の製造>
実施例1と同じ条件のロールラミネーション(熱間圧着)工程を介してMEAを製造した。
比較例3:非水系電解質組成物がコーティングされた電極を用いるMEA製造
<電解質コーティング電極の製造>
アクイヴィオン樹脂(Aquivion D83)の懸濁液(76重量%物含量)の溶媒をNMPに置換させ、10重量%電解質層のコーティング組成物を製造してドクターブレード方式で電極の上にコーティングした。
<膜/電極接合体の製造>
実施例1と同じ条件のロールラミネーション(熱間圧着)工程を介してMEAを製造した。
比較例4:非前処理多孔性支持体を用いたMEA製造
<膜電極接合体の製造>
実施例1の機能性層がコーティングされた電極と前処理されていない多孔性支持体を用いて、実施例1と同じ条件のロールラミネーション工程を介してMEAを製造した。
結果
(1)走査電子顕微鏡の試験分析
(機能性層による電解質浸透防止の改善)
機能性層の導入することで電解質が電極に浸透することを防止するのかを確認するために、実施例1と比較例3によって製造されたMEAの膜/電極界面を走査電子顕微鏡で確認し、これについて図3に比較して示した。実施例1は、膜と電極が均一な厚さで積層された構造を形成していると見られるが、比較例3は、電解質が電極に浸透して電極の厚さが不均一であることが見られる。
(多孔性支持体の前処理による電解質含浸率の改善)
多孔性支持体の前処理によって電解質の含浸率が向上するのかを確認するために、実施例1と比較例4によって製造されたMEAの膜/電極界面を走査電子顕微鏡で確認した(図3)。実施例1は、電解質が多孔性支持体の中に含浸されて試料が切断された断面を確認できるが、比較例4は、電解質が多孔性支持体で十分に含浸されることができず、試料の切断時に支持体が二階に裂けて分離されている形状が見られる。
(2)MEA単位セルの性能評価
(製造工程及び強化複合膜の種類に応じる性能評価)
実施例1、2と3及び比較例1によって製造したMEAの単位セル性能を評価し、製造工程と強化複合膜の種類に応じる性能を図4に比較した。比較例1は、0.6Vで電流密度は717mA/cmであったが、実施例1は、1274mA/cmで電流密度が向上されてロールラミネーション(熱間圧着)工程がテカル工程よりもMEAの性能改善により有効であることが確認された。また、多孔性支持体は、アルコール系溶液によって前処理された実施例1(1274mA/cm)よりも非水系溶液によって前処理された実施例2(1118mA/cm)の性能が多少低いものと確認されたが、類似の水準であると判断される。
一方、実施例1と実施例3は同じロールラミネーション(熱間圧着)工程で製造されたが強化複合膜の種類に応じて性能が互いに相違であることを見せている。実施例3の炭化水素系強化膜を含むMEAは、0.6Vで1017mA/cmで実施例1のペルフルオロ系強化膜を含むMEAの性能よりも多少低く確認されたが、これも類似の水準であると判断される。
(3)機能性層によるガス透過低減効果の確認
機能性層によるガス透過低減効果は、水素透過電流密度(crossover current density)を介して確認された。ここで、実施例1と比較例1、2によって製造されたMEAの水素透過度の測定結果を図5に比較した。比較例1と比較例2の水素透過電流密度は、0.4Vで1.8mA/cmと同一であったが、実施例1は1.4mA/cm減少した。これにより、水素透過電流密度の減少で機能成層内の分散したガス透過調節剤の効果が検証された。
(4)機能性層による物理的かつ化学的な耐久性改善の効果
機能性層による酸化防止効果は、DOE(U.S.Department of Energy)によって提案された物理的及び化学的な加速劣化試験プロトコル、個回路電圧と結合された湿式/乾式サイクリング試験(OCV combined wet-dry cycling test)を介して評価された。個回路電圧と結合された湿式/乾式サイクリング試験は、90℃で相対湿度0%RH(30秒)/100%RH(45秒)を一サイクル条件で水素燃料及び空気を供給する条件で実行された。
実施例1と比較例1、2によって製造されたMEAの時間によるOCV変化及びサイクル回数の測定結果を図6に比較した。機能性層のない比較例1は、1、000サイクル以後の性能が急激に減少して終了し、OCVは21時間の間に保持された。一方、酸化防止剤とガス透過調節剤の添加剤を含んでいない機能性層のある比較例2は、3、000サイクル後に終了し、OCVは64時間の間に保持され、ある程度の耐久性を改善する効果があった。これとは対照的に、2種の添加剤を含む機能性層のある実施例1は、相対的にOCVを118時間の間に安定的に保持しながら、5、800サイクルを繰り返した。比較例1と比較例2のOCVは各々6.2mV/hと3.0mV/hの速度で電圧が減少したが、実施例1は、1.6mV/h速度でもっと徐々にOCVが減少した。このような結果は、酸化防止剤を含有している機能性層の導入が高分子燃料電池の化学的な耐久性を改善し、電極と電解質膜との間の界面安定性が向上され、機械的な耐久性を大きく改善したことを示唆する。
上述したように実施例が例示の限定された実施例と図面によって説明されたが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって置換されても、適切な結果を達成することができる。したがって、本発明の範囲は、開示された実施例に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。

Claims (18)

  1. 電極層を備えるステップと、
    多孔性支持体層を備えるステップと、
    前記多孔性支持体の両面に各々電極層を位置させて熱間圧着するステップと、
    を含み、
    前記電極層を備えるステップは、電極触媒層上の少なくとも一部に水素イオン伝導性バインダー樹脂を含む機能性層を形成するステップと、前記機能性層上の少なくとも一部に電解質層を形成するステップと、
    を含み、
    前記機能性層は、酸化防止剤ガス透過調節剤とを含む機能性添加剤をさらに含み、
    前記酸化防止剤は、セリウム(III)イオン、マンガン(III)イオン、セリウム酸化物(CeO)、マンガン酸化物(MnO)、及びセリウムナノ粒子からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含み、
    前記ガス透過調節剤は、金属担持炭素粒子を含み、前記金属は、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含む単一金属又は合金であり、
    前記電解質層は前記機能性層よりも厚く形成され、
    前記電解質層は前記熱間圧着するステップにて前記多孔性支持体に浸透し、
    前記多孔性支持体層を備えるステップは、前記多孔性支持体に前処理組成物を含浸させ前処理するステップをさらに含み、
    前記電解質層は水素イオン伝導性バインダー樹脂を含み、
    前記酸化防止剤:前記ガス透過調節剤の比率(モル%)は、1:0.01~1:20であり、
    前記水素イオン伝導性バインダー:前記酸化防止剤及び前記ガス透過調節剤の比率(モル%)は、1:0.001~1:0.2である
    膜/電極接合体の製造方法。
  2. 前記機能性層は、1μm~10μmの厚さを有する、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  3. 前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は、ペルフルオロ化系高分子、スルホン化された炭化水素系高分子、ベンゾイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテルエーテルケトン系高分子、及びポリフェニルキノキサリン系高分子からなる群で選択された少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  4. 前記機能性層上の少なくとも一部に電解質層を形成するステップは、
    水素イオン伝導性バインダー樹脂及び非水溶性溶媒を含む電解質層コーティング組成物を製造するステップと、
    前記機能性層上の少なくとも一部に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、
    を含む、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  5. 前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は前記電解質層コーティング組成物のうち1~40重量%として含まれ、前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は、前記機能性層の水素イオン伝導性バインダーと同一であるか又は異なる、請求項に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  6. 前記非水溶性溶媒は、炭素数4~20の1次アルコール、2次アルコール、及び3次アルコールからなる群で選択された少なくともいずれか1つを含む、請求項に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  7. 前記機能性層:前記電解質層の厚さ比は、1:X(1<X≦10)である、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  8. 前記前処理するステップは、前記前処理組成物内に1℃~80℃温度及び1分~60分の間に浸漬し、
    前記前処理組成物は、有機溶媒を含むか、又は水素イオン伝導性バインダー樹脂及び有機溶媒の双方を含む、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  9. 前記前処理するステップは、
    第1前処理組成物内に前記多孔性支持体を浸漬した後乾燥するステップと、
    第2前処理組成物内に乾燥された多孔性支持体を浸漬するステップと、を含み、
    前記前処理ステップ後に前記多孔性支持体は、前記第2前処理溶液によって湿潤化された状態又は半乾燥された状態である、請求項に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  10. 前記第1前処理組成物は、有機溶媒を含み、
    前記第2前処理組成物は、水素イオン伝導性バインダー樹脂及び有機溶媒を含む、請求項に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  11. 前記第2前処理組成物のうち前記水素イオン伝導性バインダー樹脂は0.5重量%~20重量%を含む、請求項に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  12. 前記第2前処理組成物は、含浸促進剤をさらに含み、
    前記含浸促進剤は、前記第2前処理組成物のうち0.01重量%~10重量%で含み、
    前記含浸促進剤は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤又はこの2つを含む、請求項に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  13. 前記有機溶媒は、炭素数1~20のアルコール、非プロトン性溶媒又はこの2つを含み、
    前記第2前処理組成物は、2種以上のアルコールの適用時に1つのアルコール:残りのアルコールの混合比(質量比)は、1:10~1:30である、請求項10に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  14. 前記第2前処理組成物は、アルコールを含む水系溶媒又は非プロトン性溶媒を含む非水系溶媒を含む、請求項10に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  15. 前記熱間圧着するステップは、湿潤化状態又は半乾燥された状態の多孔性支持体の両面に各々電解質層が接するよう電極層を位置させ、熱間圧着する、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  16. 前記熱間圧着するステップは、100℃~200℃温度、1kgf/cm~100kgf/cmの圧力、及び1mm/sec~100mm/secの速度でロールラミネーションする、請求項1に記載の膜/電極接合体の製造方法。
  17. 多孔性支持体と、
    前記多孔性支持体の両面に位置する電極層と、を含み、
    前記電極層は、電極触媒層と、前記電極触媒層上に機能性層と、前記機能性層上に電解質層と、を含み、
    前記電解質層の少なくとも一部は、前記多孔性支持体の厚さ方向に含浸される、請求項1の方法で製造された、膜/電極接合体。
  18. 請求項17に記載の膜/電極接合体を含む、燃料電池。
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