JP7057853B1 - 段ボールシート用打ち抜き型と、破断線、ミシン目、ジッパー及び折り曲げ罫線の少なくとも1つが形成された段ボールシート、及びその段ボールシートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
段ボールシートを打ち抜いたり、罫入れを施したりする場合、打ち抜き型に取付けられた打ち抜き刃を段ボールシートに直接押し付けると、その押し付け部位に局部的な伸びが生じ、段ボールシートに割れが生じやすくなる。このような割れは、段ボールシートにミシン目を入れたり、ジッパーを形成したりする場合にも同様に生じる。
[1]段ボールシートに破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成するための打ち抜き型であって、前記打ち抜き型は、前記破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成するための打ち抜き刃を有すると共に、この打ち抜き刃の近傍に弾性体が連続的に又は断続的に配され、前記弾性体が前記段ボールシートと接触した状態から、前記打ち抜き刃が前記段ボールシートの一方又は両方のライナを打ち抜くまでに、前記打ち抜き刃が移動した距離をXとし、前記弾性体について、Xに相当する分の厚みを圧縮したときの前記弾性体の平面圧縮強さをY(kPa)、前記段ボールシートの平面圧縮強さをZ(kPa)としたとき、YはZ以下であることを特徴とする段ボールシート用打ち抜き型。
[3]前記打ち抜き型が回転する場合において、前記打ち抜き刃と、その打ち抜き刃の回転方向の近傍に設置される弾性体との距離は、10mm以下であることを特徴とする[1]又は2に記載の段ボールシート用打ち抜き型。
[4][1]~[3]のいずれか1項に記載の段ボールシート用打ち抜き型によって、破断線、ミシン目、ジッパー及び折り曲げ罫線の少なくとも1つが形成された段ボールシート。
[5][1]~[3]のいずれか1項に記載の段ボールシート用打ち抜き型を段ボールシートに載せ、前記段ボールシート用打ち抜き型の打ち抜き刃及び弾性体を前記段ボールシートに押し付けることにより、破断線、ミシン目、ジッパー及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成する段ボールシートの製造方法。
本発明は、段ボールシートに破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成するための段ボールシートの打ち抜き型(以下、単に「打ち抜き型」と称することがある。)に係る発明である。破断線、ミシン目若しくはジッパーを形成させる場合は、段ボールシートの両方のライナが打ち抜かれる。また、折り曲げ罫線を形成させる場合は、段ボールシートの一方のライナと中芯が押し潰される。
この打ち抜き型は、板状体や円柱状体、円筒状体等の基材の外面に、打ち抜き刃、及び弾性体を配した型である。この打ち抜き型について、図1に示す基材として円筒状体を用いた型を用いて説明する。
前記打ち抜き刃13は、ミシン目、ジッパー、折り曲げ罫線等を形成させるため、図2に示すように、所定長さの刃が一定間隔で並んで配置された形状を有する。この刃の長さ(b)とツナギの長さ(g)との関係は、b/gで0.5以上5.0以下がよい。b/gが小さすぎると、段ボールシートに入った切れ込み部が、切れ込み部と隣の切れ込み部との間の距離に比べて短すぎるため、ミシン目、ジッパー等で切り離すことが困難となったり、折り曲げ罫線から確実に折り曲げることが困難となったりするおそれがある。一方、b/gが大きすぎると、段ボールシートに入った切れ込み部が繋がってしまい、意図せずに、ミシン目、ジッパー等から切り離しが生じたり、折り曲げ罫線が形成されたライナのめくれが生じたりするおそれがある。
前記の刃の長さ(b)の具体的な値としては、1.5mm以上15.0mm以下が好ましく、ツナギの長さ(g)の具体的な値としては、1.2mm以上3.0mm以下が好ましい。
前記の弾性体14は、段ボールシートを押さえ、前記打ち抜き刃13で段ボールシートを打ち抜く際に割れが生じるのを防止し、打ち抜き後に前記打ち抜き刃13が段ボールシートから離れることを補助するために用いられる材である。この弾性体14の材質としては、弾力性を有するものがよく、ゴム類があげられる。この具体例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等があげられる。
前記弾性体14は、図1からも明らかなように、打ち抜き刃13の側面の近傍に設けられる。また、図3に示すように、打ち抜き刃13は曲がって形成される場合が多い。打ち抜き対象の段ボールシートの中芯の段繰り方向(中芯の波の方向)を以下「MD方向」と称し、MD方向と直交する方向を以下「CD方向」と称する。図1のような円筒状の型を使用して段ボーシートを打ち抜く際、通常は段ボールシートをCD方向に流す。以下の説明は段ボールシートをCD方向に流している場合の説明である。
前記弾性体14の高さ(k)は、前記打ち抜き刃13の高さ(h)近傍の高さがあることが好ましい。詳しくは、弾性体14の高さ(k)と打ち抜き刃13の高さ(h)との差(m=k-h)が、-2mm以上+4mm以下が好ましい。kがhに比べて短すぎると、弾性体が打ち抜き対象の段ボールシートに接触するまでに打ち抜き刃13が段ボールシートに押し付けられることとなる。このとき、この押し付け部位に局部的な伸びが生じ、段ボールシートに割れが生じるおそれがある。また、kがhに比べて長すぎると、打ち抜き対象の段ボールシートに打ち抜き刃13が接触するまでに、弾性体14が打ち抜き対象の段ボールシートに押し付けられて圧縮される。このため、打ち抜き刃13が段ボールシートの所定距離を打ち抜くまでに、弾性体14の圧縮量がより大きくなり、段ボールシートが押し潰されるおそれが高くなる。
前記弾性体14としては、特定の平面圧縮強さを有する材料を用いたものが用いられる。
これは、弾性体14の平面圧縮強さと、打ち抜き対象の段ボールシートの平面圧縮強さとの関係から見いだされる。
すなわち、まず、弾性体14が段ボールシートと接触した状態とする。次いで、打ち抜き刃13が段ボールシートの一方又は両方のライナを打ち抜くまでに、打ち抜き刃13が移動した距離をXとする。このとき、弾性体14を厚み方向に、Xに相当する厚みの分を圧縮したときの弾性体14の平面圧縮強さをY(kPa)、打ち抜き対象の段ボールシートの平面圧縮強さをZ(kPa)としたとき、YをZ以下とすると、段ボールシートを押し潰すことなく、破断線、ミシン目、ジッパー及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを段ボールシートに形成することができる。
まず、JIS P 8111に従い、段ボールシートを23℃、50%RHに調湿する。
次いで、測定対象物(弾性体14、又は段ボールシート)から32.2cm2(直径64.0±0.5mm)となるように、円形に切り取り試験片とする。
そして、圧縮試験機に前記測定対象物をセットし、圧縮速度12.5±2.5mm/分で圧縮する。試験片が弾性体14のときは、弾性体14を厚み方向に、所定の厚み分を圧縮したときの荷重を測定する。一方、試験片が段ボールシートのときは、当該段ボールシートが圧壊するまでの間の最大荷重を測定する。
そして、最大荷重(kN)/試験片面積(m2)と計算することにより平面圧縮強さ(kPa)を算出することができる。
なお、デルタフルートとは、レンゴー(株)が開発した規格であり、BフルートとEフルート(厚さ約1.5mm)の中間の厚みを有する段ボールである。
例えば、クロロプレンゴムの平面圧縮強さは、下記表1に示すとおりである。
前記の特徴を有する弾性体14を用いた前記打ち抜き型を段ボールシートに載せ、この打ち抜き型の打ち抜き刃及び弾性体を前記段ボールシートに押し付けることにより、破断線、ミシン目、ジッパー、折り曲げ罫線の少なくとも1つが形成された段ボールシートを製造することができる。
まず、本実施例で使用した原材料及び評価方法を示す。
[平面圧縮強さ]
JIS Z 0403-1:1999の段ボール:平面圧縮強さ試験方法に記載の方法に準じて測定した。
まず、JIS P 8111に従い、段ボールシートを23℃、50%RHに調湿した。
次いで、弾性体及び段ボールシートを32.2cm2(直径64.0±0.5mm)となるように、円形に切り取り、試験片とした。
圧縮試験機((株)オリエンティックコーポレーション製:UTM-1-2500)に測定対象物をセットする。そして、圧縮盤を圧縮速度12.5±2.5mm/分で降下させ、対象測定物に上方から抑え込んだ。
試験片が弾性体のときは、所定の厚みだけ圧縮するまでの荷重を測定した。また、試験片が段ボールシートのときは、当該段ボールシートが圧壊するまでの間の最大荷重を測定した。
そして、次式で平面圧縮強さを算出した。
平面圧縮強さ(kPa)=最大荷重(kN)/試験片面積(m2)
・Aフルート(厚さ5mm)…100~350kPa。
・Bフルート(厚さ3mm)…180~500kPa。
・Cフルート(厚さ4mm)…130~450kPa。
・デルタフルート(厚さ2mm)…260~710kPa。
弾性体としてクロロプレンゴムを用いた場合の平面圧縮強さは、前記した表1に記載の通りとなった。
弾性体として天然ゴム含有コルク、コルクを用いた場合の平面圧縮強さは、次の通りとなった。天然ゴム含有コルクでは、厚みが12mmの場合、変位量が1mmの場合は280kPa、変位量が2mmの場合は490kPaであった。それ以上の変位は、平面圧縮強さが大きくなり過ぎたため、測定しなかった。また、厚さ12mmのコルクを用いた場合は、1mm以上の変位は、平面圧縮強さが大きくなり過ぎたため、測定しなかった。
打ち抜き型として、次の特徴を有する型を用いた。
・基材…円筒状
・破断線を形成する打ち抜き刃の高さ(11.4mm~11.6mm、h1)とその近傍の弾性体の高さ(k1)との差(k1-h1)が0mm。
・打ち抜き刃と弾性体の距離…MD方向は5mm、CD方向は0mm。
・打ち抜き刃の長さ(b):2.7mm、ツナギの長さ(g):2.2mm。
また、弾性体として、クロロプレンゴム(厚さ12mm)を用いた。
さらに、段ボールシートとして、デルタフルート(平面圧縮強さ:590kPa、実施例1)、Bフルート(平面圧縮強さ:420kPa、実施例2)、Cフルート(平面圧縮強さ:375kPa、実施例3)、Aフルート(平面圧縮強さ:290kPa、実施例4)を用いた。
これらを用いて、打ち抜き刃が段ボールシートの両ライナを打ち抜いた。すなわち、弾性体が段ボールシートに接触した状態から、それぞれの段ボールシートの厚み分だけ、押し付けた。
その結果、いずれも段ボールシートが押し潰されることなく、かつ、割れ等が生じることなく、破断線を形成させることができた。
Aフルート(平面圧縮強さ:100kPa)を用いた以外は、実施例4と同様にして実験を行った。その結果、段ボールシートは、弾性体の部分で押し潰された状態が見られた。
弾性体として天然ゴム含有コルク(厚さ12mm、比較例2)、コルク(厚さ12mm、比較例3)を用いた以外は、実施例4と同様にして実験を行った。その結果、段ボールシートは、弾性体の部分で押し潰された状態が見られた。
打ち抜き刃の長さ(b)とツナギの長さ(g)を表2の試験番号1~48に示すものとした以外は、実施例2と同様にして実験を48種類おこなった。その結果、いずれも段ボールシートが押し潰されることなく、かつ、割れ等が生じることなく、破断線を形成させることができた。
打ち抜き刃の長さ(b)とツナギの長さ(g)を表3の試験番号49~101に示すものとした以外は、実施例3と同様にして実験を53種類おこなった。その結果、いずれも段ボールシートが押し潰されることなく、かつ、割れ等が生じることなく、破断線を形成させることができた。
12 基材
13 打ち抜き刃
14 弾性体
b 打ち抜き刃の長さ
g ツナギの長さ
k 弾性体の高さ
h 打ち抜き刃の高さ
m 打ち抜き刃と弾性体との高さの差
p 打ち抜き刃と弾性体との距離
Claims (4)
- 段ボールシートに破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成するための打ち抜き型であって、
前記打ち抜き型は、前記破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成するための打ち抜き刃を有すると共に、この打ち抜き刃の近傍に弾性体が連続的に又は断続的に配され、
前記打ち抜き刃は、所定長さの刃が、刃と刃の間の箇所の長さが1.2mm以上3.0mm以下であるように一定間隔で並んで配置された形状を有し、
前記弾性体が前記段ボールシートと接触した状態から、前記打ち抜き刃が前記段ボールシートの両方のライナを打ち抜くまでに、前記打ち抜き刃が移動した距離をXとし、
前記弾性体について、Xに相当する分の厚みを圧縮したときの前記弾性体の平面圧縮強さをY(kPa)、前記段ボールシートの平面圧縮強さをZ(kPa)としたとき、YはZ以下であり、
前記打ち抜き型は、回転する円筒状の型であり、
前記打ち抜き刃と、その打ち抜き刃の回転方向と直交する方向の近傍に設置される弾性体との距離は、5mm以上20mm以下であり、
前記打ち抜き刃と、その打ち抜き刃の回転方向の近傍に設置される弾性体との距離は、回転方向と直交する方向の近傍に設置される弾性体との前記距離より短い条件で、10mm以下であることを特徴とする段ボールシート用打ち抜き型。 - 前記弾性体の高さは、前記打ち抜き刃の高さ-2mm以上、前記打ち抜き刃の高さ+4mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート用打ち抜き型。
- 請求項1または2に記載の段ボールシート用打ち抜き型によって、破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つが形成された段ボールシート。
- 請求項1または2に記載の段ボールシート用打ち抜き型を段ボールシートに載せ、前記段ボールシート用打ち抜き型の打ち抜き刃及び弾性体を前記段ボールシートに押し付けることにより破断線、ミシン目、ジッパー、及び折り曲げ罫線の少なくとも1つを形成する段ボールシートの製造方法。
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