JP7057738B2 - 硫化銅粉末の製造方法、および硫化銅粉末 - Google Patents
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Description
第1の態様は、
水系反応媒体中で、ポリアクリル酸又はその塩の存在下、純水と混合したときにその混合液のpHが7.0より大きい銅塩と、硫化物イオン源物質とを反応させて、硫化銅粒子を形成させる硫化銅粒子形成工程を有する、硫化銅粉末の製造方法である。
前記銅塩が水酸化物イオンを有する。
前記銅塩が塩基性炭酸銅および水酸化銅の少なくとも1つである。
前記硫化銅粒子形成工程を、前記水系反応媒体中での前記銅塩と前記硫化物イオン源物質との反応のpHを8.0以上として実施する。
前記硫化物イオン源物質が硫化水素ナトリウムである。
前記ポリアクリル酸の塩が、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩である。
前記ポリアクリル酸又はその塩の重量平均分子量が、1,000~100,000である。
前記硫化銅粒子形成工程において、前記銅塩と前記硫化物イオン源物質との反応割合を、銅イオン1モルに対して硫化物イオン0.5~0.999モルとなる割合とする。
前記硫化銅粒子形成工程における前記ポリアクリル酸又はその塩の使用量が、前記銅塩100質量部に対して0.01~1質量部である。
前記硫化銅粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径D50が、3.2μm以上10.0μm以下である。
前記水系反応媒体が水である。
レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径D50が3.2μm以上10.0μm以下であり、下記銀吸着試験により求められる1mgあたりの銀の吸着量が1.20mg以上である、硫化銅粉末。
[銀吸着試験]
純水に、銀をA(mg/L)の濃度で(Aは20~25である)、アンモニアを19~21g/Lの濃度で溶解させた水溶液を試験液とし、この試験液1Lに対して前記硫化銅粉末を、試験液中の濃度がB(mg/L)(Bは9.5~10.5である)になるように添加し、この試験液を室温下、600rpmで30分撹拌する。その後、前記試験液をろ過し、ろ液中の銀濃度C(mg/L)を測定し、以下の式より銀吸着量を求める:
銀吸着量(mg-Ag/mg-硫化銅)=[A(mg/L)-C(mg/L)]/B(mg/L)
本発明の硫化銅粉末の製造方法の実施の形態は、硫化銅粒子形成工程を有しており、その他の付加的工程を有してもよい。以下、各工程について詳述する。
本工程においては、硫化銅粉末を製造する原料として、所定の銅塩、硫化物イオン源物質、ポリアクリル酸又はその塩、および水系反応媒体を準備する。
続いて、所定時間銅塩と硫化物イオン源を反応させて硫化銅粒子を形成させた後の反応液から、硫化銅粉末と、水系反応媒体などを含む液体成分とを固液分離して硫化銅粉末を回収してもよい。分離方法は、特に限定されないが、効率性やコストの観点からは、ろ過が好ましい。ろ過を行うための具体的な手法や装置構成としては、例えばクロスフロー型あるいはデッドエンド型のろ過フィルター、フィルタープレス、遠心ろ過器が挙げられる。
分離した硫化銅粉末は、液体成分(主には水系反応媒体)を含むことがあり、硫化銅粉末以外に、反応しきれずに残存する反応原料やポリアクリル酸又はその塩などを含むことがある。この分離した硫化銅粉末は、液体成分等を含んだまま使用してもよいが、洗浄あるいは乾燥させて使用してもよい。洗浄および乾燥方法としては、従来公知の洗浄方法および乾燥方法が特に制限なく利用できる。また硫化銅粉末を解砕したり、分級して粒度分布を調整してもよい。
本発明の硫化銅粉末は、例えば上述した製造方法により得られるものであって、この硫化銅粉末の硫化銅粒子は、主に第2硫化銅(CuS)を含んで構成されている。硫化銅粒子は、副次的に第1硫化銅(Cu2S)などを含んでもよく、第1硫化銅と第2硫化銅との組成比率は、第2硫化銅が主成分であれば、特に限定されない。
[銀吸着試験]
純水に、銀をA(mg/L)の濃度で(Aは20~25である)、アンモニアを19~21g/Lの濃度で溶解させた水溶液を試験液とし、この試験液1Lに対して前記硫化銅粉末を、試験液中の濃度がB(mg/L)(Bは9.5~10.5である)になるように添加し、この試験液を室温下、600rpmで30分撹拌する。その後、前記試験液をろ過し、ろ液中の銀濃度C(mg/L)を測定し、以下の式より銀吸着量を求める:
銀吸着量(mg-Ag/mg-硫化銅)=[A(mg/L)-C(mg/L)]/B(mg/L)
・水系反応媒体:純水・銅塩:塩基性炭酸銅(和光純薬工業(株)製、一級試薬、CuCO3・Cu(OH)2・H2O、分子量:239.13、Cu含有量:48~56質量%)、硫酸銅五水和物(分子量:249.69、Cu含有量:25~26質量%)、塩化第二銅二水和物(分子量:170.48、Cu含有量:36~38質量%)
・硫化物イオン源物質:水硫化ソーダ水溶液(硫化水素ナトリウム水溶液、濃度45質量%)、硫化カリウム水溶液(濃度25質量%)
・ポリアクリル酸ナトリウム:ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(株式会社日本触媒製「アクアリック TX-172」、濃度43質量%)
実施例1では、反応槽中で、液温を50℃に恒温制御した純水650mLに対して、塩基性炭酸銅300g(銅含有量の実測値:56質量%)と、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液1.5mLと、を添加し、回転数600rpmで撹拌した。このときのポリアクリル酸ナトリウムの使用量は、銅塩100質量部に対して0.2質量部であった。なお、撹拌動力は0.9W/Lとした。
比較例1では、純水にポリアクリル酸を添加せずに反応させた以外は、実施例1と同様に硫化銅粉末を製造した。
比較例2では、純水にポリアクリル酸を添加せず、銅塩の種類を塩基性炭酸銅から、硫酸銅五水和物に変更した。硫酸銅五水和物19.6gを純水50gに溶解させた。溶解後、水硫化ソーダ水溶液を6分間かけて添加した。反応中での硫化水素の発生を抑制するために、12質量%水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHをアルカリ性側(pH8~9)に維持した状態で、銅イオンと硫化物イオンとを反応させた。以上のように条件を変更した以外は、実施例1と同様に硫化銅粉末を製造した。このときの銅塩と硫化物イオン源物質との反応割合は、銅イオン1モルに対して硫化物イオンが0.814モルであった。
比較例3では、純水にポリアクリル酸を添加せず、銅塩の種類を塩基性炭酸銅から、塩化第二銅二水和物に変更した。塩化第二銅二水和物13.4gを純水50gに溶解させた。溶解後、水硫化ソーダ水溶液を6分間かけて添加した。反応中での硫化水素の発生を抑制するために、12質量%水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHをアルカリ性側(pH8~9)に維持した状態で、銅イオンと硫化物イオンとを反応させた。以上のように条件を変更した以外は、実施例1と同様に硫化銅粉末を製造した。このときの銅塩と硫化物イオン源物質との反応割合は、銅イオン1モルに対して硫化物イオンが0.814モルであった。
比較例4では、純水にポリアクリル酸を添加せず、銅塩の種類を塩基性炭酸銅から、塩化第二銅二水和物に、硫化物イオン源物質の種類を硫化カリウムにそれぞれ変更した。塩化第二銅二水和物13.4gを純水50gに溶解させた。溶解後、硫化カリウム水溶液を6分間かけて添加した。反応中での硫化水素の発生を抑制するために、12質量%水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHをアルカリ性側(pH8~9)に維持した状態で、銅イオンと硫化物イオンとを反応させた。以上のように条件を変更した以外は、実施例1と同様に硫化銅粉末を製造した。このときの銅塩と硫化物イオン源物質との反応割合は、銅イオン1モルに対して硫化物イオンが0.814モルであった。
Claims (12)
- 水系反応媒体中で、ポリアクリル酸又はその塩の存在下、純水と混合したときにその混合液のpHが7.0より大きい銅塩と、硫化物イオン源物質とを反応させて、硫化銅粒子を形成させる硫化銅粒子形成工程を有する、硫化銅粉末の製造方法。
- 前記銅塩が水酸化物イオンを有する、請求項1に記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記銅塩が塩基性炭酸銅および水酸化銅の少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記硫化銅粒子形成工程を、前記水系反応媒体中での前記銅塩と前記硫化物イオン源物質との反応のpHを8.0以上として実施する、請求項1~3のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記硫化物イオン源物質が硫化水素ナトリウムである、請求項1~4のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記ポリアクリル酸の塩が、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩である、請求項1~5のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記ポリアクリル酸又はその塩の重量平均分子量が、1,000~100,000である、請求項1~6のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記硫化銅粒子形成工程において、前記銅塩と前記硫化物イオン源物質との反応割合を、銅イオン1モルに対して硫化物イオン0.5~0.999モルとなる割合とする、請求項1~7のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記硫化銅粒子形成工程における前記ポリアクリル酸又はその塩の使用量が、前記銅塩100質量部に対して0.01~1質量部である、請求項1~8のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記硫化銅粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径D50が、3.2μm以上10.0μm以下である、請求項1~9のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- 前記水系反応媒体が水である、請求項1~10のいずれかに記載の硫化銅粉末の製造方法。
- レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径D50が3.2μm以上10.0μm以下であり、下記銀吸着試験により求められる1mgあたりの銀の吸着量が1.20mg以上である、硫化銅粉末。
[銀吸着試験]
純水に、銀をA(mg/L)の濃度で(Aは20~25である)、アンモニアを19~21g/Lの濃度で溶解させた水溶液を試験液とし、この試験液1Lに対して前記硫化銅粉末を、試験液中の濃度がB(mg/L)(Bは9.5~10.5である)になるように添加し、この試験液を室温下、600rpmで30分撹拌する。その後、前記試験液をろ過し、ろ液中の銀濃度C(mg/L)を測定し、以下の式より銀吸着量を求める:
銀吸着量(mg-Ag/mg-硫化銅)=[A(mg/L)-C(mg/L)]/B(mg/L)
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