JP7056833B2 - 布地及び該布地を用いた衣類 - Google Patents

布地及び該布地を用いた衣類 Download PDF

Info

Publication number
JP7056833B2
JP7056833B2 JP2018204471A JP2018204471A JP7056833B2 JP 7056833 B2 JP7056833 B2 JP 7056833B2 JP 2018204471 A JP2018204471 A JP 2018204471A JP 2018204471 A JP2018204471 A JP 2018204471A JP 7056833 B2 JP7056833 B2 JP 7056833B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
fabric
twisted
slit
yarns
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018204471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020059960A (ja
Inventor
広貴 三角
佐太郎 嶌崎
克寛 桑木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oike and Co Ltd
Original Assignee
Oike and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oike and Co Ltd filed Critical Oike and Co Ltd
Priority to JP2018204471A priority Critical patent/JP7056833B2/ja
Publication of JP2020059960A publication Critical patent/JP2020059960A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7056833B2 publication Critical patent/JP7056833B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
  • Knitting Of Fabric (AREA)

Description

本発明は、布地に関する発明であり、より詳しくは例えば漁業用着衣や武道衣に用いることが出来る厚地の布地であって、長期的にわたり抗菌防臭機能と静電気除電機能を維持する事が出来る布地及び該布地を用いた衣類に関する。
従来、衣服類、下着類においてそれを装着する人の身体への影響を防ぐ為であったり、対人マナーの観点から、抗菌防臭機能や静電気除電機能を有した生地が広く所望されている。また安価な化学繊維等を多用する生地においては特に静電気除電機能が求められる場面がある。それらは例えば靴下や肌着、工場での作業衣など、その他、静電気を嫌うような環境で着用する衣類に用いられることが多い。
従来そのような衣類に用いる生地に、抗菌防臭機能や静電気除電機能を有した積層糸を用いることで、かかる要望に応えようとしている。そのような積層糸は、例えば特許文献1に記載されたようなものである。
特許第4096175号
ところで織物や編物といった布地は、精練や晒と言う染色工程を経て製品縫製用の布地になることが多いが、その工程等で積層糸を構成する純銀層にダメージ或は消失があり乃至は蒸着された純銀層のラミネートが剥離を起こし一部でも露出してしまうと、精練では水と、晒では水や酸素或は塩素とそれなりの高温で接触するため、純銀層が酸化銀や塩化銀となる変化を起こし、この両銀化合物は、共有結合により純銀のイオン化が充分に出来ず、結果として抗菌性による防臭性機能を発現させる銀イオン溶出が少なくなる、乃至は妨げてしまい抗菌防臭機能が発現しない。又、純銀層へのダメージや一部の消失、或はラミネート部分のはく離やスリット糸横断面の長方形の隅が一部でも壊れるといった偏平構造の崩壊により静電気除電機能も弱まってしまう。
そしてこれを武道衣や漁業者が着用する作業衣などのような、厚みのある生地で作られる衣料において抗菌防臭機能や静電気除電機能を得ようとして、特許文献1に記載の積層糸を用いて単に撚糸し、それを用いて機能性厚生地を製造する糸の構成では、太い糸による強烈な撚糸とその圧力は、特許文献1に記載の積層糸のようなスリット糸におけるスリット面、特に偏平側面には強過ぎて、ラミネートして純銀層をサンドイッチ状にもつプラスチックフィルムの特にラミネート部分にダメージが入る、或は偏平構造の崩れや純銀層にダメージが起こり純銀層の少なくとも一部を消失、乃至はラミネートが剥離して純銀層が露出してしまい機能喪失という現象が起こり問題である。
例えば漁業用着衣は、作業や動きの連続性、動きの激しさや大きさ、作業時の気候の厳しさ、或は機械器具との接触などから、また武道衣の場合は着用する者の激しい動きや相手による武道衣の引張やねじれ・歪み形成刺激などによる強度要求から、着衣やそれを構成する布地は強度が必要とされる。即ちかなりの力に耐えなければならない。故に、そのような着用する者の激しい動きに耐えるために武道衣や漁業用着衣は強度を上げるためにも、厚地の布地による着衣にならざるを得ない。又、それぞれの着用者は冬場でも汗をかいてしまうので体温や洗濯後乾燥途中に微生物には十分な温度環境があれば微生物増殖による悪臭が起きることになる。空気乾燥時には静電気帯電に悩まされる。
さらにまた厚地の布地からなる漁業用着衣や武道衣に残る汗や油に限らずその汚れは微生物の繁殖や増殖に優位に働くので、微生物の増殖により悪臭を放つが、厚地の布地からなるが故に洗濯後の乾燥にかなりの時間を要し、気軽に洗濯を出来ないという事情があり、又単なる洗濯では微生物の増殖は防げず、漁業用着衣や武道衣は悪臭の発生源であり続けることになる。
そして漁業用着衣や武道衣を微生物が生成する悪臭を除去するため、又汚れを落とすためにも洗濯を行うが、その場合に悪臭の元である除菌が目的で塩素系抗菌剤を添加すると、当該着衣が着色されていると色あせを起こしてしまうので、除菌目的が裏目に出てしまう。
故に、繊維用の糸を得る段階で抗菌剤による加工を施して、又は布地の抗菌剤による後加工で抗菌性を持たせて、そのような糸を用いることにより防臭効果を実現させようとしてきた。しかし糸段階で抗菌剤加工した布地も、布地の後加工をした布地も、多数回の洗濯後には抗菌防臭機能は十分にはその機能を発揮出来ないし、洗濯を繰り返すと該機能を失う事が稀ではない。
又、武道衣には少なくとも綿素材が含まれる糸が使用される事が殆どだが、綿繊維に機能が持続する抗菌剤を練り込むことはできないし、合成繊維に機能持続性の抗菌剤を練り込む事は出来るが、一部でも該合成繊維が含む糸からなる布地は武道衣に要求される白度が出ないし、当該抗菌剤に銀などの抗菌金属が含まれていても静電気除電はできない。特に入門者が使うような安価な武道衣の場合、合成繊維も多用されているため静電気除電機能が強く求められるところでもある。
このように、漁業用着衣や武道衣に用いられる布地には合成繊維100%又は綿と混紡されたものが価格と強度の観点から良く使用されるが、その場合には合繊繊維の低い公定水分率から静電気が高い電圧で発生しやすいし、合成繊維には素早い除電機能はない。特に中学・高校では伝統武道である剣道或は柔道が必修になり、強度や価格の観点からポリエステル100%の道衣が採用されるが、合成繊維は洗濯乾燥後の低湿度時は静電気帯電により動きが制限されるし、体への吸着・密着に悩まされる。
以上を鑑みて、本願発明は、前述の特許文献1に記載の抗菌糸を使用しながら、強度も耐性もあり、偏平状の抗菌糸、即ちこの場合は抗菌性を持つスリット糸の持つ抗菌性による防臭機能を永続的に持続させて、且つ静電気除電も持続できて、武道衣の場合にはスリット糸の銀光沢を競技上必要な程度まで目立たなくできる、優れた機能を有する布地を提供し、また該布地からならなる繊維製品の提供を可能にする事を課題とする。
本願発明では、周知の一般的な糸の周囲に、銀積層面が露出しないような積層構造を有する偏平なマイクロスリット糸を巻き付けた第1撚糸の、さらにその表面に別の糸を巻き付けた第2撚糸を得て、それを用いた布地とすることで抗菌性、静電気除電機能を有する布地を得る。このような第2撚糸を用いれば、厚手の生地に対しても抗菌性、静電気除電機能を有する布地を得る。
本発明によって、何本もの糸を撚り糸にして、布地の強度を増すために太い糸を主な構成原料とするいわゆる厚地の布地に、スリット糸を傷付けずに該糸の持つ抗菌防臭機能と静電気除電機能を十分生かす事が出来るばかりでなく、銀光沢を隠すことも出来、更にそれら2つの機能を多数回の洗濯や洗浄にも耐える布地と該布地からなる漁業作業衣や武道衣を提供できる。
図1は、布地Aを分解して得た、スリット糸の、部分拡大図(図面代用写真)である。 図2は、布地Bを分解して得た、スリット糸の、部分拡大図(図面代用写真)である。
課題を解決するための手段
以下、本願発明につき説明するが、必ずしも以下の事例に限定されるものではないことを予め断っておく。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態にかかるスリット糸は、幅10~200cmであり、厚み5~25ミクロンであるプラスチックフィルムを基材として、純銀を真空蒸着法で基材上に40~80nmの厚みで純銀層を形成し、同様に純銀層を形成したプラスチックフィルム乃至は純銀層を持たない同様プラスチックフィルムを純銀層が内側になるようラミネートして積層フィルムを製造し、更に該積層フィルムを120~250ミクロン幅にスリットして得るものである。尚、純銀層を形成する方法は真空蒸着法に限定されるものではなく、その他スパッタリング等の周知の形成方法であって良い。また基材のプラスチックフィルムの素材も限定するものではないが、本実施の形態ではポリエステルフィルムが最も好ましいためこれを用いる。
また本実施の形態における布地は、経糸全てを綿・ポリエステル混の混紡糸2本をより合わせたものを用いることとする。この場合のポリエステルは長繊維のものを用いるのが好ましい。そしてその芯糸に対して、純銀層をサンドイッチ状に持つスリット糸を、スリット糸が捩れや歪みの無いように蛇腹状・テープ状に巻き付けて、第1撚糸を得る。
次にこの第1撚糸に、綿糸、綿・ポリエステル混の混紡糸2本で左右逆に400回撚糸した糸を一定割合で均等に緯糸として、第2撚糸を得る。より具体的には、5番~50番の綿糸或は綿合成繊維混紡糸2本を、左右逆に巻き付け、糸を太くより強い糸である第2撚糸を得るものとする。第1撚糸から第2撚糸に至ると、元来銀光沢を持っていたスリット糸の銀光沢をかなり目立たなくする事が出来る。尚、第1撚糸は1本に限らないし、第2撚糸に供される糸は撚糸前に800~1000回程度追撚してより強度を増すことがあっても構わない。尚、本願発明による布地はその経糸・緯糸の構成を前記の逆にすることがあっても良い。
そして綿番手が5番から20番の綿糸、或は綿合成繊維混紡糸から選んだ糸を1本、或は2本又は3本撚り合わせた糸を経糸とし、緯糸に経糸と同じ糸を1~14本織込んだ次に上記第2撚糸を1本織込む作業を繰り返すことで第2撚糸が均等に織り込まれた布地を得る。しかしこの用いる緯糸を1~3本とした場合は性能に問題なく使用可能であるがコストが高くなる問題が生じ、一方、8~14本とすると洗濯回数が多くなると場合によっては抗菌性能及び除電効果が低下するケースがある。これらを鑑みて、本実施の形態では、バランス的に4~7本織込んだものがより良いものとする。布地は平織だけでなく、必要があれば刺子のようなドビーによる布地やジャガード織など周知の図柄入布地でも構わない。
緯糸の一部に織込まれた第2撚糸は、布地の主原料である綿糸や綿合成繊維混紡糸の太さよりやや細めの番手に仕上げている事で、得られる布地では銀光沢はほぼ目立たなくなり、地味になった銀光沢は該布地を縫製してで得られる武道衣では競技の性格上大切な要素となる。第2撚糸に使用する糸は綿100%、合繊100%紡績糸、又は綿合繊混紡糸でも構わない。
上記のように得た布地を苛性ソーダが重量比1.5~2%含まれる周知よりやや強い精練工程で整経糊や油分を洗い落とし、過酸化水素或は次亜塩素酸ソーダ液で晒工程を経て仕上られて布地を得る。必要であれば周知の染色法で着色した布地を得る事も出来る。尚、抗菌スリット糸は純銀層を基材フィルムで挟まれたサンドイッチ状の構成を持つがその構成上、基材フィルムがポリエステルに代表されるプラスチックが主体なので、強アルカリ環境には弱いが上記の程度の精練条件なら十分耐及性はあるし、アルカリ環境では純銀層からはほぼ銀イオン溶出は無い。
このようにして得られた布地を用いて衣服類を製造した場合、抗菌防臭機能や静電気除電機能を備えた衣服類を得ることができる。その際、経糸、緯糸の撚糸に使用する糸番手を適宜選択することで生地厚の変化への需要に応えられる。
さらに、本実施の形態による布地を武道衣に用いる場合を考えると、該布地が放つ銀光沢が競技のマナー上邪魔になる可能性も無くは無いが、銀光沢をかすかに保つ程度の撚糸を用いると、該武道衣を取り扱う販売店や着衣する競技者自身にもかすかに銀色に見える事で、機能の実感を得やすいというメリットがある。
ここで本実施の形態に用いる布地に織り込む糸は、スリット糸の偏平な面部分にポリエステル長繊維による糸が巻き付けられた第2撚糸を用いているので、極薄いスリット断面に該糸の圧力を受ける事が無い。故にスリット断面、即ちラミネート部分側面には該糸の圧力を受けず純銀層にダメージが入る事もない。さらに該糸を用いることで仮にラミネート部分が破壊される可能性はあるがその為に純銀層が部分的であっても外気に露出したり、脱落等消失する事も無く、正常な偏平構造を保つことができる。
またここで用いる経糸はこれに限るものではなく、例えば天然繊維、合繊繊維、化学繊維を問うものではなく、また短繊維紡績糸であっても長繊維糸であってもよく、さらには糸の太さや本数も問うものではないが、本願発明では上記の糸を経糸として用いる。
ただ、本願発明のようにスリット糸を蛇腹状・テープ状に巻き付ける芯糸として長繊維を用いるのは、短繊維からなりかつ各繊維1本1本の間に幾ばくかの隙間を作りクッション性をもつと考えられる特徴を有する短繊維紡績糸を用いるよりも、マルチフィラメントからなる長繊維糸の方が糸の強度も優れるし、スリット糸の捩れを防ぐ意味でもより好ましいからである。
尚、スリット糸をテープ状に巻き付ける前に、片側のプラスチックフィルムの外側に白や他の色に顔料でコーティングを施されているとテープ状の巻き付け時に90℃~360℃捩じれている事は発見しやすくその状態を防ぐことも出来るし、第1撚糸で銀光沢を消すことが出来る。
本発明の実施例として、以下の糸を準備し、布地を得た。
(実施例)
9ミクロン厚のポリエステルフィルム(東レ社製)に真空蒸着法で膜厚40nmの純銀層を設け、該純銀層を保護ずるため同様のポリエステルフィルムをイソシアネート2液タイプのウレタン系接着剤でラミネートした積層フィルムを製造して、切幅150ミクロンにスリットして、スリット糸を得た。
22番手綿ポリエステル混紡糸(混率は綿50%:ポリエステル短繊維50%)2本(いずれも東レ社製)を周知の撚糸機で双糸を製造した。この糸をTC22/2と称する。尚、綿番手は綿繊維1ポンド当たりの糸長で決まっているので、綿よりポリエステル繊維の方の比重が重いので、この場合に綿ポリエステル混紡糸は綿番手20番手と呼んでも構わない。
マルチフィラメントのポリエステル長繊維75d(東レ社製)を芯糸として、上記のスリット糸を、糸1m当たり450回テープ状に巻き付け、蛇腹スリット糸と称する第1撚糸を得た。
その次に蛇腹スリット糸を芯糸として、綿ポリエステル混紡糸45番手(混率綿50%:ポリエステル短繊維50%・東レ社製)を2本用意し、上記のように1本ずつを左右逆に1mあたり400回撚糸して布地製織用に第2撚糸である緯糸Aを得た。
具体的な布地の設計は、仕上り予定幅151cmとするが、織物業界の慣例に沿って、経糸TC22/2を1インチ当たり54本、緯糸は1インチ当たり47本として、平織として布地を織ったものである。経糸は全てTC22/2であり、緯糸はTC22/2を6本織込んで次に緯糸A1本を繰り返し織ることにより布地Aを得た。
(比較例)
これに対して、比較例として以下のものを用意した。
マルチフィラメントのポリエステル長繊維糸30d(東レ社製)の糸2本で周知の撚糸機により1本はS撚り、他の1本はZ撚りと、2本を左右逆に1mあたり300回撚りして得られた芯糸に、上記のスリット糸を巻き付けて、Wカバースリット糸と称する第1撚糸を得た。
同様に、Wカバースリット糸を芯糸として、上記と同様の素材と方法で第2撚糸である緯糸Bを得た。
布地の設計としては、仕上り予定幅151cmとして、上記同様に経糸TC22/2を1インチ当たり54本、緯糸は1インチ当たり47本として、平織として布地を織った。経糸は全てTC22/2であり、緯糸はTC22/2を5本織込んで次に緯糸B1本を繰り返して布地Bを得た。
緯糸A、緯糸Bともに、撚った糸の合計本数はTC/22よりも多いが、糸の太さは何れもTC22/2よりも細いものであった。因みにTC22/2は綿番手では10番手となり、緯糸Aは、綿番手で16~17番手でTC22/2よりは細く、これもスリット糸の銀光沢をカモフラージュするのに役立つし、緯糸Bもまた同様であった。その結果何れも得た布地は糸の太さの違いから起きる目立った段差は無かった。
尚、緯糸Aはスリット糸がテープ状に芯糸に巻き付けられている事から、銀光沢は正反射のみで輝くし、緯糸Aも緯糸Bより少ないので、布地Aは布地Bよりも「(スリット糸由来による)かすかに見える銀光沢」はより少なかった。
その後、布地A、及び布地Bを周知の染色工程よりやや強めの精練工程(苛性ソーダ2%弱)を経て、次に過酸化水素剤による晒工程を経て、乳白色の布地を得た。
得られた布地A、布地Bをそれぞれ試験した。
まず布地Aを試験材料としてJIS-L-1902(2015年版)による抗菌試験を一般社団法人ボーケン品質評価機構で行なった。
結果は、洗濯0回試料では抗菌活性値5.0、洗濯10回後試料では抗菌活性値4.8と多数回の洗濯にも耐える事が出来る抗菌防臭機能を証明できた。
図1は、抗菌試験に供した布地Aの残試料から経糸と緯糸を分解し、経糸TC22/2と緯糸Aを取出し、更にテープ状に巻き付けたスリット糸を芯糸から取り外して、スリットの顕微鏡拡大写真を得たものである。偏平面に第2撚糸の圧力を受けた形跡はあるものの、偏平構造が崩れる事もなく持続する抗菌機能が発現したものである。
次に布地Bを試験試料として、上記と同様の抗菌試験を行なった。
結果、洗濯0回試料では抗菌活性値3.1、洗濯10回後試料では抗菌活性値1.1であった。スリット糸のラミネート部分にダメージが入り純銀層が一部消失していた。染工場工程を経た直後の洗濯0回では何とか純銀層が機能を維持できたものの、第三者試験機関による10回洗濯により抗菌機能を失ったものである。
図2は、布地Aの残試料と同様に、布地Bの経糸と緯糸を分解し、経糸TC22/2と緯糸Bを取出し、更にWカバーに使った長繊維ポリエステル30dを取り外して、残ったスリット糸の顕微鏡写真を得たものである。Wカバースリット糸はWカバーをされた時点で既にスリット糸には捩れがあったが、その上から2本の綿ポリエステル混紡糸45番で撚糸され、その圧力をスリット糸の側面からも受けたことで偏平構造が壊され、抗菌試験の洗濯後には一部の純銀層をも消失していて、第三者試験機関に於ける洗濯10回後には抗菌機能が消失していた。
このように、特許文献1に記載の有効な静電気除電効果を示す布地に織込まれたスリット糸はポリエステル長繊維2本で左右逆に撚糸された糸であって、該スリット糸は本発明に記載のスリット糸と同様の糸であるが、これは本発明に記載のような太い糸2本で強い撚糸工程を経ていない。又、これを用いた布地Bにあったスリット糸の偏平構造が歪みにより断面の長方形が崩れて断面の4隅の尖がりによる静電気放電機能が衰えているし、純銀層に消失やダメージがあることを合わせて見ると布地Bの放電力は劣化していたと言えるが、布地Aでは純銀層と偏平構造が維持されることで静電気除電機能も十分機能が維持されている事が明らかになった。
また、太い糸を主原料として厚地の布地に抗菌性による防臭機能を付与するためには特許文献1に記載のスリット糸を適量織込む、乃至は編込み事が非常に有効な手段の一つと考えられる。
しかし、スリット糸は簡単に表現するとプラスチックフィルム2枚にサンドイッチ状に純銀層を有する糸であるので、純銀層が1層であるか2層であるかを問わずイソシアネ―ト系や周知の接着剤でラミネートされており、通常の布地を製造するには布地の主原料に適合する他の糸と撚糸をされ重量比2~4%の適した混率で均等に織込み乃至は編込みされているので、ラミネート部分にダメージが入る事で純銀層の一部消失やはく離や偏平構造の歪みや崩壊を起こすことはなく、多数回の洗濯にも耐えて抗菌防臭機能や静電気除電機能を持続できる。
しかし、漁業用着衣や武道衣は強烈な引張や歪みや捩れにも破れる事なく耐えなければならないので太い糸を使用するだけではなく、太い糸を更に追撚する事もあり、2本や3本を更に撚り合わせて結果として布地の強度を増す。
その時の撚りによる力や圧力は特許文献1に記載のスリット糸のラミネート部分の接着力を上回り、その結果純銀層にダメージを与え、ラミネートを破壊し純銀層を少なくとも部分的には露出或は消失させる。又スリット糸の偏平構造を歪みや捩じれにより部分的であっても破壊する。
綿などセルロース系繊維を構成材料の少なくとも一部とする布地も、或は合成繊維100%の布地も精練・晒という染色工程を経て製品用布地となり、スリット糸の純銀層にダメージがある乃至は露出をしていると精練工程の水分や水中酸素、晒工程の酸素又は塩素が純銀と化学反応を起こし水酸化銀を経て酸化銀に、或は塩化銀となり十分な銀イオン溶出による抗菌性を発揮出来なくなる。
そこで本発明は、スリット糸の側面への撚糸による圧力からラミネート接着部分を保護し、ラミネート部分の純銀層へのダメージや、ラミネート部分の破壊による純銀層の消失や露出による銀の化学変化を防ぎ、該スリット糸による抗菌防臭機能や、偏平構造を維持し静電気除電機能も兼ね備える事が出来、持続性のある2つの機能を発揮できる布地と該布地による漁業用着衣や武道衣を得る事が出来る。
以上の通り、本発明による布地は、その利用目的からも明らかなように引張や捩じれに十分耐えなければならないので厚地になる事が必然であり、その布地からなる繊維製品は汗や汚れにより微生物の繁殖、増殖による悪臭も放つので頻繁な洗濯が望ましいが、洗濯や乾燥に時間が掛かる。又、厚地の布地による漁業作業衣や武道衣は価格も高く予備の保有には経済的な負担が大きく、抗菌機能による防臭効果は着用者に悪臭による不快感を防ぎ着用者に大きな貢献ができる。
現在剣道や柔道と言った日本の伝統武道は中学・高校で必修科目として生徒は履修しなければならないが、それらの道衣は該武道を続ける生徒には購入に意味や意義はあっても、授業でのみ着用する者に購入を強制できないので、必然的に学校側が準備整備をしなければならない。又厚地で構成されている武道衣は洗濯しても簡単に乾燥できないので、生徒は必然的に洗濯回数の少ない臭気のある武道衣の着用を余儀なくされ、武道の普及には逆効果となる可能性が高い。本発明はこのような問題や悩みを緩和、或は防止できる。
又、厚地の布地による繊維製品は洗濯とそれに続く乾燥は、タンブラー乾燥で行うことがままある。それを他の洗濯物と同時に行うと互いの接触摩擦やはく離による静電気が発生し洗濯物相互が静電気により絡みやすくなるが、除電機能はその緩和に貢献できるし、日本の冬場のような乾燥時には着用者への絡み付きや脱衣時の放電ショックを避ける事が出来る。
抗菌防臭機能や静電気除電機能を持つ布地や該布地による繊維製品に関しては日本が世界に先駆けている分野の産業であり、武道は世界的な広がりを見せていて、2つの機能を持つ武道衣は着用者のみならず繊維業界にも朗報であるし刺子のような漁業用着衣は作業者の悪臭による不快感をなくす事や武道衣と同様に静電気による不快感などを緩和できる。

Claims (2)

  1. 芯糸となる糸の周囲に、
    高分子樹脂フィルムを基材とし、
    その表面に銀を積層してなる銀積層フィルムの銀積層面に対し、
    別途用意した高分子樹脂フィルム、またはその表面に銀を積層してなる銀積層フィルムの銀積層面が対面するように2枚のフィルムを貼着して得られる積層体をマイクロスリットして得られるスリット糸を、
    該芯糸に対し、前記スリット糸が捻れや歪みが生じないようにしつつ1mあたり300回~600回テープ状に巻き付けて得られた第1撚糸を準備し、
    前記第1撚糸を芯糸として、その周囲に綿番手5番~50番相当の綿糸、又は綿合成繊維混紡績糸、又は100%合成繊維紡績糸の何れか又は複数の糸を、前記第1撚糸の周囲に2本で左右逆に1mあたり300回から600回撚られた第2撚糸を得てなり、
    これを全体の一部又は全体に均等に織り込んで、又は編み込んで得られること、
    を特徴とする、布地。
  2. 請求項1に記載の布地を、全体の少なくとも一部に用いてなること、
    を特徴とする、漁業用衣類、又は武道衣。
JP2018204471A 2018-10-12 2018-10-12 布地及び該布地を用いた衣類 Active JP7056833B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018204471A JP7056833B2 (ja) 2018-10-12 2018-10-12 布地及び該布地を用いた衣類

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018204471A JP7056833B2 (ja) 2018-10-12 2018-10-12 布地及び該布地を用いた衣類

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020059960A JP2020059960A (ja) 2020-04-16
JP7056833B2 true JP7056833B2 (ja) 2022-04-19

Family

ID=70220724

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018204471A Active JP7056833B2 (ja) 2018-10-12 2018-10-12 布地及び該布地を用いた衣類

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7056833B2 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002069769A (ja) 2000-08-21 2002-03-08 Oike Ind Co Ltd 偏平糸
JP3100249U (ja) 2003-08-25 2004-05-13 日本ダム株式会社 消臭性の布状単品
JP2004277896A (ja) 2003-03-13 2004-10-07 Mitsuwa Sangyo Kk 抗菌性糸及び抗菌性糸の製造方法
JP2009150029A (ja) 2007-12-21 2009-07-09 Santoku:Kk 綿糸特質を持たせた新たな織物漬染可能なまがい金糸又は銀糸の構造
JP2012207343A (ja) 2011-03-30 2012-10-25 Kawapro Inc ストレッチラメ糸とその製造方法およびこのストレッチラメ糸を用いた布帛
JP2013087405A (ja) 2011-10-13 2013-05-13 Sataro Shimazaki 銅、亜鉛やそれらの合金の蒸着スリット糸と布地及び繊維製品
JP2014141767A (ja) 2013-01-23 2014-08-07 Mu-Func:Kk 機能性スリット糸及び該糸を用いた布地、被服類
JP2014221953A (ja) 2013-05-14 2014-11-27 尾池工業株式会社 導電糸
JP2015151663A (ja) 2014-02-17 2015-08-24 株式会社機能素材大阪 金属探知機で検知できる繊維製品
JP2016061006A (ja) 2014-09-16 2016-04-25 ミツフジ株式会社 複合導電性繊維

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5632557Y2 (ja) * 1978-02-23 1981-08-03
JPS5526254A (en) * 1978-08-12 1980-02-25 Oike Kogyo Kk Production of embroidered fabric
JPS636126A (ja) * 1986-06-24 1988-01-12 三菱レイヨン株式会社 平箔複合糸の製造方法
JPH07109637A (ja) * 1993-10-06 1995-04-25 Hiroyoshi Yamada 精練用金銀色糸及びそれを用いた箔織物の製造方法
JPH07268739A (ja) * 1994-03-22 1995-10-17 Oike Ind Co Ltd ウール後染め加工用丸撚金銀糸およびそれを用いた撚糸ないしは梳毛糸、ならびにそれらを用いたウール製品
JP2796708B2 (ja) * 1996-06-13 1998-09-10 株式会社麗光 伸縮性ある意匠糸

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002069769A (ja) 2000-08-21 2002-03-08 Oike Ind Co Ltd 偏平糸
JP2004277896A (ja) 2003-03-13 2004-10-07 Mitsuwa Sangyo Kk 抗菌性糸及び抗菌性糸の製造方法
JP3100249U (ja) 2003-08-25 2004-05-13 日本ダム株式会社 消臭性の布状単品
JP2009150029A (ja) 2007-12-21 2009-07-09 Santoku:Kk 綿糸特質を持たせた新たな織物漬染可能なまがい金糸又は銀糸の構造
JP2012207343A (ja) 2011-03-30 2012-10-25 Kawapro Inc ストレッチラメ糸とその製造方法およびこのストレッチラメ糸を用いた布帛
JP2013087405A (ja) 2011-10-13 2013-05-13 Sataro Shimazaki 銅、亜鉛やそれらの合金の蒸着スリット糸と布地及び繊維製品
JP2014141767A (ja) 2013-01-23 2014-08-07 Mu-Func:Kk 機能性スリット糸及び該糸を用いた布地、被服類
JP2014221953A (ja) 2013-05-14 2014-11-27 尾池工業株式会社 導電糸
JP2015151663A (ja) 2014-02-17 2015-08-24 株式会社機能素材大阪 金属探知機で検知できる繊維製品
JP2016061006A (ja) 2014-09-16 2016-04-25 ミツフジ株式会社 複合導電性繊維

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020059960A (ja) 2020-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI604097B (zh) 具有控制紗線系統之拉伸梭織物及其製備方法
JP4885941B2 (ja) 防火用ファブリック
TW201000704A (en) Stretch wovens with separated elastic yarn system
CN102330247A (zh) 防缩抗皱真丝织物
US20130152277A1 (en) Antimicrobial Garment and Method of Manufacturing the Same
JP7056833B2 (ja) 布地及び該布地を用いた衣類
AU647713B2 (en) Hospital textile
WO2001098567A1 (fr) Fil a structure laminee
CN209537704U (zh) 一种亚麻混纺纱线
JP2005139570A (ja) 裏地用織物および裏地および衣服
CN214083234U (zh) 一种带纱线夹层面料结构的吸湿透气型涤粘坯布
JP5770983B2 (ja) 側地用織物および繊維製品
JP2007092190A (ja) 片面撥水性多層構造織編物およびその製造方法および繊維製品
CN219564366U (zh) 一种防起球抗菌复合面料
CN215152515U (zh) 一种耐磨型防皱抗菌衬衫纤维面料
JP2020079455A (ja) 生地、及び衣服
CN220904315U (zh) 一种裙子的尼丝纺面料
CN217073615U (zh) 一种具有单向导湿功能的阻燃面料
WO2016153016A1 (ja) 側地
CN220095767U (zh) 一种抗菌的复合面料
CN219526935U (zh) 一种防翻卷的弹性裤头带
CN215947519U (zh) 一种舒适型夏季混纺衬衫面料
CN218906549U (zh) 一种防水阻燃布
CN215040912U (zh) 一种新型阻燃防火的服装面料
CN107059209A (zh) 一种具有超强吸汗且不易变形的面料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220324

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7056833

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150