JP7056649B2 - ペースト状樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ペースト状樹脂組成物に関する。さらには、ペースト状樹脂組成物を使用した、回路基板、半導体チップパッケージ及び電子部材に関する。
近年、電子機器の小型化及び高機能化が進み、プリント配線板における半導体素子の実装密度は高くなる傾向にある。実装される半導体素子の高機能化も相俟って、半導体素子が発生する熱を効率的に放熱する技術が求められている。
例えば、特許文献1には、樹脂及び所定の要件を満たすアルミナを含む樹脂組成物を硬化させた絶縁層を回路基板に用いることで、放熱させることが開示されている。
特開2012-77123号公報
本発明者らは、半導体素子が発生する熱を更に効率的に放熱させるべく検討した。その結果、例えば炭化ケイ素を樹脂組成物に含有させると、絶縁層の熱伝導率を高くすることができるが、樹脂組成物の粘度が上昇してしまい、樹脂組成物を回路基板等に塗布できないおそれがあることを知見した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、熱伝導率が高い硬化物を得ることができる、粘度が低いペースト状樹脂組成物;該ペースト状樹脂組成物を使用した、回路基板、半導体チップパッケージ、及び電子部材を提供することにある。
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)エポキシ樹脂、(B)液状硬化剤、(C)熱伝導性フィラー、及び(D)分散剤を含有させることで、熱伝導率が高い硬化物を得ることができる、粘度が低いペースト状樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、
(B)液状硬化剤、
(C)熱伝導性フィラー、及び
(D)分散剤、を含有する、ペースト状樹脂組成物。
[2] ペースト状樹脂組成物中に含まれる有機溶剤の含有量が、ペースト状樹脂組成物の全質量に対して、1.0質量%未満である、[1]に記載のペースト状樹脂組成物。
[3] ペースト状樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が、2.0W/mK以上である、[1]又は[2]に記載のペースト状樹脂組成物。
[4] (D)成分が、オキシアルキレン含有リン酸エステルを含む、[1]~[3]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[5] (C)成分が、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種以上を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[6] (C)成分が、炭化ケイ素を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[7] 炭化ケイ素の平均粒径が、1μm以上30μm以下である、[6]に記載のペースト状樹脂組成物。
[8] (C)成分が、さらに、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種以上を含む、[6]又は[7]に記載のペースト状樹脂組成物。
[9] (C)成分の含有量が、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、60質量%以上95質量%以下である、[1]~[8]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[10] (B)成分が、ポリチオール化合物、及び液状フェノール樹脂から選ばれる1種以上を含む、[1]~[9]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[11] (B)成分が、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、チオグリコール酸オクチル、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、3-メルカプトプロピオン酸、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、4,4’-イソプロピリデンビス[(3-メルカプトプロポキシ)ベンゼン]から選ばれる1種以上のポリチオール化合物、及びアルケニル基含有ノボラック型フェノール樹脂から選ばれる液状フェノール樹脂から選ばれる1種以上を含む、[1]~[10]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[12] ペースト状樹脂組成物の25℃における粘度が、350Pa・s以下である、[1]~[11]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物。
[13] [1]~[12]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む回路基板。
[14] [13]に記載の回路基板と、該回路基板上に搭載された半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
[15] [1]~[12]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物により封止された半導体チップを含む半導体チップパッケージ。
[16] ヒートシンクと、該ヒートシンク上に設けられた[1]~[12]のいずれかに記載のペースト状樹脂組成物の硬化物と、該硬化物上に装着された電子部品と、を有する電子部材。
本発明によれば、熱伝導率が高い硬化物を得ることができる、粘度が低いペースト状樹脂組成物;該ペースト状樹脂組成物を使用した、回路基板、半導体チップパッケージ、及び電子部材を提供することができる。
図1は、本発明の半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)の一例を示した概略断面図である。
以下、本発明のペースト状樹脂組成物、回路基板、半導体チップパッケージ、及び電子部材について詳細に説明する。
[ペースト状樹脂組成物]
ペースト状樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)液状硬化剤、(C)熱伝導性フィラー、及び(D)分散剤、を含有する。(A)~(D)成分を含有することにより、ペースト状樹脂組成物の粘度を低くすることができ、その硬化物の熱伝導率を高くすることができる。また、ペースト状樹脂組成物はペースト状であるため、その硬化物と回路基板等の電子部材との密着性が向上する。ペースト状樹脂組成物の硬化物は熱伝導率が高く、且つ密着性が向上することから、該電子部材の放熱効率を向上させることができる。ペースト状樹脂組成物は、25℃でペースト状である。ペースト状とは、回路基板等の電子部材に塗布することが可能な粘度を有する糊状の性状を表す。
ペースト状樹脂組成物は、(A)成分~(D)成分の他に、必要に応じてさらに(E)硬化促進剤、(F)難燃剤及び(G)任意の添加剤を含んでいてもよい。以下、ペースト状樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)エポキシ樹脂>
ペースト状樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含む。(A)成分を含有させることにより、絶縁信頼性を向上させることができる。
(A)成分としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。樹脂組成物は、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)を含むことが好ましく、液状エポキシ樹脂と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(「固体状エポキシ樹脂」ともいう。)を組み合わせて含むことがより好ましい。液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族系液状エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系固体状エポキシ樹脂がより好ましい。本発明において、芳香族系のエポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂を意味する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びシクロヘキサン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.01~1:5の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.05~1:1の範囲がより好ましく、1:0.1~1:0.5の範囲がさらに好ましい。
(A)成分の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分全体を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(A)成分のエポキシ当量は、好ましくは50~5000、より好ましくは50~3000、さらに好ましくは80~2000、さらにより好ましくは110~1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
(A)成分の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(B)液状硬化剤>
ペースト状樹脂組成物は、(B)液状硬化剤を含む。(B)成分と後述する(D)分散剤とを組み合わせて含ませることにより、ペースト状樹脂組成物の粘度を低くすることができる。(B)成分としては、(A)成分を硬化させる機能を有し、温度20℃で液状の硬化剤であれば特に限定されず、例えば、ポリチオール化合物、液状フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾール等が挙げられる。(B)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、ペースト状樹脂組成物を低温度域で硬化させることができ、さらにペースト状樹脂組成物の低粘度化にも大きく寄与させる観点から、ポリチオール化合物、及び液状フェノール樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、ポリチオール化合物、及び液状フェノール樹脂のいずれか一方を含むことが好ましい。
ポリチオール化合物は、エポキシ基を架橋もしくは重合する化合物であれば特に限定されないが、1分子中のチオール基数が2~6(2官能~6官能)であるものが好ましく、3~6(3官能~6官能)であるものが好ましい。このようなポリチオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(略称:TMTP)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(略称:PEMP)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)(略称:DPMP)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート(略称:TEMPIC)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート(略称:TMPIC)、チオグリコール酸オクチル(略称:OTG)、エチレングリコールビスチオグリコレート(略称:EGTG)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート(略称:TMTG)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(略称:PETG)、3-メルカプトプロピオン酸(略称:3-MPA)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(略称:TPMB)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)(略称:TEMB)、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、4,4’-イソプロピリデンビス[(3-メルカプトプロポキシ)ベンゼン]等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法で合成することができ、例えば、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート(略称:TMPIC)や4,4’-イソプロピリデンビス[(3-メルカプトプロポキシ)ベンゼン]は、例えば、特開2012-153794号公報や国際公開第2001/00698号に記載の方法で合成することができる。
ポリチオール化合物は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば「PEMP」(SC有機化学社製)、「OTG」、「EGTG」、「TMTG」、「PETG」、「3-MPA」、「TMTP」、「PETP」(淀化学社製)、「TEMP」、「PEMP」、「TEMPIC」、「DPMP」(堺化学工業社製)、「PE-1」(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))、「BD-1」(1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン)、「NR-1」(1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、「TPMB」、「TEMB」(昭和電工社製)、「TS-G」(メルカプトエチルグリコール)(四国化成工業社製)等が挙げられる。ポリチオール化合物は1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリチオール化合物のチオール基当量は、好ましくは50~500g/eq、より好ましくは75~300g/eq、さらに好ましくは100~200g/eqである。「チオール基当量」とは1グラム当量のチオール基を含む樹脂のグラム数(g/eq)であり、公知の方法、例えばでんぷんを指示薬として用いるヨウ素溶液滴定法により測定できる。
液状フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を含む温度20℃で液状の樹脂である限り特に限定されない。フェノール性水酸基を含む温度20℃で液状の樹脂としては、クレゾール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、および、それらの変性物等)、液状のアルケニル基含有フェノール樹脂等が挙げられ、液状のアルケニル基含有フェノール樹脂が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4、特に好ましくは3である。中でも、アルケニル基としては、2-プロペニル基(アリル基)が好ましい。
液状のアルケニル基含有フェノール樹脂としては、アルケニル基含有ノボラック型フェノール樹脂が挙げられ、下記式(1)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
Figure 0007056649000001
〔式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルケニル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、jは0~5の整数を表す。但し、R、R、R、R及びRの少なくとも1つはアルケニル基である。〕
式(1)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルケニル基を表す。但し、式(1)中、R、R、R、R及びRの少なくとも1つはアルケニル基である。アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4、特に好ましくは3である。中でも、アルケニル基としては、2-プロペニル基(アリル基)が好ましい。
式(1)中、アルケニル基の個数は、1以上であれば特に限定されないが、好ましくはベンゼン環1個当たり1個又は2個、より好ましくはベンゼン環1個当たり1個である。
式(1)中、複数あるRは、互いに同一でも相異なっていてもよい。R、R、R及びRについても同様である。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4、1~3、又は1である。
式(1)中、Rが複数存在する場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rについても同様である。
式(1)中、jは0~5の整数、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
~Rは、置換基を有していなくてもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、-OH、-O-C1-6アルキル基、-N(C1-6アルキル基)、C1-6アルキル基、C6-10アリール基、-NH、-CN、-C(O)O-C1-6アルキル基、-COOH、-C(O)H、-NO等が挙げられる。ここで、「Cp-q」(p及びqは正の整数であり、p<qを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がp~qであることを表す。例えば、「C1-6アルキル基」という表現は、炭素原子数1~6のアルキル基を示す。上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
液状フェノール樹脂は市販品を使用してもよい。液状フェノール樹脂の市販品としては、例えば、明和化成社製「MEH-8000H」、「MEH-8005」等が挙げられる。
液状フェノール樹脂のフェノール性水酸基当量は、好ましくは50~500g/eq、より好ましくは75~300g/eq、さらに好ましくは100~200g/eqである。フェノール性水酸基当量は、JIS K0070に従って測定することができ、1当量のフェノール性水酸基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂と液状硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[液状硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.1~1:10の範囲が好ましく、1:0.5~1:5がより好ましく、1:0.5~1:3がさらに好ましい。ここで、液状硬化剤の反応基とは、チオール基、フェノール性水酸基等であり、液状硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、液状硬化剤の反応基の合計数とは、各液状硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての液状硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と液状硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、ペースト状樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
(B)成分の含有量は、ペースト状樹脂組成物の低粘度化の観点から、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分全体を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。上限は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
(A)成分と(B)成分の合計含有量は、ペースト状樹脂組成物の低粘度化及び絶縁信頼性を向上させる観点から、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。該合計含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
<(C)熱伝導性フィラー>
ペースト状樹脂組成物は(C)熱伝導性フィラーを含む。(C)成分を含有させることで熱伝導率が高い硬化物(絶縁層)を得ることができる。
(C)成分の材料は、例えば、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)等が挙げられる。(C)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、2種以上の同一材料を組み合わせて用いてもよい。中でも(C)成分は、熱伝導率が高い硬化物を得る観点から、炭化ケイ素を含むことが好ましい。また、(C)成分は、熱伝導率が高い硬化物を得るとともに、粘度を低下させる観点から、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる2種以上を含むことがより好ましく、炭化ケイ素とともに、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種以上を含むことがさらに好ましい。
熱伝導性フィラーの熱伝導率は、熱伝導率が高い硬化物を得る観点から、好ましくは30W/m・K以上、より好ましくは170W/m・K以上、さらに好ましくは270W/m・K以上である。上限は特に限定されないが、1000W/m・K以下等とし得る。
炭化ケイ素の平均粒径は、熱伝導率が高い硬化物を得る観点から、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。平均粒径の下限は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。
炭化ケイ素を除く(C)成分の平均粒径は、熱伝導率が高い硬化物を得るとともにペースト状樹脂組成物の粘度を低下させる観点から、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下である。平均粒径の下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.08μm以上である。
(C)成分の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、(C)成分を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-500」、島津製作所社製「SALD2200」等を使用することができる。
(C)成分の比表面積は、熱伝導率に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは0.01m/g以上、より好ましくは0.025m/g以上、さらに好ましくは0.05m/g以上である。上限は好ましくは30m/g以下、より好ましくは25m/g以下、さらに好ましくは20m/g以下である。(C)成分の比表面積は、窒素BET法により測定することができる。具体的には自動比表面積測定装置を使用して測定することができ、自動比表面積測定装置としては、マウンテック社製「Macsorb HM-1210」等を使用することができる。
(C)成分のアスペクト比は、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、2以下、又は1.5以下である。下限は1.0以上等とし得る。斯かる範囲内のアスペクト比を有する(C)成分をペースト状樹脂組成物に含有させることで、粘度を上昇させずに熱伝導率に優れる硬化物を得ることができる。アスペクト比とは、(C)成分の粉体の長辺の長さを短辺の長さで除した値を指す。
(C)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばデンカ社製「DAW-0525」、「ASFP-20」、信濃電気製錬社製「SSC-A01」、「SSC-A15」、「SSC-A30」、トクヤマ社製「HF-01」、三井化学社製「MBN-010T」等が挙げられる。
(C)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、(C)成分の分散性向上の観点から、(C)成分100質量部に対して、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、(C)成分の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。(C)成分の単位表面積当たりのカーボン量は、(C)成分の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
(C)成分の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の(C)成分を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された(C)成分に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて(C)成分の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(C)成分は、平均粒径が異なる2種の同一材料を組み合わせて用いることが好ましい。このような構成とすることにより、熱伝導率がより高い硬化物を得るとともにペースト状樹脂組成物の粘度をより低下させることができる。2種の同一材料において、平均粒径が小さい(C)成分をC1とし、平均粒径が大きい(C)成分をC2とした場合、その質量比(C1/C2)としては、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上である。上限は好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下である。
(C)成分の含有量は、熱伝導率に優れる硬化物を得、ペースト状樹脂組成物の粘度を低下させる観点から、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
(C)成分の含有量は、熱伝導率に優れる硬化物を得、ペースト状樹脂組成物の粘度を低下させる観点から、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上又は55体積%以上である。上限は、好ましくは90体積%以下、より好ましくは85体積%以下、さらに好ましくは80体積%以下又は75体積%以下である。
<(D)分散剤>
ペースト状樹脂組成物は、(D)分散剤を含有する。(D)成分を(B)成分とともに含有させることで、ペースト状樹脂組成物の流動性が向上し、その結果ペースト状樹脂組成物の粘度を低下させることができる。(D)成分としては、ペースト状樹脂組成物の粘度を低下させることができれば特に限定されず、例えば、オキシアルキレン含有リン酸エステル、チタネート系カップリング剤、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸系分散剤等が挙げられ、オキシアルキレン含有リン酸エステル、チタネート系カップリング剤が好ましい。(D)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オキシアルキレン含有リン酸エステルとしては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルは、アルキル-オキシ-ポリ(アルキレンオキシ)基が、リン酸塩のリン原子に、1~3個結合している形態を有している。
アルキル-オキシ-ポリ(アルキレンオキシ)基におけるポリ(アルキレンオキシ)部位のアルキレンオキシの繰り返し単位数としては、特に制限されないが、例えば、2~30が好ましく、3~20がより好ましい。
ポリ(アルキレンオキシ)部位におけるアルキレン基としては、炭素原子数が2~4のアルキレン基が好ましい。このようなアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチル基等が挙げられる。
アルキル-オキシ-ポリ(アルキレンオキシ)基におけるアルキル基としては、炭素原子数が6~30のアルキル基が好ましく、炭素原子数が8~20のアルキル基がより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
なお、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルが複数のアルキル-オキシ-ポリ(アルキレンオキシ)基を有している場合、複数のアルキル基、及びポリ(アルキレンオキシ)部位におけるアルキレン基は、異なっていてもよいが、同一であってもよい。なお、オキシアルキレン含有リン酸エステルは、アミンなどとの混合物であってもよい。
オキシアルキレン含有リン酸エステルの酸価は、好ましくは10以上、より好ましくは15以上であり、また、好ましくは200以下、より好ましくは150以下である。酸価は、中和滴定法などによって測定される。
オキシアルキレン含有リン酸エステルは市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば楠本化成社のHIPLAADシリーズ(例えば「ED152」、「ED153」、「ED154」、「ED118」、「ED174」、「ED251」等)等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリスステアロイルチタネ-ト、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルピロホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネートが好ましい。
チタネート系カップリング剤は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば味の素ファインテクノ社製の「プレンアクト55」、「プレンアクトTTS」、「プレンアクト46B」等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、ペースト状樹脂組成物の低粘度化の観点から、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分全体を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
<(E)硬化促進剤>
一実施形態において、ペースト状樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含有し得る。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、ペースト状樹脂組成物の粘度を低下させ、ペースト状樹脂組成物の硬化物の密着性を向上させる観点から、リン系硬化促進剤が好ましい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸及びその塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
ペースト状樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分全体を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。硬化促進剤の含有量を斯かる範囲内とすることで、粘度を低下させることができ、硬化物の密着性も向上させることができる。
<(F)難燃剤>
一実施形態において、ペースト状樹脂組成物は、(F)難燃剤を含有し得る。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA-HQ」、大八化学工業社製の「PX-200」等が挙げられる。難燃剤としては加水分解しにくいものが好ましく、例えば、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド等が好ましい。
ペースト状樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に限定されないが、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%~20質量%、より好ましくは0.5質量%~15質量%、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%がさらに好ましい。
<(G)任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、無機充填材(但し、(C)成分に該当するものは除く)、有機充填材、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに、バインダー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
<ペースト状樹脂組成物の物性、用途>
ペースト状樹脂組成物中に含まれる有機溶剤の含有量は、ペースト状樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、0.1質量%以下である。下限は、特に制限はないが0.001質量%以上、又は含有しないことである。本発明のペースト状樹脂組成物は、有機溶剤を含まなくても、その粘度を低くすることができる。このように有機溶剤の量が少ないことにより、有機溶剤の揮発によるボイドの発生を抑制することができるので、回路基板等の電子部材との密着性を良好にでき、その結果、該電子部材の放熱効率を向上させることができる。ここで、有機溶剤とは、(A)成分を硬化させる機能を有さない、25℃で液体の成分をいう。
ペースト状樹脂組成物の25℃における粘度は、好ましくは350Pa・s以下、より好ましくは330Pa・s以下、さらに好ましくは310Pa・s以下である。下限は特に制限はないが、1Pa・s以上、10Pa・s以上等とし得る。粘度は、後述する[粘度の測定]の記載に従って測定することができる。ペースト状樹脂組成物の粘度を斯かる範囲内とすることでペースト状樹脂組成物の流動性が高くなり、また、密着性も向上する。
ペースト状樹脂組成物の硬化物(例えば、ペースト状樹脂組成物を150℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物、ペースト状樹脂組成物を120℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物、又はペースト状樹脂組成物を150℃60分間熱硬化させた後、さらに180℃60分間熱硬化させて得られた硬化物)は、優れた熱伝導率を示す。即ち熱伝導率が高い絶縁層をもたらす。熱伝導率としては、1.0W/m・K以上、好ましくは2.0W/m・K以上、より好ましくは3.0W/m・K以上、さらに好ましくは5.0W/m・K以上である。熱伝導率の上限は特に限定されないが、10W/m・K以下等とし得る。熱伝導率の評価は、後述する[熱伝導率の測定]に記載の方法に従って測定することができる。
ペースト状樹脂組成物を150℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、優れた密着性を示す。即ち密着性に優れる絶縁層をもたらす。該硬化物のダイシェア強度としては、好ましくは10N以上、より好ましくは20N以上である。上限は特に限定されないが、200N以下等とし得る。密着性の評価は、後述する[密着性の評価]に記載の方法に従って測定することができる。該硬化物は優れた密着性を示すとともに優れた熱伝導率を示すことから、硬化物と接触する電子部材等への放熱効率を高くすることができる。
ペースト状樹脂組成物は流動性が高いペースト状であるため、例えば、ペースト状樹脂組成物をシリンジで注入し、ペースト状樹脂組成物を押圧して均一な厚みなるように広げて樹脂組成物層を形成することが可能となる。このため、特開2012-77123号公報に記載されているように、有機溶剤を用いて樹脂ワニスを作製し、樹脂ワニスを乾燥させて有機溶剤を除去し、フィルム状に成形(樹脂組成物層を形成)する必要はない。ペースト状樹脂組成物は、有機溶剤を用いて樹脂ワニスを作製する必要がないので、有機溶剤が存在することによって、電子部材の放熱効率が低下してしまうおそれはない。
本発明のペースト状樹脂組成物は熱伝導率及び密着性が高い絶縁層をもたらすことができる。したがって、本発明のペースト状樹脂組成物は、ヒートシンクと電子部品とを接着するためのペースト状樹脂組成物(ヒートシンクの接着用ペースト状樹脂組成物)、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するためのペースト状樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用ペースト状樹脂組成物)、回路基板(プリント配線板を含む)の絶縁層を形成するためのペースト状樹脂組成物(回路基板の絶縁層用ペースト状樹脂組成物)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するためのペースト状樹脂組成物(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用ペースト状樹脂組成物)としてさらに好適に使用することができる。また、半導体チップを封止するためのペースト状樹脂組成物(半導体チップ封止用ペースト状樹脂組成物)、半導体チップに配線を形成するためのペースト状樹脂組成物(半導体チップ配線形成用ペースト状樹脂組成物)としても好適に使用することができる。
[回路基板]
本発明の回路基板は、本発明のペースト状樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
本発明の回路基板の製造方法は、
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)ペースト状樹脂組成物を、配線層が埋め込まれるように、配線層付き基材上に塗布し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)配線層を層間接続する工程を含む。また、回路基板の製造方法は、(4)基材を除去する工程、を含んでいてもよい。
工程(3)は、配線層を層間接続することができれば特に限定されないが、絶縁層にビアホールを形成し、配線層を形成する工程、及び絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させる工程の少なくともいずれかの工程であることが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。通常、配線層付き基材は、基材の両面に基材の一部である第1金属層、第2金属層をそれぞれ有し、第2金属層の基材側の面とは反対側の面に配線層を有する。詳細は、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。
基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、基板表面に銅箔等の金属層が形成されていてもよい。また、表面に剥離可能な第1金属層及び第2金属層(例えば、三井金属鉱業社製のキャリア銅箔付極薄銅箔、商品名「Micro Thin」)等の金属層が形成されていてもよい。
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよい。
基材とドライフィルムとの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
ドライフィルムを基材上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
配線層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。配線層の最小ピッチは、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。中でも、配線層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
配線層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは3μm~35μm、より好ましくは5μm~30μm、さらに好ましくは10~20μm、又は15~20μmである。工程(3)において絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合は、層間接続する配線と、接続しない配線の厚みは異なっていることが好ましい。配線層の厚みは、前述のパターン形成を繰り返すことで調整することができる。各配線層のうち、最も厚みがある配線層(導電性ピラー)の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは2μm以上100μm以下である。また層間接続する配線は凸型となっていてもよい。
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。形成する配線層のピッチについては、先述のとおりである。
<工程(2)>
工程(2)は、ペースト状樹脂組成物を、配線層が埋め込まれるように、配線層付き基材上に塗布し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。詳細は、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層上に、ペースト状樹脂組成物を塗布し、ペースト状樹脂組成物を熱硬化させ絶縁層を形成する。
配線層とペースト状樹脂組成物の塗布は、例えば、ペースト状樹脂組成物をシリンジで注入し、ペースト状樹脂組成物を押圧して均一の厚さの樹脂組成物層を形成することにより行うことができる。
配線層が埋め込まれるように配線層付き基材上にペースト状樹脂組成物を塗布した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は、ペースト状樹脂組成物の種類等によっても異なるが、例えば、硬化温度は120℃~240℃の範囲、硬化時間は5分間~120分間の範囲とすることができる。樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。
樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成した後、絶縁層表面を研磨してもよい。研磨方法は特に限定されず、公知の方法にて研磨すればよく、例えば平面研削盤を用いて絶縁層表面を研磨することができる。
<工程(3)>
工程(3)は、配線層を層間接続する工程である。詳細は、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程である。または絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程である。
絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程を採用する場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。
ビアホール形成後、ビアホール内のスミア除去工程である、いわゆるデスミア工程を行なってもよい。後述する導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。また、デスミア工程は粗化処理工程を兼ねていてもよい。
導体層を形成する前に、ビアホール及び絶縁層に対して粗化処理を行ってもよい。粗化処理は通常行われる公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra)としては、好ましくは350nm以上、より好ましくは400nm以上、さらに好ましくは450nm以上である。上限は、好ましくは700nm以下、より好ましくは650nm以下、さらに好ましくは600nm以下である。表面粗さ(Ra)は、例えば、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
ビアホールを形成後、導体層を形成する。導体層を構成する導体材料は特に限定されず、導体層は、めっき、スパッタ、蒸着等従来公知の任意好適な方法により形成することができ、めっきにより形成することが好ましい。好適な一実施形態は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。
詳細は、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成する。その際、電解めっき層の形成とともに、ビアホールを電解めっきにより埋め込んでフィルドビアを形成してもよい。電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。なお、導体層を形成する際、マスクパターンの形成に用いるドライフィルムは、上記ドライフィルムと同様である。
導体層は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また導体層は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
また、導体層は、めっきシード層形成後、マスクパターンを用いずに電解めっき層及びフィルドビアを形成し、その後、エッチングによるパターニングを行うことにより形成してもよい。
絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合、絶縁層の研磨方法又は研削方法としては、配線層を露出させることができ、研磨又は研削面が水平であれば特に限定されず、従来公知の研磨方法又は研削方法を適用することができ、例えば、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法等が挙げられる。絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程と同様に、スミア除去工程、粗化処理を行う工程を行ってもよく、導体層を形成してもよい。また、全ての配線層を露出させる必要はなく、配線層の一部を露出させてもよい。
<工程(4)>
工程(4)は、基材を除去し、本発明の回路基板を形成する工程である。基材の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、第1及び第2金属層の界面で回路基板から基材を剥離し、第2金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。必要に応じて、導体層を保護フィルムで保護した状態で基材を剥離してもよい。
[半導体チップパッケージ]
本発明の半導体チップパッケージの第1の態様は、上記回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージである。上記回路基板に、半導体チップを接合することにより半導体チップパッケージを製造することができる。
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。また、半導体チップと回路基板間に絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間)とすることができる。
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃~300℃の範囲とすることができる。
半導体チップを回路基板に接合した後、例えば、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填することで半導体チップパッケージを得ることも可能である。モールドアンダーフィル材で充填する方法は公知の方法で実施することができる。モールドアンダーフィル材は、ペースト状樹脂組成物を使用してもよい。
本発明の半導体チップパッケージの第2の態様は、例えば、図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)である。図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)100は、封止層120を、本発明のペースト状樹脂組成物で製造した半導体チップパッケージである。半導体チップパッケージ100は、半導体チップ110、半導体チップ110の周囲を覆うように形成された封止層120、半導体チップ110の封止層に覆われている側とは反対側の面に再配線形成層(絶縁層)130、導体層(再配線層)140、ソルダーレジスト層150、及びバンプ160を備える。このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)本発明のペースト状樹脂組成物を、半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程、
(F)再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程、及び
(G)導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程、を含む。
また、半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程を含み得る。
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムの積層条件は、前述の工程(1)での基材とドライフィルムとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
基材に使用する材料は特に限定されない。基材としては、シリコンウェハー;ガラスウェハー;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等のガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板などが挙げられる。
仮固定フィルムは、後述する工程(D)において半導体チップから剥離することができるとともに、半導体チップを仮固定することができれば材料は特に限定されない。仮固定フィルムは市販品を用いることができる。市販品としては、日東電工社製のリヴァアルファ等が挙げられる。
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適宜設定することができ、例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に整列させて仮固定することができる。
<工程(C)>
工程(C)は、本発明のペースト状樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程である。
ペースト状樹脂組成物の塗布、熱硬化条件は、前述の回路基板の製造方法における工程(2)におけるペースト状樹脂組成物の塗布方法、熱硬化条件と同様である。
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離する方法は、仮固定フィルムの材質等に応じて適宜変更することができ、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法、及び基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法等が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃~250℃で1秒間~90秒間又は5分間~15分間である。また、基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm~1000mJ/cmである。
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料は、再配線形成層(絶縁層)形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。
再配線形成層(絶縁層)を形成後、半導体チップと後述する導体層を層間接続するために、再配線形成層(絶縁層)にビアホールを形成してもよい。
ビアホールを形成するにあたって、再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が感光性樹脂である場合、まず、再配線形成層(絶縁層)の表面にマスクパターンを通して活性エネルギー線を照射し、照射部の最配線層を光硬化させる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量、照射時間は、感光性樹脂に応じて適宜変更することができる。露光方法としては、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させて露光する接触露光法と、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法のいずれを用いてもよい。
次に、再配線形成層(絶縁層)を現像し、未露光部を除去することで、ビアホールを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれも好適である。ウェット現像で用いる現像液は公知の現像液を用いることができる。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が熱硬化性樹脂である場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。レーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、UV-YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径(再配線形成層(絶縁層)表面の開口の直径)は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程である。再配線形成層(絶縁層)上に導体層を形成する方法は、回路基板の製造方法における工程(3)の絶縁層にビアホールを形成した後の導体層を形成する方法と同様であり、好ましい範囲も同様である。なお、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、導体層(再配線層)及び再配線形成層(絶縁層)を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
<工程(G)>
工程(G)は、導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。
ソルダーレジスト層を形成する材料は、ソルダーレジスト層形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなど公知の方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は工程(E)と同様に行うことができる。
<工程(H)>
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)~(G)以外に工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。
半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の半導体チップパッケージの第3の態様は、例えば、図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)における再配線形成層(絶縁層)130、ソルダーレジスト層150を本発明のペースト状樹脂組成物で製造した半導体チップパッケージである。
[半導体装置]
本発明の半導体チップパッケージを実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
[電子部材]
本発明の電子部材は、ヒートシンクと、該ヒートシンク上に設けられた本発明のペースト状樹脂組成物の硬化物と、該硬化物上に装着された電子部品とを有する。ペースト状樹脂組成物の硬化物は、熱伝導率及び密着性に優れることから、例えば、ペースト状樹脂組成物の硬化物をヒートシンクに接着させるようにヒートシンク上に設け、該硬化物上に電子部品を装着することにより、電子部品のヒートシンクへの放熱効率が高くなる。硬化物の形成方法は、先述の工程(C)と同様の方法により行うことができる。
電子部品としては、例えば、半導体チップ、パワー半導体、LED-PKG等が挙げられる。電子部材としては、例えば、回路基板、半導体チップパッケージ、半導体装置等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
[ペースト状樹脂組成物の調製]
<実施例1>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169g/eq、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)17部に、液状分散剤(楠本化成社製「ED152」、アルキレンオキシド含有リン酸エステル)1部を添加し、シンキー社製あわとり練太郎を用いて均一に撹拌しエポキシ樹脂組成物を得た。次に、得られたエポキシ樹脂組成物に、液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)14部、及び硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP-DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸)0.14部を加えて撹拌し、ベース樹脂組成物を調製した。
ベース樹脂組成物に、熱伝導性フィラー(球状アルミナ粉末、デンカ社製「DAW-0525」、平均粒径5.3μm、比表面積:0.4m/g、アスペクト比1.0)69部を加えて混練してペースト状樹脂組成物1を得た。ペースト状樹脂組成物1の有機溶剤含有量は、ペースト状樹脂組成物1の全質量に対して、0質量%であった。
<実施例2>
実施例1において、熱伝導性フィラー(球状アルミナ粉末、デンカ社製「DAW-0525」、平均粒径5.3μm、比表面積:0.4m/g、アスペクト比1.0)69部を、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A01」、平均粒径1.4μm、比表面積:5.0m/g、アスペクト比1.25)64部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてペースト状樹脂組成物2を得た。
<実施例3>
実施例1において、熱伝導性フィラー(球状アルミナ粉末、デンカ社製「DAW-0525」、平均粒径5.3μm、比表面積:0.4m/g、アスペクト比1.0)69部を、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A15」、平均粒径18.6μm、比表面積:0.3m/g、アスペクト比1.25)64部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてペースト状樹脂組成物3を得た。
<実施例4>
実施例1において、熱伝導性フィラー(球状アルミナ粉末、デンカ社製「DAW-0525」、平均粒径5.3μm、比表面積:0.4m/g、アスペクト比1.0)69部を、熱伝導性フィラー(トクヤマ社製「HF-01」の球状窒化アルミニウム粉末を、アドマッテクス社においてフェニルアミノシランで表面処理したもの、平均粒径0.9μm~1.4μm、比表面積:2.3m/g~2.9m/g、アスペクト比1.0~1.1)65部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてペースト状樹脂組成物4を得た。
<実施例5>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169g/eq、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)3部、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、「ZX1658GS」、エポキシ当量130-140g/eq)3部を金属容器に計量し、そこに、テトラメチルビフェノール型固形エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量187-197g/eq)1部を計量した。その後、IHヒーターを用いて溶解した。
冷却後、分散剤(楠本化成社製「ED152」、アルキレンオキシド含有リン酸エステル)4部を添加し、均一に撹拌しエポキシ樹脂組成物を得た。
次に、得られたエポキシ樹脂組成物に液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)6部、及び硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP-DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸)0.14部を加えて撹拌し、ベース樹脂組成物を調製した。
ベース樹脂組成物に熱伝導性フィラー(アルミナ粉末、デンカ社製「ASFP-20」、平均粒径0.2μm~0.5μm、比表面積:12m/g~18m/g、アスペクト比1.0)13部、熱伝導性フィラー(アルミナ粉末、デンカ社製「DAW-0525」、平均粒径5.3μm、比表面積:0.4m/g、アスペクト比1.0)19部、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A01」、平均粒径1.4μm、比表面積:5.0m/g、アスペクト比1.25)13部、及び熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A15」、平均粒径18.6μm、比表面積:0.3m/g、アスペクト比1.25)38部を加えて撹拌してペースト状樹脂組成物5を得た。
<実施例6>
実施例5において、
1)ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169g/eq、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)の量を3部から4部とし、
2)テトラメチルビフェノール型固形エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量187-197g/eq)の量を1部から2部とし、
3)液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)6部を、液状硬化剤(明和化成社製「MEH-8000H」、2-アリルフェノール・ホルムアルデヒド重縮合物、OH当量139-143g/eq)8部に変え、
4)分散剤(楠本化成社製「ED152」、アルキレンオキシド含有リン酸エステル)の量を4部から1部に変えた。
以上の事項以外は実施例5と同様にしてペースト状樹脂組成物6を得た。
<実施例7>
実施例5において、分散剤(楠本化成社製「ED152」、アルキレンオキシド含有リン酸エステル)4部を、分散剤(味の素ファインテクノ社製「プレンアクト55」、チタネート系カップリング剤、(テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート))4部に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にしてペースト状樹脂組成物7を得た。
<実施例8>
実施例5において、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A01」、平均粒径1.4μm、比表面積:5.0m/g、アスペクト比1.25)13部を、熱伝導性フィラー(トクヤマ社製「HF-01」の球状窒化アルミニウム粉末を、アドマッテクス社においてフェニルアミノシランで表面処理したもの、平均粒径0.9μm~1.4μm、比表面積:2.3m/g~2.9m/g、アスペクト比1.0~1.1)13部に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にしてペースト状樹脂組成物8を得た。
<実施例9>
実施例5において、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A01」、平均粒径1.4μm、比表面積:5.0m/g、アスペクト比1.25)13部を、熱伝導性フィラー(窒化ホウ素粉末、三井化学社製「MBN-010T」、平均粒径0.9μm~1.0μm、比表面積:13.0m/g、アスペクト比5.0)13部に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にしてペースト状樹脂組成物9を得た。
<実施例10>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169g/eq、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)2部、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、「ZX1658GS」、エポキシ当量130-140g/eq)2部を金属容器に計量し、そこに、テトラメチルビフェノール型固形エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量187-197g/eq)1部を計量した。その後、IHヒーターを用いて溶解した。
冷却後、分散剤(楠本化成社製「ED152」、アルキレンオキシド含有リン酸エステル)3部を添加し、均一に撹拌しエポキシ樹脂組成物を得た。
次に、得られたエポキシ樹脂組成物に液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)4部、及び硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP-DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸)0.09部を加えて撹拌し、ベース樹脂組成物を調製した。
ベース樹脂組成物に熱伝導性フィラー(アルミナ粉末、デンカ社製「ASFP-20」、平均粒径0.2μm~0.5μm、比表面積:12m/g~18m/g、アスペクト比1.0)14部、熱伝導性フィラー(アルミナ粉末、デンカ社製「DAW-0525」、平均粒径5.3μm、比表面積:0.4m/g、アスペクト比1.0)19部、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A01」、平均粒径1.4μm、比表面積:5.0m/g、アスペクト比1.25)14部、及び熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A15」、平均粒径18.6μm、比表面積:0.3m/g、アスペクト比1.25)41部を加えて撹拌してペースト状樹脂組成物10を得た。
<実施例11>
実施例10において、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A15」、平均粒径18.6μm、比表面積:0.3m/g、アスペクト比1.25)41部を、熱伝導性フィラー(球状炭化ケイ素粉末、信濃電気製錬社製「SSC-A30」、平均粒径34.4μm、比表面積:0.1m/g、アスペクト比1.25)41部に変えた。以上の事項以外は実施例10と同様にしてペースト状樹脂組成物11を得た。
<実施例12>
実施例11において、液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)4部を、液状硬化剤(昭和電工社製「PE-1」、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))4部に変えた。以上の事項以外は実施例11と同様にしてペースト状樹脂組成物12を得た。
<実施例13>
実施例12において、液状硬化剤(昭和電工社製「PE-1」、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))の量を4部から3部に変え、さらに液状硬化剤(明和化成社製「MEH-8000H」、2-アリルフェノール・ホルムアルデヒド重縮合物、OH当量139-143g/eq)1部を加えた。以上の事項以外は実施例12と同様にしてペースト状樹脂組成物13を得た。
<比較例1>
実施例5において、
1)ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169g/eq、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)の量を3部から4部に変え、
2)液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)6部を、固形硬化剤(フェノールノボラック樹脂、アイカSDKフェノール社製「BRG-557」、OH当量103-107g/eq)5部に変え、
3)硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP-DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸)の量を0.14部から0.16部に変えた。
以上の事項以外は実施例5と同様にしてペースト状樹脂組成物11を得た。
<比較例2>
実施例5において、
1)ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169g/eq、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)の量を3部から4部に変え、
2)1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、「ZX1658GS」、エポキシ当量130-140g/eq)の量を3部から4部に変え、
3)テトラメチルビフェノール型固形エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量187-197g/eq)の量を1部から2部に変え、
4)液状硬化剤(淀化学工業社製「TMTP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、分子量398、3官能)の量を6部から8部に変え、
5)硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP-DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸)の量を0.14部から0.19部に変え、
6)分散剤(楠本化成社製「ED152」、アルキレンオキシド含有リン酸エステル)を添加しなかった。
以上の事項以外は実施例5と同様にしてペースト状樹脂組成物12を得た。
[粘度の測定]
各実施例及び各比較例のペースト状樹脂組成物の温度を25±2℃に保ち、E型粘度計(東機産業社製「RE-80U」、1°34’×R24コーン、回転数は1rpm)を用いて測定した。
[熱伝導率の測定]
実施例1~4の各ペースト状樹脂組成物を所定容器に入れ、熱循環オーブンで、120℃60分間熱硬化し、厚み10mm×直径φ36mmの円筒状硬化物を作製した。得られた円筒状硬化物を、測定温度25℃、40%RHの恒温環境下で、京都電子工業社製「TPS-2500」を用いて、ホットディスク法により熱伝導率を測定した。
実施例5、7~10及び比較例2の各ペースト状樹脂組成物は、熱循環オーブンで熱硬化させる条件を、120℃60分間から150℃60分間とした。以上の事項以外は実施例1と同様にして熱伝導率を測定した。
実施例6及び比較例1の各ペースト状樹脂組成物は、熱循環オーブンで熱硬化させる条件を、120℃60分間から、150℃60分間熱硬化させた後、さらに180℃60分間とした。以上の事項以外は実施例1と同様にして熱伝導率を測定した。
[密着性の測定]
ニッケルメッキ基板上に、ペースト状樹脂組成物を塗布し、その上にコンデンサチップを載せた。コンデンサチップの接着面積が1.2mm×2.0mmとなるように、コンデンサチップからはみ出したペースト状樹脂組成物を除去し、テストピースを得た。
次に、得られたテストピースのペースト状樹脂組成物を硬化させた。実施例1~4の硬化条件は120℃60分間、実施例5、7~10及び比較例2の硬化条件は150℃60分間、実施例6及び比較例1の硬化条件は150℃60分間熱硬化させた後、さらに180℃60分間とした。
デイジ社製シリーズ4000を用いて、25℃の環境下、200μm/sの速度で、硬化させたペースト状樹脂組成物上のコンデンサチップを引掻くことで硬化させたペースト状樹脂組成物のダイシェア強度を測定した。この操作を3回行いその平均値を求めた。また、以下の基準で密着力を評価した。
◎:ダイシェア強度が20N以上
○:ダイシェア強度が10N以上20N未満
△:ダイシェア強度が10N未満
ペースト状樹脂組成物1~12の調製に用いた成分とその配合量(不揮発分の質量部)を下記表に示した。なお、下記表中の略語等は以下のとおりである。
(C)成分の含有量(質量%):ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(C)成分の含有量
(C)成分の含有量(体積%):ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合の(C)成分の含有量
Figure 0007056649000002
Figure 0007056649000003
実施例1~13は、粘度が低く、熱伝導率が高いことがわかる。また、各実施例は、ダイシェア強度が高いことから密着性に優れることもわかる。
一方、(B)成分を含有しない比較例1、及び(D)成分を含有しない比較例2は、粘度が1000Pa・sを超えてしまい、銅箔やアルミ箔等の金属箔に塗布することができず、ペースト状樹脂組成物として使用できるものではなかった。
実施例1~13において、(E)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。

Claims (11)

  1. (A)エポキシ樹脂、
    (B)液状硬化剤、
    (C)熱伝導性フィラー、及び
    (D)分散剤、を含有し、
    (B)成分が、ポリチオール化合物を含み、
    (C)成分が、炭化ケイ素とともに、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種以上を含み、
    (C)成分は平均粒径が異なる2種の同一材料を組み合わせて用い、
    2種の同一材料において、平均粒径が小さい(C)成分をC1とし、平均粒径が大きい(C)成分をC2とした場合、その質量比(C1/C2)が、0.1以上1以下である、ペースト状樹脂組成物。
  2. ペースト状樹脂組成物中に含まれる有機溶剤の含有量が、ペースト状樹脂組成物の全質量に対して、1.0質量%未満である、請求項1に記載のペースト状樹脂組成物。
  3. ペースト状樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が、2.0W/mK以上である、請求項1又は2に記載のペースト状樹脂組成物。
  4. (D)成分が、オキシアルキレン含有リン酸エステルを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物。
  5. 炭化ケイ素の平均粒径が、1μm以上30μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物。
  6. (C)成分の含有量が、ペースト状樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、60質量%以上95質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物。
  7. ペースト状樹脂組成物の25℃における粘度が、350Pa・s以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む回路基板。
  9. 請求項8に記載の回路基板と、該回路基板上に搭載された半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
  10. 請求項1~7のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物により封止された半導体チップを含む半導体チップパッケージ。
  11. ヒートシンクと、該ヒートシンク上に設けられた請求項1~7のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物の硬化物と、該硬化物上に装着された電子部品と、を有する電子部材。
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