以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両100の概略構成図である。車両100は、駆動源としてのエンジン1と、自動変速機TMと、オイルポンプ3と、駆動輪4と、制御装置としてのコントローラ50と、制動機構としての電動パーキングブレーキ80と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ50からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
自動変速機TMは、トルクコンバータ2と、ベルト式無段変速機構(以下、「CVT」ともいう。)10と、前後進切替機構20と、パークロック機構30と、油圧コントロールバルブユニット40(以下では、単に「バルブユニット40」ともいう。)と、オイル(作動油)を貯留するオイルパン6と、を備える。
自動変速機TMは、Dレンジすなわちドライブレンジ、Rレンジすなわちリバースレンジ、Nレンジすなわちニュートラルレンジ、Pレンジすなわち駐車レンジ等のレンジを有する。自動変速機TMのレンジは、シフター9によって選択される。本実施形態では、DレンジおよびRレンジが走行レンジに相当し、Pレンジ及びNレンジが非走行レンジに相当する。
トルクコンバータ2は、エンジン1と駆動輪4の間の動力伝達経路上に設けられる。トルクコンバータ2は、流体を介して動力を伝達する。また、トルクコンバータ2は、ロックアップクラッチ2aを締結することで、エンジン1からの駆動力の動力伝達効率を高めることができる。
前後進切替機構20は、トルクコンバータ2とCVT10の間の動力伝達経路上に配置される。前後進切替機構20は、第1の締結要素としての前進クラッチ21及び第2の締結要素としての後進ブレーキ22を備える。前進クラッチ21及び後進ブレーキ22は、コントローラ50からの指令に基づき、オイルポンプ3の吐出圧を元圧としてバルブユニット40によって調圧されたオイルによって制御される。
前進クラッチ21及び後進ブレーキ22は、自動変速機TMの選択レンジに応じて締結または解放される。具体的には、前進レンジ(例えば、Dレンジ)が選択されているときには、前進クラッチ21が締結され、トルクコンバータ2からの入力回転がそのまま出力される。これに対し、後進レンジ(例えば、Rレンジ)が選択されているときには、後進ブレーキ22が締結され、トルクコンバータ2からの入力回転を逆転減速して出力する。また、駐車レンジ(Pレンジ)またはニュートラルレンジ(Nレンジ)が選択されているときには、前進クラッチ21及び後進ブレーキ22が解放され、トルクコンバータ2とCVT10との間の動力伝達が遮断される。
CVT10は、動力伝達経路上における前後進切替機構20と駆動輪4との間に配置され、車速やアクセル開度等に応じて変速比を無段階に変更する。CVT10は、プライマリプーリ10aと、セカンダリプーリ10bと、両プーリ10a,10bに巻き掛けられたベルト10cと、を備える。プーリ圧によりプライマリプーリ10aの可動プーリとセカンダリプーリ10bの可動プーリとを軸方向に動かし、ベルト10cのプーリ接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更する。なお、プライマリプーリ10aに作用するプーリ圧及びセカンダリプーリ10bに作用するプーリ圧は、オイルポンプ3からの吐出圧を元圧としてバルブユニット40によって調圧される。
CVT10のセカンダリプーリ10bの出力軸には、図示しない終減速ギア機構を介してディファレンシャル5が接続される。ディファレンシャル5には、ドライブシャフト7を介して駆動輪4が接続される。
オイルポンプ3は、エンジン1の回転がベルトを介して伝達されることによって駆動される。オイルポンプ3は、例えばベーンポンプによって構成される。オイルポンプ3は、オイルパン6に貯留されるオイルを吸い上げ、バルブユニット40にオイルを供給する。バルブユニット40に供給されたオイルは、バルブユニット40によって調圧され、各プーリ10a,10bの駆動や、前後進切替機構20の駆動、自動変速機TMの各要素の潤滑などに用いられる。
電動パーキングブレーキ80は、ブレーキキャリパ(図示せず)に取り付けられたモータ(図示せず)を備える。車両100が停車しているときに車室内に設けられたスイッチSをONにすると、コントローラ50は、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付けるようにモータを駆動する。つまり、電動パーキングブレーキ80は、パーキングブレーキとして機能する。電動パーキングブレーキ80は、スイッチSを操作することによってパーキングブレーキを作動また解除できるだけでなく、スイッチSを操作せずとも所定の条件に基づいて自動で作動または解除される自動パーキングブレーキとしても機能する。
コントローラ50は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ50は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。具体的には、コントローラ50は、自動変速機TMを制御するATCU、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1の制御を行うECU等によって構成することもできる。なお、本実施形態における制御部とは、コントローラ50の後述するパークロック制御を実行する機能を仮想的なユニットとしたものであり、物理的な存在を意味するものではない。
コントローラ50には、エンジン1の回転速度を検出する第1回転速度センサ51、前後進切替機構20の入力回転速度(=トルクコンバータ2の出力回転速度)を検出する第2回転速度センサ52、前後進切替機構20の出力回転速度(=プライマリプーリ10aの回転速度)を検出する第3回転速度センサ53、CVT10の出力回転速度(=セカンダリプーリ10bの回転速度)を検出する第4回転速度センサ54、車速Vを検出する車速センサ55、CVT10のセレクトレンジ(P、D、N、Rレンジを切り替えるシフター9の状態)を検出するインヒビタスイッチ56、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ57、ブレーキの踏力を検出する踏力センサ58、路面の勾配を検出する勾配センサ59、スイッチS等からの信号が入力される。コントローラ50は、入力されるこれらの信号に基づき、エンジン1、自動変速機TMの各種動作を制御する。
次に、図2及び図3を参照して、前後進切替機構20の具体的な構成について説明する。
前後進切替機構20は、コントローラ50からの制御信号に基づいて切り替えられるセレクト用油圧アクチュエータ23(以下、「制御弁23」ともいう。)と、アクチュエータとしての電動モータ70と、シフター9によって選択されたシフトレンジに応じて駆動された電動モータ70によって位置が変更されるレンジセレクトバルブ24と、レンジセレクトバルブ24を位置決め保持するディテント機構60と、をさらに備える。
制御弁23は、バルブユニット40とレンジセレクトバルブ24とを接続する流路25に設けられる。制御弁23は、例えば、3ポート型のソレノイドバルブによって構成される。制御弁23には、バルブユニット40によって調圧されたオイルが供給される。制御弁23は、コントローラ50からの信号によって、バルブユニット40から供給されたオイルを締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)に供給する供給位置と、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)内のオイルをオイルパン6に排出する排出位置と、に切り替えられる。
レンジセレクトバルブ24は、スプール24aを備える。レンジセレクトバルブ24は、後述するディテントプレート61を介して電動モータ70に接続される。これにより、電動モータ70の回転に応じて、スプール24aの位置が切り替えられる。具体的には、スプール24aは、流路25からのオイルの流れを遮断するとともに、前進クラッチ21及び後進ブレーキ22とオイルパン6とが連通する中立位置(図2に示す位置)と、流路25と前進クラッチ21とが連通するとともに、後進ブレーキ22とオイルパン6とが連通する前進位置(図示せず)と、流路25と後進ブレーキ22とが連通するとともに、前進クラッチ21とオイルパン6とが連通する後進位置(図示せず)と、流路25からのオイルの流れを遮断し、前進クラッチ21及び後進ブレーキ22とオイルパン6とが連通する駐車位置(図3に示す位置)と、に切り替えられる。
ディテント機構60は、電動モータ70の回転軸71に固定されたディテントプレート61と、ディテントプレート61の外縁に形成された溝62~65と、溝62~65のいずれかに係合する係合部としての保持ピン66と、保持ピン66を保持し、保持ピン66を係合する溝62~65の底部側に向かって付勢するディテントスプリング67と、を備える。ディテントスプリング67は、弾性を有する部材によって構成され、図示しないボディなどに固定される。
ディテントプレート61には、回転軸71を挟んで複数の溝62~65と反対側に孔68が形成される。孔68には、スプール24aの端部が回動可能に連結される。これにより、ディテントプレート61の回転に伴ってスプール24aを移動させることができる。
溝62~65は、各シフトレンジの位置に対応するように形成されている。具体的には、溝62がPレンジに、溝63がRレンジに、溝64がNレンジに、溝65がDレンジに対応する。
ディテントプレート61は、溝62~65にディテントスプリング67によって付勢された保持ピン66が係合することで、その角度位置に保持される。ディテントプレート61は、レンジセレクトバルブ24のスプール24aに連結しているので、溝62~65に保持ピン66が係合することで、レンジセレクトバルブ24のスプール24aの位置も保持される。つまり、ディテント機構60は、シフター9によって選択されたシフトレンジに対応する位置でレンジセレクトバルブ24のスプール24aの位置を保持する。
次に、パークロック機構30の具体的な構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。
パークロック機構30は、Pレンジが選択されたときに、CVT10(セカンダリプーリ10b)の出力軸8を機械的にロックする。コントローラ50は、シフトレンジがPレンジとPレンジ以外のレンジとの間で変更された場合に、パークロック機構30を制御して、パークロック、またはパークロック解除を行う。
パークロック機構30は、パーキングギア31と、パーキングポール32と、パークロッド33と、カム34と、を備える。
パーキングギア31は、CVT10の出力軸8に固定され、出力軸8とともに回転または停止する。パーキングギア31の外縁部には、パーキングポール32の先端に設けられた爪部32aと係合する歯部31aが所定間隔をあけて複数設けられる。
パーキングポール32は、パークロッド33の動きに応じて支点32bを中心にして揺動する。パーキングポール32が揺動すると、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとの係合状態が変更される。パーキングポール32は、外力が作用していない状態では、捩りばね32cの付勢力によって、図2に示す位置(パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとの係合が解除された位置)に保持される。なお、本実施形態では捩りばね32cを用いているが、捩りばね32cを用いずにパーキングポール32の自重によって図2に示す位置に保持されるようにしてもよい。
図2に示すパーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとの係合が解除された状態では、パーキングギア31に固定された出力軸8のロックが解除されており、パーキングギア31及び出力軸19は回転可能となっている。つまり、図2に示す状態では、パークロック機構30がパークロック解除状態であり、車両100の移動は規制されていない。
これに対し、図3に示すパーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとが係合した状態では、パーキングギア31に固定された出力軸8が機械的にロックされる。これにより、パークロック機構30がパークロック状態になり、車両100の移動が規制される。
パークロッド33の一端は、ディテントプレート61に回動可能に連結される。また、パークロッド33の他端には、カム34が取り付けられる。パークロッド33は、ディテントプレート61の移動に伴って、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとを係合させるパークロックポジションと、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとの係合が解除される非パークロックポジションと、に移動する。
カム34は、パークロッド33の動きに応じてパーキングポール32を揺動させる。パークロッド33が図3に示されるパークロックポジションにある場合には、カム34が捩りばね32cの付勢力に抗してパーキングポール32を揺動させることで、パーキングギア31とパーキングポール32とが係合する。これに対し、パークロッド33が図2に示される非パークロックポジションにある場合には、パーキングポール32には、カム34からの押圧力が作用しない。これにより、パーキングポール32は、捩りばね32cの付勢力によって元の位置に戻され、パーキングギア31とパーキングポール32との係合が解除される。
ところで、Pレンジにシフト操作した後に、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとが係合すると、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとの係合部(噛み合い部)を固定端として、動力伝達経路上に捩りエネルギーが蓄積されてしまうことがある。具体的には、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)内に残圧がある状態、つまり、トルク容量が0になっていない状態で、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとの係合が行われると、エンジン1のトルクが、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)を通じて伝達され、噛み合い部に作用する。これにより、噛み合い部を固定端として、動力伝達経路上に捩りエネルギーが蓄積されてしまうことがある。
この状態から、パークロックを解除した(Pレンジ以外のレンジ位置にシフト操作を行った)場合、蓄積された捩じりエネルギーが一気に解放され、ショックが生じるおそれがある。また、捩りエネルギーにより噛み合い部の押付け面圧(パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aの接触面における面圧)が高くなると、摩擦抵抗が大きくなるので、噛み合いの解放がスムーズに行われないおそれがある。
そこで、本実施形態では、Pレンジにシフト操作したときに、動力伝達経路上に上述のような捩りエネルギーが蓄積されないようにしてパークロック機構30を作動させる(以下では、「パークロック制御」という。)。
以下に、本実施形態におけるパークロック制御について、図4を参照しながら説明する。なお、パークロック制御は、コントローラ50にあらかじめ記憶されたプログラムに基づいて実行される。
図4は、本実施形態に係るパークロック制御の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS11において、コントローラ50は、シフトレンジが走行レンジからPレンジに切り替えられたか否かを判定する。具体的には、コントローラ50は、インヒビタスイッチ56によって検出されたシフトレンジの信号に基づいて、シフトレンジが走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)からPレンジに切り替えられたか否かを判定する。シフトレンジが走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)からPレンジに切り替えられていれば、ステップS12に進み、シフトレンジが走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)からPレンジに切り替えられていなければ、ENDに進む。なお、以下では、走行レンジとして、Dレンジを例に説明するが、走行レンジがRレンジであっても同じフローによってパークロック制御が実行される。
ステップS12では、コントローラ50は、締結要素の解除指令を出力する。具体的には、選択されていた走行レンジ(Dレンジ)に対応する締結要素(前進クラッチ21)を解放するために、コントローラ50は、制御弁23を排出位置に切り替える。これにより、締結されている前進クラッチ21内のオイルの排出が開始される。
ステップS13では、電動パーキングブレーキ80をONにする。具体的には、コントローラ50は、ブレーキキャリパ(図示せず)に取り付けられたモータを制御して、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)にする。なお、この時点では、パークロック機構30は、パークロック解除状態である。
ステップS14では、アクチュエータ(電動モータ70)をそのままの位置に維持する。具体的には、コントローラ50は、シフトレンジが走行レンジ(Dレンジ)からPレンジに切り替えられても、この時点では、電動モータ70を作動させない。このため、ディテントプレート61及びレンジセレクトバルブ24は、溝63(または溝64)と保持ピン66との係合により、そのままの位置(Dレンジ位置)に維持される。
ステップS15では、コントローラ50は、シフトレンジがPレンジから走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)に切り替えられたか否かを判定する。シフトレンジがPレンジのままであれば、ステップS16に進み、シフトレンジがPレンジから走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)に切り替えられていれば、ステップS21に進む。
ステップS16では、締結要素が解放されたか否かを判定する。具体的には、コントローラ50は、前進クラッチ21内の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)からの信号に基づいて、前進クラッチ21が解放されたか否かを判定する。前進クラッチ21が解放されたと判定されれば、ステップS17に進み、前進クラッチ21が解放されていないと判定されれば、ステップS15に戻る。
ステップS17では、アクチュエータ(電動モータ70)を作動させる。具体的には、コントローラ50は、ディテントプレート61をPレンジに対応する位置(溝62と保持ピン66が係合する位置)まで回転させるように、電動モータ70を作動させる。
ステップS18では、パークロックを実行する。具体的には、コントローラ50が電動モータ70を作動させてディテントプレート61を回転させる。これに伴って、ディテントプレート61に連結されたパークロッド33が、パークロックポジション(図2及び図3における右方向)に向かって移動する。パークロッド33がパークロックポジションに向かって移動すると、パークロッド33の先端に取り付けられたカム34のカム面が捩りばね32cの付勢力に抗してパーキングポール32を揺動させ、パーキングギア31の歯部31aとパーキングポール32の爪部32aとが係合する。これにより、パークロック機構30は、パークロック状態になる。
ステップS19では、路面勾配が所定値未満であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ50は、勾配センサ59によって検出された路面の勾配が所定値未満であるか否かを判定する。勾配センサ59によって検出された路面の勾配が所定値未満であれば、ステップS20に進み、電動パーキングブレーキ80をOFF状態(ブレーキ非作動状態)にして、制御を終了する。これに対し、勾配センサ59によって検出された路面の勾配が所定値以上であれば、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持し、制御を終了する。路面の勾配が所定値以上である場合は、坂道などに駐車していることが想定される。このため、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持することで、車両100のずり下がりを防止できる。
このように、本実施形態のパークロック制御では、走行レンジ(Dレンジ)からPレンジに切り替えたときに、前進クラッチ21を解放した後、パークロック機構30をパークロック状態に切り替える。つまり、締結要素(前進クラッチ21)を解放してトルクの伝達を遮断した後、パークロックを実行する。これにより、エンジン1のトルクが、締結要素(前進クラッチ21)を通じて噛み合い部に作用することを防止できるので、パークロック解除時のショックの発生を防止できる。
また、本実施形態のパークロック制御では、走行レンジ(Dレンジ)からPレンジへのシフトチェンジ操作が行われたとき、前進クラッチ21の解放が完了するまでの間、電動パーキングブレーキ80によって車両100を制動する。これにより、走行レンジからPレンジへのシフトチェンジ操作が行われたときに、電動パーキングブレーキ80によって車両100を制動しているので、パークロック機構30がパークロック状態になるまでの間も、車両100の移動を確実に規制できる。
続いて、ステップS21以下のフローについて説明する。
ステップS15において、シフトレンジがPレンジから走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)に切り替えられたと判定された場合、具体的には、走行レンジからPレンジへのシフトチェンジ操作の後であってパークロック機構30がパークロック状態になる前に、Pレンジから走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)へのシフトチェンジ操作がなされた場合は、ステップS21に進む。
ステップS21では、アクチュエータ(電動モータ70)を作動させる。具体的には、選択された走行レンジがこの時点でディテントプレート61が位置する走行レンジと異なっていれば(Rレンジであれば)、コントローラ50は、ディテントプレート61を選択された走行レンジ(Rレンジ)に対応する位置まで回転させるように、電動モータ70を作動させる。これにより、ディテントプレート61に連結されたスプール24aも、選択された走行レンジに対応する位置に切り替えられる。
ステップS22では、締結要素の締結指令を出力する。具体的には、コントローラ50は、制御弁23を供給位置に切り替える。これにより、オイルポンプ3から吐出されバルブユニット40によって調圧されたオイルが、制御弁23及びレンジセレクトバルブ24を通じて選択されたシフトレンジに対応する締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)に供給され、締結要素の締結が開始される。
ステップS23では、締結要素が締結したか否かを判定する。例えば、Rレンジが選択されていれば、コントローラ50は、後進ブレーキ22内の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)からの信号に基づいて、後進ブレーキ22が締結したか否かを判定する。後進ブレーキ22が締結したと判定されれば、ステップS24に進み、後進ブレーキ22が締結していないと判定されれば、ステップS23の判定を繰り返す。なお、ステップS23では、例えば、車両100のずり下がりを防止できる程度のトルク容量が確保できていれば、締結要素が締結したと判定する。
ステップS24では、電動パーキングブレーキ80をOFF(ブレーキ非作動状態)にする。コントローラ50は、ブレーキキャリパ(図示せず)に取り付けられたモータを制御して、電動パーキングブレーキ80をOFF状態にする。これにより、車両100は発進可能となる。
なお、走行レンジからNレンジに切り替えられた場合には、従来の制御と同様に、電動パーキングブレーキ80は作動させずに、締結要素を解放する。具体的に説明すると、コントローラ50は、ディテントプレート61をNレンジに対応する位置(溝64と保持ピン66が係合する位置)まで回転させるように電動モータ70を作動させる。なお、ディテントプレート61をNレンジに対応する位置まで回転させても、つまり、パークロッド33がNレンジに対応する位置まで移動しても、パークロック機構30はパークロック解除状態に維持される。
ディテントプレート61がNレンジに対応する位置まで回転すると、ディテントプレート61に連結されたスプール24aも、中立位置(Nレンジに対応する位置)に切り替えられる。これにより、締結されている締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)内のオイルがオイルパン6へ排出され、締結要素が解放される。
Pレンジが選択された場合は、パークロック機構30を解除するときのショックを考慮する必要があるが、Nレンジが選択された場合には、パークロック機構30が作動することがないので、このようなショックを考慮する必要がない。したがって、本実施形態では、駐車レンジ(Pレンジ)が選択された場合とニュートラルレンジ(Nレンジ)が選択された場合とでは、同じ非走行レンジ位置であっても、ディテント機構60の移動のさせ方を変えている。
また、制御弁23によって締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)を解放させる時間よりも、レンジセレクトバルブ24によって締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)を解放させる時間の方が短い。
そこで、Nレンジが選択された場合は、レンジセレクトバルブ24をすぐに切り換えることで、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)の解放にかかる時間を短くすることができる。
次に、図5から図7に示すタイムチャートを参照しながら、本実施形態のパークロック制御について説明する。
まず、図5を参照して、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替えられた場合について説明する。
ドライバーがシフトレンジをDレンジからPレンジに切り替えると(時刻t1)、コントローラ50は、インヒビタスイッチ56からのレンジ信号に基づいて、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替えられたと判定する(時刻t2)。
この判定がおこわなれると、コントローラ50は、前進クラッチ21を解放する。具体的には、コントローラ50は、制御弁23を排出位置に切り替えて、前進クラッチ21の油圧の排出を開始させる。また、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)にする。このとき、コントローラ50は、ディテント機構60をDレンジに対応する位置(溝65と保持ピン66とが係合した位置)のまま維持する。
前進クラッチ21が解放されると(時刻t3)、コントローラ50は、ディテントプレート61をPレンジに対応する位置(溝62と保持ピン66が係合する位置)まで回転させるように電動モータ70を作動する。電動モータ70の動作に伴ってディテントプレート61がPレンジに対応する位置まで回転すると、上述のように、パークロック機構30がパークロック状態になる。
また、時刻t3において、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をOFF状態(ブレーキ非作動状態)にする。なお、路面の勾配が所定値以上である場合には、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持する。
このように、本実施形態のパークロック制御では、DレンジからPレンジに切り替えられたときに、前進クラッチ21を解放した後、パークロック機構30をパークロック状態に切り替える。これにより、エンジン1のトルクが、締結要素(前進クラッチ21)を通じて噛み合い部に作用することを防止できる。DレンジからPレンジに切り替えられたときに、電動パーキングブレーキ80によって車両100を制動しているので、パークロック機構30がパークロック状態になるまでの間、車両100の移動を確実に規制できる。
なお、説明および図示は省略するが、シフトレンジがRレンジからPレンジに切り替えられた場合にも同様のパークロック制御が実行される。
次に、図6を参照して、DレンジからPレンジへシフト操作された後であって、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、再びDレンジへのシフト操作がなされた場合について説明する。
ドライバーがシフトレンジをDレンジからPレンジに切り替えると(時刻t11)、コントローラ50は、インヒビタスイッチ56からのレンジ信号に基づいて、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替えられたと判定する(時刻t12)。
この判定がおこわなれると、コントローラ50は、前進クラッチ21を解放する。具体的には、コントローラ50は、制御弁23を排出位置に切り替えて、前進クラッチ21の油圧の排出を開始させる。また、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)にする。このとき、コントローラ50は、ディテント機構60をDレンジに対応する位置(溝65と保持ピン66とが係合した位置)のまま維持する。
そして、パークロック機構30がパークロック状態になる前、つまり、前進クラッチ21が解放される前に、ドライバーがシフトレンジをPレンジからDレンジに切り替えると(時刻t13)、コントローラ50は、インヒビタスイッチ56からのレンジ信号に基づいて、シフトレンジがPレンジからDレンジに切り替えられたと判定する(時刻t14)。
コントローラ50は、シフトレンジがPレンジからDレンジに切り替えられたと判定すると、制御弁23を供給位置に切り替えて、前進クラッチ21への油圧の供給を開始させる。
そして、前進クラッチ21が締結されると(時刻t15)、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をOFF状態(ブレーキ非作動状態)にする。なお、路面の勾配が所定値以上である場合には、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持する。
このように、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替えられた場合には、前進クラッチ21の締結が完了するまで、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持する。
チェンジオブマインドによる再度の所定の走行レンジへのシフトチェンジ操作がなされた場合では、ドライバーがすぐにブレーキペダルを離すことが想定される。その際、車両100が坂道に停車しており、且つ、締結要素(前進クラッチ21)が締結途中で伝達トルク容量が十分でない場合には、ドライバーの意図せぬ方向へ車両100が移動してしまうおそれがある。そこで、締結要素の締結が完了するまで、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持することで、車両100の意図せぬ移動を防止することができる。
なお、上記実施形態では、締結要素の締結が完了するまで、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持していたが、締結要素が車両100のずり下がりを防止できる程度のトルク容量が確保できたときに、電動パーキングブレーキ80をOFFにしてもよい。
説明および図示は省略するが、RレンジからPレンジへシフト操作された後であって、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、再びRレンジへのシフト操作がなされた場合についても同様のパークロック制御が実行される。
次に、図7を参照して、DレンジからPレンジへシフト操作された後であって、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、Rレンジへのシフト操作がなされた場合について説明する。
ドライバーがシフトレンジをDレンジからPレンジに切り替えると(時刻t21)、コントローラ50は、インヒビタスイッチ56からのレンジ信号に基づいて、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替えられたと判定する(時刻t22)。
この判定がおこわなれると、コントローラ50は、前進クラッチ21を解放する。具体的には、コントローラ50は、制御弁23を排出位置に切り替えて、前進クラッチ21の油圧の排出を開始させる。また、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)にする。このとき、コントローラ50は、ディテント機構60をDレンジに対応する位置(溝65と保持ピン66とが係合した位置)のまま維持する。
そして、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、ドライバーがシフトレンジをPレンジからRレンジに切り替えると(時刻t23)、コントローラ50は、インヒビタスイッチ56からのレンジ信号に基づいて、シフトレンジがPレンジからRレンジに切り替えられたと判定する(時刻t24)。
コントローラ50は、シフトレンジがPレンジからRレンジに切り替えられたと判定すると、制御弁23を供給位置に切り替えるとともに、ディテントプレート61をRレンジに対応する位置(溝63と保持ピン66が係合する位置)まで回転させるように、電動モータ70を作動させる。そして、ディテントプレート61の回転に伴ってスプール24aが後進位置に切り替えられる。これにより、後進ブレーキ22への油圧の供給が開始される。なお、このとき、スプール24aが後進位置に切り替えられるので、前進クラッチ21の油圧の排出は継続される。
そして、後進ブレーキ22が締結されると(時刻t25)、コントローラ50は、電動パーキングブレーキ80をOFF状態(ブレーキ非作動状態)にする。なお、路面の勾配が所定値以上である場合には、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持する。
このように、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、シフトレンジがDレンジからRレンジに切り替えられた場合であっても、後進ブレーキ22の締結が完了するまで、電動パーキングブレーキ80をON状態(ブレーキ作動状態)に維持する。これにより、車両100の意図せぬ移動を防止することができる。
説明および図示は省略するが、RレンジからPレンジへシフト操作された後であって、パークロック機構30がパークロック状態になる前に、Dレンジへのシフト操作がなされた場合についても同様のパークロック制御が実行される。
上記実施形態では、走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)からPレンジへのシフトチェンジ操作が行われると、コントローラ50は、締結要素の解放が完了するまでディテント機構60の位置を選択されている走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)の位置に維持するように制御を行っている。
これに代えて、例えば、Pレンジ位置の隣がRレンジ位置にある構造である場合には、DレンジからPレンジへのシフトチェンジ操作が行われた場合に、締結要素(前進クラッチ21)の解放が完了するまで、ディテント機構60の位置をPレンジ位置の隣に位置するRレンジ位置に維持するようにしてもよい。これにより、ディテント機構60の位置がパークロック位置に近づいているので、締結要素(前進クラッチ21)の解放が完了した後、パークロックされるまでの時間を短くできる。なお、この構成においては、PレンジからRレンジへのシフトチェンジ操作が行われた場合には、コントローラ50は、ディテント機構60をそのままRレンジ位置に維持するようにする。
また、走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)からPレンジへのシフトチェンジ操作が行われた場合に、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)の解放が完了するまで、ディテント機構60の位置をニュートラルレンジ位置に維持するようにしてもよい。レンジセレクトバルブ24の方が制御弁23より排出するオイルの流量が多い。そこで、ディテント機構60の位置をニュートラルレンジ位置に移動させてレンジセレクトバルブ24も中立位置になるようにすれば、制御弁23でオイルを排出するよりも早くオイルを排出することができる。これにより、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)を解放するための時間を短くできる。
さらに、ディテント機構60の移動中にシフトチェンジ操作が行われた場合には、このシフトチェンジ操作をキャンセルあるいは無効にするようにしてもよい。ディテント機構60の移動中に別途のシフトチェンジ操作があった場合には、ディテント機構60を急に動かすと油圧が不安定になり車両100が意図せぬ挙動をするおそれがある。このため、当該シフトチェンジ操作をキャンセルあるいは無効にすることで、車両100が意図せぬ挙動を防止できる。なお、この場合、ディテント機構60の移動が完了した後に、シフトチェンジ操作に係る制御を実行するようにしてもよい。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
コントローラ50(制御装置)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)が選択されているときに締結される締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)と、ディテント機構60と、ディテント機構60と連動するレンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)と、ディテント機構60と連動するパークロック機構30と、を有する自動変速機TMと、制動機構(電動パーキングブレーキ80)と、を有する車両100を制御する。
コントローラ50(制御装置)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われると、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)の解放が完了した後にディテント機構60を移動させてパークロック機構30をパークロック状態とする制御部(コントローラ50)を有する。コントローラ50(制御部)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われると、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)の解放が完了するまでの間は制動機構(電動パーキングブレーキ80)により車両100を制動させる。
ディテント機構60と連動するレンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)及びパークロック機構30を有するシステムでは、駐車レンジ選択後の直後に駐車レンジ位置にディテント機構60を動かすと、レンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)の移動に伴い締結要素の油圧が下がり始めるとともに即座にパークロック機構30がONとなる。締結要素の油圧の下がり始めにおいては、締結要素の受圧室に残圧が残った状態であり伝達トルク容量が残った状態となっている。締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)が伝達トルク容量を持った状態でパークロック機構30をONにすると、その後、再度のレンジ操作がなされてパークロック機構30がOFFへ移行する際のショックの原因となる。
そこで、締結要素が解放状態となった後(伝達トルク容量を持たない状態となった後)にパークロック機構30をONとすること、つまり、本実施形態のパークロック制御を実行することにより、その後、再度のレンジ操作がなされてパークロック機構30がOFFへ移行する際のショックを抑制することができる。
また、本実施形態のパークロック制御では、走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われたときに、電動パーキングブレーキ80によって車両100を制動しているので、パークロック機構30がパークロック状態になるまでの間も、車両100の移動を確実に規制できる。
コントローラ50(制御部)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)からニュートラルレンジ(Nレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われると、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)の解放が完了する前にディテント機構60を移動させてレンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)の位置をニュートラルレンジ位置(中立位置)へ移動させる。
同じ非走行レンジ位置であっても駐車レンジ(Pレンジ)とニュートラルレンジ(Nレンジ)との場合では、ディテント機構60の移動のさせ方を変える。即ち、駐車レンジへの移行の場合は、パークロック機構30のOFF状態への移行時のショックを考慮する必要があるが、ニュートラルレンジへの移行の場合は、当該ショックの考慮の必要がない。また、制御弁23(セレクト用油圧アクチュエータ23)の制御による締結要素の解放のレスポンスよりも、レンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)の移動による締結要素の解放のレスポンスの方が早い特性がある。そこで、ニュートラルレンジへの移行、つまり、レンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)を用いることで、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)の解放のレスポンスを早めることができる。
コントローラ50(制御部)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われると、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)の解放が完了するまでディテント機構60の位置を所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)選択時の位置に維持する。
駐車レンジ(Pレンジ)選択後、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)にすぐに戻すような操作がある場合を考慮して、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)の解放が完了するまでディテント機構60を移動させず位置を維持する。これにより、駐車レンジ(Pレンジ)選択後のチェンジオブマインドがあった場合にディテント機構60を再度動かす時間が短縮でき、再発進までの時間を短縮することができる。
コントローラ50(制御部)は、ディテント機構60の移動中のシフトチェンジ操作をキャンセルする。
ディテント機構60の移動中、別途のシフトチェンジ操作があった場合に、ディテント機構60を急に動かすと油圧が不安定になり車両100が意図せぬ挙動をするおそれがある。このため、ディテント機構60の移動中は、当該シフトチェンジ操作をキャンセルする。これにより、車両100の意図せぬ挙動を防止できる。
コントローラ50(制御部)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われると、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)の解放が完了するまでディテント機構60の位置を駐車レンジ位置の隣の位置に維持する。
締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)の解放が完了した後にすぐにパークロックができるようにするために、ディテントプレート61の位置をパークロック位置に近づける。例えば、駐車レンジ位置の隣が後進レンジ位置で、所定の走行レンジが前進レンジの場合には、後進レンジ位置に移動させた後はその位置を維持する。また、例えば、駐車レンジ位置の隣が後進レンジ位置の場合で、所定の走行レンジが後進レンジの場合はディテント機構60を移動させずにそのままの位置を維持する。これにより、駐車レンジ位置までの移動時間を短くすることができるので、パークロック状態に移行するまでの時間を短くできる。
コントローラ50(制御部)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作が行われると、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)の解放が完了するまでディテント機構60の位置をニュートラルレンジ(Nレンジ)位置に維持する。
締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)を制御する制御弁23で油を抜いても良いが、ディテント機構60の位置をニュートラルレンジ(Nレンジ)位置に移動させてレンジ切替弁(レンジセレクトバルブ24)も中立位置になるようにすれば、制御弁23で油を抜くよりも早く油を抜くことができる。これにより、締結要素(前進クラッチ21及び後進ブレーキ22)を解放するための時間を短くできる。
コントローラ50(制御部)は、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)から駐車レンジ(Pレンジ)へのシフトチェンジ操作の後であってパークロック機構30がパークロック状態になる前に、所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)へのシフトチェンジ操作がなされた場合は、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)を締結した後に制動機構(電動パーキングブレーキ80)による車両100の制動を解除する。
チェンジオブマインドによる再度の所定の走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)へのシフトチェンジ操作がなされた場合においては、ドライバーがすぐにブレーキペダルを離すことが想定される。その際、車両100が坂道で停車しており、且つ、締結要素(前進クラッチ21または後進ブレーキ22)が締結途中で伝達トルク容量が十分でない場合には、ドライバーの意図せぬ方向へ車両100が移動してしまうおそれがある。そこで、締結要素の伝達トルク容量が充分な状態になるまでは制動機構(電動パーキングブレーキ80)による制動状態を維持し続けることで、車両100が移動してしまうことを防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態と各変形例は適宜組み合わせ可能である。
上記実施形態では、制動機構として、電動パーキングブレーキ80を例に説明したが、これに限らず、上記パークロック制御が実行できるものであれば、油圧式ブレーキ機構を用いてもよい。また、上記実施形態では、シフトレンジをシフター9によって切り替える場合を例に説明したが、セレクトスイッチやモーメンタリスイッチであってもよい。
また、上記実施形態では、アクチュエータとして電動モータ70を例に説明したが、上記パークロック制御を実行できるものであれば、アクチュエータは、どのようなものであってもよい。