JP7055405B2 - 隠蔽扉錠及び隠蔽扉 - Google Patents

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Description

本発明は、壁面に隠蔽された扉に使用される隠蔽扉錠、及び前記隠蔽扉錠を備える隠蔽扉に関する。
近年の技術革新によってテレビや映写装置は小型化・薄型化が実現され、以前と比較してこれらの機器が部屋内において占めるスペースを格段に小さくすることができるようになっている。
さらに、このような小型化・薄型化された機器であれば、従来では難しかった壁内に収納し、必要時に開放して映写機能を発揮させたり、また、収容空間から取り出して必要時にのみ使用するような用途も求められるようになった。このように機器などを壁内に収納することができれば部屋内の装飾品とは雰囲気を一体にしづらい機器の存在を通常時には隠しておくことができ、より部屋の装飾を施す手法に幅が広がるというメリットを実現することができる。
そのためには、壁内に設けた収容空間と部屋空間との隔壁となり、且つ必要時には収容空間を開放するための扉が部屋の壁面と一体となり、壁面の美感を損なうことのない隠蔽扉錠を備えた隠蔽扉が求められていた。
そこで従来技術において開発された隠蔽扉は、棒体状の掛け具を備えた受具に対してフック部が前記掛け具に掛け止められてなるロックレバーを備えた錠前により施錠され、前記ロックレバーは施錠位置と解錠位置の間を上下方向に回動して開き扉を施解錠するものであった。
特許6169756号公報
しかし、壁内に収容空間を形成して、その内部に収められる物品等は高級品である場合も多いため、隠蔽扉にも不当な解錠操作をされにくくするための安全機能も具備する必要がある。一方で隠蔽扉は、扉の外側面には取手やキーシリンダーが設けられていない平坦面に形成することができることが特徴であるため、錠前を解錠操作できる状態とするためには扉を壁面から一定距離引き出す必要があるため、扉の内側縁と戸枠との間に上下方向に沿ってわずかな隙間が生じやすい。
ここで解錠する際に、ロックレバーが上下方向に回動動作することによって掛け止められた状態から開放されて解錠される場合、扉の内側縁と戸枠との僅かなすき間から薄手の道具を使って、前記隙間を上下に操作することで正規の鍵を使用しなくとも不当に解錠することが可能となる等、保安上の問題があった。
そこで、上記課題を解決する手段として本発明に係る隠蔽扉錠は、戸外側に開く開き戸を構成してなる戸板と、前記戸板の内部に設けられてなる錠部材と、前記錠部材の戸先側端面に形成された錠杆孔から水平に出没可能な錠杆と、戸枠の内側に取り付けられてなると共に、閉扉状態の前記戸板を押し込むと短縮状態が解放されて開扉方向に一定長さ伸長動作する板状の伸長部を備えてなる押出し部材と、前記伸長部の戸板側の面に設けられ、閉扉状態における前記錠杆の嵌入により施錠状態を構成する受孔と、を有し、前記伸長部は前記錠杆孔を被覆する錠杆保護部に形成され、閉扉状態の前記戸板の外側面は、前記戸枠の外側面と略同一面に形成され、前記戸板は、前記押出し部材の伸長動作により、施錠状態の前記錠杆と共に戸外方向に押し出されて半開状態となることを特徴とする。
また、前記半開状態において前記錠部材のキーシリンダーが露出することが好ましい。より好ましくは、キーシリンダーが錠部材の戸先側端面に設けられてなる。キーシリンダーを錠部材の戸先側端面に設けることによって、戸板の外側面にはキーシリンダーを設ける必要がなく、取手が不要であることと合わせて、外側面が美しい平坦面からなる戸板とすることができる。なお、戸板及び戸枠の内側面とは、戸板によって隔てられた室内空間に面する面をいう。また、戸板及び戸枠の外側面とは、戸板によって隔てられた室外空間に面する面をいう。
さらに、前記キーシリンダーへの解錠操作により、前記戸板が前記半開状態から開放されることが好ましい。
また、本発明に係る隠蔽扉は、前記特徴のいずれかを有する隠蔽扉錠を備える扉であることを特徴とする。
本発明によれば、戸板を押し込むことで半開状態とすることができるため、戸板の外側面には取手が不要となる。これにより、当該外側面が周囲の戸枠や壁と同じく平坦な面からなる戸板を実現することができる。また、戸板は戸尻側において戸枠とヒンジ等により軸支されていることにより、錠部材を解錠すれば半開状態の戸板の戸先端縁に指を掛けて開扉することができる。このとき戸板は、開き戸と同様の動作をすることができる。
なお、戸板は半開状態となる際に、前記一定長さに合わせて戸板全体が戸外方向に平行にせり出す動作をするものであってもよい。この場合、その後の錠部材の解錠後の開扉動作は戸尻側を回転軸として開き戸のように開いてもよいし、周囲の戸枠の戸外面に覆いかぶさるようにスライドして開く開き戸として開いても好ましい。
本発明によれば、伸長部の錠杆保護部が、半開状態の戸板と戸枠との隙間を介して外部から錠杆への接触を困難とするため、安全性の高い隠蔽扉錠、及び隠蔽扉を実現することができる。
また、錠部材に設けた補助杆11aが、施錠状態において錠杆の押し込み方向への動作を制限することにより、前記錠杆保護部と合わせて隠蔽扉錠、及び隠蔽扉の安全性をより高めることができる。
また、押出し部材の一部である伸長部が錠杆保護部を兼ねるため、隠蔽扉錠の構造を簡単とすることができ、繰り返しの使用に対しても破損しにくい隠蔽扉錠を実現することができる。
本発明によれば、戸板の外側面を周囲の戸枠や壁と同じく平坦な面に形成することができ、閉扉状態では一見壁と一体となり、あたかも壁しかないように見える美感の高い隠蔽扉を実現することができる。
隠蔽扉1及び隠蔽扉錠2の外側の全体構造を示す部分斜視図である。 隠蔽扉1及び隠蔽扉錠2の内側の全体構造を示す部分斜視図である。 隠蔽扉錠2の閉扉状態(a)、半開状態(b)、錠部材10の解錠状態(c)、及び戸板3が開扉した状態(d)を隠蔽扉1の上方から見た部分断面図である。 戸板3が半開状態となった様子を外側から示す部分斜視図である。 押出し部材7の外観を示す斜視図であり、伸長部9が押出しケース12の内部に収容されている様子を示す。 押出し部材7の外観を示す斜視図であり、伸長部9が押出しケース12から突出した様子を示す。 短縮状態の押出し部材7の内部構造を示す図である。 伸長部9が伸長した状態の押出し部材7の内部構造を示す図である。
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1には、隠蔽扉1及び隠蔽扉錠2の外側の全体構造を示す。戸板3は、周囲の壁と同一である戸枠4に収められてなり、戸板3の外側面5と、戸枠4の外側面6とは同一平面状となるように形成されると共に、戸板3の外側面は平坦で取手もキーシリンダーも設けられていない。
図2には、隠蔽扉1及び隠蔽扉錠2の内側の全体構造を示す。戸枠4の戸先側の内側面には、押出し部材7が戸板3に対して垂直となるように固定するための治具の一例として、金属製のL字ベース8が取り付けられてなる。これにより、押出し部材7から伸長した伸長部9が戸板3を戸外方向へ垂直に押し出すことができる。なお、隠蔽扉1が片開扉の場合、押出し部材7を室内の壁に直接に取り付けることもできる。
一方、戸板3の戸先側の内側には、錠部材10が取り付けられてなる。錠部材10には、図3に示すように、戸先側端面に形成された錠杆孔10aから水平に出没可能な錠杆11が内設されてなる。
また、図5に示すように、押出し部材7の外殻を構成する押出しケース12の内部には前述の伸長部9が内設されてなり、伸長部9は押出しケース12の先端からバネの弾性力によって図6に示すように突出することにより伸長動作をすることができる。伸長部9の戸板側の面には錠杆11を嵌入可能な穴に形成された受孔13が設けられてなる。
閉扉状態(図3(a))においては、戸板3は戸枠4に収まった状態で、短縮状態の伸長部9の受孔13に錠杆11が嵌入した状態である。戸板3を閉扉状態から僅かに押し込むと、短縮状態で保持されていた伸長部9が解放されて、押出しケース12から伸長して押出し部材7が押し出し動作をする。押出し部材7が押し出し動作を行う際、伸長部9は錠部材10から戸板3の表面に沿って突設されてなる板部10bを押しながら戸板3を戸外方向へ一定長さ押し出して半開状態とする(図3(b))。また、閉扉状態(図3(a))及び半開状態(図3(b))において、錠杆11は、錠部材10内部に没入する押し込み方向への動作を、錠杆11に近接して設けられてなる補助杆11aによって制限されてなることが好ましい。補助杆11aによって、特に、半開状態における不正な解錠を防止できるからである。本実施の形態において、戸板3は戸尻端縁において戸枠4と図示しないヒンジによって回動可能に接続されてなる。板部10bによって、繰り返される押出し部材7の押し出し動作による戸板3の損傷を防止することができる。
閉扉状態または半開状態において、例えば錠杆11の軸部において後方に向かって縮径してなる段差面が形成されるとともに、補助杆11aは、バネ力等によって錠杆11の軸中心に向かって押圧される機構を備えることが好ましい。このような機構を備えることにより、補助杆11aの一端が前記段差面に掛け止められて錠杆11の押込み方向への動作を制限することができる。なおこの場合、補助杆11aは錠部材10が解錠されるまでは押し込み方向へは移動しないように設けられてなる。これにより、隠蔽扉が閉扉状態または半開状態で部材10が施錠状態にある間は、錠杆11を押し込んで不正な開扉を行おうとしても、補助杆11aが錠杆11の押込み方向への動作を制限するため、開扉させることはできない。
そして、キーシリンダー15に鍵Kが挿し入れられて、解錠操作が行われると、補助杆11aが錠杆11の段差から外れると共に、錠杆11及び補助杆11aの押し込み方向への制限も解除される。そして、前記解錠操作に伴って、錠杆11と補助杆11aとが同時に錠部材10内部に没入する仕組みであることが好ましい。
半開状態となった戸板3の戸先面には、図4に示すように錠部材10の端面14が露出してなり、端面14にはキーシリンダー15が設けられてなる。キーシリンダー15は戸板3が半開状態となってはじめて外部に露出する。ここで、キーシリンダー15に鍵Kを挿し入れて錠部材10の解錠操作を行うと、錠杆11が錠部材10の内部に没入することで受孔13から脱離して解錠状態となる(図3(c))。なお、解錠操作は戸板3の内側からサムターン16を手動で回すことによって行うこともできる。
一方、受孔13が一体の幅広板状体に形成された伸長部9の戸板側の面の中央部に形成されてなり、伸長部9の戸先側面9bは平板状に形成されて錠杆孔10aを被覆することにより錠杆保護部9aを構成する。特に、伸長部9の戸板側の面における受孔13の周囲面9cが錠杆孔10aの周囲の端面と近接した位置で対向すると共に、伸長部9の戸先側面9bが一体の面となって錠杆孔10aを被覆することにより、半開状態における錠杆11の露出を防止することができる。錠杆保護部9aは、半開状態の戸板3と戸枠4との間にわずかな隙間が生じたとしても、その隙間を介して外部から、錠杆11への接触を困難とすることができる。特に、錠杆11と水平となる高さ位置からは、隙間を介して外部から、錠杆11を錠部材10内へ押し縮めるような接触をより困難とすることができる。さらに、錠部材10に設けた補助杆11aが、施錠状態において錠杆11の押し込み方向への動作を制限することにより不正な解錠を防止し、隠蔽扉錠1、及び隠蔽扉2の安全性をより高めることができる。錠杆保護部9aにより、安全性の高い隠蔽扉錠2、及び隠蔽扉1を実現することができる。
錠部材10を解錠状態とした後、戸板3の戸先端縁を掴んで引くと、戸板3が完全に開扉状態となり(図3(d))、隠蔽扉1の内部を露出させて内部にアクセスすることができようになる。なお、図3(a)及び図3(d)において、錠杆11は図示しないバネなどの弾性体の付勢力によって錠杆孔10aから自動的に突出する。
押出し部材7の動作について説明する。図7には、短縮状態の押出し部材7の内部構造を示す。押出しケース12の内部に伸長部9が収容されている。なお、押出しケース12の両側縁部12aにはネジ孔17が設けられてなり、図示しない固定ネジをネジ孔17に貫入して押出し部材7をL字ベース8に、または室内側の壁に直接固定することができる。
伸長部9の両側部にはレール溝18が形成されてなり、レール溝18には押出しケース12に突設されてなる誘導ピン19が挿入されてなる。伸長部9が押出しケース12から突出する際にはレール溝18に挿入された誘導ピン19によって直線的に突出することができる。
伸長部9の両側部の後方にはバネ20を収容するバネ溝21が後端に至るまで形成されてなり、バネ溝21及びバネ20には、押出しケース12の内面の後端から突設された柱体22が挿入されてなる。バネ20の基端は、柱体22の後端で固定されてなり、バネ20の先端は、バネ溝21の前端において固定されてなる。押出し部材7が短縮状態にある場合、バネ20も押し縮められて伸長部9を前方に付勢してなる。
伸長部9は、両側部の間に幅広のスペース23が形成されてなり当該スペース23の後端部には、枢軸24を回転軸として押出し部材7の取付面と平行な面内において軸回転可能な駒25が設けられてなる。押出しケース12の中央部には、前記スペース23に収まる大きさに形成され、前後方向に長く、前記駒25を挿入可能な駒溝部26が形成されてなる。駒溝部26は、互いに離間して配設されてなる溝壁27,28の間に形成されてなる。
押出し部材7は、閉扉時には図5及び図7に示すように、伸長部9が押出ケース12内に収容されてなり、駒25の長軸方向が駒溝部26短軸方向を向くことで、溝壁28の基端側の段差部に駒25が係止されて伸長部9の突出を止めている。一方、開扉の為に戸板3を僅かに押し込むと、戸板3が伸長部9をバネ20の付勢力に抗して後端方向へ押し込む。この時、駒25が溝壁27の後端に形成されたカギ型部の角に押し当てられながら軸回転し、駒25の長軸方向を閉扉状態の場合よりも駒溝部26の長軸方向に沿う状態とすることで伸長部9が短縮状態から解放される。そして、駒25が駒溝部26の先端まで摺動可能となり、図6及び図8に示すように、バネ20の付勢力によって伸長部9が押出しケース12から突出し、押出し部材7が伸長する。
1 隠蔽扉
2 隠蔽扉錠
3 戸板
4 戸枠
7 押出し部材
9 伸長部
10 錠部材
11 錠杆
13 受孔
15 キーシリンダー

Claims (4)

  1. 戸外側に開く開き戸を構成してなる戸板と、
    前記戸板の内部に設けられてなる錠部材と、
    前記錠部材の戸先側端面に形成された錠杆孔から水平に出没可能な錠杆と、
    戸枠の内側に取り付けられてなると共に、閉扉状態の前記戸板を押し込むと短縮状態が解放されて開扉方向に一定長さ伸長動作する板状の伸長部を備えてなる押出し部材と、
    前記伸長部の戸板側の面に設けられ、閉扉状態における前記錠杆の嵌入により施錠状態を構成する受孔と、を有し、
    前記伸長部は前記錠杆孔を被覆する錠杆保護部に形成され、
    閉扉状態の前記戸板の外側面は、前記戸枠の外側面と略同一面に形成され、
    前記戸板は、前記押出し部材の伸長動作により、施錠状態の前記錠杆と共に戸外方向に押し出されて半開状態となる
    ことを特徴とする隠蔽扉錠。
  2. 前記半開状態において前記錠部材のキーシリンダーが露出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の隠蔽扉錠。
  3. 前記キーシリンダーへの解錠操作により、前記戸板が前記半開状態から開放される
    ことを特徴とする請求項2に記載の隠蔽扉錠。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに係る隠蔽扉錠を備える隠蔽扉。
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