JP7054352B2 - レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料 - Google Patents
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すなわち、本発明は、これらに限定されないが、以下の態様を含む。
(1)レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料であって、
シトラールの含有量が4.8ppm以下であり、
甘味度がショ糖換算(w/v%)で1.0~7.0g/100mLであり、糖酸比が0.60~4.70であり、および、
アルコール含有量が10~40v/v%である、
前記容器詰め濃縮アルコール飲料。
(2)シトラールの含有量が4.0ppm以下である、(1)に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
(3)甘味度がショ糖換算(w/v%)で1.5~6.0g/100mLである、(1)または(2)のいずれかに記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
(4)甘味料が、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテームおよび果糖ブドウ糖液糖、砂糖からなる群から選択される一以上のものである、(1)~(3)のいずれかに記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
(5)糖酸比が0.90~4.20である、(1)~(4)のいずれかに記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
(6)アルコール含有量が15~35v/v%である、(1)~(5)のいずれかに記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
(7)水を添加して飲用される、(1)~(6)のいずれかに記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
(8)容器詰め濃縮アルコール飲料の製造方法であって、
(a)飲料中のシトラールの含有量が4.8ppm以下となるように、調整する工程、
(b)飲料中の甘味料由来の甘味度がショ糖換算(w/v%)で1.0~7.0g/100mLとなるように、甘味料を添加する工程、
(c)飲料中の糖酸比が0.60~4.70となるように、甘味料および酸味料で調整する工程、
(d)飲料中のアルコール含有量を10~40v/v%に調整する工程、および、
(e)容器詰めする工程、
を含み、
ここで、前記工程(a)~(d)は、いずれの順序で行ってもよい、
前記製造方法。
(9)レモン風味のアルコール飲料であって、
シトラールの含有量が1.6ppm以下であり、
甘味度がショ糖換算(w/v%)で0.2~2.0であり、糖酸比が0.60~4.70であり、および
アルコール含有量が1.0~10v/v%である、
前記アルコール飲料。
(10)甘味度がショ糖換算(w/v%)で0.3~1.8である、(9)に記載のアルコール飲料。
(11)甘味料が、アセスルファムカリウム、スクラロース、および果糖ブドウ糖液糖、砂糖からなる群から選択される一以上のものである、(9)または(10)に記載のアルコール飲料。
(12)アルコール含有量が3.0~9.0v/v%である、(9)~(11)のいずれかに記載のアルコール飲料。
(13)容器詰めである、(9)~(12)のいずれかに記載のアルコール飲料。
本発明の一態様は、飲料中のシトラール含有量、甘味度、糖酸比、およびアルコール含有量を一定の範囲に調整した、容器詰め濃縮アルコール飲料である。前記容器詰め濃縮アルコール飲料は、そのまま飲用することもできないわけではないが、任意の希釈液、例えば、水などで適宜希釈して飲用することが好ましい飲料である。そして、本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料では、任意の希釈液で希釈した際に、飲料中のシトラールの含有量が低いにもかかわらず、レモンらしい風味を強く感じることができる。
1-1.シトラール
シトラールはレモンの香りを有する。モノテルペンのうち、ひと組のシス-トランス異性体であるゲラニアール (geranial) とネラール (neral) を合わせて指す呼称で、一般には、精油に含まれる芳香成分の一つとして知られている。シトラールは、レモングラス、メリッサ(レモンバーム)、レモンバーベナ等の植物に多く含まれており、また、オレンジ、グレープフルーツ、ユズ、レモン、ライム等の柑橘系果実、並びに、山椒、生姜等の野菜に含まれている。
レモン果汁を用いる場合、代表的な品種としてはリスボンレモンであるが、シトラール含有量が所定の濃度以下となるのであれば、いずれの品種であっても使用することができる。1種または複数種を用いても良い。上記のレモンを、例えば、そのまま、冷凍して、粉砕して、もしくは乾燥した形態で、またはそれらを一定期間保管した形態で用いることができる。本発明において、レモン果汁は、非加熱殺菌された果汁を用いても、加熱殺菌したものを用いてもよい。なお、非加熱殺菌としては、例えば、メンブレンフィルターや中空糸を用いたろ過滅菌、紫外線殺菌などが挙げられる。また、加熱殺菌としては、例えば、100℃以上で行う高温殺菌、100℃未満で行う低温殺菌などが挙げられる。
飲料中のシトラール量は、例えばHPLC、GCにて測定することができる。HPLC(島津製作所 Prominence)による分析の例を以下に示す:
ポンプ:LC-20AD
検出器:SPD-M20A
カラムオーブン:CTO-20A
オートサンプラー:SIL-20AHT
カラム:TSKgel ODS-80TsQA(4.6mm×150mm)
カラム温度:40℃
移動相A:水-アセトニトリル(600:400)
移動相B:水-アセトニトリル(400:600)
グラジエント条件:B液0%から100%までの20分間の直線グラジエント
検出波長:240nm
流速:1.0mL/min
1-2.甘味料
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料は、一定量の甘味料を添加したものである。本発明において、添加する甘味料として天然甘味料、糖アルコール、人工甘味料等を用いることができる。例えば、天然甘味料としては、グルコース、フルクトース、モグロール配糖体、グリチルリチン酸配糖体、マルトース、スクロース、ラクトース、希少糖、高果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、砂糖(白糖、三温糖、黒糖、和三盆など)、メープルシロップ、モラセス(糖蜜)、水飴などが挙げられるが、これらに限定されない。糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトールなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、人工甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、アリテーム、ネオテームなどが挙げられるが、これらに限定されない。
1-3.糖酸比
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料では、糖分の含有量に対する酸の比(糖酸比)を特定の範囲とすることが好ましい。糖酸比とは、「甘さ」と「酸っぱさ」を表す基準値として用いられるものであり、文字どおり糖度と酸度の含有比率を表したもので、本発明においては甘味度をクエン酸量換算した酸度(w/v%)で割った値で示す。本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料では、糖酸比は0.60~4.70であり、好ましくは0.90~4.20であり、さらに好ましくは1.20~3.50である。
1-4.アルコール
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料のアルコール含有量は10~40v/v%、好ましくは15~35v/v%、より好ましくは20~30v/v%である。アルコール含有量の調整方法は、添加するアルコール成分の量の調整などの、公知のいずれの方法を用いてもよい。
1-5.容器詰め濃縮アルコール飲料
本発明の飲料の一態様は、濃縮されたものであり、そのまま飲用することもできないわけではないが、任意の希釈液で適宜希釈して飲用することが好ましい。本発明の容器詰め濃縮アルコール飲料は、任意の希釈液で希釈した場合に、レモンらしい風味を強く感じることができる。希釈液の種類は特に限定されないが、例えば、水、炭酸水、清涼飲料水、上記のアルコールなどが挙げられ、これらを1種類または複数組み合わせて希釈することもできる。
1-6.炭酸ガス
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料を希釈して飲用する際の飲料は、炭酸ガスを含んでいてもよく、炭酸ガスは当業者に通常知られる方法を用いて飲料に付与することもできる。また、炭酸ガス圧の測定も、公知の方法によって行うことができる。なお、炭酸ガスの付与方法や炭酸ガス圧の測定方法は、レモン風味のアルコール飲料に関して後述する通りである。
1-7.その他の成分等
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料は、上記の他にも、本発明の性質を損なわない限り、飲料に通常配合する各種成分、例えば、糖類、酸類、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、酸味料、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
1-8.pH
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくはpH2.0~6.5、より好ましくはpH2.5~5.0、さらにより好ましくはpH2.5~4.0である。
1-9.加熱殺菌処理された飲料
本発明のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料は、加熱殺菌処理されていても、加熱殺菌処理されていなくてもよい。本発明の飲料を加熱殺菌処理する場合、加熱殺菌方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、飲料自体を加熱滅菌後に容器詰めする方法や、飲料を容器詰めした後に加熱殺菌する方法などにより、加熱殺菌処理された容器詰め飲料を製造することができる。より具体的には、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、パウチ飲料などの容器詰め飲料とする場合には、例えば90~130℃で1~60秒保持するFP又はUHT殺菌を行うことができる。
2.レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料の製造方法
本発明の一態様は、レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料の製造方法である。当該製造方法は、飲料中のシトラール含有量、甘味度、糖酸比、およびアルコール含有量が所定の範囲内にあるレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料を製造できるものであれば特に限定されない。具体的には、当該製造方法は、(a)飲料中のシトラールの含有量が4.8ppmとなるように調整する工程、(b)飲料中の甘味度由来の甘味度をショ糖換算で1.0~7.0になるように甘味料を添加する工程、(c)飲料中の糖酸比が0.60~4.70となるように、甘味料および酸味料で調整する工程、(d)飲料中のアルコール含有量を、10~40v/v%に調整する工程、および、(e)容器詰めする工程、を含む、レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料の製造方法である。なお、これらの工程、特に工程(a)~(d)は、どの順序で行ってもよく、最終的に得られたレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料における含有量やアルコール含有量などが所定の範囲にあればよい。
3.レモン風味のアルコール飲料
本発明の一態様は、飲料中のシトラール含有量、甘味度、糖酸比、およびアルコール含有量を一定の範囲に調整した、レモン風味のアルコール飲料である。当該アルコール飲料は、代表的には、前述のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料を任意の希釈液で適宜希釈して製造することができるが、所定のシトラール含有量、甘味度、糖酸比、およびアルコール含有量を有するアルコール飲料を直接製造して得ることもできる。
3-1.シトラール
本発明のレモン風味のアルコール飲料に用いられる「レモン果汁」の種類やシトラールについては、レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料について上述した通りである。本発明のレモン風味のアルコール飲料のシトラール含有量は、1.6ppm以下であり、好ましくは1.2ppm以下、より好ましくは0.8ppm以下である。
3-2.甘味度
本発明のレモン風味のアルコール飲料における「甘味度」は、レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料について上述した通りである。本発明のレモン風味のアルコール飲料の甘味度は、ショ糖換算で0.2~2.0であり、好ましくは0.3~1.8であり、さらに好ましくは0.4~1.5である。
3-3.糖酸比
本発明のレモン風味のアルコール飲料における「糖酸比」は、レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料について上述した通りである。本発明のレモン風味のアルコール飲料における糖酸比の範囲は、0.60~4.70であり、好ましくは0.90~4.20、より好ましくは1.20~3.50である。
3-4.アルコール
本発明のレモン風味のアルコール飲料のアルコール含有量は1.0~10v/v%、好ましくは3.0~9.0v/v%、より好ましくは5.0~7.0v/v%である。アルコール含有量の調整方法は、添加するアルコール成分の量の調整などの、公知のいずれの方法を用いてもよい。なお、本発明のレモン風味のアルコール飲料に用いられる「アルコール」の種類やアルコール含有量の調整方法などについては、レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料について上述した通りである。
3-5.炭酸ガス
本発明のレモン風味のアルコール飲料は、炭酸ガスを含んでいてもよく、炭酸ガスは当業者に通常知られる方法を用いて飲料に付与することもできる。例えば、上述のレモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料を炭酸水で希釈してもよく、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいが、これらに限定されるものではない。また、これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節できる。
3-6.その他の成分等
本発明のレモン風味のアルコール飲料は、上記の他にも、本発明の性質を損なわない限り、飲料に通常配合する各種成分、例えば、糖類、酸類、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、酸味料、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
本発明のレモン風味のアルコール飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくはpH2.0~6.5、より好ましくはpH2.5~5.0、さらにより好ましくはpH2.5~4.0である。
ニュートラルスピリッツに、シトラール系香料を添加し、酸味料(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、pH調整剤(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を蒸留水で溶解しながら配合し、シトラール濃度が5.0ppm程度となるように調整した。
[サンプル飲料の調整]
共通ベースを各々のサンプルに分けて、甘味料、香料などを添加し、甘味度、糖酸比、シトラールの量を調整し、蒸留水を加えて、アルコール濃度が25%となるように調整し、サンプル飲料を得た。各サンプル飲料を市販の炭酸水(サントリー南アルプスの天然水スパークリングを使用)または蒸留水で4倍希釈した。希釈したサンプル飲料に含まれるシトラール含有量は0.7ppm程度となるように調整した。参考例については共通ベースで使用した香料とは別のシトラール系香料を追加で使用することで、シトラール含有量が実施例の約2倍(1.5ppm程度)となるように調整した。また、pHは4以下となるように調整した。
尚、アセスルファムカリウムは丸善薬品産業製、スクラロースはツルヤ化成工業株式会社製、液糖は昭和産業株式会社製、アスパルテームは味の素株式会社製を用いた。
[官能評価]
希釈した飲料について、専門パネラーによる官能評価を実施した。具体的には、本実施例では、果汁含有アルコール飲料、特にシトラス系の飲料について訓練を受けた専門パネラー5名によって、各サンプル飲料を蒸留水で希釈した飲料について、「レモン感」、「酸味の評価」、および「総合評価」の観点から評価した。
レモン感については、5名の専門パネラーの全員がレモン感ありと評価した場合のみ、レモン感ありとした。参考例と比較して総合評価が同程度以上の場合は○、それよりも低かった場合は×とし、5名の専門パネラー全員が○と評価したときのみ、総合評価を○とした。酸味については参考例における酸味が普通であるとの基準を設定した上で、5名の専門パネラーが評価し、5名の専門パネラーが全員一致したコメントについて記載した。酸味が好ましい程度に感じられた場合は「酸がたつ」と評価し、酸味が強く感じすぎた場合は「酸がたちすぎ」と評価し、酸味が不足して甘さのほうが強く感じた場合は「甘さがたつ」と評価した。
[市販レモンチューハイの分析]
市販されているレモンチューハイ2種について、シトラールの含量をHPLCにて分析した。その結果、レモンチューハイAはシトラール含量3.6ppmであり、レモンチューハイBはシトラール含量3.0ppmであった。市販品では、本発明の(レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料ではなく)レモン風味のアルコール飲料に比べてシトラールが多く含まれていることが判明した。
Claims (8)
- レモン風味の容器詰め濃縮アルコール飲料であって、
シトラールの含有量が4.8ppm以下であり、
甘味度がショ糖換算(w/v%)で1.0~7.0であり、糖酸比が0.60~4.70であり、および、
アルコール含有量が10~40v/v%である、
前記容器詰め濃縮アルコール飲料。 - シトラールの含有量が4.0ppm以下である、請求項1に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
- 甘味度がショ糖換算(w/v%)で1.5~6.0である、請求項1または2のいずれか一項に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
- 甘味料が、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテームおよび果糖ブドウ糖液糖、砂糖からなる群から選択される一以上のものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
- 糖酸比が0.90~4.20である、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
- アルコール含有量が15~35v/v%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
- 水を添加して飲用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器詰め濃縮アルコール飲料。
- 容器詰め濃縮アルコール飲料の製造方法であって、
(a)飲料中のシトラールの含有量が4.8ppm以下となるように、調整する工程、
(b)飲料中の甘味料由来の甘味度がショ糖換算(w/v%)で1.0~7.0となるように、甘味料を添加する工程、
(c)飲料中の糖酸比が0.60~4.70となるように、甘味料および酸味料で調整する工程、
(d)飲料中のアルコール含有量を10~40v/v%に調整する工程、および、
(e)容器詰めする工程、
を含み、
ここで、前記工程(a)~(d)は、いずれの順序で行ってもよい、
前記製造方法。
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