JP7054308B2 - 環境試験装置及び空気調和装置 - Google Patents
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Description
環境試験装置は、例えば図9の様な構成を備えている。図9に示す環境試験装置100は、試験室3、冷却手段106、加熱ヒータ6、加湿装置7及び送風機8を備えている。試験室3は、断熱材2によって覆われた空間である。そして試験室3と連通する空気通路10があり、当該空気通路10に前記した冷却手段106の蒸発器107と、加熱ヒータ6、加湿装置7及び送風機8が設けられている。また、空気通路10の出口側に、温度センサー12と湿度センサー13が設けられている。
環境試験装置100では、前記した空気通路10内の部材と、温度センサー12及び湿度センサー13によって空気調和装置15が構成されている。
加湿装置7は、加湿ヒータ25と水皿26が組み合わされたものであり、水皿26内の水を加湿ヒータ25で加熱して蒸発させる。
湿度センサー13は、湿度を検知可能なものであれば特に限定するものではなく、例えば、乾湿球湿度計等が採用できる。
冷却手段106は、蒸発器107内で冷媒を膨張させ、蒸発器107の表面温度を低下させて空気通路10を通過する空気と熱交換する。
即ち試験室3内の湿度を低下させる場合には、冷却手段106を駆動して蒸発器107の表面温度を低下させ、蒸発器107と接する空気中の水蒸気を凝縮させる。蒸発器107と接する空気は、内包する水蒸気圧が低下し、相対湿度が下がる。
湿度調節についても同様であり、試験室3内の湿度が目標湿度に近づくと、冷却手段106と加湿装置7を併用して試験室3内の湿度を目標湿度に維持する場合がある。
また試験室内の湿度を低下させる目的で冷却手段106を駆動すると、試験室3内の温度を低下させたくはない場合であっても、蒸発器107の表面で空気から熱を奪って試験室3内の温度を過度に低下させてしまう場合がある。
そのため加熱ヒータ6の駆動量や加湿装置7を駆動させる機会が増えてしまう場合がある。
上記した課題を解決するための具体的態様は、冷却機能及び除湿機能を備えた空気調和装置において、一次側に冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる複数の熱交換器を有し、前記熱交換器には、凝縮水が発生した際に、凝縮水が排出され易い易排水性熱交換器と、当該易排水性熱交換器に比べて凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器があり、前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を調整可能であり、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量と、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を異なるものとすることができ、目標温度と目標湿度を設定可能であり、所定の空間内の現状の温度及び湿度を前記目標温度と前記目標湿度に調節するものであり、現状の温度が前記目標温度に近く、現状の湿度が前記目標湿度よりも高い場合には、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とすることを特徴とする空気調和装置である。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、冷却機能及び除湿機能を備えた空気調和装置において、一次側に冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる複数の熱交換器を有し、前記熱交換器には、凝縮水が発生した際に、凝縮水が排出され易い易排水性熱交換器と、当該易排水性熱交換器に比べて凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器があり、前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を調整可能であり、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量と、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を異なるものとすることができ、目標温度と目標湿度を設定可能であり、所定の空間内の現状の温度及び湿度を前記目標温度と前記目標湿度に調節するものであり、現状の温度が前記目標温度よりも高く、現状の湿度が前記目標湿度に近い場合には、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とすることを特徴とする空気調和装置である。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、冷却機能及び除湿機能を備えた空気調和装置において、一次側に冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる複数の熱交換器を有し、前記熱交換器には、凝縮水が発生した際に、凝縮水が排出され易い易排水性熱交換器と、当該易排水性熱交換器に比べて凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器があり、前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を調整可能であり、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量と、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を異なるものとすることができ、当該冷媒の量及び/又は保有冷熱量の変更によって、温度低下を優先する運転と湿度低下を優先する運転を切り換えることができ、前記温度低下を優先する運転の場合には、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とし、前記湿度低下を優先する運転の場合には、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とすることを特徴とする空気調和装置である。
二種類の熱交換器(易排水性熱交換器及び難排水性熱交換器)は、いずれも空気の温度を低下させ、且つ除湿する機能を備えた冷却除湿器として機能するが、易排水性熱交換器と難排水性熱交換器は、その顕熱比が異なる。
即ち易排水性熱交換器と難排水性熱交換器は、共に温度と湿度を低下させる機能を有しているが、易排水性熱交換器は難排水性熱交換器に比べて顕熱比が低く、除湿性能が優れている。これに対して、難排水性熱交換器は易排水性熱交換器に比べて顕熱比が高く、空気の温度を低下させるのにより効率的に寄与する。
以下、その理由を説明する。
易排水性熱交換器の表面温度を低下させると、易排水性熱交換器の表面で水蒸気が凝縮する。そのため空気中の水蒸気分圧が低下し、湿度が低下する。易排水性熱交換器の表面で発生した凝縮水は、易排水性熱交換器から排出される。
易排水性熱交換器から排出された凝縮水を空調される系の外に排出すれば、系内の水分量が減少し、系は除湿される。
また易排水性熱交換器では、水蒸気の凝縮に冷熱が消費されるので、空気温度(顕熱)の低下は比較的小さい。
従って易排水性熱交換器を使用すると、温度の低下を抑えた状態で湿度を降下させることができる。
この様に、易排水性熱交換器は除湿性能に優れており、実質的に顕熱比が低い。
これに対して、難排水性熱交換器の表面温度を低下させると、表面で水蒸気が凝縮するものの、凝縮水は系内に残り、幾らかは再蒸発する。
即ち難排水性熱交換器は、凝縮水が溜まり易く、凝縮水は難排水性熱交換器の表面に残りやすい。そのため難排水性熱交換器の表面で発生した凝縮水は、空調される系内に残り、系内の水分量の減少は比較的少ない。そして難排水性熱交換器に残った凝縮水が再蒸発すると、空気中の水蒸気分圧が上昇し、元の湿度に近づく。
従って難排水性熱交換器を使用すると、湿度の低下を抑えた状態で温度を降下させることができる。
この様に、難排水性熱交換器は実質的に顕熱比が高い。
本態様の空気調和装置では、顕熱比の低い易排水性熱交換器に供給する冷媒の量等や、顕熱比が高い難排水性熱交換器に供給する量等を調整可能であり、易排水性熱交換器に供給する冷媒の量等と、難排水性熱交換器に供給する冷媒の量等を異なるものとすることができる。
そのため本態様の空気調和装置では、冷却優先の運転と、除湿優先の運転を行うことができる。
一方、易排水性熱交換器は難排水性熱交換器に比べてフィンの平均間隔が広いので、水滴が落下し易く、凝縮水が溜まり難い。
本実施形態の環境試験装置1では、試験室3の下部に空気通路10がある。空気通路10は空気導入部18と空気吹き出し部16で試験室3と連通する。環境試験装置1には図示しない入力手段があり、試験室3の目標温度と目標湿度を設定することができる。
本実施形態の環境試験装置1では、空気通路10内に空気調和装置20の主要構成が配置されている。
従って従来技術の環境試験装置100と同一の部材については、同一の番号を付して説明を簡略化する。
また、空気通路10の空気吹き出し部16の近傍に、温度センサー12と湿度センサー13が設けられている。
環境試験装置1を使用する際には、送風機8を運転して空気通路10内を通風状態とし、温度センサー12及び湿度センサー13の検出値が、目標温度及び目標湿度に近づく様に空気調和装置20を制御する。
本実施形態で採用する冷却手段30は、蒸発器を2基備えている。
説明の便宜上、一方の蒸発器を顕熱除去用蒸発器(難排水性熱交換器)38と称し、他方の蒸発器を潜熱除去用蒸発器(易排水性熱交換器)40と称する。顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40は、いずれも空気の温度を低下させ、且つ除湿する機能を備えた冷却除湿器として機能するが、両者はその顕熱比が異なる。即ち顕熱除去用蒸発器38は顕熱比が高く、潜熱除去用蒸発器40は顕熱比が低い。
顕熱除去用蒸発器38及び潜熱除去用蒸発器40は、いずれも内部(一次側)に冷媒が供給され、内部で冷媒を蒸発させ、表面温度を降下させて空気通路10内を通過する空気と熱交換する熱交換器である。
顕熱除去用蒸発器38のフィン41と、潜熱除去用蒸発器40のフィン42を比較すると、顕熱除去用蒸発器38はフィン41の間隔が潜熱除去用蒸発器40のフィン42の間隔より狭く、潜熱除去用蒸発器40のフィン42の間隔が顕熱除去用蒸発器38のフィン41の間隔より広い。
フィン41、42の間隔は、図3の様にフィン41、42の平面を垂直姿勢に保持したと仮定し、その際に凝縮水の流れ落ち易さ考慮して決められている。
顕熱除去用蒸発器38は、表面に凝縮水が発生した際に、比較的、凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器である。
逆に言えば、顕熱除去用蒸発器38のフィン41の間隔SWは、水滴が隣接するフィン片41a、41bの双方に接しやすい程度の比較的狭い間隔に設定されている。
そのため顕熱除去用蒸発器38では、フィン41の間隔は、水滴が重力によって滑り落ちるよりも先に、水滴Bの様に隣接するフィン片41a、41bと接し、落下しにくい状態となり、且つ目詰まりを起こしにくい最低の間隔に設定されている。
図4(b)の様に、水滴Aが一方の潜熱除去用蒸発器40のフィン片42aに付着し、これが成長しても、隣接するフィン片42bに接する前に、重力によって滑り落ちる。
逆に言えば、潜熱除去用蒸発器40のフィン42の間隔は、水滴が隣接するフィン片42a、42bの双方には接しない程度に広い。
本実施形態の冷却手段30は、図1、図2に示すように、凝縮器36の下流側が分岐されていて顕熱除去用蒸発器38に至る顕熱除去用流路50と、潜熱除去用蒸発器40に至る潜熱除去用流路51に分かれている。
顕熱除去用流路50には、膨張手段(以下、顕熱除去側膨張弁と称する)52と、顕熱除去用蒸発器38と逆止弁55がこの順に接続されている。
そして顕熱除去用流路50と潜熱除去用流路51が合流して圧縮機35に戻る。
前記した膨張手段52、56は、いずれも電子膨張弁であり、開度を変化させることができるものであって流量調節手段として機能する。膨張手段52、56は実質的に流路を閉止することもできる。
即ち圧縮機35によって冷媒ガスが圧縮され、凝縮器36を通過して熱が奪われて冷媒が液化する。
顕熱除去用流路50に注目すると、冷媒は、顕熱除去側膨張弁52から放出されて顕熱除去用蒸発器38内で気化し、その際に周囲から熱を奪って顕熱除去用蒸発器38の表面温度を低下させる。顕熱除去用蒸発器38を出た冷媒ガスは、逆止弁55を経て圧縮機35の吸い込み側に戻り、再度圧縮される。
図3に示す様に、2台の蒸発器(顕熱除去用蒸発器38、潜熱除去用蒸発器40)は、いずれもフィン41、42の表面が垂直姿勢となる様に設置されている。またフィン41、42の表面が送風方向に沿う向きに配置されている。
本実施形態では、顕熱除去用蒸発器38が送風方向の風上側にあり、潜熱除去用蒸発器40は風下側にある。
2台の蒸発器(顕熱除去用蒸発器38、潜熱除去用蒸発器40)の下部には、水受け用のパン58が設置されている。水受け用のパン58には排水口60が設けられている。
ここで、風上側の顕熱除去用蒸発器38に注目する。
顕熱除去用蒸発器38の表面温度が周囲の露点温度以下になると、顕熱除去用蒸発器38の表面で空気中の水蒸気が凝縮し、フィン41の表面に凝縮水が付着する。
凝縮水は次第に成長するが、顕熱除去用蒸発器38は、難排水性熱交換器であり、フィン41の間隔SWが狭いので、前記した様に、水滴がフィン片41a、41bの間に挟まれ、落下しにくい状態となる。
顕熱除去用蒸発器38の表面温度が周囲の露点温度以下に降下すると、空気中の水蒸気が凝縮し、空気中の水蒸気分圧が一時的に低下するものの、試験室3を含む空間の系として見ると、水は気相から液相に変化しただけであって系内の水分量には大きな変化はない。
そのため前記した様にフィン41の間に残留した凝縮水が蒸発すると、一時的に低下した空気中の水蒸気分圧が再び上昇する。
顕熱除去用蒸発器38は、湿度を大きく低下させることなく、主として試験室3内の温度を低下させる。
即ち、顕熱除去用蒸発器38は、主として空気中の顕熱を除去する機能を発揮し、空気中の潜熱を除去する効果は比較的小さい。
顕熱除去用蒸発器38は、実質的に顕熱比が高いと言える。
潜熱除去用蒸発器40の表面温度が周囲の露点温度以下になると、潜熱除去用蒸発器40の表面で空気中の水蒸気が凝縮し、フィン42の表面に凝縮水が付着する。
凝縮水は次第に成長する。ここで、潜熱除去用蒸発器40は、図3、図4(b)に示すようにフィン42の間隔LWが広いので、前記した様に、水滴が成長すると、隣接するフィン片42a、42bと接する前に重力によって滑り落ち、下部のパン58に落下して排水口60から環境試験装置1の外部に排水される。
潜熱除去用蒸発器40に生じた凝縮水は、系外に排出され、系内(例えば空気通路10)で気化しにくいので、湿度は低下したままの状態を維持する。
また潜熱除去用蒸発器40の冷熱は、空気中の水蒸気を凝縮するのに多く費やされるので、空気通路10を通過する空気の温度を低下させる機能は比較的低い。
この様に、潜熱除去用蒸発器40は、主として空気中の潜熱を除去する機能を発揮する。
潜熱除去用蒸発器40は、実質的に顕熱比が低いと言える。
前記した様に、膨張手段52、56は、いずれも電子膨張弁であり、開度を変化させることができるものであり、流量調節手段としても機能する。
そのため、顕熱除去側膨張弁52と潜熱除去側膨張弁56の開度を調整することにより、これらに供給される冷媒の量を調節することができる。また顕熱除去側膨張弁52と潜熱除去側膨張弁56の開度を調整することにより、顕熱除去用蒸発器38に流れる冷媒と、潜熱除去用蒸発器40に流れる冷媒の割合を変更することができる。
本実施形態では、この様にして冷却手段30の全体的な顕熱比を実質的に調整することができる。
即ち顕熱を取りたい場合は、顕熱除去側膨張弁52を開いて顕熱除去用蒸発器38に供給される冷媒量を増加させ、顕熱除去用蒸発器38の作用を増大させる。その結果、冷却手段30の全体的な顕熱比が上昇する。
また除湿したい場合は、潜熱除去側膨張弁56を開いて潜熱除去用蒸発器40に供給される冷媒量を増加させ、潜熱除去用蒸発器40の作用を増大させる。その結果、冷却手段30の全体的な顕熱比が低下する。
本実施形態では、顕熱除去側膨張弁52の開度と、潜熱除去側膨張弁56の開度を調整することによって、冷却手段30の顕熱除去への寄与と、潜熱除去への寄与の割合を制御することができる。
この様な場合には、顕熱除去側膨張弁52を絞って顕熱除去用蒸発器38に供給される冷媒を少なくし、潜熱除去側膨張弁56を開いて潜熱除去用蒸発器40に流れる冷媒量を増加させる。
その結果、顕熱除去用蒸発器38の熱交換量は減少傾向となり、空気通路10を通過する空気の温度低下が小さくなる。
一方、潜熱除去用蒸発器40の熱交換量は増加傾向となり、潜熱除去用蒸発器40の表面でより多くの水蒸気が凝縮し、空気通路10を通過する空気の湿度を下げる。なお凝縮水が環境試験装置1の外部に排水されるので、凝縮水が再蒸発して湿度を上昇させることは少ない。
その結果、二つの蒸発器(顕熱除去用蒸発器38、潜熱除去用蒸発器40)を通過した空気は、湿度の低下が大きい割に、温度の低下が少ない。
二つの蒸発器(顕熱除去用蒸発器38、潜熱除去用蒸発器40)を通過した空気は、目標温度となる様に下流側の加熱ヒータ6で昇温されるが、二つの蒸発器38、40を通過した空気は温度低下が小さいので、加熱ヒータ6による加熱量は比較的少量で足る。そのため加熱ヒータ6の消費電力は比較的少ない。
その結果、潜熱除去用蒸発器40の熱交換量は減少傾向となり、潜熱除去用蒸発器40の表面における凝縮量が減少する。そのため系外に排出される水分量が減少し、空気通路10を通過する空気の湿度低下は小さくなる。
ここで、顕熱除去用蒸発器38の熱交換量が増加することにより、顕熱除去用蒸発器38の表面で多くの水蒸気が凝縮するが、凝縮水は、顕熱除去用蒸発器38の表面で留まりやすい。そのため時間の経過と共に顕熱除去用蒸発器38の表面の水滴が気化し、試験室3内の湿度を復活させる。
試験室3から空気通路10内に導入された空気は、目標湿度となる様に上流側の加湿装置7で湿度調整されるが、二つの蒸発器38、40を通過した空気は湿度低下が比較的小さいので、加湿装置7による加湿量は比較的少量で足る。そのため加湿装置7の消費電力は比較的少ない。
本実施形態の環境試験装置1においても、試験室3内の温度が目標温度に近づくと、冷却手段30と加熱ヒータ6を併用して試験室3内の温度を目標温度に維持する。湿度調節についても同様であり、試験室3内の湿度が目標湿度に近づくと、冷却手段30と加湿装置7を併用して試験室3内の湿度を目標湿度に維持する。
上記した配管系統によると、顕熱除去用蒸発器38に流れる冷媒の量と、潜熱除去用蒸発器40に流れる冷媒の量を独立して個別に制御することが可能である。
即ち環境試験装置1の用途によっては、顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40のいずれか一方に冷媒を多く流す機会が多い場合もある。この場合、逆に言えば、他方の蒸発器38、40に流される冷媒は、常態的に少量となる。
ここで、蒸発器を通過する冷媒の量が過度に少ないと、オイル循環が滞る等の事態が生じる場合がある。
その様な状況が懸念される場合には、一方の蒸発器を通過した冷媒と、蒸発器を通過していない冷媒を合流させて他方の蒸発器に流す回路を採用することが推奨される。
図5に示す冷却手段72では、凝縮器36の下流側を潜熱除去用流路51と、バイパス流路63の2経路に分岐している。潜熱除去用流路51には、潜熱除去側膨張弁56と、潜熱除去用蒸発器40と逆止弁57がこの順に接続されている。
そして潜熱除去用流路51の下流側とバイパス流路63が合流されて、顕熱除去用蒸発器38に接続され、顕熱除去用蒸発器38を通過して冷媒が圧縮機35の吸い込み側に戻される。
本態様によると、顕熱除去用蒸発器38に要求される熱交換量が少なく、顕熱除去側膨張弁52を絞っても、潜熱除去用蒸発器40を通過した冷媒が顕熱除去用蒸発器38に流れるので、必要な冷媒流量が確保される。
潜熱除去用蒸発器40を通過した冷媒は、概ね気体であって保有する冷熱量が少ないので、顕熱除去用蒸発器38の表面温度の低下に寄与しにくい。
上記した実施形態では、共通の凝縮器36を通過した冷媒が、顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40に供給されるから、各蒸発器38、40に供給される冷媒の保有冷熱量は、冷媒の量に比例する。
従って、上記した実施形態は、潜熱除去用蒸発器(易排水性熱交換器)40に供給する冷媒の量及び保有冷熱量と、顕熱除去用蒸発器(難排水性熱交換器)38に供給する冷媒の量及び保有冷熱量を異なるものとすることができるものである。
図6に示す実施形態では、異なる凝縮器36a、36bを通過した冷媒が、顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40に供給されるから、顕熱除去側膨張弁52と潜熱除去側膨張弁56の開度が同じであっても、各蒸発器に供給される冷媒の保有冷熱量が異なる場合がある。
図6に示す実施形態は、潜熱除去用蒸発器(易排水性熱交換器)40に供給する冷媒の保有冷熱量と、顕熱除去用蒸発器(難排水性熱交換器)38に供給する冷媒の保有冷熱量を異なるものとすることができるものである。
図6の冷却手段61、62を構成する各部材は、前記した実施形態と共通するので、同一の部材に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
この構成は、単純でありながら、凝縮水の溜まり易さに明確な差を付けることができるので推奨される。
図7は、顕熱除去用蒸発器38のフィンの例を示すものである。図7(a)に示すフィン65は、波板状であり、表面にうねりがある。そのため波の上部に凝縮水が残りやすい。
図7(b)に示すフィン66は、段付き形状であり、表面に段がある。そのため段の上部に凝縮水が残りやすい。
図7(c)に示すフィン67は、表面に細かい突起がある。そのため突起に保持されて凝縮水が残りやすい。
図7(d)に示すフィン68は、表面に細かい開口がある。そのために水膜が生じて凝縮水を保持する。
図7(a)(b)(c)に示すフィン65、66、67は、いずれもフラット形状のフィンに比べて保水力が高い。
そのため顕熱除去用蒸発器(難排水性熱交換器)38のフィンとして図7(a)(b)(c)に示すフィン65、66、67を採用し、潜熱除去用蒸発器(易排水性熱交換器)40として表面が平滑なフィンを採用することが推奨される。
図7(d)に示すフィン68は、表面張力を利用してフィンの保水力を強化させる構成例である。
また親水性のコーティング層を設けて、凝縮水の流れを阻害し、顕熱除去用蒸発器38としてもよい。親水性のコーティング層を設けることにより、フィンの水に対する濡れ性が向上し、水が残留し易くなる。
例えば、顕熱除去用蒸発器(難排水性熱交換器)38のフィンの表面に親水性のコーティング層を設けて、水に対する濡れ性を上げる。或いは、潜熱除去用蒸発器(易排水性熱交換器)40の表面に撥水性のコーティング層を設けて、水に対する濡れ性を下げる。
不凍液を利用する場合には、顕熱除去用蒸発器38及び潜熱除去用蒸発器40に代わって、一次側に不凍液等の冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる熱交換器が採用される。
また上記した実施形態では、送風の上流側に顕熱除去用蒸発器38を置いたが、順序は逆であってもよい。
さらには、顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40の位置が離れていたり、顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40を並列的に(横並びに)配置してもよい。
また、顕熱除去用蒸発器38と潜熱除去用蒸発器40のフィンについて、間隔、表面形状および表面加工のうち複数を組み合わせて排水性を異ならせてもよい。
3 試験室
6 加熱ヒータ
7 加湿装置
8 送風機
10 空気通路
20 空気調和装置
30、61、62、72 冷却手段
38 顕熱除去用蒸発器(難排水性熱交換器)
40 潜熱除去用蒸発器(易排水性熱交換器)
41 フィン
42 フィン
52 顕熱除去側膨張弁(流量調節手段)
56 潜熱除去側膨張弁(流量調節手段)
Claims (10)
- 冷却機能及び除湿機能を備えた空気調和装置において、
一次側に冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる複数の熱交換器を有し、
前記熱交換器には、凝縮水が発生した際に、凝縮水が排出され易い易排水性熱交換器と、当該易排水性熱交換器に比べて凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器があり、
前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を調整可能であり、
前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量と、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を異なるものとすることができ、
目標温度と目標湿度を設定可能であり、所定の空間内の現状の温度及び湿度を前記目標温度と前記目標湿度に調節するものであり、
現状の温度が前記目標温度に近く、現状の湿度が前記目標湿度よりも高い場合には、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とすることを特徴とする空気調和装置。 - 冷却機能及び除湿機能を備えた空気調和装置において、
一次側に冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる複数の熱交換器を有し、
前記熱交換器には、凝縮水が発生した際に、凝縮水が排出され易い易排水性熱交換器と、当該易排水性熱交換器に比べて凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器があり、
前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を調整可能であり、
前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量と、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を異なるものとすることができ、
目標温度と目標湿度を設定可能であり、所定の空間内の現状の温度及び湿度を前記目標温度と前記目標湿度に調節するものであり、
現状の温度が前記目標温度よりも高く、現状の湿度が前記目標湿度に近い場合には、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とすることを特徴とする空気調和装置。 - 冷却機能及び除湿機能を備えた空気調和装置において、
一次側に冷媒が供給され、表面温度を降下させて空気と熱交換することができる複数の熱交換器を有し、
前記熱交換器には、凝縮水が発生した際に、凝縮水が排出され易い易排水性熱交換器と、当該易排水性熱交換器に比べて凝縮水が溜まり易い難排水性熱交換器があり、
前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を調整可能であり、
前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量と、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を異なるものとすることができ、当該冷媒の量及び/又は保有冷熱量の変更によって、温度低下を優先する運転と湿度低下を優先する運転を切り換えることができ、
前記温度低下を優先する運転の場合には、前記難排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とし、前記湿度低下を優先する運転の場合には、前記易排水性熱交換器に供給する冷媒の量及び/又は保有冷熱量を増加傾向とすることを特徴とする空気調和装置。 - 前記熱交換器は、表面にフィンを有し、前記難排水性熱交換器は前記易排水性熱交換器に比べて前記フィンの平均間隔が狭いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和装置。
- 前記熱交換器は、表面にフィンを有し、前記難排水性熱交換器と前記易排水性熱交換器は前記フィンの表面形状が相違していて保水力が相違し、前記難排水性熱交換器は前記易排水性熱交換器に比べて前記フィンの保水力が高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気調和装置。
- 前記熱交換器は、表面にフィンを有し、前記難排水性熱交換器の前記フィンは、前記易排水性熱交換器の前記フィンに比べて水に対する濡れ性が良いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気調和装置。
- 共通の冷媒供給源を有し、当該冷媒供給源から前記易排水性熱交換器と前記難排水性熱交換器に冷媒が供給され、冷媒供給路に流量調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空気調和装置。
- 前記易排水性熱交換器に冷媒を供給する易排水側冷媒供給源と、前記難排水性熱交換器に冷媒を供給する難排水側冷媒供給源を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空気調和装置。
- 送風手段を有し、送風方向の上流側に前記難排水性熱交換器があり、その下流側に前記易排水性熱交換器が配されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空気調和装置。
- 被試験物を配置する試験室と、請求項1乃至9のいずれかに記載の空気調和装置を備え、前記空気調和装置で前記試験室内の環境を調節することを特徴とする環境試験装置。
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