JP7053288B2 - 修飾粒子、これを含む分散液および組成物、並びに修飾粒子の製造方法および組成物の製造方法 - Google Patents
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前記ブロックイソシアネートシランが、下記一般式(I)、
(一般式(I)中、R1は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、cは1~10の数であり、aは1~3の数であり、bは0~2の数であり、a+b=3である。)で表されるイソシアネート化合物と、ブロック化剤と、の反応物であることを特徴とするものである。
(一般式(I)中、R1は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、cは1~10の数であり、aは1~3の数であり、bは0~2の数であり、a+b=3である。)で表されるイソシアネート化合物を有する修飾粒子と、樹脂と、ブロック化剤と、を含むことを特徴とするものである。
前記ブロックイソシアネートシランが、下記一般式(I)、
(一般式(I)中、R1は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、cは1~10の数であり、aは1~3の数であり、bは0~2の数であり、a+b=3である。)で表されるイソシアネート化合物と、ブロック化剤と、の反応物であることを特徴とするものである。
A.修飾粒子
まず、本発明の修飾粒子について説明する。本発明の修飾粒子は、粒子に結合したブロックイソシアネートシランを有する。本発明の修飾粒子においては、ブロックイソシアネートシランは、下記一般式(I)で表されるイソシアネート化合物と、ブロック化剤と、の反応物である。
A-1.ブロックイソシアネートシラン
本発明の修飾粒子に係るブロックイソシアネートシランは、一般式(I)で表されるイソシアネート化合物とブロック化剤との反応物である。すなわち、本発明の修飾粒子に係るブロックイソシアネートシランは、一般式(I)で表されるイソシアネート化合物のイソシアネート基(-N=C=O)とブロック化剤とを反応させて得られるものである。また、本発明の修飾粒子に係るブロックイソシアネートシランは、修飾粒子中において粒子に結合したものである。ここで、「粒子に結合した」とは、粒子と共有結合を介して結合している状態を示すものであり、例えば、粒子に存在する水酸基等の反応性基とブロックイソシアネートシラン中のOR1とが脱水縮合反応等を経て共有結合を生成している状態等を意味する。したがって、修飾粒子中のブロックイソシアネートシランに含まれるOR1基のうち、粒子との結合に関与したものは、通常、R1を含まない状態である。
本発明の修飾粒子に係る粒子は、ブロックイソシアネートシランが結合するものである。このような粒子としては、樹脂を含む組成物中に添加することで、強度向上等を図ることができるものであれば特に制限はなく、無機粒子、有機粒子、金属粒子等を挙げることができる。本発明の修飾粒子に係る粒子は、1種類のみであってもよく、2種類以上を含むものであってもよい。
前処理:ビーカーに粒子と、分散溶媒とを加えた後、超音波(39kHz、出力500Wにて2分間)で分散させ、これをサンプル液とする。
分散溶媒:メチルエチルケトン
粒子濃度:20質量%
本発明の修飾粒子は、ブロックイソシアネートシラン以外のその他の化合物が粒子に結合していてもよい。このような、その他の化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等のシラザン化合物等を挙げることができる。
本発明の修飾粒子の平均粒子径としては、修飾粒子の用途等に応じて適宜設定されるものである。このような平均粒子径等については、本発明の修飾粒子に係る粒子の平均粒子径と同様とすることができる。
次に、本発明の分散液について説明する。本発明の分散液は、本発明の修飾粒子と、溶剤と、を含む。本発明の分散液は、本発明の修飾粒子を含むものであるため、修飾粒子の分散安定性に優れている。また、本発明の分散液を用いて樹脂組成物を形成した場合には、強度に優れた樹脂組成物を得ることができる。以下、本発明の分散液の各成分について説明する。
本発明の分散液においては、本発明の修飾粒子の含有量としては、本発明の分散液の用途等に応じて適宜設定することができるが、例えば、分散液100質量部中に、0.001質量部以上50質量部以下とすることができ、なかでも、0.01質量部以上40質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。修飾粒子の含有量が上記範囲であることで、本発明の分散液は、修飾粒子の凝集の少ないものとなるからである。
本発明の分散液に係る溶剤は、修飾粒子を分散するものである。このような溶剤としては、修飾粒子を分散可能なものであればよく、特に制限はない。例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ-またはn-プロパノール、イソ-またはn-ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルエーテルアセテート、エトキシエチルエーテルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D-リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;N-メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等を挙げることができる。本発明の分散液においては、溶剤は、水を含む水性溶剤であってもよく、水を含まない非水性溶剤であってもよい。
本発明の分散液は、本発明の修飾粒子および溶剤を含むものであるが、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。このような、その他の成分としては、一般に用いられる各種添加剤を挙げることができる。例えば、顔料、染料、造膜助剤、硬化剤、カップリング剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、ゲル化防止剤、分散安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機および有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強剤、触媒、揺変剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐触剤、加水分解性シリル基安定剤等が挙げられる。
次に、本発明の組成物について説明する。本発明の組成物は、本発明の修飾粒子と、樹脂と、を含むことを特徴とするものである。本発明の組成物によれば、本発明の修飾粒子を含むものであるため、強度に優れた組成物を容易に得ることができる。以下、本発明の組成物の各成分について詳細に説明する。
本発明の組成物における、本発明の修飾粒子の含有量としては、本発明の組成物の用途等に応じて適宜設定することができるが、例えば、本発明の組成物の固形分100質量部中に、0.1質量部以上90質量部以下とすることができ、0.5質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上70質量部以下であることが特に好ましい。修飾粒子の含有量が上記範囲であることで、本発明の組成物は、強度に優れたものとなるからである。なお、特に強度を向上するという観点からは、本発明の修飾粒子の含有量は、組成物の固形分100質量部中に、10質量部以上70質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、30質量部以上70質量部以下であることが好ましい。また、固形分とは、組成物に含まれる溶剤以外の全ての成分を含むものである。
本発明の組成物に係る樹脂は、修飾粒子を分散するものである。このような樹脂としては、修飾粒子を保持可能なものであれば特に制限はなく、例えば、重合性基を有する重合性化合物のように、重合することで高分子量化し、これにより修飾粒子を保持可能となるもの、重合性基を有しない重合体のように、樹脂自体が修飾粒子を保持可能なもの等を挙げることができる。
本発明の組成物においては、重合性化合物としては、重合性基の種類、すなわち、重合反応の種類により異なるものであり、例えば、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、アニオン重合性化合物等を挙げることができる。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能な重合性基を1以上有するものであり、重合性基を1つ有する単官能化合物でもよく、重合性基を2以上有する多官能化合物でもよい。ラジカル重合性化合物としては、例えば、重合性基として(メタ)アクリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和二重結合基等を有する化合物を挙げることができる。なお、(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルを含む意味で用いるものとする。
カチオン重合性化合物としては、カチオン重合可能な重合性基を1以上有するものであり、重合性基を1つ有する単官能化合物でもよく、重合性基を2以上有する多官能化合物でもよい。カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ基を有するエポキシ化合物およびオキセタン基を有するオキセタン化合物等の環状エーテル基を有する化合物、並びにビニルエーテル基を有するビニルエーテル化合物等を挙げることができる。
アニオン重合性化合物としては、アニオン重合可能な重合性基を1以上有するものとすることができ、重合性基を1つ有する単官能化合物でもよく、重合性基を2以上有する多官能化合物でもよい。例えば、エポキシ基を有するエポキシ化合物、ラクトン基を有するラクトン化合物、(メタ)アクリル基を有する化合物等を挙げることができる。
本発明の組成物においては、重合性基を有しない重合体とは、重合性基を有しないものである。このような重合体としては、繰り返し構造を含むものであればよく、感光性を有する感光性樹脂、感光性を有しない非感光性樹脂等を挙げることができる。
感光性樹脂は、感光性を有するものであり、例えば、酸発生剤と共に用いられ、酸の作用でエステル基またはアセタール基等の化学結合の切断等、現像液に対する溶解性が増加する方向に変化するポジ型樹脂を挙げることができる。このようなポジ型樹脂としては、例えば、特開2016-89085号公報に記載のレジストベース樹脂または化合物等を用いることができる。
非感光性樹脂としては、感光性を有しないものであればよく、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。非感光性樹脂としては、上記重合性化合物の重合物も用いることができる。すなわち、本発明の組成物は、重合性化合物と、修飾粒子とを含む組成物の硬化物であってもよい。
本発明の組成物においては、重合体の重量平均分子量(Mw)は、組成物の用途等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、1500以上とすることができ、1500以上300000以下とすることができる。なお、重量平均分子量Mwは、例えば、東ソー(株)製のHLC-8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN-メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS-2シリーズ)およびMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー(株)製)として測定して得ることができる。また、測定温度は40℃とすることができ、流速は1.0mL/分とすることができる。
本発明の組成物は、本発明の修飾粒子、樹脂以外に、必要に応じてその他の成分を含むことができる。その他の成分としては、ラジカル重合性化合物と共に添加し得るラジカル重合開始剤、カチオン重合性化合物と共に添加し得る、または感光性化合物と共に酸発生剤として添加し得るカチオン重合開始剤、アニオン重合性化合物と共に添加し得るアニオン重合開始剤等の重合開始剤等を挙げることができる。このようなラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤等としては、より具体的には、特開2016-176009号公報に記載されるラジカル重合開始剤およびカチオン開始剤等を用いることができる。また、アニオン重合開始剤等としては、より具体的には、特開2017-073389号公報に記載される光アニオン重合開始剤、熱アニオン重合開始剤等を挙げることができる。
本発明の組成物の製造方法としては、上記各成分を分散性よく混合できる方法であれば特に制限はなく、公知の攪拌手段により混合する方法を用いることができる。例えば、樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、押出機等を用いて樹脂を可塑化させながら樹脂および修飾粒子を混合する方法を用いることができる。
次に、本発明の第2組成物について説明する。
本発明の第2組成物は、粒子に結合した下記一般式(I)で表されるイソシアネート化合物を有する第2修飾粒子と、樹脂と、ブロック化剤と、を含むものである。
本発明の第2組成物に係る第2修飾粒子は、粒子に結合した一般式(I)で表されるイソシアネート化合物を有するものである。ここで、粒子およびイソシアネート化合物等については、「A.修飾粒子」の項に記載の内容と同様である。第2修飾粒子の平均粒子径についても、「A.修飾粒子」の項に記載の修飾粒子の平均粒子径と同様である。第2修飾粒子の含有量については、「C.組成物」の項に記載の内容である。
本発明の第2組成物は、第2修飾粒子と、樹脂と、ブロック化剤とを含むものであるが、必要に応じてその他の成分を含むものであってもよい。このようなその他の成分については、「C.組成物」の「C-3.その他の成分」の項に記載の内容と同様である。
次に、本発明の修飾粒子の製造方法について説明する。本発明の修飾粒子の製造方法は、粒子とブロックイソシアネートシランとを結合する結合工程を有しており、このブロックイソシアネートシランが、下記一般式(I)で表されるイソシアネート化合物とブロック化剤との反応物である。
結合工程は、粒子と、一般式(I)で表されるイソシアネート化合物とブロック化剤との反応物であるブロックイソシアネートシランと、を結合する工程である。本工程において、粒子と上記ブロックイソシアネートシランとを結合させる方法としては、粒子に上記ブロックイソシアネートシランが結合した修飾粒子を得られる方法であればよく、例えば、(i)上記ブロックイソシアネートシランを準備し、上記ブロックイソシアネートシランを粒子に結合する方法(以下、「第1方法」とも称する。)、(ii)粒子に、一般式(I)で表されるイソシアネート化合物を結合させた後、このイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基にブロック化剤を反応させる方法(以下、「第2方法」とも称する。)等を挙げることができる。本工程においては、第1方法であることがより好ましい。本発明の修飾粒子を容易に得ることができるからである。
本発明の製造法により製造される修飾粒子としては、「A.修飾粒子」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の組成物の製造方法について説明する。本発明の組成物の製造方法は、上述の組成物に含まれる修飾粒子中のブロックイソシアネート基を脱ブロックする工程を有するものである。
脱ブロックする工程は、組成物に含まれる修飾粒子中のブロックイソシアネート基を脱ブロックする工程である。ここで、ブロックイソシアネート基は、イソシアネート基がブロック化剤と反応した基である。このようなブロックイソシアネート基の内容については、「A.修飾粒子」の項に記載の内容と同様とすることができる。また、本工程における組成物については、「C.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明の製造方法により製造される組成物については、少なくとも第2修飾粒子及び樹脂を含むものであり、必要に応じて、ブロックイソシアネートシランに由来するブロック化剤を含むものであってもよい。
このような組成物の内容については、例えば、「D.第2組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
四ツ口フラスコ中、窒素雰囲気下で、メチルエチルケトンオキシム500質量部を仕込み、内温を40℃以下に保ち撹拌しながら、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン200質量部を1時間かけて加え、その後、内温40℃で1時間撹拌した。IRでイソシアネート基のピークが消失したことを確認し、ブロックイソシアネートシランa-1を得た。
四ツ口フラスコ中、窒素雰囲気下で、3,5-ジメチルピラゾール500質量部を仕込み、内温を40℃以下に保ち撹拌しながら、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン200質量部を1時間かけて加え、その後、内温40℃で1時間撹拌した。IRでイソシアネート基のピークが消失したことを確認し、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)溶液としてブロックイソシアネートシランa-2を得た。
四ツ口フラスコ中、窒素雰囲気下で、1,1-ビス〔4-(2,3-エポキシプロピルオキシ)フェニル〕インダンの30.0g、アクリル酸7.52g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.080g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.183gおよび、PGMEA11.0gを仕込み、90℃で1時間、105℃で1時間および120℃で17時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸8.11g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.427gおよびPGMEA11.1gを加えて、100℃で5時間撹拌した。さらに、1,1-ビス〔4-(2,3-エポキシプロピルオキシ)フェニル〕インダン12.0g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.080gおよび、PGMEA0.600gを加えて、90℃で90分、120℃で5時間撹拌後、PGMEA24.0gを加えて、PGMEA溶液として樹脂No.1を得た(Mw=4900、Mn=2250,酸価(固形分)47mg・KOH/g、固形分45.0質量%)。
下記手順により、下記表1、2に記載の配合に従って、修飾粒子等を得た。なお、表1、2に記載の各成分は、後述するシランカップリング剤(A1~A2およびB1~B4)およびシリカ粒子(C1~C2)を用いた。なお、表中の配合量は、各成分の固形分について質量部を表すものである。
シリカ粒子C1 100質量部にイソプロパノール60質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、シリカ粒子が液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
準備工程で得られた分散液に、シランカップリング剤A1を、1.8質量部加え、40℃で72時間混合した。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときシランカップリング剤は、必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算した量とした。
結合工程後の混合物に、ヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子(修飾粒子)が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子(修飾粒子)が水およびイソプロパノールの中で安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。
第2結合工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液を5質量部加え、シリカ粒子(修飾粒子)を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に2時間真空乾燥して、表面を乾燥状態にした。
固形化工程により回収された乾燥状態のシリカ粒子(修飾粒子)にヘキサメチルジシラザンを混合した。ヘキサメチルジシラザンの量は粒子の表面に存在するシラノール基に対して過剰量とした。混合後、200℃で2時間加熱を行った。これにより、修飾粒子X1を得た。
シランカップリング剤およびシリカ粒子の種類を下記表1、2に記載の材料に変更した以外は、修飾粒子X1の製造と同様の方法により修飾粒子X2~X3およびY1~Y4を得た。粒子Y01~02は、(2)結合工程、(3)第2結合工程(1回目)および(5)第2結合工程(2回目)を実施しなかった以外は、修飾粒子X1と同様の方法により調製したものである。すなわち、Y01およびY02は、シリカ粒子に対して、修飾処理を行っていないものである。なお、表中の配合量は、各成分の固形分について質量部を表すものである。
A1:ブロックイソシアネートシランa-1(上記製造例1で得られたブロックイソシアネートシラン。ブロック化剤がオキシムエステル化合物であるもの。)
A2:ブロックイソシアネートシランa-2(上記製造例2で得られたブロックイソシアネートシラン。ブロック化剤がピラゾール化合物であるもの。)
B1:イソシアネートシラン(信越化学工業社製、KBE-9007)
B2:エポキシシラン(信越化学工業社製、KBE-403)
B3:メタクリルシラン(信越化学工業社製、KBE-503)
B4:アミノシラン(信越化学工業社製、KBE-903)
C1:スノーテックスOS(日産化学工業株式会社製、水中に分散されており固形分濃度20%)
C2:スノーテックスOL(日産化学工業株式会社製、水中に分散されており固形分濃度20%)
<凝集性評価1:粒子径測定>
得られた修飾粒子または粒子(修飾粒子等)について、液状媒体中における凝集性を測定した。詳しくは、得られた修飾粒子等10gとメチルエチルケトン40gとの混合した後、超音波(39kHz、出力500Wにて2分間)で分散させ、測定用サンプルを得た。
○:凝集物が観察されなかった。
×:凝集物が観察された。
なお、○である場合には、修飾粒子の分散安定性が良好であると判断できる。
下記表3、4に記載の配合に従って、修飾粒子等、樹脂(熱可塑性樹脂)を配合して組成物を得た。各成分の混合は、パーカーコーポレーション製の同方向回転二軸押出機(HK-25D(41D))にて、樹脂温度250℃にて混練することで行った。なお、250℃は、ブロック化剤が脱ブロックする温度である。各成分は以下の材料を用いた。なお、表中の配合量は、各成分の固形分について質量部を表すものである。
X1:修飾粒子(実施例1-1で製造した修飾粒子。シランカップリング剤(ブロックイソシアネートシラン)が、粒子の一部を覆うもの。)
X2:修飾粒子(実施例1-2で製造した修飾粒子。シランカップリング剤(ブロックイソシアネートシラン)が、粒子の一部を覆うもの。)
X3:修飾粒子(実施例1-3で製造した修飾粒子。シランカップリング剤(ブロックイソシアネートシラン)が、粒子の一部を覆うもの。)
Y1:修飾粒子(比較例1-1で製造した修飾粒子。シランカップリング剤が、粒子の一部を覆うもの。)
Y2:修飾粒子(比較例1-2で製造した修飾粒子。シランカップリング剤が、粒子の一部を覆うもの。)
Y3:修飾粒子(比較例1-3で製造した修飾粒子。シランカップリング剤が、粒子の一部を覆うもの。)
Y4:修飾粒子(比較例1-4で製造した修飾粒子。シランカップリング剤が、粒子の一部を覆うもの。)
Y01:粒子(比較例1-5で製造した粒子)
Y02:粒子(比較例1-6で製造した粒子)
D1:ポリアミドイミド樹脂(トーロン ソルベイアドバンスドポリマー、熱可塑性樹脂、2級アミン含有樹脂)
実施例および比較例で得られた組成物について、二軸押出機から組成物を吐出した際に、型枠内に流し込み、冷却固化して厚さ1mmのフィルム(評価用サンプル)を得た。この評価用サンプルを用いて、以下の評価を行った。
目視にて評価用サンプルを観察し、以下の基準で判断した。
○:実施例2-1の評価用組成物と比較し、着色の程度が同程度または着色が観察されない。
×:実施例2-1の評価用組成物と比較し、着色が観察される。
なお、○である場合には、樹脂の劣化が抑制されていると判断できる。また、実施例2-1の評価結果は○とした。
触診にて評価用サンプルを評価し、以下の基準で判断した。
○:実施例2-1の評価用組成物と比較し、表面の滑らかさの程度が同程度またはより滑らかで、かつ、表面の硬さの程度が同程度またはより硬い。
×:実施例2-1の評価用組成物と比較し、表面の滑らかさの程度が低く、ざらざらしており、かつ、表面の硬さの程度がより柔らかい。
なお、○である場合には、修飾粒子等が樹脂中に良好に分散し、さらに、修飾粒子が樹脂等と結合することで樹脂組成物の強度が向上していると判断できる。
評価用サンプルの引張強度として、以下の方法により引張破壊応力(MPa)を測定した。具体的には、評価用サンプル(フィルム)をJIS K 7162のダンベル形試験片1B形に打ち抜き、JISK7161に準拠し、相対湿度50%、雰囲気温度23℃での環境下、引張試験機を用いて、チャック間距離10mm、引張速度50mm/分で引張破壊応力(MPa)を測定した。また、引張試験機としては、引張試験機(インストロン社製)「5565(型式)」を用いた。
下記表5~7に記載の配合に従って、粒子または修飾粒子、樹脂、重合開始剤を配合して組成物を得た。各成分は以下の材料を用いた。また、表中の粒子X1~3、Y01~02、Y1~5は、上記実施例2-1等と同様の内容を示すものである。なお、表中の配合量は、各成分の固形分について質量部を表すものである。
E1:ラジカル重合性化合物((昭和電工社製リポキシSPC-1000 固形分29質量%PGMEA溶液)、水酸基およびカルボキシル基含有樹脂)
E2:製造例3で製造した樹脂No.1(水酸基およびカルボキシル基含有樹脂)
F1:ラジカル重合性化合物(東亜合成社製アロニックスM-450(ペンタエリスリトールトリおよびテトラアクリレート3~4の混合物、多官能化合物)
F2:ラジカル重合性化合物(新中村化学工業社製NKオリゴEA-1020(ビスフェノールA型エポキシアクリレート)、水酸基含有樹脂)
F3:カチオン重合性化合物(株式会社ADEKA社製EP-4100E(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)エポキシ基含有樹脂、硬化後に水酸基含有樹脂)
G1:下記式(G1)で表される化合物(オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤)
G2:ADEKA社製SP-171(スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤)
実施例および比較例で得られた組成物について、ガラス基板上にスピンコート(500rpm、10秒間)し、乾燥後(プリベーク後)の膜厚が10μmとなる塗膜を形成した。次いで、塗膜に対して、ホットプレートを用いて、90℃で90秒間プリベークを行い、光源として高圧水銀ランプを用いて露光(300mJ/cm2)し、硬化物を得た。次いで、オーブンを用いて、230℃で30分ポストベークを行い、ガラス基板から塗膜を剥離することで評価用サンプルを得た。なお、230℃は、ブロック化剤が脱ブロックする温度である。この評価用サンプルを用いて、評価基準を実施例3-1とした以外は、実施例2-1等と同様に、着色評価、触感評価、引張強度の評価を行った。結果を下記表5~7に示す。
押出機での加熱温度を80℃とした以外は、実施例2-1と同様にして組成物を調製し、引張強度の評価を行った。なお、100℃は、ブロック化剤が脱ブロックする温度未満の温度である。その結果、実施例2-1の評価結果100に対して、実施例4-1の評価結果は、60であった。この結果より、実施例2-1の樹脂組成物の強度向上は、修飾粒子中のブロックイソシアネート基の脱ブロックにより達成していることが確認できた。
Claims (10)
- 前記粒子が、シリカ粒子である請求項1記載の修飾粒子。
- 前記ブロック化剤が、オキシム化合物またはピラゾール化合物である請求項1または2記載記載の修飾粒子。
- 請求項1~3のうちいずれかの一項記載の修飾粒子と、溶剤と、を含むことを特徴とする分散液。
- 請求項1~3のうちいずれか一項記載の修飾粒子と、樹脂と、を含むことを特徴とする組成物。
- 前記粒子が、シリカ粒子である請求項7記載の修飾粒子の製造方法。
- 前記ブロック化剤が、オキシム化合物またはピラゾール化合物である請求項7または8記載の修飾粒子の製造方法。
- 請求項5記載の組成物に含まれる前記修飾粒子中のブロックイソシアネート基を脱ブロックする工程を有することを特徴とする組成物の製造方法。
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