JP7050602B2 - トンネルの更生方法、更生トンネル構造及び連結装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1の更生工法においては、既設の下水道管等の地中埋設管の内周に沿って鉄筋かご状の鋼製フレームを構築する。続いて、複数の長板状の内面材を、鋼製フレームの内周面の周方向及び管軸方向に並べて取り付けることで、更生管を構築する。地中埋設管の内周面と更生管との間の環状間隙にはモルタル等が充填される。
本発明は、かかる事情に鑑み、外周支保工を含む既設トンネルを更生管によって更生する際に、製管後の更生管を位置調整可能とすることを目的とする。
本発明は、かかる着想に基づいてなされたものであり、本発明方法は、トンネル周方向に沿う外周支保工と、該外周支保工を内周側から覆う覆工とを含む既設トンネルを更生するトンネル更生方法であって、
前記覆工を、少なくとも前記外周支保工が露出されるまで撤去する工程と、
前記撤去後の坑内空間に更生管を製管する工程と、
連結対象間の間隔を調節可能な連結装置によって、前記更生管と前記外周支保工とを連結する工程と、
前記坑内空間における前記更生管の外周側の環状間隙に裏込め材を充填する工程と、
を備えたことを特徴とする。
更生管の製管後、前記連結装置によって更生管と外周支保工とを間隔調節しながら連結する。これによって、製管後の更生管を位置調節することができる。かつ付随的効果として、連結装置を介して更生管を既設トンネルの外周支保工に支持させることができる。このため、裏込め材の打設時に更生管の内部に腹起しなどの内部支保工を構築しなくて済む。ないしは、前記内部支保工を簡略化できる。この結果、工期を短縮できる。
裏込め材の充填によって、外周支保工を含む既設トンネルと更生管とが裏込め材を介して強度的に一体化される。ひいては、既設トンネルを更生できる。連結装置における環状間隙内に配置されている部分は、裏込め材に埋設される。
外周支保工の配置スパンごとに前記連結工程を行うことがより好ましい。
前記外周支保工の内側に設置された更生管と、
前記更生管を前記外周支保工に位置調節可能に連結する連結装置と、
前記更生管の外周を囲む環状間隙に充填された裏込め材と、
を備えたことを特徴とする。
更生施工の際、製管後の更生管と外周支保工とを連結装置によって連結するとともに、連結装置の連結部材を介して内端係着部と外端係着部とを接近離間されることによって、更生管を位置調節できる。前記連結部材における前記環状間隙内に配置された部分は、前記裏込め材に埋設される。
これによって、更生管をトンネル軸方向及びトンネル周方向の複数箇所において外周側から支持できる。各連結ユニットの配置位置における更生管と外周支保工の間隔を調節することで、更生管の位置調節だけでなく、更生管の形状を任意に調整することができる。裏込めに際しては、腹起しなどの内部支保工を確実に省略ないしは簡略化できる。
前記内端係着部が、前記更生管に宛がわれた当接板を含み、
前記嵌合部に対応する連結ユニットの当接板は、前記嵌合部を跨ぐように配置されていることが好ましい。
これによって、嵌合部に大きな負荷がかかるのを防止でき、嵌合部が外れないよう保護できる。
例えば、前記更生管が螺旋管の場合、螺旋状のひと巻き部分(一周部分)が各管構成部となる。隣接するひと巻き部分どうしは、螺旋状の巻回方向に一体に連続するとともに、これら隣接するひと巻き部分どうしにおけるトンネル軸方向に対向する縁どうし間に嵌合部が形成される。
前記更生管が、トンネル周方向及びトンネル軸方向に複数の板状の管構成部に分割されていてもよい。
前記更生管が、トンネル軸方向に複数のリング状の管構成部に分割されていてもよい。
これによって、更生管の嵌合部を挟んで両側の管構成部をそれぞれ連結部材を介して外周支保工に支持させることができる。
前記連結部材は、前記嵌合部を避けて配置されることが好ましい。前記連結部材は、前記嵌合部における管構成部どうしの嵌合を解除ないしは破壊しないように配置されることが好ましい。
前記外周支保工と係着される外端係着部と、
前記更生管と係着される内端係着部と、
トンネル軸方向と直交するトンネル内外方向へ延び、前記外端係着部と前記内端係着部とを接近離間可能に連結する連結部材と
を備えたことを特徴とする。
当該連結装置によって、外周支保工と更生管とを連結するとともに、外周支保工と更生管とをトンネル内外方向に接近させたり離間させたりすることで、更生管を位置調節できる。
連結部材と外端係着部とのねじ込み量、及び連結部材と内端係着部とのねじ込み量を調節することによって、更生管を外周支保工に対して位置調節することができる。
ワイヤに張力を付与することによって、更生管を連結装置を介して外周支保工に支持させることができる。
<既設トンネル1>
図6は、更生前の既設トンネル1を示したものである。トンネル1の用途及び大きさ(断面積)は、特に限定が無く、例えば車両、人、鉄道などを通す交通用トンネルのほか、水力発電導水用トンネル、農業用水用トンネル、上水道用トンネル、下水道用トンネルなどが挙げられる。
図1及び図2は、老朽化した既設トンネル1を更生してなる更生トンネル1A(更生トンネル構造)を示したものである。
更生トンネル1Aにおいては、既設トンネル1の外周支保工2が残置され、覆工4の少なくとも一部(図1及び図2においては全部)が撤去されている。
更生管3は、外周支保工2の内側に設置され、図1の紙面と直交するトンネル軸方向へ延びている。更生管3の内部が、更生トンネル1Aにおける坑道(トンネル内空間)となっている。更生管3の外周を囲む環状間隙1dには裏込め材5が充填されている。裏込め材5を介して、外周支保工2を含む既設トンネル1の残置構造部と更生管3とが強度的に一体化されている。
なお、帯状部材30の断面形状は、図示したものに限定されるものではなく適宜改変できる。補強帯材32が省略されていてもよい。帯状部材30が、合成樹脂部31だけで構成されていてもよい。
なお、前記ひと巻き部分3a,3aどうしは、螺旋状の巻回方向に沿って一体に連続している。
連結部材11の内端部(図3において下端部、図4において上端部)は、更生管3を貫通している。更生管3には、連結部材11を通すための貫通孔3bが形成されている。
詳しくは、一対の外端係着部12は、それぞれナットによって構成されている。各外端係着部12が、対応する連結部材11にねじ込まれるとともに、内周側フランジ23,43に突き当てられている。これによって、外端係着部12が外周支保工2と係着されている。
各連結部材11の内端部における当接板14から突出された先端部分に、ナット15がねじ込まれている。該ナット15が当接板14のトンネル内周側面に突き当てられている。これによって、内端係着部13が更生管3と係着されている。
或いは、図4に示すように、連結ユニット19の各連結部材11は、嵌合部35をできるだけ避けて配置されていてもよい。連結部材11は、メスロック33とオスロック34の嵌合を解除ないしは破壊しないように配置されていることが好ましい。
老朽化した既設トンネル1が次のようにして更生されて、更生トンネル1Aが構築される。
図7に示すように、まず、既設トンネル1の覆工4を撤去する。必ずしも覆工4の全部を撤去する必要は無く、少なくとも外周支保工2が露出されるまで撤去すればよい。好ましくは、内周側フランジ23,43が露出されるまで覆工4を撤去する。
老朽化によって覆工4が劣化している場合は、その劣化部分を撤去するか、覆工4の全体を撤去してもよい。
既設トンネル1における覆工撤去後の坑内空間1cの内周面を覆工撤去跡面1bと称す。外周支保工2の少なくとも一部が、坑内空間1cに面して、覆工撤去跡面1bの一部を画成する。
覆工撤去跡面1bと更生管3との間には、環状間隙1dが形成される。
詳しくは、図11に示すように、外周支保工2に貫通孔23b,43bを形成するとともに、更生管3に貫通孔3bを形成する。次に、連結部材11を環状間隙1dに差し入れ、かつ該連結部材11の両端部を貫通孔23b又は43bに通して係着部12,13と螺合させて連結する。
これら連結部材11及び係着部12,13からなる連結ユニット19を、外周支保工2及び更生管3の周方向に間隔を置いて配置する。これによって、更生管3が、連結装置10を介して外周支保工2に支持される。
更生管3は、連結装置10及び外周支保工2によって外周側から保持されているから、裏込め材5の打設に先立って更生管3の内部に腹起しなどの内部支保工を構築する必要が無い。したがって、更生施工の工期を短縮できる。
裏込め材5が硬化することによって、既設トンネル1の外周支保工2を含む残置構造部と更生管3とが裏込め材5を介して強度的に一体化される。ひいては、既設トンネル1を更生した更生トンネル1Aが構築される。
<第2実施形態>
図12は、本発明の第2実施形態を示したものである。
第2実施形態においては、連結装置10Bの連結部材50が、ワイヤ51(張力条体)と、外端連結部52と、内端連結部53を有している。ワイヤ51は、ワイヤ本体51aと、外端係止部51bと、内端係止部51cを含む。
ワイヤ本体51aのトンネル外周側(図12において上側)の端部に外端係止部51bが一体に設けられている。ワイヤ本体51aのトンネル内周側(図12において下側)の端部に内端係止部51cが一体に設けられている。外端係止部51b及び内端係止部51cは、それぞれ球形状になっている。係止部51b,51cの直径は、ワイヤ本体51aの直径より大径である。
ナット12,15のねじ込みによって、ワイヤ51に張力が働く。これによって、更生管3を外周支保工2に対して位置調節可能に連結でき、更には更生管3の断面形状を調整できる点は、第1実施形態と同様である。
なお、図12においては、外周支保工2としてアーチ支保工20が示されているが、インバートストラット40(図1参照)においても同様の連結構造になっている。
例えば、連結装置10の各連結ユニット19における連結部材11の数は、一対(2つ)に限られず、3つ以上でもよく、1つだけであってもよい。
更生管は螺旋管に限られない。更生管が、管構成部として複数の板材を含み、これら板材がトンネル周方向及びトンネル軸方向に並べられ、かつ隣接する板材どうしが直接又は接続部材を介して嵌合されていてもよい(特許文献1参照)。この場合、トンネル周方向に隣接する板材どうしの嵌合部(継ぎ目)に配置される連結ユニット19の一対の連結部材は、前記嵌合部(継ぎ目)を挟んでトンネル周方向に離れて配置されていることが好ましい。前記板材が、長手方向をトンネル軸方向へ向けた長板材であってもよい。
更生管が、管構成部として複数のリング部材を含み、これらリング部材がトンネル軸方向に並べられ、隣接するリング部材どうしが直接又は接続部材を介して嵌合されていてもよい。
1A 更生トンネル(更生トンネル構造)
1b 覆工撤去跡面
1c 坑内空間
1d 環状間隙
2 外周支保工
3 更生管
3a ひと巻き部分(管構成部)
3b 貫通孔
4 覆工
5 裏込め材
6 地山
10,10B 連結装置
11 連結部材
12 外端係着部
13 内端係着部
14 当接板
19 連結ユニット
20 アーチ支保工
30 帯状部材
35 嵌合部
40 インバートストラット
50 連結部材
51 ワイヤ
51a ワイヤ本体
51b 外端係止部
51c 内端係止部
52 外端連結部
52c 係止凹部
53 内端連結部
53c 係止凹部
Claims (10)
- トンネル周方向に沿う外周支保工と、該外周支保工を内周側から覆う覆工とを含む既設トンネルを更生するトンネル更生方法であって、
前記覆工を、少なくとも前記外周支保工が露出されるまで撤去する工程と、
前記撤去後の坑内空間に更生管を製管する工程と、
連結対象間の間隔を調節可能な連結装置によって、前記更生管と前記外周支保工とを連結する工程と、
前記坑内空間における前記更生管の外周側の環状間隙に裏込め材を充填する工程と、
を備えたことを特徴とするトンネル更生方法。 - 前記更生管があるスパンだけ製管されるごとに前記更生管と前記外周支保工とを連結する工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のトンネル更生方法。
- トンネル周方向に沿う外周支保工を含む更生トンネル構造であって、
前記外周支保工の内側に設置された更生管と、
前記更生管を前記外周支保工に位置調節可能に連結する連結装置と、
前記更生管の外周を囲む環状間隙に充填された裏込め材と、
を備えたことを特徴とする更生トンネル構造。 - 前記連結装置が、前記更生管と係着される内端係着部と、前記外周支保工と係着される外端係着部と、前記環状間隙内においてトンネル軸方向と直交するトンネル内外方向へ延びるように配置されて前記内端係着部と前記外端係着部とを接近離間可能に連結する連結部材とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の更生トンネル構造。
- 前記連結装置が、トンネル軸方向及びトンネル周方向に互いに間隔を置いて配置された複数の連結ユニットを含み、各連結ユニットが、前記外端係着部と前記内端係着部と前記連結部材とを有していることを特徴とする請求項4に記載の更生トンネル構造。
- 前記更生管が、複数の管構成部を含み、隣接する管構成部どうしが嵌合部を介して接合されており、
前記内端係着部が、前記更生管に宛がわれた当接板を含み、
前記嵌合部に対応する連結ユニットの当接板は、前記嵌合部を跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の更生トンネル構造。 - 前記嵌合部に対応する連結ユニットにおける前記嵌合部を挟んで互いに近接する位置に、それぞれ前記連結部材が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の更生トンネル構造。
- 請求項1~7の何れか1項に記載の外周支保工と更生管とを連結する連結装置であって、
前記外周支保工と係着される外端係着部と、
前記更生管と係着される内端係着部と、
トンネル軸方向と直交するトンネル内外方向へ延び、前記外端係着部と前記内端係着部とを接近離間可能に連結する連結部材と
を備えたことを特徴とする連結装置。 - 前記連結部材が、前記外端係着部及び前記内端係着部とそれぞれねじ結合されるねじ部材を含むことを特徴とする請求項8に記載の連結装置。
- 前記連結部材が、前記外端係着部と内端係着部とを結ぶように延びるワイヤを含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の連結装置。
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トンネル内挿式圧力管路(パイプイントンネル)工法,農業土木学会誌,第54卷、第10号,1986年10月 |
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