以下、本発明の一実施形態に係る研磨装置及び基板処理装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、省略した部分がある。
(研磨装置)
図1は、一実施形態に係る研磨装置が備える研磨テーブル1及びその周辺構造の構成図である。図2は、一実施形態に係る研磨テーブル1の平面図である。図3は、一実施形態に係るシャフト9の内部構造を示す説明図である。図4は、図1のA部の拡大図である。
この研磨装置は、シリコンウエハ等の半導体基板を処理する基板処理装置(後述)の一部に組み込まれている。この研磨装置は、研磨テーブル1とトップリングなどを備えて構成されるが、ここでは、研磨テーブル1の部分のみ示されている。
以下の説明では、基板処理装置の説明の前に、本発明の要部である研磨装置の研磨テーブル1及びその周辺構造について説明する。
図1に示される研磨テーブル1は、上面の平面形状が円形に形成されていて、当該円形の中心を通る中心軸L回りに回転する。この研磨テーブル1は、上面側に位置するテーブル2と、そのテーブル2が積層されるテーブルベース3と、を有する。なお、テーブル2の上面には、研磨パッドが貼設されるが、ここでは省略されている。研磨パッドには、後述のテーブル2に設けられるセンサ孔2hに対応した開口が形成される。
テーブル2の材質は、熱の伝導性や加工の容易性等から選定され、例えばステンレス製やセラミックス製、あるいはアルミニウム合金製とされる。このテーブル2は、上側に位置する第1テーブル部2aと、第1テーブル部2aの下側に位置する第2テーブル部2bと、が上下で接合されることで形成される。
第2テーブル部2bには、熱媒体流路4が形成されている。熱媒体流路4は、第2テーブル部2bの上面で、かつ、その上面全部を略網羅するように形成された凹条溝である。第1テーブル部2aは、第2テーブル部2bの上面に接合され、熱媒体流路4の凹条溝の上面開口を閉塞する板体(蓋体)である。この熱媒体流路4には、後述するロータリージョイント9a側からシャフト9を介して熱媒体(温調水など)が供給される。
熱媒体は、図2に示すように、テーブル2の中心部の供給口2Aから供給され、テーブル2の中心部の2つの排出口2Bから排出される。具体的に、熱媒体は、供給口2Aから供給され、テーブル2の径方向外側に向かって流通すると共に、その中間部2Cにおいて径方向内側と径方向外側に分岐し、テーブル2の径方向内側と径方向外側をそれぞれ流通した後、2つの排出口2Bから排出される。これにより、テーブル2の上面の温度を効率よく均一化することできる。
研磨テーブル1においては、研磨においてテーブル2の上面のほぼ全面を利用することから、テーブル2の上面の温度の均一化は、研磨条件として重要である。また、テーブル2の上面の温度の均一化は、研磨テーブル1や図示しない研磨パッドの長寿命化の上でも重要である。すなわち、仮に、テーブル2の上面の温度の均一化を図れず、温度分布が大きくなると、テーブル2の図示しないコーティング膜の局所的な膨張・収縮の差異、さらにはコーティング膜とテーブル2間との局所的な膨張・収縮の差異が大きくなり、膜の劣化として、亀裂や剥がれが起きる要因になるためである。
テーブル2の材料は、次のようなものが適している。例えば、テーブル2の材料が、SiC(炭化ケイ素)である場合は、最小引張強さが450(MPa)で加工性に優れ機械的強度も十分であり、熱伝導率も170(W/(m・K))と高く、温調に適している。また、テーブル2は、機械加工の容易なアルミニウム製とすることもできる。例えば、テーブル2の材料が、A6061Pのアルミニウム合金板の場合、最小引張強さが310(MPa)で加工性に優れ機械的強度も十分であり、熱伝導率も167(W/(m・K))と高く、温調に適している。
また、例えば、テーブル2の材料が、AC4CHのアルミニウム合金鋳物の場合は、最小引張強さが230(MPa)で加工性に優れ機械的強度も十分であり、熱伝導率も151(W/(m・K))と高く、温調に適している。これに対して、機械材料として一般的なSUS304の場合は、最小引張強さが520(MPa)で機械的強度は十分であるが、熱伝導率が17(W/(m・K))と低く、しかも、フライス盤で熱媒体流路4を形成しなければならないなどの高度な機械加工を必要とするので、加工性が優れた材料とは言えないが、材料の靱性が高く選択肢となる。
テーブル2の周縁部の上面側には、段差2cが設けられている。この段差2cの深さは、後述するフリンガー10(水切り部材)の厚さ、及びそのフリンガー10とテーブル2とをテーブルベース3に取り付けるためのボルト2dの頭部高さの合計が第1テーブル部2aの上面位置より下方になるように決められている。
図2に示すように、ボルト2dは、テーブル2の周縁部の同一半径上に、互いに所定の間隔を保って複数個(図示の例では12個)配置されている。これら複数のボルト2dは、図1に示すように、テーブル2の周縁部を、フリンガー10を介してテーブルベース3の周縁部に着脱可能に固定している。すなわち、これらボルト2dを取り外せば、テーブルベース3からテーブル2及びフリンガー10を取り外すことができる。
図4に示すように、ボルト2dの頭部とフリンガー10との間には、シールワッシャ2d1(第2シール部材)が挟み込まれている。シールワッシャ2d1は、ボルト2dが挿通されるフリンガー10の挿通孔を介してテーブル2上の液体がテーブルベース3側に侵入するのを防止する。
テーブル2に設けられる段差2cの側面には、径方向内側に窪む凹条溝が設けられ、この凹条溝にはOリング2e(第1シール部材)が配置されている。Oリング2eは、段差2cに取り付けられたフリンガー10の内端面に当接する。Oリング2eは、フリンガー10と段差2cの側面との径方向における隙間をシールし、当該隙間を介してテーブル2上の液体がテーブルベース3側に侵入するのを防止する。
図1に戻り、テーブル2の下面には、1個または、同一半径上に互いに所定の間隔を保って複数のノックピン穴2gが設けられている。なお、図1では、複数(例えば三個)のノックピン穴2gのうち、一個のノックピン穴2gのみが示されている。このノックピン穴2gの設置個所は、後述のテーブルベース3に設けられているノックピン3bに対応している。また、テーブル2には、中心軸Lから径方向に離れた位置に、上下方向に貫通するセンサ孔2hが設けられている。
テーブルベース3は、十分な剛性を有する材質、例えば、上述したSUS304製や、セラミックス製とすることができる。なお、セラミック製とすると、高価になる。また、密度や加工の容易性等から、例えばアルミニウム合金製とすることもできる。例えば、上述したA6061Pの鍛造用アルミニウム合金やAC4CHのアルミニウム合金鋳物が適している。
このテーブルベース3のテーブル2の下面と接する面は、そのテーブル2と同様の円形に形成されている。また、このテーブルベース3を正面側から見たときは、逆台形に形成されている。そして、このテーブルベース3の周縁部の下面側で、かつ、ボルト2dの締結位置より径方向内側には、下方に向けて突出した環状の水切り用突起3aが一体的に形成されている。
テーブルベース3の上面には、図2に示すように、ボルト2dよりも径方向内側において、1個または、同一半径上で互いに所定の間隔を保って複数のノックピン3bがテーブル2に向けて突出するように植設されている。なお、図1では、複数(例えば三個)のノックピン3bのうち、一個のノックピン3bのみが示されている。これらノックピン3bは、上述したテーブル2に設けられているノックピン穴2gに対向して設けられている。テーブル2及びテーブルベース3は、ノックピン3bがノックピン穴2gに挿入されることで位置決めされ、また、フリンガー10と共にボルト2dによって互いに締結されることで、中心軸L回りに回転可能に一体化されている。
また、テーブルベース3には、センサ取付部3cが設けられている。このセンサ取付部3cは、テーブル2のノックピン穴2gにテーブルベース3のノックピン3bが挿入され、両者が位置決めされて積層したときに、テーブル2に設けられているセンサ孔2hに対向する位置に設けられている。このセンサ取付部3cには、研磨テーブル1で研磨処理される基板(図示せず)の平坦面状態を検出するウエハ膜厚検知器5(膜厚計測装置)が取り付けられる。ウエハ膜厚検知器5は、センサ孔2hと水密に接している。
また、テーブルベース3の下面の中央部分には、フランジ6が接続されている。フランジ6は、筒状体からなり、上端部がボルト6aを用いてテーブルベース3に固定されている。このフランジ6の軸方向における長さは、テーブルベース3に取り付けられるウエハ膜厚検知器5の下端位置よりも下方まで延在する長さに決められている。したがって、このフランジ6は、テーブルベース3にウエハ膜厚検知器5を取り付けるためのスペースを確保する役目をも有している。
フランジ6の下端部には、モーター7が接続されている。モーター7は、中空のモーター回転軸7aを有していて、そのモーター回転軸7aの上端部がフランジ6の下端部とボルト6bを用いて固定されている。また、このモーター7のモーターケーシング7bは、研磨装置の固定側のフレーム8に固定されている。すなわち、研磨テーブル1は、モーター7及びフランジ6を介してフレーム8に支持されている。そして、研磨テーブル1は、モーター7が回転駆動すると、モーター7、フランジ6、テーブルベース3、ノックピン3b及びフリンガー10を固定するボルト2dを介して、テーブル2を中心軸L回りに回転させることができる。
研磨テーブル1の下面部中央には、モーター7の中空のモーター回転軸7aを通過するシャフト9の上端部が接続されている。このシャフト9の下端部は、モーター回転軸7aの下端部に固定された熱媒体フランジ9eを介してロータリージョイント9aのロータリージョイント回転軸9dに接続されている。したがって、ロータリージョイント9aより上側のシャフト9は、テーブル2と共に回転することができる。ロータリージョイント9aには、シャフト9側に熱媒体を供給する熱媒体供給配管9bと、シャフト9側から排出されてくる熱媒体を戻す熱媒体戻し配管9cとが接続されている。
また、シャフト9内には、図3に示すようなパイプ類が含まれている。パイプ9fは、中心軸Lと同心で配置されている。このパイプ9fの両側には、ロータリージョイント9aの熱媒体供給配管9bから供給される熱媒体をテーブル2内の熱媒体流路4に供給する管路9gと、熱媒体流路4から排出されてくる熱媒体をロータリージョイント9aの熱媒体戻し配管9cに排出する管路9h(図3において裏側に配置されている)と、が添設されている。
パイプ9f、管路9g,9hの上部部分(頭部9j)は、テーブルベース3の底面側に設けられたブッシュ3dに接続(挿入)されている。この頭部9jは、上部が小径で下部が大径の2段の円柱で形成され、小径円柱の周面の上下二個所、及び大径円柱の周面の下一個所にOリング(図3中の太線参照)が設けられていて、管路9gからの熱媒体が小径円柱から図示しない流路を通り熱媒体流路4に供給され、また、熱媒体流路4から排出される熱媒体が図示しない流路を通り大径円柱から管路9hに排出されるように構成されている。
一方、パイプ9f、管路9g,9hの下部部分は、熱媒体フランジ9eで支持されている。この熱媒体フランジ9eは、モーター回転軸7aの下端部に固定され、ロータリージョイント9aのロータリージョイント回転軸9dに接続されている。したがって、ロータリージョイント9aの熱媒体供給配管9bに熱媒体を供給すると、その供給された熱媒体は、熱媒体フランジ9e、管路9g、頭部9jの小径円柱を経てテーブル2内の熱媒体流路4を通過し、頭部9jの大径円柱、管路9h、熱媒体フランジ9eを経て再びロータリージョイント9aの熱媒体戻し配管9cに戻って来ることができる。
テーブル2の温度調整は、例えば、研磨装置の運転開始時において、テーブル2の温度がまだ所定の温度に達していない場合、テーブル2の温度を上昇させるように、つまりテーブル2を加熱するように熱媒体を供給するとよい。そして、研磨装置の運転が進み、研磨に伴う摩擦熱によりテーブル2の温度が所定の温度を超えるようになってきたら、テーブル2を冷却するように熱媒体を供給するとよい。このように、テーブル2を常時一定温度に調整することで、歩留まりの良い基板研磨を行うことができる。
フランジ6には、枝管9iが設けられている。この枝管9iは、ウエハ膜厚検知器5の電源線や信号の導線の配管用とされる。これら配線は、パイプ9fを経由してロータリージョイント9a側に導かれる。このため、このロータリージョイント9aの下部には、図示しないが、ロータリーコネクタの機構も取り付いていて、電源供給及び検出信号の取り出しができるように構成されている。
図1に示すフリンガー10は、上述したように、テーブル2の段差2cに設けられるもので、その全体形状は、テーブル2の全側面、及び、テーブル2とテーブルベース3の分割面Dを径方向外側から覆うことができる円筒状に形成されている。そして、フリンガー10の縦断面形状は、L字の天地を逆にした形態で、その形態の上部の屈曲した部分が、テーブル2の段差2cに取り付けられるようになっている。また、その屈曲した部分から垂直に下がった部分の長さは、テーブルベース3に設けられている水切り用突起3aの下端位置よりも下方に延在するように決められている。
次に、上記構成からなる研磨テーブル1に付随されるカバー20、砥液受け30及び気液分離装置40について説明する。
カバー20は、図示しない研磨装置の固定フレーム側に設けられ、その全体形状は、フリンガー10よりも径方向外側の位置で、そのフリンガー10の全側面を覆うことができる円筒状に形成されている。カバー20は、研磨テーブル1の上面に向かうに従ってフリンガー10との径方向における隙間が徐々に小さくなるように形成されている。具体的には、研磨テーブル1の上面における隙間寸法をS1とし、フリンガー10の下端部における隙間寸法をS2としたときに、S1<S2の関係を有する。
すなわち、カバー20は、フリンガー10から径方向外側に所定距離離れて位置するとともに、その内周側は、筒状の中心側に少し傾くように傾斜(縮径)している。また、この筒状のカバー20の軸方向における長さは、フリンガー10の屈曲した部分から垂直に下がった部分の長さよりも十分に長くなっている。したがって、フリンガー10とカバー20との間に形成される隙間は、上方に行くにしたがって狭くなる、一種のオリフィス構造を形成している。
このカバー20は、二点鎖線で示されるように、上下方向(軸方向)に移動可能とされている。この上下方向の移動は、図示しない研磨装置の固定フレーム側に設けられたアクチュエターで行われるが、手動で行うことも可能である。図4の実線は、カバー20が上方に移動した状態を示していて、テーブル2の上面側から排出される砥液やガス混合液を受け止めることができる状態となっている。他方、図4の二点鎖線は、カバー20が下方に移動した状態を示している。カバー20の下方への移動は、テーブル2に貼設された研磨パッドの交換や、トップリングとも称される研磨ヘッド及びテーブル2の保守作業等のときに行われる。
砥液受け30は、図示しない研磨装置の固定フレーム側に設けられ、上部が円環状に開口する樋31を有している。樋31の径方向外側の外周壁31aは、図4に示すように、カバー20の下端部よりも径方向外側に配置され、カバー20が上下いずれに移動したときであってもカバー20の下端部とオーバーラップできるようになっている。なお、カバー20が上方に移動したときの、カバー20と外周壁31aとの隙間寸法をS3とすると、S3<S1<S2の関係を有する。S3は、十分に小さくするとよい。これにより、樋31の内側への外気の流入が抑制され、後述する気液分離装置40の吸引効率が向上する。
一方、樋31の径方向内側の内周壁31bは、フリンガー10の下端部よりも径方向内側に配置されている。フリンガー10の下端部は、内周壁31bの上端部よりも下方に延在しており、両者はオーバーラップしている。したがって、フリンガー10と砥液受け30の内周壁31bで一種のラビリンス構造を形成することができる。これにより、砥液受け30の内周壁31bよりも径方向内側、すなわちテーブルベース3の下面側に気液が回り込むことを防止できる。
樋31の一部には、排液桝32が設けられていて、樋31中の砥液等の液体を集めることができるように構成されている。そして、ここに集められた液体は、排液桝32の底壁に設けられている排出管33を介して図1に示す気液分離装置40に導けるように構成されている。なお、排液桝32の上部開口は、蓋部材32aによって閉塞されている。
気液分離装置40は、その空間内で気体と液体とに分離できるように構成されている。この気液分離装置40には、排液管41及び排気管42が設けられている。このうち、排液管41は、気液分離装置40の底部部分に設けられていて、気液分離装置40で分離された液体を図示しない排液処理装置に排出できるように構成されている。また、排気管42は、気液分離装置40の上部部分に設けられている。この排気管42は、図示しない排気処理装置(吸引装置)に接続されている。
上記構成からなる研磨テーブル1でシリコンウエハ等の基板を研磨処理する際は、テーブル2の上面に研磨パッドが貼設される。また、トップリング(研磨ヘッド)の下面には、基板が取り付けられる。そして、モーター7が回転駆動すると、研磨パッドを貼設しているテーブル2は、フランジ6及びテーブルベース3を介して回転する。
研磨パッド上には、図示しない研磨液ノズルからシリカ(SiO2)やセリア(CeO2)等の砥粒を含んだ砥液が供給されるとともに、その砥液が供給されている研磨パッドの上面に、トップリングの下面に保持されている基板が回転しながら押圧される。この押圧により、研磨パッド面に当接されている基板面は、砥液存在下における研磨テーブル1及び研磨ヘッドの両回転により所望の平坦面に生成される。
基板の研磨面が所望の平坦面、すなわち所望の膜厚に生成されたことがウエハ膜厚検知器5により検知されると、基板は、次の基板処理装置の洗浄装置に搬送されて洗浄処理される。基板が搬送された後の回転する研磨パッド上には、窒素ガス等の不活性ガスを含むガス混合液がアトマイザーノズル(図示せず)から供給される。これにより、研磨パッドの上面は清掃され、次の被研磨基板の研磨に供される。
このように、上述した本実施形態によれば、上面に基板が押し付けられ、中心軸L回りに回転する研磨テーブル1を有し、研磨テーブル1は、当該上面を形成し、内部に熱媒体流路4を有するテーブル2と、テーブル2を着脱可能に支持するテーブルベース3と、を有する。このような構成によれば、温調の目的に応じて熱媒体流路4を有するテーブル2のみを部分的に交換できるため、研磨テーブル1の仕様を安価に変更することができる。例えば、テーブル2は、テーブルベース3よりも加工性に優れた材料(例えば、テーブルベース3がステンレスの場合、テーブル2がステンレスよりも加工性に優れたアルミニウム、セラミックなど)から形成することも可能となる。また、長期使用によるテーブル2の表面の劣化(例えば、材料がアルミニウムの場合、錆の発生等)に基づく、テーブル2の交換にも対応することが可能となる。
また、本実施形態では、図1及び図2に示すように、テーブル2の周縁部をテーブルベース3の周縁部に着脱可能に固定する複数のボルト2dと、複数のボルト2dよりも径方向内側において、テーブルベース3に対するテーブル2の位置決めをする1個または複数のノックピン3bと、を有するため、ボルト2dを取り外せば、テーブルベース3からテーブル2をフリンガー10と共に容易に取り外すことができる。また、取り付け時には、複数のボルト2dだけでなく、その径方向内側に配置された1個または複数のノックピン3bを介して、テーブルベース3に対するテーブル2の位置決めをしているため、テーブル2とテーブルベース3の分割構造を採用しても、一体構造と同様に回転することができる。
さらに、本実施形態では、テーブル2とテーブルベース3との分割面Dを径方向外側から覆う筒状のフリンガー10を有し、フリンガー10は、複数のボルト2dによって研磨テーブル1の周縁部に着脱可能に取り付けられているので、テーブル2とテーブルベース3との分割面Dへの液体の侵入を防止することができる。
また、テーブルベース3の下面側には、モーター7によって回転駆動される筒状のフランジ6が接続されており、フランジ6は、テーブルベース3の下面側に基板の膜厚を計測するウエハ膜厚検知器5を取り付けるためのスペースを形成している。そして、テーブルベース3の周縁部の下面側には、下方に向けて突出する環状の水切り用突起3aが形成されているため、テーブルベース3の下面側への液体の回り込みによるウエハ膜厚検知器5への被水などを防止することができる。
(基板処理装置)
続いて、上記構成の研磨装置を備える基板処理装置100について説明する。
図5は、一実施形態に係る基板処理装置100の全体構成を示す平面図である。
図5に示す基板処理装置100は、シリコンウエハ等の基板Wの表面を平坦に研磨する化学機械研磨(CMP)装置である。この基板処理装置100は、矩形箱状のハウジング102を備える。ハウジング102は、平面視で略長方形に形成されている。
ハウジング102は、その中央に長手方向に延在する基板搬送路103を備える。基板搬送路103の長手方向の一端部には、ロード/アンロード部110が配設されている。基板搬送路103の幅方向(平面視で長手方向と直交する方向)の一方側には、研磨部120が配設され、他方側には、洗浄部130が配設されている。基板搬送路103には、基板Wを搬送する基板搬送部140が設けられている。また、基板処理装置100は、ロード/アンロード部110、研磨部120、洗浄部130、及び基板搬送部140の動作を制御する制御部150(制御盤)を備える。
ロード/アンロード部110は、基板Wを収容するフロントロード部111を備える。フロントロード部111は、ハウジング102の長手方向の一方側の側面に複数設けられている。複数のフロントロード部111は、ハウジング102の幅方向に配列されている。フロントロード部111は、例えば、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載する。SMIF、FOUPは、内部に基板Wのカセットを収納し、隔壁で覆った密閉容器であり、外部空間とは独立した環境を保つことができる。
また、ロード/アンロード部110は、フロントロード部111から基板Wを出し入れする2台の搬送ロボット112と、各搬送ロボット112をフロントロード部111の並びに沿って走行させる走行機構113と、を備える。各搬送ロボット112は、上下に2つのハンドを備えており、基板Wの処理前、処理後で使い分けている。例えば、フロントロード部111に基板Wを戻すときは上側のハンドを使用し、フロントロード部111から処理前の基板Wを取り出すときは下側のハンドを使用する。
研磨部120は、基板Wの研磨(平坦化)を行う複数の研磨ユニット121(121A,121B,121C,121D)を備える。複数の研磨ユニット121は、基板搬送路103の長手方向に配列されている。研磨ユニット121は、研磨面を有する研磨パッド122を回転させる研磨テーブル123と、基板Wを保持しかつ基板Wを研磨テーブル123上の研磨パッド122に押圧しながら研磨するためのトップリング124と、研磨パッド122に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル125と、研磨パッド122の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ126と、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ127と、を備える。
研磨ユニット121は、研磨液供給ノズル125から研磨液を研磨パッド122上に供給しながら、トップリング124により基板Wを研磨パッド122に押し付け、さらにトップリング124と研磨テーブル123とを相対移動させることにより、基板Wを研磨してその表面を平坦にする。ドレッサ126は、研磨パッド122に接触する先端の回転部にダイヤモンド粒子やセラミック粒子などの硬質な粒子が固定され、当該回転部を回転しつつ揺動することにより、研磨パッド122の研磨面全体を均一にドレッシングし、平坦な研磨面を形成する。アトマイザ127は、研磨パッド122の研磨面に残留する研磨屑や砥粒などを高圧の流体により洗い流すことで、研磨面の浄化と、機械的接触であるドレッサ126による研磨面の目立て作業、すなわち研磨面の再生を達成する。
洗浄部130は、基板Wの洗浄を行う複数の洗浄ユニット131(131A,131B)と、洗浄した基板Wを乾燥させる乾燥ユニット132と、を備える。複数の洗浄ユニット131及び乾燥ユニット132(複数の処理ユニット)は、基板搬送路103の長手方向に配列されている。洗浄ユニット131Aと洗浄ユニット131Bとの間には、第1搬送室133が設けられている。第1搬送室133には、基板搬送部140、洗浄ユニット131A、及び洗浄ユニット131Bの間で基板Wを搬送する搬送ロボット135が設けられている。また、洗浄ユニット131Bと乾燥ユニット132との間には、第2搬送室134が設けられている。第2搬送室134には、洗浄ユニット131Bと乾燥ユニット132との間で基板Wを搬送する搬送ロボット136が設けられている。
洗浄ユニット131Aは、例えば、ロールスポンジ型の洗浄モジュールを備え、基板Wを一次洗浄する。また、洗浄ユニット131Bも、ロールスポンジ型の洗浄モジュールを備え、基板Wを二次洗浄する。なお、洗浄ユニット131A及び洗浄ユニット131Bは、同一のタイプであっても、異なるタイプの洗浄モジュールであってもよく、例えば、ペンシルスポンジ型の洗浄モジュールや2流体ジェット型の洗浄モジュールであってもよい。乾燥ユニット132は、例えば、ロタゴニ乾燥(IPA(Iso-Propyl Alcohol)乾燥)を行う乾燥モジュールを備える。乾燥後は、乾燥ユニット132とロード/アンロード部110との間の隔壁に設けられたシャッタ101aが開かれ、搬送ロボット112によって乾燥ユニット132から基板Wが取り出される。
基板搬送部140は、リフター141と、第1リニアトランスポータ142と、第2リニアトランスポータ143と、スイングトランスポータ144と、を備える。基板搬送路103には、ロード/アンロード部110側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7が設定されている。
リフター141は、第1搬送位置TP1で基板Wを上下に搬送する機構である。リフター141は、第1搬送位置TP1において、ロード/アンロード部110の搬送ロボット112から基板Wを受け取る。また、リフター141は、搬送ロボット112から受け取った基板Wを第1リニアトランスポータ142に受け渡す。第1搬送位置TP1とロード/アンロード部110との間の隔壁には、シャッタ101bが設けられており、基板Wの搬送時にはシャッタ101bが開かれて搬送ロボット112からリフター141に基板Wが受け渡される。
第1リニアトランスポータ142は、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4の間で基板Wを搬送する機構である。第1リニアトランスポータ142は、複数の搬送ハンド145(145A,145B,145C,145D)と、各搬送ハンド145を複数の高さで水平方向に移動させるリニアガイド機構146と、を備える。搬送ハンド145Aは、リニアガイド機構146によって、第1搬送位置TP1から第4搬送位置TP4の間を移動する。この搬送ハンド145Aは、リフター141から基板Wを受け取り、それを第2リニアトランスポータ143に受け渡すためのパスハンドである。この搬送ハンド145Aには、昇降駆動部が設けられていない。
搬送ハンド145Bは、リニアガイド機構146によって、第1搬送位置TP1と第2搬送位置TP2との間を移動する。この搬送ハンド145Bは、第1搬送位置TP1でリフター141から基板Wを受け取り、第2搬送位置TP2で研磨ユニット121Aに基板Wを受け渡す。搬送ハンド145Bには、昇降駆動部が設けられており、基板Wを研磨ユニット121Aのトップリング124に受け渡すときは上昇し、トップリング124に基板Wを受け渡した後は下降する。なお、搬送ハンド145C及び搬送ハンド145Dにも、同様の昇降駆動部が設けられている。
搬送ハンド145Cは、リニアガイド機構146によって、第1搬送位置TP1と第3搬送位置TP3との間を移動する。この搬送ハンド145Cは、第1搬送位置TP1でリフター141から基板Wを受け取り、第3搬送位置TP3で研磨ユニット121Bに基板Wを受け渡す。また、搬送ハンド145Cは、第2搬送位置TP2で研磨ユニット121Aのトップリング124から基板Wを受け取り、第3搬送位置TP3で研磨ユニット121Bに基板Wを受け渡すアクセスハンドとしても機能する。
搬送ハンド145Dは、リニアガイド機構146によって、第2搬送位置TP2と第4搬送位置TP4との間を移動する。搬送ハンド145Dは、第2搬送位置TP2または第3搬送位置TP3で、研磨ユニット121Aまたは研磨ユニット121Bのトップリング124から基板Wを受け取り、第4搬送位置TP4でスイングトランスポータ144に基板Wを受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。
スイングトランスポータ144は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有しており、第1リニアトランスポータ142から第2リニアトランスポータ143へ基板Wを受け渡す。また、スイングトランスポータ144は、研磨部120で研磨された基板Wを、洗浄部130に受け渡す。スイングトランスポータ144の側方には、基板Wの仮置き台147が設けられている。スイングトランスポータ144は、第4搬送位置TP4または第5搬送位置TP5で受け取った基板Wを上下反転して仮置き台147に載置する。仮置き台147に載置された基板Wは、洗浄部130の搬送ロボット135によって第1搬送室133に搬送される。
第2リニアトランスポータ143は、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7の間で基板Wを搬送する機構である。第2リニアトランスポータ143は、複数の搬送ハンド148(148A,148B,148C)と、各搬送ハンド145を複数の高さで水平方向に移動させるリニアガイド機構149と、を備える。搬送ハンド148Aは、リニアガイド機構149によって、第5搬送位置TP5から第6搬送位置TP6の間を移動する。搬送ハンド145Aは、スイングトランスポータ144から基板Wを受け取り、それを研磨ユニット121Cに受け渡すアクセスハンドとして機能する。
搬送ハンド148Bは、第6搬送位置TP6と第7搬送位置TP7との間を移動する。搬送ハンド148Bは、研磨ユニット121Cから基板Wを受け取り、それを研磨ユニット121Dに受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。搬送ハンド148Cは、第7搬送位置TP7と第5搬送位置TP5との間を移動する。搬送ハンド148Cは、第6搬送位置TP6または第7搬送位置TP7で、研磨ユニット121Cまたは研磨ユニット121Dのトップリング124から基板Wを受け取り、第5搬送位置TP5でスイングトランスポータ144に基板Wを受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。なお、説明は省略するが、搬送ハンド148の基板Wの受け渡し時の動作は、上述した第1リニアトランスポータ142の動作と同様である。
上記構成の基板処理装置100においても、研磨ユニット121(研磨装置)の研磨テーブル123に、上述した本発明の研磨テーブル1を適用することにより、温調の目的に応じて研磨テーブル123の仕様を安価に変更することができる。
(研磨パッドの貼り付け構造)
続いて、上記構成の研磨テーブル123に貼り付けられる研磨パッド122の貼り付け構造について説明する。
図6は、図5に示す研磨ユニット121の全体構成を示す模式的斜視図である。
図6に示すように、研磨ユニット121は、研磨テーブル123と、研磨対象物である基板Wを保持して研磨テーブル123上の研磨パッド122に押圧するトップリング124と、を備えている。研磨テーブル123は、中空のテーブル軸200(上述した図1に示すフランジ6)に接続されている。テーブル軸200は、研磨テーブル回転モーター(上述した図1に示すモーター7(図6において図示せず))に連結されており、研磨テーブル123はテーブル軸200と一体に回転可能になっている。なお、図6に示す研磨テーブル123は、上述した研磨テーブル1の構造(テーブル2の分割構造(積層構造))を前提としているが、この研磨パッド122の貼り付け構造は、従来の研磨テーブル(テーブル2の一体構造(単層構造))にも適用可能である。
研磨テーブル123の上面には、研磨パッド122が貼付されており、研磨パッド122の表面が基板Wを研磨する研磨面を構成している。研磨パッド122には、大きく分けて、硬質発泡タイプ、不織布タイプ、スエードタイプの3通りのものを使用できる。
硬質発泡タイプは、空孔を含んだパッドであり、ポリウレタン製が一般的である。不織布タイプは、ポリエステルなどの不織布にウレタンなどを含浸したものである。スエードタイプは、湿式成型により基材上に塗工されるもので、基材としては上記不織布パッドに用いられるのと同様の不織布を用いた製品と、PET(ポリエチレンテレフタラート)を用いた製品がある。これら基材にウレタン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を塗り、凝固剤(水)とDMFを置換させて製作されたものであり、空孔が表面に露出している。
研磨テーブル123の上方には、研磨液供給ノズル125が設置されており、この研磨液供給ノズル125によって研磨テーブル123上の研磨パッド122に、研磨液(スラリー)が供給されるようになっている。研磨テーブル123の内部には、熱交換媒体用の流路(上述した図1に示す熱媒体流路4(図6において図示せず))が設けられている。この熱交換媒体用の流路に熱交換媒体として冷却水を流すことで、熱交換媒体と研磨テーブル123との間で熱交換を行い、研磨中の摩擦熱による研磨テーブル123の熱変形を防止するとともに研磨テーブル123の表面温度を調節している。そのため、図6に示すように、テーブル軸200の下端部にロータリージョイント9aが設置され、冷却水は、外部より冷却水配管(図示せず)およびロータリージョイント9aを介して研磨テーブル123内の流路に供給されるようになっている。
トップリング124は、トップリングシャフト201に接続されており、トップリングシャフト201は、支持アーム202に対して上下動するようになっている。トップリングシャフト201の上下動により、支持アーム202に対してトップリング124の全体を上下動させ位置決めするようになっている。トップリングシャフト201は、トップリング回転モーター(図示せず)の駆動により回転するようになっている。トップリングシャフト201の回転により、トップリング124がトップリングシャフト201の回りに回転するようになっている。
トップリング124は、その下面に基板Wを保持できるようになっている。支持アーム202は、シャフト203を中心として旋回可能に構成されており、基板受け渡し位置(図5に示す第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7参照)に搬送された基板Wを真空吸着する。そして、下面に基板Wを保持したトップリング124は、支持アーム202の旋回により研磨テーブル123の上方に移動可能になっている。
トップリング124は、下面に基板Wを保持して、研磨パッド122の表面に基板Wを押圧する。このとき、研磨テーブル123およびトップリング124をそれぞれ回転させ、研磨テーブル123の上方に設けられた研磨液供給ノズル125から研磨パッド122上に研磨液(スラリー)を供給する。研磨液には、砥粒としてシリカ(SiO2)やセリア(CeO2)を含んだ研磨液を用いることができる。このように研磨液を研磨パッド122上に供給しつつ、トップリング124により基板Wを研磨パッド122に押圧して基板Wと研磨パッド122とを相対移動させることで、基板Wが研磨される。なお、研磨中は、基板Wと研磨パッド122の回転以外の相対移動(例えば揺動(旋回))があってもよい。これにより、研磨パッド122の同一部分の劣化防止が行なわれる。
ところで、後述する図7に示すように、研磨パッド122は、接着層211を介してテーブル2に接着されている。多数の試料(基板W)の研磨を行うと、この研磨パッド122は、研磨性能の低下、不均一な研磨面、異物の蓄積等が起こるため、定期的又は研磨数に応じて研磨パッド122の貼り替えを行う必要がある。その時、研磨パッド122の接着が強固であると、貼り替え作業に多大な労力と時間を必要とする。このため、本実施形態の研磨テーブル123は、図7に示すような研磨パッド122の貼り付け構造を備える。
図7は、一実施形態に係る研磨パッド122の貼り付け構造を示す断面図である。
図7に示すように、研磨テーブル123を形成するテーブル2の上面には、研磨パッド122が剥離可能に接着されるコーティング層210が形成されている。研磨パッド122の研磨面122aの反対側の裏面122bには、接着層211が形成されている。言い換えれば、コーティング層210は、テーブル2と研磨パッド122との間に介在しており、接着層211は、コーティング層210と研磨パッド122との間に介在している。すなわち、接着層211は、コーティング層210の上面に形成されていてもよい。なお、ここでいう、接着層211の「接着」とは、「粘着」を包含するものとする。
接着層211を形成する接着剤としては、特に限定されず、感圧接着剤、ホットメル卜接着剤等が挙げられ、ホットメル卜接着剤が好ましい。接着剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。ホットメル卜接着剤としては、特に限定されず、公知の物を特に制限なく使用できる。また、ホットメル卜接着剤及び感圧接着剤以外にも、ホットメル卜接着剤及び感圧接着剤に換えて又は併用して、2液硬化タイプのエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤等を使用してもよい。なお、感圧接着剤、ホットメル卜接着剤以外に、アクリル系接着剤、シリコーン系粘着剤、両面テープを用いてもよい。
テーブル2を形成する材料としては、上述した金属(アルミニウム(合金)、ステンレス鋼)、セラミック、合成樹脂であってもよい。また、アルミニウム(合金)のテーブル2の表面は、酸化アルミニウムかニッケル被膜に覆われていてもよい。酸化アルミニウム、ニッケル被膜により、テーブル2の表面硬度を高められる。また、テーブル2がアルミニウム(合金)の場合、テーブル2内に温度調節用の熱媒体流路4やその他の機構(温調装置など)があると、アルミニウム(合金)は熱伝導性が良いので温度コントロール性が良く研磨性能の安定化に寄与できる。また、テーブル2の上面には、スラリーを排出するための流路が形成されていてもよい。
コーティング層210は、研磨パッド122の貼り替え作業を簡便に効率的に、且つ、安全に行うために、研磨パッド122を軽い労力にて貼り替えができるようにするため、低接着性材料から形成されている。なお、ここでいう、低接着性材料の「低接着性」とは、「研磨パッド122の剥離を容易にするもの」という意味で、特定の材料に対して粘着性が高い低い等を意味するものではない。また、コーティング層210は、上述した酸化膜と研磨液等との接触を防止し、テーブル2の腐食を防止することで、研磨パッド122の貼り付け状態を良好に維持する機能も有する。
コーティング層210を形成する低接着性材料としては、フッ素樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂))が好ましい。また、研磨条件(研磨液、研磨パッドの種類等)によっては、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂であっても良い。このようなコーティング層210のコーティング手段としては、静電スプレー、ホットメルトスプレー、セメント化などが挙げられる。
コーティング層210の厚さは、例えば、100μm以下が好ましい。また、コーティング材料の接着性とその材料に利用可能な接着剤の剥離特性を考慮して、コーティング層210の表面粗さを制御し、研磨パッド122に対する密着性乃至接着性を十分なものにすることが好ましい。また、コーティング層210は、1層だけでなく2,3層等の複数の層を有してもよい。このようなコーティング層210(フッ素樹脂コーティング層)によれば、表面の摩擦係数が低いことから、テーブル2の上面から研磨パッド122を剥がしやすくなる。このため、研磨パッド122の貼り替えが、より安全・迅速に、且つ容易に行うことができる。
また、コーティング層210としては、ガラスコーティング層、セラミックコーティング層、ダイヤモンドコーティング層であってもよい。これらのコーティング層210は、上述したフッ素樹脂コーティング層などの樹脂コーティング層よりも、表面が硬質で変形が小さいことから、研磨パッド122が剥がし易く、又、残留接着剤の除去も容易となる。また、樹脂コーティング層よりも表面が硬質で変形が小さいことから、幾度となく行う研磨パッド122の貼り替えに対し、テーブル2の長寿命化が図れる。
さらに、樹脂コーティング層の場合は、コーティング面(テーブル2の上面)のメンテナンス時に、コーティング層の剥がしと再塗装(付着)の作業に手間がかかるが、定期的にコーティング面の微量研磨によるメンテナンスを行うだけで、コーティング面の平坦性と清浄度を担保し、テーブル2の長寿命化が図れる。コーティング面の維持のための研磨方法は、別途研磨装置を搬入せず、研磨ユニット120のドレッサ126(図5参照)に、コーティング面研磨専用の研磨部材を取り付けて行うとよい。
このように、上述した本実施形態によれば、基板Wを平坦化するための研磨装置であって研磨面122aを有する研磨パッド122と、研磨面122aに基板Wを保持(押し付ける)するためのトップリング124と、基板Wを研磨するためにテーブル2(研磨テーブル123)とトップリング124を互いに移動(相対移動)させるための移動装置(トップリング回転モーター、支持アーム202等)と、研磨パッド122の接着性のための第1の表面(上面)を有するテーブル2と、を含み、テーブル2はその上面に低接着性材料のコーティング層210を含む、という構成を採用することによって、研磨パッド122の貼り替え作業を簡便に効率的に、且つ、軽い労力によって安全に行うことができる。
以上のように、本発明は、種々の試料(基板W)を、それぞれの試料に合致した研磨液を利用して、トップリング124に保持された試料を研磨パッド122との間で相対移動させながら研磨する研磨装置において、その研磨テーブル123や研磨パッド122の長寿命化を図るものである。その長寿命化を図るために、テーブル2においては研磨性能も考慮し、本発明の交換可能な上面を有する研磨テーブル1(図1参照)、すなわちテーブル2の分割構造にすると良い。さらにこのテーブル2の分割構造が、使用済み研磨液を研磨テーブル1から積極的排出する構造と研磨液による材質劣化や研磨液の混入が起こらないようにする研磨テーブル1の外周部取り付け構造(図1及び図4参照)にすることが、その分割面Dへの研磨液の混入が無いようにできる。さらに、研磨パッド122を利用する場合は、その機能の維持(接着性)とその交換作業の容易さ(剥離性)という、相反することの両方を満足する必要が出てくる。それには研磨パッド122及びその下部にあるテーブル2の研磨液に対する耐性も考慮し、図7に示すように、コーティング層210を設け、特にフッ素樹脂、ガラス、セラミック、ダイヤモンドとすることが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
例えば、上記実施形態では、本発明の研磨装置を、基板処理装置100(化学機械研磨(CMP)装置)の研磨部120に適用した構成を例示したが、例えば、本発明は、CMP装置以外の基板処理装置(例えば、裏面研磨装置、ベベル研磨装置、エッチング装置、あるいはめっき装置)にも適用することができる。