上記従来構成では、副変速操作は操作レバーを手動操作によって行う必要があり、切り換え操作に時間がかかり、迅速に変速状態を切り換えたいような場合に対応し難いものとなっていた。例えば、副変速装置が低速に設定されている状態で刈取作業を行っているときに、刈取作業が一旦終了したのに、別の箇所に移動走行する必要があるときに、その移動走行は副変速装置を高速に切り換えることで能率よく作業を行うことが可能になる。
副変速装置の変速操作を迅速に行えるようにするために、副変速操作をアクチュエータにて行う構成とすることが考えられる。しかし、ギア切替式の副変速装置は、ギアシフトさせて異なるギアに噛み合う状態を現出して複数の変速段に切り換えるものである。このようなギア切替式の副変速装置を、手動操作式の操作構成に代えてアクチュエータによりそのまま操作すると、異なる変速段への切り換え操作を良好に行えないおそれがある。
そこで、ギア切替式の副変速装置において、異なる変速段への切り換え操作をアクチュエータにて迅速に且つ良好に行えるようにすることが望まれていた。
本発明に係る収穫機の特徴構成は、主変速装置とギア切替式の複数段の副変速装置とを有し、駆動源からの動力を変速して走行装置に伝達する変速装置と、前記副変速装置の変速状態の切り換えを指令する手動式の副変速操作具と、前記副変速装置におけるギアシフトを行う操作部材を操作するアクチュエータと、車速が予め設定された設定車速よりも低速である低速走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段と、前記アクチュエータの作動を制御する制御手段と、前記主変速装置の変速状態の切り換えを指令する手動式の主変速操作具と、が備えられ、前記主変速操作具の操作領域に、前記主変速装置を中立状態に切り換える中立域と、前記主変速装置を走行状態に切り換える走行域とが設定され、前記走行状態判定手段は、前記主変速操作具が前記中立域に操作されていると、前記低速走行状態であると判定し、前記主変速操作具が前記走行域に操作されていると、前記低速走行状態ではないと判定し、前記制御手段は、前記走行状態判定手段にて前記低速走行状態が判定されるときは、前記副変速操作具の指令に対応する変速状態に切り換えるように前記アクチュエータを作動させ、且つ、前記走行状態判定手段にて前記低速走行状態が判定されないときは、前記副変速操作具の指令にかかわらず前記アクチュエータの作動を禁止する点にある。
本発明によれば、車速が設定車速よりも低速である低速走行状態であることが走行状態判定手段にて判定されていれば、副変速操作具を手動操作すると、アクチュエータが操作部材を操作してギアシフトを行って副変速装置の変速が行われる。操作部材を手動操作によって切り換えるものに比べて、迅速な切り換え操作を行うことが可能である。
しかし、走行状態判定手段にて低速走行状態であることが判定されていなければ、副変速操作具を手動操作してもアクチュエータは作動することはない。収穫機が設定車速よりも高速で走行しているときに、誤って副変速操作具が操作されても、アクチュエータが作動しないので、ギアをシフトさせて回転中のギアに無理に噛み合わせようとする等の動作が回避される。
従って、ギア切替式の副変速装置において、異なる変速段への切り換え操作をアクチュエータにて迅速に且つ良好に行えるようにすることが可能となった。
また本構成によれば、主変速操作具が中立域と走行域とを有する操作領域に沿って操作可能であり、走行状態判定手段は、主変速操作具が中立域にあると低速走行状態であると判定し、走行域にあると低速走行状態ではないと判定する。
つまり、走行状態判定手段は、主変速操作具が中立域にあるか否かを判定するものであればよく、操作領域の全域に亘って検出範囲を備える必要がなく、簡単な構成のもので対応できる。
本発明においては、前記副変速操作具が、押し操作可能な1個のスイッチにて構成され、前記操作部材の操作位置を検出する操作位置検出センサが備えられ、前記制御手段は、前記副変速操作具が押し操作される毎に、前記操作位置検出センサの検出情報に基づいて、前記副変速装置の変速段を順番に次の目標変速段に切り換えるように、前記アクチュエータの作動を制御する通常作動制御を実行し、且つ、前記副変速操作具が押し操作されたときに、前記操作位置検出センサの検出情報に基づいて、前記操作部材の操作位置が、元の変速段と前記目標変速段との間の中立操作域のうち前記目標変速段に近い操作域にあると、前記元の変速段に切り換えるように、且つ、前記操作部材の操作位置が前記中立操作域のうち前記元の変速段に近い操作域にあると、前記目標変速段に切り換えるように、前記アクチュエータの作動を制御する異常用制御を実行すると好適である。
本構成によれば、1個のスイッチからなる副変速操作具が押し操作される毎に、制御手段が通常作動制御を実行する。この通常作動制御では、操作位置検出センサによって操作部材の操作位置を検出してフィードバックしながら、アクチュエータの作動が制御されるので、操作部材を次回の目標変速段に対応した適切な位置にまで移動させることができる。
しかし、操作部材を操作してギアシフトを実行しても、ギアが良好に噛み合わない場合には、操作部材は、目標変速段に到達できずに、元の変速段と目標変速段との間の中立操作域に位置していることがある。このような場合には、制御手段が異常用制御を実行する。
すなわち、その後、副変速操作具が操作されたときに、操作部材の操作位置が、元の変速段と目標変速段との間の中立操作域のうち目標変速段に近い操作域にあると、元の変速段に切り換えるように、アクチュエータの作動を制御する。操作部材の操作位置が前記中立操作域のうち元の変速段に近い操作域にあると、目標変速段に切り換えるように、アクチュエータの作動を制御する。
前回の移動操作の際に、例えば、元の変速段から目標変速段に切り換わるようにギアシフトが行われたにもかかわらず、ギアが良好に噛み合わなかった場合には、シフトギアは、目標変速段に対応するギアに近い位置で滞留していると考えられる。又、切り換えが良好に行われなかった場合に、再度、副変速操作具が操作されて、目標変速段から元の変速段に切り換わるようにギアシフトが行われたにもかかわらず、ギアが良好に噛み合わなかった場合も考えられる。この場合には、シフトギアは、元の変速段に対応するギアに近い位置で滞留していると考えられる。
そこで、操作部材が目標変速段に近い操作域にあると、元の変速段に切り換え、操作部材が元の変速段に近い操作域にあると、目標変速段に切り換えるようにした。要するに、ギアシフトが行われる前に噛み合っていた側の変速段に移動させるのである。その結果、ギアが元の噛み合い状態に復帰でき、良好な噛み合い状態となる。尚、この場合、噛み合いが良好に行われなかった側の変速段に向けてギアシフトを繰り返し行っても、噛み合わせることが難しいと考えられるので、噛み合っている状態で動力伝達させてギアの回転位相を変更して、再度、副変速操作を行う等の対策を取ることができる。
本発明においては、前記副変速操作具が、押し操作可能な1個のスイッチにて構成され、前記操作部材の操作位置を検出する操作位置検出センサが備えられ、前記制御手段は、前記副変速操作具が押し操作される毎に、前記操作位置検出センサの検出情報に基づいて、前記副変速装置の変速段を順番に次の目標変速段に切り換えるように、前記アクチュエータの作動を制御する通常作動制御を実行し、且つ、前記副変速操作具が押し操作されたにもかかわらず、前記操作位置検出センサの検出情報に基づいて、前記目標変速段に切り換わらないと判断されるときは、その後、前記副変速操作具が押し操作されると、前記元の変速段に切り換えるように、前記アクチュエータの作動を制御する異常用制御を実行すると好適である。
本構成によれば、1個のスイッチからなる副変速操作具が押し操作される毎に、制御手段が通常作動制御を実行する。この通常作動制御では、操作位置検出センサによって操作部材の操作位置を検出してフィードバックしながら、アクチュエータの作動が制御されるので、操作部材を次回の目標変速段に対応した適切な位置にまで移動させることができる。
しかし、操作部材を操作してギアシフトを実行しても、ギアが良好に噛み合わない場合には、操作部材は、目標変速段に到達できずに、元の変速段と目標変速段との間の中立操作域に位置していることがある。このような場合には、制御手段が異常用制御を実行する。
すなわち、再度、副変速操作具が操作されると、前回の操作で、操作部材が目標変速段に到達できていないのにもかかわらず、元の変速段に切り換えるように、アクチュエータの作動を制御するのである。その結果、ギアシフトが行われる前に噛み合っていた側の変速段に移動させることにより、ギアが元の噛み合い状態に復帰でき、良好な噛み合い状態となる。尚、この場合、ギアシフトを目標変速段に向けて移動させる操作を繰り返し行っても、噛み合わせることが難しいと考えられるので、元の変速段にて噛み合っている状態で動力伝達させてギアの回転位相を変更して、再度、副変速操作を行う等の対策を取ることができる。
本発明においては、前記副変速装置の変速段が前記目標変速段に切り換わったことを報知する切換報知手段が備えられていると好適である。
本構成によれば、制御手段が通常作動制御を実行して、操作部材が元の変速段に対応する位置から目標変速段に対応する位置に切り換わるようにアクチュエータを作動させたとき、操作位置検出センサの検出結果に基づいて操作部材が目標変速段に対応する位置に切り換わったことが判別されると、切換報知手段がそのことを報知する。
運転者は、1つの副変速操作具を押し操作するだけであるから、副変速装置の実際の切り換わり状況は確認し難い。そこで、切換報知手段による報知処理を実行することで、副変速装置が目標変速段に切り換わったことを容易に確認することができる。
本発明においては、前記制御手段が前記通常作動制御を実行したにもかかわらず、前記副変速装置の変速段が前記目標変速段に切り換わらないときは、異常状態であることを報知する異常報知手段が備えられていると好適である。
本構成によれば、副変速操作具が操作されたときに、シフト操作されたギアが良好に噛み合わないこと等が原因で目標変速段に切り換わらない場合には、異常報知手段が異常状態であることを報知する。その結果、運転者が異常状態であることを迅速に認識することができ、すぐに対策を講じることができる。
本発明においては、駆動源としてエンジンが備えられ、前記制御手段は、前記エンジンが始動したときに、前記操作部材の操作位置が隣り合う変速段の間にあるときは、前記操作部材を隣り合う変速段のうちのいずれか一方の変速段に操作すると好適である。
本構成によれば、収穫機による作業を開始するためにエンジンを始動させたとき、何等かの要因で、操作部材が隣り合う変速段の間に位置して、いずれの変速段に対応する位置にも切り換わっていないときは、操作部材を隣り合う変速段のうちのいずれか一方の変速段に操作するのである。
エンジンが停止している状態で、例えば、トラックで輸送するような場合に、機体の振動等に起因して操作部材が移動したり、エンジンの動力供給が停止してアクチュエータによる位置保持が行えないような場合に、変速段に対応する位置から位置ずれしたような場合であっても、エンジンを始動したときに、操作部材の位置を移動させることで、良好な噛み合い状態を現出させて走行を開始することができる。
本発明においては、前記制御手段は、前記エンジンが始動したときに、前記操作部材の操作位置が、隣り合う変速段の間であって、隣り合う変速段の中央位置よりも一方の変速段に近い位置にあるときは、前記操作部材を前記一方の変速段に操作し、隣り合う変速段の中央位置よりも他方の変速段に近い位置にあるときは、前記操作部材を前記他方の変速段に操作すると好適である。
本構成によれば、エンジン始動時に、操作部材が隣り合う変速段のいずれの変速段に対応する位置にも切り換わっていないときは、隣り合う変速段のうちの操作部材が近い位置にある変速段に向けて、操作部材を移動操作させる。
操作部材が何等かの要因で位置ずれしたような場合には、元々噛み合っていた位置から大きく位置ずれしていないことが考えられる。そこで、近い位置にある変速段に向けて、操作部材を移動操作させて、前に噛み合っていた側の変速段に移動させることにより、ギアが元の噛み合い状態に復帰できる。そして、良好な噛み合い状態を現出させて走行を開始することができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「前側」(図1及び図2参照)、矢印Bの方向を「後側」(図1及び図2参照)、矢印Lの方向を「左側」(図2参照)、矢印Rの方向を「右側」(図2参照)とする。
〔コンバインの全体の構成〕
図1に収穫機の一例である普通型コンバインを示している。このコンバインは、走行機体1に走行装置としての左右一対の前車輪2及び左右一対の後車輪3を備えている。前車輪2は、エンジン4からの動力によって駆動可能に構成されている。後車輪3は操向操作可能に構成されている。走行機体1の前部に運転部5が備えられている。運転部5は、キャビン6によって覆われている。機体フレーム7の前部に刈取搬送部8が設けられている。刈取搬送部8は、植立穀稈を刈り取る収穫部の一例としての刈取部9と、収穫した刈取穀稈を後方に向けて搬送する穀稈搬送装置10とを有している。刈取部9には、植立穀稈を後方へ掻き込む回転リール11、植立穀稈の株元を切断する刈刃12、刈取穀稈を刈幅方向に寄せ集めるオーガ13等が備えられている。
走行機体1の後部には、穀稈搬送装置10により搬送される刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置14が備えられている。穀稈搬送装置10は脱穀装置14の前部に横軸芯P1周りで上下揺動可能に連結されている。図2に示すように、脱穀装置14は、走行機体1の横幅方向での中心に対して走行機体1の左横側に偏倚する状態で機体フレーム7に載置され、機体フレーム7に固定状態で支持されている。脱穀装置14の上方に、脱穀処理により得られた穀粒を貯留する穀粒タンク15が備えられている。
刈取昇降用油圧シリンダ(以下、刈取昇降シリンダと略称する)CY1によって、穀稈搬送装置10と刈取部9とを含む刈取搬送部8全体が横軸芯P1周りで揺動昇降可能に構成されている。刈取部9は、刈取搬送部8が刈取昇降シリンダCY1にて揺動昇降操作されることによって、地面の近くに下降した作業状態と、地面から高い位置に上昇した非作業状態とにわたって昇降操作可能である。
回転リール11は、後部の横軸芯P2周りで昇降可能に刈取部9の枠部に支持されている。回転リール11の前後中間部と刈取部9の枠部とに亘って回転リール昇降用油圧シリンダ17(以下、リール昇降シリンダと略称する)が備えられている。リール昇降シリンダCY2の作動によって、回転リール11の高さを変更調整することができる。
〔穀粒タンク15〕
穀粒タンク15に貯留された穀粒を機体外部に排出する穀粒排出装置18が備えられている。穀粒タンク15の底部のうち、走行機体1の横幅方向での右横端側に位置する状態で排出スクリュー19が回転可能に配置されている。穀粒タンク15の前部における排出スクリュー19に対応する位置に接続ケース20が連通接続されている。
図1,2に示すように、排出スクリュー19に接続ケース20を介して穀粒を機体外方に搬送可能な穀粒排出装置18が接続されている。穀粒排出装置18は、排出スクリュー19の終端部から穀粒を上方に搬送するスクリューコンベア式の縦搬送部18Aと、縦搬送部18Aの上端部から横方向に穀粒を搬送するスクリューコンベア式の横搬送部18Bとを備えている。穀粒排出装置18は、図示しない油圧モータによって回転駆動されることにより穀粒を搬送することができ、油圧モータは図示しない排出スイッチの切り換え操作により動作状態が切り換わる。
穀粒排出装置18は、旋回用油圧シリンダ(以下、旋回シリンダと略称する)CY4の伸縮作動によって、穀粒排出装置18全体が上下向きの縦搬送部18Aの回転軸芯P3を旋回中心にして格納姿勢(図2の実線で示す姿勢)と排出姿勢(図2に仮想線で示す姿勢)とにわたって旋回操作可能である。
穀粒タンク15は、穀粒排出装置18による穀粒排出形態の他に、穀粒タンク15の全体を排出スクリュー19の回転軸芯周りで傾動させて、右側部から直接に貯留している穀粒を外部に排出することができるように構成されている。すなわち、図8に示すように、穀粒タンク15の右横部が大きく開放されて排出口22が形成されている。排出口22は、走行機体1の右横外側方に向いて開口する状態で形成されており、排出口22を閉じる穀粒タンク15の右側壁23が下端の前後軸芯周りで揺動開閉可能に設けられている。
図8に示すように、穀粒タンク15は、排出スクリュー19の前後向き回転支軸19aの軸芯P4を回転中心にして相対回転可能に機体フレーム7に支持されている。穀粒タンク15の下部と機体フレーム7とにわたり傾動用油圧シリンダ(以下、傾動シリンダと略称する)CY5が枢支連結されている。穀粒タンク15は、傾動シリンダCY5の伸縮作動によって軸芯P4周りに回動して貯留姿勢(図8の仮想線で示す姿勢)と傾斜した排出姿勢(図8の実線で示す姿勢)とにわたり姿勢切り換え可能に構成されている。
穀粒タンク15の底面のうち、排出スクリュー19の上方には開口15aが形成されており、この開口15aは、開閉可能なシャッター25によって閉塞する状態と開放する状態とに切り換え可能に構成されている。又、図示はしていないが、穀粒タンク15の貯留姿勢から排出姿勢への姿勢切り換えに連動して、右側壁23が解放状態に切り換わるように連動するリンク機構が備えられている。
シャッター25を閉じた状態で、穀粒タンク15が排出姿勢へ切り換わると、図8に示すように、右側壁23が開放されて穀粒を排出口22から排出することができる。穀粒タンク15内には、排出時に穀粒の流量を規制するための垂れ壁26が備えられている。右側壁23は、前後中央の壁面部と前後両側の前後面とを有する樋状に形成され、開放状態となったときに、穀粒を流下案内するシュートとなる。尚、穀粒排出装置18を駆動することによって穀粒を外部に排出するときは、シャッター25を開放状態に切り換える必要がある。
旋回シリンダCY4の作動を指令する旋回スイッチ27及び傾動シリンダCY5の作動を指令する傾動スイッチ28が備えられている(図10参照)。図示はしないが、傾動スイッチ28は、運転部5に操作可能な状態で設けられている。
〔走行用伝動構造〕
走行機体1に、駆動源としてのエンジン4と、エンジン4の動力を変速して前車輪2に伝達する変速装置30とが備えられている。変速装置30は、静油圧式無段変速装置(HST)を備えて構成される主変速装置31と、ギア切替式の副変速装置32とを有している。主変速装置31は、エンジン4からの動力を前進動力と後進動力とに変換するとともに、前進動力及び後進動力の回転速度を無段階に変速する。
副変速装置32は、左右の前車輪2の間に配備されたミッションケース33に収容されている。副変速装置32は、周知構成のギア切換式に構成されている。すなわち、図5に示すように、入力軸34に一体回転する状態でスプライン外嵌されるシフトギア35を入力軸34の軸芯方向にスライドさせて、変速状態を切り換えるものである。シフトギア35が低速用ギア機構36における連動ギア37に噛み合う状態に切り換わると、低速用ギア機構36を介して出力軸38に動力伝達される低速状態に切り換わる。シフトギア35が高速用ギア機構39における連動ギア40に噛み合う位置に切り換わると、高速用ギア機構39を介して出力軸38に動力伝達される高速状態に切り換わる。シフトギア35がどちらの連動ギア37,40にも噛み合わないと、動力伝達が行われない中立状態に切り換わる。低速用の操作位置と高速用の操作位置とは中立位置を間に挟んで左右両側に振り分け配置されている。すなわち、副変速装置32は、複数の変速段として高速状態と低速状態の2段に切り換え可能である。
〔副変速操作構造〕
次に、副変速装置32の変速操作構造について説明する。
図4,5,6に示すように、副変速装置32の状態を切り換える変速操作機構41が備えられている。副変速装置32は、人為操作によるのではなく変速用油圧シリンダ(以下、変速シリンダと略称する)CY3の操作によって切り換わる構成となっている。すなわち、変速操作機構41には、アクチュエータとしての変速シリンダCY3が備えられている。
図4,6に示すように、変速操作機構41は、ミッションケース33における後側に位置する状態でミッションケース33に支持されている。図5に示すように、副変速装置32のシフトギア35に係合してシフト操作させるシフトフォーク42は、ミッションケース33に回動可能に支持された前後向きの回動軸43に一体回動可能に支持されている。回動軸43はミッションケース33から後側外方に露出しており、その露出した箇所に、左右方向に延びるギアシフトを行う操作部材としての帯板状の副変速アーム44の一端部が一体回動可能に取り付けられている。
副変速アーム44の他端部に連結部材45を介して変速シリンダCY3のシリンダロッド46が連動連結されている。変速シリンダCY3は、副変速アーム44よりも上側に位置する状態で、且つ、長手方向が上下方向に沿う姿勢で備えられている。
副変速アーム44は、変速シリンダCY3が上下方向に沿って伸縮作動することにより、回動軸43の軸芯P5周りで揺動して、上方側に位置する高速位置Hi(図4に実線で示す状態)と、下方側に位置する低速位置Lo(図4に仮想線で示す状態)とに切り換え可能である。
変速操作機構41には、副変速アーム44の操作位置を検出する操作位置検出センサ47が備えられている。操作位置検出センサ47は、ポテンショメータにて構成され、検知アーム47aの揺動角度に応じた検出値を出力することができる。検知アーム47aの揺動端と副変速アーム44の中間位置とが連係部材47bを介して連動連結されている。従って、操作位置検出センサ47は副変速アーム44の上下揺動量に相当する検出値を出力する。
図4,6に示すように、変速シリンダCY3及び操作位置検出センサ47は支持ステー48に支持されている。支持ステー48は平面視で略L字形の板体にて構成されている。
支持ステー48における下部に位置する左右向きの面部分からなる第一取付部49が、左右向きの取付面を有するミッションケース33側の支持部50にボルト連結されている。
支持ステー48における上部に位置する前後向きの面部分からなる第二取付部51が、変速シリンダCY3の連結用部材52における前後一対の板面に挟まれる状態でボルト連結されている。支持ステー48における第一取付部49と第二取付部51との間に位置する上下中間部には、平面視で略U字形の台座部53が備えられ、操作位置検出センサ47が、この台座部53における前後向き取付面からなる第三取付部54にボルト連結されている。従って、ミッションケース33に支持された支持ステー48に、操作位置検出センサ47と変速シリンダCY3とが夫々支持されている。
図4,6に示すように、ミッションケース33には、主変速操作用の操作連係機構55が支持されている。支持ステー48と共締めされる状態でミッションケース33に連結される右側の支持部材56と、ミッションケース33の上部に連結された左側の支持部材57とによって左右方向に延びる筒部材58が支持されている。この筒部材58の内部に中継軸59が回動可能に支持されている。中継軸59の一端部には、主変速レバー60に連動連結される第一揺動アーム61が備えられ、中継軸59の他端部には、主変速装置31の操作具62に連動連係される第二揺動アーム63が備えられている。
(運転部の操作構成)
図7に示すように、運転部5には、運転座席64の前方に操縦塔65が備えられ、操縦塔65の上方にステアリングホイール66が備えられている。ステアリングホイール66が回転操作されることによって、図示しないパワーステアリング装置によって後車輪3が操向操作される。
運転座席64の右横側に操作パネル部67が備えられている。操作パネル部67に、主変速装置31を変速操作する手動式の主変速操作具としての主変速レバー60、刈取クラッチレバー68、脱穀クラッチレバー69、エンジン4に関する情報を表示するとともに、その情報に関する操作を行うエンジン情報表示操作部70、収穫作業に関する情報を表示するとともに、その情報に関する操作を行う作業情報表示操作部71等が備えられている。
主変速レバー60が機体前後方向に揺動操作されることによって主変速装置31が変速操作される。図6に示すように、主変速レバー60が第一揺動アーム61に連結されており、主変速レバー60の操作領域に、主変速装置31を中立状態に切り換える中立域NAと、主変速装置31を走行状態に切り換える走行域SAとが設定されている。走行域SAとしては、中立域NAの前部側に前進走行域SA1が設定され、中立域NAの後部側に後進走行域SA2が設定されている。
主変速レバー60が中立域NAから前方側に揺動し、前進走行域SA1にて前方側へ操作されるほど前進走行速度が無段階に増速される。主変速レバー60が中立域NAから後方側に揺動し、後進走行域SA2にて後方側へ操作されるほど後進走行速度が無段階に増速される。
図6に示すように、主変速レバー60の近傍には、主変速レバー60が中立域NAにあるか否かを検出する走行状態判定手段の一例としての中立スイッチ72が設けられている。中立スイッチ72は、主変速レバー60が中立域にあるとオン状態になり、主変速レバー60が前進走行域SA1又は後進走行域SA2にあると、オフ状態となるように構成されている。すなわち、中立スイッチ72は、主変速レバー60が中立域NAに操作されているとオン状態となることで、車速が予め設定された設定車速よりも低速である低速走行状態であると判定し、主変速レバー60が前進走行域SA1又は後進走行域SA2にあると、オフ状態となることで、低速走行状態ではないと判定することができる。
図3に示すように、主変速レバー60は、握り部60Aと軸部60Bとを備えている。軸部60Bは、握り部60Aから下向きに延びて連動杆60Cに連結されている。主変速レバー60の握り部60Aにおける左横側部に、手動式の副変速操作具としての副変速スイッチ73と、刈取昇降スイッチ74とが設けられ、握り部60Aの前面部にリール昇降スイッチ75が設けられている。主変速レバー60を持つ手の指操作によって、副変速スイッチ73、刈取昇降スイッチ74及びリール昇降スイッチ75を操作することができる。
副変速スイッチ73を操作することで副変速装置32を変速操作することができる。副変速スイッチ73は、押し操作している間だけオン状態になり、押し操作を解除するとオフ状態となる押し操作式スイッチにて構成されている。刈取昇降スイッチ74を操作することによって刈取部9を昇降させることができ、リール昇降スイッチ75を操作することによって回転リール11を昇降させることができる。刈取昇降スイッチ74及びリール昇降スイッチ75は、2位置切り換え式であり、上昇操作及び下降操作のいずれの操作であるかを運転者が認識し易いものとなっている。
刈取クラッチレバー68は、前後方向に沿う揺動操作により、エンジン4から刈取部9への動力伝達を断続する刈取クラッチ(図示せず)を入り切りすることができる。脱穀クラッチレバー69も同様に、前後方向に沿う揺動操作により、エンジン4から脱穀装置14の各部への動力伝達を断続する脱穀クラッチ(図示せず)を入り切りすることができる。
図9に示すように、操縦塔65の上部に、副変速装置32の変速状態を表示する副変速表示部76が備えられている。副変速操作は副変速スイッチ73の押し操作によって行うので、運転者は、実際にどの変速位置になっているか分りにくい。そこで、副変速表示部76は2つの表示ランプ76a,76bを備えている。第一表示ランプ76aが点灯すると、副変速装置32が高速状態(移動走行用)に切り換わっていることを表示し、第二表示ランプ76bが点灯すると、副変速装置32が低速状態(刈取作業用)に切り換わっていることを表示する構成となっている。
操縦塔65の上部には、エンジン4の始動あるいは停止、各種電装品への電力供給の入り切り等を行うためのキースイッチ78が備えられている。
刈取部9の昇降操作としては、刈取昇降スイッチ74の手動操作による昇降動作以外に、刈取作業中に、刈取部9の地面に対する高さが目標高さに維持されるように自動的に昇降する自動昇降制御が行われる。刈取部9の下部に接地追従式の刈高さセンサ(図示せず)が設けられ、操作パネル部67に目標高さ設定器が設けられている。そして、検出高さが目標高さになるように刈取昇降シリンダCY1の作動を制御する制御装置79(図10参照)が備えられる。自動昇降制御では、刈取部9を下降させるときの操作速度が、手動による下降操作のときよりも低速に設定されている。
〔制御構成〕
次に、制御構成について説明する。図10に示すように、刈取昇降シリンダCY1、リール昇降シリンダCY2、変速シリンダCY3、旋回シリンダCY4、傾動シリンダCY5の夫々の作動を制御する制御手段としての制御装置79が備えられている。制御装置79は、マイクロコンピュータを備えて構成され、予め設定されている制御プログラムに従って制御を実行する。
制御装置79に対して、刈取昇降スイッチ74、リール昇降スイッチ75、副変速スイッチ73、旋回スイッチ27、傾動スイッチ28、及び、中立スイッチ72の夫々の情報が入力される。上記した各油圧シリンダの夫々に対応させて油圧制御弁が備えられる。すなわち、刈取昇降シリンダCY1に対する第一切換弁V1、リール昇降シリンダCY2に対する第二切換弁V2、変速シリンダCY3に対する第三切換弁V3、旋回シリンダCY4に対する第四切換弁V4、傾動シリンダCY5に対する第五切換弁V5が備えられる。
制御装置79は、各スイッチの入力情報に基づいて、第一切換弁V1~第五切換弁V5の夫々を電気的に切り換え制御して各油圧シリンダの作動を制御するように構成されている。制御装置79は、副変速表示部76における2つの表示ランプ76a,76b及び報知作動を行うブザー80の作動も制御するようになっている。
上記した5つの油圧制御弁のうち、第一切換弁V1、第二切換弁V2、及び、第三切換弁V3は、1つのバルブユニットVU1(第一バルブユニット)として一体的に組付けられ、第四切換弁V4と第五切換弁V5は、別のバルブユニットVU2(第二バルブユニット)として一体的に組付けられている。
図1,2に示すように、第一バルブユニットVU1は、運転部5におけるキャビン支持フレーム81のうち前後方向に延びる前後向きフレーム体82の前部に支持されている。前後向きフレーム体82は運転部5の床部を下側から支持するものであり、第一バルブユニットVU1は、運転部5の床部の下側に設けられている。このように第一バルブユニットVU1を前後向きフレーム体82に支持する構成に代えて、キャビン支持フレーム81のうち前後向きフレーム体82とは異なるフレーム体に支持するようにしてもよい。一方、第二バルブユニットVU2は、エンジン4の後側に位置して上下方向に延びる縦向きフレーム体83の下部に支持されている。このように、バルブユニットを2つに分けて、互いに対象となる油圧シリンダに近い位置に配置することで、油圧配管が短くなるとともに、配管が簡素な構成となる。
複数の油圧シリンダのうち、刈取昇降シリンダCY1、リール昇降シリンダCY2、旋回シリンダCY4、傾動シリンダCY5については、対応するスイッチの操作に従って伸長あるいは縮退するように作動油の供給状態が制御される。
以下、副変速装置32を変速操作する変速シリンダCY3の作動制御について説明する。
図11に示すように、キースイッチ78の操作によってエンジン4が始動されるとともに、電力供給が行われて制御が開始されると、副変速装置32におけるシフトギア35が高速状態あるいは低速状態のいずれにも確実に噛み合っていない中立状態であるか否かを判別する(ステップ1)。
説明を加えると、図4に示すように、副変速アーム44の操作領域のうち、高速位置Hiと、低速位置Loとの中央位置NLを中心に両側に所定幅を有する中立操作域NWが設定されている。この中立操作域NWは、シフトギア35が高速位置あるいは低速位置にて確実にギアが噛み合っていないおそれがある。そこで、操作位置検出センサ47の検出結果により、副変速アーム44の位置が中立操作域NWである(中立状態である)か否かを判別する。
副変速アーム44が中立操作域NWにあれば、副変速表示部76における第一表示ランプ76aと第二表示ランプ76bとを共に点滅表示させて異常状態であることを運転者に報知する(ステップ2)とともに、シフトギア35を高速あるいは低速のいずれかに確実に噛み合う状態に切り換える復帰処理を行う(ステップ3)。従って、副変速表示部76の2つの表示ランプ76a,76bが異常報知手段に対応する。
すなわち、図12に示すように、副変速アーム44が、中立操作域NWのうち高速位置Hiと低速位置Loとの間の中央位置NLよりも低速側に寄った位置であるか、高速側に寄った位置であるか、を判断する(ステップ31)。副変速アーム44が中央位置NLよりも低速側に寄った位置であると判断したときは、副変速アーム44が低速側に向けて移動するように変速シリンダCY3を操作する(ステップ32)。副変速アーム44が中央位置NLよりも高速側に寄った位置であると判断したときは、副変速アーム44が高速側に向けて移動するように変速シリンダCY3を操作する(ステップ33)。このような復帰処理を実行することで、副変速アーム44が中立操作域NWから外れて,シフトギア35が高速あるいは低速のいずれかに確実に噛み合う状態になる。
次に、副変速表示部76のうちそのときに切り換えられている側に対応する表示ランプ(第一表示ランプ76a又は第二表示ランプ76b)を点灯表示する(ステップ4)。副変速スイッチ73がオン操作されると、そのとき、主変速装置31が中立状態であるか否か、すなわち、中立スイッチ72がオン状態であるかオフ状態であるかを判別する(ステップ5,6)。中立スイッチ72がオフ状態であることが判別されると、副変速スイッチ73の操作にかかわらず変速シリンダCY3の作動は行われない(ステップ6,14)。つまり、変速シリンダCY3の作動を禁止する。
中立スイッチ72がオン状態であるときに、副変速スイッチ73がオン操作されると(ステップ5,6)、副変速アーム44が中立操作域NWでなく高速位置Hiにあれば、低速位置Loに切り換わるように変速シリンダCY3を操作する(ステップ7,8,9)。副変速アーム44が低速位置Loに切り換わったことが検出されると、ブザー80を短時間だけ鳴動させて運転者にそのことを報知する(ステップ10,11)。このときは、高速位置Hiが元の変速段に相当し、低速位置Loが目標変速段に相当する。
副変速スイッチ73がオン操作されたとき、副変速アーム44が中立操作域NWでなく低速位置Loにあれば、高速位置Hiに切り換わるように変速シリンダCY3を操作する(ステップ8,12)。副変速アーム44が高速位置Hiに切り換わったことが検出されると、ブザー80を短時間だけ鳴動させて運転者にそのことを報知する(ステップ13,11)。このときは、低速位置Loが元の変速段に相当し、高速位置Hiが目標変速段に相当する。従って、ブザー80が、副変速装置32の変速段が目標変速段に切り換わったことを報知する切換報知手段に対応する。
その後は、キースイッチ78が切り操作されなければ、副変速表示部76のうち対応する表示ランプ(第一表示ランプ76a又は第二表示ランプ76b)を点灯表示して、次回の副変速スイッチ73の操作が行われるまで待機する(ステップ14,4,5)。
副変速スイッチ73がオン操作されたにもかかわらず、ブザー80が鳴動せず、切り換えが確認できない場合には、シフトギア35がうまく噛み合わずに、弾き返されたことが考えられる。そのような場合に、運転者が、再度、副変速スイッチ73を操作すると、そのとき、副変速アーム44は中立操作域NWに位置している。そこで、このような場合には、第一表示ランプ76aと第二表示ランプ76bとを共に点滅表示させて異常状態であることを運転者に報知する(ステップ7,15)とともに、異常用制御としての以下のような異常用処理を実行する(ステップ16)。
すなわち、図13に示すように、副変速アーム44の位置が中立操作域NWのうちで低速位置Loに近い位置であるときは、高速位置Hiへ移動するように変速シリンダCY3を操作する(ステップ41,42)。副変速アーム44の位置が中立操作域NWのうちで高速位置Hiに近い位置であるときは、低速位置Loへ移動するように変速シリンダCY3を操作する(ステップ43)。つまり、変速操作が行われるまえにシフトギア35が噛み合っていた変速状態に戻すことにより、適正な噛み合い状態に戻すようにしている。その後は、切り換え操作が適正に行われる。それでも、上手く行かないときは、エンジン4を作動停止させたのに、再度、エンジン4を始動させることにより、ステップ3の復帰処理を実行することで、ステップ17の場合とは反対側に操作させて、シフト操作前の噛み合い状態に復帰させることができる。
上記した構成によれば、副変速スイッチ73の操作に応じて副変速装置32を変速シリンダCY3の操作によって切り換える構成であるから、副変速装置32の切り換え操作を迅速に能率よく行うことができる。その結果、次のような利点がある。
コンバインでは、例えば、図14に示すように、植立穀稈の未刈領域MRにおける一端側にて刈取作業を行い、その作業経路を刈抜けた後に第一停止位置Q1で車体を一旦停止したのち、車体を後進させながら、交差する次回の作業経路に向かうように方向転換して、第二停止位置Q2で停止し、さらに、前進走行して次回の作業経路に沿う刈取作業を行う作業形態を採る場合がある。
作業経路に沿う刈取作業は、副変速装置32を低速状態に設定して行われるが、方向転換の際に、車体を後進させるときは高速で走行すると作業能率が向上する。そこで、第一停止位置Q1で走行停止したときに、主変速装置31は中立状態に切り換えられているので、このとき、副変速スイッチ73を操作して、副変速装置32を低速状態から高速状態に迅速に切り換えることができる。又、第二停止位置Q2では、再度、副変速スイッチ73の操作により副変速装置32を高速状態から低速状態に迅速に切り換えて収穫作業を行うことができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態に代えて、副変速スイッチ73がオン操作されたにもかかわらず、変速が良好に行われないときにおける異常用制御として、次のような処理を実行してもよい。図15に示すように、前回の副変速スイッチ73の操作による指令が、高速位置Hiから低速位置Loへの切り換え操作であった場合には、高速位置Hiへ移動するように変速シリンダCY3を操作する(ステップ51,52)。前回の指令が低速位置Loから高速位置Hiへの切り換え操作であった場合には、低速位置Loへ移動するように変速シリンダCY3を操作する(ステップ53)。このように制御することで、変速操作が行われる前にシフトギア35が噛み合っていた変速状態に戻すことにより、適正な噛み合い状態に戻すことができる。
(2)上記実施形態では、走行状態判定手段(中立スイッチ72)が、主変速操作具60が中立域NAに操作されているとオン状態(低速走行状態)となり、走行域SAに操作されているとオフ状態(低速走行状態)となるスイッチにて構成されるものを示したが、この構成に代えて、例えば、走行状態判定手段が、ポテンショメータと、そのポテンショメータの検出値が、中立域に対応する検出値が出力されるか否かを判別する判別部とにより走行状態を判定する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、切換報知手段としてブザー80を備える構成としたが、切換報知手段としては、ブザーに代えて、あるいは、ブザーに加えて、異常を報知するための表示ランプを備える構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、異常報知手段として、副変速装置32の状態を表す副変速表示部76(2個の表示ランプ76a,76b)を点滅させる構成としたが、この構成に代えて、異常報知専用のランプを用いてもよく、又、音声によって異常を報知する構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、ミッションケース33に支持されたステー48に、操作位置検出センサ47と変速シリンダCY3が夫々支持される構成としたが、操作位置検出センサ47と変速シリンダCY3とを夫々、各別にミッションケース33に支持する構成としてもよく、ミッションケース33に限らず、機体フレーム7に支持する構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、操作位置検出センサ47がポテンショメータにて構成されるものを示したが、リミットスイッチ等の接触式のスイッチによって位置を検出するものでもよく、又、操作位置検出センサ47を設けることなく、変速シリンダCY3の操作を時間で管理するようにしたり、変速シリンダCY3と操作部材(副変速アーム44)との間に緩衝バネを設けて、ギアが噛み合ってなくても、軸が回転し始めると自動で噛み合うような構成としてもよい。
(7)上記実施形態では、副変速装置32が、複数の変速段として高速状態と低速状態との2段階に切り換える構成としたが、副変速装置32が3段階以上の変速段に切り換え可能な構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、アクチュエータが油圧シリンダにて構成されるものを示したが、電動シリンダ、電動モータ等の電動機構を用いるものでもよい。