以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
<第1の実施形態>
〔輪郭形状測定機の構成〕
図1は、本実施形態に係る輪郭形状測定機の正面図である。図1に示すように、輪郭形状測定機100は、ベース101に立設されたコラム102に水平送り装置103が設けられ、触針12を有し触針12の鉛直上下方向(Z方向、第1方向の一例)の変位を検出する検出器10が、水平送り装置103(相対移動部の一例)に水平左右方向(X方向、第2方向の一例)に移動自在に設けられている。水平送り装置103には検出器10のX方向の移動量を検出するスケールが内蔵されている。
ベース101に載置された測定対象物であるワークWの測定位置に触針12を接触させた状態で検出器10をX方向に移動させると、触針12のZ方向の変位が検出器10で検
出され、同時に検出器10のX方向の移動量が水平送り装置103のスケールで検出される。これにより、ワークWの輪郭形状が測定される(測定部の一例)。
〔検出器の構成〕
図2は、検出器10の構成を示す透視図である。図2に示すように、検出器10は、触針12、アーム14、アーム支点16、ウェイト18、検出部20、ピン22、リトラクト板24、モータ26、アームストッパ28A、28B、及びケース30を備えて構成される。
触針12はアーム14の先端に取り付けられており、触針12の軸方向とアーム14の軸方向とが直交している。ここでは、触針12は、図中下向きに配置されている。
アーム支点16(保持部の一例)は、XZ平面に直交するY方向に平行な回転軸である。アーム14は、アーム支点16によりXZ平面内を回動自在(揺動自在)に支持(軸支)されている。
ウェイト18は、アーム14のアーム支点16に対して触針12とは反対側に設けられており、その取付け位置が調整可能となっている。
アーム14は、アーム支点16の触針12側が不図示の付勢部材により図中下向きに付勢され、触針12に測定力が付与される。この測定力はウェイト18の位置を移動することで調整される。すなわち、ウェイト18をアーム支点16に近づく方向に移動すると測定力が大きくなり、アーム支点16から離れる方向に移動すると低くなる。ここでは、触針12に所望の測定力が発生するようにウェイト18の位置が調整される。
検出部20は、例えば差動トランスが使用され、アーム14の変位を検出することで、触針12のZ方向の変位を検出する。
ピン22(アームの一部の一例)は、ピン22の軸方向とアーム14の軸方向とが平行になるようにアーム14に設けられ、アーム14の回動に伴って回動する。
リトラクト板24(回転部材の一例)は円盤形状を有する。リトラクト板24は、Y方向に平行な回転軸を中心に、アーム14とは独立して回動自在に設けられている。モータ26(移動部の一例)は、発生した回転力によりリトラクト板24を回動させる。なお、アーム14とリトラクト板24とは、それぞれ独立に回動する。
リトラクト板24の側面には、アームストッパ28A及び28B(規制部材の一例)が設けられている。アームストッパ28A及び28Bは、それぞれ軸方向がリトラクト板24の回転軸に平行なピン形状を有する。モータ26によるリトラクト板24の回動に伴い、アームストッパ28A及び28Bの位置が移動する。
ケース30は、アーム支点16、ウェイト18、検出部20、ピン22、リトラクト板24、モータ26、アームストッパ28A及び28Bを内部に収納する。
図3は、検出器10のアーム14、ピン22、アームストッパ28A及び28Bの位置関係を示す透視図である。
図3(A)~(C)に示す状態のアームストッパ28Bの位置を、ホーム位置と呼ぶ。また、図3(A)~(C)は、それぞれアーム14がストローク範囲(回動範囲、揺動範囲)の上端、中央、及び下端に位置した状態を示している。
図3(B)に示すように、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にあり、ピン22がアームストッパ28A及び28Bと接触していない場合は、ワークWの輪郭に沿って触針12がZ方向に上下動すると、触針12の上下動に応じてアーム14が上下動する。検出部20は、このアーム14のZ方向の変位を検出する。
また、図3(A)に示すように、ピン22がアームストッパ28Aと接触するまでアーム14が図中右回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ28Aにより図中右回りの回動(揺動)が規制され、触針12はこの位置より上側には移動しない。
同様に、図3(C)に示すように、ピン22がアームストッパ28Bと接触するまでアーム14が図中左回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ28Bにより図中左回りの回動が規制され、触針12はこの位置より下側には移動しない。
このように、アームストッパ28A又は28Bによって、アーム14の回動範囲が規制される。
また、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある状態から、モータ26によりリトラクト板24を図中右回りに回動させると、アームストッパ28Bが上昇し、アームストッパ28Bがピン22と接触する。この状態から、さらにリトラクト板24を図中右回りに回動させると、図3(D)に示すように、アームストッパ28Bが上昇し、アームストッパ28Bによりピン22を介してアーム14の触針12側が押し上げられる。図3(D)に示す状態のアームストッパ28Bの位置を、退避位置と呼ぶ。
さらに、図3(E)に示すように、図3(D)に示した退避位置から、モータ26によりリトラクト板24を図中左回りに回動させると、アームストッパ28Bが下降する。アーム14は、ピン22を介してアームストッパ28Bに付勢されているため、アームストッパ28Bの下降に伴いアーム14の触針12側が下降する。
このように触針12を下降させることで、触針12をワークWの上面に接触させることができる。
〔触針接触動作の一例〕
触針12をワークWに接触させる触針接触動作の一例について説明する。図4は、触針接触動作の処理の一例を示すフローチャートである。また、図5は、触針接触動作におけるアーム14とアームストッパ28Bとの各状態を示す模式図である。なお、図5では、触針12の図示を省略している。
ここでは、図5(A)に示すように、予めアームストッパ28Bが退避位置に位置しているものとする。図5(A)に示す状態において、ベース101の所定の位置にワークWを載置する。触針12が退避させられているため、触針12はワークWの測定面よりも上側に位置している。
触針接触動作が開始されると、モータ26を第1回転方向に回転させて、アームストッパ28Bを下降させる(ステップS1)。ここでは、第1速度で下降させるものとする。図5(B)に示すように、アーム14は、アームストッパ28Bの下降に追従して触針12側が下降する(ステップS2)。
アーム14が下降を続けると、図5(C)に示すように、いずれ触針12がワークWの上面に接触する(ステップS3)。これ以降もアームストッパ28Bは第1速度で下降を
続けるが、図5(D)に示すように、アーム14は触針12がワークWの上面に接触した位置で下降を停止する。
さらにアームストッパ28Bが下降を続けると、いずれリミットセンサ(ここでは不図示)がアームストッパ28Bのホーム位置を検出する(ステップS4)。この検出結果に基づいてモータ26の回転を停止することで、図5(E)に示すように、アームストッパ28Bの下降が停止する(ステップS5)。
これにより、アームストッパ28A及び28Bの位置が図3(B)に示すホーム位置となり、検出器10は、ワークWの輪郭形状を測定することができる。
しかしながら、アームストッパ28Bを退避位置からホーム位置まで、一定の速度で移動させた場合には、測定開始までに時間がかかるという問題点があった。
〔検出器の電気的構成〕
図6は、第1の実施形態に係る検出器10の電気的構成を示すブロック図である。図6に示すように、検出器10は、前述したアーム14、検出部20、リトラクト板24、モータ26の他、制御部32、判定部34、及びリミットセンサ36を備えている。
制御部32は、検出器10の各部を統括制御する。
判定部34は、検出部20の検出結果とモータ26の回転とに基づいて、触針12がワークWの表面に接触したか否かを判定する。
リミットセンサ36は、リトラクト板24の回動位置、モータ26の回転量、又はアームストッパ28A及び28Bの位置を検出することで、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置に到達したことを検出する。
〔触針接触動作〕
図7は、第1の実施形態に係る触針接触動作の処理を示すフローチャートである。また、図8は、触針接触動作におけるアーム14とアームストッパ28Bとの各状態を示す模式図である。
ここでは、図8(A)に示すように、予めアームストッパ28Bが退避位置に位置しているものとする。図5(A)に示す状態では、触針12が退避させられているため、触針12はワークWの測定面よりも上側に位置している。
触針接触動作が開始されると、制御部32は、モータ26を第1回転方向に回転させて、アームストッパ28Bを第1速度で下降させる(ステップS11、制御工程の一例)。図8(B)に示すように、アーム14は、アームストッパ28Bの下降に追従して触針12側が下降する。
次に、制御部32は、アームストッパ28Bを下降させながらアーム14の位置を監視し(ステップS12)、アーム14の下降が停止したことを確認する(ステップS13、判定工程の一例)。
アーム14が下降を続けると、図8(C)に示すように、いずれ触針12がワークWの上面に接触する。触針12がワークWの表面に接触する際のアームストッパ28Bの位置を、接触位置と呼ぶ。触針12がワークWの表面に接触すると、アーム14の下降が停止する。
アーム14が下降すると、検出部20がアーム14の下降に応じた検出結果を出力する。また、アーム14の下降が停止すると、検出部20の検出結果が一定となる。したがって、検出部20によって、アーム14の下降が停止したことを確認することができる。
制御部32は、ステップS13においてアーム14の下降が停止したことを確認すると、モータ26を第1回転方向に、これまでよりも相対的に速い速度で回転させる。これにより、図8(D)に示すように、アーム14は触針12がワークWの上面に接触した位置で動作を停止し、アームストッパ28Bは第1速度よりも速い第2速度で下降する(ステップS14、制御工程の一例)。
アームストッパ28Bが下降を続けると、いずれリミットセンサ36がアームストッパ28Bのホーム位置を検出する(ステップS15)。この検出結果に基づいて、制御部32がモータ26の回転を停止させることで、図8(E)に示すように、アームストッパ28Bの下降が停止する(ステップS16)。
これにより、アームストッパ28A及び28Bの位置が図2に示すホーム位置となり、検出器10は、ワークWの輪郭形状を測定することができる。
このように、第1の実施形態に係る検出器10によれば、退避位置から触針12がワークWの表面に接触するまではアームストッパ28Bを第1速度で下降させて触針12の破損を防止するとともに、触針12がワークWの表面に接触した後はアームストッパ28Bを第1速度より高速の第2速度で下降させてホーム位置まで移動させるようにしたので、触針の接触動作を高速に行うことができる。
<第2の実施形態>
〔検出器の電気的構成〕
図9は、第2の実施形態に係る検出器10の電気的構成を示すブロック図である。なお、図6に示すブロック図と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。第2の実施形態に係る検出器10は、指定位置情報記憶部38を備えている。
指定位置情報記憶部38には、輪郭形状測定機100の不図示の入力部から使用者によって入力されたアームストッパ28Bの指定位置の情報が記憶されている。指定位置とは、触針接触動作においてアームストッパ28Bの速度を変更する位置である。
〔触針接触動作〕
図10は、第2の実施形態に係る触針接触動作の処理を示すフローチャートである。また、図11は、触針接触動作におけるアーム14とアームストッパ28Bとの各状態を示す模式図である。
ワークWの測定を行うにあたり、使用者は、予めアームストッパ28の指定位置を入力しておく(ステップS21)。輪郭形状測定機100は、不図示の入力部によってアームストッパ28Bの指定位置を入力することができる。入力された指定位置の情報は、指定位置情報記憶部38に記憶される。指定位置は、触針12がワークWの表面に接触する際のアームストッパ28Bの位置(接触位置)よりも手前の位置であり、接触位置の直前の位置であることが好ましい。
なお、入力部によって入力する位置は、触針12の位置やアーム14の位置であってもよい。この場合、制御部32は、入力された触針12の位置やアーム14の位置から、アームストッパ28Bの対応する位置を算出して、算出した位置を指定位置として指定位置情報記憶部38に記憶する。
触針接触動作が開始される(ステップS22)と、制御部32はアーム14の位置を確認する(ステップS23)。制御部32は、検出部20の検出結果によってアーム14の位置を検出する。ここでは、アームストッパ28Bが予め退避位置に位置しているものとする。
次に、判定部34は、確認されたアーム14の位置が、指定位置情報記憶部38に記憶されたアームストッパ28Bの指定位置に対応するアーム14の位置(以下、アーム14の速度切替位置と呼ぶ)よりも上側であるか否かを判定する(ステップS24)。
アーム14の位置がアーム14の速度切替位置より上側である場合は、制御部32は、モータ26を第1回転方向に相対的に高速に回転させ、第1速度より速い第3速度でアームストッパ28Bを下降させる(ステップS25)。これにより、図11(A)に示すように、アーム14が相対的に高速で下降する。その後、ステップS23に戻り、同様の処理を繰り返す。
ステップS24において、アーム14の位置がアーム14の速度切替位置より上側でないと判定された場合は、制御部32は、アーム14がアーム14の速度切替位置に到着したと判断する(ステップS26)。
続いて、制御部32は、モータ26を第1回転方向に相対的に低速で回転させて、第1速度でアームストッパ28Bを下降させる(ステップS27)。これにより、アーム14が相対的に低速で下降する。
次に、制御部32は、アームストッパ28Bを下降させながらアーム14の位置を監視し、アーム14の下降が停止したことを確認する(ステップS28)。アームストッパ28Bの下降に追従してアーム14が下降を続けると、図11(B)に示すように、いずれ触針12がワークWの上面に接触し、アーム14の下降が停止する。このときのアームストッパ28Bの位置が接触位置である。ここでは、第1の実施形態と同様に、検出部20によって、アーム14の下降が停止したことを確認する。
アーム14の下降が停止したことを確認すると、制御部32は、モータ26を第1回転方向に相対的に高速で回転させて、第1速度より速い第2速度でアームストッパ28Bを下降させる(ステップS29)。これにより、図11(C)に示すように、アーム14が相対的に高速で下降する。第2速度は、第3速度よりも高速であることが好ましい。
アームストッパ28Bが下降を続けてホーム位置に到達すると、リミットセンサ36は、アームストッパ28Bがホーム位置に到達したことを検出する。この検出結果に基づいて、制御部32がモータ26の回転を停止させることで、図11(D)に示すように、アームストッパ28Bの下降が停止する(ステップS30)。
これにより、アームストッパ28A及び28Bの位置が図2に示すホーム位置となり、検出器10は、ワークWの輪郭形状を測定することができる。
このように、第2の実施形態に係る検出器10によれば、触針12がワークWの表面に接触した後はアーム14を高速に移動させるようにしたので、触針の接触動作を高速に行うことができる。また、触針12がワークWの表面に接触する位置の手前の位置までアーム14を高速に移動させるようにしたので、触針の接触動作をさらに高速に行うことができる。
<第3の実施形態>
〔退避動作の一例〕
図12は、触針12をワークWから退避させる触針退避動作の処理の一例を示すフローチャートである。また、図13は、触針退避動作におけるアーム14とアームストッパ28Bとの各状態を示す模式図である。
アームストッパ28Bがホーム位置にある状態において、触針12をワークWから退避させるには、最初に、モータ26を第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に回転させて、第4速度でアームストッパ28Bを上昇させる(ステップS31)。
アームストッパ28Bを上昇すると、いずれアーム14に設けられたピン22にアームストッパ28Bが接触する(ステップS32)。
さらにアームストッパ28Bを上昇させると、図13(A)に示すように、アームストッパ28Bがピン22を押し上げることで、アーム14が上昇する(ステップS33)。
検出部20は、アームストッパ28Bが退避位置に移動したことを検出する(ステップS34)。制御部32は、検出部20の検出結果に基づいて、モータ26の回転を停止させる。これにより、図13(B)に示すように、アーム14の上昇が停止する(ステップS35)。
続いて、制御部32は、図13(C)に示すように、モータ26を相対的に低速に第1回転方向に回転させて、アーム14を下降させる(ステップS35)。
最後に、制御部32は、図13(D)に示すように、触針12が100μm下降した位置でモータ26の回転を停止させる。これにより、アームストッパ28Bが停止する(ステップS37)。
このように、触針12を退避させることができる。しかしながら、ホーム位置から退避位置まで、一定速度でアームストッパ28Bを上昇させた場合には、退避終了まで時間がかかるという問題点があった。また、退避位置から一定量、アームストッパ28Bを下降させていたため、さらに時間がかかるという問題点があった。
〔退避動作〕
図14は、第3の実施形態に係る触針退避動作の処理を示すフローチャートである。また、図15は、触針退避動作におけるアーム14とアームストッパ28Bとの各状態を示す模式図である。
最初に、モータ26を第2回転方向に相対的に低速で回転させてアームストッパ28Bを第4速度で上昇させる(ステップS41)。
次に、制御部32は、アームストッパ28Bを上昇させながらアーム14の位置を監視し(ステップS42)、アームストッパ28Bがアーム14のピン22に接触したことを確認する(ステップS43、判定工程の一例)。ここでは、検出部20の検出結果によってアーム14が上昇を開始したことを検出することで、アームストッパ28Bがピン22に接触したことを確認する。なお、アームストッパ28Bがピン22に接触する位置は、アームストッパ28Bの接触位置である。
アームストッパ28Bがピン22に接触した、すなわちアームストッパ28Bが接触位
置に到達したことを確認すると、図15(A)に示すように、制御部32は、モータ26を第2回転方向に相対的に高速で回転させて、アームストッパ28Bを第4速度より速い第5速度で上昇させる(ステップS44)。
検出部20は、アームストッパ28Bが退避位置に移動したことを検出する(ステップS45)。制御部32は、検出部20の検出結果に基づいて、モータ26の回転を停止させる。これにより、図15(B)に示すように、アーム14の上昇が停止する(ステップS46)。
このように、第3の実施形態に係る検出器10によれば、ホーム位置から接触位置まではアームストッパ28Bを相対的に遅い第4速度で上昇させて触針12の破損を防止するとともに、接触位置から退避位置まではアーム14を高速に上昇させて退避するようにしたので、触針退避動作を高速に行うことができる。
<第4の実施形態>
ここまでは、触針12をワークWの上面に接触させる例を説明したが、検出器10は、触針12の向きを変更することで、触針12をワークWの下面に接触させることもできる。
図16は、検出器10の各状態におけるアーム14、ピン22、アームストッパ28A及び28Bの位置関係を示す透視図である。図16(A)~(C)は、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある場合を示しており、それぞれアーム14がストローク範囲の上端、中央、及び下端に位置した状態を示している。なお、ここでは、触針12が図中上向きに配置され、アーム14はアーム支点16の触針12側が不図示の付勢部材により上向きに付勢されている。
図16(B)に示すように、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にあり、ピン22がアームストッパ28A及び28Bと接触していない場合は、ワークWの輪郭に沿って触針12がZ方向に上下動すると、触針12の上下動に応じてアーム14が上下動する。検出部20は、このアーム14のZ方向の変位を検出する。
また、図16(A)に示すように、ピン22がアームストッパ28Aと接触するまでアーム14が図中右回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ28Aにより図中右回りの回動(揺動)が規制され、触針12はこの位置より上側には移動しない。
同様に、図16(C)に示すように、ピン22がアームストッパ28Bと接触するまでアーム14が図中左回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ28Bにより図中左回りの回動が規制され、触針12はこの位置より下側には移動しない。
このように、アームストッパ28A又は28Bによって、アーム14の回動範囲が規制される。
また、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある状態から、モータ26によりリトラクト板24を図中左回りに回動させると、アームストッパ28Aが下降し、アームストッパ28Aがピン22と接触する。この状態から、さらにリトラクト板24を図中左回りに回動させると、図16(D)に示すように、アームストッパ28Aが下降し、アームストッパ28Aによりピン22を介してアーム14の触針12側が押し下げられる。図16(D)に示す状態のアームストッパ28Bの位置が退避位置である。
さらに、図16(E)に示すように、図16(D)に示した退避位置から、モータ26
によりリトラクト板24を図中右回りに回動させると、アームストッパ28Aが上昇する。アーム14は、ピン22を介してアームストッパ28Aに付勢されているため、アームストッパ28Aの上昇に伴いアーム14の触針12側が上昇する。
このように触針12を上昇させることで、触針12をワークWの下面に接触させることができる。
<第5の実施形態>
図17は、第5の実施形態に係る検出器10の構成を示す透視図である。第5の実施形態に係る検出器10は、触針12、アーム14、アーム支点16、ケース30、検出部40、ピン42、リトラクト板44、及びモータ46を備えて構成される。
触針12はアーム14の先端に取り付けられており、触針12の軸方向とアーム14の軸方向とが直交している。ここでは、触針12は、図中下向きに配置されている。
アーム支点16は、XZ平面に直交するY方向に平行な回転軸である。アーム14は、アーム支点16によりXZ平面内を回動自在に支持されている。
アーム14は、アーム支点16の触針12側が不図示の付勢部材により図中下向きに付勢され、触針12に測定力が付与される。
検出部40は、例えば差動トランス、差動インダクタンス、リニアスケール、又は円弧スケール等が使用され、アーム14の変位を検出することで、触針12のZ方向の変位を検出する。
ピン42は、ピン42の軸方向とアーム14の軸方向とが垂直になるようにアーム14に設けられ、アーム14の回動に伴ってZ方向に移動する。
リトラクト板44(直動部材の一例)は、図中左側が開口した凹状(コの字型)の部材であり、アーム14とは独立してZ方向に直動自在に設けられている。リトラクト板44は、ピン42を囲む位置に配置され、内側上面がアームストッパ44A、内側下面がアームストッパ44Bを構成する。
モータ46(移動部の一例)は、発生した回転力によりリトラクト板44をZ方向に移動させる。リトラクト板44が移動すると、アームストッパ44A及びアームストッパ44Bの位置が移動する。
アーム14とリトラクト板44とは、それぞれ独立に移動する。アーム14の回動又はリトラクト板44の移動により、ピン42とアームストッパ44A又は44B(規制部材の一例)とが接触する。
ケース30は、アーム支点16、検出部40、ピン42、リトラクト板44、及びモータ46を内部に収納する。
図18は、第5の実施形態に係る検出器10のアーム14、ピン42、アームストッパ44A及び44Bの位置関係を示す透視図である。
図18(A)~(C)に示す状態のアームストッパ44A及び44Bの位置が、ホーム位置である。また、図18(A)~(C)は、それぞれアーム14がストローク範囲(回動範囲)の上端、中央、及び下端に位置した状態を示している。
図18(B)に示すように、アームストッパ44A及び44Bがホーム位置にあり、ピン22がアームストッパ44A及び44Bと接触していない場合は、ワークWの輪郭に沿って触針12がZ方向に上下動すると、触針12の上下動に応じてアーム14が上下動する。検出部40は、このアーム14のZ方向の変位を検出する。
また、図18(A)に示すように、ピン42がアームストッパ44Aと接触するまでアーム14が図中右回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ44Aにより図中右回りの回動(揺動)が規制され、触針12はこの位置より上側には移動しない。
同様に、図18(C)に示すように、ピン42がアームストッパ44Bと接触するまでアーム14が図中左回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ44Bにより図中左回りの回動が規制され、触針12はこの位置より下側には移動しない。
このように、アームストッパ44A又は44Bによって、アーム14の回動範囲が規制される。
また、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある状態から、モータ46によりリトラクト板44を上昇させると、アームストッパ44Bが上昇し、アームストッパ44Bがピン42と接触する。この状態から、さらにリトラクト板44を上昇させると、図18(D)に示すように、アームストッパ44Bが上昇し、アームストッパ44Bによりピン42を介してアーム14の触針12側が押し上げられる。図18(D)に示す状態のアームストッパ28Bの位置が退避位置である。
さらに、図18(E)に示すように、図18(D)に示した退避位置から、モータ46によりリトラクト板24を下降させると、アームストッパ44Bが下降する。アーム14は、ピン42を介してアームストッパ44Bに付勢されているため、アームストッパ44Bの下降に伴いアーム14の触針12側が下降する。
このように触針12を下降させることで、触針12をワークWの上面に接触させることができる。
また、第5の実施形態に係る検出器10は、触針12の向きを変更することで、触針12をワークWの下面に接触させることもできる。
図19は、検出器10の各状態におけるアーム14、ピン22、アームストッパ28A及び28Bの位置関係を示す透視図である。図19(A)~(C)は、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある場合を示しており、それぞれアーム14がストローク範囲の上端、中央、及び下端に位置した状態を示している。なお、ここでは、触針12が図中上向きに配置され、アーム14はアーム支点16の触針12側が不図示の付勢部材により上向きに付勢されている。
図19(B)に示すように、アームストッパ44A及び44Bがホーム位置にあり、ピン22がアームストッパ44A及び44Bと接触していない場合は、ワークWの輪郭に沿って触針12がZ方向に上下動すると、触針12の上下動に応じてアーム14が上下動する。検出部40は、このアーム14のZ方向の変位を検出する。
また、図19(A)に示すように、ピン42がアームストッパ44Aと接触するまでアーム14が図中右回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ44Aにより図中右回りの回動(揺動)が規制され、触針12はこの位置より上側には移動しない。
同様に、図19(C)に示すように、ピン42がアームストッパ44Bと接触するまでアーム14が図中左回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ44Bにより図中左回りの回動が規制され、触針12はこの位置より下側には移動しない。
このように、アームストッパ44A又は44Bによって、アーム14の回動範囲が規制される。
また、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある状態から、モータ46によりリトラクト板44を下降させると、アームストッパ44Bが下降し、アームストッパ44Aがピン42と接触する。この状態から、さらにリトラクト板44を上昇させると、図19(D)に示すように、アームストッパ44Aが下降し、アームストッパ44Aによりピン42を介してアーム14の触針12側が押し下げられる。図19(D)に示す状態のアームストッパ28Aの位置が退避位置である。
さらに、図19(E)に示すように、図19(D)に示した退避位置から、モータ46によりリトラクト板24を上昇させると、アームストッパ44Aが上昇する。アーム14は、ピン42を介してアームストッパ44Aに付勢されているため、アームストッパ44Aの上昇に伴いアーム14の触針12側が上昇する。
このように触針12を上昇させることで、触針12をワークWの下面に接触させることができる。
<第6の実施形態>
図20は、第6の実施形態に係る検出器10の構成を示す透視図である。第6の実施形態に係る検出器10は、触針12、アーム14、アーム支点16、ケース30、検出部50、ピン52、リトラクト板54、及びモータ58を備えて構成される。
触針12はアーム14の先端に取り付けられており、触針12の軸方向とアーム14の軸方向とが直交している。ここでは、触針12は、図中下向きに配置されている。
アーム支点16は、XZ平面に直交するY方向に平行な回転軸である。アーム14は、アーム支点16によりXZ平面内を回動自在に支持されている。
アーム14は、アーム支点16の触針12側が不図示の付勢部材により図中下向きに付勢され、触針12に測定力が付与される。
検出部50は、例えば差動トランスが使用され、アーム14の変位を検出することで、触針12のZ方向の変位を検出する。
ピン52は、ピン52の軸方向とアーム14の軸方向とが垂直になるようにアーム14に設けられ、アーム14の回動に伴ってZ方向に移動する。
リトラクト板54は、平行四辺形状の開口を有している。リトラクト板54は、開口の内側の左斜面(第2方向に対して傾斜する傾斜面の一例)がアームストッパ54A、上面がアームストッパ54B、右斜面(第2方向に対して傾斜する傾斜面の一例)がアームストッパ54C、下面がアームストッパ54Dを構成する。ピン52は、リトラクト板54の開口に配置される。
また、リトラクト板54(直動部材の一例)は、X方向に直動自在に設けられている。
モータ58(移動部の一例)は、発生した回転力によりリトラクト板54をX方向に移動させる。
アーム14とリトラクト板54は、それぞれ独立に移動する。アーム14の回動又はリトラクト板54の移動により、ピン52とアームストッパ54A、54B、54C、又は54D(規制部材の一例)とが接触する。
ケース30は、アーム支点16、検出部50、ピン52、リトラクト板54、及びモータ58を内部に収納する。
図21は、第6の実施形態に係る検出器10のアーム14、ピン52、アームストッパ54A、54B、54C、及び54Dの位置関係を示す透視図である。
図21(A)~(C)に示す状態のアームストッパ54A、54B、54C、及び54Dの位置が、ホーム位置である。また、図21(A)~(C)は、それぞれアーム14がストローク範囲(回動範囲)の上端、中央、及び下端に位置した状態を示している。
図21(B)に示すように、アームストッパ54A、54B、54C、及び54Dがホーム位置にあり、ピン52がアームストッパ54A、54B、54C、及び54Dと接触していない場合は、ワークWの輪郭に沿って触針12がZ方向に上下動すると、触針12の上下動に応じてアーム14が上下動する。検出部50は、このアーム14のZ方向の変位を検出する。
また、図21(A)に示すように、ピン52がアームストッパ54Dと接触するまでアーム14が図中右回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ54Dにより図中右回りの回動(揺動)が規制され、触針12はこの位置より上側には移動しない。
同様に、図21(C)に示すように、ピン52がアームストッパ54Bと接触するまでアーム14が図中左回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ54Bにより図中左回りの回動が規制され、触針12はこの位置より下側には移動しない。
このように、アームストッパ54B又は54Dによって、アーム14の回動範囲が規制される。
また、アームストッパ54A、54B、54C、及び54Dがホーム位置にある状態から、モータ58によりリトラクト板54を図中右向きに移動させると、アームストッパ54Aが右向きに移動し、アームストッパ54Aがピン52と接触する。この状態から、さらにリトラクト板54を図中右向きに移動させると、図21(D)に示すように、アームストッパ54Aが右向きに移動し、ピン52がアームストッパ54Aの斜面を下降することで、アーム14の触針12側が押し上げられる。図21(D)に示す状態のアームストッパ54Aの位置が退避位置である。
さらに、図21(E)に示すように、図21(D)に示した退避位置から、モータ58によりリトラクト板54を図中左向きに移動させると、アームストッパ54Aが左向きに移動する。アーム14は、ピン52を介してアームストッパ54Aの斜面に付勢されているため、アームストッパ54Aの左向きの移動に伴いピン52がアームストッパ54Aの斜面を上昇し、アーム14の触針12側が下降する。
このように触針12を下降させることで、触針12をワークWの上面に接触させることができる。
また、第6の実施形態に係る検出器10は、触針12の向きを変更することで、触針12をワークWの下面に接触させることもできる。
図22は、検出器10の各状態におけるアーム14、ピン22、アームストッパ54A、54B、54C、及び54Dの位置関係を示す透視図である。図22(A)~(C)は、アームストッパ28A及び28Bがホーム位置にある場合を示しており、それぞれアーム14がストローク範囲の上端、中央、及び下端に位置した状態を示している。なお、ここでは、触針12が図中上向きに配置され、アーム14はアーム支点16の触針12側が不図示の付勢部材により上向きに付勢されている。
図22(B)に示すように、アームストッパ54A、54B、54C、及び54Dがホーム位置にあり、ピン52がアームストッパ54A、54B、54C、及び54Dと接触していない場合は、ワークWの輪郭に沿って触針12がZ方向に上下動すると、触針12の上下動に応じてアーム14が上下動する。検出部50は、このアーム14のZ方向の変位を検出する。
また、図22(A)に示すように、ピン52がアームストッパ54Dと接触するまでアーム14が図中右回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ54Dにより図中右回りの回動(揺動)が規制され、触針12はこの位置より上側には移動しない。
同様に、図22(C)に示すように、ピン52がアームストッパ54Bと接触するまでアーム14が図中左回りに回動すると、アーム14はこの位置でアームストッパ54Bにより図中左回りの回動が規制され、触針12はこの位置より下側には移動しない。
このように、アームストッパ54B又は54Dによって、アーム14の回動範囲が規制される。
また、アームストッパ54A、54B、54C、及び54Dがホーム位置にある状態から、モータ58によりリトラクト板54を図中左向きに移動させると、アームストッパ54Cが左向きに移動し、アームストッパ54Cがピン52と接触する。この状態から、さらにリトラクト板54を図中左向きに移動させると、図22(D)に示すように、アームストッパ54Dが左向きに移動し、ピン52がアームストッパ54Dの斜面を上昇することで、アーム14の触針12側が押し下げられる。図22(D)に示す状態のアームストッパ54Dの位置が退避位置である。
さらに、図22(E)に示すように、図22(D)に示した退避位置から、モータ58によりリトラクト板54を図中右向きに移動させると、アームストッパ54Dが右向きに移動する。アーム14は、ピン52を介してアームストッパ54Dの斜面に付勢されているため、アームストッパ54Dの右向きの移動に伴いピン52がアームストッパ54Aの斜面を下降し、アーム14の触針12側が上昇する。
このように触針12を上昇させることで、触針12をワークWの下面に接触させることができる。
<その他>
ここまで説明した実施形態において、例えば、制御部32、判定部34等の各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、サーバ及びクライアント等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
本実施形態に係る触針の接触制御方法は、コンピュータに上記の各工程を実行せるためのプログラムとして構成し、構成したプログラムを記憶したCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)等の非一時的な記録媒体を構成することも可能である。
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。