JP7049850B2 - 貯蔵食品害虫用誘引剤および貯蔵食品害虫誘引方法 - Google Patents

貯蔵食品害虫用誘引剤および貯蔵食品害虫誘引方法 Download PDF

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Description

本発明は、貯蔵食品害虫用誘引剤、この誘引剤を含有する毒餌剤および貯蔵食品害虫誘引方法に関する。詳しくは、本発明は、貯蔵食品害虫を誘引する有効成分の水を吸水性高分子に含浸させた含浸体から構成され、前記含浸体を基準とする特定の離水量であることを特徴とする貯蔵食品害虫用誘引剤、この誘引剤を含有する毒餌剤および貯蔵食品害虫誘引方法に関する。
多くの貯蔵食品を食害する害虫は、乾燥や低温などの食品を貯蔵する環境に対する耐性が強いので、多種多様な貯蔵環境において存在し得るため食品に混入する機会も多く、爆発的な発生となり大きな経済被害をもたらすことが知られている。これらの害虫は、貯蔵されている食品の中に成虫、幼虫、さなぎ、あるいは卵の形で混入し、その混入が微量であっても、食品の品質やその商品価値を著しく低下させる原因となっている。中でも、コクゾウムシは、卵から成虫になるまで穀物等の食品内部で生息するため、多くの成虫が視認されるまで加害に気が付かない場合も多く、また、食品の変質防止や風味や外観の保持の理由から、加熱処理のような殺虫手段を施すことができない食品においては、効果的な防除が困難な貯蔵食品害虫の1つである。
従来、貯蔵食品に混入した害虫防除方法としては、薬剤処理による方法のほか、高温(加熱)による殺虫防除方法(例えば、特許文献1等)、低温保管および窒素ガスや炭酸ガス等の脱酸素雰囲気使用による害虫制御方法(例えば、特許文献2等)、UVや放射線照射による殺虫方法(例えば、特許文献3、4等)等、各種の方法が知られている。
例えば、薬剤による害虫防除方法としては、臭化メチルやホスフィンあるいは二硫化炭素などの化学薬剤による燻蒸処理が穀類などの貯蔵食品の害虫防除に広く使用されてきた。しかし、使用する農薬等は、発癌性などの人に対する安全性の問題や害虫の抵抗性の獲得の問題、さらには環境問題などがあり、農薬取締法や食品衛生法によって厳しく取り締まられている。したがって、使用する薬剤は取り扱いが難しい他、食の安全性への関心度も高まっている中で十分な注意が必要になり、貯蔵食品の害虫防除として安全に使用できる方法ではない。
また、薬剤処理以外の防除方法についても、特殊な大型装置が必要であるほか、貯蔵食品によっては害虫防除効果が必ずしも十分ではない等の問題もあり、簡便かつ効果的に利用できる方法ではない。
特開2002-253114号公報 特開平09-163927号公報 特開平07-008346号公報 特開2000-167029号公報
本発明は、貯蔵食品に混入した貯蔵食品害虫に対する誘引性に優れ、一般家庭でも安全かつ簡便に使用できる貯蔵食品害虫用誘引剤、この誘引剤を含有する毒餌剤および貯蔵食品害虫誘引方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、貯蔵食品害虫を誘引する有効成分の水を吸水性高分子に含浸させた含浸体から構成され、前記含浸体を基準とする離水量を特定量以上とすることにより、コクゾウムシ等の貯蔵食品害虫に対する優れた誘引効果を発揮することを見出し、これを貯蔵食品害虫用誘引剤とすることにより上記課題を解決するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.吸水性高分子に水を含浸させた含浸体であり、
その含浸体の離水量が、前記含浸体1gに対して19mg以上であることを特徴とする、貯蔵食品害虫用誘引剤。
2.1.に記載の貯蔵食品害虫用誘引剤と殺虫剤とを含むことを特徴とする、貯蔵食品害虫用毒餌剤。
3.1.に記載の貯蔵食品害虫用誘引剤を、貯蔵食品の上に載置することを特徴とする、貯蔵食品害虫の誘引方法。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、貯蔵食品に混入した貯蔵害虫に対して優れた誘引効果を発揮する。しかも、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、有効成分である水と吸水性高分子から構成されるため、貯蔵食品や使用者に対して安全性が極めて高く、一般家庭においても簡便に使用することができる。
また、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、公知の殺虫剤と組み合わせることにより、誘引した貯蔵食品害虫を確実に防除できる毒餌剤とすることができ、貯蔵食品害虫に対する効率的な防除効果を容易に得られるものである。
以下、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤、この誘引剤を含有する毒餌剤および貯蔵食品害虫誘引方法について詳細に説明する。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、吸水性高分子に有効成分である水を含浸させた含浸体であり、その含浸体の離水量が、含浸体1gに対して19mg以上であることを特徴とするものである。
本発明において離水とは、吸水性高分子に水を含浸させた含浸体から水分が滲出する現象を意味する。そして、本発明における離水量は、貯蔵食品害虫用誘引剤または毒餌剤として使用を開始する時点において、含浸体1gに対して19mg以上であることを意味する。
本発明の含浸体は、以下の方法により調製することができ、その離水量は、以下に説明する方法により測定し、算出することが出来る。
(含浸体調製方法)
所定量の吸水性高分子と水とを混合させるために十分に撹拌した後、室温で密封して1時間静置して、使用した水を吸水させたものを本発明の含浸体とする。
(離水量測定方法)
貯蔵食品害虫用誘引剤または毒餌剤として使用を開始する時点の含浸体を、ろ紙(定性ろ紙No.2、直径90mm、乾燥ろ紙重量A(mg))上に1.5g載置し、その重量を精密に計量(含浸体重量X(g))した。ろ紙上の含浸体をつぶさないように、スパーテルの裏側でろ紙全体に広げながら、含浸体表面に滲出した水分(離水)をろ紙に吸収させた。次いで、含浸体を取り除き、ろ紙重量B(mg)を測定した。
下記計算式により離水量を算出した。
「離水量算出計算式」
離水量(mg/g)=(ろ紙重量B-乾燥ろ紙重量A)/含浸体重量X
離水量の調整方法は特に制限されず、公知の方法で行えばよい。例えば、吸水性高分子の種類や水との配合比率を適宜変更することや、離水促進剤である無機塩(例えば、カルシウム塩等)の配合量を適宜変更すること等によって、本発明の離水量を所定の範囲内に調整できる。
本発明の吸水性高分子は、水を含浸させた含浸体が特定の離水量となるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、吸水性樹脂、寒天、カラギーナン、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびその塩または誘導体等が挙げられる。吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂、イソブチレン・無水マレイン酸系吸水性樹脂、澱粉系吸水性樹脂、ビニルアルコール・アクリル酸塩系吸水性樹脂、ポリビニルメチルエーテル系吸水性樹脂、ポリビニルアルコール系吸水性樹脂、ポリエチレンオキサイド系吸水性樹脂、塩化ビニル・アクリル酸エステル共重合体ケン化物、アクリルアミド系吸水性樹脂および酢酸ビニル・マレイン酸系吸水性樹脂等が挙げられる。基本的に、水が自由水としてゲル状の高分子体の中に存在し、ゲル体として存在できるものは本発明の吸水性高分子として使用できる。これらの中で、本発明の離水量が得られる点において吸水性樹脂が好ましく、特に、イソブチレン・無水マレイン酸系吸水性樹脂またはアクリルアミド系吸水性樹脂が好ましい。イソブチレン・無水マレイン酸系吸水性樹脂は、1分子中に2モルのカルボキシル基を有する重合体で、KIゲル201K、アクアビーズM(クラレケミカル(株))等が使用できる。また、アクリルアミド系吸水性樹脂には、例えば、アクリルアミドアクリル酸系吸水性樹脂が含まれる。アクリルアミドアクリル酸系吸水性樹脂は、アクリルアミドとアクリル酸(塩)との共重合架橋体で、ASCO HISOBEAD(AK ChemTech CO. Ltd)等が使用できる。
本発明の吸水性高分子に水を含浸させると、吸水性高分子は膨潤する。膨潤した含浸体の平均粒子径は、本発明の離水量が得られる点と、貯蔵食品害虫の誘引効果の点から、0.5mm以上3.0mm以下の範囲であると良く、0.7mm以上2.8mm以下の範囲が好ましく、0.9mm以上2.5mm以下の範囲がより好ましい。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤における有効成分である水は、特に制限はなく、水道水、井戸水、精製水等が使用できる。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤が優れた誘引効果を発揮する貯蔵食品害虫とは、例えば、ヒメカツオブシムシ、ハラジロカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ、コメノゴミムシダマシ、ガイマイゴミムシダマシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリコクヌスト、アカアシホシカムシ、クリヤケシキスイ、ニセマルヒョウホンムシ、ムナビロヒメマキムシ、ジンサンシバンムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイ、チビタケナガシンクイ、チーズバエ、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、ツヅリガ、バクガ等の成虫や幼虫を挙げることができる。これらの中でも、穀物の貯蔵倉庫や一般家庭における米櫃等において発生し問題となる、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ等の鞘翅目オサゾウムシ科、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ等の鞘翅目ゴミムシダマシ科、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、ツヅリガ等の鱗翅目メイガ科に属する貯蔵食品害虫に対して、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は優れた誘引効果を発揮する。特に、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ等の鞘翅目オサゾウムシ科に属する貯蔵食品害虫に対しては、極めて優れた誘引効果を発揮する。
一般家庭においては、購入した米などの貯蔵食品やその袋にコクゾウムシ等の貯蔵食品害虫が混入し、家庭内に持ち込まれることが多い。一般家庭の貯蔵場所や貯蔵容器の中は、大規模な貯蔵倉庫や施設での低温貯蔵とは異なり、適度な温度と湿度であるため、貯蔵食品害虫が繁殖し大量発生する恐れがある。
一般家庭では、従来から貯蔵食品害虫防除に忌避剤が汎用されているが、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、既に混入している貯蔵食品害虫を確実に誘引し得る点で、一般家庭における貯蔵食品害虫防除に有用である。特に、一般家庭における貯蔵容器は密閉容器が採用されている場合が多く、さらに、貯蔵容器が置かれている場所は戸外から完全に独立しているため、新たな貯蔵食品害虫の侵入はない状況と考えられる。このため、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤と殺虫剤とを貯蔵食品と接触させない容器に収納した本発明の貯蔵食品害虫用毒餌剤は、当該貯蔵容器内に載置するだけで、確実に貯蔵食品害虫を防除することができ、しかも、貯蔵食品を汚染することがないため、安全性においても非常に有効である。
本発明における貯蔵食品とは、米、小麦、大麦、そば、大豆、小豆等の各種穀物やその粉体類、パスタ、素麺、うどん、蕎麦等の乾麺など各種乾燥穀物類加工食品や、鰹節、煮干、乾燥野菜、ドライフルーツ、茶、麩等の乾物など、期間や場所を問わず保存し蓄えられる食品を意味する。この貯蔵食品には、一般家庭における食品ストックも含まれる。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、公知の殺虫剤と組み合わせて使用することにより、誘引した貯蔵食品害虫を確実に致死させる毒餌剤とすることができる。併用できる公知の殺虫剤としては、例えば、天然ピレトリン、アレスリン、レスメトリン、フラメトリン、プラレトリン、テラレスリン、フタルスリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、サイパーメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、イミプロトリン、エンペントリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン等のピレスロイド系化合物;プロポクスル、カルバリル等のカーバメイト系化合物;フェニトロチオン、DDVP等の有機リン系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;イミダクロプリド、ジノテフラン等のネオニコチノイド系化合物;メトプレン、ハイドロプレン等の昆虫幼若ホルモン様化合物;プレコセン等の抗幼若ホルモン様化合物;フィトンチッド、ハッカ油、オレンジ油、桂皮油、丁子油等の殺虫精油類等の各種貯蔵食品害虫防除剤を挙げることができ、さらに、サイネピリン、ピペロニルブトキサイド等の共力剤も併用することができる。
これらの公知の殺虫剤の中でも、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤と殺虫剤とを混合して使用する場合には、本発明の離水量を得る点において、20℃における水溶解度が100ppm以上のものが好ましい。このような水溶解度を有する殺虫剤としては、例えば、アセフェート、バミドチオン、メチダチオン(DMTP)、フェノブカルブ(BPMC)、エチオフェンカルブ、カルタップ、チオシクラム、イミダクロプリド、チアクロプリド、シロマジン、ホスチアゼート、アセタミプリド、チアメトキサム、カルバリル(NAC)、クロチアニジン、ピメトロジン、ジノテフラン等が挙げられる。これらの中でも、例えば、ジノテフラン(20℃における水溶解度:約54000ppm)、チアメトキサム(20℃における水溶解度:約4100ppm)、イミダクロプリド(20℃における水溶解度:約510ppm)、フェノブカルブ(BPMC、20℃における水溶解度:約610ppm)等の20℃における水溶解度が500ppm以上のものが、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤と組み合わせる殺虫剤としてより好適である。
本発明の貯蔵食品害虫用毒餌剤は、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤と殺虫剤とを含有するものであり、容器に収納して使用してもよい。
収納する容器は、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤と殺虫剤を内部に収容できる形態であれば形状や大きさ等は制限されず、使用場所や使用方法に合った形態であればよい。この容器の材質としては、例えば、ガラス、金属、プラスチック等のほか、有効成分の水が容器から漏出することがない防水や撥水機能を有する特殊紙などの材質であれば特に制限されない。
容器の態様の1例として、容器の開口部を覆う蓋を有し、この蓋または容器の何れかに貯蔵食品害虫が侵入する開口部が形成されていると良い。この開口部は、貯蔵食品害虫は侵入できるが、使用者の指が入らない大きさとすることにより、使用者が貯蔵食品害虫用誘引剤や殺虫剤と接触することや、誤食等を防止することができる。このような開口部の大きさは、1つの開口部につき50mm以下であり、開口部の寸法(径、幅、長さ)は幅狭部で7mm以下が好ましい。容器内に侵入する貯蔵食品害虫が増加するため、複数の開口部を容器に形成することが良いが、その数は容器の大きさにもよるが5個以上10個以下の開口部を形成することが好ましい。さらに、本発明の貯蔵食品害虫用毒餌剤の残量を目視できるように、容器は透明又は半透明の窓相当部を設けたもの、もしくは透明または半透明の容器としてもよく、誘引した貯蔵食品害虫を見えにくくして不快感を抑えることもできる。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、その他の成分として、害虫用誘引剤に一般的に添加される成分を、本発明の効果を妨げない範囲で含有させてもよい。他の成分の例としては、離水促進剤、安定化剤、防腐剤、着色料、誤飲防止剤等が挙げられる。離水促進剤の例としては、ショ糖や塩(塩化ナトリウム)等が挙げられる。安定化剤の例としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等の酸化防止剤、アスコルビン酸等が挙げられる。防腐剤の例としては、ソルビン酸、ソルビン酸塩、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、チアベンダゾール等が挙げられる。着色料としては、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、紅花色素、フラボノイド色素、赤色2号、赤色3号、黄色4号、黄色5号、等が挙げられる。誤飲防止剤としては、安息香酸デナトニウム等が挙げられる。
ただし、本発明の離水量を制御する点においては、離水促進剤以外の他の成分を含有しない方が好ましい。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、所定量の水に、必要に応じてその他の成分を混合して均一溶液としたものを、所定量の吸水性高分子に吸水させて、本発明の離水量である含浸体とすることにより、製造することができる。また、本発明の貯蔵食品害虫用毒餌剤は、所定量の水に、殺虫剤と必要に応じてその他の成分を混合して均一溶液としたものを、所定量の吸水性高分子に吸水させて、本発明の離水量である含浸体として製造することができ、必要に応じてこれを容器に収納して使用することができる。
以下、処方例および試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
試験検体および処方検体の調製に際し、使用した吸水性樹脂と殺虫剤の詳細は以下のとおりである。
イソブチレン・無水マレイン酸系吸水性樹脂:「吸水性高分子A」
殺虫剤:「ジノテフラン」
<誘引効果と離水量との関係性確認試験>
(1)試験検体Aの調製
実施例1
水150.8g及び色素(赤色)1.5gを混合して均一な水溶液とし、これと吸水性高分子A1gとを撹拌混合し、密封して1時間静置した後、水溶液を吸水させた全体量25gの含浸体を得、これを実施例1の試験検体Aとした。
実施例2~5、比較例1~3は、下記表1に示した配合で、実施例1と同様にしてそれぞれの試験検体Aを得た。
これらの試験検体Aの離水量を、下記測定方法と計算式により算出した。
(離水量測定方法)
貯蔵食品害虫用誘引剤または毒餌剤として使用を開始する時点の含浸体を、ろ紙(定性ろ紙No.2、直径90mm、乾燥ろ紙重量A(mg))上に1.5g載置し、その重量を精密に計量(含浸体重量X(g))した。ろ紙上の含浸体をつぶさないように、スパーテルの裏側でろ紙全体に広げながら、含浸体表面に滲出した水分(離水)をろ紙に吸収させた。次いで、含浸体を取り除き、ろ紙重量B(mg)を測定した。
下記計算式により離水量を算出した。
「離水量算出計算式」
離水量(mg/g)=(ろ紙重量B-乾燥ろ紙重量A)/含浸体重量X
また、試験検体Aを長さ20mmの線上に1粒ずつ並べ試験検体Aの個数を計測した。20mmを計測した試験検体Aの個数により除した数値を、試験検体Aの平均粒子径とした。
下記表1に、実施例1~5、比較例1~3の配合量、平均粒子径(mm)、離水量(mg/g)をまとめて示した。
Figure 0007049850000001
(2)試験検体Bの調製
8個の開口部(6mm×5mm)を有する容器(50mm×80mm×高さ9mm)の中央部に、上記試験検体A(実施例1~5、比較例1~3)を2g収納したものを試験検体Bとした。
(3)貯蔵食品害虫誘引性確認試験方法
直径130mm、高さ100mmのプラスチックカップ(以下KPカップともいう。品番:KP-860M、鴻池プラスチック株式会社製)に玄米200gを敷き詰め、そこに供試虫(コクゾウムシ、100頭)を放ち、玄米の上に試験検体Bを載置した。1週間後の容器内の致死/生存に関わらず全ての供試虫を潰して赤色が確認された頭数を、試験検体Aを喫食した虫数(喫食虫数)として計測し、下記計算式により喫食率(%)を算出した。
「喫食率計算式」
喫食率(%)=喫食虫数/供試虫数×100
[評価基準]
「◎」:喫食率が50%以上
「〇」:喫食率が10%以上50%未満
「×」:喫食率が10%未満
喫食率(%)が10%以上、すなわち評価基準が「◎」および「〇」を、実用的な貯蔵食品害虫に対する誘引効果を有するものと判断した。
上記試験検体B(実施例1~5、比較例1~3)の喫食率とその誘引評価に併せ、それぞれに使用した試験検体Aの離水量を表2に示した。
Figure 0007049850000002
表2の結果より、離水量が19mg/g以上である含浸体からなる実施例1~5の試験検体は、貯蔵食品害虫に対して優れた誘引効果を発揮することが確認された。特に、離水量が16mg/gである比較例1と離水量が19mg/gである実施例5の喫食率を比較すると、本発明の離水量には、貯蔵食品害虫に対する誘引性における臨界的意義があることが明らかとなった。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤が有するコクゾウムシ等の貯蔵食品害虫に対する誘引効果、特に、吸水性高分子に水を含浸させた含浸体における離水量と、貯蔵食品害虫に対する誘引効果に関連性があることは、本発明者より新たに見出された知見であり、格別顕著な効果である。
<貯蔵食品害虫用誘引剤または毒餌剤としての効果確認試験>
(1)試験検体Cの調製
実施例6
水47.475g、殺虫剤(ジノテフラン)0.025gおよび色素(赤色)0.5gを混合して均一な水溶液とし、これと吸水性高分子A2gとを撹拌混合し、密封して1時間静置した後、使用した水溶液を吸水させた全体量50gの含浸体を得、これを実施例6の試験検体Cとした。この実施例6の試験検体Cの離水量を、上記測定方法と計算式により算出した。
実施例7、8は、ショ糖を使用した下記表3に示した配合で、実施例6と同様にしてそれぞれの試験検体Cを得た。
下記表3に、実施例6~8の配合量、離水量(mg/g)をまとめて示した。
Figure 0007049850000003
(2)試験検体Dの調製
8個の開口部(6mm×5mm)を有する容器(50mm×80mm×高さ9mm)の中央部に、上記試験検体C(実施例6~8)を2g収納したものを試験検体Dとした。
(3)貯蔵食品害虫誘引性、害虫防除性確認試験方法
直径130mm、高さ100mmのプラスチックカップ(以下KPカップともいう。品番:KP-860M、鴻池プラスチック株式会社製)に玄米200gを敷き詰め、そこに供試虫(コクゾウムシ、200頭)を放ち、玄米の上に試験検体Dを載置した。1週間後の容器内の致死虫数を計測して、下記計算式により致死率(%)を算出した。さらに、致死/生存に関わらず全ての供試虫を潰して赤色が確認された頭数を、試験検体Cを喫食した虫数(喫食虫数)として計測し、下記計算式により喫食率(%)を算出した。
「致死率計算式」
致死率(%)=致死虫数/供試虫数×100
「喫食率計算式」
喫食率(%)=喫食虫数/供試虫数×100
[評価基準]
「◎」:喫食率が50%以上
「〇」:喫食率が10%以上50%未満
「×」:喫食率が10%未満
喫食率(%)が10%以上、すなわち評価基準が「◎」および「〇」を、実用的な貯蔵食品害虫に対する誘引効果を有するものと判断した。
上記試験検体D(実施例6~8)の喫食率とその誘引評価、致死率に併せ、それぞれに使用した試験検体Cの離水量を表4に示した。
Figure 0007049850000004
表4の結果より、同じ量の吸水性高分子を使用する場合、ショ糖のような離水促進剤を併用することにより、離水量を大きく向上させ得ることを確認できた。また、殺虫剤であるジノテフランの配合は、離水量に影響を与えないことも明らかとなった。
表4の結果より、殺虫剤を配合した本発明の貯蔵食品害虫用毒餌剤(実施例6、7)は、殺虫剤を含有しない実施例8と比べて、喫食率が向上し、優れた貯蔵食品害虫防除効果が得られることが明らかとなった。
<貯蔵食品害虫用誘引剤/毒餌剤の処方例とその効果確認試験>
(1)処方検体Eの調製
実施例9
下記表5に示した吸水性高分子A以外の成分を混合して均一な水溶液とし、これと吸水性高分子Aとを撹拌混合し、密封して1時間静置した後、使用した水溶液を吸水させた含浸体を調製し、処方検体Eとした。この処方検体E(実施例9)の離水量を、上記測定方法と計算式により算出した。
下記表5に、処方検体E(実施例9)の配合量(g)と離水量(mg/g)を示した。
Figure 0007049850000005
(2)処方検体Fの調製
8個の開口部(6mm×5mm)を有する容器(50mm×80mm×高さ9mm)の中央部に、上記処方検体E(実施例9)を2g収納したものを処方検体Fとした。
(3)貯蔵食品害虫誘引性確認試験方法
コクゾウムシに対する誘引性確認試験は、上記「貯蔵食品害虫用誘引剤または毒餌剤としての効果確認試験」と同じように試験を行い、下記計算式により喫食率(%)を算出した。
メイガに対する誘引性確認試験は、次のとおりに行った。直径130mm、高さ100mmのプラスチックカップ(以下KPカップともいう。品番:KP-860M、鴻池プラスチック株式会社製)に米ぬか200gを敷き詰め、そこに供試虫(ノシメマダラメイガ成虫、20頭)を放ち、米ぬかの上に処方検体Fを載置した。1週間後の容器内の致死虫数を計測して、下記計算式により致死率(%)を算出した。1週間後の容器内の致死/生存に関わらず全ての供試虫を潰して赤色が確認された頭数を、処方検体Eを喫食した虫数(喫食虫数)として計測し、下記計算式により喫食率(%)を算出した。
「致死率計算式」
致死率(%)=致死虫数/供試虫数×100
「喫食率計算式」
喫食率(%)=喫食虫数/供試虫数×100
[評価基準]
「◎」:喫食率が50%以上
「〇」:喫食率が10%以上50%未満
「×」:喫食率が10%未満
喫食率(%)が10%以上、すなわち評価基準が「◎」および「〇」を、実用的な貯蔵食品害虫に対する誘引効果を有するものと判断した。
上記処方検体F(実施例9)のコクゾウムシとメイガの喫食率とその誘引評価、致死率に併せ、それぞれに使用した処方検体E(実施例9)の離水量を表6に示した。
Figure 0007049850000006
表6の結果より、離水量が19mg/g以上である含浸体からなる実施例9の処方検体は、貯蔵食品害虫であるコクゾウムシに対して優れた誘引効果と貯蔵食品害虫防除効果を、メイガに対しても良好な誘引効果と貯蔵食品害虫防除効果を発揮することが確認された。
本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、貯蔵食品に混入した貯蔵害虫に対して優れた誘引効果を発揮する。しかも、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、特定の離水量を有する吸水性高分子に水を含浸させた含浸体から構成されるため、貯蔵食品や使用者に対して安全性が極めて高く、一般家庭においても簡便に使用することができ有用である。
また、本発明の貯蔵食品害虫用誘引剤は、公知の殺虫剤と組み合わせることにより、誘引した貯蔵食品害虫を確実に防除できる毒餌剤とすることができ、貯蔵食品の上に載置するだけで、貯蔵食品害虫に対する効率的な防除効果を容易に得られる。新たな貯蔵食品害虫の侵入頻度の低い一般家庭においては、貯蔵食品害虫の確実な防除効果が簡便に得られ有用である。

Claims (3)

  1. 吸水性高分子(ただし、でんぷん系高吸水性樹脂は除く。)に水を含浸させた含浸体であり、
    その含浸体の離水量が、前記含浸体1gに対して19mg以上であることを特徴とする、貯蔵食品害虫用誘引剤。
  2. 請求項1に記載の貯蔵食品害虫用誘引剤と殺虫剤とを組み合わせることを特徴とする、貯蔵食品害虫用毒餌剤。
  3. 請求項1に記載の貯蔵食品害虫用誘引剤を、貯蔵食品の上に載置することを特徴とする、貯蔵食品害虫の誘引方法。
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