JP7049192B2 - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器や、プロジェクタやプロジェクションテレビ等の画像再生(投影)機器等の各種光学機器の分野では、光学系で用いられるレンズやプリズム等の光学素子の枚数を削減し、光学系全体を軽量化及び小型化する要求が強まっている。
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学系全体の軽量化及び小型化や色収差補正を図ることが可能な、1.62以上の屈折率(n)を有し、40以上65以下のアッベ数(ν)を有する中屈折率低分散ガラスの需要が非常に高まっている。
このような中屈折率低分散ガラスとして、特許文献1~2に代表されるようなガラス組成物が知られている。しかしながら、これらのB-La系からなるガラス組成物は、一般的に用いられているガラス成分の特性上、水や酸に弱いことが多く、耐久性が十分ではなかった。そのため、ガラスの研磨加工時において、ガラスが劣化することがあり、製造工程上不都合が生じることがある。
また、近年需要が伸びている監視カメラや車載用のカメラなどでは、屋外で恒常的に使用されるため、風雨や大気中の水蒸気等に曝されることが多い。従来のガラス組成物を用いた撮像素子を使用するにあたり、外界での長期間の使用を前提とする場合には、特許文献1~2に記載されているようなガラス組成では、耐久性が十分ではない。
特開昭55-080736号公報 特開平11-139844号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、前記所定の範囲の光学恒数を有し、良好な化学的耐久性及び比重の小さい光学ガラスを得ることにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、B成分を0超~45.0%、La成分を15.0~55.0%、Al成分を0超~30.0%とし、各成分の含有量を調整することにより、上記課題を解決するガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)質量%で、
成分 0超~45.0%、
La成分 15.0~55.0%、
Al成分 0超~30.0%、
を含有し、
粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1級~4級であり、
1.62以上1.85以下の屈折率(n)を有し、40以上65以下のアッベ数(ν)を有する光学ガラス。
(2)(SiO+Al+Ln)/(RO+RnO+ZnO+B+nd×10)の除算値が0.50以上であることを特徴とする(1)記載の光学ガラス(式中、LnはLa、Gd、Y、Luからなる群より選択される1種以上、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)。
(3)(1)又は(2)に記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
(4)(1)から(2)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(5)(4)に記載の光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、所定の範囲の光学恒数および良好な化学的耐久性を有するガラスを得ることができる。
本願の実施例のガラスについての屈折率(n)とアッベ数(ν)の関係を示す図である。
以下、本発明のガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成のガラス全物質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総物質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
成分は、0%超含有する場合に、熔融性を向上させ、耐失透性を向上させる効果を有する必須成分である。そのため、B成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上、さらに好ましくは15.0%以上、さらに好ましくは20.0%以上、最も好ましくは25.0%以上とする。
一方で、B成分の含有量を45.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B成分の含有量は、好ましくは45.0%以下、より好ましくは40.0%以下、より好ましくは35.0%以下、さらに好ましくは33.0%以下とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
La成分は、15.0%以上含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、且つガラスのアッベ数を高める必須成分である。従って、La成分の含有量は、好ましくは15.0%以上、より好ましくは18.0%以上、さらに好ましくは20.0%以上、さらに好ましくは23.0%以上とする。特に、1.73以上の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、La成分を40.0%以上にすることが望ましい。La成分を40.0以上とすることで、化学的耐久性を高めながら高屈折を得られやすくなる。
一方で、La成分の含有量を55.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減できる。従ってLa成分の含有量は、好ましくは55.0%以下、より好ましくは53.0%以下、より好ましくは50.0%以下とする。
La成分は、原料としてLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いることができる。
Al成分は、耐失透性や化学的耐久性を向上させる効果を有する必須成分である。そのため、Al成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2.0%超、最も好ましくは3.0%超とする。特に、SiO成分を10.0%以上含有する場合には、Al成分を8.0%以上とすることが好ましい。そうすることで、SiO成分起因の結晶化を抑え、耐失透性に優れたガラスを得ることができる。
一方で、Al成分の含有量を30.0%以下にすることで、過剰な含有による耐失透性の悪化や屈折率の低下を抑えられる。従って、Al成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは28.0%以下、さらに好ましくは26.0%以下、さらに好ましくは24.0%以下、さらに好ましくは22.0%以下、さらに好ましくは20.0%以下とする。
Al成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF、Al(PO等を用いることができる。
SiO成分は、0%超含有する場合に、耐失透性や化学的耐久性を向上させる任意成分である。そのため、SiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは5.0%以上とする。
一方で、SiO成分の含有量を40.0%未満にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、熔融性の悪化や過剰な粘性上昇を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは40.0%未満、より好ましくは38.0%以下、さらに好ましくは35.0%以下、さらに好ましくは30.0%以下とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いることができる。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、30.0%未満が好ましい。これにより、過剰な含有による化学的耐久性の悪化や耐失透性の低下を抑えられる。
従って、RO成分の質量和は、好ましくは30.0%未満、より好ましくは20.0%未満、より好ましくは10.0%未満、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Luからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、30.0%以上70.0%以下の範囲で含有することが好ましい。
特に、この和を30.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められるため、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得易くすることができる。従って、 Ln成分の質量和は、好ましくは30.0%以上、より好ましくは35.0%以上、さらに好ましくは40.0%以上、さらに好ましくは45.0%以上とする。
一方で、この和を70.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは70.0%以下、より好ましくは65.0%以下、さらに好ましくは63.0%以下とする。
質量比(SiO+Al)/(B)が0.1以上の場合、ガラスの化学的耐久性を向上させる効果が得やすくなる。従って(SiO+Al)/(B)の質量比は好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.23以上、さらに好ましくは0.5以上とする。
一方で、この質量比を10.0以下にすることで、ガラス原料の熔融性の悪化や過剰な粘性の上昇を抑えることができる。従って、(SiO+Al)/(B)の質量比は、特に上限値を定めるものではないが、好ましくは10.0以下、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは6.0以下、さらに好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.0以下、最も好ましくは1.0以下とする。
なお、B成分を含有しない場合は(SiO+Al)/(B)の値を無限大とする。
質量比(Al/Ln)が0.01以上の場合、耐失透性を向上させる効果が得られやすくなる。
従って、(Al/Ln)の質量比は好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.08以上、最も好ましくは0.10以上とする。
一方で、この質量比を1.0以下にすることで、ガラス原料の熔融性の悪化や過剰な粘性の上昇を抑えることができる。従って、(Al/Ln)の質量比は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.55以下とする。
なお、Ln成分を含有しない場合はAl/Lnの値を無限大とする。
(SiO+Al+Ln)/(RO+RnO+ZnO+B+nd×10)の除算値が0.50以上の場合、化学的耐久性や耐失透性を向上させながら所望の光学恒数を得られやすくなる。
従って、(SiO+Al+Ln)/(RO+RnO+ZnO+B+nd×10)の除算値は好ましくは0.50以上、より好ましくは0.80以上、さらに好ましくは1.00以上、最も好ましくは1.25以上とする。
一方で、この除算値を10.00以下とすることでガラス原料の熔融性の悪化や過剰な粘性の上昇を抑えることができる。従って、(SiO+Al+Ln)/(RO+RnO+ZnO+B+nd×10)の除算値は、好ましくは10.00以下、より好ましくは8.00以下、さらに好ましくは5.00以下、さらに好ましくは4.50以下、最も好ましくは4.30以下とする。
成分は、0%超含有する場合に、高屈折率及び高アッベ数を維持しながらも、ガラスの材料コストを抑えられ、且つ、他の希土類成分よりもガラスの比重を低減できる任意成分である。従って、Y成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは5.0%以上、さらに好ましくは8.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上としてもよい。
一方で、Y成分の含有量を30.0%以下にすることでガラスの耐失透性を高められる。従って、Y成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%以下、さらに好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下とする。
成分は、原料としてY、YF等を用いることができる。
Gd成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つアッベ数を高められる任意成分である。
一方で、希土類元素の中でも高価なGd成分を35.0%以下にすることで、比重の増加を抑え、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。従って、Gd成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは25.0%以下、さらに好ましくは20.0%以下とする。
特に、Gd成分を10.0%未満とすることで、材料コストをより低減させることができる。従って、Gd成分の含有量を、好ましくは、10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。材料コストの低減や比重の増加を抑える観点で、Gd成分を含有しなくてもよい。
Gd成分は、原料としてGd、GdF等を用いることができる。
Lu成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つアッベ数を高められる任意成分である。
一方で、Lu成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。また、これによりガラスの耐失透性を高められる。従って、Lu成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。材料コストを低減させる観点で、Lu成分を含有しなくてもよい。
Lu成分は、原料としてLu等を用いることができる。
Yb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つアッベ数を高められる任意成分である。
一方で、Yb成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。また、これによりガラスの耐失透性を高められる。従って、Yb成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。材料コストを低減させる観点で、Yb成分を含有しなくてもよい。
Yb成分は、原料としてYb等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
一方で、ZrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ZrO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは7.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。
一方で、TiO成分の含有量を10.0%以下にすることで、TiO成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。
一方で、Nb成分の含有量を15.0%以下にすることで、Nb成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下とする。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、高価なTa成分を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。材料コストを低減させる観点で、Ta成分を含有しなくてもよい。
Ta成分は、原料としてTa等を用いることができる。
WO成分は、0%超含有する場合にガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、WO成分の含有量を10.0%以下にすることで、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。
WO成分は、原料としてWO等を用いることができる。
ZnO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、ZnO成分の含有量を25.0%以下にすることで過剰な含有によるアッベ数の低下や耐失透性の低下を抑えられる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
MgO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、MgO成分の含有量を15.0%以下にすることで、MgO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化や耐失透性の低下を抑えられる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
MgO成分は、原料としてMgCO、MgF等を用いることができる。
CaO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、CaO成分の含有量を15.0%以下にすることで、CaO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化や耐失透性の低下を抑えられる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、最も好ましくは1.0%以下とする。
CaO成分は、原料としてCaCO、CaF等を用いることができる。
SrO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、SrO成分の含有量を15.0%以下にすることで、SrO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化や耐失透性の低下を抑えられる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
SrO成分は、原料としてSr(NO、SrF等を用いることができる。
BaO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、BaO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化や耐失透性の低下を抑えられる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
BaO成分は、原料としてBaCO、Ba(NO、BaF等を用いることができる。
LiO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性及びガラスの成形性を向上させる任意成分である。
一方で、LiO成分の含有量を8.0%以下にすることで、LiO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化を抑えられる。従ってLiO成分の含有量は、好ましくは8.0%以下、より好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、最も好ましくは1.0%以下とする。
LiO成分は、原料としてLiCO、LiNO、LiCO等を用いることができる。
NaO成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、NaO成分の含有量を8.0%以下にすることで、NaO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、NaO成分の含有量は、好ましくは8.0%以下、より好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
NaO成分は、原料としてNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いることができる。
O成分は、0%超含有する場合に、低温熔融性を向上させる任意成分である。
一方で、KO成分の含有量を8.0%以下にすることで、KO成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、KO成分の含有量は、好ましくは8.0%以下、より好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
O成分は、原料としてKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いることができる。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和は、8.0%以下が好ましい。これにより、過剰な含有による化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、前記合計の含有量(質量和)は、好ましくは8.0%以下、より好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下、最も好ましくは1.0%以下とする。
一方で、この和を0%超とすることで熔融性の悪化や過剰な粘性上昇を抑えることができる。従って、RnO成分の質量和は、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%超、さらに好ましくは0.5%以上とする。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかしながら、GeOは原料価格が高いため、その含有量が多いと生産コストが高くなってしまう。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。材料コストを低減させる観点で、GeO成分を含有しなくてもよい。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
Ga成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかしながら、Gaは原料価格が高いため、その含有量が多いと生産コストが高くなってしまう。従って、Ga成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。材料コストを低減させる観点で、Ga成分を含有しなくてもよい。
Ga成分は、原料としてGa等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、P成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
一方で、Bi成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの着色を抑え耐失透性を高められる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
TeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
一方で、TeOは白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
SnO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの酸化を低減して清澄し、且つガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
一方で、SnO成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図ることができる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO、SnF、SnF等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスを脱泡できる任意成分である。
一方で、Sb成分の含有量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.7%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
F成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を高めつつ、ガラス転移点を低くし、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が15.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。
従って、F成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、最も好ましくは1.0%以下とする。
F成分は、原料として例えばZrF、AlF、NaF、CaF等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
質量和(ZrO+TiO+Nb+Ta+WO+Bi+TeO)が20.0%以下の場合、耐失透性を向上する効果が得られ易く、またアッベ数の過剰な低下を抑え低分散性能が得られやすくなる。従って、(ZrO+TiO+Nb+Ta+WO+Bi+TeO)の質量和は好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.1%以下とする。
質量比(Ln/RO)が1.0以上の場合、ガラスの化学的耐久性を向上させる効果が得やすくなる。
従って、(Ln/RO)の質量比は好ましくは1.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは5.0以上、さらに好ましくは10.0以上、さらに好ましくは20.0以上、最も好ましくは30.0以上とする。
なお、RO成分を含有しないことにより、化学的耐久性を向上させる効果がより得られ易くなるため、(Ln/RO)の質量比の上限値は、特に定めるものではなく、無限大としてもよい。
質量比(Ln/RnO)が3.0以上の場合、ガラスの化学的耐久性を向上させる効果が得やすくなる。
従って、(Ln/RnO)の質量比は好ましくは3.0以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは8.0以上、さらに好ましくは10.0以上、さらに好ましくは15.0以上、さらに好ましくは20.0以上、さらに好ましくは25.0以上、最も好ましくは30.0以上とする。
なお、RnO成分を含有しないことにより、化学的耐久性を向上させる効果がより得られ易くなるため、(Ln/RnO)の質量比の上限値は、特に定めるものではなく、無限大としてもよい。
質量積(BaO×Gd)が8.0未満の場合、ガラスの比重とコストの双方を抑える効果が得やすくなる。従って、(BaO×Gd)の質量積は好ましくは8.0未満、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは6.0以下、さらに好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.1以下とする。
質量積(SiO+Al+B)×RnOが500以下の場合、高屈折率及び高アッベ数を維持しながらもガラスの化学的耐久性を向上させる効果が得やすくなる。従って、(SiO+Al+B)×RnOの質量積は好ましくは500以下、より好ましくは450以下、さらに好ましくは400以下、さらに好ましくは350以下、さらに好ましくは300以下、さらに好ましくは250以下、さらに好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下、最も好ましくは100以下とする。
質量和(SiO+Al)が5.0%以上の場合、ガラスの化学的耐久性を向上させる効果が得やすくなる。従って、(SiO+Al)の質量和は好ましくは5.0%以上、より好ましくは7.0%以上、さらに好ましくは9.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上とする。
一方で、この質量和を55.0%以下にすることで、ガラス原料の熔融性の悪化や過剰な粘性の上昇を抑えることができる。従って(SiO+Al)の質量和は、好ましくは55.0%以下、より好ましくは50.0%以下、より好ましくは45.0%以下、さらに好ましくは40.0%以下、さらに好ましくは38.0%以下、さらに好ましくは35.0%以下、さらに好ましくは32.0%以下、最も好ましくは30.0%以下とする。
質量和(ZrO+ZnO)が25.0%未満の場合、低アッベ数化(高分散化)を抑える効果が得やすくなる。従って、(ZrO+ZnO)の質量和は、好ましくは25.0未満、より好ましくは20.0%未満、より好ましくは15.0%未満、より好ましくは10.0%未満、より好ましくは8.5%以下、さらに好ましくは6.0%以下とする。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
Nd成分はガラスへの着色影響が強いため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
Er成分はガラスへの着色影響が強いため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
また、PbO等の鉛化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
また、As等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物質として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[物性]
本発明の光学ガラスは、中屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.62以上、より好ましくは1.65以上、より好ましくは1.67以上、さらに好ましくは1.71以上とする。この屈折率(n)は、好ましくは1.85以下、より好ましくは1.83以下、さらに好ましくは1.82以下とする。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは40以上、より好ましくは43以上、さらに好ましくは45以上、さらに好ましくは48以上、最も好ましくは50以上とする。このアッベ数(ν)は、好ましくは65以下、より好ましくは63以下、さらに好ましくは60以下、さらに好ましくは57以下とする。
このような中屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長による焦点のずれ(色収差)を小さくできる。そのため、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
ここで、本発明の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が、(-0.01ν+2.15)≦n≦(-0.01ν+2.30の関係を満たすことが好ましい。本発明で特定される組成のガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)がこの関係を満たすものであっても、安定なガラスを得られる。
従って、本発明の光学ガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が、n≧(-0.01ν+2.15)の関係を満たすことが好ましく、n≧(-0.01ν+2.17)の関係を満たすことがより好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が、n≦(-0.01ν+2.30)の関係を満たすことが好ましく、n≦(-0.01ν+2.28)の関係を満たすことがより好ましい。
本発明の光学ガラスは、比重が小さいことが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの比重は5.00以下である。これにより、光学素子やそれを用いた光学機器の質量が低減されるため、光学機器の軽量化に寄与することができる。従って、本発明の光学ガラスの比重は、好ましくは5.00以下、より好ましくは4.70以下、好ましくは4.50以下とする。なお、本発明の光学ガラスの比重は、概ね2.80以上、より詳細には3.00以上、さらに詳細には3.20以上であることが多い。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
本発明の光学ガラスは、高い耐酸性を有することが好ましい。特に、JOGIS06-2009に準じたガラスの粉末法による化学的耐久性(耐酸性)は、好ましくは1~4級、より好ましくは1~3級であることが好ましい。
これにより、光学ガラスの加工性が改善するほか車載用途等で使用する際に、酸性雨等によるガラスの曇りが低減されるため、ガラスからの光学素子の作製をより行い易くできる。
ここで「耐酸性」とは、酸によるガラスの侵食に対する耐久性であり、この耐酸性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06-2009により測定することができる。また、「粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1~3級である」とは、JOGIS06-2009に準じて行った化学的耐久性(耐酸性)が、測定前後の試料の質量の減量率で、0.65質量%未満であることを意味する。
なお、化学的耐久性(耐酸性)の「1級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%未満であり、「2級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%以上0.35質量%未満であり、「3級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.35質量%以上0.65質量%未満であり、「4級」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.65質量%以上1.20質量%未満であり、「5級」は、測定前後の試料の質量の減量率が1.20質量%以上2.20質量%未満であり、「6級」は、測定前後の試料の質量の減量率が2.20質量%以上である。
ガラスの比重(d)と粉末法耐酸性の等級(RA)の乗算(d×RA)の値が低いことが望ましい。より具体的には、本発明における(d×RA)の乗算値は20.0以下である。
これにより、耐酸性に優れながら比重の軽いレンズを作製することが可能であるため、車載や監視カメラ用途等に適した軽量化かつ酸性雨等からの耐性を有する光学素子の作製を行い易くなる。
従って、本発明の(d×RA)の乗算値は好ましくは20.0以下、より好ましくは18.0以下、さらに好ましくは15.0以下、さらに好ましくは13.0以下とする。
なお、本発明の光学ガラスの(d×RA)の乗算値の下限値は、特に限定されるものではないが、概ね1.0以上、より詳細には2.0以上、さらに詳細には3.0以上であることが多い。
本発明の光学ガラスは、耐失透性が高いこと、より具体的には、低い液相温度を有することが好ましい。
すなわち、本発明の光学ガラスの液相温度は、好ましくは1300℃以下、より好ましくは1250℃以下、さらに好ましくは1200℃以下、さらに好ましくは1150℃以下、さらに好ましくは1100℃以下とする。これにより、熔解後のガラスをより低い温度で流出しても、作製されたガラスの結晶化が低減されるため、熔融状態からガラスを形成したときの失透を低減でき、ガラスを用いた光学素子の光学特性への影響を低減できる。また、ガラスの熔解温度を低くしてもガラスを成形できるため、ガラスの成形時に消費するエネルギーを抑えることで、ガラスの製造コストを低減できる。
一方、本発明の光学ガラスの液相温度の下限は特に限定しないが、本発明によって得られるガラスの液相温度は、概ね800℃以上、具体的には850℃以上、さらに具体的には900℃以上であることが多い。
なお、本明細書中における「液相温度」とは、1000℃~1300℃の温度勾配のついた温度傾斜炉に30分間保持し、炉外に取り出して冷却した後、倍率100倍の顕微鏡で結晶の有無を観察したときに結晶が認められない一番低い温度である。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1100~1350℃の温度範囲で2~6時間熔融し、攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
[ガラスの成形]
本発明のガラスは、公知の方法によって、熔解成形することが可能である。なお、ガラス熔融体を成形する手段は限定されない。
[ガラス成形体及び光学素子]
本発明のガラスは、例えば研削及び研磨加工の手段等を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製することができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明のガラスから形成したガラス成形体は、耐久性に優れるため加工性が良く、酸性雨等によるガラスの劣化が小さいため車載用途などでの使用が可能である。
本発明のガラスの実施例及び比較例の組成、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、比重(d)、粉末法耐酸性の等級(RA)、液相温度を表1~表17に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1100~1350℃の温度範囲で2~5時間熔融した後、攪拌均質化してから金型等に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n-1)/(n-n)]の式から算出した。
実施例及び比較例のガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定した。
実施例及び比較例のガラスの耐酸性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06-2009に準じて測定した。すなわち、粒度425~600μmに破砕したガラス試料を比重ビンにとり、白金かごの中に入れた。白金かごを0.01N硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコに入れて、沸騰水浴中で60分間処理した。処理後のガラス試料の減量率(質量%)を算出して、この減量率(質量%)が0.20未満の場合を1級、減量率が0.20~0.35未満の場合を2級、減量率が0.35~0.65未満の場合を3級、減量率が0.65~1.20未満の場合を4級、減量率が1.20~2.20未満の場合を5級、減量率が2.20以上の場合を6級とした。このとき、級の数が小さいほど、ガラスの耐酸性が優れていることを意味する。
実施例及び比較例のガラスの液相温度は、1000℃~1300℃の温度勾配のついた温度傾斜炉に30分間保持し、炉外に取り出して冷却した後、倍率100倍の顕微鏡で結晶の有無を観察したときに結晶が認められない一番低い温度を求めた。
なお、「1000以下」と記載している場合は、少なくとも1000℃で結晶が認められないことを指す。































Figure 0007049192000001



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Figure 0007049192000017




表に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、B成分が0超~45.0%、La成分が15.0~55.0%、Al成分が0超~30.0%であることから、耐久性に優れながら所望の光学恒数を有する光学ガラスを得ることが可能である。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.62以上であるとともに、この屈折率(n)は1.85以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)は65以下であるとともに、このアッベ数(ν)が40以上であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の光学ガラスは、安定なガラスを形成しており、ガラス作製時において失透が起こり難いものであった。このことは、本発明の光学ガラスの液相温度が1300℃以下、より詳細には1150℃以下であることからも推察される。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも比重が5.00以下あった。そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、比重が小さいことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1~4級であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながらも、いずれも粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1~4級であり、所望の範囲内であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、化学的耐久性(耐酸性)に優れていることが明らかになった。
一方で、比較例Aの光学ガラスは、La成分が15.0%以下であるため、中屈折率及び低分散の領域において化学的耐久性に優れた硝材を得ることができない。また、比較例Bの光学ガラスは、Al成分が含有されていないため、ガラスの安定性が悪く、ガラス化しなかった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、ガラスブロックを形成し、このガラスブロックに対して研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。その結果、安定的に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    成分 5.040.0%、
    La成分 15.0~55.0%、
    Al成分 0超~24.0%、
    SiO 成分を5.0%以上、
    RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)を5.0%未満、
    Ta 成分を3.0%以下、
    を含有し、
    粉末法による化学的耐久性(耐酸性)が1級~4級であり、
    1.62以上1.85以下の屈折率(n)を有し、40以上65以下のアッベ数(ν)を有する光学ガラス。
  2. (SiO+Al+Ln)/(RO+RnO+ZnO+B+nd×10)の除算値が0.50以上であることを特徴とする請求項1記載の光学ガラス(式中、LnはLa、Gd、Y、Luからなる群より選択される1種以上、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)。
  3. 請求項1又は2に記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
  4. 請求項1又は2に記載の光学ガラスからなる光学素子。
  5. 請求項4に記載の光学素子を備える光学機器。
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