JP7049053B2 - 密封装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密封装置に関し、特に、軸線について互いに相対回転可能な環状の外周側部材と環状の内周側部材との間を密封する密封装置に関する。
車両、例えば自動車において、車輪を回転自在に支持するハブベアリングは、雨水、泥水及びダスト等の異物に直接曝される環境にある。このため、従来から、ハブベアリングには、軸線について互いに相対回転可能な外輪とハブとの間に形成された内部空間を密封するために密封装置が取り付けられている。この密封装置は、ハブベアリングの内部の潤滑剤の密封を図ると共に内部に異物が侵入することの防止を図っている。また、この密封装置には、低燃費化の要求等から、ハブベアリングに加える摺動抵抗(トルク抵抗)の低減が求められるようになっている。
図6は、従来のハブベアリングに取り付けられる密封装置(以下、ハブシールともいう。)の概略構成を示すための部分断面図である。図6に示すように、従来のハブシールとしての密封装置100は、ハブベアリング200において、互いに同軸に相対回動する外輪201とハブ202との間の環状の空間203を密封するために、外輪201とハブ202との間に嵌着されている。密封装置100は、空間203内に存在するベアリングボール204の潤滑剤の漏洩の防止を図ると共に空間203内に異物が侵入することの防止を図っている。
密封装置100は、図6に示すように、ハブベアリング200の外輪201の内周面に嵌着される金属製の補強環111と、補強環111を覆うように一体に形成されたゴム材からなる弾性体部112とを備えている。密封装置100において、弾性体部112は、サイドリップ113と、サイドリップ113よりも内周側に配設された中間リップ114と、中間リップ114よりも内側において内側に延びるグリースリップ115とを有しており、リップ113,114,115はハブ202の外周面202aに摺接している。サイドリップ113及び中間リップ114は主に異物がハブベアリング200の空間203内に侵入することの防止を図り、グリースリップ115は主に空間203内に存在するベアリングボール204の潤滑剤の漏洩の防止を図っている。
実用新案登録第3201207号公報
ハブ202の外周面202aは加工により形成されており、このため、外周面202aには加工の仕上痕が残る場合がある。ハブベアリングによっては、この仕上痕が一定の方向性を有しており、つまり、螺旋状や直線状等軸線に沿って延びる溝状の痕が複数形成されて成る仕上痕(リード目)が外周面202aに形成されている場合がある。ハブ202の外周面202aにリード目が形成されている場合、サイドリップ113及び/又は中間リップ114が、所定の接触幅(締め代)を超えてより大きな幅で外周面202aに接触してしまう、所謂ベタ当たり状態となる場合がある。この場合、サイドリップ113及び/又は中間リップ114がハブ202の回転時にハブ202に与える摺動抵抗が大きくなり、ハブ202の駆動トルクが大きくなる。
このように、従来の密封装置100においては、リード目を有するハブ202を備えるハブベアリング200に使用される場合に、ハブ202の回転時にサイドリップ113及び/又は中間リップ114のハブ202に対する接触幅が大きくなり、ハブ202への摺動抵抗(摩擦トルク)が大きくなり、ハブ202の駆動トルクが大きくなってしまう場合があった。このため、従来の密封装置に対しては、リード目を有するハブを備えるハブベアリングに使用された場合であっても、ハブの駆動トルクを上昇させずに安定させることができる構成が求められていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リップの接触部にリード目が形成されていても、摺動抵抗の上昇を抑制して摺動抵抗を安定させることができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線について互いに相対回動可能な外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された内周側部材との間を密封する密封装置であって、前記軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている、弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを備え、前記弾性体部は、使用状態において前記内周側部材に前記軸線において他方の側から接触するように形成された前記軸線において一方の側に向かって延びるサイドリップと、前記使用状態において前記内周側部材に前記他方の側から接触するように形成された前記サイドリップよりも内周側において前記一方の側に向かって延びる中間リップと、前記使用状態において前記内周側部材に外周側から接触するように形成された前記中間リップよりも前記他方の側において該他方の側に向かって延びるグリースリップとを有しており、使用状態において、前記サイドリップと前記中間リップと前記内周側部材とが囲む空間の前記軸線に沿う断面における面積は3.5mm以上であり、前記グリースリップは、延び方向の長さLと軸線に沿う断面における厚さtがグリースリップの根元においてt/L≧0.27の関係を満たすような形状になっており、前記サイドリップ、前記中間リップ、及び前記グリースリップは、各々の内周側の面に梨地部が形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記グリースリップは、前記グリースリップの先端に向かうほどその厚さが薄くなっている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記梨地部の表面粗さは7μmRzJIS以上である。
本発明に係る密封装置によれば、リップの接触部にリード目が形成されていても、摺動抵抗の上昇を抑制して摺動抵抗を安定させることができる。
本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示す密封装置のサブリップ、中間リップ、及びグリースリップの近傍を拡大して示す部分拡大断面図である。 ハブベアリングに取り付けられた密封装置の使用状態を示すための、軸線に沿う断面におけるハブベアリングの断面図である。 図3における密封装置近傍の部分拡大断面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置の評価試験の結果を示すための図である。 従来のハブベアリングに取り付けられる密封装置の概略構成を示すための部分断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。本発明に係る密封装置1は、軸線について互いに相対回転可能な外周側部材とこの外周側部材に少なくとも部分的に包囲された内周側部材との間を密封するための密封装置であり、密封装置1は、後述するように、ハブベアリング50において外輪51とハブ52との間の空間を密封するために用いられる。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向(軸線方向において一方の側)を外側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向(軸線方向において他方の側)を内側とする。より具体的には、外側とは、密封対象空間である外輪とハブとの間の空間から離れる方向であり、内側とは、この密封対象空間に近づく方向である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
密封装置1は、図1に示すように軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている、弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20とを備えている。弾性体部20は、サイドリップ21と、中間リップ22と、グリースリップ(ラジアルリップ)23とを有している。サイドリップ21は、後述する使用状態において内周側部材としてのハブ52に軸線x方向において他方の側(内側)から接触するように形成された、軸線x方向において一方の側(外側)に向かって延びる環状のリップ状の部分である。中間リップ22は、使用状態においてハブ52に一方の側(内側)から接触するように形成された、サイドリップ21よりも内周側において一方の側(外側)に向かって延びる環状のリップ状の部分である。グリースリップ23は、使用状態においてハブ52に外周側から接触するように形成された、中間リップ22よりも軸線x方向において他方の側(内側)において他方の側(内側)に向かって延びる環状のリップ状の部分である。
具体的には、補強環10は、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、後述するハブベアリング50の外輪51の貫通孔57に圧入されて嵌合されるように形成されており、補強環10が外輪51に圧入されることにより、密封装置1は、外輪51に固定される。補強環10は、例えば、図1に示すように、外周側に位置する筒状の嵌合部11と、嵌合部11の内側の端部から内周側に延びる位置調整部12と、嵌合部11の外側の端部から外周側に延びる円盤状のフランジ部13とを備えている。
嵌合部11は、軸線xを中心又は略中心とする円筒状又は略円筒状の部分であり、外周側の周面である外周面11aにおいて、貫通孔57が外側において開放される外輪51の部分である外側開口部58における内周面58aに密着して嵌着されるように形成されている。位置調整部12は、サイドリップ21、中間リップ22、及びグリースリップ23が密封装置1において所望の位置に配置されるような形状となっており、嵌合部11の内側の端部から外側に戻る略円錐筒状又は略円筒状の部分である戻り部12aと、戻り部12aの外側の端部から内周側に延びる円盤状の部分である接続フランジ部12bと、接続フランジ部12bの内周側の端部から内側及び内周側に向かって斜めに延びる略円錐筒状の戻り部12cと、戻り部12cの内周側の端部から内周側に延びる円盤状の部分であるシールフランジ部12dとを有している。フランジ部13は、軸線xを中心又は略中心とする径方向に広がる中空円盤状又は略中空円盤状の部分である。補強環10は、金属板からプレス加工や鍛造によって一体の部材として形成されており、嵌合部11と位置調整部12、嵌合部11とフランジ部13とは、互いに一体的に連続しており結合している。補強環10の金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。
弾性体部20は、補強環10に取り付けられており、図1に示すように、補強環10を外側から覆うように補強環10と一体的に成形されている。弾性体部20は、基体部25を有しており、中間リップ22及びグリースリップ23は、基体部25の内周側の端部から夫々延びている。また、サイドリップ21は、中間リップ22よりも外周側において、中間リップ22から径方向に離間されて、基体部25から延びている。基体部25は、補強環10のフランジ部13、嵌合部11、及び位置調整部12に亘って、補強環10の外側の表面に広がっている弾性体部20の部分であり、弾性体部20は、基体部25において、補強環10に一体的に取り付けられている。
サイドリップ21は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から外側に向かって延びており、密封装置1がハブベアリング50において所望の位置に取り付けられた後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってハブ52(ハブ輪55)に接触するように形成されている。サイドリップ21は、例えば、軸線x方向において外側に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。
中間リップ22は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から外側に向かって延びており、密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってハブ52(ハブ輪55)に接触するように形成されている。中間リップ22は、例えば、軸線x方向において外側に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。中間リップ22はサイドリップ21と平行に外側に向かって延びていてもよく、図1に示すように、サイドリップ21よりも軸線xに対する傾きが緩くなっていてもよい。またその逆であってもよい。
グリースリップ23は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から内側及び内周側に向かって延びている。グリースリップ23は、密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってハブ52(ハブ輪55)に接触するように形成されている。
また、グリースリップ23は、延び方向の長さLと軸線xに沿う断面における厚さtがt/L≧0.27の関係を満たすようにその形状が設計されている。グリースリップ23の延び方向の長さである延び方向長さLは、図2に示すように、グリースリップ23の根元(基体部25との結合部)であるグリースリップ基端23cと、グリースリップ23の先端であるグリースリップ先端23dとの間の延び方向における間隔である。また、グリースリップ23の厚さである断面厚さtは、軸線xに沿う断面におけるグリースリップ23の延び方向に直交する方向の厚さである。本実施の形態においては、図2に示す、グリースリップ23のグリースリップ基端23cにおけるグリースリップ23の厚さ(断面厚さt1)が、上記t/L≧0.27の関係を満たすようにその形状が設計されている。つまり、t1/L≧0.27となるような形状をグリースリップ23は有している。グリースリップ23の断面厚さtは、グリースリップ基端23cにおける断面厚さt1が最大値となっており、グリースリップ23は、グリースリップ先端23dに向かうほどその厚さが薄くなっており、グリースリップ先端23dにおけるグリースリップ23の厚さ(断面厚さt2)が最小値となっている。グリースリップ23は、延び方向に一様な厚さ(断面厚さt=一定)となっていてもよく、グリースリップ先端23dに向かうほどその厚さが厚くなっていてもよい。グリースリップ23の断面形状は、他の形状であってもよい。例えば、断面において、グリースリップ23の外周面の輪郭は直線や略直線ではなく曲線であってもよく、同様に、断面において、グリースリップ23の内周側面23aの輪郭は直線や略直線ではなく曲線であってもよい。
また、弾性体部20には、外周環突起24が形成されている。外周環突起24は、サイドリップ21よりも外周側に配設された外側に突出する軸線x周りに環状の突起であり、外側の先端である外側端24aにおいてハブ52(ハブ輪55)との間に間隙を形成するように形成されている。外周環突起24は、具体的には、基体部25の外周側の端部から外側に向かって突出しており、軸線xを中心又は略中心として延びている。外周環突起24は、図1に示すように、基体部25から外側及び外周側に向かって斜めに突出している。
また、弾性体部20は、外周環突起24よりも外周側に、外周側に向かって突出する環状の部分である堰部26を有している。堰部26は、後述するように、密封装置1が外輪51に取り付けられた状態において、外輪51の軸線x方向において密封装置1に接触する部分である外側端面58bよりも外周側に突出するように形成されている。堰部26は、例えば、図1に示すように、補強環10のフランジ部13の外周側の端部を外周側において覆うように形成されている。
弾性体部20は、また、図1に示すように、補強環10のフランジ部13の内側の表面を少なくとも部分的に覆うガスケット部27を有している。ガスケット部27は、軸線x周りに環状に広がっており、堰部26の内周側の端部に続いている。
弾性体部20は、補強環10に一体的に取り付けられており、上述のサイドリップ21、中間リップ22、グリースリップ23、外周環突起24、基体部25、堰部26、及びガスケット部27は、一体の部材として形成された弾性体部20の部分であり、一体的に連続している。弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
また、サイドリップ21、中間リップ22、及びグリースリップ23は、各々の内周側の面(内周側面21a,22a,23a)に梨地部21b,22b,23bが形成されている。
具体的には、図2に示すように、サイドリップ21の内周側の面である内周側面21a(図2において点線に面する面)には、梨地処理がなされており、内周側面21aの表面には微小な凹凸が形成されて梨地部21bが形成されている。このように、サイドリップ21の内周側面21aは梨地部21bとなっている。例えば、梨地部21bの表面粗さは、7μmRzJIS以上である。なお、表面粗さの値は、JIS B 0601-1994に準じて求められる値である(以下同じ。)。
同様に、図2に示すように、中間リップ22の内周側の面である内周側面22a(図2において点線に面する面)には、梨地処理がなされており、内周側面22aの表面には微小な凹凸が形成されて梨地部22bが形成されている。このように、中間リップ22の内周側面22aは梨地部22bとなっている。例えば、梨地部22bの表面粗さは、7μmRzJIS以上である。
同様に、図2に示すように、グリースリップ23の内周側の面である内周側面23a(図2において点線に面する面)には、梨地処理がなされており、内周側面23aの表面には微小な凹凸が形成されて梨地部23bが形成されている。このように、グリースリップ23の内周側面23aは梨地部23bとなっている。例えば、梨地部23bの表面粗さは、7μmRzJIS以上である。
また、サイドリップ21、中間リップ22、及びグリースリップ23の夫々の内周側面21a,22a,23aには、潤滑剤としてのグリースGが塗布されていてもよい。つまり、図2に示すように、内周側面21a,22a,23aには夫々点線に沿ってグリースGが塗布されていてもよい。後述する使用状態においては、密封装置1には上述のようにグリースGが塗布されて使用される。
グリースGは、増ちょう剤にウレア基を含むウレア系の増ちょう剤を含んでいない。若しくは、グリースGは、増ちょう剤にウレア系の増ちょう剤を少量含んでいる。グリースGが増ちょう剤にウレア系の増ちょう剤を少量含んでいる場合、グリースGの増ちょう剤におけるウレア系の増ちょう剤の割合は、後述するグリースGの効果である、ハブ52が回転した際にリード目に沿ってグリースGが掻き出されることが抑制される効果を奏することができる範囲であればよい。
グリースGとしては、上述の条件を満たす従来公知のグリースを適用することができる。グリースGとしては、例えば以下のようなグリースがある。
基油の種類は、通常潤滑油の基油として使用されている油(鉱油系、合成油系又は天然油系の潤滑油)を全て使用可能である。具体的には、鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を、適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。合成油系潤滑油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。天然油系潤滑油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油又はこれらの水素化物が挙げられる。これらの基油は、単独又は混合物として用いることができ、所望する基油動粘度に調整される。但し、シール部材の弾性材料として一般的なニトリルゴムとの相性を考慮すると、鉱油又は炭化水素系油が好ましい。
増ちょう剤は、例えば金属成分がLiやNa等の金属石けん、金属成分がLi,Na,Ba,Ca等である複合金属石けん等の金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレタン化合物等の非石けん類、アミノ酸系ゲル化剤(N-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドやN-ラウロイル-L-グルタミン酸-α,γ-n-ジブチルアミド等)、ベンジリデンソルビトール誘導体(ジベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール及び非対称のジアルキルベンジリデンソルビトール等)を適宜選択して使用することができる。これらの増ちょう剤は、単独又は混合物として用いることができる。なお、ウレア系の増ちょう剤には、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物を用いたものがある。
グリースGには、目的に応じて添加剤を添加してもよい。例えば、アミン系、フェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛やジチオカルバミン酸亜鉛等の酸化防止剤、スルフォン酸金属塩、エステル系、アミン系、ナフテン酸金属塩、コハク酸誘導体等の防錆剤、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤、脂肪酸、動植物油等の油性向上剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤等、従来から潤滑に使用される添加剤を単独又は混合して添加することができる。
次いで、密封装置1の使用状態について説明する。図3は、ハブベアリング50に取り付けられた密封装置1の使用状態を示すための、軸線xに沿う断面におけるハブベアリング50の断面図であり、図4は、図3における密封装置1近傍の部分拡大断面図である。図3に示すように、ハブベアリング50は従来公知のハブベアリングであり、車両等に設けられ、アクスル又は懸架装置において車輪を回転自在に支持する。ハブベアリング50は、具体的には、図3に示すように、外周側部材としての軸線xを中心又は略中心とする環状の外輪51と、外輪51に対して相対回転可能であり外輪51に部分的に包囲された軸線xを中心又は略中心とする内周側部材としてのハブ52と、外輪51とハブ52との間に配設された複数のベアリングボール53とを備えている。車両等に取り付けられたハブベアリング50の使用状態において、外輪51は固定され、ハブ52が外輪51に対して相対回動可能になる。ハブ52は、具体的には、内輪54とハブ輪55とを有しており、ハブ輪55は、軸線xに沿って延びる筒状又は略円筒状の軸部55aと、車輪取付フランジ55bとを有している。車輪取付フランジ55bは、軸部55aの一端(ハブベアリング50において外側の端部)から外周側に向かって円盤状に広がる部分であり、図示しない車輪が複数本のハブボルトによって取り付けられる部分である。軸部55aと車輪取付フランジ55bとは、内側において滑らかに繋がっており、軸部55aと車輪取付フランジ55bとが内側において繋がっている部分である移行部55cは、軸線xに沿う断面において円弧状の又は弧状の滑らかな曲線を描く輪郭を有している。内輪54は、外輪51と内輪54との間の空間内にベアリングボール53を保持するために、ハブ輪55の軸部55aの内側(矢印b方向側)の端部に嵌合されている。外輪51とハブ52との間の空間内において、ベアリングボール53は保持器56によって保持されている。
外輪51は、軸線x方向に延びる貫通孔57を有しており、この貫通孔57には、ハブ52のハブ輪55の軸部55aが挿入されており、軸部55aと貫通孔57との間に軸線xに沿って延びる環状の空間が形成されている。この空間内には、上述のようにベアリングボール53が収容されて保持器56によって保持されており、また、潤滑剤が塗布又は注入されている。軸部55aと貫通孔57との間の空間が外側(矢印a方向側)において開放された開口を形成する外輪51の外側開口部58には、密封装置1が取り付けられ、軸部55aと貫通孔57との間の空間が内側(矢印b方向側)において開放された開口を形成する外輪51の内側開口部58´には、他の密封装置59が取り付けられている。密封装置1,59によって、軸部55a及び内輪54と貫通孔57との間の空間の密封が図られており、内部の潤滑剤が外部に漏れ出ることの防止が図られており、外部から異物が内部に侵入することの防止が図られている。密封装置59は、従来公知の密封装置であり、詳細な説明は省略する。また、密封装置59として、密封装置1を適用することもできる。この場合、ハブベアリング50において、外側は矢印b方向となり、内側は矢印a方向となる。密封装置1が適用されるハブベアリングの構成は、上述のハブベアリング50の構成に限られない。
図4に示すように、密封装置1は、外輪51の外側開口部58に取り付けられている。具体的には、密封装置1は、補強環10の嵌合部11が外輪51の外側開口部58内に圧入されて嵌着されることにより、外輪51に固定されている。補強環10の嵌合部11の外周面11aは、外輪51の外側開口部58の内周方向に面する内周面58aに密着しており、補強環10と外輪51との間の密閉が図られている。また、使用状態において、図4に示すように、補強環10は、そのフランジ部13が、内側に広がる弾性体部20のガスケット部27を外側開口部58の外側に面する環状の面を形成する外側端面58bに押し付けるように、外輪51に取り付けられている。これにより、外側端面58bとフランジ部13との間において、ガスケット部27は圧縮されて、外側端面58bにおいて外輪51と密封装置1と間の密閉性の向上が図られている。ガスケット部27には、図1,4に示すように、内側に向かって突出する環状の突起であるビード27aが形成されていることが好ましい。使用状態においてビード27aが外側開口部58の外側端面58bに押し付けられることにより、外側端面58bにおいて外輪51と密封装置1との間の密閉性の更なる向上を図ることができる。ガスケット部27は、ビード27aを有していなくてもよい。
また、使用状態において、弾性体部20の堰部26は、外側開口部58の外側端面58bを外周側に超えて、外側開口部58の外周方向に面する外周面58cを外周側に超えて突出している。このため、使用状態において、外輪51の外側開口部58の外周面58cを伝って、雨水、泥水及びダスト等の異物が外側に向かって移動してきたとしても、異物は堰部26の内側に向かう面である内側面26aにぶつかり、異物の更なる外側に向かう移動が遮られる。このように、外輪51の外側開口部58の外周面58cを伝って異物がサイドリップ21方向に侵入することが抑制されている。
使用状態において、サイドリップ21は、その先端部が上述の所定の締め代に対応する部分(接触幅)においてハブ輪55の表面、例えば、車輪取付フランジ55bの内側に面する面(内側面55d)にハブ輪55が摺動可能に接触している。また、中間リップ22は、その先端部が上述の所定の締め代に対応する部分(接触幅)においてハブ輪55の表面、例えば、移行部55cにハブ輪55が摺動可能に接触している。また、グリースリップ23は、その先端部が上述の所定の締め代に対応する部分(接触幅)においてハブ輪55の表面、例えば、軸部55aの外周側の面である外周面55eにハブ輪55が摺動可能に接触している。サイドリップ21及び中間リップ22によって、貫通孔57内への異物の侵入の防止が図られており、グリースリップ23によって、貫通孔57内からの潤滑剤の流出の防止が図られている。
また、使用状態において、外周環突起24の外側端24aは、軸線x方向において微小な隙間を空けてハブ輪55の車輪取付フランジ55bの内側面55dに対向しており、外周環突起24は、車輪取付フランジ55bに接触していない。外周環突起24は、外側端24aと車輪取付フランジ55bとの間に微小な空間を形成してラビリンスシールを形成するようにしてもよい。
図4に示すように、ハブ輪55の車輪取付フランジ55bの内側面55dには、外周側に段差55fが形成されていてもよい。段差55fにおいて、内側面55dの外周側の部分が内周側の部分より外側に凹んでいる。外周環突起24は、この段差55fよりも外周側において延びている。
上述のように、密封装置1がハブベアリング50に取り付けられた使用状態において、サイドリップ21は内周側面21aの所定の締め代の部分においてハブ輪55(車輪取付フランジ55b)に接触しており、中間リップ22は内周側面22aの所定の締め代の部分においてハブ輪55(車輪取付フランジ55b)に接触しており、サイドリップ21と中間リップ22とハブ輪55の車輪取付フランジ55bとは、環状の空間であるリップ間空間Sを画成している。この使用状態においてサイドリップ21と中間リップ22とハブ輪55とが囲むリップ間空間Sの軸線xに沿う断面における面積(断面積)であるリップ間空間断面積Aは3.5mm以上となっている。つまり、サイドリップ21と中間リップ22とは、使用状態におけるリップ間空間Sの断面積であるリップ間空間断面積AがA≧3.5mmとなるように、夫々の形状が設計されている。
上述のように、密封装置1は、使用状態において、サイドリップ21が所定の締め代でハブ輪55の車輪取付フランジ55bの内側面55dに接触し、中間リップ22が所定の締め代で車輪取付フランジ55bの移行部55cに接触し、また、グリースリップ23が所定の締め代でハブ輪55の軸部55aの外周面55eに接触して、密封装置1は、外輪51とハブ52との間の空間の密封を図っている。
密封装置1によれば、ハブ輪55の外周面55eや移行部55c、内側面55dに加工の仕上痕であるリード目が形成されている場合であっても、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のベタ当たりが発生することを抑制することができる。これは、サイドリップ21と中間リップ22とハブ輪55とが囲むリップ間空間Sの断面積であるリップ間空間断面積Aが3.5mm以上となっているからである。従来の密封装置において、ハブ輪にリード目が形成されている場合に、サブリップや中間リップ、グリースリップのベタ当たりが発生する理由は、サイドリップと中間リップとハブ輪とが囲む空間にリード目のポンプ効果により負圧が発生するためであると考えられている。これに対して、密封装置1においては、使用状態におけるリップ間空間断面積Aが3.5mm以上となるように、サイドリップ21や中間リップ22の形態が設計されている。このため、使用状態においてハブ52が回転しても、リップ間空間Sに対するリード目によるポンプ効果の影響は低くなっている。つまり、リップ間空間断面積AをA≧3.5mmとすることにより、リップ間空間Sに対するリード目のポンプ効果の影響を低減させることができ、リード目のポンプ効果によりリップ間空間Sにリップ21~23の接触幅を増大させるような負圧が発生することの防止を図ることができる。このため、密封装置1においては、ハブ輪55にリード目が形成されている場合であっても、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗の増大を抑制することができる。
リップ間空間Sのリップ間空間断面積Aは大きければ大きいほどよい。リップ間空間断面積Aは大きければ大きいほど、リード目のポンプ効果の影響をより低減させることができるからである。但し、リップ間空間断面積Aの大きさの上限値は、具体的な適用対象(ハブベアリング)に対応した密封装置1の具体的な形態に応じて決めることができる。若しくは、リップ間空間断面積Aの大きさの上限値は、具体的な適用対象(ハブベアリング)に対応した密封装置1の具体的な形態に応じて決まってくる。また、密封装置1の最適なリップ間空間断面積Aの大きさは、例えば、密封装置1の具体的な態様における径方向の大きさ、例えばサイドリップ21や中間リップ22の径の大きさに基づいて設定することができる。
また、密封装置1においては、上述のようにグリースリップ23の断面厚さtと延び方向長さLとの関係がt/L≧0.27となっている。このため、グリースリップ23の剛性を適切に調整でき、グリースリップ23のベタ当たりを抑制することができ、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗の増大を抑制することができる。グリースリップ23の断面厚さtと延び方向長さLとの関係がt/L≧0.27となっている場合、密封装置1の使用環境を20℃~120℃に変化させた場合であっても、つまりハブベアリング50の貫通孔57内の圧力を変化させた場合であっても、グリースリップ23のベタ当たりを抑制することができる。
また、密封装置1においては、サイドリップ21、中間リップ22、及びグリースリップ23は、夫々内周側面21a~23aに梨地処理がなされており、夫々内周側面21a~23aに梨地部21b~23bが形成されている。そして、梨地部21b~23bの表面粗さは、7μmRzJIS以上となっている。このため、リード目のポンプ効果の低減を図ることができ、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のベタ当たりを抑制でき、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗の増大を抑制することができる。
また、梨地部21b~23bは、その表面粗さが大きいほど、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗を小さくすることができる。しかしながら、梨地部21b~23bの表面粗さが大きいほど、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のシール性は低下する。シール性のみを考慮した場合、梨地部21b~23bの表面粗さは、5μmRzJIS以上20μmRzJIS以下の値が好ましい。
各リップ21~23に塗布されるグリースGとして、ウレア系の増ちょう剤を含むグリースを使用した場合、ハブ52が回転した際にリード目に沿ってグリースGは掻き出されやすくなる。これは、ウレア系の増ちょう剤を含むグリースは、金属に付着しやすい傾向があるためであると考えられる。ハブ52の回転の際にリード目に沿ってグリースGが掻き出されると、リップ間空間Sに負圧が発生することになる。このため、ウレア系の増ちょう剤を含むグリースを使用した場合、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のベタ当たりが発生し、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗が増大することになる。密封装置1においては、各リップ21~23に塗布されるグリースGとして、ウレア系の増ちょう剤を含まないグリース、または、増ちょう剤にウレア系の増ちょう剤を少量のみ含むグリースが使用されている。このため、ハブ52が回転した際にリード目に沿ってグリースGが掻き出されることが抑制され、リップ21~23の接触幅を増大させるような負圧が発生することの防止を図ることができ、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗の増大を抑制することができる。
次いで、本発明の実施の形態に係る密封装置1の評価試験結果について説明する。本発明者は、上記本発明の実施の形態に係る密封装置1を製作し(試験例1)、この密封装置1のトルク性能(摺動抵抗)の評価試験を行った。図5は、この評価試験の結果を示すグラフを示す図である。
試験例1においては、リップ間空間断面積AをA=4.0mmとし、サイドリップ21の先端であるサイドリップ先端21cと、中間リップ22の先端である中間リップ先端22dとの間の径方向における間隔であるリップ間距離W(図2参照)をW=3.2mmとし、また、中間リップ22の基体部25との結合部である中間リップ22の内側の端部である中間リップ基端22cと中間リップ先端22dとの間の軸線x方向における間隔である中間リップ高さH(図2参照)をH=2.9mmとした。リップ間距離Wは、詳細には、サイドリップ先端21cの内周側の縁部と中間リップ先端22dの外周側の縁部との間の径方向における間隔である。また、中間リップ高さHは、軸線x方向における中間リップ22の長さである。また、グリースリップ23の延び方向長さLをL=1.24mmとし、グリースリップ基端23cにおけるグリースリップ23の厚さ(断面厚さt1)をt1=0.38mmとし、グリースリップ先端23dにおけるグリースリップ23の厚さ(断面厚さt2)をt2=0.17mmとした。また、梨地部21b~23bの表面粗さは、10.7μmRzJISとし、グリースGの増ちょう剤として、Liを含む金属石鹸を用いた。
評価試験は、試験例1を試験用のハブベアリング(図3参照)に取り付け、雰囲気温度を30℃とし、貫通孔57内の圧力であるベアリング内圧力を22kPaとした条件の下で行った。評価試験において評価は、下記の所定の工程を1サイクルとし、これを10サイクル行った際のハブ輪(ハブ)の駆動トルクを各サイクルにおいて測定することにより行った。上述の1サイクルにおいては、先ず、10rpmの回転速度でハブを10分間回転し、その後、1000rpmの回転速度でハブを60分間回転する。また、試験用のハブベアリングのハブ輪の内周側面(図3参照、移行部55c、内側面55d、外周面55e)にはリード目が形成されていた。
上記評価試験から表1及び図5に示すような結果が得られた。
Figure 0007049053000001
表1は、1番目のサイクル(第1サイクル)で測定された駆動トルクの平均値に対する各サイクル(第2~第10サイクル)で測定された駆動トルクの平均値の比であるトルク相対値(第nサイクルの駆動トルク/第1サイクルの駆動トルク)を表している。なお、上述の第1~第10サイクルの各サイクルにおいて測定された駆動トルクとは、ハブの回転速度が1000rpmである時の駆動トルクである。図5には、第1~第10サイクルの間のトルク相対値の変化を示すグラフが記載されている。表1及び図5に示すように、各サイクルのトルク相対値は1.08~1.34の間で推移しており、各サイクルにおいてトルク相対値の変化は小さく、また、サイクル数が増えていってもトルク相対値が大きく上昇していかないことが分かる。このように、各サイクルにおいてハブ輪の駆動トルクは安定していた。つまり、各サイクルにおいて、リップ間空間Sに負圧が発生することが抑制され、サイドリップ21、中間リップ22、及びグリースリップ23のベタ当たりの発生が抑制されていることが分かった。このように、本評価試験から、本密封装置1によれば、サイドリップ21や中間リップ22、グリースリップ23のハブ輪55に対する摺動抵抗の増大を抑制できることが分かった。
上述のように、本発明の実施の形態に係る密封装置1によれば、各リップ21~23の接触部(ハブ輪55)にリード目が形成されていても、各リップ21~23のハブ輪55に対する摺動抵抗の上昇を抑制して摺動抵抗を安定させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る密封装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
また、本実施の形態に係る密封装置1は、ハブベアリングに適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の車両や汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1,59,100 密封装置
10,111 補強環
11 嵌合部
11a 外周面
12 位置調整部
12a 戻り部
12b 接続フランジ部
12c 戻り部
12d シールフランジ部
13 フランジ部
20,112 弾性体部
21,113 サイドリップ
21a~23a 内周側面
21b~23b 梨地部
21c サイドリップ先端
22,114 中間リップ
22c 中間リップ基端
22d 中間リップ先端
23,115 グリースリップ
23c グリースリップ基端
23d グリースリップ先端
24 外周環突起
24a 外側端
25 基体部
26 堰部
26a 内側面
27 ガスケット部
27a ビード
50,200 ハブベアリング
51,201 外輪
52,202 ハブ
53,204 ベアリングボール
54 内輪
55 ハブ輪
55a 軸部
55b 車輪取付フランジ
55c 移行部
55d 内側面
55e,202a 外周面
55f 段差
56 保持器
57 貫通孔
58 外側開口部
58a 内周面
58b 外側端面
58c 外周面
58´ 内側開口部
203 空間
A リップ間空間断面積
G グリース
H 中間リップ高さ
L 延び方向長さ
S リップ間空間
t,t1,t2 断面厚さ
W リップ間距離
x 軸線

Claims (4)

  1. 軸線について互いに相対回動可能な外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された内周側部材との間を密封する密封装置であって、
    前記軸線周りに環状の補強環と、
    該補強環に取り付けられている、弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを備え、
    前記弾性体部は、使用状態において前記内周側部材に前記軸線において他方の側から接触するように形成された前記軸線において一方の側に向かって延びるサイドリップと、前記使用状態において前記内周側部材に前記他方の側から接触するように形成された前記サイドリップよりも内周側において前記一方の側に向かって延びる中間リップと、前記使用状態において前記内周側部材に外周側から接触するように形成された前記中間リップよりも前記他方の側において該他方の側に向かって延びるグリースリップとを有しており、
    前記内周側部材に形成されたリード目のポンプ効果の影響を低減するために、使用状態において、前記サイドリップと前記中間リップと前記内周側部材とが囲む空間の前記軸線に沿う断面における面積は3.5mm以上であり、
    前記グリースリップは、延び方向の長さLと軸線に沿う断面における厚さtがグリースリップの根元においてt/L≧0.27の関係を満たすような形状になっており、
    前記グリースリップの前記軸線に沿う断面における厚さtは、前記軸線に沿う断面における前記グリースリップの延び方向に直交する方向の厚さであり、
    前記グリースリップは、使用状態において前記グリースリップの先端が前記他方の側に向かうように変形するように形成されており、
    前記サイドリップ、前記中間リップ、及び前記グリースリップは、各々の内周側の面に梨地部が形成されていることを特徴とする密封装置。
  2. 前記グリースリップは、前記グリースリップの先端に向かうほどその厚さが薄くなっていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  3. 前記梨地部の表面粗さは7μmRzJIS以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
  4. 前記サイドリップ、前記中間リップ、及び前記グリースリップの各々の内周側の面にはグリースが塗布されており、前記グリースは、増ちょう剤にウレア基を含むウレア系の増ちょう剤を含んでいないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の密封装置。
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