以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
<電動機の基本構成>
まず、図1~図3を参照して、第1実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電動機1の一例を示す分解斜視図である。具体的には、図1は、回転子20を固定子10から離れる方向に軸方向で移動させたときの電動機1を示す斜視図である。図1では、回転子20に取り付けられる、回転軸心AX回りに回転する回転軸部材、並びに図3のバックヨーク部211及び短絡抑制部材25,26の図示が省略されている。図2は、第1実施形態に係る回転子20の一例を示す軸方向視の図である。具体的には、図2は、図1の軸方向の下側、即ち、固定子10から見た回転子20が示されている。図中の太い実線矢印は、補助磁石23の間、及び補助磁石24の間の磁束の流れを表し、図2中の破線矢印は、補助磁石23,24の着磁方向(磁化配向)を表している。図3は、第1実施形態に係る電動機1の一例を示す断面図である。具体的には、図3は、図2のA-A線に対応する電動機1の断面図(縦断面図)である。図3中の太い実線矢印は、補助磁石23,24と主磁石22との間の磁束の流れ及び主磁石22と固定子10との間の磁束の流れを表し、図中の破線矢印は、主磁石22及び補助磁石23,24の着磁方向(磁化配向)を表している。
第1実施形態に係る電動機(「モータ」とも称する)1は、例えば、空気調和機(冷凍装置の一例)の圧縮機や送風機に搭載される。以下、後述する第2実施形態~第4実施形態に係る電動機1についても同様であってよい。
図1に示すように、電動機1は、固定子10と、回転子20とを含む。第1実施形態に係る電動機1は、固定子10と回転子20とが軸方向(第1の方向の一例)に所定の空隙(「エアギャップ」とも称する)を空けて対向する態様のいわゆるアキシャルギャップ型である。
固定子(「ステータ」とも称する)10は、電機子であり、図示しない筐体に固定される。図1、図3に示すように、固定子10は、固定子鉄心11と、巻線12とを含む。
固定子鉄心(「ステータコア」とも称する)11は、例えば、電磁鋼板、鋳鉄、圧粉磁心等の強磁性体の材料によって形成される。固定子鉄心11は、バックヨーク部11Aと、複数のティース部11Bとを含む。
バックヨーク部11Aは、軸方向視で、電動機1の回転軸心AXを中心とする略円環形状を有し、回転軸心AXを中心とする挿通孔を有する。「略」は、例えば、製造誤差等を許容する意図であり、以下の説明でも同様の意味で用いる。これにより、回転子20に取り付けられる回転軸部材を挿通孔に挿通させ、電動機1の軸方向の両端で回転軸部材を回転軸心AX回りに回転可能に支持することができる。バックヨーク部11Aは、巻線12が巻回される複数のティース部11Bの間を磁気的に短絡させ、それぞれの巻線12に流れる電流による磁界の磁路を構成する。
複数(本例では15個)のティース部11Bは、バックヨーク部11Aの回転子20と対向する面において、軸方向に突出する形で周方向に等間隔で配置される。
巻線12は、複数のティース部11Bのそれぞれに巻き回される。巻線12とティース部11Bとのあいだには、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)製の絶縁フィルム等の絶縁部材が介在する。
尚、ティース部11Bの個数は、14以下であってもよいし、16以上であってもよい。
回転子(「ロータ」とも称する)20は、界磁子であり、上述の如く、軸方向に所定の空隙を空けて、固定子10と対向するように配置され、固定子10と対向する方向(軸方向)と直交する周方向(第2の方向の一例)に回転可能である。回転子20は、図示されない回転軸部材に取り付けられ、回転軸部材は、例えば、両端部に設けられる軸受(ベアリング)等により、筐体等の固定部に対して回転可能に支持される。これにより、回転子20は、回転軸部材を介して、電動機1の筐体等の固定部に対して回転可能に構成される。回転子20は、図1~図3に示すように、回転子鉄心21と、複数の主磁石22と、複数の補助磁石23と、複数の補助磁石24と、短絡抑制部材25と、短絡抑制部材26とを含む。
回転子鉄心(「ロータコア」とも称する)21は、主磁石22及び補助磁石23,24の磁界等における磁路を構成する構成要素である。回転子鉄心21は、例えば、電磁鋼板、鋳鉄、圧粉磁心等の強磁性体の材料によって形成される。図1~図3に示すように、回転子鉄心21は、バックヨーク部211と、内環部212と、外環部213とを含む。
バックヨーク部211(第1の部材の一例)は、軸方向において、主磁石22の軸方向で固定子10と対向する面とは反対側の面に隣接して設けられる。バックヨーク部211は、軸方向視で、主磁石22の設けられる径方向の範囲と略同じ範囲を全周に亘って覆う態様の円環形状を有する。即ち、バックヨーク部211は、径方向で、回転軸心AXを中心とする内周面及び外周面がそれぞれ主磁石22の内周面及び外周面と略一致する状態になっている。バックヨーク部211は、複数の主磁石22の間の磁束の磁路として用いられる。
内環部212は、補助磁石23の径方向で内側に隣接して設けられる。内環部212は、軸方向視で略円環形状を有する。また、内環部212は、補助磁石23と略同じ軸方向の厚みを有し、補助磁石23と略同じ軸方向の範囲を占めるように配置される。即ち、補助磁石23の軸方向で固定子10に対向する面と内環部212の軸方向で固定子10に対向する面とは略一致する状態(略面一の状態)になっている。図1、図2に示すように、内環部212は、例えば、周方向に一の部材で構成される。また、内環部212は、周方向に複数の部材で構成されていてもよい。図2に示すように、内環部212は、補助磁石23の周方向に隣接する径方向内側の磁極間の磁路として用いられる。
外環部213は、補助磁石24の径方向外側に隣接して設けられる。外環部213は、軸方向視で略円環形状を有する。また、外環部213は、補助磁石24と略同じ軸方向の厚みを有し、補助磁石24と同じ軸方向の範囲を占めるように配置される。即ち、補助磁石24の軸方向で固定子10に対向する面と外環部213の軸方向で固定子10に対向する面とは略一致(略面一)の状態になっている。図2に示すように、外環部213は、補助磁石24の周方向に隣接する径方向外側の磁極間の磁路として用いられる。
複数(本例では、10個)の主磁石22(第1の磁石の一例)は、回転軸心AXを中心として、全周に亘って周方向に並べて配置される。また、図3に示すように、主磁石22は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向するように配置される。図1、図2に示すように、例えば、複数の主磁石22は、隣り合う主磁石22同士が接するように配置される。複数の主磁石22は、それぞれ、軸方向視で略扇形状を有し、互いに、回転軸心AXを中心とする略同じ径方向の範囲を占め且つ略同じ角度幅(即ち、周方向の幅)を占めるように設けられる。即ち、複数の主磁石22は、互いに略同じ形状を有してよい。図3に示すように、複数の主磁石22は、軸方向に着磁された永久磁石であり、固定子10に対向する面及びその反対の面のそれぞれに極性の異なる磁極(N極及びS極)(第1の磁極及び第4の磁極の一例)を有する。そして、図2に示すように、複数の主磁石22は、固定子10に対向する面の磁極が周方向で隣接する2つの主磁石22で異なるように、即ち、周方向で固定子10に対向する面にS極及びN極が交互に並ぶように配置される。主磁石22は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
尚、主磁石22の個数は、9個以下であってもよいし、11個以上であってもよい。以下、後述の第2実施形態~第4実施形態の場合についても同様であってよい。
複数(本例では、10個)の補助磁石23(第2の磁石の一例)は、主磁石22の径方向(第3の方向の一例)で内側に隣接する形で、周方向に並べて配置される。また、図3に示すように、補助磁石23は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向しないように配置される。補助磁石23は、主磁石22と共に、ハルバッハ配列を構成し、主磁石22の軸方向で固定子10と対向する面の磁極の磁束を相対的に高める。これにより、電動機1の出力を向上させることができる。
複数の補助磁石23は、それぞれ、軸方向視で、周方向で主磁石22が占める範囲に相当する角度範囲の略扇形状を有する。補助磁石23は、主磁石22の着磁方向(軸方向)と直交する径方向に着磁された永久磁石であり、径方向の外側及び内側のそれぞれに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有する。径方向で外側にN極が着磁される一方の補助磁石23は、軸方向で固定子10と対向する面にN極が着磁される主磁石22の径方向で内側に隣接して配置される。一方、径方向で外側にS極が着磁される他方の補助磁石23は、軸方向で固定子10と対向する面にS極が着磁される主磁石22の径方向で内側に隣接して配置される。これにより、主磁石22における軸方向で固定子10に対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。補助磁石23は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
複数(本例では、10個)の補助磁石24は、主磁石22の径方向で外側に隣接する形で、周方向に並べて配置される。また、図3に示すように、補助磁石24は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向しないように配置される。補助磁石24は、補助磁石23と同様、主磁石22と共に、ハルバッハ配列を構成し、主磁石22の軸方向で固定子10と対向する面の磁極の磁束を相対的に高める。これにより、電動機1の出力を向上させることができる。
複数の補助磁石24は、それぞれ、軸方向視で、周方向に主磁石22が占める範囲に相当する角度範囲の略扇形状を有する。補助磁石24は、径方向に着磁され、径方向の内側及び外側のそれぞれに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有する。径方向で内側にN極が着磁される一方の補助磁石24は、軸方向で固定子10と対向する面にN極が着磁される主磁石22の径方向で外側に隣接して配置される。一方、径方向で内側にS極が着磁される他方の補助磁石24は、軸方向で固定子10と対向する面にS極が着磁される主磁石22の径方向で外側に隣接して配置される。これにより、主磁石22における軸方向で固定子10に対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。補助磁石24は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
短絡抑制部材25(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体であり、バックヨーク部211等の回転子20における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。短絡抑制部材25は、軸方向で、補助磁石23の固定子10と対向する面とは反対側の面に隣接して設けられる。短絡抑制部材25は、軸方向視で、内環部212及び補助磁石23の設けられる径方向の範囲と略同じ範囲を全周に亘って覆う態様の円環形状を有する。即ち、短絡抑制部材25は、径方向で、回転軸心AXを中心とする内周面及び外周面がそれぞれの内環部212の内周面及び補助磁石23の外周面と略一致する状態になっており、バックヨーク部211の径方向で内側に隣接して配置される。また、短絡抑制部材25は、バックヨーク部211と軸方向で略同じ厚さを有する。
短絡抑制部材26(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体であり、バックヨーク部211等の回転子20における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。短絡抑制部材26は、軸方向で、補助磁石24の固定子10と対向する面とは反対側の面に隣接して設けられる。短絡抑制部材26は、軸方向視で、補助磁石24及び外環部213の設けられる径方向の範囲と略同じ範囲を全周に亘って覆う態様の円環形状を有する。即ち、短絡抑制部材26は、径方向で、回転軸心AXを中心とする内周面及び外周面がそれぞれ補助磁石24の内周面及び外環部213の外周面と略一致する状態になっており、バックヨーク部211の径方向で外側に隣接して配置される。また、短絡抑制部材26は、バックヨーク部211と軸方向で略同じ厚さを有する。
<補助磁石の短絡磁束の抑制方法>
次に、図1~図3に加えて、図4を参照して、第1実施形態に係る電動機1の補助磁石23,24の短絡磁束の抑制方法を説明する。
図4は、比較例に係る電動機1cを示す断面図である。具体的には、図4は、図3と同様に、電動機1cの縦断面図であり、図4中の符号なしの太い実線矢印は、補助磁石23,24と主磁石22との間、及び主磁石22と固定子10との間の磁束の流れを表している。比較例に係る電動機1cは、短絡抑制部材25,26が省略され、バックヨーク部211がバックヨーク部211cに置換されている点で、第1実施形態に係る電動機1と異なる。
図4に示すように、比較例に係る電動機1cのバックヨーク部211cは、内環部212、補助磁石23、主磁石22、補助磁石24、及び外環部213の固定子10と対向する面と反対側の面に隣接して、これらの径方向の範囲全体を覆う形で配置される。また、バックヨーク部211cは、電動機1のバックヨーク部211と同様、例えば、強磁性体の材料で形成され、磁気抵抗が相対的に低い。そのため、バックヨーク部211cを通じて、補助磁石23の一対の磁極間及び補助磁石24の一対の磁極間を短絡する磁束(以下、「短絡磁束」)SMFが発生する可能性がある。よって、補助磁石23,24による主磁石22の軸方向で固定子10と対向する面の磁極の磁束を高める効果が相対的に減少してしまう可能性がある。
これに対して、図3に示すように、第1実施形態に係る電動機1では、軸方向で、補助磁石23,24の固定子10と対向する面と反対側の面に、バックヨーク部211等の回転子20の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い短絡抑制部材25,26が設けられる。
これにより、補助磁石23,24の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線(径方向に延びる線)に並列に面している、補助磁石23,24の周囲の部分において、バックヨーク部211等の回転子20の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い状態を実現することができる。そのため、補助磁石23,24の一対の磁極間での短絡磁束を抑制し、主磁石22の軸方向で固定子10に対向する面の磁極の磁束をより高めることができる。そのため、電動機1の出力をより向上させることができる。
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態について説明する。
以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同じ或いは対応する部分に関する説明を簡略化或いは省略する場合がある。また、第2実施形態に係る電動機1の基本構成は、第1実施形態と略同じであるため、その説明を省略し、以下の第2実施形態に係る電動機1の説明に図1、図2を援用する。
<補助磁石の短絡磁束の抑制方法>
図5、図6を参照して、第2実施形態に係る電動機1の補助磁石23,24の短絡磁束の抑制方法について説明する。
図5、図6は、それぞれ、第2実施形態に係る電動機1の一例及び他の例を示す断面図である。具体的には、図5、図6は、第2実施形態に係る電動機1の一例及び他の例に関する図2のA-A断面図(縦断面図)である。図5、図6中の太い実線矢印は、補助磁石23,24と主磁石22との間の磁束の流れ及び主磁石22と固定子10との間の磁束の流れを表し、図中の破線矢印は、主磁石22及び補助磁石23,24の着磁方向(磁化配向)を表している。
図5、図6に示すように、第2実施形態に係る電動機1では、補助磁石23,24の軸方向で固定子10と対向する面の反対側の面に、短絡抑制部材25,26に代えて、部材のない空間が設けられる。
例えば、図5に示すように、本例に係る電動機1のバックヨーク部211は、内環部212、補助磁石23、主磁石22、補助磁石24、及び外環部213の固定子10と対向する面と反対側の面に隣接して、これらの径方向の範囲全体を覆う形で配置される。バックヨーク部211には、径方向の全体の範囲のうち、補助磁石23に面する部分及び補助磁石24に面する部分に凹部が設けられる。これにより、補助磁石23,24の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線に並列に面している部分に、バックヨーク部211等の回転子20の磁路を構成する部材よりも磁気抵抗が高い空隙25A,26A(短絡抑制部、部材のない空間の一例)が設けられる。そのため、補助磁石23,24の一対の磁極間での短絡磁束を抑制することができる。
また、例えば、図6に示すように、本例に係る電動機1では、第1実施形態の短絡抑制部材25,26が設けられる部分には、部材が何もない空間25B,26B(短絡抑制部、部材のない空間の一例)が設けられる。これにより、補助磁石23,24の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線に並列に面している空間25B,26Bの磁気抵抗を、バックヨーク部211等の回転子20の磁路を構成する部材よりも高くすることができる。そのため、補助磁石23,24の一対の磁極間での短絡磁束を抑制することができる。
このように、第2実施形態に係る電動機1では、補助磁石23,24の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線(径方向に延びる線)に並列に面している、補助磁石23,24の周囲の部分に、部材のない空間を設ける。これにより、補助磁石23,24の一対の磁極間での短絡磁束を抑制し、主磁石22の軸方向で固定子10に対向する面の磁極の磁束をより高めることができる。そのため、電動機1の出力をより向上させることができる。
[第3実施形態]
次いで、第3実施形態について説明する。
以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する場合がある。また、第3実施形態に係る電動機1は、固定子10及び回転子20のうちの回転子20の構成のみが異なる。そのため、図1に相当する、固定子10及び回転子20を含む電動機1の全体を表す分解斜視図の図示を省略し、図1を援用して、第3実施形態に係る電動機1の説明を行う。
<電動機の基本構成>
図7、図8を参照して、第3実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図7は、第3実施形態に係る回転子20の一例を示す軸方向視の図である。具体的には、図7は、図1に相当する分解斜視図の軸方向の下側、即ち、固定子10から見た回転子20が示されており、図7中の太い実線矢印は、補助磁石23、及び補助磁石24の磁化配向(着磁方向)を表している。図8は、第3実施形態に係る電動機1の一例を示す断面図である。具体的には、図8は、図7のB-B線に対応する電動機1の断面図(縦断面図)である。図8中の太い実線矢印は、補助磁石23,24と主磁石22との間の磁束の流れ及び主磁石22と固定子10との間の磁束の流れを表し、図8中の破線矢印は、主磁石22の着磁方向(磁化配向)を表している。
図7、図8に示すように、第3実施形態に係る回転子20は、第1実施形態の場合と同様、回転子鉄心21と、複数の主磁石22と、補助磁石23と、複数の補助磁石24と、短絡抑制部材25と、短絡抑制部材26とを含む。
回転子鉄心21は、バックヨーク部211を含み、第1実施形態と異なり、内環部212及び外環部213が省略される。
補助磁石23は、一の部材で構成されるリング磁石である。補助磁石23は、第1実施形態と異なり、主磁石22の着磁方向(軸方向)と直交するように極異方性の磁化配向で着磁されている。具体的には、補助磁石23は、径方向の外側に互いに極性が異なる一対の磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有し、径方向の内側への磁束漏れがないハルバッハ配列の磁気回路構造を有する。これにより、補助磁石23の径方向の内側に磁路を構成する部材(即ち、第1実施形態の内環部212)を省略することができる。
補助磁石23は、径方向の外側に、周方向で離間する一対の磁極(N極及びS極)を複数組(本例では、5組)有する。具体的には、補助磁石23は、隣り合う磁極と互いに極性が異なるように、周方向に略等間隔で主磁石22の数と同じ数(本例では、10)の磁極を有する。補助磁石23は、N極及びS極のそれぞれが、軸方向で固定子10と対向する面にN極及びS極が着磁される主磁石22の径方向で内側に隣接するように配置される。これにより、補助磁石23は、2つの主磁石22における軸方向で固定子10に対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。また、図8に示すように、補助磁石23は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向しないように配置される。
補助磁石24は、一の部材で構成されるリング磁石である。補助磁石24は、第1実施形態と異なり、極異方性の磁化配向で着磁されている。具体的には、補助磁石24は、径方向の内側に一対の磁極を有し、径方向の外側への磁束漏れがないハルバッハ配列の磁気回路構造を有する。これにより、補助磁石24の径方向の外側に磁路を構成する部材(即ち、第1実施形態の外環部213)を省略することができる。
補助磁石24は、径方向の内側に、周方向で離間する一対の磁極(N極及びS極)を有する。補助磁石24は、N極及びS極のそれぞれが、軸方向で固定子10と対向する面にN極及びS極が着磁される主磁石22の径方向で外側に隣接するように配置される。これにより、補助磁石24は、2つの主磁石22における軸方向で固定子10に対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。また、図8に示すように、補助磁石24は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向しないように配置される。
短絡抑制部材25は、第1実施形態と異なり、軸方向視で、補助磁石23の設けられる径方向の範囲と略同じ範囲を全周に亘って覆う態様の円環形状を有する。即ち、短絡抑制部材25は、径方向で、回転軸心AXを中心とする内周面及び外周面がそれぞれの補助磁石23の内周面及び外周面と略一致する状態になっており、バックヨーク部211の径方向で内側に隣接して配置される。第1実施形態に対して、内環部212が省略されているからである。
短絡抑制部材26は、第1実施形態と異なり、軸方向視で、補助磁石24の設けられる径方向の範囲と略同じ範囲を全周に亘って覆う態様の円環形状を有する。即ち、短絡抑制部材26は、径方向で、回転軸心AXを中心とする内周面及び外周面がそれぞれの補助磁石24の内周面及び外周面と略一致する状態になっており、バックヨーク部211の径方向で外側に隣接して配置される。第1実施形態に対して、外環部213が省略されているからである。
このように、第3実施形態に係る電動機1では、極異方性の磁化配向で着磁されている補助磁石23,24が利用される。これにより、補助磁石23及び補助磁石24のそれぞれの径方向の内側及び外側の磁路を構成する部材(第1実施形態の内環部212及び外環部213)を省略することができる。そのため、電動機1の径方向のサイズを小型化することができる。
[第4実施形態]
次いで、第4実施形態について説明する。
以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する場合がある。また、第4実施形態に係る電動機1は、第1実施形態に対して、固定子10及び回転子20のうちの回転子20の構成のみが異なる。そのため、図1に相当する、固定子10及び回転子20を含む電動機1の全体を表す分解斜視図の図示を省略し、図1を援用して、第4実施形態に係る電動機1の説明を行う。
<電動機の基本構成>
まず、図9、図10を参照して、第4実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図9は、第4実施形態に係る回転子20の構成の一例を示す軸方向視の図である。具体的には、図9は、図1に相当する分解斜視図の軸方向の下側、即ち、固定子10から見た第4実施形態に係る回転子20が示されている。図9中の破線矢印は、補助磁石27の着磁方向(磁化配向)を表している。図10は、第4実施形態に係る電動機1の一例を示す断面図である。具体的には、図10は、図9のC-C線に対応する電動機1の断面図(周方向の断面図)である。図10中の太い実線矢印は、補助磁石27と主磁石22との間の磁束の流れ及び主磁石22と固定子10との間の磁束の流れを表し、図10中の破線矢印は、主磁石22及び補助磁石27の着磁方向(磁化配向)を表している。
図9、図10に示すように、第4実施形態に係る回転子20は、回転子鉄心21と、複数の主磁石22と、複数の補助磁石27と、短絡抑制部材28とを含む。
回転子鉄心21は、バックヨーク部211を含む。
バックヨーク部211は、軸方向において、主磁石22の軸方向で固定子10と対向する面とは反対側の面に隣接して設けられる。バックヨーク部211は、軸方向視で、主磁石22の設けられる径方向の範囲と略同じ範囲を全周に亘って覆う態様の円環形状を有する。バックヨーク部211は、複数の主磁石22の間の磁束の磁路として用いられる。また、バックヨーク部211には、短絡抑制部材28が収容される凹部が設けられる。
複数(本例では、10個)の主磁石22は、周方向に相対的に大きい等間隔で並べて配置される。また、図10に示すように、主磁石22は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向するように配置される。複数の主磁石22は、それぞれ、軸方向視で略扇形状を有し、回転軸心AXを中心とする同じ角度幅(同じ周方向の幅)を占めるように設けられる。複数の主磁石22は、軸方向に着磁された永久磁石であり、固定子10に対向する面の磁極が周方向で隣接する2つの主磁石22で異なるように、即ち、周方向で固定子10に対向する面にS極及びN極が交互に並ぶように配置される。主磁石22は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
複数(本例では、10個)の補助磁石27(第2の磁石の一例)は、それぞれ、主磁石22の周方向(第3の方向の一例)の端部に隣接するように設けられる。また、図10に示すように、補助磁石27は、軸方向で固定子10のティース部11Bと対向するように配置される。補助磁石27は、主磁石22と共に、ハルバッハ配列を構成し、主磁石22の軸方向で固定子10と対向する面の磁極の磁束を相対的に高める。これにより、電動機1の出力を向上させることができる。
複数の補助磁石27は、それぞれ、周方向で隣り合う2つの主磁石22の間に配置される。複数の補助磁石27は、それぞれ、軸方向視で扇形状を有し、隣り合う2つの主磁石22の周方向の間隔(角度幅)に収まるように設けられる。複数の補助磁石27は、それぞれ、主磁石22の着磁方向(軸方向)と直交する周方向に着磁されている永久磁石であり、周方向の一端面及び他端面のそれぞれに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第2の磁極の一例及び第3の磁極の一例)を有する。補助磁石27は、そのN極が軸方向で固定子10に対向する面にN極が着磁されている主磁石22の周方向の端部に隣接し、そのS極が軸方向で固定子10に対向する面にS極が着磁されている主磁石22の周方向の端部に隣接するように配置される。これにより、補助磁石27は、主磁石22の固定子10と対向している面の磁極の磁束を高めることができる。補助磁石27は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
短絡抑制部材28(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体であり、バックヨーク部211等の回転子20における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。短絡抑制部材28は、軸方向視で、補助磁石27と略同じ範囲を覆う態様で、補助磁石27の固定子10と対向する面と反対側の面に隣接して配置される。即ち、短絡抑制部材28は、補助磁石27と同数(本例では、10個)あり、軸方向視で、補助磁石27と同じ範囲を占める略扇形状を有する。短絡抑制部材28は、軸方向視で同形状を有するバックヨーク部211の凹部に収容されるように設けられる。
<補助磁石の短絡磁束の抑制方法>
次に、引き続き、図10を参照して、第4実施形態に係る電動機1の補助磁石27の短絡磁束の抑制方法について説明する。
図10に示すように、補助磁石27の軸方向で固定子10と対向する面と反対側の面には、バックヨーク部211等の回転子20の磁路を構成する部材よりも磁気抵抗が高い短絡抑制部材28が隣接して配置される。これにより、補助磁石27の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線(回転軸心AXを中心とする円弧線)に並列に面している、補助磁石27の周囲の部分において、バックヨーク部211等の回転子20の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い状態を実現することができる。そのため、補助磁石27の一対の磁極間での短絡磁束を抑制することができる。よって、補助磁石27を用いて主磁石22の固定子10と対向する面の磁極の磁束をより高めることができる。
[第5実施形態]
次いで、第5実施形態について説明する。
<電動機の基本構成>
まず、図11~図21を参照して、第5実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図11、図12は、第5実施形態に係る電動機1の一例を示す横断面図である。具体的には、図11は、電動機1の軸方向の中央部における横断面図であり、図12は、電動機1の軸方向の端部における横断面図である。図13は、第5実施形態に係る回転子40の一例を示す斜視図である。図14は、第5実施形態に係る回転子40の一例を示す分解斜視図である。図13、図14では、回転子40の軸方向における中央部から一端部に亘る範囲が描画され、中央部から他端部に亘る範囲の描画が省略されている。また、図14では、回転軸部材50の描画が省略されている。図15、図16は、第5実施形態に係る電動機1の一例を示す縦断面図である。具体的には、図15、図16は、それぞれ、第5実施形態に係る電動機1の一例に関する図11、図12のD-D線及びE-E線に対応する断面図である。図15、図16中の太い実線矢印は、補助磁石43と主磁石42との間の磁束の流れ及び主磁石42と固定子30との間の磁束の流れを表している。また、図15中の破線矢印は、主磁石42の着磁方向(磁化配向)を表し、図16中の破線矢印は、主磁石42及び補助磁石43の着磁方向(磁化配向)を表している。図17は、第5実施形態に係る電動機1の他の例を示す横断面図である。具体的には、図17は、電動機1の軸方向の端部における横断面図である。図18は、第5実施形態に係る回転子40の他の例を示す斜視図である。図19は、第5実施形態に係る回転子40の他の例を示す分解斜視図である。図18、図19では、回転子40の軸方向における中央部から一端部に亘る範囲が描画され、中央部から他端部に亘る範囲の描画が省略されている。また、図19では、回転軸部材50の描画が省略されている。図20、図21は、第5実施形態に係る電動機1の他の例を示す縦断面図である。具体的には、図20、図21は、それぞれ、第5実施形態に係る電動機1の他の例に関する図17のG-G線及びH-H線に対応する断面図である。図20、図21中の太い実線矢印は、補助磁石43と主磁石42との間の磁束の流れ及び主磁石42と固定子30との間の磁束の流れを表している。また、図20中の破線矢印は、主磁石42の着磁方向(磁化配向)を表し、図21中の破線矢印は、主磁石42及び補助磁石43の着磁方向(磁化配向)を表している。
尚、第5実施形態に係る電動機1の他の例に関する軸方向の中央部の横断面図は、図11と同じであるため、図示を省略する。また、図12、図17では、固定子30及び回転子40のうちの回転子40のみが存在する軸方向の位置での電動機1の断面図を表し、固定子30の軸方向から見た状態、及び回転子40の断面が描画されている。
第5実施形態に係る電動機1は、例えば、空気調和機の送風機や圧縮機等に搭載される。以下、後述する第6~第9実施形態に係る電動機1についても同様であってよい。
図11~図21に示すように、電動機1は、固定子30と、回転子40と、回転軸部材50とを含む。第5実施形態に係る電動機1は、固定子30と回転子40とが径方向(第1の方向の一例)に所定の空隙(エアギャップ)を空けて対向する態様のいわゆるラジアルギャップ型である。また、第5実施形態に係る電動機1は、回転子40の主ヨーク部411に主磁石42が埋設される態様のいわゆる埋込磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)である。
固定子30は、電動機1の外周側に配置され、図示しない筐体に固定される。固定子30は、固定子鉄心31と、巻線32とを含む。
固定子鉄心31は、例えば、電磁鋼板や圧粉磁心等の強磁性体の材料によって形成される。固定子鉄心31は、略円筒形状を有するバックヨーク部31Aと、バックヨーク部31Aの内周面から径方向に突出する複数(本例では、6個)のティース部31Bとを含む。
複数のティース部31Bは、バックヨーク部31Aの内周面において、周方向で略等間隔に配置される。周方向で隣接する2つのティース部31Bの間には、巻線32が収容されるスロット(以下、「コイルスロット」)が形成される。本例では、6個のコイルスロットが形成される。
巻線32は、集中巻線方式によって、複数のティース部31Bのそれぞれに巻き回される。巻線32とティース部31Bとの間には、例えば、PET製の絶縁フィルム等の絶縁部材が介在する。
尚、巻線32は、分布巻線方式によって、複数のティース部31Bを跨ぐように巻き回されてもよい。また、ティース部31Bの数、即ち、隣接する2つのティース部31Bの間に形成されるコイルスロットの数は、5個以下であってもよいし、7個以上であってもよい。
回転子40は、固定子30の径方向で内側に対向して配置され、径方向と直交する周方向(第2の方向の一例)に回転可能に設けられる。回転子40は、回転子鉄心41と、複数の主磁石42と、複数の補助磁石43と、短絡抑制部材44とを含む。
回転子鉄心41は、回転子40の構成部分のうち、固定子30の巻線32に流れる電流による磁界における磁路、並びに主磁石42及び補助磁石43の磁界における磁路を構成する構成要素である。回転子鉄心41は、例えば、電磁鋼板や圧粉磁心等の強磁性体の材料によって形成される。回転子鉄心41は、主ヨーク部411と、補助ヨーク部412とを含む。
主ヨーク部411(第1の部材の一例)は、固定子30の巻線32に流れる電流による磁界における磁路、及び主磁石42の磁界における磁路として用いられる。略円柱形状を有し、回転軸部材50に固定される。図14に示すように、回転子鉄心41には、複数の主磁石42のそれぞれを埋設するための空間(以下、「主磁石スロット」)が設けられる。主磁石スロットにおける主磁石42の主磁束の方向と直交する方向の端部には、主磁石42が埋設された状態で空洞になる部分が設けられてもよい。当該空洞部は、主磁石42の端部における磁束の短絡を抑制するフラックスバリアとして機能する。また、空洞部に回転子鉄心41より透磁率の低い材料が充填されることによりフラックスバリアの機能が担保されてもよい。
補助ヨーク部412は、複数の補助磁石43の磁界における磁路として構成される。補助ヨーク部412は、後述の如く、主磁石42の軸方向の両端部に設けられる補助磁石43のそれぞれの軸方向の外側に隣接して設けられる。
例えば、図12~図16に示すように、補助ヨーク部412は、軸方向視で、複数の補助磁石43のそれぞれの一部を覆う態様の円環形状を有する。
また、例えば、図17~図21に示すように、補助ヨーク部412は、軸方向視で、回転子40の全体を占める円盤形状を有し、中心部分に回転軸部材50が貫通する貫通孔が設けられる態様であってもよい。本例では、補助ヨーク部412は、複数の補助磁石43及び複数の補助磁石43が埋設される短絡抑制部材44に隣接するように、回転子40の端部に配置される。
複数(本例では、4個)の主磁石42(第1の磁石の一例)は、それぞれ、回転子鉄心41(主ヨーク部411)に埋設される。
尚、主磁石42は、それぞれ、3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。以下、後述の第6実施形態の場合についても同様であってよい。
複数の主磁石42は、主ヨーク部411の所定の径方向の位置において、周方向に等間隔で配置される。また、図16、図21に示すように、主磁石42は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向するように配置される。主磁石42は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
複数の主磁石42は、それぞれ、軸方向視で一辺が他辺に対して十分に長い略矩形形状を有し、長辺が略中央で径方向に略直交する形で配置される。複数の主磁石42は、それぞれ、短辺方向の両端部で互いに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第1の磁極及び第4の磁極の一例)を有するように着磁されている。
複数の主磁石42は、それぞれ、固定子30に対向する面に着磁されている磁極が周方向で隣接して配置されている他の主磁石42と異なるように配置される。例えば、一の主磁石42の固定子30に対向する面にS極が着磁されている場合、一の主磁石42と周方向で隣り合う他の主磁石42の固定子30に対向する面には、N極が着磁される。
尚、主磁石42は、軸方向視で、細長い矩形形状以外の形状を有していてもよい。例えば、主磁石42は、軸方向視で、径方向で内側に凸のV字型やU字型の形状を有してもよい。また、主磁石42が軸方向視でV字型の形状を有する場合、細長い矩形形状を有する2つの磁石部材の組み合わせによってV字型の形状が実現されてよい。この場合、2つの磁石部材は、磁気的に並列配置される。また、主磁石42が軸方向視でU字型の形状を有する場合、一の磁石部材によって、曲線状に構成されるU字型(即ち、円弧型)の形状が実現されてもよい。また、細長い矩形形状を有する複数(例えば、3つ)の磁石部材の組み合わせによって、U字型の形状が実現されてもよい。この場合、3つの磁石部材は、磁気的に並列配置される。また、主磁石42は、径方向に複数個が磁気的に直列配置される形で並べられてもよい。
複数(本例では、8個)の補助磁石43(第2の磁石の一例)は、主磁石42の軸方向の両端部に隣接して配置される。また、図16、図21に示すように、補助磁石43は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向しないように配置される。補助磁石43は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。補助磁石43は、主磁石42と共に、ハルバッハ配列を構成し、主磁石42の固定子30と対向する面の磁極の磁束を相対的に高める。これにより、電動機1の出力を向上させることができる。
補助磁石43は、軸方向視で、主磁石42と略同じ細長い矩形形状を有する。複数の補助磁石43は、それぞれ、主磁石42の着磁方向と直交する軸方向に着磁され、軸方向の内側及び外側のそれぞれに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有している。具体的には、補助磁石43は、隣接する主磁石42の固定子30と径方向で対向する面の磁極と同じ磁極が軸方向の内側、つまり、主磁石42に隣接する側になるように、軸方向に着磁されている。例えば、図16に示すように、固定子30に径方向で対向する面の磁極がN極である場合、その軸方向の両端部の補助磁石43は、軸方向の内側の端部にN極、及び外側にS極となるように軸方向で着磁されている。これにより、両端部の二つの補助磁石43は、隣接する主磁石42の固定子30と対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。
短絡抑制部材44(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体であり、主ヨーク部411等の回転子40における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。
例えば、図13、図14に示すように、短絡抑制部材44は、回転軸心AXに沿って配置される略円柱形状を有し、主ヨーク部411の軸方向の両端部に配置される。本例では、短絡抑制部材44には、主ヨーク部411の隣接面に補助磁石43が埋設される、複数(本例では、4つ)の軸方向視で細長い矩形形状の孔部が設けられ、その反対面に補助ヨーク部412が埋設される、軸方向視で円環状の孔部が設けられる。
また、例えば、図18、図19に示すように、短絡抑制部材44は、回転軸心AXに沿って配置される略円柱形状を有し、軸方向で、主ヨーク部411と補助ヨーク部412・との間に隣接して配置されてもよい。本例では、短絡抑制部材44には、補助磁石43と略同じ軸方向の厚みを有し、補助磁石43が埋設される貫通孔が設けられる。
回転軸部材50は、電動機1の筐体に対して回転可能に支持される。これにより、回転軸部材50に固定される回転子40(回転子鉄心41)は、筐体や固定子30に対して回転することができる。
<補助磁石の短絡磁束の抑制方法>
次に、引き続き、図16、図21を参照して、第5実施形態に係る電動機1の補助磁石43の短絡磁束の抑制方法について説明する。
図16、図21に示すように、補助磁石43の固定子30に対向する面及びその反対の面には、それぞれ、主ヨーク部411等の回転子40の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い短絡抑制部材44が隣接して配置される。
これにより、補助磁石43の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線(軸方向に延びる線)に並列に面している補助磁石43の周囲の部分において、主ヨーク部411等の回転子40の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い状態を実現することができる。そのため、補助磁石43の一対の磁極間での短絡磁束を抑制し、主磁石42の固定子30に対向する面の磁極の磁束をより高めることができる。そのため、電動機1の出力をより向上させることができる。
[第6実施形態]
次いで、第6実施形態について説明する。
以下、第5実施形態と異なる部分を中心に説明し、第5実施形態と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する場合がある。
<電動機の基本構成>
まず、図22、図23を参照して、第6実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図22は、第6実施形態に係る電動機1の横断面図である。図22中の実線矢印は、主磁石42及び補助磁石43の着磁方向(磁化配向)を表している。図23は、第6実施形態に係る電動機1の縦断面図である。具体的には、図23は、図22のF-F線に対応する電動機1の断面図である。
図22、図23に示すように、回転子40は、回転子鉄心41と、複数の主磁石42と、複数の補助磁石46と、短絡抑制部材47と、短絡抑制部材48とを含む。
回転子鉄心41は、略円柱形状を有し、回転軸部材50に固定される。回転子鉄心41には、複数の主磁石42のそれぞれを埋設するための主磁石スロットが設けられる。また、主磁石スロットにおける主磁石42の主磁束の方向と直交する方向の両端部には、補助磁石46、短絡抑制部材47、及び短絡抑制部材48を埋設するための空間(以下、「補助磁石スロット」)が設けられる。主磁石スロットと補助磁石スロットとは連通している。
複数(本例では、8個)の補助磁石46(第2の磁石の一例)は、それぞれ、主磁石42の主磁束の方向と直交する方向(本例では、細長い矩形形状の主磁石42の長辺方向)の端部に隣接するように、回転子鉄心41に埋設される。また、図23に示すように、補助磁石46は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向するように配置される。補助磁石46は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。補助磁石46は、主磁石42と共に、ハルバッハ配列を構成し、主磁石42の固定子30と対向する面の磁極の磁束を相対的に高める。これにより、電動機1の出力を向上させることができる。補助磁石46は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石等である。
補助磁石46は、隣接する主磁石42の主磁束の方向と直交する方向に着磁され、主磁石42に隣接する面及びその反対の面に互いに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有している。具体的には、補助磁石46は、主磁石42に隣接する面の磁極が、主磁石42の固定子30に対向する面の磁極と同じになるように着磁されている。例えば、主磁石42の固定子30に対向する面の磁極がN極である場合、主磁石42の主磁束の方向と直交する方向の両端部の補助磁石46は、主磁石42に隣接する面の磁極がN極になるように、主磁石42の主磁束の方向と直交する方向に着磁される。同様に、主磁石42の固定子30に対向する面の磁極がS極である場合、主磁石42の主磁束の方向と直交する方向の両端部の補助磁石46は、主磁石42に隣接する面の磁極がS極になるように、主磁石42の主磁束の方向と直交する方向に着磁される。これにより、両端部の二つの補助磁石46は、隣接する主磁石42の固定子30と対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。
短絡抑制部材47(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体であり、主ヨーク部411等の回転子40における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。短絡抑制部材47は、補助磁石46の固定子30と対向する面と反対側の面に対して、補助磁石46の着磁方向に沿う範囲全体を覆うように隣接する形で、回転子鉄心41に埋設される。
短絡抑制部材48(短絡抑制部の一例)は、短絡抑制部材47と同様、例えば、非磁性体であり、主ヨーク部411等の回転子40における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。短絡抑制部材48は、補助磁石46の固定子30と対向する面に対して、補助磁石46の着磁方向に沿う範囲全体を覆うように隣接する形で、回転子鉄心41に埋設される。
<補助磁石の短絡磁束の抑制方法>
次に、引き続き、図22、図23を参照して、第6実施形態に係る電動機1の補助磁石46の短絡磁束の抑制方法について説明する。
図22、図23に示すように、補助磁石46の固定子30に対向する面及びその反対の面には、それぞれ、主ヨーク部411等の回転子40の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い短絡抑制部材48及び短絡抑制部材47が隣接して配置される。
これにより、補助磁石46の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線(主磁石42の主磁束に直交する方向に延びる線)に並列に面している、補助磁石46の周囲の部分において、主ヨーク部411等の回転子20の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い状態を実現することができる。そのため、補助磁石46の一対の磁極間での短絡磁束を抑制し、主磁石42の固定子10に対向する面の磁極の磁束をより高めることができる。そのため、電動機1の出力をより向上させることができる。
[第7実施形態]
次いで、第7実施形態について説明する。
以下、第5実施形態や第6実施形態と異なる部分を中心に説明し、第5実施形態や第6実施形態と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する場合がある。
<電動機の基本構成>
まず、図24~図33を参照して、第7実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図24、図25は、第7実施形態に係る電動機1の一例を示す横断面図である。具体的には、図24は、電動機1の軸方向の中央部における横断面図であり、図25は、電動機1の軸方向の端部における横断面図である。図26は、第7実施形態に係る回転子20の一例を示す斜視図である。図27は、第7実施形態に係る回転子20の一例を示す分解斜視図である。図26、図27では、回転子60の軸方向における中央部から一端部に亘る範囲が描画され、中央部から他端部に亘る範囲の描画が省略されている。図28、図29は、第7実施形態に係る主磁石62の一例及び他の例を示す図である。図28、図29の破線矢印は、主磁石62の着磁方向(磁化配向)を表している。図30は、第7実施形態に係る補助磁石63の一例を示す図である。図30の破線矢印は、補助磁石63の着磁方向(磁化配向)を表している。図31~図33は、第7実施形態に係る電動機1の一例、他の例、及び更に他の例を示す縦断面図である。具体的には、図31~図33は、図24,25のI-I線に対応する断面図である。図31~33中の太い実線矢印は、補助磁石63と主磁石62との間の磁束の流れ及び主磁石62と固定子30との間の磁束の流れを表している。図31~図33中の破線矢印は、主磁石62及び補助磁石63の着磁方向(磁化配向)を表している。
尚、図25では、固定子30及び回転子60のうちの回転子60のみが存在する軸方向の位置での電動機1の断面図を表し、固定子30の軸方向から見た状態、及び回転子60の断面が描画されている。
図24~図32に示すように、電動機1は、固定子30と、回転子60と、回転軸部材50とを含む。第7実施形態に係る電動機は、固定子30と回転子60とが径方向(第1の方向の一例)に所定の空隙(エアギャップ)を空けて対向する態様のいわゆるラジアルギャップ型である。また、第7実施形態に係る電動機1は、回転子60の主ヨーク部611の表面に主磁石62が組み込まれる態様のいわゆる表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)である。
固定子30は、電動機1の外周側に配置され、図示しない筐体に固定される。固定子30は、固定子鉄心31と、巻線32とを含む。
回転子60は、固定子30の径方向で内側に対向して配置され、固定子30と対向する方向(径方向)と直交する周方向(第2の方向の一例)に回転可能に設けられる。回転子60は、回転子鉄心61と、複数の主磁石62と、複数の補助磁石63と、短絡抑制部材64と、保護管65とを含む。
回転子鉄心61は、回転子60の構成部分のうち、固定子30の巻線32に流れる電流による磁界における磁路、並びに主磁石62及び補助磁石63の磁界における磁路を構成する構成要素である。回転子鉄心61は、主ヨーク部611と、補助ヨーク部612とを含む。
主ヨーク部611は、固定子30の巻線32に流れる電流による磁界における磁路、及び主磁石62の磁界における磁路として用いられる。主ヨーク部611は、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有する。具体的には、主ヨーク部611は、回転子60の軸方向の中央部に配置され、径方向の中心部に回転軸部材50を挿通する孔部を有する略円筒形状を有する。
補助ヨーク部612は、補助磁石63の磁界における磁路として用いられる。補助ヨーク部612は、回転子60の軸方向の両端部に設けられ、軸方向視で、補助磁石63及び短絡抑制部材64の領域を覆うように、補助磁石63及び短絡抑制部材64に軸方向の外側(端部側)で隣接して配置される。補助ヨーク部612は、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有する。具体的には、補助ヨーク部612は、径方向の中心部に回転軸部材50を挿通する孔部を有し、軸方向の寸法が相対的に小さい略円筒形状を有する。
主磁石62は、主ヨーク部611の表面、具体的には、主ヨーク部611の径方向の外側に隣接して配置される。また、図31~図33に示すように、主磁石62は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向するように配置される。主磁石62は、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有する。具体的には、主磁石62は、主ヨーク部611と同じ軸方向の寸法を有し、且つ、主ヨーク部611と締結可能な範囲で、主ヨーク部611の外径寸法と同等の内径寸法の略円筒形状を有する。
図28、図29に示すように、主磁石62は、径方向に着磁される永久磁石であり、内周面及び外周面のそれぞれに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第1の磁極及び第4の磁極の一例)を有する。また、主磁石62は、その内周面及び外周面の磁極の組み合わせが周方向で所定角度ごと(例えば、半周ごと)に異なるように構成される。例えば、図28に示すように、主磁石62は、一体の部材が着磁された永久磁石である。また、例えば、図29に示すように、主磁石62は、内周面及び外周面の極性の組み合わせが異なる、周方向で所定角度ごとの複数(例えば、2つ)の部材ごとに着磁され、着磁された永久磁石としての複数の部材が周方向で連結されることにより製造されてもよい。
補助磁石63は、短絡抑制部材64の表面、具体的には、径方向の外側に隣接し、且つ、主磁石62の軸方向の両端部に隣接して配置される。また、図31~図33に示すように、補助磁石63は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向しないように配置される。補助磁石63は、主磁石62と共に、ハルバッハ配列を構成し、主磁石62の径方向で固定子30と対向する面の磁極の磁束を相対的に高める。これにより、電動機1の出力を向上させることができる。
補助磁石63は、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有する。具体的には、補助磁石63は、軸方向視で、主磁石62と略同じ円環形状を有し、軸方向の寸法が相対的に小さい略円筒形状を有する。
補助磁石63は、軸方向の両端面のそれぞれに極性が異なる磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有する永久磁石である。例えば、図31、図32に示すように、補助磁石63は、主磁石62の着磁方向(径方向)と直交する軸方向に着磁されている。また、例えば、図33に示すように、補助磁石63は、その着磁方向のベクトルが軸方向の成分を有する範囲で、具体的には、主磁石62の着磁方向(径方向)と0度より大きく90度より小さい範囲で交差する方向に着磁されていてもよい。具体的には、補助磁石63は、主磁石62に隣接する面の磁極が、主磁石62の固定子30の対向する面(即ち、径方向外側の面)の磁極と同じになるように、軸方向に着磁されている。例えば、図31、図32に示すように、主磁石62の固定子30に対向する面の磁極がN極である周方向の角度範囲では、補助磁石63は、軸方向の内側(中央部側)にN極、及び外側(端部側)にS極となるように軸方向で着磁されている。図30に示すように、補助磁石63は、軸方向の内側及び外側の磁極の極性の組み合わせが異なる所定角度ごとの複数(例えば、2つ)の部材ごとに着磁され、着磁された永久磁石としての複数の部材が周方向で結合されることにより製造される。
短絡抑制部材64(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体で構成され、主ヨーク部611等の回転子60における磁路を構成する部材よりも相対的に高い磁気抵抗を有する材料で形成される。短絡抑制部材64は、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有し、軸方向の外側(端部側)で主ヨーク部611に隣接する共に、周方向の内側で補助磁石63に隣接するように配置される。具体的には、短絡抑制部材64は、軸方向視で、主ヨーク部611と略同じ円環形状を有し、補助磁石63と略同じ軸方向の寸法を有する略円筒形状を有する。
保護管65(短絡抑制部の一例)は、例えば、非磁性体で構成され、主磁石62及び補助磁石63の周方向の外側に配置される。これにより、電動機1は、回転子60の回転に伴い作用する遠心力による主磁石62及び補助磁石63の回転子60からの離脱の発生を抑制することができる。
保護管65は、主磁石62及び補助磁石63の径方向外側を覆う略円筒形状を有する。例えば、図31、図33に示すように、保護管65は、主磁石62及び補助磁石63の全体と同じ軸方向の寸法を有し、且つ、主磁石62及び補助磁石63と締結可能な範囲で、主磁石62及び補助磁石63のそれぞれの外径寸法と同等の内径寸法を有する略円筒形状である。この場合、補助ヨーク部612は、保護管65の外径寸法と略同じ外径寸法の略円筒形状を有し、補助磁石63、短絡抑制部材64、及び保護管65の軸方向の外側(端部側)に隣接して配置される。また、図32に示すように、保護管65は、主磁石62、補助磁石63、及び補助ヨーク部612の全体と同じ軸方向の寸法を有し、且つ、主磁石62、補助磁石63、及び補助ヨーク部612と締結可能な範囲で、主磁石62、補助磁石63、及び補助ヨーク部612のそれぞれの外径寸法と同等の内径寸法を有する略円筒形状であってもよい。この場合、保護管65は、主磁石62及び補助磁石63だけでなく、補助ヨーク部612の径方向外側も覆い、補助ヨーク部612は、保護管65と締結可能な範囲で、保護管65の内径寸法と同等の外径寸法を有する。
<補助磁石の短絡磁束の抑制方法>
引き続き、図31~図32を参照して、第7実施形態に係る電動機1の補助磁石63の短絡磁束の抑制方法について説明する。
図31、図32に示すように、補助磁石63の径方向の内側の面には、主ヨーク部611等の回転子60の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い短絡抑制部材64が隣接して配置される。また、補助磁石63の径方向の外側の面には、主ヨーク部611等の回転子60の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い保護管65が隣接して配置される。
これにより、補助磁石63の内部の一対の磁極の間を結ぶ仮想線(軸方向に延びる線)に並列に面している補助磁石63の周囲の部分において、主ヨーク部611等の回転子60の磁路を構成する部材よりも相対的に磁気抵抗が高い状態を実現することができる。そのため、補助磁石63の一対の磁極間での短絡磁束を抑制し、主磁石62の固定子30に対向する面の磁極の磁束をより高めることができる。そのため、電動機1の出力をより向上させることができる。
[第8実施形態]
次いで、第8実施形態について説明する。
以下、第7実施形態と異なる部分を中心に説明し、第7実施形態と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
<電動機の基本構成>
まず、図34~図40を参照して、第8実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図34、図35は、第8実施形態に係る電動機1の一例を示す横断面図である。具体的には、図34は、電動機1の軸方向の中央部における横断面図であり、図35は、電動機1の軸方向の端部における横断面図である。図36は、第8実施形態に係る回転子60の一例を示す斜視図である。図37は、第8実施形態に係る回転子60の一例を示す分解斜視図である。図36、図37では、回転子60の軸方向における中央部から一端部に亘る範囲が描画され、中央部から他端部に亘る範囲の描画が省略されている。図38は、第8実施形態に係る主磁石62の一例を示す図である。図39は、第8実施形態に係る補助磁石63の一例を示す図である。図38、図39中の実線矢印は、それぞれ、主磁石62及び補助磁石63の磁化配向(着磁方向)を表している。図40は、第8実施形態に係る電動機1の一例を示す縦断面図である。具体的には、図40は、図34、図35の図40の太い実線矢印は、J-J線に対応する断面図である。図40中の太い実線矢印は、補助磁石63と主磁石62との間の磁束の流れ及び主磁石62と固定子30との間の磁束の流れを表している。
尚、図35では、固定子30及び回転子60のうちの回転子60のみが存在する軸方向の位置での電動機1の断面図を表し、固定子30の軸方向から見た状態、及び回転子60の断面が描画されている。
図34~図40に示すように、回転子60は、第7実施形態と異なり、回転子鉄心21が省略されると共に、主磁石62、補助磁石63、短絡抑制部材64、及び保護管65に加えて、端板66を含む。
主磁石62は、短絡抑制部材64の表面、具体的には、短絡抑制部材64の径方向の外側に隣接するように、回転子60の軸方向の中央部に配置される。
図38に示すように、主磁石62は、一の部材として構成され、第7実施形態と異なり、極異方性の磁化配向で着磁されている。具体的には、主磁石62は、径方向の外側の面(外周面)に互いに極性が異なる一対の磁極(N極及びS極)(第1の磁極の一例)を有し、径方向の内側への磁束漏れがないハルバッハ配列の磁器回路構造を有する。これにより、主磁石62の径方向の内側における磁路を構成する部材(即ち、第7実施形態の主ヨーク部611)を省略し、その部分を他の部材(本例では、短絡抑制部材64)に置き換えることができる。
主磁石62は、径方向の外周面に、周方向で離間する一対の磁極(N極及びS極)を複数組(本例では、二組)有する。具体的には、主磁石62は、隣り合う磁極と互いに極性が異なるように、周方向に略等間隔で複数(本例では、4つ)の磁極を有する。また、図40に示すように、主磁石62は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向する用に配置される。
尚、主磁石62の径方向の外周面に配置される磁極の数(極数)は、偶数である限り、4つより多くてもよい。
補助磁石63は、短絡抑制部材64の表面、具体的には、短絡抑制部材64の径方向の外側に隣接し、且つ、主磁石62の軸方向の外側(端部側)に隣接して配置される。また、図40に示すように、補助磁石63は、径方向で固定子30のティース部31Bと対向しないように配置される。
図39に示すように、補助磁石63は、一の部材として構成され、第7の実施形態と異なり、極異方性の磁化配向で着磁されている。具体的には、補助磁石63は、主磁石62に隣接する、軸方向の内側(中央部側)に互いに極性が異なる一対の磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第3の磁極の一例)を有し、軸方向の外側(端部側)への磁束漏れがないハルバッハ配列の磁器回路構造を有する。これにより、補助磁石63の軸方向の外側(端部側)における磁路を構成する部材(即ち、第7実施形態の補助ヨーク部612)を省略することができる。
補助磁石63は、軸方向の内側の面に、周方向で離間する一対の磁極(N極及びS極)を複数組(本例では、二組)有する。具体的には、補助磁石63は、隣り合う磁極と互いに極性が異なるように、周方向に略等間隔で複数(本例では、4つ)の磁極を有する。そして、補助磁石63は、周方向で、N極及びS極のそれぞれが、主磁石22のN極及びS極と同じ位置なるように、主磁石22の軸方向の外側に隣接して配置される。これにより、補助磁石23は、主磁石22における径方向で固定子30に対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。
尚、補助磁石63の軸方向の内側(中央部側)の面に配置される磁極の数(極数)は、主磁石62と同じである限り、4つより多くてもよい。
短絡抑制部材64は、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有し、軸方向の中央部において、主磁石62及び補助磁石63の径方向の内側に隣接するように配置される。具体的には、主磁石62及び補助磁石63と締結可能な範囲で、主磁石62及び補助磁石63の内径寸法と同等の外径寸法を有し、且つ、主磁石62及び補助磁石63の合計と同じ軸方向の寸法を有する略円筒形状を有する。
端板66は、補助磁石63及び短絡抑制部材64を軸方向の外側から覆うように回転子60の軸方向の両端部に設けられる。具体的には、端板66は、補助磁石63と略同じ外径形状を有し、且つ、回転軸部材50の挿通孔を中央部に有する、相対的に軸方向の寸法が小さい略円筒形状を有する。端板66は、その機能を果たすことができれば、任意の材料で構成されてよく、例えば、磁性体であってもよいし、非磁性体であってもよい。これにより、回転子60の軸方向の端部からの補助磁石63等の離脱の発生を抑制することができる。
尚、端板66は、省略されてもよい。
このように、第3実施形態に係る電動機1では、極異方性の磁化配向で着磁されている主磁石62及び補助磁石63が利用される。これにより、主磁石62の径方向の内側や補助磁石63の軸方向の外側の磁路を構成する部材を省略することができる。そのため、電動機1の構成の自由度を向上させ、例えば、電動機1の小型化やコスト低減等を図ることができる。
[第9実施形態]
次いで、第9実施形態について説明する。
以下、第7実施形態と異なる部分を中心に説明し、第7実施形態と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
<電動機の基本構成>
図41~図43を参照して、第9実施形態に係る電動機1の基本構成について説明する。
図41、図42は、第9実施形態に係る電動機1の一例を示す横断面図である。具体的には、図41は、電動機1の軸方向の中央部における横断面図であり、図42は、電動機1の軸方向の端部における横断面図である。図43は、第9実施形態に係る電動機1の一例を縦断面図である。具体的には、図43は、図41、図42のK-K線に対応する断面図である。図43中の太い実線矢印は、磁石62Aと固定子30との間の磁束の流れを表している。図43の破線矢印は、磁石62Aの磁化配向(着磁方向)を表している。
尚、図42では、固定子30及び回転子60のうちの回転子60のみが存在する軸方向の位置での電動機1の断面図を表し、固定子30の軸方向から見た状態、及び回転子60の断面が描画されている。
図41~図43に示すように、回転子60は、第7実施形態と異なり、主磁石62及び補助磁石63に代えて、磁石62Aを含む。
磁石62Aは、一の部材で構成され、主ヨーク部611及び短絡抑制部材64の表面、具体的には、主ヨーク部611及び短絡抑制部材64の径方向の外側に隣接して配置される。磁石62Aは、回転軸心AXを中心とする略円筒形状を有する。具体的には、磁石62Aは、主ヨーク部611及び短絡抑制部材64の合計と同じ軸方向の寸法を有し、且つ、主ヨーク部611及び短絡抑制部材64と締結可能な範囲で、主ヨーク部611及び短絡抑制部材64の外形寸法と同等の内径寸法の略円筒形状を有する。
磁石62Aのうち、ティース部31Bと径方向に対向する箇所が第7実施形態や第8実施形態における主磁石62に相当する部位であり、ティース部31Bと径方向に対向しない箇所が第7実施形態や第8実施形態における補助磁石63に相当する部位である。
図43に示すように、磁石62Aは、回転子60の任意の周方向の角度位置において、軸方向の端面、及び径方向外側の端面に互いに極性の異なる一対の磁極(N極及びS極)(第2の磁極及び第1の磁極、或いは、第3の磁極及び第1の磁極の一例)を有する。そして、磁石62Aは、回転子60の任意の同じ周方向の角度位置において、その軸方向の端面の磁極と径方向の端面の磁極との間を、径方向の内側に凸の曲線状に結ぶ磁化配向で着磁されている。具体的には、磁石62Aにおける補助磁石63に相当する部位の磁化配向は、主磁石62に相当する部位の磁化配向と方向が異なっている。磁石62Aは、主磁石62に相当する部位と補助磁石63に相当する部位との境界面に、互いに極性の異なる一対の磁極を有する。具体的には、磁石62Aは、境界面における補助磁石63に相当する部位に、磁石62Aの軸方向の端面の磁極と異なる極性の磁極(第3の磁極或いは第2の磁極の一例)を有する。また、磁石62Aは、境界面における主磁石62に相当する部位に、磁石62Aの径方向の端面の磁極と異なる極性の磁極(第4の磁極の一例)を有する。そして、磁石62Aは、補助磁石63に相当する部位の軸方向内側の端部の磁極と主磁石62に相当する部位の軸方向外側の端部の磁極とが軸方向に向かい合う形で一体に構成される。これにより、磁石62Aは、径方向の内側に磁束漏れのないハルバッハ配列の磁気回路構造を有する。そのため、磁石62Aにおける径方向で固定子30に対向する面の磁極の磁束を高める(強める)ことができる。
尚、磁石62Aは、その軸方向の端面及び径方向外側の端面の一対の磁極の極性の組み合わせが回転子60の周方向の所定角度ごとに切り換わるように着磁されている。具体的には、磁石62Aの軸方向の端面には、周方向の所定角度ごとに、N極及びS極が交互に配置され、磁石62Aの径方向外側の端面には、周方向の所定角度ごとに、同じ角度範囲の軸方向の端面と異なる極性でN極及びS極が交互に配置される。
このように、本例では、磁石62Aは、軸方向の端面から径方向外側の端面に向かって、着磁方向(磁化配向)が軸方向の成分が相対的に大きい状態から径方向の成分が相対的に大きい状態に変化するように着磁されている。これにより、磁石62Aは、第7実施形態の主磁石62及び補助磁石63の機能を一の部材で実現することができる。
[他の実施形態]
次いで、他の実施形態について説明する。
上述の第1実施形態~第9実施形態は、適宜組み合わせられてもよい。
例えば、第3実施形態において、短絡抑制部材25,26は、省略され、第2実施形態の空間25B,26Bの場合と同様、部材が設けられない空間(短絡抑制部、部材のない空間の一例)に置換されてもよい。
また、例えば、第4実施形態において、短絡抑制部材28は、省略され、第2実施形態の空隙25A,26Aの場合と同様、バックヨーク部211の凹部により実現される空隙(短絡抑制部、部材のない空間の一例)に置換されてもよい。
また、例えば、第5実施形態において、短絡抑制部材44は、省略され、第2実施形態の空間25B,26Bの場合と同様、部材が設けられない空間(短絡抑制部、部材のない空間の一例)に置換されてもよい。
また、例えば、第5実施形態において、短絡抑制部材44が省略され、主ヨーク部411が軸方向で補助磁石43及び補助ヨーク部412の部分まで延長されてもよい。そして、主ヨーク部411の補助磁石43と隣接する面に凹部が設けられることで、第2実施形態の空隙25A,26Aの場合と同様、補助磁石43の内部の一対の磁極を結ぶ仮想線と並列に面する補助磁石43の周囲の部分に空隙(短絡抑制部、部材のない空間の一例)が設けられてもよい。
また、例えば、第6実施形態において、短絡抑制部材47,48は、省略され、第2実施形態の空隙25A,26Aの場合と同様、回転子鉄心41の補助磁石スロットの空洞部により実現される空隙(短絡抑制部、部材のない空間の一例)に置換されてもよい。
また、例えば、第1実施形態や第2実施形態において、補助磁石23,24は、第7実施形態の補助磁石63(図33)の場合と同様、0度より大きく且つ90度より小さい角度で主磁石22の着磁方向と交差する方向に着磁されていてもよい。
また、例えば、第4実施形態において、補助磁石27は、第7実施形態の補助磁石63(図33)の場合と同様、0度より大きく且つ90度より小さい角度で主磁石22の着磁方向と交差する方向に着磁されていてもよい。
また、例えば、第5実施形態において、補助磁石43は、第7実施形態の補助磁石63(図33)の場合と同様、0度より大きく且つ90度より小さい角度で主磁石42の着磁方向と交差する方向に着磁されていてもよい。
また、例えば、第1実施形態~第3実施形態において、主磁石22は、軸方向で固定子10と対向する面に、互いに極性の異なる一対の磁極が周方向で複数組配置される極異方性の磁化配向で着磁されていてもよい。
また、例えば、第1実施形態や第2実施形態において、主磁石22及び補助磁石23,24は、第9実施形態の磁石62Aの場合と同様、径方向の端面、及び固定子10と対向する軸方向の端面に一対の磁極を有する一の磁石部材に置換されてもよい。
また、例えば、第5実施形態において、主磁石42及び補助磁石43は、第9実施形態の磁石62Aの場合と同様、軸方向の端面、及び固定子30と対向する径方向外側の端面に一対の磁極を有する一の磁石部材に置換されてもよい。
また、例えば、第6の実施形態において、主磁石42及び補助磁石46は、第9実施形態の磁石62Aの場合と同様、軸方向視の長辺方向の端面、及び固定子30に対向する短辺方向の端面に一対の磁極を有する一の磁石部材に置換されてもよい。
また、上述の第1実施形態~第9実施形態には、それぞれ、適宜変形や変更が加えられてもよい。
例えば、第1実施形態~第3実施形態において、複数の補助磁石23及び複数の補助磁石24のうちの径方向の外側に配置される複数の補助磁石24が省略されてもよい。この場合、外環部213も併せて省略される。また、この場合、第1実施形態では、短絡抑制部材26が併せて省略され、第2実施形態では、複数の補助磁石24及び外環部213の省略に併せてバックヨーク部211の径方向の寸法が短縮される。これにより、電動機1の径方向の寸法の増加を抑制することができる。そのため、電動機1の大型化を抑制しつつ、電動機1の出力向上を実現することができる。
また、例えば、第1実施形態~第3実施形態において、複数の補助磁石23及び複数の補助磁石24のうちの径方向の内側に配置される複数の補助磁石23が省略されてもよい。この場合、内環部212も併せて省略される。また、この場合、第1実施形態では、短絡抑制部材25が併せて省略され、第2実施形態では、複数の補助磁石23及び内環部212の省略に併せてバックヨーク部211の径方向の寸法が短縮される。これにより、主磁石22の径方向の内側にベアリングや回転軸部材(シャフト)を配置する空間を十分に確保することができる。そのため、主磁石22の径方向の内側の部品の配置のための空間を確保しつつ、電動機1の出力向上を実現することができる。
また、例えば、第5実施形態において、軸方向の両端部に配置される補助磁石43のうちの何れか一方の端部の補助磁石43は省略されてもよい。この場合、補助磁石43が省略される一端部では、補助ヨーク部412及び短絡抑制部材44が併せて省略される。これにより、電動機1の軸方向の寸法の増加を抑制することができる。そのため、電動機1の軸方向の寸法の大型化を抑制しつつ、電動機1の出力向上を実現することができる。
また、例えば、第6実施形態において、主磁石42の主磁束に直交する方向の両端部に隣接して配置される2つの補助磁石46のうちの何れか一方の端部の補助磁石46は省略されてもよい。この場合、補助磁石46が省略される一端部では、短絡抑制部材47,48が併せて省略される。
また、例えば、第8実施形態において、主磁石42及び補助磁石43のうちの主磁石42のみが極異方性の磁化配向で着磁され、補助磁石43は、第7実施形態と同じ態様であってもよい。この場合、端板66に代えて、第7実施形態の場合と同様に、補助ヨーク部612が設けられる。
[電動機の適用例]
次に、図44を参照して、本実施形態に係る電動機1の具体的な適用例について説明する。
図44は、本実施形態に係る電動機1を搭載する空気調和機100の一例を示す図である。
空気調和機100(冷凍装置の一例)は、室外機110と、室内機120と、冷媒経路130,140とを含む。空気調和機100は、室外機110、室内機120、冷媒経路130,140等で構成される冷媒回路を動作させ、室内機120が設置される室内の温度や湿度等を調整する。
室外機110は、温度等の調整対象の建物の室外に配置される。室外機110は、冷媒経路130,140のそれぞれの一端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
室内機120は、温度等の調整対象の建物の室内に配置される。室内機120は、冷媒経路130,140のそれぞれの他端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
冷媒経路130,140は、例えば、管路により構成され、冷媒が室外機110及び室内機120の間で循環可能なように、室外機110及び室内機120との間を接続する。
室外機110は、冷媒経路L1~L6と、四方切換弁111と、圧縮機112と、室外熱交換器113と、室外膨張弁114と、ファン115とを含む。
冷媒経路L1~L6は、例えば、管路として構成される。
冷媒経路L1は、室外機110の外部の冷媒経路130の一端と四方切換弁111との間を接続する。
冷媒経路L2は、四方切換弁111と圧縮機112の入口との間を接続する。
冷媒経路L3は、四方切換弁111と圧縮機112の出口との間を接続する。
冷媒経路L4は、四方切換弁111と室外熱交換器113との間を接続する。
冷媒経路L5は、室外熱交換器113と室外膨張弁114との間を接続する。
冷媒経路L6は、室外機110の外部の冷媒経路140の一端と室外膨張弁114との間を接続する。
四方切換弁111は、空気調和機100の冷房運転の場合と暖房運転の場合とで冷媒が循環する流れを逆転させる。
空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、図44中の実線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L1と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L3と冷媒経路L4との間を接続させる。
一方、空気調和機100の暖房運転の場合、四方切換弁111は、図44中の点線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の暖房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L4と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L1と冷媒経路L3との間を接続させる。
圧縮機112は、冷媒経路L2から冷媒を吸入し、高圧に圧縮して冷媒経路L3に吐出する。圧縮機112は、電動機1を搭載(内蔵)し、電動機1により電気駆動される。
空気調和機100の冷房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L4を通じて、室外熱交換器113に流入する。
一方、空気調和機100の暖房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L1を通じて、室外機110の外部の冷媒経路130に流出する。そして、高温高圧の冷媒は、冷媒経路130を通じて、室内機120に流入する。
室外熱交換器113は、外気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室外熱交換器113には、ファン115が併設され、室外熱交換器113は、ファン115により送風される外気と内部を通流する冷媒との間で熱交換を行う。
空気調和機100の冷房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L4から流入する、圧縮機112で圧縮された高温高圧の冷媒に外気への放熱を行わせ、凝縮・液化した冷媒(液冷媒)を冷媒経路L5に流出させる。
また、空気調和機100の暖房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L5から流入する低温低圧の液冷媒に外気から吸熱を行わせ、蒸発した冷媒を冷媒経路L4に流出させる。
室外膨張弁114は、空気調和機100の暖房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路L6から流入する冷媒(液冷媒)を所定の圧力に減圧させる。一方、室外膨張弁114は、空気調和機100の冷房運転時において、全開状態にされ、冷媒経路L5から冷媒経路L6に冷媒(液冷媒)を通過させる。
ファン115(送風機の一例)は、上述の如く、室外熱交換器113に送風を行い、室外熱交換器113における熱交換を促進させる。ファン115は、電動機1を搭載し、電動機1により電気駆動される。
室内機120は、室内膨張弁121と、室内熱交換器122と、ファン123とを含む。
室内膨張弁121は、空気調和機100の冷房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路140から流入する、過冷却状態の液冷媒を所定の圧力に減圧させる。一方、室内膨張弁121は、空気調和機100の暖房運転時において、全開状態にされ、室内熱交換器122から流出する冷媒(液冷媒)を冷媒経路140に向かって通過させる。
室内熱交換器122は、室内空気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内機120に搭載されるファン123の作用で、室内熱交換器122の周囲に室内空気を通過させ、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出すことにより、室内の冷房或いは暖房が実現される。
具体的には、空気調和機100の冷房運転時において、室内熱交換器122は、室内膨張弁121により減圧された低温低圧の液冷媒に室内空気から吸熱させ、室内空気の温度を下げる。
一方、空気調和機100の暖房運転時において、室内熱交換器122は、冷媒経路130を通じて室外機110から流入する高温高圧の冷媒に室内空気への放熱を行わせ、室内空気の温度を上げる。
ファン123(送風機の一例)は、上述の如く、室内熱交換器122に送風を行い、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出させる。ファン123は、電動機1を搭載し、電動機1により電気駆動される。
尚、圧縮機112、ファン115、及びファン123のうちの一部、即ち、何れか一つ或いは二つに電動機1が搭載される態様であってもよい。
このように、本例では、空気調和機100に搭載される、圧縮機112やファン115やファン123に上述した本実施形態に係る電動機1が搭載される。そのため、出力が相対的に大きい電動機1が採用されることにより、同じ出力を得るために必要な電力が相対的に小さくなり、圧縮機112やファン115やファン123のエネルギ効率を向上させることができる。その結果、空気調和機100のエネルギ効率を向上させることができる。
[作用]
次に、本実施形態に係る電動機1の作用について説明する。
本実施形態では、電動機1は、固定子と、固定子と第1の方向で対向し、第1の方向と直交する第2の方向に回転自在に構成される回転子と、短絡抑制部と、を備える。固定子は、例えば、固定子10や固定子30である。回転子は、例えば、回転子20や回転子40や回転子60である。短絡抑制部は、例えば、短絡抑制部材25,26や空隙25A,26A、空間25B,26B、短絡抑制部材44、短絡抑制部材47,48、短絡抑制部材64等である。具体的には、回転子は、固定子と対向する面に第1の磁極を有する第1の磁石と、第1の磁石に隣接して配置され、第2の磁極と、第2の磁極とは極性の異なる第3の磁極とを有し、第1の磁極の磁束を高める第2の磁石と、を含む。また、第2の磁石は、第1の磁石に対して、第1の方向と直交する第3の方向に隣接して配置される。第1の磁石は、例えば、主磁石22、主磁石42、主磁石62等である。第2の磁石は、例えば、補助磁石23,24、補助磁石27、補助磁石43、補助磁石46、補助磁石63等である。そして、短絡抑制部は、第2の磁極と第3の磁極とを結ぶ仮想線と並列に面している第2の磁石の周囲の部分に設けられ、第2の磁極と第3の磁極との間の磁束の短絡を抑制する。
これにより、第2の磁石の内部の磁極同士を結ぶ仮想線と並列に面している周囲の部分を通じて第2の磁石の磁極間を短絡する磁束が生じにくくなる。そのため、第1の磁石の固定子と対向する磁極の磁束をより高めることができる。
また、本実施形態(第1実施形態~第3実施形態)では、第3の方向は、第2の方向と直交してよい。具体的には、回転子20と固定子10とは、軸方向に対向して配置されてよい。また、主磁石22は、回転軸心AXを中心として複数の第1の磁極が周方向に並ぶように配置されてよい。そして、補助磁石23,24は、複数の第1の磁極のそれぞれの径方向(第3の方向)に第2の磁極或いは第3の磁極が隣接するように配置されてよい。
また、本実施形態(第4実施形態)では、第3の方向は、第2の方向と同じであってもよい。具体的には、回転子20と固定子10とは、軸方向に対向して配置されてよい。また、主磁石22は、回転軸心AXを中心として複数の第1の磁極が周方向に並ぶように配置されてよい。そして、補助磁石27は、複数の第1の磁極のそれぞれの周方向(第3の方向)に第2の磁極或いは第3の磁極が隣接するように配置されてよい。
これにより、アキシャルギャップ型の電動機1において、具体的に、補助磁石23,24や補助磁石27を用いて主磁石22の固定子30と対向する磁極の磁束をより高めることができる。そのため、アキシャルギャップ型の電動機1の出力をより向上させることができる。
また、本実施形態(第5実施形態、第7実施形態)では、第3の方向は、第2の方向と直交してよい。具体的には、回転子40と固定子30とは、径方向に対向して配置されてよい。また、主磁石42は、回転軸心AXを中心として複数の第1の磁極が周方向に並ぶように配置されてよい。そして、補助磁石43は、複数の第1の磁極のそれぞれの軸方向(第3の方向)に第2の磁極或いは第3の磁極が隣接するように配置されてよい。同様に、回転子60と固定子30とは、径方向に対向して配置されてよい。また、主磁石62は、回転軸心AXを中心として複数の第1の磁極が周方向に並ぶように配置されてよい。そして、補助磁石63は、複数の第1の磁極のそれぞれの軸方向(第3の方向)に第2の磁極或いは第3の磁極が隣接するように配置されてよい。
また、本実施形態(第6実施形態)では、第3の方向は、第2の方向と同じであってもよい。具体的には、回転子40と固定子30とは、径方向に対向して配置されてよい。また、主磁石42は、回転軸心AXを中心として複数の第1の磁極が周方向に並ぶように配置されてよい。そして、補助磁石46は、軸方向から見たときに、複数の第1の磁極のそれぞれの主磁束に直交する方向(第3の方向)の端部に第2の磁極或いは第3の磁極が隣接するように配置されてよい。
これにより、ラジアルギャップ型の電動機1において、具体的に、補助磁石43や補助磁石46を用いて主磁石42の固定子30と対向する磁極の磁束をより高めることができる。そのため、ラジアルギャップ型の電動機1の出力をより向上させることができる。
また、本実施形態(第1実施形態~第7実施形態、第9実施形態)では、第1の磁石は、第1の磁極を有する面とは異なる面に第4の磁極を有してよい。また、回転子は、複数の第1の磁石と、複数の第4の磁極との間の磁路を構成する第1の部材とを含んでよい。第1の部材は、例えば、バックヨーク部211、主ヨーク部411、主ヨーク部611等である。そして、短絡抑制部は、第1の部材よりも磁気抵抗が高くてもよい。
これにより、短絡抑制部は、第2の磁石の短絡磁束を具体的に抑制することができる。
また、本実施形態(第1実施形態、第3実施形態~第9実施形態)では、短絡抑制部には、非磁性体が設けられてよい。
これにより、磁気抵抗が相対的に高い非磁性体の部材によって、具体的に、補助磁石の磁極間を短絡する磁束を抑制することができる。
また、本実施形態(第2実施形態)では、短絡抑制部には、部材のない空間が設けられてもよい。
これにより、磁気抵抗が相対的に高い部材のない空間によって、具体的に、補助磁石の磁極間を短絡する磁束を抑制することができる。
また、本実施形態(第1実施形態~第9実施形態)では、第2の磁石は、第1の磁石の着磁方向と垂直な方向に着磁されてよい。
これにより、第1の磁石と第2の磁石との間でハルバッハ配列を実現し、具体的に、第1の磁石の固定子と対向する磁極の磁束を高めることができる。
また、本実施形態では、第2の磁石は、第1の磁石の着磁方向に対して、0度より大きく、90度より小さい角度で交差する方向に着磁されていてもよい。
これにより、第1の磁石と第2の磁石との間でハルバッハ配列を実現し、具体的に、第1の磁石の固定子と対向する磁極の磁束を高めることができる。
また、本実施形態では、第1の磁石及び第2の磁石の少なくとも一方は、極異方性の磁化配向で着磁されていてもよい。
これにより、第1の磁石同士の磁路や第2の磁石同士の磁路を構成する磁性体の部材を設ける必要がなくなる。そのため、電動機1の構成の自由度を向上させ、例えば、電動機1の小型化やコスト低減等を図ることができる。
また、本実施形態(第9実施形態)では、第1の磁石及び第2の磁石は、一体の磁石62Aで構成されていてもよい。
これにより、一の部材で、第1の磁石及び第2の磁石の機能を実現することができる。
また、本実施形態では、圧縮機112は、電動機1を搭載してもよい。
これにより、圧縮機112は、エネルギ効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、ファン115やファン123は、電動機1を搭載してもよい。
これにより、ファン115やファン123は、エネルギ効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、空気調和機100は、圧縮機112と、ファン115,123とを備えてよい。そして、圧縮機112及びファン115,123の少なくとも一方には、電動機1が搭載されてよい。
これにより、空気調和機100は、エネルギ効率を向上させることができる。
[変形・変更]
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
例えば、上述の第5実施形態~第9実施形態では、インナロータ型の電動機1について、第1の磁石(主磁石42,62)の固定子30と対向する面の磁極の磁束を高める第2の磁石(補助磁石43,46,63)の一対の磁極間での短絡磁束を抑制する方法を開示するが、同様の方法は、アウタロータ型の電動機の回転子に採用されてもよい。
最後に、本願は、2020年6月9日に出願した特願2020-100025号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本願に参照により援用する。